JP6148995B2 - 減圧高温浸炭処理用鍛造部品及びその製造方法 - Google Patents
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質量比にて、C:0.10〜0.30%、Si:0.03〜1.50%、P:0.035%以下、S:0.035%以下、Mn:0.30〜1.50%、Cr:0.30〜3.00%、Al:0.030〜0.100%、N:0.0150〜0.0250%、Nb:0.08〜0.12%、Mo:0〜0.80%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鍛造用母材を準備し、
該鍛造用母材を1300℃以上に加熱した後冷却し、
その後、上記鍛造用母材を加熱し、1000〜1230℃の熱間鍛造温度で熱間鍛造して鍛造部品を作製し、
その後、上記鍛造部品を620〜1000℃の温度に30分以上保持して炭窒化物の析出を促す析出熱処理を行うことを特徴とする減圧高温浸炭処理用鍛造部品の製造方法にある。
質量比にて、C:0.10〜0.30%、Si:0.03〜1.50%、P:0.035%以下、S:0.035%以下、Mn:0.30〜1.50%、Cr:0.30〜3.00%、Al:0.030〜0.100%、N:0.0150〜0.0250%、Nb:0.08〜0.12%、Mo:0〜0.80%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
金属組織中の円相当径20nm以上の炭窒化物の析出個数が20個/μm2以上であることを特徴とする減圧高温浸炭処理用鍛造部品にある。
C:0.10〜0.30%、
C(炭素)は、浸炭処理を行った部品に要求される強度、内部硬さを確保するために必要な元素であり、その効果を得るためには、0.10%以上含有させることが必要である。一方、Cを過剰に含有させると、内部の靱性劣化、被削性低下および冷間鍛造性悪化等を招くため、Cの含有量は0.30%を上限とする。
Si(珪素)は鋼の製造時において脱酸のために必要な元素であり、その効果を得るためには0.03%以上の含有が必要である。一方、Siを過剰に含有させると、靱性劣化、加工性劣化等を招くため、Si含有量の上限は1.50%とする。
P(リン)は、製造時に混入が避けられない不純物である。Pは、粒界の強度を低下させ、疲労特性を悪化させる原因となるため、P含有量の上限は0.035%とする。
S(硫黄)はPと同様に製造時に混入が避けられない不純物である。Sは、例えばMnS等のような硫化物系介在物となって存在し、疲労強度低下等の原因となるため、S含有量の上限は0.035%とする。
Mn(マンガン)は、焼入性を向上させ内部まで強度を確保するのに必要な元素であり、その効果を得るためには、0.30%以上の含有が必要である。一方、Mnを多量に含有させると、残留オーステナイトが増加して、硬さ低下、内部靭性の劣化、被削性低下等を招く原因となるため、Mn含有量の上限は1.50%とする。
Cr(クロム)は、焼入性を向上させ内部まで強度を確保するのに必要な元素であり、その効果を得るためには、0.30%以上の含有が必要である。一方、Crを多量に含有させると靭性劣化、被削性低下を招く原因となるため、Cr含有量の上限は3.00%とする。
Al(アルミニウム)は、Siと同様に脱酸に必要な元素であるとともに、AlNとして存在することによってピン止め効果を発揮し、浸炭処理後の異常粒成長防止に効果のある元素である。この効果を得るために必要なAlN量を確保するためには、0.030%以上のAlを含有させる必要がある。一方、Al含有量がある程度多くなると、それ以上増量してもピン止め効果が飽和して異常粒成長防止効果は向上せず、その一方でAl含有量増量に伴って鋼中に生成されるAl2O3介在物が増加して、強度や被削性への悪影響が生じるため、Al含有量の上限は0.100%とする。
N(窒素)は、鍛造後に行われる後述の析出熱処理により、AlやNbと結合し、AlNやNb炭窒化物となって鋼中に析出し、浸炭処理後の異常粒成長を防止するために効果のある元素である。この効果を得るためには、0.0150%以上のNを含有させる必要がある。一方、Nが多過ぎても結晶粒粗大化効果が飽和し、かえって疲労強度低下を招くおそれがあるため、N含有量の上限は0.0250%とする。
Nb(ニオブ)は、炭窒化物となって鋼中に存在することにより、Alに比べ高温度での浸炭処理における結晶粒異常成長を防止する効果のある元素である。Nb添加量が少ない場合、ピン止め効果に寄与するNb炭窒化物の量が不足して異常粒成長を抑制する作用が十分に得られなくなるので、Nb含有量の下限を0.08%とする。一方、Nb含有量が多すぎると、1300℃以上の加熱によっても鍛造用母材中のNb炭窒化物(Nb(C,N))を十分に固溶させることが難しくなるため、Nb含有量の上限は0.12%とする。
