JP7097728B2 - 電車線路の異常電圧防護装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電車線路の給電回路(即ち、「き電回路」)の地絡事故から、電車線路に設けられた設備機器等を防護(保護)するための電車線路の異常電圧防護装置に関するものである。
電車線路とは、列車に電力を供給するための架線等の設備をいう。この電車線路では、地絡事故が発生することがある。地絡事故とは、トロリ線等の電車線又はき電線に流れているき電電流が何かしらの原因で大地へ流出してしまう事故のことである。
図6は、交流電車線路における地絡のイメージを示す図である。
大地1上には、レール2が敷設されている。レール2の近傍には、変電所から供給される矢印方向のき電電流iを受電するための構造物(例えば、支持柱)3が立設されている。支持柱3には、き電電流iを流す電車線(例えば、トロリ線)4及びき電線と、短絡故障電流を流すための保護線5と、が懸架されている。支持柱3には、碍子6,7を介して下部腕部材8,9が取り付けられている。下部腕部材8,9には、吊架部材10を介して、トロリ線4が懸架されている。トロリ線4の上方には、上部腕部材11が支持柱3に取り付けられている。上部腕部材11には、碍子12を介して、保護線5が懸架されている。
トロリ線4は、碍子6,7によって、支持柱3との絶縁が確保されている。そのため、通常、トロリ線4から、き電電流iが大地1へ流出することは無い。しかし、台風による碍子6,7の急速汚損、あるいは、鳥や飛来物の接触等により、例えば、碍子7箇所において碍子せん絡(絶縁破壊)7aが発生し、矢印で示すように、支持柱3を通じて、き電電流iが大地1へ流出してしまうことがある。
これを防止するために、放電間隙方式(S状ホーン方式)と呼ばれる地絡保護方式が知られている。
図7は、S状ホーン方式による地絡保護のイメージを示す図である。
部分Xに示すように、保護線5を懸架する碍子12には、S状の一対のアークホーン(これを以下「S状ホーン」という。)13,14が設けられている。S状ホーン13,14の一端は、碍子12の上下端部に取り付けられ、その他端のホーン間15に、空気放電ギャップ(以下単に「放電ギャップ」という。)15aが設けられている。碍子せん絡7aが発生すると、放電ギャップ端子間電圧が上昇して放電することにより、矢印で示すように、支持柱3に取り付けられた地絡導体3aを通して、き電電流iである地絡電流iaが流れる。地絡電流iaの大半が保護線5へ流れ、地絡故障はき電回路短絡故障へ移行する。これにより、大地1への地絡電流iaの流出が抑制される。
ところが、支持柱3の種類(例えば、コンクリート柱3A、鋼管柱3B)によって、以下のような問題点がある。
図8Aは、支持柱3がコンクリート柱3Aの場合の問題点を示す図である。
S状ホーン方式では、碍子せん絡7aが発生してからS状ホーン13,14が放電を開始するまでの間、一瞬ではあるが、コンクリート柱3Aにも、S状ホーン13,14の放電開始電圧Vb並みの高電圧(例えば、ホーン間15が4.5mmで、AC11.6kV程度)が印加されることになる。しかし、一般的に、コンクリート柱3Aの絶縁耐圧Vaは、S状ホーン13,14の放電開始電圧Vbよりも低いため(例えば、AC5kV程度)、前記の印加電圧(≒Vb)に耐えられず、電柱バンドとコンクリート柱3A内の鉄筋との間の箇所16で、絶縁破壊が生じ、コンクリート柱3Aが破損し、地絡電流iaが大地1へ流れ出してしまうことがある。
図8Bは、支持柱3が接地抵抗R1の低い鋼管柱3Bの場合の問題点を示す図である。
鋼管柱3Bは、接地抵抗R1が低いため、矢印で示すように、地絡時に、地絡電流iaがその鋼管柱3Bを通して大地1へ流れてしまう。そのため、S状ホーン13,14のホーン間15の電圧が放電開始電圧Vbに至らず、動作しないことがある。
このような図8A及び図8Bの問題点を解決する技術として、例えば、特許文献1に記載された異常電圧防護装置が知られている。
