JP6149005B2 - 直流電車線路の保護線用素子及び高抵抗地絡検出システム - Google Patents

直流電車線路の保護線用素子及び高抵抗地絡検出システム Download PDF

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Description

本発明は、直流電車線路の給電回路(き電回路)の地絡から電車線路及び電車線路に設けられた設備機器等の損傷を防止するための直流電気鉄道の高抵抗地絡検出システムにおける保護線に対してき電線からの地絡電流を流すために用いる直流電車線路の保護線用素子及び高抵抗地絡検出システムに関する。
従来、電気鉄道における直流電化区間の給電回路(直流き電回路ともいう)の電線は、直流の高電圧が印加されており、碍子等の絶縁体を用いて大地および支持柱から絶縁されている。また、導電性飛来物や雷などの原因により給電回路の電気的絶縁が破れたとき、これを地絡といい、支持柱には直流高電圧が印加され、地絡電流が支持柱を経由して大地へ流出する。このときの地絡電流が、電車や電気機関車が走行するために消費する電流よりも小さいと、給電回路に給電する直流変電所では地絡電流を検知することができない。さらに、電源が直流であるがゆえに、絶縁が破れた場所に生じた直流アーク放電が長時間持続することがある。これらの結果により、碍子の沿面のアークの熱で碍子が割損して給電回路の電線が垂下したり、支持柱が溶損したりする場合や、地絡点近傍に設置された電車線路の設備機器である電力、通信及び信号設備等に絶縁破壊等の障害が生じる場合がある。これらの障害の対策として、給電回路からき電線に対する高電圧大電流を遮断する必要がある。
上述の対策において、図5に示すように、直流き電回路において、給電回路(き電回路)の近傍に金属線路からなる保護線100を設け、この保護線100をレール101A(101B)に対し、保護線用抵抗器200A(200B)と保護線電圧リレー201A(201B)との並列回路を介して接続している。図5は、従来の直流電気鉄道の高抵抗地絡検出システムの構成を示している。また、保護線100を抵抗301A(301B)とダイオード302A(302B)の直列回路を介して、電車線路支持柱300Aに接続していた。ここで、ダイオード302Aの向きは、アノードが電車線路支持柱300A側であり、カソードが保護線100側である。
また、同様に、抵抗301Bとダイオード302Bとの直列回路を、電車線路支持柱300Bと保護線100との間に介挿する。ダイオード302Bの向きは、アノードが電車線路支持柱300B側であり、カソードが保護線100側である。
このような構成によって、き電回路における電車線路支持柱300A近傍で地絡が発生すると、電車線路支持柱300A(300B)を介してき電線150の電圧が抵抗301A(301B)とダイオード302A(302B)の直列回路に対して与えられる。
これにより、抵抗301A(301B)とダイオード302A(302B)の直列回路を介して、保護線100にき電線150の電圧が印加される。保護線100に対してき電線150の電圧が印加されることにより、保護線100から保護線用抵抗器200A(200B)を介してレール101A(101A)に電流が流れる。そして、保護線電圧リレー201A(201B)は、予め設定された閾値電圧となると、オン状態となり、遮断器205A(205B)に対して遮断信号を出力する。
遮断器205Aは、遮断信号が供給されることにより、変電所の整流器206A(206A)とき電線150との接続を遮断する。これにより、電車線路における設備における障害の発生を防止している(例えば、非特許文献1参照)。
また、保護線100の電圧がき電線150の電圧となっても、ダイオード302B(302A)により、電車線路支持柱300A(300B)に対して保護線100から電流が流れ込むことが無くなる。
これにより、電車線路支持柱300A(300B)近傍で発生した地絡の影響が、隣接する電車線路支持柱300B(300A)に対して及ぶことはない。
しかしながら、ダイオード302A(302B)の制限抵抗として、高抵抗の抵抗301A(301B)を用いるため、環境要因によって保護線100が絶縁劣化することにより、保護線100から電流がリークすることになる。このため、電車線路支持柱300A近傍で地絡が発生しても、保護線電圧リレー201A(201B)に対して閾値電圧を超える電圧が印加されなくなる。