Mo(モリブデン)は、任意元素であって必ずしも含有させる必要はない。一方、Moは、焼入性向上に有効であるため、鍛造部品の大きさに応じて必要な焼入れ性を確保するために含有させることができる。ただし、Mo含有量が多くなりすぎると靱性及び被削性低下を招くおそれがあるため、Moを含有させる場合の上限は0.80%とする。
上記製造方法においては、圧延等により部品製造に適した断面寸法とした鋼材を所定の寸法に切断して準備された鍛造用母材を1300℃以上に加熱する。この非常に高温での鍛造用母材の加熱によって、上述したごとく、上記特定の化学成分を有する鋼中に存在していたAlNおよびNb炭窒化物を母相中に十分に固溶させる作用効果が得られる。すなわち、上記鍛造用母材に用いる鋼材は、従来より高温で浸炭処理した場合の異常粒成長抑制効果を確実に得るために、従来多く用いられているNb添加の肌焼き鋼に比べて、Nb、Al、Nの含有率を高めとしているため、上記鍛造用母材加熱の加熱温度が1300℃未満の場合には、上記析出物を十分に固溶させることが難しくなる。
上記減圧高温浸炭処理用鍛造部品及びその製造方法にかかる実施例について説明する。本例では、表1に示すごとく、化学成分が異なる複数種類の鋼材(試料1〜10)を準備し、1種類の製造方法によって鍛造部品を作製し、減圧高温浸炭処理による結晶粒粗大化の有無を評価した。本例では、析出熱処理方法として、上述した第1析出熱処理方法を採用した。
観察用の試料の調整は、一般的に用いられているレプリカ法で行なった。具体的には、先ず、各試料の鋼材を鏡面研磨仕上げし、ナイタール(硝酸3%エタノール溶液)にて研磨面を約30秒エッチングした。次いで、真空蒸着装置でエッチング面に膜厚約200nmのカーボン膜(レプリカ膜)を蒸着させた。レプリカ膜を設けた試料をナイタールに約30分浸漬し、鋼材とレプリカ膜の界面を溶解することで、レプリカ膜を鋼材から外した。その後、レプリカ膜は蒸留水にて洗浄を3回行ない、乾燥したものを観察用サンプルとした。
このレプリカ膜を透過電子顕微鏡にセットし、20万倍の条件で1実施条件につき20枚のTEM像を撮影した。全てのTEM像の写真を2値化処理後画像解析し、円相当径および個数を算出し、単位面積当たりの個数と粒度分布を求めることにより、20nm以上の析出粒子数を定量化した。
本例では、実施例1の表1に示した化学成分が異なる複数種類の鍛造用母材(試料1〜10)を準備し、実施例1とは異なる1種類の製造方法によって鍛造部品を作製し、減圧高温浸炭処理による結晶粒粗大化の有無を評価した。本例では、析出熱処理方法として、上述した第2析出熱処理方法を採用した。
本例では、実施例1の表1における1種類の試料(試料1)を複数準備し、製造条件が異なる複数の製造方法によって鍛造部品を作製し、減圧高温浸炭処理による結晶粒粗大化の有無を評価した。
上述した実施例1〜3において1100℃の浸炭温度で減圧高温浸炭処理した鍛造部品における、円相当径20nm以上の炭窒化物の析出個数と浸炭処理後の平均結晶粒度番号との関係を調べた。両者の関係を図1に示す。同図は、横軸に円相当径20nm以上の炭窒化物の析出個数(個/μm2)を、縦軸に平均結晶粒度番号を取ったものである。
Claims (4)
- 1050℃を超える浸炭温度で減圧高温浸炭処理される鍛造部品を製造する方法であって、
質量比にて、C:0.10〜0.30%、Si:0.03〜1.50%、P:0.035%以下、S:0.035%以下、Mn:0.30〜1.50%、Cr:0.30〜3.00%、Al:0.030〜0.100%、N:0.0150〜0.0250%、Nb:0.08〜0.12%、Mo:0〜0.80%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鍛造用母材を準備し、
該鍛造用母材を1300℃以上に加熱した後冷却し、
その後、上記鍛造用母材を加熱し、1000〜1230℃の熱間鍛造温度で熱間鍛造して鍛造部品を作製し、
その後、上記鍛造部品を620〜1000℃の温度に30分以上保持して炭窒化物の析出を促す析出熱処理を行うことを特徴とする減圧高温浸炭処理用鍛造部品の製造方法。 - 上記析出熱処理は、熱間鍛造後の上記鍛造部品を少なくとも500℃以下まで冷却した後に再加熱して850℃〜1000℃に30分以上保持した後、500℃までを25℃/分以下の冷却速度で冷却することにより行うことを特徴とする請求項1に記載の減圧高温浸炭処理用の鍛造部品の製造方法。
- 上記析出熱処理は、熱間鍛造後の上記鍛造部品の冷却途中において該鍛造部品を620〜700℃の温度に30分以上保持することにより行うことを特徴とする請求項1に記載の減圧高温浸炭処理用鍛造部品の製造方法。
- 上記析出熱処理によって、上記鍛造部品における円相当径20nm以上の炭窒化物の析出個数を20個/μm2以上とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の減圧高温浸炭処理用の鍛造部品の製造方法。
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