図9(a)、(b)は、従来の異常電圧防護装置20を示す構成図であり、同図(a)は異常電圧防護装置20の使用状態を示す図、及び、同図(b)は異常電圧防護装置20の回路図である。
この異常電圧防護装置20は、S状ホーン13,14の放電開始電圧Vbを低減させることを目的として使用されるものであり、例えば、2本のS状ホーン補助ギャップ(以下単に「補助ギャップ」という。)21-1,21-2により構成されている。2本の補助ギャップ21-1,21-2は、同一の構成であり、それぞれ、放電管であるアレスタ22と、酸化亜鉛素子からなるバリスタ23と、の直列回路により構成されている。各補助ギャップ21-1,21-2の両端には、取付金具24,25が装着され、この取付金具24,25により、S状ホーン13,14のホーン間15に取り付けて使用される。
各補助ギャップ21-1,21-2を構成しているアレスタ22は、放電開始電圧VcがS状ホーン13,14の放電開始電圧Vbよりも低いもので構成されており(例えば、Vc=AC3kV)、以下のように動作することで、S状ホーン13,14の放電開始電圧Vbを低減させている。
図10(1)~(4)は、碍子せん絡発生時における図9の補助ギャップ21-1,21-2の動作イメージを示す図である。
図10(1)~(4)を参照しつつ、補助ギャップ21-1,21-2の動作を説明する。
先ず、図10(1)において、碍子せん絡7aが発生すると、補助ギャップ21-1又は21-2が放電し、矢印で示すように地絡電流iaが流れ、この地絡電流iaの大きさに耐えられず、バリスタ23又はアレスタ22が、箇所26aで破損する。図10(2)において、破損箇所26aからアーク26bが発生する。図10(3)において、図10(2)で発生したアーク26bがトリガーとなって、S状ホーン13,14の箇所26cにアーク26bが移行し、S状ホーン13,14のホーン間15が放電する。この時、補助ギャップ21-1又は21-2の箇所26dでは、補助ギャップ電流が消滅している。その後、図10(4)において、図10(3)で移行したアーク26bが箇所26eへ伸長し、そのアーク26bがS状ホーン13,14へ完全に移行する。
このように、補助ギャップ21-1,21-2により、S状ホーン13,14の放電開始電圧Vbが下がり、コンクリート柱3Aの絶縁破壊や、鋼管柱3Bの使用時のS状ホーン13,14の不動作が防止される。
許第4116912号公報
しかしながら、従来の特許文献1の異常電圧防護装置20では、以下の(i)、(ii)のような課題がある。
(i) 新幹線に適用する場合の課題
交流在来線(AC22kVき電)と新幹線(AC30kVき電)とでは、地絡事故時にS状ホーン13,14に流れる地絡電流iaの大きさに差がある。地絡電流iaは、例えば、交流在来線の場合は3kA程度であるのに対し、新幹線では10kA程度と在来線の3倍以上になる。そのため、補助ギャップ21-1,21-2を新幹線に適用した場合には、放電時の衝撃によるバリスタ23の脱落や、アレスタ22の破片の飛散等が懸念され、沿線火災等の恐れがある。
(ii) 複数動作に対する限界の課題
トロリ線4へき電電流iを供給する変電所では、地絡故障が発生した際、それを検知して遮断器を開放し、き電電流iの供給をストップさせる機能が備わっている。その際、S状ホーン13,14の放電も止まる。
通常、地絡故障は、鳥や飛来物による一過性の現象が多いため、例えば、変電所内の遮断器の開放から500ms後には、遮断器が自動再閉路し、き電電流iの供給を再開する。しかし、状況によっては地絡故障が継続している場合があり、その際には補助ギャップ21-1,21-2も再度放電を開始する。
そのため、補助ギャップ21-1,21-2は、複数回の放電に対応できる必要があるが、従来のS状ホーンギャップでは、補助ギャップ21-1,21-2の数が2個のため、3回以上の放電への対応が困難である。これまでは、補助ギャップ21-1,21-2を複数個取り付けることで対応していたが、現状、3個以上の取り付けは、取付スペース等の制約から困難であり、手間もかかる。
