JP6147563B2 - 排気浄化システム及び排気浄化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、オゾン及び尿素系流体を供給して窒素酸化物(NOx)を浄化する排気浄化システム及び排気浄化方法に関する。
エンジンの排気に含まれるNOxを浄化するシステムとして、尿素系流体を供給する供給装置及び選択還元型触媒を備えたものが既に実用化されている。該システムの一例である尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)システムでは、低温域において浄化率が低下することが課題となっていた。
低温域における浄化率を高めるシステムの一つとして、尿素水を供給する機構、及び尿素水を微粒化してアンモニアへの変換を促す尿素水改質器の両方を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。尿素水を所定温度以上の排気に添加した場合、尿素水は加水分解されてアンモニアに変換される。NOxは、選択還元型触媒を介してアンモニアと反応して、窒素に還元される。また尿素水改質器は、尿素水をアンモニアに改質して排気に添加できる。このため尿素水を排気中で加水分解できない低い温度域であっても、NOxを還元することができる。
特開2012−197695号公報
しかし上述したシステムでは、NOxを浄化可能な温度域は拡大するものの、排気温度が選択還元型触媒の活性温度以上の場合を前提として制御が行われており、該活性温度未満ではNOx浄化を図ることが困難であった。このため、選択還元型触媒の活性温度未満の低温域においてNOxの浄化を促すシステム及び方法が要請されていた。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、低温域におけるNOxの浄化率を高める排気浄化システム及び排気浄化方法を提供することにある。
上記問題点を解決する排気浄化システムは、エンジンの排気通路に設けられた酸化触媒と、前記排気通路のうち前記酸化触媒よりも下流に設けられ窒素酸化物を還元する選択還元型触媒と、前記排気通路のうち前記酸化触媒よりも下流であって前記選択還元型触媒の上流にオゾンを供給するオゾン供給装置と、尿素水を前記排気通路のうち前記選択還元型触媒の上流に供給する尿素水供給装置と、尿素水をアンモニアガスに変換して前記選択還元型触媒の上流に供給する尿素水改質装置と、前記排気通路のうち前記酸化触媒を通過する前又は通過中の排気の温度である第1排気温度を検出する第1温度検出部と、前記オゾン供給装置と前記選択還元型触媒との間の排気温度である第2排気温度を検出する第2温度検出部と、オゾン供給量を算出し、該オゾン供給量に基づき前記オゾン供給装置を駆動するとともに、前記第2排気温度が低温域のときに前記尿素水改質装置を選択し、前記第2排気温度が高温域のときに前記尿素水供給装置を選択して駆動する制御部とを備え、前
記制御部は、前記第2排気温度が前記選択還元型触媒の活性温度未満であるときに、オゾン供給量を一酸化窒素量と等量とし、前記尿素水改質装置を駆動して前記排気通路にアンモニアガスを供給し、前記第2排気温度が前記選択還元型触媒の活性温度以上であって尿素水の加水分解温度よりも低く、且つ前記第1排気温度が前記酸化触媒の活性温度未満である場合には、前記オゾン供給量を一酸化窒素量から二酸化窒素量を減算した差分量と等量とし、前記尿素水改質装置を駆動し、前記第2排気温度が尿素水の加水分解温度以上であって、且つ前記第1排気温度が前記酸化触媒の活性温度未満である場合には、前記オゾン供給量を一酸化窒素量から二酸化窒素量を減算した差分量と等量とし、前記尿素水供給装置を駆動する
この態様によれば、排気温度に応じて尿素水供給装置及び尿素水改質装置が選択的に駆動されるので、窒素酸化物(NOx)の各還元反応のうち、その時点で進行しやすい反応を促進することができる。そして選択還元型触媒の上流の排気温度が活性温度未満の低温域であるときには、一酸化窒素と等量(等モル又は等体積)のオゾンとアンモニアが供給される。その結果、一酸化窒素の殆どを二酸化窒素に変換し、酸化性の高い二酸化窒素とアンモニアとを触媒を介さずに反応させて、硝酸アンモニウム及び窒素に変換することができる。即ち排気温度が選択還元型触媒の活性温度未満であってもNOxを還元することができる。
さらに、酸化触媒を通過する前又は通過中の排気温度を検出する第1温度検出部と、オゾン供給装置と選択還元型触媒との間の温度を検出する第2温度検出部とを用いるので、各触媒が活性であるか否かの判定精度を向上できる。このため検出温度に応じた細かい制御が可能となる。即ち酸化触媒を通過する排気温度を示す第1排気温度が酸化触媒の活性温度未満である場合であって、選択還元型触媒よりも上流の第2排気温度が尿素水の加水分解温度未満のときと、加水分解温度以上のときに応じた制御が実行される。第2排気温度が尿素水の加水分解温度未満のときには、尿素水のアンモニアへの変換が進みにくいために尿素水改質器装置を選択して駆動する。その際、一酸化窒素量から二酸化窒素量を減算した差分量のオゾンが供給されるため、一酸化窒素及び二酸化窒素の比が1:1となり最も反応速度が大きくなる状態で反応を進めることができる。また第2排気温度が尿素水の加水分解温度以上のときには、上記差分量のオゾンと尿素水とが供給されるため、一酸化窒素及び二酸化窒素の比が1:1となり最も反応速度が大きくなる状態で反応を進めることができる。
