JP6565179B2 - ライナーおよび圧力容器 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、金属製または、樹脂製ライナーの外周を補強繊維と樹脂からなる繊維強化プラスチック製のシェルで覆った圧力容器において、前記繊維強化プラスチックの圧縮強度が1700MPa以上で、かつ、繊維直交方向の伸度が1.2%以上であることを特長とする圧力容器が開示されている。
また、特許文献2には、ボンベ本体が、プラスチック製内筒、薄葉金属層および繊維強化プラスチック層にて構成されていることを特徴とするボンベが開示されている。
さらに、特許文献3には、圧力容器であって、所定の流体の漏洩を遮断する樹脂製のライナー層と、前記ライナー層よりも外側に形成され、耐圧性を有する、繊維強化プラスチック製の第1の層と、前記ライナー層と、前記第1の層との間に配置され、前記第1の層よりも伸びが大きいプラスチックから成る第2の層を備えることを特徴とする圧力容器が開示されている。
本発明はかかる課題を解決することを目的としたものであって、軽量でガスバリア性の高いライナーおよび前記ライナーを有する圧力容器を提供することを目的とする。
<1>ポリアミド樹脂が連続繊維に含浸している複合材料から構成される圧力容器のライナー。
<2>前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンである、<1>に記載のライナー。
<3>前記ライナーの、温度23℃、相対湿度50%における気体透過係数が、0.10cc・mm/m2・day・atm以下である、<1>または<2>に記載のライナー。
<4>前記ライナーのボイド率が10%以下である、<1>〜<3>のいずれかに記載のライナー。
<5>前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来する、<2>〜<4>のいずれかに記載のライナー。
<6>前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が、炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する、<2>〜<5>のいずれかに記載のライナー。
<7>前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が、アジピン酸およびセバシン酸の少なくとも一方に由来する、<2>〜<4>のいずれかに記載のライナー。
<8>前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が、アジピン酸に由来する、<2>〜<4>のいずれかに記載のライナー。
<9>前記連続繊維が炭素繊維およびガラス繊維から選択される少なくとも1種である、<1>〜<8>のいずれかに記載のライナー。
<10>前記ライナーにおける連続繊維の割合が、10〜80V/V%である、<1>〜<9>のいずれかに記載のライナー。
<11><1>〜<10>のいずれかに記載のライナーを有する、圧力容器。
本発明の圧力容器のライナーは、ポリアミド樹脂が連続繊維に含浸している複合材料から構成される。本発明の圧力容器のライナーは、通常は、複合材料のみからなるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の成分を含んでいることを排除するものではない。
気体透過係数における気体は、本発明のライナーに封入可能である気体である限り特に定めるものでは無いが、通常、25℃、1atmで気体であるガスをいい、反応性の低いものが好ましい。具体的には、酸素、二酸化炭素、窒素、アルゴン、LPG、代替フロン、メタン、水素が例示される。
本発明におけるボイド率とは、後述する実施例で定める方法で特定された値をいう。実施例で記載する測定機器等が、廃版等により入手困難な場合は、他の同等の性能を有する測定機器で測定することができる。以下の測定方法についても同様である。
ボイド率を低くすることにより、ガスバリア性をより向上させることができる。ボイド率を低くする手段としては、複合材料のボイド率を低くすることが挙げられる。
本発明のライナーの厚さは、特に定めるものではないが、100〜6000μmであることが好ましく、400〜4000μmであることがより好ましい。
本発明のライナーにおける連続繊維の割合は、10V/V%以上であることが好ましく、20V/V%以上がより好ましく、30V/V%以上であることがさらに好ましく、さらには、40V/V%以上とすることもでき、特には、45V/V%以上とすることもできる。また、80V/V%以下であることが好ましく、70V/V%以下がより好ましく、さらには、60V/V%以下とすることもでき、特には、55V/V%以下とすることもできる。