本発明における地絡事故保護用の電車線路の異常電圧防護装置は、支持柱と保護線との間に吊架される碍子の一端部及び他端部にそれぞれ取り付けられた放電用の一対のアークホーンの近傍に配置され、前記一対のアークホーン間に接続される放電用の補助ギャップ回路を備えている。
前記補助ギャップ回路は、複数の放電素子発弧線がそれぞれ直列に接続され、前記一対のアークホーンの放電開始電圧よりも低い放電開始電圧をそれぞれ有する、並列接続された複数の放電回路と、前記複数の放電回路に対して並列に接続され、前記一対のアークホーンの放電開始電圧よりも低く、且つ、前記複数の放電回路の放電開始電圧よりも高い放電開始電圧を有する放電用のバックアップギャップと、を備えている。そして、前記放電回路内の前記複数の放電素子は、絶縁性ケース内に収納され、前記放電回路内の前記発弧線は、前記絶縁性ケース外であって前記一対のアークホーンの直下にそれぞれ配置され、前記バックアップギャップは、前記絶縁性ケース外であって前記一対のアークホーンの直下に配置され、前記各発弧線は、第1絶縁性チューブ内にそれぞれ挿入され、前記バックアップギャップは、第2絶縁性チューブ内に挿入されている。
本発明における電車線路の異常電圧防護装置によれば、以下の(a)~(e)のような効果がある。
(a) 本発明の異常電圧防護装置は、発弧線の溶断・焼失箇所、又は、バックアップギャップに発生するアークをアークホーンへ移行させる方式であり、放電素子は破損しないため、その放電素子の脱落や破片の飛散等の懸念が無く、沿線火災等の恐れを防止できる。
(b) 前記(a)により、新幹線のような大電流が流れる電車線路においても、本発明の異常電圧防護装置を使用することで、アークホーンの放電開始電圧を低減させ、コンクリート柱の絶縁破壊や、鋼管柱の使用時のアークホーンの不動作を防止できる。
(c) 本発明の異常電圧防護装置では、複数の放電回路内の複数本の発弧線と、バックアップギャップと、によって1個の異常電圧防護装置で、複数回の放電に対応できる。
(d) 複数の放電素子は、絶縁性ケース内に収納されているので、これらの放電素子の汚損による劣化を防止できると共に、損傷時の落下等を防止できる。各発弧線は、第1絶縁性チューブ内にそれぞれ挿入されているので、外からの汚染等を防止できる。更に、バックアップギャップは、第2絶縁性チューブ内に挿入されているので、発弧線でのアーク発生による不要放電を防止できる。
(e) 前記(a)~(d)により、電車線路における地絡事故保護機能の更なる向上が期待できる。
本発明の実施例1の異常電圧防護装置30を示す構成図 図1(a)の正面図 図1(a)中の異常電圧防護装置30の外観の拡大斜視図 図3Aを上方から見た斜視図 図3Aを上方から見た平面図 図1の碍子せん絡発生時の通常時(発弧線焼失前)の動作イメージを示す図 図1の碍子せん絡発生時の発弧線焼失後の動作イメージを示す図 交流電車線路における地絡のイメージを示す図 S状ホーン方式による地絡保護のイメージを示す図 支持柱3がコンクリート柱3Aの場合の問題点を示す図 支持柱3が接地抵抗R1の低い鋼管柱3Bの場合の問題点を示す図 従来の異常電圧防護装置20を示す構成図 図9の補助ギャップ21-1,21-2の動作イメージを示す図
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1の構成)
図1(a)、(b)は、本発明の実施例1における電車線路の異常電圧防護装置30を示す構成図であり、同図(a)は、放電用の一対のアークホーン13,14に取り付けられた異常電圧防護装置30の外観の斜視図、及び、同図(b)は異常電圧防護装置30の回路図である。図2は、図1(a)の正面図である。図3Aは、図1(a)中の異常電圧防護装置30の外観の拡大斜視図である。図3Bは、図3Aを上方から見た斜視図である。更に、図3Cは、図3Aを上方から見た平面図である。