また、電車線路支持柱300A(300B)近傍に雷撃(落雷)があると、ダイオード302A(302B)に対し、き電線150の電圧より非常に高い電圧が印加され、ダイオード302A(302B)が破壊されることになる。この結果、以降の保護線100による地絡の検出ができなくなってしまう。
阿部智、伊東利勝、伊藤二朗、伊藤健、"電圧検知式接地故障検出装置の開発"、平成6年電気学会産業応用部門全国大会
本発明は、このような事情を鑑みてなされたもので、隣接する電車線路支持柱近傍のき電線に対する雷撃による影響を受けず、雷撃による電圧に耐える直流電車線路の保護線用素子及び高抵抗地絡検出システムを提供する。
本発明の直流電車線路の保護線用素子は、直流電気鉄道の高抵抗地絡検出システムにおける保護線に対してき電線からの地絡電流を流す保護線用素子であり、第1のバリスタと、前記第1のバリスタと並列回路を構成するダイオードと、前記並列回路と直列に接続される第2のバリスタとを有し、前記ダイオードのアノード側の端子が前記き電線側に接続され、カソード側の端子が前記保護線に接続されることを特徴とする。
本発明の直流電車線路の保護線用素子は、前記第1のバリスタのバリスタ電圧が前記ダイオードの逆方向における耐圧より低いことを特徴とする。
本発明の直流電車線路の保護線用素子は、前記第2のバリスタのバリスタ電圧が前記き電線の最低電圧より低いことを特徴とする。
本発明の直流電車線路の保護線用素子は、前記第1のバリスタのバリスタ電圧と第2のバリスタのバリスタ電圧の和が電車線の最高電圧より高いことを特徴とする。
本発明の直流電車線路の保護線用素子は、前記並列回路において、前記ダイオードに対して抵抗が直列に介挿されていることを特徴とする。
本発明の高抵抗地絡検出システムは、き電線が碍子を介して接続された電車線支持柱に一端が接続され、他端が保護線に対して接続された保護線用素子と、一端が前記保護線の一端に接続され、他端がレールに接続された保護線用抵抗器と、前記保護線用抵抗器に対し、前記保護線の一端と前記レールとの間に並列に接続された保護線電圧リレーとを備え、前記保護線用素子が上記いずれか一つの直流電車線路の保護線用素子が用いられ、前記保護線用抵抗器の端子間電圧が、前記保護線電圧リレーに予め設定された電圧を超えた場合、前記保護線電圧リレーが、前記き電線と前記き電線に対してき電電圧を供給する整流器との間を遮断することを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、隣接する電車線路支持柱近傍のき電線に対する雷撃による影響を受けず、雷撃による電圧に耐える直流電車線路の保護線用素子及び高抵抗地絡検出システムを提供することができる。
本発明の一実施形態による直流電気鉄道の高抵抗地絡検出システムの構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施形態における保護線用素子305AのV−I特性のグラフを示す図である。 本発明の一実施形態における保護線用素子305Aの変形例を示す図である。 ダイオード305A_1の代わりに、複数のダイオードから構成されるダイオード群305A_5を用いた場合を示す図である。 従来の直流電気鉄道の高抵抗地絡検出システムの構成を示している。
以下、本発明の一実施形態による直流電気鉄道の高抵抗地絡検出システムを図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態による保護線用素子を用いた直流電気鉄道の高抵抗地絡検出システムの構成例を示すブロック図である。
電車線路の領域に含まれる高抵抗地絡検出システムの構成から説明する。
電車線路支持柱300A及び電柱線路支持柱300Bの各々は、鉄柱、鋼管柱あるいはビームである。電車線路支持柱300Aには、上部にロッド状の上部腕部材301Aが略水平に取り付けられている。この上部腕部材301Aには、碍子303Aを介して電車線(トロリー線)に電気を送るき電線150が取付けられている。電車線路支持柱300Aには、下部にロッド状の下部腕部材302Aが略水平に取り付けられている。この下部腕部材302Aには、碍子304Aを介して保護線100が取付けられている。
