JP4681320B2 - 故障検出システム,方法,プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents
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しかし、これらの保護方式は、故障点抵抗が0Ωに近い回路の短絡故障を前提としたものであり、故障点抵抗が高く故障電流が小さい地絡事故には、実際に地絡が起こったか否かを有効に判定することができず、かつ、この小さな故障電流から故障点を標定することは不可能である。
また、電柱としてコンクリート柱が最も一般的であり、このコンクリート柱の接地抵抗値は、高々300Ω〜1kΩ程度であり、近年使用されるようになってきた鋼管柱の接地抵抗値は50Ω〜200Ω程度である。
したがって、電流検知方式である既存の保護システムで地絡故障を検出することは不可能と言える。
この場合、コンクリート柱は、電柱バンドと鉄筋との間に対し、1500Vが加圧されることになり、コンクリートが加熱されて、破壊に至ることがある。
しかしながら、特許文献1の保護システムにあっては、保護線の抵抗及び地絡したときの電柱及びトロリ線間の抵抗などのバラツキにより、実際に地絡電流が流れた抵抗の配置してある場所が精度良く判定できないという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、地絡故障が起きた故障点を高い精度で検出することが可能な故障点標定システム,方法,プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
このため、本発明によれば、保護線の両端で測定するサージ電圧のパルスの検出時刻を、常に時刻同期が取られた状態にて、検出することが可能である。
この図において、直流き電方式は、図におけるき電用変電所(または電鉄用変電所,直流変電所とも言う)K1及びK2が、送電系統より受電する三相交流特別高圧電圧を整流器用の変圧器100により適切な電圧(直流1500Vの場合は、三相交流1200V)に降圧し、シリコン整流器,サイリスタ整流器等の整流器101により直流に整流し、き電線1を介して、架空電車線または剛体電車線やサイドレール(図1で言うトロリ線2)を介して電気車Dへ電力を供給し、き電用変電所に対する電流帰路として、走行レール(図1で言うレール3)が利用される方式である。
ここで、電気車Dの駆動に必要な電力は、1電動車あたり1500V/500A程度であるため、一編成としては1500V/何千アンペアとなり、トロリ線2のみでは電流容量が不足し、電圧降下が大きくなるため、電流容量の大きなき電線1とトロリ線2とを、250m〜500m毎に分岐線を介して接続している。
また、高速度遮断機102は、き電変電所において地絡故障が発生したことが確認されると、後に述べる故障点標定システムにより切断状態とされ、その部分のき電線1をき電用変電所から切り離す。
すなわち、き電線1は、き電用変電所の整流器101と、高速度遮断機102を介して接続されている。
ここで、き電線1及びトロリ線2とは図1に示すように並列して、レール3に沿って施設されているが、図を簡単にするため、き電線1を省略している。
DC電源V部分で、図示しないき電線1から分岐線を介して、DC電圧(例えば1500V)が、トロリ線2に電力が供給されている。
この保護対象区間を、トロリ線2及びレール3の施設方向に沿った複数個の箇所において、それぞれ絶縁してレール3沿いの予定の高さで支持するための部材を含む構造物に配設されている。
コンクリート柱の場合には接地抵抗が300Ω〜1kΩ程度であり、鋼管柱の場合には接地抵抗が50Ω〜200Ω程度である。
また、絶縁して高さを支持する部材としては、がいしなどの絶縁体が用いられ、各き電線,保護線2各々と上記電柱(電柱A,C,D)とを電気的に絶縁状態として配設している。
すなわち、保護線4は、保護対象区間において、がいし7(例えば懸垂180mmがいし)を介して、所定の高さに電柱に支持されている。
