JP7275980B2 - 排気浄化システム - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の排気を浄化する排気浄化システムに関する。
内燃機関の排気に含まれる窒素酸化物(NOx)の浄化に用いられる代表的な触媒として、リーンノックストラップ(Lean NOx Trap:LNT)触媒、選択的還元(Selective Catalytic Reduction:SCR)触媒、三元触媒(Three Way Catalyst:TWC)等が知られている。LNT触媒は、排気中のNOxを一時的に吸蔵してから還元する、NOx吸蔵還元型の浄化触媒である。特許文献1に記載されているように、LNT触媒を触媒層に備えた排気浄化システムにおいては、触媒層の上流側にオゾンを供給する技術が知られている。オゾンを供給することにより、排気中の一酸化窒素(NO)が、よりLNT触媒に吸着され易い二酸化窒素(NO2)に酸化されるため、LNT触媒に吸着されるNOxの量が増加する。これによって、LNT触媒におけるNOxの還元反応による浄化が促進される。
特開2015-108350号公報
触媒層の温度が低い等により、NOx浄化触媒において、NOx浄化に係る触媒活性が十分に得られないことがある。LNT触媒等と称されるNOx吸蔵還元型の浄化触媒は、NOxを還元するに際してNOxを吸蔵する必要があるため、NOx吸着種を導入する等により、NOx吸着量が高くなるように調製される。このため、NOx吸蔵還元型のNOx浄化触媒を用いる場合には、NOx還元反応の触媒活性が十分に得られないときにも、NOxを吸着することにより、排気中のNOx量をある程度低減させることができる。これに対し、SCR触媒や三元触媒等のNOx吸蔵還元型ではないNOx浄化触媒は、NOxを還元するに際してNOxを吸蔵する必要が無いため、必ずしもNOx吸着量が高くなるようには調製されない。このため、SCR触媒や三元触媒を用いる場合には、NOx還元反応の触媒活性を十分に得られないときに、NOxを吸着することは殆どできず、排気中のNOx量を殆ど低減できないことがある。
上記に鑑み、本発明は、SCR触媒や三元触媒を触媒層に備えた排気浄化システムにおいて、窒素酸化物量を低減する能力を確保する技術を提供することを目的とする。
本発明は、内燃機関からの排気を浄化する排気浄化システムを提供する。この排気浄化システムは、前記内燃機関の排気管に配置された触媒層と、前記触媒層にオゾンを供給するオゾン供給装置と、前記オゾン供給装置を制御する制御装置と、を備える。前記触媒層は、前記排気中の窒素酸化物を浄化する触媒として、前記排気管に供給される還元剤により選択的に窒素酸化物を還元する選択的還元触媒と、前記排気中の一酸化炭素または炭化水素を還元剤として窒素酸化物を還元する三元触媒との少なくともいずれか一方を含む。前記制御装置は、前記内燃機関から排出される窒素酸化物量に対しての前記触媒層に供給するオゾン量の供給比を制御する供給比制御部を備える。
本発明者は、鋭意研究の結果、選択的還元触媒(SCR触媒)、三元触媒(TWC)にオゾンを供給することにより、各触媒におけるNOxの吸着量を増加させられることを見出した。
本発明に係る排気浄化システムでは、触媒層は、排気管に供給される還元剤により選択的にNOxを還元する選択的還元触媒と、排気中の一酸化炭素または炭化水素を還元剤としてNOxを還元する三元触媒との少なくとも1つを触媒として含む。そして、オゾン供給装置および制御装置によって、この触媒層にオゾンを供給することができる。さらに、制御装置は、内燃機関から排出される窒素酸化物量に対しての触媒層に供給するオゾン量の供給比を制御する供給比制御部を備える。これによって、選択的還元触媒や、三元触媒におけるNOx吸着量を増大させることができる。触媒層に含まれる選択的還元触媒または三元触媒の状態が、NOx還元反応に係る触媒活性を十分に得られない状態であっても、オゾン供給装置から触媒層にオゾンを供給することにより、各触媒におけるNOxの吸着量を増大させて、NOx量を低減する能力を確保することができる。
第1実施形態に係る排気浄化システムの概略図。 触媒名称と、その別称および具体例を示す表。 触媒温度とNOx浄化率との関係を示す図。 SCR触媒に吸着されるNOx量と供給比との関係を示す図。 DOCに吸着されるNOx量と供給比との関係を示す図。 アルミナに吸着されるNOx量と供給比との関係を示す図。 図7(a)はオゾン供給なしの場合のLNT触媒の表面の顕微FT-IRイメージング図。図7(b)はオゾン供給ありの場合のLNT触媒の表面の顕微FT-IRイメージング図。 SCR触媒に吸着されるNOx量と供給比との関係を示す図。 供給比制御について説明する図。 第1実施形態に係る排気浄化制御のフローチャート。 他の実施形態に係る触媒層の形態を示す概略図。 触媒層の配置と、オゾンおよび還元剤の供給位置とを例示する図。 触媒層の配置と、オゾンおよび還元剤の供給位置とを例示する図。 他の実施形態に係る触媒層の形態を示す概略図。 触媒層の配置と、オゾンおよび還元剤の供給位置とを例示する図。 触媒層の配置と、オゾンおよび還元剤の供給位置とを例示する図。
(第1実施形態)
図1に示すように、排気浄化システム10は、内燃機関20から排出される排気中に含まれる所定成分を触媒層40により浄化可能なシステムとして構成されている。排気浄化システム10は、さらに、オゾン供給装置30と、還元剤供給装置60とを備えている。
内燃機関20は、ディーゼルエンジンであり、吸気管11から吸入した空気は、過給装置13によって圧縮されて内燃機関20の燃焼室内に吸入され、この燃焼室内において、燃料噴射弁から噴射された燃料とともに燃焼に供される。
過給装置13は、吸気管11に配置された吸気コンプレッサ14と、排気管12に配置された排気タービン15と、吸気コンプレッサ14と排気タービン15とを連結する回転軸16とを備えている。内燃機関20からの排気により排気タービン15が回転されると、その回転に伴い吸気コンプレッサ14が回転され、吸気の過給が行われる。
排気管12には、排気タービン15の出口近傍に、排出NOxセンサ22が設けられている。排出NOxセンサ22は、内燃機関20において発生した窒素酸化物量(NOx量)を濃度として検出する。排気管12には、排出NOxセンサ22よりも下流側に触媒層40が配置されている。内燃機関20からの排気は、排気管12を通過して触媒層40において浄化される。排気管12には、触媒層40の出口近傍に、触媒後NOxセンサ24が設けられている。触媒後NOxセンサ24は、触媒層40によって浄化された後の排気中のNOx量を濃度として検出する。
触媒層40は、上流側から順に、第1触媒層41と、第2触媒層42とを備えている。第1触媒層41には、触媒層の温度を検出する触媒温度センサ23が設置されている。図2に、本明細書における触媒名称と、その別名、および具体例を示す。本明細書では、図2に示す触媒名称は、その別名で称される各触媒を含むものとして取り扱う。
第1触媒層41としては、少なくとも、窒素酸化物(NOx)を浄化するNOx浄化触媒を含む触媒層が備えられる。具体的には、NOx浄化触媒としては、選択的還元触媒(SCR触媒)または三元触媒(TWC)のうちの一方または双方が含まれる。
SCR触媒は、排気管12に供給される還元剤により選択的にNOxを還元する触媒である。SCR触媒において還元剤として用いられる物質の代表例としては、アンモニア(NH3)、炭化水素(HC)、水素(H2)、アルデヒド類(RCHO)を挙げることができる。SCR触媒においては、NOx(NO,NO2)は、還元剤によりN2に還元される。還元剤は、酸化されて、その種類によって、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、N2等が生成される。なお、アンモニアを還元剤として用いる場合には、排気管12に尿素水等として供給され、排気管12内でアンモニアが生成される。
