JP6146193B2 - 巻き取り品 - Google Patents
巻き取り品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6146193B2 JP6146193B2 JP2013159219A JP2013159219A JP6146193B2 JP 6146193 B2 JP6146193 B2 JP 6146193B2 JP 2013159219 A JP2013159219 A JP 2013159219A JP 2013159219 A JP2013159219 A JP 2013159219A JP 6146193 B2 JP6146193 B2 JP 6146193B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyamide resin
- composite material
- core material
- wound
- wound product
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Storage Of Web-Like Or Filamentary Materials (AREA)
- Reinforced Plastic Materials (AREA)
Description
例えば、特許文献1には、炭素繊維と芳香族ポリアミド樹脂又は脂肪族ポリアミド樹脂を含む複合体からなる炭素繊維テープが、円筒状芯材に巻き付けられた炭素繊維巻きテープであって、式(I)から求められる炭素繊維テープの幅(W)が5〜100mmの範囲であり、前記幅(W)が5〜100mmの範囲の炭素繊維テープが巻き付けられた円筒状芯材の最小直径(D)が、式(II)から求められるものである炭素繊維巻きテープが開示されている。
0.2×10-3×N≦W≦2×10-3×N (I)
(式(I)中、Nは、炭素繊維を構成する炭素繊維の本数である。)
4.5×F×t≦D≦50×F×t (II)
(式(II)中、Fは炭素繊維量で、20〜60質量%の範囲であり、tは炭素繊維テープの厚みで、0.1〜0.5mmの範囲である。)
本発明はかかる課題を解決することを目的とするものであって、ポリアミド樹脂と連続繊維を含む複合材を巻き取った巻き取り品であって、複合材が芯材からずり落ちず、巻癖がつきにくい巻き取り品を提供することを課題とする。
<1>ポリアミド樹脂(A)と連続繊維(B)を含む複合材(C)を芯材にトラバース巻きで巻き取った巻き取り品であって、前記複合材(C)は、幅dが3〜100mmであり、厚さtが20〜300μmであり、巻き取り品を芯材の幅方向の最大断面に垂直な方向から投影したとき、芯材の中心軸に対応する線と、巻き取られた複合材(C)のうち、前記芯材の幅方向の中央を通る複合材(C)に対応する辺のなす角のうち小さい方の角θが70〜89°であり、下記式を満たす巻き取り品。
式:200≦D/t≦3000
(上記式中、Dは芯材の外径(単位:mm)を表し、tは複合材(C)の厚さ(単位:mm)を示す。)
<2>前記ポリアミド樹脂(A)として、ジアミン化合物とジカルボン酸化合物との重縮合物であり、前記ジアミン化合物の50モル%以上が、キシリレンジアミンであるXD系ポリアミド樹脂を含む、<1>に記載の巻き取り品。
<3>前記ポリアミド樹脂(A)として、さらに、脂肪族ポリアミド樹脂を含む、<2>に記載の巻き取り品。
<4>前記キシリレンジアミンがメタキシリレンジアミンおよび/またはパラキシリレンジアミンである、<2>または<3>に記載の巻き取り品。
<5>前記XD系ポリアミド樹脂の数平均分子量(Mn)が、6,000〜30,000であり、かつ、該ポリアミド樹脂のうち、分子量が1000以下の成分の量が0.5〜5質量%である、<2>〜<4>のいずれかに記載の巻き取り品。
<6>前記芯材の外径が、60〜350mmである、<1>〜<5>のいずれかに記載の巻き取り品。
<7>前記複合材(C)中における連続繊維(B)の割合が10〜65質量%である、<1>〜<6>のいずれかに記載の巻き取り品。
<8>前記複合材(C)の1m2当たりの重量が、50〜3000gである、<1>〜<7>のいずれかに記載の巻き取り品。
<9>前記D/tが300≦D/t≦2500である、<1>〜<8>のいずれかに記載の巻き取り品。
<10>前記なす角θが85〜89°である、<1>〜<9>のいずれかに記載の巻き取り品。
式:200≦D/t≦3000
(上記式中、Dは芯材の外径(単位:mm)を表し、tは複合材(C)の厚さ(単位:mm)を示す。)
以下、本発明の構成について説明する。