ここで、V/V%とは、ライナーの体積に対する、該ライナー中の連続繊維の体積の割合を示す単位であり、ライナーにおける連続繊維の割合は、後述する実施例で述べる方法で測定した値をいう。
複合材料は、連続繊維と、前記連続繊維に含浸したポリアミド樹脂を含み、連続繊維と連続繊維に含浸したポリアミド樹脂組成物からなっていてもよい。
本発明で用いる複合材料は、連続繊維とポリアミド樹脂が全体の80質量%以上を占めることが好ましい。
以下、ポリアミド樹脂および連続繊維について説明する。
本発明で用いる複合材料は、ポリアミド樹脂を含む。ポリアミド樹脂としては、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド46、ポリアミド6/66、ポリアミド10、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸およびテレフタル酸からなるポリアミド66/6T、ヘキサメチレンジアミン、イソフタル酸およびテレフタル酸からなるポリアミド6I/6T、ジアミン由来の構成単位に少なくとも一つの芳香環を含むポリアミド樹脂などが挙げられる。
さらに、ジアミン由来の構成単位は、70モル%以上がキシリレンジアミン由来の構成単位であることが好ましく、80モル%以上がキシリレンジアミン由来の構成単位であることがさらに好ましい。キシリレンジアミンは、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンおよびこれらの混合物のいずれでも良いが、少なくともメタキシリレンジアミンを含むことが好ましく、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミン由来の構成単位であることが好ましく、80モル%以上がメタキシリレンジアミン由来の構成単位であることがさらに好ましい。
ジアミン成分として、キシリレンジアミン以外のジアミンを用いる場合、その割合は、全ジアミン由来の構成単位の50モル%未満であり、30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜25モル%、特に好ましくは5〜20モル%の割合で用いる。
炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸は、炭素数6〜9のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位がより好ましい。炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示でき、1種又は2種以上を混合して使用できるが、これらの中でもポリアミド樹脂の融点が成形加工するのに適切な範囲となることから、アジピン酸またはセバシン酸が好ましく、アジピン酸が特に好ましい。
これらのジカルボン酸成分は、1種又は2種以上を混合して使用できる。
数平均分子量(Mn)=2,000,000/([COOH]+[NH2])
分子量が1,000以下の成分の好ましい含有量は、0.6〜4.5質量%であり、より好ましくは0.7〜4質量%であり、さらに好ましくは0.8〜3.5質量%であり、特に好ましくは0.9〜3質量%であり、一層好ましくは1〜2.5質量%である。
ポリアミド樹脂の分子量分布は、例えば、重合時に使用する開始剤や触媒の種類、量及び反応温度、圧力、時間等の重合反応条件などを適宜選択することにより調整できる。また、異なる重合条件によって得られた重量平均分子量または数平均分子量の異なる複数種のポリアミド樹脂を混合したり、重合後のポリアミド樹脂を分別沈殿させることにより調整することもできる。
また、100μm単層フィルムにおける、JIS K−7127に準拠した引張破断強度が、3MPa以上であることが好ましく、5〜100MPaであることがより好ましい。
なお、融点とは、DSC(示差走査熱量測定)法により観測される昇温時の吸熱ピークのピークトップの温度である。また、ガラス転移点とは、試料を一度加熱溶融させ熱履歴による結晶性への影響をなくした後、再度昇温して測定されるガラス転移点をいう。測定には、例えば、島津製作所社(SHIMADZU CORPORATION)製「DSC−60」を用い、試料量は約5mgとし、雰囲気ガスとしては窒素を30ml/分で流し、昇温速度は10℃/分の条件で室温から予想される融点以上の温度まで加熱し溶融させた際に観測される吸熱ピークのピークトップの温度から融点を求めることができる。次いで、溶融したポリアミド樹脂を、ドライアイスで急冷し、10℃/分の速度で融点以上の温度まで再度昇温し、ガラス転移点を求めることができる。