SCR触媒としては、例えば、金属酸化物等の担体と、貴金属または卑金属の活性種とを含む触媒が知られている。より具体的には、図2に示すように、還元剤としてアンモニアを用いるSCR触媒の具体例として、銅(Cu)や鉄(Fe)等をカチオン種として含むZSM5等のゼオライト触媒を例示できる。また、HC,H2、RCHOを還元剤として用いるSCR触媒の具体例として、銀(Ag)またはプラチナ(Pt)をアルミナ(Al2O3)に担持した触媒を例示できる。
三元触媒は、排気中の一酸化炭素(CO)または炭化水素(HC)を還元剤としてNOxを還元する触媒である。三元触媒によれば、例えば下記式(1)~(3)に示す触媒反応により、COは二酸化炭素(CO2)に酸化され、HCは水(H2O)またはCO2に酸化され、NOxは、窒素(N2)に還元される。
2CO+2NO→2CO2+N2 … (1)
2H2+2H2+2NO→2H2+2NO→2H2O+N2 … (2)
[HC]+NO→N2+CO2+H2O … (3)
三元触媒としては、例えば、金属酸化物等の担体と、貴金属の活性種とを含む触媒が知られている。より具体的には、図2に示すように、三元触媒の具体例として、プラチナ(Pt),パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属触媒をアルミナ、セリア/ジルコニア(CeO2/ZrO2)等に担持した触媒を例示できる。三元触媒は、さらに、助触媒として、酸素貯蔵能を有するセリア(CeO2)、ジルコニア(ZrO2)、ランタニア(La2O3)等を含んでいてもよい。
SCR触媒や三元触媒は、NOx吸蔵還元型ではないNOx浄化触媒であり、一般に、NOx吸着性が高くなるように調製されない。このため、一般に、LNT触媒等と称されるNOx吸蔵還元型の触媒よりも、NOxの吸着量が低い。
LNT触媒は、内燃機関20の通常運転時はNOxを触媒上に吸蔵させ、時折、リッチスパイク(燃料を多めに噴射すること)により、排出ガス中の酸素(O2)を低減させ、かつ、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を増加させる。そして、吸蔵したNOxと反応させて窒素に還元する。LNT触媒としては、例えば、金属酸化物等の担体と、貴金属または卑金属の活性種と、NOx吸着種とを含む触媒が用いられている。より具体的には、図2に示すように、LNT触媒の具体例として、Pt,Pd,Rh等の貴金属種と、NOx吸着種としてのバリウム(Ba)やセリウム(Ce)を含む触媒を例示できる。
LNT触媒の別称としては、NSR(NOx Strage Reduction)触媒、NAC(NOx Absorption Catalyst)、DPNR(Diesel Particulate-NOx Reduction)触媒等を挙げることができる。本明細書においては、LNT触媒という用語は、上記別称で称される各触媒を含む意味で用いる。
第2触媒層42としては、第1触媒層41により浄化されなかった成分を除去するための触媒を備えた触媒層が配置される。例えば、第1触媒層41としてアンモニアを還元剤とするSCR触媒を用いる場合には、アンモニアスリップ触媒(ammonia slip catalyst;ASC)等を第2触媒層42の触媒として用いることが好ましい。ASCは、酸化触媒であり、主に、排ガス温度が低い時に(例えば、200℃未満程度)、アンモニアがSCR触媒をスリップして(すり抜けて)外気中に放出されることを抑制する目的で設置される。ASCにおいて、アンモニアは、窒素や水、NOxに変換される。
また、触媒層40は、さらに、NOx浄化触媒以外の触媒を含んでいてもよい。例えば、ディーゼル酸化触媒(Diesel Oxidation Catalyst:DOC)を含む触媒層や、ディーゼル微粒子捕集フィルタ(Diesel Particulate Filter;DPF)を含んでいてもよい。
DOCは、排気に含まれる粒子状物質(Particulate matter:PM)中の可溶有機成分(Soluble Organic Fraction:SOF)や、排気中のCO及びHCを酸化する触媒である。DOCとしては、例えば、金属酸化物等の担体と、貴金属または卑金属の活性種とを含む触媒が用いられている。図2に示すように、DOCの代表例としては、Pt,Pd等の貴金属触媒をアルミナやゼオライトに担持した触媒を例示できる。排気管12に配置する場合には、ハニカム構造のアルミナ担体にPt,Pdを担持した形態で用いられることが多い。
DPFは、排気中の粒子状成分を浄化する触媒を備えた粒子捕集フィルタである。DPFとしては、例えば、金属酸化物等の担体と、貴金属または卑金属の活性種とを含む触媒が用いられている。図2に示すように、DPFの代表例としては、Pt,Pd等の貴金属触媒をハニカム構造のアルミナに担持した触媒を例示できる。DPFは、排気中の粒子状物質(Perticulate Matter:PM)をろ過して捕集する。
DPFの別称としては、DPR(Diesel Particulate active Reduction system)、DPD(Diesel Particulate Defuser)、CRT(Continuously Regenerating Trap、または、ContinuouslyRegenerating Technology)、CSF(Catalyzed Soot Filter)等を挙げることができる。本明細書においては、DPFという用語は、上記別称で称される各触媒を含む意味で用いる。
DOCまたはDPFに代えて、NOx吸着(Passive NOx Adsorption:PNA)触媒を配置してもよい。PNA触媒としては、例えば、金属酸化物等の担体と、NOx吸着種とを含む触媒が用いられている。図2に示すように、PNA触媒の具体例としては、LNT触媒に対して、還元剤であるRhを含まない構造を有する触媒を例示できる。
本実施形態では、以下、第1触媒層41として、アンモニアを還元剤とするSCR触媒を用い、第2触媒層42として、ASCを用いた場合を例示して説明する。
オゾン供給装置30は、エアポンプ32と、オゾン生成器33とを備えている。エアポンプ32は、例えば電動ポンプであって、外部から吸入した空気を加圧してオゾン生成器33に送風することができる。エアポンプ32の出口には、空気量センサ35が設けられており、エアポンプ32からオゾン生成器33に送風する空気の流量を検出することができる。
オゾン生成器33は、オゾン供給管31を介して接続されている。オゾン供給管31は、触媒層40の上流側かつ排出NOxセンサ22の下流側となる位置において、排気管12に接続されている。オゾン供給管31の先端には、オゾン供給口37が設けられており、オゾン供給口37は、排気管12の内部に挿入されている。オゾン供給管31には、排気管12からの排気の逆流を抑制する目的で、開閉弁34が設けられている。開閉弁34は、排気管12に対するオゾン供給時には開放され、オゾン供給の停止時には閉鎖される。
オゾン生成器33は、ハウジング内に複数の電極板を備えている。エアポンプ32からオゾン生成器33に供給された空気が複数の電極板の間を通過する際に、複数の電極板間に高電圧が印加されて放電が起こることにより、オゾン(O3)を生成することができる。オゾン生成器33により生成されたオゾンは、オゾン供給管31を介して、オゾン供給口37から排気管12中に供給される。オゾン供給口37は、触媒層40の上流側において排気管12に挿入されており、オゾンは触媒層40の上流側に供給される。