上記排気浄化システムについて、前記制御部は、前記第1排気温度が前記酸化触媒の活性温度以上であって、前記第2排気温度が前記選択還元型触媒の活性温度以上尿素水の加水分解温度未満の場合には、オゾンを供給せず、一酸化窒素及び二酸化窒素の両方を含む窒素酸化物量と等量のアンモニアを供給し、前記第1排気温度が前記酸化触媒の活性温度以上であって、前記第2排気温度が尿素水の加水分解温度以上の場合には、オゾンを供給せず、尿素水を供給するとともに、供給される尿素水に含有される尿素量を一酸化窒素及び二酸化窒素の両方を含む窒素酸化物量に対してモル比で1/2倍とすることが好ましい。
この態様によれば、酸化触媒を通過する前又は通過中の排気温度を検出する第1温度検出部と、オゾン供給装置と選択還元型触媒との間の温度を検出する第2温度検出部とを用いるので、各触媒が活性にあるか否かの判定精度を向上できる。このため検出温度に応じた細かい制御が可能となる。即ち第1排気温度が酸化触媒の活性温度未満の場合であって、第2排気温度が選択還元型触媒の活性温度以上尿素水の加水分解温度未満のときと、第2排気温度が尿素水の加水分解温度以上のときに応じて異なる制御が実行される。酸化触媒の活性温度以上であるときには一酸化窒素の二酸化窒素への酸化が促進されるためにオゾンは供給しない。また第2排気温度が選択還元型触媒の活性温度以上尿素水の加水分解温度未満のときには窒素酸化物量と等量のアンモニアを供給し、第2排気温度が尿素水の加水分解温度以上のときには窒素酸化物量に対しモル比で1/2倍の尿素が添加されるように尿素水を供給する。このためNOxを速やかに還元することができる。
上記排気浄化システムについて、前記制御部は、前記第2排気温度が前記選択還元型触媒の活性温度以上であって尿素水の加水分解温度よりも低く、且つ前記第1温度検出部により検出された第1排気温度が前記酸化触媒の活性温度未満である場合には、一酸化窒素及び二酸化窒素の両方を含む窒素酸化物量と等量のアンモニアを供給し、前記第2排気温度が尿素水の加水分解温度以上であって、且つ前記第1排気温度が前記酸化触媒の活性温度未満である場合には、一酸化窒素及び二酸化窒素の両方を含む窒素酸化物量と等量のアンモニアを生成するための尿素水を供給することが好ましい。
この態様によれば、第2排気温度が選択還元型触媒の活性温度以上であって尿素水の加水分解温度よりも低く、且つ第1排気温度が酸化触媒の活性温度未満のときにはアンモニアを供給し、第2排気温度が尿素水の加水分解温度以上であって第1排気温度が酸化触媒の活性温度未満のときには尿素水を供給する。尿素水及びアンモニアの供給量は、窒素酸化物とアンモニアが等量となるように調整される。このため選択還元型触媒が活性化されているものの尿素水の加水分解が進行しないような低温域でも窒素酸化物を還元できる。
上記課題を解決する排気浄化方法は、エンジンの排気に含まれる窒素酸化物を、酸化触媒及び該酸化触媒の下流に設けられ窒素酸化物を還元する選択還元型触媒を用いて浄化する排気浄化方法において、排気通路のうち前記酸化触媒を通過する前又は通過中の排気の温度である第1排気温度と、前記排気通路のうち前記選択還元型触媒よりも上流の排気温度である第2排気温度とを検出し、前記第2排気温度が前記選択還元型触媒の活性温度未満であるときに、前記排気通路のうち前記酸化触媒及び前記選択還元型触媒の間に一酸化窒素量と等量のオゾンを供給するとともに、アンモニアガスを供給し、前記第2排気温度が前記選択還元型触媒の活性温度以上であって尿素水の加水分解温度よりも低く、且つ前記第1排気温度が前記酸化触媒の活性温度未満である場合には、前記排気通路のうち前記酸化触媒及び前記選択還元型触媒の間に一酸化窒素量から二酸化窒素量を減算した差分量と等量のオゾンを供給するとともに、アンモニアガスを供給し、前記第2排気温度が尿素水の加水分解温度以上であって、且つ前記第1排気温度が前記酸化触媒の活性温度未満である場合には、前記排気通路のうち前記酸化触媒及び前記選択還元型触媒の間に一酸化窒素量から二酸化窒素量を減算した差分量と等量のオゾンを供給するとともに、尿素水を供給する
この態様によれば、排気温度に応じて尿素水及びアンモニアが選択的に供給されるので、窒素酸化物(NOx)の各還元反応のうち、その時点で進行しやすい反応を促進することができる。そして選択還元型触媒の上流の排気温度が活性温度未満の低温域であるときには、一酸化窒素と等量(等モル)のオゾンとアンモニアが供給される。その結果、一酸化窒素の殆どを二酸化窒素に変換し、酸化性の高い二酸化窒素とアンモニアとを触媒を介さずに反応させて、硝酸アンモニウム及び窒素に変換することができる。即ち排気温度が選択還元型触媒の活性温度未満であってもNOxを還元することができる。
本発明における排気浄化システムの一実施形態であって、該システムをエンジンとともに示す概略図。 触媒の活性温度及び尿素水の加水分解温度を示す表。 同実施形態の排気浄化処理の手順を示すフローチャート。 同排気浄化処理の内容を示す表。
以下、排気浄化システム及び排気浄化方法の一実施形態を説明する。本実施形態では、排気浄化システムを、ディーゼルエンジンに適用されるシステムに例示して説明する。
図1に示すように、エンジン11の吸気マニホールド12には吸気通路13が接続され、排気マニホールド14には排気通路15が接続されている。吸気通路13の途中にはターボチャージャ16のコンプレッサ17が設けられ、排気通路15の途中にはタービン18が設けられている。また吸気通路13にはエアフローメータAFが設けられている。エアフローメータAFは、ホットワイヤー式の計測装置であって、吸気通路13を流れる空気の質量流量(kg/sec)を直接的に検出し、質量流量に応じた信号を制御部としてのECU20に出力する。
