JP5665560B2 - き電設備の保護システム、検出装置、及び保護方法 - Google Patents
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また、このPW(プロテクタワイヤー)方式では以下の問題がある。第1に、電撃保護線PWLを新たに敷設する必要があること、第2に、変電所構内まで雷サージを侵入させること、第3に、レールと電撃保護線PWLを抵抗器Rxで介して接続させるため、電撃保護線PWLにレール対地電圧が波及するなどの問題がある。このため、このPW(プロテクタワイヤー)方式を、そのまま直流き電回路に適用するには課題が多い。
この図に示されるき電設備200は、電車線路、変電所300A及び変電所300Bを備える。電車線路は、き電線4、電車線(ちょう架線とトロリ線)、き電線4と電車線を支持する支持物を備える。支持物は、複数の鋼管柱P1〜P9、及び、鋼管柱P1〜P9から絶縁させて、き電線4等を支持する電線支持碍子3(図2)などを備える。
き電設備200において、1つのき電区間として図示されているき電線4には、変電所300A及び変電所300Bから直流電力が供給される。
このき電区間において、複数の鋼管柱P1〜P9は、線路に沿って平行に配置される鋼管柱であり、この鋼管柱P1〜P9(「鋼管柱1」で総称される)により支持されるき電線4により1つのき電区間が構成される。この鋼管柱P1〜P9は、概略50m間隔で配置される。き電線4の一端は、変電所300Aの直流高速度遮断器OCRに接続され、他端は変電所300Bの直流高速度遮断器OCRに接続され、変電所300A及び変電所300Bの双方から、き電線4に直流電力が供給される。
このように、本実施形態における保護システム100は、図1に示す検出装置10と、中継装置20と、検出装置10からの情報を受信して直流高速度遮断器OCRを開放する制御装置310及び310´とを主な構成要素としている。
鋼管柱P5に流れる続流の電流値は、15Aから3000A(アンペア、平均的には430A程度)であり、検出装置10では、鋼管柱P5に流れる電流により発生する磁界の変化や、鋼管柱P5上の任意の2点間の電位差の変化を検出して、落雷後に続流が発生したことを検出する。なお、検出装置10が送信する情報は、例えば、続流が発生したこと示す検出情報と、続流が発生した鋼管柱P5の位置を特定する位置情報である。
中継装置20は、検出装置10と同一の構成の装置であり、続流の発生を検出する検出装置10として機能する場合と、無線信号の中継装置20として機能する場合とを区別するために、異なる名称と符合を付したものである。なお、検出装置10内の第1センサ部11、第1判定部12の構成と動作の詳細については後述する。
図4(A)に示す例は、鋼管柱1に流れる地絡電流IGにより発生する磁束φ(より正確には磁界の強さH)の変化を磁気センサで検出する例を示し、磁気センサとしてホール素子111を用いた例である。この図4(A)において、検出装置10内の第1センサ部11は、鋼管柱1に流れる続流(地絡電流IG)により生じる磁界の変化をホール素子111により検出し、ホール素子111の出力信号をアンプ(増幅器)112により増幅し、続流(地絡電流IG)の検出信号VIGを生成し、この検出信号VIGを第1判定部12に出力する。第1判定部12では、検出信号VIGが所定時間以上継続した場合に、鋼管柱1において続流が発生していると判定する。
この鋼管柱1に流れる電流による磁界を検出する磁気センサ方式では、センサを鋼管柱1に接触させる必要がないため、絶縁協調を図る上での利点がある。なお、この磁界による検出方法については、後述する図5の説明においてさらに詳細に説明する。
この電位差を検出する方式では、磁界センサ(例えば、ホール素子111)などの特別なセンサを用いることなく、鋼管柱1に流れる続流(地絡電流IG)を簡単に検出できる。このため、検出装置10の回路構成が簡略になる。