還元剤供給装置60は、インジェクタ61と、タンク62と、還元剤供給管63と、ポンプ64とを備えている。インジェクタ61は、触媒層40およびオゾン供給管31の上流側かつ排出NOxセンサ22の下流側となる位置において、排気管12に接続されている。タンク62には、還元剤を含む液体として、尿素水(尿素水溶液)が貯留されている。還元剤供給管63は、インジェクタ61とタンク62とを接続し、ポンプ64は、還元剤供給管63に設けられている。ポンプ64を駆動することにより、タンク62に貯留された尿素水が還元剤供給管63を通過してインジェクタ61に供給され、インジェクタ61から排気管12内に尿素水を噴射することができる。
インジェクタ61から噴射された尿素水の液滴は壁面に衝突して微細化、もしくは壁面に付着して蒸発した後に、下記式(4)に示す熱分解反応、下記式(5)に示す加水分解により、尿素(CO(NH2)2)からアンモニアへと変化し、第1触媒層41に供給される。
CO(NH2)2→NH3+HNCO … (4)
HNCO+H2O→NH3+CO2 … (5)
第1触媒層41において、SCR触媒により、下記式(6)~(8)に示す触媒反応が起こる。これによって、NH3を還元剤としてNOxが還元され、窒素(N2)と水(H2O)に変化する。なお、下記式(6)は、Fast反応、式(7)はStandard反応、式(8)はSlow反応と呼ばれる。
NO+NO2+2NH3→2N2+3H2O … (6)
4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O … (7)
6NO2+8NH3→7N2+12H2O … (8)
排出NOxセンサ22、触媒温度センサ23、触媒後NOxセンサ24、および空気量センサ35の検出値は、ECU50に出力される。ECU50は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータを主体として構成された電子制御ユニットであり、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、前述した各種センサの検出信号に基づいて、内燃機関20および排気浄化システム10の各種制御を実行する。ECU50は、内燃機関20の燃焼制御を実行する機能を有するとともに、オゾン供給装置30からのオゾン供給量制御、および、還元剤供給装置60からの還元剤供給量制御を実行する制御装置としての機能を有する。
ECU50は、温度情報取得部51と、成分量取得部52と、供給比制御部53と、推定部54と、オゾン量制御部55と、燃焼制御部56と、を備えている。
温度情報取得部51は、触媒層40を構成する各触媒層の温度情報をそれぞれ取得する。温度情報取得部51によって取得された温度情報は、ECU50に記憶されてもよい。各触媒層の温度情報は、各触媒層に設置された温度センサ(例えば、触媒温度センサ23)により検出される温度の検出値であってもよいし、推定値であってもよい。
温度情報取得部51は、第1触媒層41の温度に関連する他のパラメータを温度情報として取得してもよい。温度情報は、第1触媒層41の温度に関連する他のパラメータとしては、例えば、第1触媒層41の昇温開始時からの経過時間、内燃機関20の暖機の完了、内燃機関20の冷却戻り水の水温、内燃機関20の始動時からの燃料消費量、経過時間、走行距離等を挙げることができる。
成分量取得部52は、排気中に含まれる各成分の成分量の検出値または推定値を取得する。例えば、NOxの成分量として、排出NOxセンサ22および触媒後NOxセンサ24により検出される排気中のNOx量を取得する。すなわち、成分量取得部52は、内燃機関20から排出されるNOx量を取得する排出NOx量取得部としての機能と、触媒層40を通過後の排気中のNOx量を取得する触媒後NOx量取得部としての機能とを有する。成分量取得部52によって取得されたデータは、ECU50に記憶されてもよい。
供給比制御部53は、成分量取得部52が取得するNOx量に対しての触媒層40に供給するオゾン量の供給比を制御する。例えば、触媒層40に供給されるNOxの物質量をN1、オゾンの物質量をN2とすると、物質量比として算出される供給比Kは、下記式(9)により表すことができる。
K=N2/N1 … (9)
供給比制御部53は、第1触媒層41の温度情報に基づいて、触媒層40に供給するオゾン量を制御する。より具体的には、第1触媒層41の温度情報が、第1触媒層41の温度が所定の温度閾値未満であることを示す状態である場合に、触媒層40にオゾンを供給する「オゾン供給モード」を選択する。第1触媒層41の温度情報が、所定の温度閾値以上であることを示す状態である場合に、触媒層40にオゾンを供給しない「通常モード」を選択する。なお、温度閾値は、例えば、第1触媒層41に含まれる所定の触媒の活性温度TAに設定することができる。より具体的には、第1触媒層41に配置されるSCR触媒もしくは三元触媒の活性温度TAに設定してもよい。
なお、活性温度TAとは、触媒のNOx浄化能力(触媒の有する最大浄化能力を100%とする指標)が高確率(例えば90%程度)となる温度である。図3に示すように、SCR触媒や三元触媒においては、触媒温度がT1程度までの低温域では触媒活性が殆ど無い。そして、低温域から触媒温度が上昇するに際し、触媒温度T1~T2に示す中温域において、触媒活性が著しく上昇して高確率に達する。そして、触媒温度がT2に達した後の高温域において、触媒活性は略一定となる。例えば、触媒活性の著しい上昇が完了した触媒温度T2を活性温度TAとして用いることができる。
供給比制御部53は、触媒層40にNOxを吸着させることを目的として、触媒層40にオゾン供給するオゾン量を制御する。供給比制御部53は、NOxの還元反応が殆ど起こらない触媒温度がT1程度までの低温域と、NOxの還元反応における触媒活性が十分に高くない触媒温度がT1~T2程度までの中温域において、触媒層40にオゾンを供給するように構成されている。
例えば、特開2016-70181号公報のように、SCR触媒におけるNOxの還元反応を促進する目的で、上記式(6)に示すFast反応が主反応となるように、SCR触媒の上流側で排気中にオゾンを供給する技術が知られている。この技術では、SCR触媒に供給される排気中のNOx中の成分比(NO2/NO)が1となるように、オゾンの供給量を制御する。具体的には、オゾンを供給することにより、下記式(10)に示す反応によりNOをNO2に変化させ、成分比(NO2/NO)を1に制御する。このため、オゾン供給量は、NO2に変化させたいNOの物質量に等しくなるように制御される。例えば、排気中のNO2、NOの物質量を個別に検出または推定し、成分比(NO2/NO)が1となるように、供給するオゾン量を算出し、制御する。
NO+O3→NO2+O2 … (10)
また、オゾンは、SCR触媒等におけるNOxの還元反応を促進する目的で供給されるため、中温域において供給される。低温域では、触媒層40においてNOx還元反応が殆ど起こらないため、SCR触媒に供給される排気中の成分比(NO2/NO)を1に制御しても、SCR触媒におけるNOx還元反応を促進する効果が殆ど得られない。このため、従来のように、SCR触媒等におけるNOxの還元反応を促進する目的でオゾンを供給する場合には、低温域においては、オゾンは供給されない。
これに対し、本実施形態では、触媒層40におけるNOx還元反応を促進する目的ではなく、触媒層40にNOxを吸着させる目的で、触媒層40に供給するオゾン量を制御する。このため、供給比制御部53は、触媒層40において吸着させたいNOxの総量に基づいて供給するオゾン量を算出するように構成されており、その内訳であるNO2、NOの個別の物質量の検出値または推定値を取得する必要がない。また、触媒層40にNOxを吸着させる目的でオゾン供給量を制御するため、供給比制御部53は、従来のように中温域だけではなく、触媒活性が殆ど得られない低温域においても、触媒層40にオゾンを供給するように構成されている。