保護線用素子305Aは、下部腕部材302Aと保護線100との間に、碍子304Aと並列に設けられている。保護線用素子305Bは、下部腕部材302Bと保護線100との各々に電気的に接続して、機械的に十分な強度で取り付けることができる金具であれば、どのような形状の部材を用いても良い。例えば、碍子304BにS状ホーンを取り付けて、このS状ホーンのそれぞれの端子間に介挿させたり、あるいはねじで下部腕部材302Bと保護線100との各々に締結する構成でも良い。ここで、上部腕部材301A及び下部腕部材302Aの各々は、導電性を有する金属で構成されている。下部腕部材302Aは、電車線路支持柱300Aにおいて、上部腕部材301Aの下側に設けられている。また、電車線路支持柱300Aがコンクリート柱の場合、上部腕部材301A及び下部腕部材302Aの各々は、金属で構成される地絡導体500Aで電気的に接続されている。
保護線用素子305Aは、ダイオード305A_1、バリスタ305A_2及びバリスタ305A_3の各々から構成されている。バリスタ305A_2は、例えば、酸化亜鉛バリスタを用いている。ダイオード305A_1は例えばSi(シリコン)ダイオードである。ダイオード305A_1は、アノードが下部腕部材302Aに接続され、カソードがバリスタ305A_3の一方の端子に接続されている。すなわち、ダイオード305A_1の向きは、アノードが電車線路支持柱300A側であり、カソードが保護線100側である。また、バリスタ305A_2は、ダイオード305A_1と並列接続の回路を構成し、一方の端子が下部腕部材302Aに接続され、他方の端子がバリスタ305A_3の一方の端子に接続されている。バリスタ305A_3は、他方の端子が保護線100に接続されている。
同様に、電車線路支持柱300Bには、上部にロッド状の上部腕部材301Bが略水平に取り付けられている。この上部腕部材301Bには、碍子303Bを介して電車線に電気を送るき電線150が取付けられている。電車線路支持柱300Bには、下部にロッド状の下部腕部材302Bが略水平に取り付けられている。この下部腕部材302Bには、碍子304Bを介して保護線100が取付けられている。保護線用素子305Bは、下部腕部材302Bと保護線100との間に、碍子304Bと並列に設けられている。保護線用素子305Bは、下部腕部材302Bと保護線100との各々に電気的に接続して、機械的に十分な強度で取り付けることができる金具であれば、どのような形状の部材を用いても良い。例えば、碍子304BにS状ホーンを取り付けて、このS状ホーンのそれぞれの端子間に介挿させたり、あるいはねじで下部腕部材302Bと保護線100との各々に締結する構成でも良い。ここで、上部腕部材301B及び下部腕部材302Bの各々は、導電性を有する金属で構成されている。下部腕部材302B、電車線路支持柱300Bにおいて、上部腕部材301Bの下側に設けられている。また、電車線路支持柱300Bがコンクリート柱の場合、上部腕部材300B及び下部腕部材302Bの各々は、金属で構成される地絡導体500Bで電気的に接続されている。
保護線用素子305Bは、ダイオード305B_1、バリスタ305B_2及びバリスタ305B_3の各々から構成されている。バリスタ305B_2は、例えば、酸化亜鉛バリスタを用いている。ダイオード305B_1は、アノードが下部腕部材300Bに接続され、カソードがバリスタ305B_3の一方の端子に接続されている。すなわち、ダイオード305B_1の向きは、アノードが電車線路支持柱300B側であり、カソードが保護線100側である。また、バリスタ305B_2は、ダイオード305B_1と並列接続の回路を構成し、一方の端子が下部腕部材302Bに接続され、他方の端子がバリスタ305B_3の一方の端子に接続されている。バリスタ305B_3は、他方の端子が保護線100に接続されている。
次に、変電所の領域に含まれる高抵抗地絡検出システムの構成を説明する。