図2に示すように、このがいし7の両端各々にS状ホーン6を設け、このS状ホーン6の間に、所定の放電電圧(例えば、300V)を有する放電素子として放電管5を設ける。
ここで、放電素子として放電管5を用いて説明したが、所定の電圧により放電する素子であれば、ツェナーダイオード等も用いることができる。
同様に、放電素子をがいし7間に接続するために、S状ホーン6を用いて説明したが、導電性で十分電流容量がある部材を用いても良い。
この抵抗R1は、地絡故障を確実に検出するために、地絡故障時に放電素子における放電を安定した状態で保つために設けられている。
例えば、検出対象のトロリ線2に1500VのDC電圧が供給されているとすると、抵抗値を200Ω程度にすることにより、地絡故障時に7〜8A程度の安定的な放電電流を得ることができる。また、保護線4を抵抗R1を介してレール3に接続するため、フローティング状態となることを防止し、保護線4に併設されるトロリ線2からの誘導電圧を抑止することも期待できる。
直流電圧検出部8各々は、抵抗R2及び抵抗R3各々の抵抗値により、保護線R4の電圧が抵抗分割された電圧値を測定し、この測定した電圧値を出力する。
また、保護線4と接地点(接地電位、すなわちグランド)との間には、抵抗R4及び抵抗R5が直列接続されて介挿されており、抵抗R4及び抵抗R5の接続部と接地点との間にサージ電圧検出部9が、上記き電用変電所K1,K2各々において設けられている。
直流電圧検出部8は、直流き電回路における保護線4の電位がレール3の電位に対して、どの程度上昇したかを判定するための電圧を測定するために用いられるため、抵抗R2及び抵抗R3を、保護線2とレール3との間に配設する必要がある。
また、保護線4に流れる電流を金属回路で電源にもどすことにより放電管の放電を安定させる効果がある。
一方、サージ電圧検出部9は、純粋に、接地点からのサージ電圧を測定するため、抵抗R4及び抵抗R5を保護線2と接地点との間に配設する必要がある。
き電用変電所K1,K2及び情報センタGは、各々伝送路(公衆回線網,専用回線網,インターネット,無線などの情報通信網)により接続されている。
この図3においては、き電用変電所K1及びK2の変圧器100,整流器101及び高速度遮断器102が省略されており、トロリ線2の終端接続部S1及びS2において、終端接続部S1がき電用変電所K1の高速度遮断器102に接続され、終端接続部S2がき電用変電所K2の高速度遮断器102に接続されている。
また、情報センタGには、故障点標定システムの構成として故障点算出部14及び出力部15が設けられている。
この故障点算出部14及び出力部15は、情報センタGに設けずに、き電用変電所K1及びK2それぞれに設けられるようにしてもよい。
制御部13は、タイムコード信号を受信すると、サージ電圧伝搬時間検出部12内に設けられたタイマ(時計)の時刻を、このタイムコード信号の入力される周期で校正する。
これにより、き電用変電所K1及びK2の制御部13の時計は、常に同期が取れた状態とすることができる。
抵抗R1によって、放電管5の放電が維持されるため、直流電圧を検出することができる。
サージ電圧伝搬時間検出部12は、サージ電圧検出部9から入力される電圧が、設定された電圧値を超えたことを検出すると、この検出した時刻、すなわちサージパルスが入力された検出時刻を制御部13へ通知する。
また、制御部13は、自身及び地絡故障のあったトロリ線2の識別番号と、地絡故障が起こったことを示す制御信号と、上記検出時刻のデータとを含む地絡データを情報センタGの故障点算出部14へ出力する。
故障点算出部14は、上記地絡データを入力すると、トロリ線2及び制御部13(き電用変電所)の識別番号とにより、検出時刻のデータと検出したき電用変電所との対応を検出し、サージ電圧伝搬時間検出部12各々のサージパルスを検出した検出時刻の差から、地絡故障の起こった位置を算出することで、故障点の標定を行う。