ECU20は、CPU、RAM、ROM等を備え、エンジン11及び排気浄化システム10を制御する。ECU20はエアフローメータAFからの出力信号に基づき吸入空気量Gaを算出し、吸入空気量Ga等に基づき燃料噴射量Qfinを算出する。またECU20は、燃料噴射量Qfinに基づきインジェクタ11aや燃料ポンプ(図示略)を駆動してシリンダ11b内に燃料を噴射させる。
(排気浄化システムの構成)
次に、排気浄化システム10について説明する。排気浄化システム10は、排気通路15に設けられた複数の触媒を備えている。この触媒群は、上流側から、前段酸化触媒(Diesel Oxidation Catalyst)21、DPF(Diesel Particulate Filter)22、選択還元型触媒27、及び後段酸化触媒28から構成される。また、排気浄化システム10は、オゾン供給装置23、尿素水供給装置25、尿素水を改質する尿素水改質装置26を備えている。
(酸化触媒及びDPF)
前段酸化触媒21は、公知の構成の酸化触媒であって、例えばアルミナ、シリカ、ゼオライト等からなる担体に、白金やパラジウム等の金属や、金属酸化物等を担持させたものから構成される。この前段酸化触媒21は、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)を酸化して、水、二酸化炭素、二酸化窒素等に変換する。前段酸化触媒21は、タービン18の直後に配置された第1酸化触媒21a(After Turbo Catalyst)と、第1酸化触媒21aよりも下流に配置された第2酸化触媒21bとから構成されている。第1酸化触媒21a及び第2酸化触媒21bは、車両へ搭載する際の制約に応じて分けられたものであり、第1酸化触媒21aは容量が制限されるが、第2酸化触媒21bは容量を大きくし、酸化性能を高めることができる。第1酸化触媒21aには高温の排気が流れこむため、排気に含まれる炭化水素、一酸化炭素等の未燃成分を酸化して、第2酸化触媒21bに流れ込む排気の温度を上昇させる。
第1酸化触媒21a及び第2酸化触媒21bの間の排気通路15であって、第2酸化触媒21bの入口近傍には、第1温度センサT1が設けられている。第1温度センサT1は、公知の構成のセンサであって、前段酸化触媒21を通過する排気の温度を検出し、第1排気温度Tmp1をECU20に出力する。ここで第1温度センサT1を第2酸化触媒21bの入口近傍に設けるのは、NO等の酸化反応の主体となるのが第2酸化触媒21bであるためである。従って、前段酸化触媒21が分割されず単体からなる場合には、その単体の前段酸化触媒21の入口近傍に第1温度センサT1を設ければよい。
この前段酸化触媒21の活性化し始める温度域は、180℃前後である。図2に示すように、本実施形態では、前段酸化触媒21の活性温度TBを180℃に設定する。前段酸化触媒21近傍の排気温度が活性温度TBに到達すると、NOからNOへの酸化が速やかに進行する。
DPF22は、セラミックスや金属多孔体から構成され、排気に含まれる粒子状物質(PM;Particulate Matter)を捕集する。排気通路15のうちDPF22の下流には、出口温度センサT3及びNOxセンサS1が設けられている。
出口温度センサT3は、DPF22の出口における排気温度である出口排気温度Tmp3を検出するために設けられている。DPF22よりも上流の第1排気温度Tmp1と出口排気温度Tmp3との差は必ずしも一定ではなく、出口排気温度Tmp3が第1排気温度Tmp1よりも低いとは限らない。即ちDPF22には、捕集した粒子状物質が堆積していくため、粒子状物質を燃焼させる必要がある。従って排気温度を高めるために余分に燃料が噴射されたり、DPF22に図示しないバーナーが併設される等の措置がとられる。このため粒子状物質の燃焼時には、出口排気温度Tmp3が上昇する。またNOxセンサS1は、抵抗変化型、電流型等の公知のセンサであって、NO及びNOの両方が含まれるNOx濃度Cnx(ppm)を検出する。
(オゾン供給装置)
オゾン供給装置23は、DPF22よりも下流の排気通路15にオゾンを供給する。オゾンは酸化力が高いため、排気温度が比較的低いときであっても排気に添加されることにより、反応式(1)に示すように排気に含まれる一酸化窒素(NO)を酸化して二酸化窒素(NO)に変換する。
NO+O→NO+O・・・(反応式1)
このオゾン供給装置23は、オゾン発生器23a、オゾン供給ノズル23b、及び流量調整バルブ23cを備えている。オゾン発生器23aは、例えば無声放電式等の公知の構成の装置であって、空気中の酸素を原料としてオゾンを生成する。無声放電式のオゾン発生器23aは、オゾン発生空間を介して設けられた一対の電極板、電極板の間に介在する誘電体、及び交流高圧電源を備えている。交流高圧電源により電極間に高電圧を印加することによってオゾン発生空間の酸素を原料としてオゾンを発生する。またオゾン発生空間に供給される空気量を増減することによって所定範囲内でオゾン発生量を調整することができる。
オゾン供給ノズル23bは、排気通路15のうちDPF22の下流にオゾンを供給可能な位置に配置されている。オゾン発生器23aによって生成されたオゾンは、流量調整バルブ23cによって流量を調整されつつ、オゾン供給ノズル23bから排気通路15に供給される。
ECU20は、単位時間あたりのオゾンの質量流量を示すオゾン供給量Gozn(kg/sec)を算出し、該オゾン供給量Goznに基づき流量調整バルブ23cの開度を制御する。またオゾン発生器23aのオゾン供給量Goznの変化量が大きくなるときには、オゾン発生器23aに導入される空気量等を変更することでも調整してもよい。
(尿素水供給装置)