また、他の実施形態として、ポリアミド樹脂組成物が、エラストマーを実質的に含まない構成とすることもできる。実質的に含まないとは、例えば、ポリアミド樹脂組成物の3質量%以下であることをいい、さらには、1質量%以下であることをいう。
さらに、本発明の目的・効果を損なわない範囲で、本発明で用いるポリアミド樹脂組成物には、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂等の樹脂を一種もしくは複数ブレンドすることもできる。これらの配合量はポリアミド樹脂組成物の10質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
本発明で用いる複合材料は連続繊維を含む。連続繊維とは、10cmを超える繊維長を有する繊維束をいう。本発明で使用する連続繊維束の平均繊維長に特に制限はないが、成形加工性を良好にする観点から、1〜10,000mの範囲であることが好ましく、より好ましくは100〜10,000m、さらに好ましくは1,000〜7,000mである。
連続繊維束の平均引張弾性率は、50〜1000GPaであることが好ましい。このような範囲とすることにより、成形品の強度がより優れたものとなる。
シラン系カップリング剤としては、アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、グリシジルプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のトリアルコキシまたはトリアリロキシシラン化合物、ウレイドシラン、スルフィドシラン、ビニルシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
本発明のライナーは、公知の方法によって製造できる。本発明のライナーは、ポリアミド樹脂が連続繊維に含浸している複合材料から構成されていればよく、すなわち、ライナーの状態となったときに、ポリアミド樹脂が連続繊維に含浸した状態となっていればよい。従って、ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂組成物を連続繊維に含浸した状態の複合材料、例えば、テープ状の複合材料をライナーの形状に配して加熱成形してもよいし、ポリアミド樹脂繊維と連続繊維からなる織物や混繊糸などをライナーの形状に配してから加熱して、ポリアミド樹脂を連続繊維に含浸させつつ、成形してもよい。さらには、連続繊維をライナーの形状に配した後、ポリアミド樹脂を含浸させる態様であってもよい。
織物としては、経糸と緯糸の一方が、ポリアミド樹脂組成物からなる連続ポリアミド樹脂繊維であり、他方が連続繊維である織物が例示される。混繊糸としては、連続ポリアミド樹脂繊維と連続繊維からなる混繊糸が挙げられる。かかる混繊糸は、撚りが掛っていることが好ましい。また、混繊糸を用いた織物や編み物も好ましく採用できる。
ここで、ライナーを製造するにあたり、筒状の型を用い、ライナーの上部及び下部については、別途、加熱加工して形成してもよいし、ライナーを一体的に成形した後に、ライナーの開口部から型を除去して成形してもよい。
ライナーの開口部から型を除去する場合、セラミックの型のように破壊等によって、除去できるものが例示される。
加熱時間は特に定めるものではないが、通常は、10秒〜10分である。
また、加圧してもよく、加圧する際のプレス圧力は1MPa以上が好ましく、5MPa以上がより好ましく、10MPa以上が特に好ましい。加熱加圧は、減圧下、特には真空下で行うのが好ましい。このような条件で行うと、得られるライナー中のボイド率を低くすることができる。
特に、本発明のライナーは、ライナー自体が高いガスバリア性を有するので、圧力容器の本体部分に、ライナー以外の、温度23℃、相対湿度50%における気体透過係数が、気体透過係数が、0.10cc・mm/m2・day・atm以下の層を設けない構成とすることもできる。そのため、圧力容器を構成する層の数を減らすことができ、圧力容器の軽量化も達成できる。
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したアジピン酸15000g(102.6mol)、さらに次亜リン酸ナトリウム一水和物の配合量を12978mg(122.5mmol、ポリアミド中のリン原子濃度として151ppm)及び酢酸ナトリウムの配合量を6914mg(84.29mmol)になるよう入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。これにメタキシリレンジアミン13895g(102.0mol)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を260℃として40分反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約24kgのポリアミド樹脂MXD6を得た。