この図において、時刻t0において、雷撃後の続流(地絡電流IG)が発生し、電極Aと電極Bと間に電圧Vbm(=Rbm×IG)が発生する。この電圧Vbmは、時刻t0における雷撃直後に最大となり、時間の経過とともに次第に減衰して行く。そして、時刻t0から、電圧VbmによりコンデンサC1への充電が開始され、時刻t0以降、時間の経過とともにコンデンサC1の充電電圧Vcが次第に上昇する。
系統判定部312は、受信部311から検出情報及位置情報を受信すると、この受信部311から受信した検出情報及び位置情報を基に、この系統判定テーブル45を参照して、続流が発生した鋼管柱1が支持しているき電線4の送電系統(き電区間)を判定する。また、系統判定部312は、後述する連絡遮断を行う相手方の変電所を特定する。
制御部313は、系統判定部312において判定された送電系統(き電線4のき電区間)に対応する直流高速度遮断器323に対して「切指令(遮断指令)」を出力し、当該直流高速度遮断器323を開放する。また、制御装置310は、直流高速度遮断器323を開放した場合に、この遮断器323の開放情報を相互に連絡遮断を行う相手方の変電所300Bの電源装置301´に通知する。
また、本実施形態の保護システム100では、上述した連絡遮断は必須の要件ではなく、変電所300Aの電源装置301と変電所300Bの電源装置301´のそれぞれが独立に、検出装置10からの送信される情報を受信して直流高速度遮断器322及び322´を開放するようにしてもよい。
その後、連絡遮断を行う場合には、制御装置310は、同じき電系統のき電線4に直流電力を供給する隣接変電所300Bの電源装置301´に直流高速度遮断器323の開放情報を送信し、電源装置301と電源装置301´との間で相互に直流高速度遮断器323及び322´を開放する連絡遮断を行う(ステップS8)。
これにより、直流電力のき電線(き電線4)を支持する電柱に鋼管柱1を用いた場合において、雷撃後の続流の発生によりき電線(き電線4)から電柱(鋼管柱1)を通して地絡電流IGが流れる場合に、この地絡電流IGが流れる電柱の位置を確実に標定し、この電柱(鋼管柱1)が支持するき電線(き電線4)に対する直流電力の供給を遮断することができる。このため、雷撃後の続流によりき電線(き電線4)が損傷を受けないようすることができる。
このような構成の検出装置10では、第1センサ部11が、雷撃を受けた鋼管柱1に地絡電流IGが流れていることを検出し、第1判定部12が、地絡電流IGが所定の時間継続しているか否かを判定する。そして、地絡電流IGが所定の時間継続していると判定された場合に、第1通信処理部13が、続流発生の検出情報と、続流が発生した鋼管柱1の位置を特定する位置情報とを送信する。
これにより、雷撃を受けた鋼管柱1に続流が流れる場合に、この続流の発生したことを検出し、この続流が発生したこと示す検出情報と、続流が発生した鋼管柱1の位置を特定する位置情報とを、き電線4(き電線4のき電区間)に直流電力を供給する変電所300A内の電源装置301及び変電所300B内の電源装置301´に送信することができる。
このような構成の中継装置20では、検出装置10と同一の機能(続流発生の検出機能、検出情報と位置情報の送信機能)を備えるとともに、検出装置10から送信された無線信号を受信した場合、受信した無線信号に含まれる検出情報と位置情報とを中継する機能を備える。
これにより、中継装置20は検出装置10として作動することができるとともに、検出装置10から受信した無線信号に含まれる検出情報と位置情報とを中継して、変電所300A及び300B内の電源装置301及び301´に送信することができる。
これにより、制御装置310は、検出装置10から送信される位置情報(続流が発生した鋼管柱1の位置を特定する情報)を基に、続流が発生した鋼管柱1への直流電力の供給を停止することができる。
これにより、制御装置310は、検出装置10から送信される検出情報と位置情報とを受信し、この位置情報を基に、続流が発生した鋼管柱1が支持するき電線4への直流電力の供給を停止することができる。
これにより、続流が発生した鋼管柱1を識別して、この鋼管柱1の位置を確実に標定することができる。
これにより、この鋼管柱1に流れる地絡電流IGにより生じる磁界の変化を検出して、続流の発生を検出することができる。また、この磁界センサを用いることにより、センサを鋼管柱1に接触させる必要がなくなり、絶縁協調を図る上での利点がある。