尿素水供給装置25は、オゾン供給ノズル23bよりも下流の排気通路15に尿素水を供給する。尿素水供給装置25は、タンク25a、尿素水供給ノズル25b、流量調整バルブ25c、及び圧送ポンプ25dを備えている。タンク25aは、尿素水を貯留し、図示しないヒータ、圧力調整機構等を備えている。タンク25aに貯留された尿素水は、圧送ポンプ25dの駆動によって吸引され、流量調整バルブ25cによって流量を調整されながら尿素水供給ノズル25bに送られる。排気通路15に供給された尿素水は、排気が所定温度以上のとき、反応式(2)のように加水分解してアンモニアとなる。
(NHCO+HO→2NH+CO・・・(反応式2)
尿素水を排気通路15に供給するとき、ECU20は、尿素水に含有される尿素の供給質量を示す尿素供給量Mur(kg/sec)を算出する。またECU20は、該尿素供給量Murに基づき流量調整バルブ25cの開度を制御し、圧送ポンプ25dを駆動する。
本実施形態で用いられる尿素水の加水分解温度TCは180℃前後の範囲に含まれる。図2に示すように、本実施形態では尿素水の加水分解温度TCを、前段酸化触媒21の活性温度TBと同じ温度である180℃に設定した。
(尿素水改質装置)
尿素水改質装置26は、尿素水を尿素系流体としてのアンモニアガスに改質して排気に添加するものであって、公知の構成の装置である。尿素水改質装置26は、尿素水改質器26a、タンク26b、圧送ポンプ26c、尿素水の流量を調整する流量調整バルブ26d、キャリアガス源26e、キャリアガスの流量を調整する流量調整バルブ26fを備えている。タンク26bには尿素水が貯留されているが、尿素水供給装置25と共通のタンクを用いてもよい。尿素水は、圧送ポンプ26cが駆動することにより、流量調整バルブ26dによって流量を調整されながら尿素水改質器26aに導入される。キャリアガス源26eには、圧縮空気が貯蔵されている。圧縮空気は、流量調整バルブ26fによって流量を調整されながら尿素水改質器26aに導入される。
尿素水改質器26aには、ハウジングと、該ハウジング内で尿素水を微小な孔から噴射するノズルが設けられ、ヒータによって加熱されたキャリアガスがノズルに吹き付けられることによって、尿素水がハウジング内で粒子化される。またハウジング内には、粒子化された尿素水をアンモニアに変換する触媒が設けられる。触媒は、例えばセラミックスからなるハニカム担体に、チタニア、ジルコニア又はゼオライトを担持したものである。この触媒によって、粒子化された尿素水が、上記反応式(2)に示されるように変換されてアンモニアガスになる。アンモニアガスは、尿素水改質器26aに設けられた吐出ノズル26nから排気通路15内に供給される。
ECU20は、排気温度に応じて、尿素水供給装置25及び尿素水改質装置26のいずれか一方を選択的に駆動する。尿素水供給装置25は、尿素水改質装置26よりもアンモニア生成量が大きく消費電力等も少ない。上述したように排気温度が尿素水の加水分解温度TCよりも低い場合には、尿素水のアンモニアへの変換が進みにくいため、尿素水改質装置26を駆動する。また排気温度が尿素水の加水分解温度TC以上である場合には、排気の熱により尿素水の加水分解反応が進むため、ECU20は尿素水供給装置25を駆動する。
尿素水改質装置26を駆動するとき、ECU20は、単位時間あたりのアンモニアガスの質量流量を示すアンモニア供給量GNH3(kg/sec)を算出する。そしてアンモニア供給量GNH3に基づき流量調整バルブ26d,26fの開度を制御する。
(選択還元型触媒)
排気浄化システム10は、選択還元型触媒27を備えている。選択還元型触媒27は、NOxをアンモニアに還元する選択的触媒還元(Selective Catalytic Reduction)を行う。選択還元型触媒27は、公知の触媒であって、例えばハニカム状のセラミックからなる担体に吸着性の高いゼオライト又はジルコニアを担持させたものである。選択還元型触媒27によって、NOxは反応式(3)〜(5)のように窒素に還元される。
NO+NO+2NH→2N+3HO・・・(反応式3)
4NO+4NH+O→4N+6HO・・・(反応式4)
6NO+8NH→7N+12HO・・・(反応式5)
このうち、NOとNOとが等量(等モル)で存在する反応式(3)の反応が最も速く進行する。
この選択還元型触媒27の近傍であって、該選択還元型触媒27の上流側には第2温度センサT2が設けられている。第2温度センサT2は選択還元型触媒27の直前の排気温度を検出し、第2排気温度Tmp2をECU20に出力する。
選択還元型触媒27は、排気温度が比較的低い温度域で不活性となる。図2に示すように、本実施形態では選択還元型触媒27の活性温度を150℃に設定した。
また排気通路15のうち選択還元型触媒27よりも下流には後段酸化触媒28が設けられている。後段酸化触媒28は、還元反応で消費されずに下流に排出されたアンモニアを分解する。
次に排気浄化システム10の動作について説明する。ECU20は、排気温度に応じて、オゾン供給量Goznを算出するとともに、尿素水供給装置25及び尿素水改質装置26を選択的に駆動するための処理を行う。該処理は、エンジン11の駆動時において、例えば数十ミリ秒等の所定間隔毎に繰り返される。尚、図4に、排気温度に応じて選択される装置及びその供給量と、オゾン供給量Goznとがあらわされたマップを示す。本実施形態では図3に示すフローチャートに従った制御を説明するが、該マップを用いた制御であってもよい。
図3に示すように、ECU20は、第1温度センサT1、第2温度センサT2及び出口温度センサT3から出力された第1排気温度Tmp1、第2排気温度Tmp2、及び出口排気温度Tmp3を読み込む(ステップS1)。上述したように第1排気温度Tmp1は、前段酸化触媒21を通過する排気の温度、第2排気温度Tmp2は選択還元型触媒27に流入する直前における排気の温度である。また出口排気温度Tmp3は、DPF22の出口における排気の温度である。