供給比制御部53によるオゾン供給量の制御について、実験データを参照しながら、さらに説明する。図4は、NOxの吸着/昇温脱離(TPD)試験により得られた、SCR触媒に供給されたNOxの吸着率(%)と、SCR触媒に蓄積するNOx量との関係を示す図である。なお、試料としては、基材がコージェライト、コート材がゼオライト、活性種がCu、FeであるSCR触媒を用いた。また、NOxの吸着時には、試料温度を100℃とし、成分としてNO;100ppm、H2O;3vol%、O2;10vol%、CO2;3vol%を含むN2バランスの供給ガスを空間速度SV;47000(1/h)で20分間供給した。NOxの昇温脱離時には、成分としてO2を10vol%含むN2バランスの供給ガスを空間速度SV;47000(1/h)を供給し、100℃から550℃まで20分間で昇温した。
図4において、参照番号1は、上記式(9)においてK=1とした場合を示し、参照番号3は、上記式(9)において、K=3とした場合を示し、参照番号5は、オゾンを供給しなかった場合(すなわちK=0)である場合を示す。また、縦軸に示す吸着率Y(%)は、下記式(11)に基づいて算出した。なお、Cniは触媒上流のガス中のNOx濃度を示し、Cnoは触媒下流のガス中のNOx濃度を示す。
Y=100×(Cni-Cno)/Cni … (11)
参照番号5に示すように、オゾン供給を行わない場合では、NOxの吸着率は、ほぼ零であった。これに対し、参照番号1,3に示すように、オゾン供給を行った場合には、SCR触媒に供給比K=1でオゾン供給を行うことにより、SCR触媒におけるNOx吸着率を40~50%まで向上させることができた。さらに、SCR触媒に供給比K=3でオゾン供給を行うことにより、SCR触媒におけるNOx吸着率を90%以上まで向上させることができた。すなわち、図4に示すように、オゾンを供給しない場合には、NOx浄化率が殆ど零であるSCR触媒に対して、オゾンを供給することによってNOx浄化率を向上させることができることが、本発明者により新たな知見として見出された。
また、図5は、試料として、基材がコージェライト、コート材がアルミナ、活性種がPt、PdであるDOCを用い、同様にNOxの吸着/昇温脱離試験を行うことにより得られた試験結果を示す図である。図5において、参照番号4は、上記式(9)において、K=3とした場合を示し、参照番号2は、オゾンを供給しなかった場合(すなわちK=0)である場合を示す。
参照番号2に示すように、オゾン供給を行わない場合では、NOxの吸着率は、ほぼ零であった。これに対し、参照番号4に示すように、DOCに供給比K=3でオゾン供給を行うことにより、DOCにおけるNOx吸着率を80%以上まで向上させることができた。すなわち、図5に示すように、オゾンを供給しない場合には、NOx浄化率が殆ど零であるDOCに対して、オゾンを供給することによってNOx浄化率を向上させることができることが、本発明者により新たな知見として見出された。
供給比K=1とした場合には、排気中のNOxの物質量の全量に対して等倍のオゾンが供給されるため、上記式(10)に示す反応により、オゾンによって排気中のNOx中の一酸化炭素(NO)を二酸化炭素(NO2)に酸化させるためには十分な供給量であると推察される。しかしながら、図4に示すように、SCR触媒においては、供給比K=1ではNOx吸着率は40~50%であり、供給比K=3にした場合に、NOx吸着率を100%に近い値まで高くすることができることが、上記式(10)からは予測し得ない新たな知見として見出された。また、図5に示すように、DOCにおいても、供給比K=3にした場合に、NOx吸着率を80%以上に高くすることができることが、新たな知見として見出された。
図4,5に示すように、オゾン供給モードにおいて、NOx吸着率を確保するためには、触媒層40にオゾンを供給する際の供給比は、物質量比で算出して等倍以上に設定されることが好ましく、等倍~3倍、もしくは、3倍以上に設定されてもよい。すなわち、NOx吸着率を確保するためには、上記式(9)に示す供給比Kを、K≧1の範囲で設定することが好ましく、1≦K≦3の範囲、または、K≧3の範囲で設定してもよい。供給比Kが、等倍~3倍程度の範囲内では、供給比Kの増加に伴いNOx吸着率が向上していることから、供給するオゾン量に対して、効率よくNOx吸着率を向上させるためには、供給比Kは、等倍~3倍程度の範囲内で設定されることが好ましい。すなわち、供給するオゾン量に対して効率よくNOx吸着率を向上させるためには、上記式(9)に示す供給比Kを、1≦K≦3の範囲で設定することが好ましい。供給比Kは、ECU50に記憶されていてもよい。
供給比Kが等倍~3倍程度の範囲内において、供給比Kの増加に伴いNOx吸着率が向上する理由は、下記式(12)に示す反応により三酸化窒素(NO3)が生成し、SCR触媒、DOCの担体として用いられるアルミナ等の金属酸化物に吸着されたためであると推察される。等倍を超える供給比Kでオゾンを供給することにより、下記式(12)に示す反応が促進され、NO3の生成が促進される。NO3は、NO2よりもさらに酸性度が高いため、金属酸化物に吸着され易い。このため、NO3の生成を促進することにより、NOx吸着種として用いられる塩基性が高い金属酸化物(例えば酸化バリウム;BaO)と比較して塩基性が低い金属酸化物(例えば、アルミナ)によって吸着され易くなり、NOx浄化率を向上させられることができたと推察される。
NO2+O3→NO3+O2 … (12)
アルミナ等の金属酸化物のNOx吸着能に対するオゾン供給の影響について、さらに実験により検証した。図6は、試料として、コート材に組成として含まれるアルミナを用い、同様にNOxの吸着/昇温脱離試験を行うことにより得られた試験結果を示す図である。図6は、上記式(9)において、K=3とした場合を示している。アルミナに供給比K=3でオゾン供給を行った場合にも、NOx吸着率を80%以上まで向上させることができた。図6の結果から、NOx浄化率が殆ど零であるアルミナに対して、オゾンを供給することによってNOx浄化率を向上させることができることが明らかとなった。
図7は、基材がコージェライト、コート材がアルミナ、Pt,Pd,Rh等の貴金属種と、NOx吸着種としてのBaであるLNT触媒の表面を顕微FT-IR(フーリエ変換分光)イメージング法により分析した結果を示す図である。顕微FT-IRイメージング法とは、二次元アレイ(Focal Plane Array;FPA)検出器を用いて、2次元測定を行い、化合物に特徴的な官能基の分布などを可視化する手法である。図7(a)は、オゾンを供給しない場合を示しており、図7(b)は、オゾンを供給した場合を示している。図7においては、分かり易くするため、Baの存在領域(丸で囲われた領域)およびアルミナの存在領域を表示している。
図7(a)に示すように、オゾンを供給しなかった場合には、Baの存在領域においてはNOxが吸着されている一方で、アルミナの存在領域においては、NOxが殆ど吸着されていなかった。これに対し、図7(b)に示すように、オゾンを供給した場合には、アルミナの存在領域においても、NOxが吸着されていた。図7に示す結果から、アルミナは、オゾンを供給しない場合にはNOxをあまり吸着しない一方で、オゾンを供給することにより、NOxの吸着量が増大することが明らかとなった。
図6,7の実験結果から、オゾンを供給することにより、SCR触媒、DOCのNOx吸着能が向上する効果は、担体に含まれるアルミナに代表される金属酸化物のNOx吸着能が向上するためであることが明らかとなった。また、図7に示すように、NOx吸着種として用いられるBaOにおいても、オゾンを供給することにより、NOxの吸着能がより向上することが明らかとなった。この結果より、SCR触媒、三元触媒、DOC,DPF、LNT触媒、PNA触媒において一般に担体等として用いられる金属酸化物において、上記式(12)に示す反応を促進させるために十分なオゾン量を供給することにより、排気中のNOxの浄化率を向上させる効果が得られることが明らかとなった。