これにより、磁界センサ(ホール素子111)などの特別なセンサを用いることなく、鋼管柱1に続流(地絡電流IG)が発生したことを検出できる。このため、検出装置10の構成が簡略になる。
これにより、き電線4の過電流耐量を基にして、制御装置31と電源装置301内の高速度遮断器との間で保護協調を図ることができる。
このような構成の検出装置10では 第1センサ部11が、雷撃を受けた鋼管柱1に続流(地絡電流IG)流れていることを検出し、第1判定部12が、地絡電流IGが所定の時間継続しているか否かを判定する。そして、地絡電流IGが所定の時間継続していると判定された場合に、第1通信処理部13が、続流発生の検出情報と、当該続流が発生した鋼管柱1の位置を特定する位置情報とを送信する。
これにより、雷撃を受けた鋼管柱1に続流が流れる場合に、この続流の発生したことを検出し、この続流が発生したこと示す検出情報と、続流が発生した鋼管柱1の位置を特定する位置情報とを、き電線4に直流電力を供給する変電所300A及び300B内の電源装置301及び301´に送信することができる。
このような構成の検出装置10では、他の鋼管柱1に設備された検出装置10から送信された無線信号を受信した場合、受信した無線信号に含まれる検出情報と位置情報とを中継して送信する中継装置20として作動する。
これにより、検出装置10を、続流が発生したことを検出する検出装置として使用できるとともに、他の検出装置から受信した無線信号に含まれる検出情報と位置情報とを中継して送信する中継装置20としても使用できる。また、複数の鋼管柱1に検出装置10を設備することにより、変電所300A及び300Bから遠隔の地ある鋼管柱1において雷撃後に続流が発生した場合においても、この続流が発生した鋼管柱1の検出装置10から送信される検出情報と位置情報とを、他の検出装置10(中継装置20として作動する検出装置)により中継して、変電所300A及び300B内の電源装置301及び301´まで送信することができる。
これにより、検出装置10及び中継装置20に対して商用電源等を給電するための配電線を新たに敷設する必要がなくなり、また、省エネルギー化を図ることができる。
1,1´…鋼管柱、2…腕金、3…電線支持碍子、4,4´…き電線、4A…電吊架線、
6…固定ビーム、6A…鋼管ビーム
10…検出装置、11,11A…第1センサ部、12…第1判定部、
13…第1通信処理部、14…二次電池、15…太陽電池パネル、19…検出装置電源部
20…中継装置、21…第2センサ部、22…第2判定部、23…第2通信処理部
41…地区情報、42…識別番号、44…送信先アドレス、45…系統判定テーブル
111…ホール素子、112…アンプ、112A…変換部
200…き電設備
300A,300B…変電所
301,301´…電源装置
310,310´…制御装置
311,311´…受信部
312,312´…系統判定部
313,313´…制御部
320,320´…電源部
321,321´…整流部
322,322´,323,323´…直流高速度遮断器
a1,a2…電極
IG…地絡電流(続流)
P1〜P9…鋼管柱
Claims (7)
- 電車線路として、鋼管柱又は鉄柱による複数の電柱、及び、該電柱によって支持されるき電線を備え、前記き電線に直流電力を供給するき電設備の保護システムであって、
第1の電柱に設けられ、前記第1の電柱と前記き電線との間の絶縁耐圧が低下したことにより発生する地絡電流を検出し、前記地絡電流が所定の時間継続していると判定された場合、該地絡電流の発生を検出したことを示す検出情報、及び前記第1の電柱を識別する識別情報を含み該検出した位置を特定する位置情報を無線信号により送信する検出装置と、
前記無線信号を受信可能な領域に配置された第2の電柱に設けられ、前記送信された検出情報と位置情報とを中継し、無線信号により送信する中継装置と、