変電所Aの領域における高抵抗地絡検出システムの構成は、保護線用抵抗器200A、保護線電圧リレー201A、遮断器205A及び整流器206Aの各々を備えている。保護線用抵抗器200Aは、一端が保護線100の一端に接続され、他端がレール101Aに接続されている。保護線電圧リレー201Aは、保護線用抵抗器200Aと並列に設けられ、一端が保護線100の一端に接続され、他端がレール101Aに接続されている。遮断器205Aは、一端がき電線150の一端に接続され、他端が整流器206Aの出力端に接続されている。整流器206Aは、入力端がレール101Aに接続されている。すなわち、遮断器205A及び整流器206Aの直列回路が、き電線150の一端とレール101Aとの間に介挿されている。
変電所Bの領域における高抵抗地絡検出システムの構成は、保護線用抵抗器200B、保護線電圧リレー201B、遮断器205B及び整流器206Bの各々を備えている。保護線用抵抗器200Bは、一端が保護線100の他端に接続され、他端がレール101Bに接続されている。保護線電圧リレー201Bは、保護線用抵抗器200Bと並列に設けられ、一端が保護線100の他端に接続され、他端がレール101Bに接続されている。遮断器205Bは、一端がき電線150の他端に接続され、他端が整流器206Bの出力端に接続されている。整流器206Bは、入力端がレール101Bに接続されている。すなわち、遮断器205B及び整流器206Bの直列回路が、き電線150の他端とレール101Bとの間に介挿されている。
次に、本実施形態における保護線用素子305Aについて説明する。以下、き電線の直流電圧がDC1500Vとして説明を行う。
保護線用素子305Aについては、以下に示す特定を満足する必要がある。
電車線路支持柱300Aに地絡が発生した場合、保護線用素子305Aは、確実に放電(すなわち導通)して続流を通電できる必要がある。
また、電車線路支持柱300Bに地絡が発生した場合、地絡が発生していない電車線路支持柱300Aにおいて、保護線用素子305Aは、逆せん絡が発生しないようにし、発生したとしても保護線が直接に接地されない特性を有する必要がある。ここで、逆せん絡とは、電車線路支持柱300Aから見て、隣接する電車線路支持柱300Bが地絡を発生した場合を示している。
上述した理由により、保護線用素子305Aは、以下に示す条件を満足する構成でなくてはならないことが判る。
a.電車線路支持柱300Aを含むき電線150を支持する支持物に地絡があった場合、導通して保護線100に対し、き電線150の電圧(例えば、標準電圧DC1500Vの場合においては、電車線の最低電圧DC900Vから電車線の最高電圧DC1800Vまでの間))を伝達する。すなわち、直流電圧の電圧レベルの如何によって、導通状態及び絶縁状態が切り替わる特性を有する。
b.変電所Aのレール101Aの電位が変化する(例えば、通常列車運行時にDC±200Vmax程度)と、保護線100にも対地電位が生じるが、このとき導通しないことが望ましい。また、直流電圧が印加された状態でなんらかのサージが印加された状態でも続流を流さないことが望ましい。このため、保護線用素子305Aは、導通時にほぼ一定の電圧降下があるバリスタ(例えば酸化亜鉛バリスタ)の使用を基本とする必要がある。
c.保護線100の対地電位は、き電線150の電圧降下、故障点の空間のアーク電圧、地絡箇所の電車線路支持柱300Aの接地抵抗、レール101Aの特性抵抗の各々の按分で決定される。したがって、保護線100の対地電位は正または負のいずれの状態にもなり得る。保護線100の対地電位は、概して正であるが、レール101Aの特性抵抗を無限大と仮定すると、負の電位となる。このため、保護線用素子305Aは、印加される電圧の方向が下部腕部材302Aから保護線100の向きである場合、導通し易く、逆に保護線100から下部腕部材302Aの向きである場合、導通し難いことが望ましい。
すなわち、保護線用素子305Aは、V−I特性が非対称特性とする。バリスタを用いることにより、順方向にも相当量の電圧降下を持たせることができ、保護線100の対接地電位が若干負の場合にも容易に導通しないため、都合が良くなる。また、変電所A構内での地絡時には、レール101Aの電位が最も低下した場合に最悪−1500Vとなり、保護線用抵抗器200Aを介して保護線100の対地電圧も負になる。この場合、保護線用素子305Aに電流が流れることを許容する必要があるが、順方向にも相当量の電圧降下を持たせることができるため、保護線用素子305Aに流れる電流を低下させることができる。
d.保護線用素子305Aは、誘導雷(雷撃)程度では壊れないことが望ましい。しかしながら、直撃雷の場合においては、保護線用素子305Aの短絡モードでの焼損損傷を予め設定された漏洩電流値まで許容する。