ここで、芯材の幅方向とは、芯材の複合材(C)が巻き取られる面(通常は曲面)の幅方向をいう。例えば、図2に示す巻き取り品の概略図では、4が芯材を、5が複合材(C)を、6が中心軸を示すが、この場合、矢印の方向が幅方向になる。従って、芯材の幅方向の最大断面とは、芯材を幅方向に切断したときに現れる面のうち、最も大きな面をいう。芯材が円筒の場合、前記中心軸を通る面となる。
一方、中心軸とは、芯材の外径の中心を通る線であって、仮想の線である。すなわち、巻き取り品に実在する線ではなく、芯材を立体と考えたときにその中心となる軸を意味する。当然に投影しても映らない。例えば、図3(a)は、図2において、芯材の幅方向に垂直な方向から見た芯材の概略図であるが、6が中心軸となる。芯材を斜視図で示すと、図3(b)の点線部分となる。尚、芯材は、必ずしも円筒である必要はなく、芯材の外径方向の断面積が一定であれば、多角形(3角形以上であるが、好ましくは6角形や8角形)でもよいし、楕円形でもよい。この場合、芯材の中心軸は、疑似円筒として定められる。
また、本発明における幅方向の最大断面に垂直な方向とは、図3(a)および(b)における矢印の方向となる。投影する際には、例えば、図4に示すように、平面の上に中心軸が垂直になるように巻き取り品を立てて、矢印の方向から投影を行うことが好ましい。このような方向から投影すると、芯材が円筒の場合、芯材の投影図は長方形となる。
本発明では、複合材(C)は芯材に対して一定の規則性を持った角度を持って巻かれている。この角度は、芯材の中心軸に対応する線(図1の2)と複合材(C)に対応する辺(図1の3)のなす角θのうち小さい方である。そして、本発明では複合材(C)がトラバース巻きに巻き取られる。すなわち、複合材(C)は、芯材の幅方向に往復運動させて巻き取られる。そのため、芯材の中心軸に対応する線と複合材(C)に対応する辺のなす角は、芯材の幅方向の中央を含む大半は一定のなす角θとなるが、巻はじめや巻き終わりや芯材の末端では、芯材の端部ではなす角が変動し、θとはならないこともあり、90°ともなりえる。しかしながら、複合材(C)の大半の部分は図1に示すように規則的に巻き取られている。そして、本発明では、芯材の幅方向の中央のなす角θが所定の値となるようにトラバース巻きで巻き取ることによって、複合材(C)が芯材からずり落ちることなく、また、巻癖を少なく、巻き取ることに成功したものである。尚、巻き取られた複合材(C)のうち、前記芯材の幅方向の中央を通る複合材(C)に対応する辺が存在しないときは、これに最も近い辺を本発明における芯材の幅方向の中央を通る複合材(C)に対応する辺として考えることができる。
尚、本発明における「線」、「辺」、「面」は、数学的な厳密な意味での直線ではなく、当業者が通常認識し得る程度の誤差を含むものであることは言うまでもない。
式:200≦D/t≦3000
(上記式中、Dは芯材の外径(単位:mm)を表し、tは複合材(C)の厚さ(単位:mm)を示す。)
本発明では、複合材(C)の厚さと巻き取る芯材が上記関係を満たすことにより、巻癖が付きにくく、ムラおよびシワの発生を抑制し適切に巻き取ることが可能になる。本発明では、300≦D/t≦2500を満たすことが好ましく、320≦D/t≦2300を満たすことがより好ましい。公知の巻き取り品は、通常、D/tは1桁から2桁程度の数値となると推測されるが、本発明ではこれよりもD/tの値を大きくすることにより、適切な巻き取りに成功したものである。尚、芯材の断面が円形でない場合、同じ面積の円形に換算した場合の外径を発明における外径Dとする。
本発明におけるポリアミド樹脂とは、その分子中に酸アミド基(−CONH−)を有する、加熱溶融できるポリアミド重合体である。具体的には、ラクタムの重縮合物、ジアミン化合物とジカルボン酸化合物との重縮合物、ω−アミノカルボン酸の重縮合物等の各種ポリアミド樹脂、またはそれ等の共重合ポリアミド樹脂やブレンド物等である。従って、本発明で用いるポリアミド樹脂(A)は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
よりさらに好ましくは、本発明で用いるXD系ポリアミド樹脂は、ジアミン化合物の70モル%以上、より好ましくは80モル%以上がメタキシリレンジアミンおよび/またはパラキシリレンジアミンであり、ジカルボン酸化合物の好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特には80モル%以上が、炭素原子数が好ましくは4〜20の、α,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸であるジアミン化合物とジカルボン酸化合物との重縮合物が好ましい。
メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンは、任意の割合に混合して使用できるが、耐熱性を重視する場合は、メタキシリレンジアミン0〜50モル%及びパラキシレンジアミン50〜100モル%が好ましく、後述するポリアミド樹脂フィルムの成形加工性を重視する場合は、メタキシリレンジアミン50〜100モル%及びパラキシレンジアミン0〜50モル%が好ましい。