ジカルボン酸成分として、アジピン酸のみに代わって、アジピン酸14094.3g(96.444mol)およびイソフタル酸1022.8g(6.156mol)を添加した以外は、上記ポリアミド樹脂MXD6の合成と同様に溶融重合して、ポリアミド樹脂MXD6Iを得た。
撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下装置及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したセバシン酸(伊藤製油製、セバシン酸TA)8950g(44.25mol)、次亜リン酸カルシウム12.54g(0.074mol)、酢酸ナトリウム6.45g(0.079mol)を秤量して仕込んだ。反応容器内を十分に窒素置換した後、窒素で0.4MPaに加圧し、撹拌しながら20℃から190℃に昇温して55分間でセバシン酸を均一に溶融した。次いでメタキシリレンジアミン4172g(30.63mol)とパラキシリレンジアミン1788g(13.13mol%)の混合ジアミンを撹拌下で滴下した。この間、反応容器内温は293℃まで連続的に上昇させた。滴下工程では圧力を0.42MPaに制御し、生成水は分縮器及び冷却器を通して系外に除いた。分縮器の温度は145〜147℃の範囲に制御した。混合ジアミン滴下終了後、反応容器内圧力0.42MPaにて20分間重縮合反応を継続した。この間、反応容器内温は296℃まで上昇させた。その後、30分間で反応容器内圧力を0.42MPaから0.12MPaまで減圧した。この間に内温は298℃まで昇温した。その後0.002MPa/分の速度で減圧し、20分間で0.08MPaまで減圧し、分子量1,000以下の成分量を調整した。減圧完了時の反応容器内の温度は301℃であった。その後、系内を窒素で加圧し、反応容器内温度301℃、樹脂温度301℃で、ストランドダイからポリマーをストランド状に取出して20℃の冷却水にて冷却し、これをペレット化し、約13kgのポリアミド樹脂を得た。
PA6:宇部興産製、ナイロン6 、UBEナイロン1022B。
CF:炭素繊維、東レ製、エポキシ系樹脂で表面処理されているものを用いた。
ポリアミド6(PA6)を含浸させた一方向炭素繊維テープ(carbon fiber unidirectional tape)、TenCate PERFORMANCE COMPOSITES社製、TenCate Cetex(登録商標)TC910 NYLON6
ポリアミド樹脂MXD6を30mmφのスクリューとTダイを備える単軸押出機にて押出成形し、20μm厚のキャストフィルムを得た。
連続繊維束として炭素繊維を、平均流速20m/秒で流れる空気流中へ、空気の流れ方向に対してほぼ直交する方向から、空気流中を通過する際に、通過方向に沿った長さ30mmに対して60mm(10mmに対して20mm)たるむようにたるみを与えながら導入して開繊処理を施し、炭素繊維シートを得た。
得られた炭素繊維シートを280℃に加熱しながら(以下、この温度を「含浸温度」という)、連続的に前記キャストフィルムと貼り合わせ、幅200mmのテープ状の複合材料を得た。
セラミック製の型の周りに、上記テープ状の複合材料をテープワインディング法によって、螺旋状に巻いた。テープは、2層以上となるように2方向から螺旋状に巻いた。その後、280℃で加熱し、溶融成形した。セラミック製の型を砕いて除去し、ライナーを得た。
以下の方法に従って、ライナーのボイド率、ライナーにおける連続繊維の割合、ライナーの酸素透過係数、ライナーのアルゴン透過係数、ライナーの窒素透過係数、ライナーの水浸漬1ヶ月後の曲げ強度保持率を測定した。
ライナーのボイド率を以下の方法に従って測定した。
得られたライナーの一部を切り取り、エポキシ樹脂で包埋し、ライナーの厚み方向に沿った断面(本実施例では、図1で示す断面とした)が露出するように研磨し、断面図を超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500(コントローラー部)/VK−9510(測定部)(キーエンス製)を使用して撮影した。得られた断面写真に対し、ボイド領域を、画像解析ソフトImageJを用いて選択し、その面積を測定した。測定値に基づいて、(ライナーの断面のボイド領域/ライナーの断面積)×100を算出した。1つのライナーにおいて、上記測定を3か所で行い、その平均値を小数点第一位で四捨五入して、ボイド率(単位%)とした。
ライナーにおける連続繊維の割合は、以下の方法に従って測定した。
ライナーにおける連続繊維の割合は、JIS 7075 燃焼法に従って測定した。
ライナーにおける連続繊維の割合の単位は、V/V%で示した。
上記で得られた複合材料の温度23℃、相対湿度50%における酸素透過係数を以下の方法に従って測定した。