またECU20は、ROM等に予め格納された選択還元型触媒27の活性温度TAを読み出し、第2排気温度Tmp2が活性温度TA未満であるか否かを判断する(ステップS2)。このとき選択還元型触媒27の直前で検出した温度を用いることで活性化状態を把握することが可能となる。
第2排気温度Tmp2が活性温度TA未満であると判断すると(ステップS2においてYES)、ECU20は、オゾン供給量Gozn(kg/sec)を、排気に含まれるNOの質量流量であるNO排出量Gnoと等量(mol)とする(ステップS3)。
このときECU20は、出口排気温度Tmp3を読み込むとともに、NOxセンサS1が検出したNOx濃度Cnx(ppm)を読み込む。
尚、NOxセンサS1は、出口排気温度Tmp3が100℃以下ではセンサ表面に水が付着するため、100℃以下の低い温度領域では作動しない制御を行っている。このため、出口排気温度Tmp3が100℃以下の場合には、エンジン回転数Ne、燃料噴射量Qfin及び出口排気温度Tmp3をパラメータとするNOx濃度のマップに基づきNOx濃度Cnxを算出する。
またECU20は、出口排気温度Tmp3、エンジン回転数Ne、エンジン負荷等に応じて変化させたNO:NOの比率を示す比率マップを格納している。ECU20は、出口排気温度Tmp3や、図示しないクランク角センサから取得したエンジン回転数Ne等に基づき、NOxに対するNOの比率R(NO/NOx)を算出する。そして下式(1)のように、算出した比率RにNOx濃度Cnx(ppm)を乗算して、NO濃度Cno(ppm)を算出する。
Cno=R・Cnx ・・・(式1)
さらにECU20は、排出ガス量Ge(kg/sec)を算出する。排出ガス量Geは、下式(2)のようにエアフローメータAFから取得した吸入空気量Ga(kg/sec)と、単位時間当たりの燃料流量Gf(kg/sec)とを加算して算出される。
Ge=Ga+Gf ・・・(式2)
さらにECU20は、下式(3)に示すように、排出ガス量Ge(kg/sec)にNO濃度Cno(ppm)を乗算して、DPF22の出口における単位時間あたりのNO排出量を示すNO排出量Gno(kg/sec)を算出する。
Gno=Ge・Cno・10−6 ・・・(式3)
NO排出量Gnoを算出すると、ECU20は、NO排出量Gnoに基づきオゾン供給量Gozn(kg/sec)を設定する(ステップS3)。即ち下式(4)のように、算出したNO排出量Gno(kg/sec)に、NOのモル質量([NO]=30g/mol)に対するオゾンのモル質量([O]=48g/mol)の質量比率k1([O]/[NO]=48/30)を乗算して、オゾン供給量Gozn(kg/sec)とする。
Gozn=Gno・k1 ・・・(式4)
オゾン供給量Goznを算出すると、ECU20は、該オゾン供給量Goznに基づきオゾン供給装置23を駆動して、オゾンを供給する(ステップS4)。このときECU20は、オゾン発生器23aを駆動するとともに、流量調整バルブ23cをオゾン供給量Goznに応じた開度に制御する。その結果、NO排出量Gnoと等しい量のオゾンが排気通路15に供給され、NOの殆どがNOへ酸化され、NO/NOxの比率Rが1に近づく。
ステップS2で第2排気温度Tmp2が活性温度TA(150℃)未満であると判断された場合、尿素の加水分解速度も小さい。このためECU20は、尿素水供給装置25ではなく尿素水改質装置26を選択する。第2排気温度Tmp2が選択還元型触媒27の活性温度TA未満のときには、NOを触媒を介さずに以下の反応式(6)のように硝酸アンモニウム(NHNO)に変換することが可能である。
2NO+2NH→NHNO+N+HO・・・(反応式6)
尿素水改質装置26を選択すると、ECU20は、単位時間当たりのアンモニア供給量GNH3を算出する(ステップS10)。第2排気温度Tmp2が選択還元型触媒27の活性温度TAよりも低い場合、反応式(6)に示すように、NOと、該NOと等量のNHとが反応して硝酸アンモニウムへ変換されるため、NHの供給量は、NO排出量とほぼ等量とすればよい。上述したようにステップS3〜S4において、NOの大半をNOへ変換可能な量のオゾンを添加しているので、ここではアンモニア供給量GNH3をNOx排出量Gnxと等量とする。
このNOx排出量Gnxの算出方法の一例について説明する。ECU20は、ステップS3と同様にDPF出口における出口排気温度Tmp3及びNOx濃度Cnx(ppm)を読み込み、上記マップを用いてDPF出口におけるNOxに対するNOの比率Rを算出する。さらにNOx濃度Cnxに比率Rを乗算して、DPF出口におけるNO濃度Cno(ppm)を算出する。
さらにステップS3と同様に排出ガス量Geを算出し、該排出ガス量GeにNO濃度Cnoを乗算して、NO排出量Gno(kg/sec)を算出する。NO排出量Gnoを算出すると、ECU20は、下式(5)のように、該NO排出量Gnoに、NOのモル質量([NO]=30)に対するアンモニアのモル質量([NH]=17)の質量比率k2([NH]/[NO]=17/30)を乗算して、NOに対するアンモニア供給量GNH3―NOを算出する。
NH3―NO=Gno・k2 ・・・(式5)
またNO濃度Cnoを算出するときと同様に、NOx濃度Cnx及び比率Rを用いて、下式(6)のようにNO濃度Cnoを算出する。
Cno=Cnx・(1−R) ・・・(式6)