上述したaからdまでの理由により、本実施形態における保護線用素子305Aは、図1に示すダイオード305A_1及びバリスタ305A_2の並列回路に対し、バリスタ305A_3が直列に接続された構成となる。
図2は、本発明の一実施形態における保護線用素子305AのV−I特性のグラフを示す図である。図2において、横軸が下部腕部材302Aから保護線100に対して印加される電圧を示し、縦軸が保護線用素子305Aに流れる電流を示している。図2に示すように、印加される電圧の方向が下部腕部材302Aから保護線100の向きである場合、電圧Vpで電流Iが保護線用素子305Aに流れ始める。一方、印加される電圧の方向が保護線100から下部腕部材302Aの向きである場合、電圧Vmで電流Iが保護線用素子305Aに流れ始める。ここで、電圧Vpは、バリスタ305A_3のバリスタ電圧(バリスタが動作する電圧)である。
一方、電圧Vmは、バリスタ305A_2のバリスタ電圧とバリスタ305A_3のバリスタ電圧との加算値である。バリスタ305A_2は、バリスタ305A_3よりバリスタ電圧の高いバリスタを用いる。これにより、誘導雷電流がダイオード305A_1の逆方向に通過する際、バリスタ305A_2がバイパスとなって誘導雷電流を流すため、ダイオード305A_1の損傷を防止する。したがって、バリスタ305A_2のバリスタ電圧は、ダイオード305A_1の逆方向耐圧より低く設定されている。また、ダイオード305_1と直列に接続されるバリスタ305A_3は、バリスタ電圧及び抵抗値が高すぎると続流が流れなくなるため、実験による測定により、続流が流れるバリスタ電圧、抵抗値及びダイオードの定格電流値が設定される。
一例として、本実施形態の場合、き電線150の標準電圧をDC1500Vとしているため、バリスタ305A_2は、バリスタ電圧が1800Vの酸化亜鉛バリスタを用いる。バリスタ305A_3は、バリスタ電圧が500Vの酸化亜鉛バリスタを用いる。ダイオード305A_1は、逆方向電圧の耐圧が少なくともバリスタ305A_2のバリスタ電圧より高いものを用いる。
これにより、図2において、電圧Vpはバリスタ305A_3のバリスタ電圧500Vとなり、Vmはバリスタ305A_3のバリスタ電圧500Vとバリスタ305A_2のバリスタ電圧1800Vを加算した2300Vとなる。
この結果、電車線路支持柱300Aが地絡した場合、保護線用素子305Aにおける下部腕部材302Aに接続された一端と、保護線用素子305Aにおける保護線100に接続された他端との電位差が500V以上となれば、下部腕部材302Aから保護線100に対して地絡による電流が流れる。
一方、電車線路支持柱300Aに隣接した電車線路支持柱300Bが地絡し、保護線用素子305Bを介して保護線100に地絡による電流が流れた場合、保護線用素子305Aにおける下部腕部材302Aに接続された一端と、保護線用素子305Aにおける保護線100に接続された他端との電位差が−2300V以下となるまで、保護線100から保護線用素子305Aを介して下部腕部材302Aに対して、地絡による電流が流れない。
また、保護線用素子305Bについては、上述した保護線用素子305Aと同様の構成のため、説明を省略する。
次に、図1を参照して、本実施形態の直流電気鉄道の保護線用素子を用いた高抵抗地絡検出システムの動作を説明する。以下、電車線路支持柱300Aに雷撃による地絡が発生したとして説明を行う。
電車線路支持柱300A近傍で地絡が発生すると、電車線路支持柱300A及び下部腕部材302Aを介して、き電線150の電圧が印加される。これにより、保護線用素子305Aを介して、すなわちダイオード305A_1及びバリスタ305A_3を介して、保護線100に対してき電線150の電圧からバリスタ305A_3の電圧降下分を差し引いた電圧が印加される。
これにより、保護線100から保護線用抵抗器200Aを介してレール101Aに電流が流れる。そして、保護線用抵抗器200Aの電圧降下により、保護線用抵抗器200Aの両端に、計測電圧が発生する。保護線電圧リレー201Aは、この発生した計測電圧が予め設定された閾値電圧を超えると、オン状態となる。そして、保護線電圧リレー201Aからオン状態となることにより、遮断器205Aに対して遮断信号が与えられる。すなわち、保護線電圧リレー201Aは、遮断器205Aに対して遮断信号を出力する。