酸素透過率測定装置(モダンコントロール製、OX-TRAN2/21)を使用して、複合材料の酸素透過率を23℃、相対湿度60%の条件下で測定し、複合材料の酸素透過係数を以下の式を用いて計算した:
1/R1 = DFT/P
P=R1*DFT
ここで、
R1 = 複合材料の酸素透過率(ml/m2・day・MPa)
DFT = 複合材料の厚み(mm)
P = 複合材料の酸素透過係数
気体透過係数の単位は、ml/m2・day・MPaおよびml・mm/m2・day・atmに換算した値で示した。気体透過係数は、材料固有の値であり、厚さに関係しない値である。従って、複合材料の透過係数は、ライナーの気体透過係数に等しい。
ガス透過測定装置(GTRテック社製)を用いて、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下にてJIS K7126−1:2006差圧法に準じて複合材料のアルゴンガス透過率を求め、上記ライナーの酸素透過係数の算出方法に準じて、アルゴン透過係数を測定した。
ガス透過測定装置(GTRテック社製)を用いて、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下にてJIS K7126−1:2006差圧法に準じて複合材料の窒素ガス透過率を求め、上記ライナーの酸素透過係数の算出方法に準じて、窒素透過係数を測定した。
複合材料を連続繊維がほぼ直交するように交互に積層し、下記表に記載のライナーに巻いた後の含浸温度で加熱して、10mm×80mm×厚み4mmの試験片を作製した。得られた試験片について、JIS K6911に準じて、オートグラフ(株式会社島津製作所製、AG5000B)にて、常温で曲げ強度(MPa)を測定した。また、試験片を1ヵ月間、常温常圧で水に浸漬した後、同様にして曲げ強度を測定した。水浸漬前の曲げ強度/水浸漬後の曲げ強度×100を水浸漬1ヶ月後の曲げ強度保持率(%)とした。
実施例1において、樹脂の種類、含浸温度、ライナーに巻いた後の加熱温度を下記表に示す通り変更し、他は同様に行って、実施例のライナーを得た。実施例7および実施例8はポリアミド樹脂MXD6とPA6をペレット状態で混合したものを30mmφのスクリューとTダイを備える単軸押出機にて押出成形し、20μm厚のキャストフィルムを得た以外は実施例1と同様にして実施した。
実施例1において、複合材料として、TenCate Cetex TC910 NYLON6を用い、他は同様に行ってライナーを得た。
2 保護層
3 口金
4 ボス
5 バルブ
10 圧力容器
Claims (9)
- ポリアミド樹脂が連続繊維に含浸している複合材料から構成されるライナーを有する圧力容器であって、
前記ライナーは、温度23℃、相対湿度50%における気体透過係数が、0.10cc・mm/m 2 ・day・atm以下であり、
前記圧力容器の本体部分に、前記ライナー以外の、温度23℃、相対湿度50%における気体透過係数が、0.10cc・mm/m 2 ・day・atm以下の層を有さない圧力容器。 - 前記ライナーのボイド率が10%以下である、請求項1に記載の圧力容器。
- 前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンである、請求項1または2に記載の圧力容器。
- 前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来する、請求項3に記載の圧力容器。
- 前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が、炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する、請求項3または4に記載の圧力容器。
- 前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が、アジピン酸およびセバシン酸の少なくとも一方に由来する、請求項3に記載の圧力容器。
- 前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が、アジピン酸に由来する、請求項3に記載の圧力容器。
- 前記連続繊維が炭素繊維およびガラス繊維から選択される少なくとも1種である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の圧力容器。
- 前記ライナーにおける連続繊維の割合が、10〜80V/V%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の圧力容器。
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