ジアミン成分として、キシリレンジアミン以外のジアミンを用いる場合は、ジアミン構成単位の50モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは1〜25モル%、特に好ましくは5〜20モル%の割合で用いる。
数平均分子量(Mn)=2,000,000/([COOH]+[NH2])
ポリアミド樹脂のペレットを超遠心粉砕機にて粉砕し、φ0.25mmのふるいにかけ、φ0.25mm以下の粉末試料10gを円筒ろ紙に測りとる。その後メタノール120mlにて9時間ソックスレー抽出を行い、得られた抽出液をエバポレータにて乾固しないように注意しながら10mlに濃縮する。なお、その際、オリゴマーが析出する場合は、適宜PTFEフィルターに通液して取り除く。得られた抽出液をメタノールにて50倍希釈した液を測定に供し、日立ハイテクノロジー社(Hitachi High−Technologies Corporation)製高速液体クロマトグラフHPLCによる定量分析を実施して環状のポリアミド樹脂の含有量を求める。
環状のポリアミド樹脂をこのような範囲で含有することにより、XD系ポリアミド樹脂の連続繊維(B)への含浸性が優れ、得られる複合材(C)の強度がより向上する傾向にあり、さらにそりが少なくなり、寸法安定性がより向上しやすい傾向にある。環状のポリアミド樹脂のより好ましい含有量は、0.05〜0.8質量%であり、さらに好ましくは0.1〜0.5質量%である。
ポリアミド樹脂(A)の分子量分布は、例えば、重合時に使用する開始剤や触媒の種類、量及び反応温度、圧力、時間等の重合反応条件などを適宜選択することにより調整できる。また、異なる重合条件によって得られた平均分子量の異なる複数種のポリアミド樹脂を混合したり、重合後のポリアミド樹脂を分別沈殿させることにより調整することもできる。
ポリアミド樹脂の溶融粘度は、例えば、原料ジカルボン酸成分およびジアミン成分の仕込み比、重合触媒、分子量調節剤、重合温度、重合時間を適宜選択することにより調整できる。
ここで、吸水時の曲げ弾性率保持率とは、ポリアミド樹脂(A)からなる曲げ試験片の0.1質量%の吸水時の曲げ弾性率に対する、0.5質量%の吸水時の曲げ弾性率の比率(%)として定義され、これが高いということは吸湿しても曲げ弾性率が低下しにくいことを意味する。
吸水時の曲げ弾性率保持率は、より好ましくは86%以上、さらに好ましくは88%以上である。
ポリアミド樹脂の吸水時の曲げ弾性率保持率は、例えば、パラキシリレンジアミンとメタキシリレンジアミンの混合割合によりコントロールでき、パラキシリレンジアミンの割合が多いほど曲げ弾性率保持率を良好なものとすることができる。また、曲げ試験片の結晶化度をコントロールすることによっても調整できる。
r=(1−cN−b(C−N))/(1−cC+a(C−N))
式中、
a:M1/2
b:M2/2
c:18.015 (水の分子量(g/mol))
M1:ジアミンの分子量(g/mol)
M2:ジカルボン酸の分子量(g/mol)
N:末端アミノ基濃度(当量/g)
C:末端カルボキシル基濃度(当量/g)
ポリアミド樹脂の製造方法がいわゆる塩法である場合は、反応モル比を0.97〜1.02にするには、具体的には、例えば、原料ジアミン成分/原料ジカルボン酸成分比をこの範囲に設定し、反応を十分進めればよい。また溶融ジカルボン酸に連続的にジアミンを滴下する方法の場合は、仕込み比をこの範囲とすることの他に、ジアミンを滴下する最中に還流させるジアミン量をコントロールし、滴下したジアミンを反応系外に除去することでも可能である。具体的には還流塔の温度を最適な範囲にコントロールすることや充填塔の充填物、所謂、ラシヒリングやレッシングリング、サドル等を適切な形状、充填量に制御することで、ジアミンを系外に除去すればよい。また、ジアミン滴下後の反応時間を短くすることでも未反応のジアミンを系外に除去することができる。さらにはジアミンの滴下速度を制御することによっても未反応のジアミンを必要に応じて反応系外に除去することができる。これらの方法により仕込み比が所望範囲から外れても反応モル比を所定の範囲にコントロールすることが可能である。
また、ポリアミド樹脂(A)のガラス転移点は、50〜100℃が好ましく、55〜100℃がより好ましく、特に好ましくは60〜100℃である。この範囲であると、耐熱性が良好となる傾向にある。