遮断器205Aは、保護線電圧リレー201Aから遮断信号が供給されることにより、変電所の整流器206Aとき電線150との接続を遮断する。これにより、電車線路における設備における障害の発生を防止する。
このとき、保護線100の電位は、バリスタ305A_3の電圧降下分があるため、き電線150の電圧より低い電位となる。このため、隣接する電車線路支持柱300Bに配設されている保護線用素子305Bに対して電流が流れることを抑制する。すなわち、ダイオード305B_1に対しては逆方向であり、保護線100の電圧がき電線150の電圧より低く、かつ電圧バリスタ305B_2及びバリスタ305B_3の直列接続により、バリスタ電圧がき電線150の電圧より高いためである。
また、変電所Aにおいて地絡が発生し、レール101Aが負の高電圧となった場合、保護線用素子305Aから、保護線100及び保護線用抵抗器200Aを介して、レール101Aに対して地絡電流が流れる。すなわち、保護線用素子305Aにおけるダイオード305A_1及びバリスタ305A_3に地絡電流が流れる。
しかしながら、保護線用素子305Aにおける電流値は、保護線用抵抗器200A及び保護線用抵抗器200Bの抵抗値により制限される。この結果、ダイオード305A_1の地絡電流による劣化を低減することができる。上述した動作は、保護線用素子305Bについても、保護線用素子305Aと同様のため、説明を省略する。
上述したように、本実施形態は、ダイオード305A_1及びバリスタ305A_2の並列回路に対し、バリスタ305A_3が直列に接続された構成の保護線用素子305Aとしている。このため、本実施形態によれば、導通開始電圧が正と負とで非対称となり、負側がき電線の最高電圧よりも高い電圧であるため、隣接した他の電車線路支持柱の雷撃により導通して電流が流れることはない。一方、本実施形態によれば、雷撃により負側に高い電圧が印加された場合、ダイオード305A_1ではなく、バリスタ電圧がダイオード305A_1の逆方向電圧より低いバリスタ305A_2に地絡に対して直流電流が流れることで、ダイオード305A_1の地絡による直流電流による劣化を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、保護線用素子305Aを用いることにより、隣接した電車線路支持柱300Bが地絡し、保護線用素子305Bを介して保護線100に地絡による電流が流れ、保護線100の電位が上昇しても、バリスタ305A_2及びバリスタ305A_3の各々のバリスタ電圧を加算した電圧以上とならなければ、保護線用素子305Aに電流が流れることは無く、保護線100の電位が下降して、変電所Bにおいて地絡の検出ができなくなるという問題を防止することができる。
また、本実施形態によれば、保護線用素子305Aを用いることにより、変電所Aにおいて地絡が発生し、レール101Aの負の電位となり、保護線用素子305Aに地絡による直流電流が流れても、保護線用抵抗器200A及び保護線用抵抗器200Bの抵抗値があるため、ダイオード305A_1に流れる地絡電流が低減し、ダイオード305A_1及びバリスタ305A_2に流れる地絡直流電流が低減し、ダイオード305A_1及びバリスタ305A_2の劣化を低減することができる。上述した実施形態による効果は、保護線用素子305Bについても、保護線用素子305Aと同様のため、説明を省略する。
図3は、本発明の一実施形態における保護線用素子305Aの変形例を示す図である。図3において、保護線用素子305Aは、ダイオード305A_1及び抵抗305A_4の直列回路と、バリスタ305A_2とが並列回路を構成し、この並列回路に対してバリスタ305A_3が直列に接続されて構成されている。すなわち、すでに説明した保護線用素子305Aにおいて、ダイオード305A_1のアノードとバリスタ305A_3の一端との間に、新たに抵抗305A_4を介挿している。
抵抗305A_4を介挿することにより、ダイオード305A_1に対して、順方向インパルス電流が流れる場合、抵抗305A_4の電圧降下を追加することにより、バリスタ305A_2に対して電流を分担させることができる。この結果、ダイオード305A_1に流れる順方向インパルス電流を低減することができるため、ダイオード305A_1の電流容量を小さい値とすることができる。保護線用素子305Bについても、保護線用素子305Aと同様のため、説明を省略する。