出力部15は表示装置や印刷装置などであり、故障点算出部14から入力される地絡故障の故障点の位置を表示する。
以下の説明は、例えば、図2において、トロリ線2と電柱Aとの間に導電性の異物が接触することで電気的に接続された状態になり、地絡故障を起こしたとして説明する。
このため、地絡故障が発生すると電柱Aの上部(保護線4がガイシ7を介して電柱Aに支持されている近傍)の対地電圧は1500V程度まで上昇すると考えられる。
この結果、電柱Aと保護線4との間に設けられた放電管5は、例えば300Vを放電電圧とると、両端にほぼ1500Vの電圧差が生じるため、放電を開始する。
これにより、保護線4は、放電電圧が印加されることにより、1500V程度に充電される。
次に、き電用変電所K1,K2各々の直流電圧検出部8は保護線4の電圧を抵抗分圧により、測定可能な電圧値にとするために所定の比率によって分圧を行うので、入力される電圧を分圧し、この電圧を直流電圧検出部8へ出力する。
ここで、直流電圧検出部8は、入力される電圧を測定し、測定された電圧値を地絡判定部11へ出力する。
そして、各直流電圧検出部8は、入力される電圧値が設定された電圧値を超える場合、地絡故障と判定して、制御部13へ通知する。
地絡故障となったトロリ線2の両端にあるき電用変電所K1及びK2各々において、上記地絡故障の判断及び高速度遮断器102の制御が行われる。
また、き電用変電所K1,K2各々の抵抗R4及び抵抗R5からなる分圧器は保護線4の電圧を抵抗分圧により、測定可能な電圧値にするために所定の比率によって分圧を行うので、入力されるサージパルスのサージ電圧を分圧し、この分圧した電圧をサージ電圧検出部9へ出力する。
そして、サージ電圧検出部9は、上記分圧された電圧値を測定して、測定結果を電圧伝搬時間検出部12へ出力する。
そして、サージ電圧伝搬時間検出部12は、入力される電圧値が所定の電圧値を超えるか否かを判定して、所定の電圧値を超えた時点の時刻を、検出時刻として制御部13へ出力する。
次に、故障点算出部14は、上記地絡データを入力すると、サージ電圧伝搬時間検出部12各々のサージパルスを検出した検出時刻の差から、地絡故障の起こった位置を算出することで、故障点の標定を行う。
すでに述べたように、地絡故障点で発生したサージパルスは、地絡故障が起こった故障点から対向する両側のき電用変電所に向って伝搬していく。
したがって、図4に示すように、故障点で発生したサージパルスが、保護線4上を伝搬して、き電用変電所K1及びK2各々に到達する時刻には時間差が生じる。
X=(L/2)+(t/2)・v
ここで、Lはき電用変電所K1とき電用変電所K2との間の距離(単位:m)であり、tはサージパルス到達時間差(単位:秒)であり、vはサージパルスの伝搬速度(単位:m/秒)、Xは標定値(単位:m)である。Xが正の値であればき電変電所K1からの距離であり、Xが0であればき電用変電所K1とき電用変電所K2との中間地点であり、Xが負であればき電変電所K2からの距離である。
この場合、き電用変電所それぞれが故障点を標定するため、情報センタGに確認しなくても、自身のほうが他より近いか否かが判断でき、故障点に近い方のき電用変電所の係員が、地絡故障の調査・回復に出向く効果がある。
3…レール 4…保護線
5…放電素子(放電管) 6…S状ホーン
7…がいし 8…直流電圧検出部
9…サージ電圧検出部 10…GPS
11…地絡判定部 12…サージ電圧伝搬時間検出部
13…制御部 14…故障点算出部
15…出力部 100…変圧器
101…整流器 102…高速度遮断器
G…情報センタ D…電気車
K1,K2…き電用変電所
Claims (8)
- き電線及びトロリ線とを有する直流き電電圧印加部分を、それらの施設方向に沿った複数個の箇所で、それぞれ絶縁してレール沿いの予定の高さで支持する部材を含む構造物と、トロリ線とが接触し、トロリ線が前記構造物を介して地絡した故障点を標定する故障点標定システムであって、