これらの図1~図3Cにおいて、従来の図6~図8B中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例1の異常電圧防護装置30は、従来の図9と同様に、碍子12の一端部(例えば、上部)及び他端部(例えば、下部)にそれぞれ取り付けられた放電用の一対のアークホーン(例えば、S状ホーン)13,14に取り付けられる。碍子12は、支持柱3に取り付けられた上部腕部材11と保護線5との間に吊架されている。一対のS状ホーン13,14のホーン間15には、放電ギャップ15aが形成されている。放電ギャップ15aの下方の近傍には、異常電圧防護装置30が取り付けられている。
異常電圧防護装置30の主たる構成部品は、樹脂等の絶縁性のケース31内に収納されている。ケース31は、例えば、中空の略箱形をなし、この箱形の上部の対向する箇所に、一対の補助ギャップ端子32,33が設けられている。一対の補助ギャップ端子32,33には、それぞれボルト及びナット等によって取付金具34,35が回動自在に接続されている。取付金具34,35は、ステンレスバンド等により環状に形成されている。一方の取付金具34は、S状ホーン13の外周に着脱自在に装着され、他方の取付金具35も、S状ホーン14の外周に着脱自在に装着される。
一対の補助ギャップ端子32,33間には、放電用の補助ギャップ回路36が接続されている。補助ギャップ回路36は、複数(例えば、2個)の放電回路40-1,40-2と放電用のバックアップギャップ45とを有し、それらの放電回路40-1、放電回路40-2及びバックアップギャップ45が並列に接続されている。各放電回路40-1,40-2は、同一の構成であり、複数の放電素子(例えば、放電管であるアレスタ41と酸化亜鉛素子からなるバリスタ42)と、発弧線43と、を有し、そのアレスタ41、発弧線43、及びバリスタ42が直列に接続されている。
各放電回路40-1,40-2は、一対のS状ホーン13,14の放電開始電圧Vb(例えば、AC11.6kV程度)よりも低い放電開始電圧Vc(<Vb)を有している。発弧線43は、例えば、インパルス電流8kA~10kA程度で溶断する金属材料で形成されている。バックアップギャップ45の放電間隙は、一対のS状ホーン13,14の放電開始電圧Vbよりも低く、且つ、各放電回路40-1,40-2の放電開始電圧Vcよりも若干高くなるような放電開始電圧Vd(>Vc、例えば、AC5kV程度)に設定されている。
各放電回路40-1,40-2内のアレスタ41及びバリスタ42は、ケース31内に収納されている。これに対して、各放電回路40-1,40-2内の発弧線43は、ケース31外であって一対のS状ホーン13,14の直下にそれぞれ配置されている。各発弧線43は、外からの汚染等を防止するために、軟質樹脂等の第1絶縁性チューブ43aに挿入されている、つまり、第1絶縁性チューブ43aによって被覆されることが望ましい。更に、バックアップギャップ45は、ケース31外であって一対のS状ホーン13,14の直下に配置されている。バックアップギャップ45は、発弧線43でのアーク発生による不要放電を防止するために、軟質樹脂等の第2絶縁性チューブ45aに挿入されている、つまり、第2絶縁性チューブ45aによって被覆されることが望ましい。
(実施例1の動作)
図4(1)~(4)は、図1の異常電圧防護装置30における碍子せん絡発生時の通常時(発弧線焼失前)の動作イメージを示す図である。
図4(1)~(4)を参照しつつ、異常電圧防護装置30の通常時(発弧線焼失前)の動作を説明する。
先ず、図4(1)において、地絡の発生によって図7中の碍子7に碍子せん絡7aが発生すると、構成部品の放電開始電圧のばらつきのために、いずれか一方の放電回路(例えば、40-1)内のアレスタ41とバリスタ42が放電する。すると、矢印で示すように、地絡電流iaが、S状ホーン13→取付金具34→補助ギャップ端子32→放電回路40-1内のアレスタ41→発弧線43→バリスタ42→補助ギャップ端子33→取付金具35→S状ホーン14、の経路で流れる。地絡電流iaが発弧線43に流れると、この発弧線43の箇所50aが地絡電流iaの大きさに耐えられず、溶断する。