この際、2つ以上の融点は、通常250〜330℃の範囲にあって、好ましくは260〜320℃、より好ましくは270〜310℃、特に好ましくは275〜305℃にある。融点を2つ以上、好ましくはこのような温度範囲に有することで、良好な耐熱性と複合材(C)を成形する際の成形加工性を有するポリアミド樹脂となる。このようなポリアミド樹脂の製造は、特許第4894982号の段落番号0071〜0080の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
これらのエラストマーとしては、ポリアミド樹脂(A)に対する相溶性を付与するため、ラジカル開始剤の存在下または非存在下で、α,β−不飽和カルボン酸及びその酸無水物、アクリルアミド並びにそれらの誘導体等で変性した変性エラストマーも好ましい。
本発明に用いる連続繊維(B)としては、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維(ケナフ(Kenaf)、竹繊維等を含む)、アルミナ繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、金属繊維(スチール繊維等)、アラミド繊維、ポリオキシメチレン繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、超高分子量ポリエチレン繊維などが挙げられる。なかでも、軽量でありながら、高強度、高弾性率であるという優れた特徴を有するため、炭素繊維が好ましく用いられる。炭素繊維はポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維を好ましく用いることができる。
なお、複合材(C)中における平均繊維長の測定方法は、特に限定されるものではないが、たとえば複合材(C)をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解させポリアミド樹脂溶解させた後に残る繊維の長さを測れば良く、目視、場合によっては光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)などによる観察によって測定することが可能である。
ポリアミド樹脂と反応性を有する官能基を有する例として、表面処理剤または収束剤等で表面処理したものが好ましく挙げられる。
シラン系カップリング剤としては、アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、グリシジルプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のトリアルコキシまたはトリアリロキシシラン化合物、ウレイドシラン、スルフィドシラン、ビニルシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
本発明で用いる複合材(C)は、ポリアミド樹脂(A)と連続繊維(B)を重ね、加熱加工することによって、ポリアミド樹脂(A)を連続繊維(B)に含浸させることによって製造できる。ポリアミド樹脂(A)を連続繊維(B)に含浸させる際のポリアミド樹脂(A)の形状は特に定めるものではなく、フィルム状、繊維状、粉状等の各種の形状のものを採用でき、フィルム状が好ましい。
なお、加熱加圧する際に、ポリアミド樹脂が溶融し流れ出すことがあるので、必ずしも用いたポリアミド樹脂(A)の質量と連続繊維(B)の質量とそれらの密度から計算される面積比率どおりに、複合材断面の面積比率がならないことがあるが、上記範囲の面積比率にすることによって、成形品の強度が良好となる。
また、複合材(C)中における連続繊維(B)の割合は、10〜65質量%であることが好ましく、35〜55質量%であることがより好ましい。
本発明では、複合材(C)を芯材に巻き取る。巻き取り条件については特に限定はなく、複合材(C)の種類に応じて適宜調節でき、例えば、巻き取り張力40〜60MPa、巻き取り速度1〜100m/分の条件で巻き取ることができる。
巻き取りの際の温度は、例えば、15〜35℃で行うことができる。また、巻き取りの際の相対湿度は25℃で20〜65%であることが好ましい。
複合材(C)の巻き取りは、幅方向に揺動を加えながら行ってもよい。複合材(C)の幅方向に厚みムラがある場合、かかる複合材(C)を芯材に巻き取ると、わずかな厚みムラであっても巻き重ねられてゆくことによって巻き取り品の外周表面に凹凸が生じやすい傾向にある。このような幅方向に厚みムラがある複合材(C)であっても、揺動を加えながら巻取ることで、厚みムラがほぼ均一になるように巻取ることができ、得られる巻き取り品の外周の表面凹凸をより小さくできる。
(ポリアミド樹脂(PXD10)の合成)