特に、NOx吸着種として用いられる塩基性が高い金属酸化物と比較して塩基性が低く、NO2の吸着能があまり高くない金属酸化物において、上記式(12)に示す反応を促進させるために十分なオゾン量を供給することによって、より顕著にNOxの吸着能を向上させることができることが明らかとなった。このような塩基性が比較的低い金属酸化物の具体例としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア等を例示することができる。アルミナ、チタニア、ジルコニア等の塩基性が比較的低い金属酸化物、および、この酸化物を組成として含む複合金属酸化物やセラミックス(例えば、コージェライト、ゼオライト、セリア/ジルコニア等)を含むSCR触媒、三元触媒、DOC,DPF、LNT触媒、PNA触媒において、上述のオゾン供給によりNOx吸着量を向上させる効果と、その結果として得られるNOx浄化率を向上させる効果とを顕著に得ることができる。
図8は、SCR触媒に供給されたNOxの吸着率(%)と、SCR触媒に蓄積するNOx量との関係について、供給比Kを変更して、さらに検討を行った結果を示す図である。なお、検討に際しては、図4にその結果を示すNOxの吸着/昇温脱離(TPD)試験と同様の条件で、同様の試料を用いた。さらに、触媒下流のガス中のオゾン濃度の検出も行った。
図8において、参照番号6~9は、それぞれ、上記式(9)においてK=1,1.25,1.5,3とした場合を示す。参照番号7に示す供給比K=1.25は、参照番号6と参照番号7との中間の供給比であるとともに、NOx吸着率も参照番号6と参照番号7との中間程度の値であった。すなわち、供給比K=1~1.5の間では、NOx吸着率の増加率は、供給比Kの増加率とほぼ対応していた。また、参照番号8に示すように、供給比K=1.5の場合には、参照番号9に示す供給比K=3の場合と同程度まで、NOx吸着率が増加していた。すなわち、供給比1.5~3の間においては、NOx吸着率はやや増加するが、供給比K=1~1.5の間と比較すると、供給比Kの増加率に対するNOx吸着率の増加率が大幅に低減されていた。また、供給比K=1,1.25,1.5,3のそれぞれについて、試料である触媒下流のガス中のオゾン濃度は、それぞれ、0ppm,0ppm,30ppm,300ppmであった。
図8に示す実験結果より、供給比Kを1~3に制御することにより、供給比Kが高くなるほど、NOx吸着率が高くなる関係を得られることが明らかになった。また、供給比Kを1~1.5(等倍~1.5倍)に制御することにより、供給比Kの増加率に対するNOx吸着率の増加率が高い状態で、NOx吸着率を向上させることができることが明らかになった。さらに、供給比Kを1~1.5に制御することにより、試料である触媒下流のガス中のオゾン濃度の検出値を0ppmに低減できることが明らかになった。すなわち、供給比Kが1~1.5の間で制御した場合には、供給するオゾン量を増加させることにより、NOx吸着率を効率よく向上させられることできること、および、下流側にリークするオゾン量を低減できることが明らかになった。
SCR触媒等のNOx浄化触媒にオゾンを供給すると、NOxの浄化反応は、下記式(13)~(15)に示す反応によって進行する。なお、下記式(16)における[M]は、NOx浄化触媒を示している。
NO+O3→NO2+O2 … (13)
NO2+O3→NO3+O2 … (14)
NO2+NO3→N2O5 … (15)
[M]+H2O+N2O5→[M]+2HNO3 … (16)
第1触媒層41にオゾンが供給されると、上記式(13)~(15)に示す反応により、オゾンと排気中のNOxとが反応して、硝酸の前駆体である五酸化二窒素(N2O5)が生成する。生成したN2O5は、さらに、上記式(16)に示すように、SCR触媒上でH2Oと反応し、硝酸(HNO3)が生成する。生成したHNO3は、硝酸イオンとして、SCR触媒上に吸着される。上記式(13)~(16)に示す反応を総括すると、下記式(17)を得ることができる。
NO+1.5O3+0.5H2O→HNO3 … (17)
上記式(17)に示す総括反応式より、1molのNOと、1.5molのO3から、1molのHNO3が生成されることが理解できる。上記式(17)によれば、第1触媒層41におけるNOとO3との物質量比が、NO:O3=1:1.5である場合に、効率よくO3を消費してHNO3を生成できることが理解でき、この知見は、図8に示す、供給比Kを1~1.5に制御することにより、供給比Kの増加率に対するNOx吸着率の増加率が高い状態で、NOx吸着率を向上させることができ、下流側にリークするオゾン量を著しく低減できるという実験結果とも合致している。
また、図8に示す実験結果にから、供給比Kを1.5以上にすることにより、80~90%程度以上のNOx吸着率を確保できることが明らかになった。図8に示すように、供給比K=3の場合には、供給比K=1.5の場合よりも、さらにNOx吸着率を向上させられることができた。すなわち、上記式(17)に示す量論比に相当する供給比K=1.5を超えて、オゾンを過剰に供給すると、さらにNOx吸着率を増加させられることが明らかになった。
この知見より、供給比K=1.5~3(1.5倍~3倍)に制御すると、下流側にリークするオゾンが比較的少ない状態で、供給比K=1.5の場合よりもさらにNOx吸着率を向上させることができ、80~90%程度以上のNOx吸着率を確保できることが分かった。一方で、供給比Kを1.5~3に制御すると、下流側にリークするオゾン量が多くなる。また、供給比Kを3以上に制御する場合には、下流側にリークするオゾン量はさらに多くなると推察される。このため、第1触媒層41に供給するオゾン量について、供給比Kを1.5~3、または、3以上に制御する場合には、第1触媒層41の下流側に、オゾンを利用または回収する機構を備えるように排気浄化システムを構成することが好ましい。
さらに、供給比制御部53は、算出した供給比となるように、触媒層40に供給されるNOx量やオゾン量を制御することができる。例えば、供給比制御部53は、後述するオゾン量制御部55または燃焼制御部56に制御指令を実行し、供給比Kとなるように、NOxの物質量N1とオゾンの物質量N2との少なくともいずれか一方を調整する。また、通常モードにおいては、触媒層40にオゾン供給を行わないため、供給比制御部53は、オゾン量制御部55に対して、オゾンの供給を停止する制御指令を実行する。
例えば、供給比制御部53は、ECU50に記憶された、図9に示すようなNOx濃度とオゾン濃度との関係に基づいて、触媒層40に供給されるNOx量やオゾン量を制御するように構成されていてもよい。図9において、直線L1は、供給比K=1.5の直線を示し、直線L2は、供給比K=1の直線を示す。供給比制御部53は、直線L1と直線L2とに囲まれた領域ARの範囲内で、NOx量とオゾン量とを調整することにより、供給比K=1~1.5に制御することができる。その結果、オゾンを効率よく利用してNOx吸着率を高くすることができるとともに、下流側にリークするオゾン量を低減できる。
推定部54は、温度情報取得部51、成分量取得部52等により取得された各種データに基づいて、触媒層40の状態に関するパラメータの推定値を算出する。例えば、排気中のNOx量と、触媒後のNOx量とに基づいて、触媒に吸着されたNOx量を推定する。
図4の参照番号3に示すように、横軸に示すSCR触媒に蓄積するNOx量が小さい領域では、NOx量に対して略一定の高いNOx吸着率が得られる。しかしながら、NOx量がある程度増大すると、NOx量の増大に従い、吸着率が下降する。このため、推定部54は、積算吸着量が所定の吸着量閾値以下である場合に、触媒層40へのオゾンの供給を行うことを決定する。具体的には、例えば、図4の縦軸に示すY1をNOx吸着率の目標値として設定し、NOx吸着率がY1以上となるNOx量の最大値を吸着量閾値X1として設定する。そして、積算吸着量が吸着量閾値X1以下である場合に、オゾンの供給を許可する。これによって、NOx吸着率がY1以上である範囲において、オゾンの供給を行うように制御することができる。