図4(2)において、発弧線43の焼失箇所50bでアーク50cが発生する。バックアップギャップ45は、絶縁性チューブ45aによって被覆されているので、発生したアーク50cのバックアップギャップ45への移行が的確に防止される。なお、発弧線43とバックアップギャップ45との間隔を広げることにより、バックアップギャップ45を絶縁性チューブ45aで被覆しなくても、発生したアーク50cのバックアップギャップ45への移行を防止できる。
図4(3)において、図4(2)で発生したアーク50cがトリガーとなり、S状ホーン13,14の箇所50dへアーク50cが移行し、放電回路40-1内の電流が消滅する。アーク50cがS状ホーン13,14の箇所50dへ移行すると、このS状ホーン13,14のホーン間15の放電ギャップ15aが放電する。
その後、図4(4)において、図4(3)で移行したアーク50cが、ホーン先端の箇所50eへ伸長し、そのアーク50cがS状ホーン13,14へ完全に移行する。これにより、放電回路40-1内のアレスタ41及びバリスタ42は、損傷しない。
図5(1)~(4)は、図1の異常電圧防護装置30における碍子せん絡発生時の発弧線焼失後の動作イメージを示す図である。
図5(1)~(4)を参照しつつ、異常電圧防護装置30における発弧線焼失後の動作を説明する。
先ず、図5(1)において、放電回路40-1内の発弧線43が消失しているので、バックアップギャップ45が放電し、矢印で示すように、S状ホーン13→取付金具34→補助ギャップ端子32→バックアップギャップ45→補助ギャップ端子33→取付金具35→S状ホーン14、の経路で、地絡電流iaがバックアップギャップ45に流れる。
図5(2)において、バックアップギャップ45のギャップ間でアーク50fが発生する。
図5(3)において、図5(2)で発生したアーク50fがトリガーとなり、S状ホーン13,14の箇所50gへアーク50fが移行する。これにより、S状ホーン13,14におけるホーン間15の放電ギャップ15aが放電する。
その後、図5(4)において、図5(3)で移行したアーク50fが、ホーン先端の箇所50hへ伸長し、そのアーク50fがS状ホーン13,14へ完全に移行する。
なお、バックアップギャップ45の放電開始電圧Vdは、アレスタ41又はバリスタ42の放電開始電圧Vcよりも若干高い値に設定されている。そのため、1回目の放電時には、構成部品の放電開始電圧のばらつきによって、例えば、一方の放電回路40-1が図4の通り動作し、2回目の放電時には、他方の放電回路40-2が図4と同様に動作する。そして、放電回路40-1,40-2内の2本の発弧線43が焼失した後の3回目以降の放電時には、図5の通り動作する。
(実施例1の効果)
本実施例1の異常電圧防護装置30によれば、以下の(a)~(e)のような効果がある。
(a) 従来の図9の異常電圧防護装置20は、アレスタ22及びバリスタ23の破損箇所に発生するアークをS状ホーン13,14へ移行させる方式である。これに対して、本実施例1の異常電圧防護装置30では、各放電回路40-1,40-2内の発弧線43の溶断・焼失箇所、又は、バックアップギャップ45に発生するアークをS状ホーン13,14へ移行させる方式であり、アレスタ41及びバリスタ42は破損しないため、バリスタ42の脱落やアレスタ41の破片の飛散等の懸念が無く、沿線火災等の恐れを防止できる。
(b) 前記(a)により、新幹線のような大電流が流れる電車線路においても、本実施例1の異常電圧防護装置30を使用することで、S状ホーン13,14の放電開始電圧Vbを低減させ、コンクリート柱3Aの絶縁破壊や、鋼管柱3Bの使用時のS状ホーン13,14の不動作を防止できる。
(c) 従来の図9の異常電圧防護装置20では、S状ホーン補助ギャップ21-1,21-2の各1個につき、1回の放電までしか対応できない。これに対して、本実施例1の異常電圧防護装置30では、放電回路40-1,40-2内の2本の発弧線43と、バックアップギャップ45と、によって1個の異常電圧防護装置30で、複数回(3回以上)の放電に対応できる。