さらに排出ガス量GeにNO濃度Cnoを乗算して、NO排出量Gno(kg/sec)を算出する。NO排出量Gnoを算出すると、ECU20は、該NO排出量Gnoに、NOのモル質量([NO]=46)に対するアンモニアのモル質量([NH]=17)の質量比率k3([NH]/[NO]=17/46)を乗算して、NOに対するアンモニア供給量GNH3―NO2を算出する。
NH3―NO2=Gno・k3 ・・・(式7)
さらにECU20は、NOに対するアンモニア供給量GNH3―NO及びNOに対するアンモニア供給量GNH3―NO2を加算して、アンモニア供給量GNH3を算出する。
NH3=GNH3―NO+GNH3―NO2・・・(式8)
このようにアンモニア供給量GNH3を算出すると、ECU20は、該アンモニア供給量GNH3に基づき、尿素水改質装置26を駆動して排気通路15にアンモニアガスを供給する(ステップS11)。このときECU20は、尿素水の流量を調整する流量調整バルブ26dの開度、及びキャリアガスの流量を調整する流量調整バルブ26fの開度を制御する。その結果、排気温度が150℃以下の低温域であっても、尿素水改質装置26から排気通路15にとNOと等量のアンモニアガスが供給され、NOが触媒反応を経ずに硝酸アンモニウムに変換される。
一方、ステップS2において第2排気温度Tmp2が選択還元型触媒27の活性温度TA以上である場合(ステップS2においてNO)、選択還元型触媒を介した反応を進行させることができる。この反応では、触媒を介さない反応式(6)に示す硝酸アンモニウムを生成する反応に比べ、NO及びNOの還元を促進させることができる。反応式(4)の反応は進みにくいため、ECU20は、等量のNO及びNOをアンモニアと反応させる反応式(3)に必要なオゾン供給量Goznを算出する。
先ずECU20は、第1排気温度Tmp1が前段酸化触媒21の活性温度TB未満であるか否かを判断する(ステップS5)。前段酸化触媒21を通過する排気の温度である第1排気温度Tmp1が、前段酸化触媒21の活性温度TB以上であれば、前段酸化触媒21によりNO及びNOの比が1:1になるように酸化された後、主に反応式(3)に示される反応が進行する。また第1排気温度Tmp1が前段酸化触媒21の活性温度TB未満であれば、オゾンが供給されてNO及びNOの比が1:1になるように酸化された後、NO及びNOが反応式(3)に従って還元される。
即ちステップS5において第1排気温度Tmp1が前段酸化触媒21の活性温度TB未満であると判断した場合(ステップS5においてYES)、NOの排出量がNOの排出量よりも大きい。このためECU20は、NO及びNOの比を1:1に近づけるために、オゾン供給量Goznを、NO排出量GnoからNO排出量Gnoを減算した差分NO量ΔGnoと等量に設定する(ステップS6)。
ECU20は、上述したステップS3と同様に、出口排気温度Tmp3及びNOx濃度Cnx(ppm)を読み込む。また上記マップに基づきNOxに対するNOの比率Rを算出する。そして、NOx濃度Cnxに対し、比率Rを乗算してNO濃度Cno(ppm)を算出する。
さらにECU20は、DPF出口におけるNOの目標濃度Cnoi(ppm)を算出する。即ち、下式(9)のようにNO濃度Cnoに目標とする比率Ri(=0.5)を乗算する。
Cnoi=Ri・Cno ・・・(式9)
目標濃度Cnoiを算出すると、ECU20は、下式(10)のように、実際のNO濃度と目標濃度Cnoiとの差分である差分NO濃度ΔCno(ppm)を算出する。
ΔCno=Cno−Cnoi ・・・(式10)
さらにECU20は、ステップS3と同様に排出ガス量Ge(kg/sec)を算出する。そして排出ガス量Geに基づき、下式(11)のように、DPF出口におけるNOの目標量に対する差分NO量ΔGno(kg/sec)を算出する。
ΔGno=Ge・ΔCno・10−6 ・・・(式11)
さらにこの差分NO量ΔGno(kg/sec)と等量のオゾン供給量Goznを、差分NO量ΔGnoにオゾンのモル質量とNOのモル質量との質量比率k1を乗算することによって算出する。
Gozn=ΔGno・k1 ・・・(式12)
このようにオゾン供給量Goznを算出すると、ステップS4と同様にオゾン供給装置23を駆動して、オゾンを供給する(ステップS7)。
一方、ステップS5で第1排気温度Tmp1が前段酸化触媒21の活性温度TB以上であると判断すると(ステップS5においてNO)、NOがNOへ酸化され始め、反応式(5)のようにNOが窒素に還元される。従ってこの場合にはNOを酸化する必要がないため、オゾン供給量Goznを「0」に設定する(ステップS8)。尚、本実施形態における前段酸化触媒21は、第1排気温度Tmp1が活性温度TB以上である場合にもNO:NOの比が1:1付近になるようなスペックに調整されているため、NOxの全量がNOに変換されることはない。
このように第2排気温度Tmp2が選択還元型触媒27の活性温度TAよりも低いときのオゾン供給について設定を行うと、次いでECU20は第2排気温度Tmp2が加水分解温度TC(180℃)未満であるか否かを判断する(ステップS9)。第2排気温度Tmp2が、選択還元型触媒27の活性温度TA以上であって加水分解温度TC(180℃)未満の場合には(ステップS9においてYES)、上述したステップS10〜ステップS11を行って排気通路15にアンモニアガスを供給する。
一方、第2排気温度Tmp2が加水分解温度TC(180℃)以上の場合には(ステップS9においてNO)、添加した尿素をアンモニアに加水分解できる。このためECU20は、尿素水供給装置25を選択して、単位時間当たりに供給される尿素水中の尿素供給量Mur(kg/sec)を、NOx排出量Gnx(kg/sec)に対してモル比で1/2倍とする(ステップS12)。