前記構造物と、前記構造物にがいしにより支持されている保護線との間に、前記がいしと並列に設けられた放電素子を有し、前記トロリ線が地絡した際に、当該放電素子を介して前記構造物から前記保護線に印加される直流電圧の抽出を行う、前記構造物とトロリ線との間に設けられた短絡故障(地絡故障)検出手段と、
地絡電圧により、故障点から保護線上に生成されるサージパルスを検出した時刻を測定する、保護線の両端に各々設けられたサージ電圧伝搬時間検出手段と、
該サージ電圧伝搬時間検出手段各々の検出した時刻から、前記故障点の位置を算出する故障点算出手段と
を有し、
前記放電素子が前記がいしの両端に設けられたS状ホーンの間に介挿されていること
を特徴とする故障検出システム。 - 前記保護線の両端に各々設けられ、保護線に印加される直流電圧が所定の値を超えることを検出すると地絡であることを検出する地絡判定手段を有することを特徴とする請求項1記載の故障検出システム。
- 地絡が起こったときに、前記放電素子の放電現象が継続する電圧値及び電流値となる抵抗値の抵抗が、前記保護線の所定の位置に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の故障検出システム。
- き電線及びトロリ線とを有する直流き電電圧印加部分を、それらの施設方向に沿った複数個の箇所で、それぞれ絶縁してレール沿いの予定の高さで支持する部材を含む構造物と、トロリ線とが接触し、トロリ線が前記構造物を介して地絡した故障点を標定する故障点標定方法であって、
前記構造物と、前記構造物にがいしにより支持されている保護線との間に、前記がいしと並列に、かつ前記がいしの両端に設けられたS状ホーンの間に介挿されて設けられた放電素子を介し、前記トロリ線が地絡した際に、前記構造物から前記保護線に印加される直流電圧の抽出を行う過程と
保護線の両端に各々設けられたサージ電圧伝搬時間検出手段により、地絡電圧によって、故障点から保護線上に生成されるサージパルスを検出し、この検出した時刻を測定するサージ電圧検出過程と、
該サージ電圧伝搬時間検出手段各々の検出した時刻から、前記故障点の位置を算出する故障点算出過程と
を有することを特徴とする故障検出方法。 - 前記保護線の両端に各々設けられた地絡判定手段により、地絡故障時に保護線に印加される直流電圧を測定し、直流電圧が所定の値を超えることを検出すると地絡であることを検出する地絡判定過程を有することを特徴とする請求項4記載の故障検出方法。
- き電線及びトロリ線とを有する直流き電電圧印加部分を、それらの施設方向に沿った複数個の箇所で、それぞれ絶縁してレール沿いの予定の高さで支持する部材を含む構造物と、トロリ線とが接触し、トロリ線が前記構造物を介して地絡した故障点を標定する故障点標定処理を行うプログラムであって、
前記構造物と、前記構造物にがいしにより支持されている保護線との間に、前記がいしと並列に、かつ前記がいしの両端に設けられたS状ホーンの間に介挿されて設けられた放電素子を有し、前記トロリ線が地絡した際に、当該放電素子を介して前記構造物から前記保護線に印加される直流電圧の抽出を行う、前記構造物と保護線との間に介挿される抽出手段により、トロリ線が地絡したときに地絡電圧の一部が保護線に印加され、この地絡電圧に起因して発生するサージパルスが各々保護線の両端において検出された時刻を入力するサージ電圧入力処理と、
該サージ電圧伝搬時間検出処理の検出した各々の時刻から、前記故障点の位置を算出する故障点算出処理と
を有する処理を行うコンピュータが実行可能なプログラム。 - 前記保護線の両端に各々設けられた地絡判定手段が地絡故障時に保護線に印加される直流電圧を測定し、直流電圧が所定の値を超えることを検出すると地絡であることを検出する地絡判定処理を有する請求項6記載のコンピュータが実行可能なプログラム。
- 請求項6または請求項7のいずれかのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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