(d) 2個のアレスタ41及び2個のバリスタ42は、ケース31内に収納されているため、これらのアレスタ41及びバリスタ42の汚損による劣化を防止できると共に、損傷時の落下等を防止できる。各発弧線43は、第1絶縁性チューブ43a内にそれぞれ挿入されているので、外からの汚染等を防止できる。更に、バックアップギャップ45は、第2絶縁性チューブ45a内に挿入されているので、発弧線43でのアーク発生による不要放電を防止できる。
(e) 前記(a)~(d)により、電車線路における地絡事故保護機能の更なる向上が期待できる。
(変形例)
本発明は、上記実施例1に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、以下の(A)、(B)のようなものがある。
(A) 図1(a)のS状ホーン13,14は、図示以外の形状及び構造に変更できる。
(B) 図1(b)の異常電圧防護装置30において、ケース31内の部品収納スペースに余裕があれば、放電回路40-1,40-2を3個以上設けても良い。これにより、多数回の地絡事故に対応できる。ケース31や取付金具34,35は、図示以外の形状及び構造に変更できる。更に、避雷回路40-1,40-2は、他の放電素子を追加する等して、図示以外の回路構成に変更しても良い。
2 レール
3 支持柱
4 トロリ線
5 保護線
6,7,12 碍子
13,14 S状ホーン
30 異常電圧防護装置
31 ケース
36 補助ギャップ回路
40-1,40-2 放電回路
41 アレスタ
42 バリスタ
43 発弧線
43a 第1絶縁性チューブ
45 バックアップギャップ
45a 第2絶縁性チューブ

Claims (4)

  1. 支持柱と保護線との間に吊架される碍子の一端部及び他端部にそれぞれ取り付けられた放電用の一対のアークホーンの近傍に配置され、前記一対のアークホーン間に接続される放電用の補助ギャップ回路を備えた地絡事故保護用の電車線路の異常電圧防護装置において、
    前記補助ギャップ回路は、
    複数の放電素子発弧線がそれぞれ直列に接続され、前記一対のアークホーンの放電開始電圧よりも低い放電開始電圧をそれぞれ有する、並列接続された複数の放電回路と、
    前記複数の放電回路に対して並列に接続され、前記一対のアークホーンの放電開始電圧よりも低く、且つ、前記複数の放電回路の放電開始電圧よりも高い放電開始電圧を有する放電用のバックアップギャップと、
    を備え、
    前記放電回路内の前記複数の放電素子は、絶縁性ケース内に収納され、
    前記放電回路内の前記発弧線は、前記絶縁性ケース外であって前記一対のアークホーンの直下にそれぞれ配置され
    前記バックアップギャップは、前記絶縁性ケース外であって前記一対のアークホーンの直下に配置され、
    前記各発弧線は、第1絶縁性チューブ内にそれぞれ挿入され、
    前記バックアップギャップは、第2絶縁性チューブ内に挿入されている、
    ことを特徴とする電車線路の異常電圧防護装置。
  2. 前記複数の放電回路は、2つの放電回路である、
    ことを特徴とする請求項1記載の電車線路の異常電圧防護装置。
  3. 前記複数の放電素子は、アレスタ及びバリスタであり、
    前記アレスタ、前記発弧線及び前記バリスタは、前記一対のアークホーン間に直列に接続されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の電車線路の異常電圧防護装置。
  4. 前記一対のアークホーンは、対向する2つのS字状のアークホーンを有し、
    前記2つのS字状のアークホーン間には、空気放電ギャップが形成されている、
    ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の電車線路の異常電圧防護装置。
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