攪拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下装置及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したセバシン酸8950g(44.25mol)、次亜リン酸カルシウム12.54g(0.074mol)、酢酸ナトリウム6.45g(0.079mol)を秤量して仕込んだ(次亜リン酸カルシウムと酢酸ナトリウムのモル当量比は1.0)。反応容器内を十分に窒素置換した後、窒素で0.3MPaに加圧し、攪拌しながら160℃に昇温してセバシン酸を均一に溶融した。次いでパラキシリレンジアミン6026g(44.24mol)を攪拌下で170分を要して滴下した。この間、内温は281℃まで連続的に上昇させた。滴下工程では圧力を0.5MPaに制御し、生成水は分縮器及び冷却器を通して系外に除いた。分縮器の温度は145〜147℃の範囲に制御した。パラキシリレンジアミン滴下終了後、0.4MPa/時間の速度で降圧し、60分間で常圧まで降圧した。この間に内温は299℃まで昇温した。その後0.002MPa/分の速度で降圧し、20分間で0.08MPaまで降圧した。その後攪拌装置のトルクが所定の値となるまで0.08MPaで反応を継続した。0.08MPaでの反応時間は10分であった。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約13kgのポリアミド樹脂(PXD10)を得た。
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、精秤したセバシン酸12,135g(60mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物(NaH2PO2・H2O)3.105g(ポリアミド樹脂中のリン原子濃度として50ppm)、酢酸ナトリウム1.61gを入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。酢酸ナトリウム/次亜リン酸ナトリウム一水和物のモル比は0.67とした。
これにメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの7:3(モル比)の混合ジアミン8,172g(60mol)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。混合メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を260℃として40分間溶融重合反応を継続した。
その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出して、これをペレット化し、約24kgのポリアミド樹脂(MP10)を得た。
上記MP10の合成において、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの混合品に変えて、メタキシリレンジアミンを使用した以外は、MP10の合成例と同様にしてポリアミド樹脂MXD10を得た。
真空乾燥機により乾燥したMXD10を30mmφのスクリューを有する単軸押出機にて溶融押出しし、500mm幅のTダイを介して押出成形し、表面に凹凸状シボを設けたステンレス製の対ロールにより、ロール温度70℃、ロール圧0.4MPaで加圧し、フィルム表面にシボを有するフィルムを成形した。フィルム端部をスリットし、厚さ20μm、500mm幅のキャストフィルムを得た。
尚、得られた複合材中の樹脂/連続繊維の断面における面積比率及び断面における空隙面積率の測定は、特許第4894982号公報の段落番号0184〜0185の記載に従った。
実施例1において、樹脂の種類や複合材の製造条件を下記表に記載の通り変更し、他は同様に行って巻き取り品を製造した。
樹脂は下記のものを用いた。
N6:宇部興産製 グレード1022B 分子量22000
PP:日本ポリプロ株式会社製 ノバテックPP(グレードFB3HAT 密度0.9g/cm3)
上記で得られた巻き取り品の複合材の末端をテープ止めし、図4に示すように立てて、図4の矢印の方向から投影した。得られた投影図に基づき、θを測定した。
得られた巻き取り品の複合材のずり落ち性について目視にて観察し、以下の通り評価した。
A: 複合材の末端をテープ止めした巻き取り品を、図4に示すように立てておいたときに、複合材がずり落ちることが無い。
B:複合材の末端をテープ止めした巻き取り品を、図4に示すように立てておいたときに、複合材の表層またはそれに近い層が若干ずり落ちることがある。
C:複合材の末端をテープ止めした巻き取り品を、図4に示すように立てておいたときに、芯材に近い側からも複合材がずり落ちる。
得られた巻き取り品(長さ30cm)を切り出し、その一端を机の上に抑え、もう一端の空中への反り上がり具合を、先端の角度(先端が水平状態からどの程度傾いているか)で評価した。先端角度は、例えば、全く反らなかったら0°、真上を向いたら90°と評価した。つまり、巻き上がり高さと先端角度が小さいほど巻き癖が小さいと言える。
2 中心軸に対応する線