即ち第2排気温度Tmp2が加水分解温度TC(180℃)以上の場合には、上述した反応式(2)及び反応式(3)の反応が進む。
(NHCO+HO→2NH+CO・・・(反応式2)
NO+NO+2NH→4N+3HO・・・(反応式3)
反応式(2)及び反応式(3)は、下記の反応式(7)で表される。
(NHCO+NO+NO→4N+2HO+CO…(反応式7)
反応式(13)ではNOx(NO+NO)2モルに対し、還元反応に必要な尿素は1モルであるため、尿素供給量MurはNOx排出量に対し1/2倍となる。実際に単位時間当たりに供給される尿素水供給量は、当該尿素供給量Murの尿素を含む尿素水に相当する量となる。
このときECU20は、ステップS3と同様にNO排出量Gnoを算出する。またECU20は、下式(13)のように、NOのモル質量([NO]=30)に対する尿素水のモル質量([NHCONH]=60)である質量比率k3([NHCONH]/[NO]=2)と、尿素水の濃度Cu(%)を乗算して、尿素供給量Mur(kg/sec)を算出する。
Mur=Gno・k3・Cu・10−2 ・・・(式13)。
尿素供給量Murを算出すると、ECU20は、尿素供給量Murを換算して実際の尿素水の供給量を算出し、該供給量に基づき尿素水供給装置25を駆動して尿素水を供給する(ステップS13)。
以上説明したように、上記実施形態の排気浄化システムによれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)第1実施形態によれば、排気温度Tmp1,Tmp2に応じて尿素水供給装置25及び尿素水改質装置26が選択的に駆動されるので、窒素酸化物(NOx)の還元反応のうち、その時点で進行しやすい反応を促進することができる。そして選択還元型触媒27の上流の第2排気温度Tmp2が活性温度TA未満の低温域であるときには、一酸化窒素と等量(等モル)のオゾンと、NHとが供給される。その結果、NOの殆どをNOに変換し、酸化性の高いNOとNHとを触媒を介さずに反応させて、硝酸アンモニウム及びNに変換することができる。即ち排気温度が選択還元型触媒27の活性温度TA未満であってもNOxを還元することができる。
(2)第1実施形態によれば、前段酸化触媒21を通過する排気温度を検出する第1温度センサT1と、オゾン供給装置23と選択還元型触媒27との間の温度を検出する第2温度センサT2とを用いるので、各触媒が活性にあるか否かの判定精度を向上できる。このため検出温度に応じた細かい制御が可能となる。前段酸化触媒21を通過する排気温度を示す第1排気温度Tmp1が前段酸化触媒21の活性温度TB未満である場合であって、選択還元型触媒27よりも上流の第2排気温度Tmp2が尿素水の加水分解温度TC未満のときと、加水分解温度TC以上のときに応じた制御が実行される。第2排気温度Tmp2が尿素水の加水分解温度TC未満のときには、尿素水のアンモニアへの変換が進みにくいために尿素水改質装置26を選択して駆動する。その際、NO排出量からNO排出量を減算した差分量のオゾンが供給されるため、NO及びNOの比が1:1となり最も反応速度が大きくなる状態で反応を進めることができる。また第2排気温度Tmp2が尿素水の加水分解温度TC以上のときには、上記差分量のオゾンと尿素水とが供給されるため、一酸化窒素及び二酸化窒素の比が1:1となり最も反応速度が大きくなる状態で反応を進めることができる。
(3)上記実施形態では、第1排気温度Tmp1が前段酸化触媒21の活性温度TB未満の場合であって、第2排気温度Tmp2が選択還元型触媒27の活性温度以上尿素水の加水分解温度TC未満のときと、第2排気温度Tmp2が尿素水の加水分解温度TC以上のときに応じて異なる制御が実行される。前段酸化触媒21の活性温度TB以上であるときにはNOのNOへの変換が促進されるためにオゾンは供給しない。また第2排気温度Tmp2が選択還元型触媒27の活性温度TA以上尿素水の加水分解温度TC未満のときにはNOx排出量と等量のNHを供給し、第2排気温度Tmp2が尿素水の加水分解温度TC以上のときには、尿素供給量がNOx排出量に対しモル比で1/2倍となるように尿素水を供給する。このためNOxを速やかに還元することができる。
尚、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、選択還元型触媒27の活性温度TAを150℃、前段酸化触媒21の活性温度TBを180℃、尿素水の加水分解温度TCを180℃に設定したが、温度は限定されない。少なくとも選択還元型触媒27の活性温度TAが、前段酸化触媒21の活性温度TB及び尿素水の加水分解温度TCよりも低ければよく、前段酸化触媒21の活性温度TB及び尿素水の加水分解温度TCは同じ温度でなくてもよい。
・前段酸化触媒21を、第1酸化触媒21a及び第2酸化触媒21bから構成したが、一つの酸化触媒から構成してもよい。また後段酸化触媒28は省略してもよい。
・上記実施形態では、排気温度が前段酸化触媒21の活性温度TB以上である場合にも、NO:NOの比が1:1付近になるように、前段酸化触媒21のスペックを調整したが、このような温度域においてNOxの殆どをNOに変換できるようなスペックにしてもよい。このように主に反応式(5)で表される反応が進む場合には、該反応式(5)及び反応式(2)に基づいて、例えば尿素供給量MurをNO排出量に対して2/3倍の質量(mol)となるようにしてもよい。
・排気浄化システム10が搭載されるエンジン11の構成はディーゼルエンジン、直列6気筒以外のエンジンに限定されない。エンジン11はガソリンエンジンであってもよく、シリンダをV字状に配置したV型エンジンでもよく、水平対向エンジンでもよい。また、エンジンは、ターボチャージャやスーパーチャージャを備えた過給エンジンでなくてもよい。さらに、エンジンはEGRシステムを搭載しないエンジンであってもよい。