前記電柱の識別情報と、前記第1の電柱が支持しているき電線の送電系統との対応を示す系統判定情報を有しており、前記検出情報と前記位置情報とを受信して、前記受信した位置情報に含まれていた前記第1の電柱を識別する識別情報と、前記有していた系統判定情報とに基づいて、前記直流電力の供給を遮断するき電線の送電系統を判定し、前記判定の結果に基づいて前記き電設備を制御して、前記位置情報に対応する前記き電線に対する直流電力の供給を遮断させる制御装置と、
を備えることを特徴とする保護システム。 - 前記検出装置は、
前記第1の電柱に前記地絡電流が流れていることを検出する第1センサ部と、
前記地絡電流が所定の時間継続しているか否かを判定する第1判定部と、
前記地絡電流が所定の時間継続していると判定された場合、前記検出情報と、前記第1の電柱を識別する識別情報からなる前記位置情報とを送信する第1通信処理部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の保護システム。 - 前記制御装置は、
前記検出装置により送出された前記検出情報、及び、前記第1の電柱を識別する識別情報からなる前記位置情報を受信する受信部と、
前記受信した前記検出情報、及び、前記第1の電柱を識別する識別情報からなる前記位置情報から前記第1の電柱が支持しているき電線の系統を判定する系統判定部と、
前記系統判定部により判定されたき電線の系統への送電を遮断させる制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の保護システム。 - 前記第1センサ部は、
前記第1の電柱に流れている前記地絡電流によって生成される磁界を検出する磁界センサを備える
ことを特徴とする請求項2に記載の保護システム。 - 前記第1センサ部は、
前記第1の電柱において、前記地絡電流により発生する電位差を検出するように隔てて設けられた複数の電極と、
前記複数の電極の間の電位差を検出し、前記検出された電位差を基に地絡電流の信号を生成して出力する変換部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の保護システム。 - 電車線路として、鋼管柱又は鉄柱による複数の電柱、及び、該電柱によって支持されるき電線を備え、前記き電線に直流電力を供給するき電設備の請求項1から5のいずれか1項に記載の保護システムにおける検出装置であって、
前記電柱と前記き電線との間の絶縁耐圧が低下したことにより発生する地絡電流を検出する第1センサ部と、
前記地絡電流が所定の時間継続しているか否かを判定する第1判定部と、
前記地絡電流が所定の時間継続していると判定された場合、前記地絡電流の発生を検出したことを示す検出情報、及び前記第1の電柱を識別する識別情報を含み該検出した位置を特定する位置情報を無線信号により送信する第1通信処理部と、
を備えることを特徴とする検出装置。 - 電車線路として、鋼管柱又は鉄柱による複数の電柱、及び、該電柱によって支持されるき電線を備え、前記き電線に直流電力を供給するき電設備の保護システムにおける保護方法であって、
第1の電柱に設けられる検出装置により、前記第1の電柱と前記き電線との間の絶縁耐圧が低下したことにより発生する地絡電流を検出し、前記地絡電流が所定の時間継続していると判定された場合、該地絡電流の発生を検出したことを示す検出情報、及び前記第1の電柱を識別する識別情報を含み該検出した位置を特定する位置情報を無線信号により送信する過程と、
前記無線信号を受信可能な領域に配置された第2の電柱に設けられる検出装置により、前記第1の電柱から送信された検出情報と位置情報とを中継し、無線信号により送信する過程と、
前記電柱の識別情報と、前記第1の電柱が支持しているき電線の送電系統との対応を示す系統判定情報を有しており、前記検出装置から検出情報と位置情報とを受信して、前記受信した位置情報に含まれていた前記第1の電柱を識別する識別情報と、前記有していた系統判定情報とに基づいて、前記直流電力の供給を遮断するき電線の送電系統を判定し、前記判定の結果に基づいて前記き電設備を制御して、前記位置情報に対応する前記き電線に対する直流電力の供給を遮断させる過程と、
を含むことを特徴とする保護方法。
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