オゾン量制御部55は、オゾン供給装置30から触媒層40に供給されるオゾン量を制御する。排気管12にオゾン供給を行う場合には、オゾン生成器33において放電板に電圧が印加され、オゾンが生成される。オゾンが生成される状態下で、エアポンプ32が駆動され、かつ開閉弁34が開放されることにより、オゾン生成器33を通過する空気と共にオゾンが排気管12内に流入する。
オゾン量制御部55は、エアポンプ32が送風する空気量と、放電板に印加する電圧とを制御することにより、オゾン量を制御する。エアポンプ32が送風する空気量は、空気量センサ35の検知値に基づいて、エアポンプ32を制御することにより調整できる。また、オゾン生成器33におけるオゾンの生成を停止したり、開閉弁34を閉止したりする制御により、触媒層40へのオゾンの供給を停止することができる。
燃焼制御部56は、内燃機関20の燃焼状態を制御する。燃焼制御部56は、排出NOxセンサ22の検出値に基づいて、内燃機関20に供給する燃料や空気の量やタイミング等を制御することにより、排気中のNOx量を制御することができる。
図10に、ECU50が実行する排気浄化処理のフローチャートを示す。図10に係る処理は、一定の周期で繰り返し実行される。
ステップS101では、内燃機関20からの排気中に含まれるNOx量を取得する。例えば、排出NOxセンサ22により検出された排気中のNOx濃度である排出NOx量CnbをNOx量として取得する。
ステップS102では、触媒層40の触媒温度Tcatを取得する。例えば、触媒温度センサ23により検出された第1触媒層41の温度Tcat1を取得する。
ステップS103では、触媒温度Tcatが温度閾値として用いられる活性温度TA以上であるか否かを判定する。この場合、活性温度TAは、第1触媒層41に用いられるSCR触媒の活性温度である。Tcat<TAである場合には、ステップS104に進み、オゾン供給モードを選択する。オゾン供給モードでは、ステップS105~ステップS111に示す処理を実行する。他方、Tact≧TAである場合には、ステップS120に進み、通常モードを選択する。通常モードでは、ステップS121に示すように、オゾンの供給を行わないことを決定して、処理を終了する。
オゾン供給モードでは、まず、ステップS105において、触媒層40の出口側において検出したNOx量を取得する。例えば、触媒後NOxセンサ24により検出された排気中のNOx濃度である触媒後NOx量CnaをNOx量として取得する。その後、ステップS106に進む。
ステップS106では、ステップS101およびステップS105において取得した、排出NOx量Cnbおよび触媒後NOx量Cnaに基づいて、第1触媒層41に吸着されたNOx量、すなわち、積算吸着量Accを算出する。
ステップS107では、積算吸着量Accが所定の吸着量閾値X1以下であるか否かを判定する。吸着量閾値X1は、触媒層40のNOx吸着率を目標値Y1以上にすることができるNOx吸着量として設定された閾値である。Acc≦X1である場合には、ステップS109に進む。Acc>X1である場合には、ステップS108に進み、オゾンを供給しないことを決定し、処理を終了する。すなわち、オゾンを供給している場合には、供給を停止し、オゾンを供給していない場合には、オゾンの供給を行わない。
ステップS109では、上記式(9)によって示される、供給比Kを取得する。供給比Kは、ECU50に予め記憶されており、ステップS109においてECU50から読み出される。その後、ステップS110に進む。
ステップS110では、触媒層40に供給するオゾン量の制御目標値を算出する。具体的には、ステップS109において取得した供給比Kと、排出NOx量Cnbとを上記式(9)に適用し、制御目標値として、触媒層40に供給するオゾン量Coを算出する。供給比Kが3である場合には、触媒層40に供給されるオゾンの物質量は、内燃機関20から排出され触媒層40に供給されるNOxの物質量の3倍の値に算出される。その後、ステップS111に進む。
ステップS111では、触媒層40に供給するオゾン量を、ステップS110において算出した制御目標値であるオゾン量Coに制御する。例えば、オゾン供給管31から供給されるオゾン量がCoとなるように、オゾン供給装置30が制御される。図4に示すように、触媒層40に流入する排気中のNOxの物質量の3倍に相当するオゾンを触媒層40に供給することにより、第1触媒層41においてNOxの還元反応が殆ど起こらない場合であっても、排気中のNOxのY1%以上を除去することができる。
上記のとおり、排気浄化システム10によれば、第1触媒層41の温度が、SCR触媒または三元触媒の活性温度TAよりも低い場合には、オゾン供給モードを実行できる。第1触媒層41の温度が活性温度TAよりも低く、第1触媒層41に含まれるSCR触媒または三元触媒の状態が、NOx還元反応に係る触媒活性を十分に得られない場合には、オゾン供給モードによって、オゾン供給装置30から触媒層40にオゾンを供給する。さらには、供給するオゾン量は、SCR触媒におけるNOx浄化率に基づいて設定された供給比Kを用いて算出される。このため、各触媒におけるNOxの吸着量を増大させ、所望のNOx浄化率を達成することができる。その結果、第1触媒層41の温度が活性温度TAよりも低い場合においても、NOx量を低減する能力を確保することができる。
なお、図10においては、ステップS103に示すように、触媒温度センサ23によって検出される第1触媒層41の温度によってオゾン供給モードと通常モードとの切替を実行したが、触媒温度に関連する他のパラメータに基づいて、オゾン供給モードと通常モードとを切り替えてもよい。具体的には、例えば、第1触媒層41の昇温開始からの経過時間Sが、所定の時間閾値Xs未満である場合にオゾン供給モードを選択し、Xsを以上である場合に通常モードを選択するようにしてもよい。この場合、時間閾値Xsは、例えば、第1触媒層41が活性温度TAに到達する時間を設定することが好ましい。
(変形例)
触媒層40を構成する各触媒層は、複数の触媒層に分割されていてもよい。具体的には、例えば、図11に示すように、第1触媒層41は、配管12mにより分離された複数の分割触媒層41a、41bに分割されていてもよい。この場合、分割触媒層41a,41bのそれぞれに、触媒温度センサ23a,23b、その上流側に還元剤を注入するインジェクタ61a,61b、オゾンを供給するオゾン供給管31a,31bが備えられていてもよい。また、配管12mにおける排気中のNOx量を検出する中間NOxセンサ25が備えられていてもよい。中間NOxセンサ25により検出されるNOx量は、分割触媒層41aの触媒後NOx量であるとともに、分割触媒層41bに供給されるNOx量である。
図12に、分割触媒層41a、42bおよび第2触媒層42に配置される触媒と、オゾンおよび還元剤の供給位置を例示する。図12(a)~(c)では、分割触媒層41a、41bにはSCR触媒を含む触媒層が配置されており、第2触媒層42にはASCを含む触媒層が配置されている。
図12(a)~(c)に示すように、還元剤の供給は、分割触媒層41a,41bの双方において、その上流側に行われることが好ましい。分割触媒層41a、41bの双方に配置されたSCR触媒に、それぞれ還元剤を適切に供給することができる。その結果、SCR触媒における選択的還元反応を適切に進行させてNOx量を低減することができる。
オゾンの供給は、図12(a)に示すように、分割触媒層41aの上流のみに供給してもよい。もしくは、図12(b)に示すように、分割触媒層41bの上流のみに供給してもよい。もしくは、図12(c)に示すように、分割触媒層41a,41bの双方において、その上流側に供給してもよい。分割触媒層41a,41bに供給するオゾン量は、分割触媒層41a,41bに配置された触媒層における触媒温度や、算出された積算吸着量Acc等に基づいて調整されることが好ましい。
例えば、図12(c)に示すように、分割触媒層41a,41bのそれぞれの上流にオゾン供給管31a,31bが設けられている場合には、分割触媒層41a、41bのそれぞれの温度情報や、排出NOxセンサ22、中間NOxセンサ25、触媒後NOxセンサ24の検出値等に基づいて、オゾン供給管31aから供給するオゾン量と、オゾン供給管31bから供給するオゾン量とをそれぞれ算出することが好ましい。
第1触媒層41は、SCR触媒または三元触媒に加えて、LNT触媒等と称されるNOx吸蔵還元型の触媒を含んでいてもよい。例えば、図11に示す分割触媒層41aにLNT触媒を備えていてもよい。この場合、触媒層40は、例えば図13に示す構成となる。図13では、第1触媒層41として、上流側の分割触媒層41aにLNT触媒を備える触媒層が配置され、下流側の分割触媒層41bにSCR触媒を備える触媒層が配置され、第2触媒層42にASCを備える触媒層が配置されている。
この場合、分割触媒層41aの下流かつ分割触媒層41bの上流にインジェクタ61およびオゾン供給管31を配置することが好ましい。分割触媒層41bの入口にSCR触媒にオゾンおよび還元剤を供給することにより、SCR触媒におけるNOx吸着量を向上させるとともに、SCR触媒における選択的還元反応を進行させてNOx量を低減することができる。SCR触媒等と比較すると、LNT触媒は、NOxを吸着する能力が高いため、分割触媒層41aにLNT触媒を含む触媒層を配置する場合には、分割触媒層41aにオゾンを供給しなくても、LNT触媒によってNOxが吸着されて、ある程度、NOxが浄化される。このため、図13の構成においては、分割触媒層41aの上流にオゾンを供給する必要はないが、オゾンを供給可能に構成されていてもよい。
例えば、図14に示すように、第1触媒層41よりも上流側に第3触媒層43を備えており、第3触媒層43に、NOx浄化機能を有さない触媒を備えた触媒層を配置してもよい。第3触媒層43には、例えば、DOCを含む触媒層や、DPFを配置することが好ましい。
DOCによれば、下記式(18)~(20)に示す触媒反応により、排気中の炭化水素(HC)、CO、NOが酸化される。
HC+O2→H2O+CO2 … (18)
2CO+O2→2CO2 … (19)
2NO+O2→2NO2 … (20)
DPFによれば、下記式(21)に示す触媒反応により、排気中の炭素(C)が酸化される。さらには、DPFは、上記式(10)に示す触媒反応に活性を有する触媒が用いられることもある。上記式(20)の反応を促進させてNO2を生成することにより、下記式(21)に示す触媒反応を促進することができる。
C+2NO2→CO2+2NO … (21)
DOCおよびDPFは、SCR触媒や三元触媒と同様に、NOxを吸蔵する必要が無いため、必ずしもNOx吸着量が高くなるようには調製されない。このため、DOCおよびDPFは、一般に、LNT触媒等のNOx吸蔵還元型のNOx浄化触媒よりも、NOxの吸着量が低い。また、SCR触媒や三元触媒と同様に、NOx浄化率が殆ど零であるDOCやDPFに対して、オゾンを供給することによってNOx浄化率を向上させることができる。
触媒層40が第3触媒層43を備える場合には、触媒層40は、例えば図14に示す構成となる。図14では、第3触媒層43としてDOCまたはDPFを含む触媒層が配置され、第1触媒層41としてSCR触媒を備える触媒層が配置され、第2触媒層42としてASCを備える触媒層が配置されている。第1触媒層41の上流の配管12mにオゾン供給管31が設けられており、第3触媒層43の上流にオゾン供給管31cが設けられている。
図14に示す触媒層40の構成においては、図15(a)に示すように、第3触媒層43の上流のオゾン供給管31cからオゾンを供給することが好ましい。第3触媒層43の上流からDOCにオゾンを供給することにより、DOCにおけるNOx吸着量を向上させることができる。オゾン量が十分である場合には、その下流側の第1触媒層41にもオゾンが供給され、SCR触媒におけるNOx吸着量をも向上させることができる。さらには、図15(b)に示すように、オゾン供給管31cと、オゾン供給管31との双方からオゾンを供給してもよい。この場合、オゾン供給管31cから供給するオゾン量は、第3触媒層43の温度情報等により制御し、オゾン供給管31から供給するオゾン量は、第1触媒層41の温度情報等により制御するようにしてもよい。
第3触媒層43にオゾンを供給する場合には、供給比制御部53は、図10に示すように、第1触媒層41の温度情報に基づいてオゾン供給量を制御してもよいし、第3触媒層43の温度情報に基づいてオゾン供給量を制御してもよい。例えば、第3触媒層43の温度情報が、第3触媒層43の温度が所定の温度閾値TB未満であることを示す状態である場合に、第3触媒層43にオゾンを供給する「オゾン供給モード」を選択するようにしてもよい。さらには、第3触媒層43の温度情報が、第3触媒層43の温度が所定の温度閾値TB以上であることを示す状態である場合に、触媒層40にオゾンを供給しない「通常モード」を選択するようにしてもよい。
温度閾値TBは、例えば、第3触媒層43におけるNOxの吸着量の温度依存性に基づいて、設定することができる。第3触媒層43の温度Tdocが高くなると、第3触媒層43におけるNOxの吸脱着平衡が、脱着側に移行し、第3触媒層43におけるNOx吸着量が低下する。例えば、第3触媒層43におけるNOx吸着量の目標値Y2を設定し、目標値Y2以上を確保できる第3触媒層43の触媒温度の上限値を温度閾値TBに設定する。これにより、目標値Y2以上のNOx吸着量を確保できる場合に、オゾン供給モードを実行するようにできる。
また、インジェクタ61は、第1触媒層41の上流に配置することが好ましい。第1触媒層41の入口からSCR触媒に還元剤を供給することにより、SCR触媒における選択的還元反応を進行させてNOx量を低減することができる。
また、図16に示すように、DOCまたはDPFに代えて、第3触媒層43にPNA触媒を配置してもよい。DOCまたはDPFと比較すると、PNA触媒は、NOxを吸着する能力が高い。このため、第3触媒層43にPNA触媒を含む触媒層を配置する場合には、第3触媒層43にオゾンを供給しなくても、第3触媒層43によってNOxが吸着されて、ある程度、NOxが浄化される。このため、第3触媒層43にPNA触媒を配置する場合には、第3触媒層43の上流側からオゾンを供給する必要はないが、オゾンを供給可能に構成してもよい。
上記の各実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
排気浄化システム10は、内燃機関20からの排気中に含まれるNOx等を浄化することができる。排気浄化システム10は、内燃機関20の排気管12に配置された触媒層40と、触媒層40にオゾンを供給するオゾン供給装置30と、オゾン供給装置30を制御するECU50とを備えている。触媒層40は、排気中のNOxを浄化する触媒として、SCR触媒と、三元触媒との少なくともいずれか一方を含む。
排気浄化システム10によれば、触媒層40に備えられたSCR触媒または三元触媒の状態が、NOx還元反応に係る触媒活性を十分に得られない状態であっても、オゾン供給装置30から触媒層40にオゾンを供給することにより、各触媒におけるNOxの吸着量を増大させることができる。このため、SCR触媒または三元触媒にNOxを吸着させて低減することができる。すなわち、NOx還元反応に係る触媒活性を十分に得られない状態であっても、オゾンを供給することにより、SCR触媒または三元触媒にNOx吸着能力を付与し、NOx量を低減する能力を確保することができる。