図4は、ダイオード305A_1の代わりに、複数のダイオード(例えば、Siダイオード)から構成されるダイオード群305A_1nを用いた場合を示す図である。図4において、バリスタ305A_2およびバリスタ305A_3の各々のバリスタ電圧を上げた場合、バリスタ305A_2のバリスタ電圧より、ダイオード305A_1の逆方向耐圧の電圧値(VRRM、繰り返しピーク逆電圧)を上げる必要がある。ここで、ダイオード30(図1及び図3におけるダイオード5A_1)の逆方向耐圧の電圧値が単体では満たされない場合、必要な逆方向耐圧の電圧値となるように、複数の同様あるいは異なった逆方向耐圧の電圧値のダイオードを複数個直列に接続して、上述したダイオード群305A_1nを構成しても良い。また、ダイオード305A_1の電流容量が不足する場合、複数のダイオードを並列に接続する構成としても良い。保護線用素子305Bについても、保護線用素子305Aと同様のため、説明を省略する。
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
100…保護線
101A,101B…レール
150…き電線
200A,200B…保護線用抵抗器
201A,201B…保護線電圧リレー
205A,205B…遮断器
206A,206B…整流器
300A,300B…電車線路支持柱
301A,301B…上部腕部材
302A,302B…下部腕部材
303A,303B,304A,304B…碍子
305A,305B…保護線用素子
305A_1,305B_1…ダイオード
305A_2,305B_2,305A_3,305B_3…バリスタ
305A_4…抵抗
305A_1n…ダイオード群

Claims (6)

  1. 直流電気鉄道の高抵抗地絡検出システムにおける保護線に対してき電線からの地絡電流を流す直流電車線路の保護線用素子であり、
    第1のバリスタと、
    前記第1のバリスタと並列回路を構成するダイオードと、
    前記並列回路と直列に接続される第2のバリスタと
    を有し、
    前記ダイオードのアノード側の端子が前記き電線側に接続され、カソード側の端子が前記保護線に接続される
    ことを特徴とする直流電車線路の保護線用素子。
  2. 前記第1のバリスタのバリスタ電圧が前記ダイオードの逆方向における耐圧より低い
    ことを特徴とする請求項1に記載の直流電車線路の保護線用素子。
  3. 前記第2のバリスタのバリスタ電圧が前記き電線の最低電圧より低い
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の直流電車線路の保護線用素子。
  4. 前記第1のバリスタのバリスタ電圧と第2のバリスタのバリスタ電圧の和が電車線の最高電圧より高い
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の直流電車線路の保護線用素子。
  5. 前記並列回路において、前記ダイオードに対して抵抗が直列に介挿されている
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の直流電車線路の保護線用素子。
  6. き電線が碍子を介して接続された電車線支持柱に一端が接続され、他端が保護線に対して接続された保護線用素子と、
    一端が前記保護線の一端に接続され、他端がレールに接続された保護線用抵抗器と、
    前記保護線用抵抗器に対し、前記保護線の一端と前記レールとの間に並列に接続された保護線電圧リレーと
    を備え、
    前記保護線用素子が請求項1から請求項5のいずれか一項の直流電車線路の保護線用素子が用いられ、
    前記保護線用抵抗器の端子間電圧が、前記保護線電圧リレーに予め設定された電圧を超えた場合、前記保護線電圧リレーが、前記き電線と前記き電線に対してき電電圧を供給する整流器との間を遮断する
    ことを特徴とする高抵抗地絡検出システム。
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