3 複合材に対応する辺
4 芯材
5 複合材
6 中心軸
Claims (8)
- ポリアミド樹脂(A)と連続繊維(B)を含む複合材(C)を芯材にトラバース巻きで巻き取った巻き取り品であって、前記複合材(C)は、幅dが3〜100mmであり、厚さtが20〜300μmであり、巻き取り品を芯材の幅方向の最大断面に垂直な方向から投影したとき、芯材の中心軸に対応する線と、巻き取られた複合材(C)のうち、前記芯材の幅方向の中央を通る複合材(C)に対応する辺のなす角のうち小さい方の角θが70〜89°であり、
前記ポリアミド樹脂(A)として、ジアミン化合物とジカルボン酸化合物との重縮合物であって、前記ジアミン化合物の50モル%以上が、キシリレンジアミンであるXD系ポリアミド樹脂であって、前記XD系ポリアミド樹脂の数平均分子量(Mn)が、6,000〜30,000であり、かつ、該ポリアミド樹脂のうち、分子量が1000以下の成分の量が0.5〜5質量%であるXD系ポリアミド樹脂を含み、
下記式を満たす巻き取り品。
式:200≦D/t≦3000
(上記式中、Dは芯材の外径(単位:mm)を表し、tは複合材(C)の厚さ(単位:mm)を示す。) - 前記ポリアミド樹脂(A)として、さらに、脂肪族ポリアミド樹脂を含む、請求項1に記載の巻き取り品。
- 前記キシリレンジアミンがメタキシリレンジアミンおよび/またはパラキシリレンジアミンである、請求項1または2に記載の巻き取り品。
- 前記芯材の外径が、60〜350mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の巻き取り品。
- 前記複合材(C)中における連続繊維(B)の割合が10〜65質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の巻き取り品。
- 前記複合材(C)の1m2当たりの重量が、50〜3000gである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の巻き取り品。
- 前記D/tが300≦D/t≦2500である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の巻き取り品。
- 前記なす角θが85〜89°である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の巻き取り品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013159219A JP6146193B2 (ja) | 2013-07-31 | 2013-07-31 | 巻き取り品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013159219A JP6146193B2 (ja) | 2013-07-31 | 2013-07-31 | 巻き取り品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015030555A JP2015030555A (ja) | 2015-02-16 |
JP6146193B2 true JP6146193B2 (ja) | 2017-06-14 |
Family
ID=52516217
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013159219A Active JP6146193B2 (ja) | 2013-07-31 | 2013-07-31 | 巻き取り品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6146193B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6149579B2 (ja) * | 2013-07-31 | 2017-06-21 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 巻き取り品 |
JP6066028B1 (ja) * | 2015-08-27 | 2017-01-25 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 長繊維強化複合材料および成形品 |
EP3342803A1 (en) * | 2015-08-27 | 2018-07-04 | Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. | Filament-reinforced composite material and molded article |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62171871A (ja) * | 1986-01-23 | 1987-07-28 | Mitsubishi Chem Ind Ltd | ピツチ系炭素繊維の巻き取り方法 |