・上記実施形態では、尿素水改質装置26によってアンモニアを供給したが、他のアンモニア供給装置を用いてもよい。例えばアンモニアを安全に貯留可能であれば、アンモニア水を貯留したタンクを用いてもよい。
・上記実施形態では、説明の便宜上、オゾン供給量Goznを算出する処理と、尿素水供給装置25及び尿素水改質装置26のいずれかを選択し供給量を算出する処理とを連続して行うようにしたが、それらの処理は並行して行うことができる。
10…排気浄化システム、11…エンジン、15…排気通路、20…制御部としてのECU、21…前段酸化触媒、23…オゾン供給装置、25…尿素水供給装置、26…尿素水改質装置、27…選択還元型触媒、T1…第1温度検出部としての第1温度センサ、T2…第2温度検出部としての第2温度センサ。

Claims (4)

  1. エンジンの排気通路に設けられた酸化触媒と、
    前記排気通路のうち前記酸化触媒よりも下流に設けられ窒素酸化物を還元する選択還元型触媒と、
    前記排気通路のうち前記酸化触媒よりも下流であって前記選択還元型触媒の上流にオゾンを供給するオゾン供給装置と、
    尿素水を前記排気通路のうち前記選択還元型触媒の上流に供給する尿素水供給装置と、
    尿素水をアンモニアガスに変換して前記選択還元型触媒の上流に供給する尿素水改質装置と、
    前記排気通路のうち前記酸化触媒を通過する前又は通過中の排気の温度である第1排気温度を検出する第1温度検出部と、
    前記オゾン供給装置と前記選択還元型触媒との間の排気温度である第2排気温度を検出する第2温度検出部と、
    オゾン供給量を算出し、該オゾン供給量に基づき前記オゾン供給装置を駆動するとともに、前記第2排気温度が低温域のときに前記尿素水改質装置を選択し、前記第2排気温度が高温域のときに前記尿素水供給装置を選択して駆動する制御部とを備え、
    前記制御部は、
    前記第2排気温度が前記選択還元型触媒の活性温度未満であるときに、オゾン供給量を一酸化窒素量と等量とし、前記尿素水改質装置を駆動して前記排気通路にアンモニアガスを供給し、
    前記第2排気温度が前記選択還元型触媒の活性温度以上であって尿素水の加水分解温度よりも低く、且つ前記第1排気温度が前記酸化触媒の活性温度未満である場合には、前記オゾン供給量を一酸化窒素量から二酸化窒素量を減算した差分量と等量とし、前記尿素水改質装置を駆動し、
    前記第2排気温度が尿素水の加水分解温度以上であって、且つ前記第1排気温度が前記酸化触媒の活性温度未満である場合には、前記オゾン供給量を一酸化窒素量から二酸化窒素量を減算した差分量と等量とし、前記尿素水供給装置を駆動する排気浄化システム。
  2. 記制御部は、
    記第1排気温度が前記酸化触媒の活性温度以上であって、前記第2排気温度が前記選
    択還元型触媒の活性温度以上尿素水の加水分解温度未満の場合には、オゾンを供給せず、一酸化窒素及び二酸化窒素の両方を含む窒素酸化物量と等量のアンモニアを供給し、
    前記第1排気温度が前記酸化触媒の活性温度以上であって、前記第2排気温度が尿素水の加水分解温度以上の場合には、オゾンを供給せず、尿素水を供給するとともに、供給される尿素水に含有される尿素量を一酸化窒素及び二酸化窒素の両方を含む窒素酸化物量に対してモル比で1/2倍とする請求項に記載の排気浄化システム。
  3. 前記制御部は、
    前記第2排気温度が前記選択還元型触媒の活性温度以上であって尿素水の加水分解温度よりも低く、且つ前記第1温度検出部により検出された第1排気温度が前記酸化触媒の活性温度未満である場合には、一酸化窒素及び二酸化窒素の両方を含む窒素酸化物量と等量のアンモニアを供給し、
    前記第2排気温度が尿素水の加水分解温度以上であって、且つ前記第1排気温度が前記酸化触媒の活性温度未満である場合には、一酸化窒素及び二酸化窒素の両方を含む窒素酸化物量と等量のアンモニアを生成するための尿素水を供給する請求項1又は2に記載の排気浄化システム。
  4. エンジンの排気に含まれる窒素酸化物を、酸化触媒及び該酸化触媒の下流に設けられ窒素酸化物を還元する選択還元型触媒を用いて浄化する排気浄化方法において、
    排気通路のうち前記酸化触媒を通過する前又は通過中の排気の温度である第1排気温度と、前記排気通路のうち前記選択還元型触媒よりも上流の排気温度である第2排気温度とを検出し、
    前記第2排気温度が前記選択還元型触媒の活性温度未満であるときに、前記排気通路のうち前記酸化触媒及び前記選択還元型触媒の間に一酸化窒素量と等量のオゾンを供給するとともに、アンモニアガスを供給し、
    前記第2排気温度が前記選択還元型触媒の活性温度以上であって尿素水の加水分解温度よりも低く、且つ前記第1排気温度が前記酸化触媒の活性温度未満である場合には、前記排気通路のうち前記酸化触媒及び前記選択還元型触媒の間に一酸化窒素量から二酸化窒素量を減算した差分量と等量のオゾンを供給するとともに、アンモニアガスを供給し、
    前記第2排気温度が尿素水の加水分解温度以上であって、且つ前記第1排気温度が前記酸化触媒の活性温度未満である場合には、前記排気通路のうち前記酸化触媒及び前記選択還元型触媒の間に一酸化窒素量から二酸化窒素量を減算した差分量と等量のオゾンを供給するとともに、尿素水を供給することを特徴とする排気浄化方法。
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