触媒層40は、排気中の未燃焼成分を酸化するDOCと、排気中の粒子状成分を浄化するDPFとの少なくともいずれか一方をさらに含んでいてもよい。オゾンを供給することにより、DOCやDPFについてもNOxの吸着量を増大させることができる。このため、SCR触媒や三元触媒がNOx還元反応に係る触媒活性を十分に得られない状態である場合に、触媒層40に含まれるDOCやDPFにオゾンを供給して、そのNOx吸着量を増大させることにより、NOx量を低減する能力を確保することができる。
ECU50は、触媒層40の温度情報に基づいて、触媒層40に供給するオゾン量を制御するように構成されていることが好ましい。さらには、ECU50は、触媒層40の温度情報が、触媒層40の温度が所定温度閾値未満であることを示す状態である場合に、触媒層40にオゾンを供給するように構成されていることがより好ましい。SCR触媒や三元触媒のNOx還元反応に係る触媒活性は、その触媒温度に依存し、触媒温度が活性温度TA以上である場合に、十分にNOx還元能力を発揮することができる。触媒活性に影響する温度に関するパラメータである温度情報に基づいて、オゾン供給をするか否かについて判定し、オゾン供給量を決定することによって、SCR触媒や三元触媒のNOx還元反応活性に応じて適切にオゾン供給を実行することができる。
ECU50は、内燃機関20から排出されるNOx量に対する、触媒層40に供給するオゾン量の供給比を制御する供給比制御部53を備えることが好ましい。供給比については、物質量比で算出した供給比Kを1以上に制御することが好ましい。これによって、40~50%のNOxを吸着して浄化することができる。さらには、物質量比で算出した供給比Kを1~3(1≦K≦3)に制御してもよい。供給するオゾン量に対して、効率よくNOx吸着率を向上させることができる。もしくは、物質量比で算出した供給比Kを3以上に制御してもよい。NOx吸着率をさらに向上させられる可能性がある。さらには、物質量比で算出した供給比Kを1~1.5(1≦K≦1.5)に制御してもよい。供給するオゾン量に対して、効率よくNOx吸着率を向上させることができるとともに、下流側にリークするオゾンを著しく低減することができる。もしくは、物質量比で算出した供給比Kを1.5~3(1.5≦K≦3)に制御してもよい。下流側にリークするオゾンが比較的少ない状態で、供給比K=1.5の場合よりもさらにNOx吸着率を向上させることができるとともに、80~90%程度以上のNOx吸着率を確保できる。
ECU50は、内燃機関20およびオゾン供給装置30も制御可能に構成されている。このため、内燃機関20を制御して、内燃機関20から排出されるNOx量を調整して、供給比を制御することができる。また、オゾン供給装置30を制御して、触媒層40に供給するオゾン量を調整して、供給比を制御することができる。
ECU50は、触媒層40に吸着されたNOx量の積算値である積算吸着量Accが所定の吸着量閾値X1以下である場合に、触媒層40にオゾンを供給するように、オゾン供給装置30を制御する。SCR触媒、三元触媒、DOC、DPFにおいて、積算吸着量Accが高くなり過ぎると、オゾンを供給してもNOxの吸着性が十分に得られなくなる。このため、Acc≦X1である場合に、触媒層40にオゾンを供給し、Acc>X1である場合にはオゾンを供給しないように制御することにより、無駄にオゾンを供給することを回避することができる。
なお、上記においては、一般的な傾向として、SCR触媒、三元触媒、DOCおよびDPFにおけるNOx吸着量は、LNT触媒等のNOx吸蔵還元型のNOx吸着量よりも低いことを説明しているが、SCR触媒、三元触媒、DOCおよびDPFにおいて、NOx吸着種を導入する等により、NOx吸着量が高くなるように調製されたSCR触媒、三元触媒、DOCおよびDPFを排除するものではない。NOx吸着量が高くなるように調製されたSCR触媒、三元触媒、DOCおよびDPFにおいても、オゾンを供給することによりNOx吸着量は向上するため、上記の各実施形態に係る排気浄化システム10によって、例えば、触媒活性温度以下におけるNOx吸着量をより向上させ、触媒層40から排出されるNOx量を低減することができる。
また、上記の各実施形態においては、通常モードでは、オゾン供給を行わない場合を例示して説明したが、これに限定されない。例えば、通常モードでは、触媒層40にNOxを吸着させる目的ではなく、排気中のNOとNO2との成分比を調整する目的等により、オゾン供給を実行するようにしてもよい。通常モードでオゾンを供給する場合には、触媒層40にNOxを吸着させる場合に好適なパラメータである供給比Kとは異なるパラメータを用いて、オゾン量が制御される。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
10…排気浄化システム、12…排気管、20…内燃機関、30…オゾン供給装置、40…触媒層、50…ECU、53…供給比制御部

Claims (10)

  1. 内燃機関(20)からの排気中の所定成分を浄化する排気浄化システム(10)であって、
    前記内燃機関の排気管に配置された触媒層(40)と、
    前記触媒層にオゾンを供給するオゾン供給装置(30)と、
    前記オゾン供給装置を制御する制御装置(50)と、を備え、
    前記触媒層は、前記排気中の窒素酸化物を浄化する触媒として、前記排気管に供給される還元剤により選択的に窒素酸化物を還元する選択的還元触媒と、前記排気中の一酸化炭素または炭化水素を還元剤として窒素酸化物を還元する三元触媒との少なくともいずれか一方を含み、
    前記制御装置は、前記内燃機関から排出される窒素酸化物量に対しての前記触媒層に供給するオゾン量の供給比を制御する供給比制御部(53)を備え、
    前記制御装置は、前記触媒層に吸着された窒素酸化物量の積算値である積算吸着量を推定する推定部(54)を備え、前記推定部により推定された前記積算吸着量が所定の吸着量閾値以下である場合に、前記触媒層にオゾンを供給する排気浄化システム。
  2. 前記触媒層は、前記排気中の未燃焼成分を酸化する酸化触媒と、前記排気中の粒子状成分を浄化する粒子捕集フィルタとの少なくともいずれか一方をさらに含む、請求項1に記載の排気浄化システム。
  3. 前記供給比制御部は、前記触媒層の温度情報が、前記触媒層の温度が所定の温度閾値未満であることを示す状態である場合に、前記触媒層にオゾンを供給する請求項1または2に記載の排気浄化システム。
  4. 前記供給比制御部は、物質量比で算出した前記供給比を等倍以上に制御する請求項1~3のいずれかに記載の排気浄化システム。
  5. 前記供給比制御部は、物質量比で算出した前記供給比を等倍~3倍に制御する請求項1~4のいずれかに記載の排気浄化システム。
  6. 前記供給比制御部は、物質量比で算出した前記供給比を等倍~1.5倍に制御する請求項1~5のいずれかに記載の排気浄化システム。
  7. 前記供給比制御部は、物質量比で算出した前記供給比を1.5倍~3倍に制御する請求項1~5のいずれかに記載の排気浄化システム。
  8. 前記供給比制御部は、物質量比で算出した前記供給比を3倍以上に制御する請求項1~4のいずれかに記載の排気浄化システム。
  9. 前記供給比制御部は、前記内燃機関から排出される前記窒素酸化物量を調整して、前記供給比を制御する請求項1~8のいずれかに記載の排気浄化システム。
  10. 前記供給比制御部は、前記触媒層に供給するオゾン量を調整して、前記供給比を制御する請求項1~9のいずれかに記載の排気浄化システム。
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