JP2000272825A (ja) * | 1999-03-29 | 2000-10-03 | Mitsubishi Chemicals Corp | ピッチ系炭素繊維の巻き取り方法 |
JP3502608B2 (ja) * | 2001-01-11 | 2004-03-02 | 株式会社イトウ六 | カバーテープの巻取製品 |
US20060182949A1 (en) * | 2005-02-17 | 2006-08-17 | 3M Innovative Properties Company | Surfacing and/or joining method |
JP5600381B2 (ja) * | 2008-05-01 | 2014-10-01 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | ねじ部材用ポリアミド樹脂組成物 |
JP5485836B2 (ja) * | 2009-09-07 | 2014-05-07 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | 長繊維強化ポリアミド樹脂組成物及び成形体 |
JP5592775B2 (ja) * | 2010-07-01 | 2014-09-17 | ダイセルポリマー株式会社 | 炭素繊維巻きテープとその製造方法 |
JP5776342B2 (ja) * | 2011-06-08 | 2015-09-09 | 東レ株式会社 | 炭素繊維強化樹脂組成物およびその成形品 |
-
2013
- 2013-07-31 JP JP2013159219A patent/JP6146193B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015030555A (ja) | 2015-02-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6149579B2 (ja) | 巻き取り品 | |
KR102408678B1 (ko) | 압력용기, 라이너 및 압력용기의 제조방법 | |
KR101315921B1 (ko) | 폴리아미드 수지계 복합재 및 그 제조 방법 | |
JP6376122B2 (ja) | 複合繊維、織物、編み物および複合材料 | |
TWI582143B (zh) | A fabric and a shaped product obtained by molding the fabric | |
JP6390384B2 (ja) | 圧力容器および圧力容器の製造方法 | |
WO2017033746A1 (ja) | 長繊維強化複合材料および成形品 | |
WO2017010390A1 (ja) | 延伸フィルム、延伸フィルムの製造方法、および、ポリアミド樹脂組成物 | |
JP6443218B2 (ja) | 複合シートの製造方法 | |
TWI538936B (zh) | 聚醯胺樹脂膜及其製造方法 | |
JP6146193B2 (ja) | 巻き取り品 | |
JP6468030B2 (ja) | 複合フィルムの製造方法および複合材料 | |
JP6981405B2 (ja) | 材料および成形品 | |
JP6066028B1 (ja) | 長繊維強化複合材料および成形品 | |
JP6565179B2 (ja) | ライナーおよび圧力容器 | |
JP7275962B2 (ja) | 長尺平板状材料 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160421 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170112 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170117 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170222 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170418 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170501 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6146193 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |