以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。図1は同画像形成装置の機構部の要部平面説明図、図2は同機構部の要部側面説明図である。
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置である。図示しない左右の側板間に架け渡した主ガイド部材1及び図示しない従ガイド部材でキャリッジ3を移動可能に保持している。そして、後述する主走査モータ554によって、図示しない駆動プーリと従動プーリ間に架け渡したタイミングベルトを介してキャリッジ3を主走査方向に往復移動する。
キャリッジ3には、液滴を吐出する4個の液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド4a、4b、4c、4d(区別しないときは「記録ヘッド4」という。)を搭載している。記録ヘッド4は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を下方に向けて装着している。
ここで、記録ヘッド4aと記録ヘッド4b〜4cは主走査方向と直交する方向である副走査方向に1ヘッド分(1ノズル列分)位置をずらして配置されている。また、記録ヘッド4a〜4dはいずれも2列のノズル列を有している。そして、記録ヘッド4aと4bはいずれも同色である黒色の液滴を吐出し、記録ヘッド4cと4dの各ノズル列でマゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y)の液滴を吐出する。
これにより、モノクロ画像については記録ヘッド4a、4bを使用して1スキャン(主走査)で2ヘッド分の幅で画像を形成でき、カラー画像については例えば記録ヘッド4b〜4dを使用して形成することができる。
また、記録ヘッド4a〜4dには、各ヘッド4に液体を供給するヘッドタンク5がそれぞれ設けられている。ヘッドタンク5には、装置本体に交換可能に装着されるメインタンクであるインクカートリッジ10k、10c、10m、10yから供給チューブ6を介して各色のインクが供給される。このとき、同じ色の液滴を吐出する2つの記録ヘッド4a、4bには1つのインクカートリッジ10kからインクが供給される
インクカートリッジ10からヘッドタンク5への送液は、送液ポンプユニット24内に設けた各カートリッジ10毎の後述する送液ポンプ241によって行う。
一方、ロール紙Pを副走査方向に搬送するために、ロール紙Pを吸着して記録ヘッド4に対向して搬送する搬送手段を備えている。この搬送手段は、搬送ローラ21と、搬送ローラ21に加圧されて接触する加圧ローラ22と、記録ヘッド4に対向するプラテン部材23と、プラテン部材23の吸引孔を介してロール紙(用紙)20を吸着する吸引ファン24などで構成される。
さらに、キャリッジ3の主走査方向の一方側には記録ヘッド4の維持回復を行う維持回復機構30が配置されている。また、キャリッジ3の主走査方向の他方側には記録ヘッド4から画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出を行う空吐出受け40が配置されている。
維持回復機構30は、メンテナンス手段であり、装置本体に保持された第1維持回復部30Aと、装置本体に副走査方向(矢印方向)に往復移動可能に保持された第2維持回復部30Bとを有している。第2維持回復部30Bは記録ヘッド4aの維持回復を行うときには図1の位置にあり、記録ヘッド4b〜4dの維持回復を行うときには第1維持回復部30Aと同じ副走査方向位置まで移動する。
この維持回復機構30は、例えば記録ヘッド4のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングする保湿キャップを兼ねた吸引キャップ31及び保湿キャップ32を備えている。また、維持回復機構30は、ノズル面を払拭するワイパ部材33、画像形成に寄与しない液滴(空吐出滴)を受ける空吐出受け34などを備えている。
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙装置からロール紙(用紙)Pが給紙されて、搬送ローラ21及び加圧ローラ22によってプラテン部材23上を吸着されながら副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ3を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド4を駆動することにより、停止しているロール紙Pに液滴を吐出して1行分を記録し、ロール紙Pを所定量搬送後、次の行の記録を行い、ロール紙Pを順次排出する。
次に、ヘッドタンク5の一例について図3及び図4を参照して説明する。図3は同ヘッドタンク5の模式的上面説明図、図4は同じく模式的正面説明図である。
ヘッドタンク5は、インクを保持するための一側部が開口したインク収容部を形成するタンクケース201を有している。このタンクケース201の開口部を撓むことが可能な部材であるフィルム部材203で密閉して、インク収容部202を形成している。そして、タンクケース201内に配置した弾性部材としてバネ204の復元力によってフィルム部材203を常時外方へ付勢している。
このように、タンクケース201のフィルム部材203にバネ204の復元力が作用していることで、タンクケース201のインク収容部202内のインク残量が減少することによって負圧が発生する。
また、タンクケース201の外側には、一端部側を軸206で揺れ動くことが可能なように支持されたフィラからなる変位部材(以下、単に「フィラ」とも表記することがある。)205を有している。変位部材205は、スプリング210によってタンクケース201側に向けて勢いを付けられ、フィルム部材203に押し付けられている。これにより、フィルム部材203の動きに連動して変位部材205が変位する。
この変位部材205をキャリッジ3に設ける第1検知手段(第1センサ)251や装置本体側に配置された第2検知手段(第2センサ)301などで検知することでヘッドタンク5内のインク残量や負圧などを検知することができる。
また、タンクケース201の上部には、インクカートリッジ10からインクを供給するための供給口部209があり、インク供給チューブ6に接続されている。また、タンクケース201の側部には、ヘッドタンク5内を大気に開放する大気開放手段である大気開放機構207が設けられている。
この大気開放機構207は、ヘッドタンク5内に連通する大気開放路207aを開閉する弁体207b及びこの弁体207bを閉弁状態に付勢するスプリング207cなどを備えている。そして、装置本体側の大気開放ソレノイド302によって、弁体207bを押すことで開弁されて、ヘッドタンク5内に大気開放状態(大気に連通した状態)になる。
また、ヘッドタンク5内のインク液面を検出するための電極ピン208aと208bが取り付けられている。インクは電導性を持っており、電極ピン208aと208bの所までインクが到達すると、電極ピン208aと208b間に電流が流れて両者の抵抗値が変化するため、インク液面高さが所定高さ以下になったことを検出することができる。
次に、この画像形成装置におけるインク供給排出系について図5を参照して説明する。図5は同供給排出系の模式的説明図である。
まず、インクカートリッジ10からヘッドタンク5に対するインク供給は、送液手段である送液ポンプ241によって供給チューブ6を介して行なわれる。なお、送液ポンプ241は、チューブポンプなどで構成した可逆型ポンプであり、インクカートリッジ10からヘッドタンク5にインクを供給する送液動作と、ヘッドタンク5からインクカートリッジ10にインクを戻す逆送動作とを行なえるようにしている。
また、維持回復機構30は、前述したように記録ヘッド4のノズル面をキャッピングする吸引キャップ31と、吸引キャップ31に接続された吸引ポンプ812を有している。そして、吸引キャップ31でキャッピングした状態で吸引ポンプ812を駆動することで吸引チューブ811を介してノズルからインクを吸引することによってヘッドタンク5内のインクを吸引することができる。なお、吸引された廃インクは廃液タンク100に排出される。
また、装置本体側にはヘッドタンク5の大気開放機構207を開閉する部材である大気開放ソレノイド302が配設され、この大気開放ソレノイド302を作動させることで大気開放機構207を開放することができる。
さらに、キャリッジ3にはヘッドタンク5の変位部材205を検知する第1検知手段である光学センサからなる第1センサ251が設けられている。なお、第1センサ251は各ヘッドタンク5毎に設けられている。
一方、装置本体101側にはヘッドタンク5の変位部材205を検知する光学センサからなる第2検知手段である第2センサ301が設けられている。
これらの第1センサ251と第2センサ301の検知結果を使用してヘッドタンク5に対するインク供給動作を制御できる。
ここで、送液ポンプ241、吸引ポンプ812、大気開放ソレノイド302の駆動制御は、制御部500によって駆動機構400に介して行われる。
次に、2つの送液ポンプと駆動機構の関係について図6を参照して説明する。図6は同説明に供する模式的説明図である。
インクカートリッジ10kのインクは、送液ポンプ241aを駆動することで供給チューブ6aを介して記録ヘッド4aのヘッドタンク5aに送液される。インクカートリッジ10cのインクは、送液ポンプ241bを駆動することで供給チューブ6bを介して記録ヘッド4bの1つのノズル列に対応するヘッドタンク5aに送液される。
ここで、送液ポンプ241a、241bは駆動機構400に駆動される。駆動機構400は、第1駆動源である駆動モータ401の駆動力を、駆動切替機構403を介して、送液ポンプ241a、241bのいずれか一方に選択的に伝達する。駆動切替機構403は、第2の駆動源である駆動モータ402によって駆動力伝達経路が切り替えられる。
なお、ここでは、2つの送液ポンプ241a、241bについてのみ説明しているが、上述したように、他の色のカートリッジの送液ポンプの駆動、吸引ポンプ812、大気開放ソレノイド302の駆動も、駆動モータ401の駆動力を、駆動切替機構403を介して選択的に伝達することで行っている。
また、キャリッジ3の主走査方向に沿ってエンコーダスケール91が配設され、キャリッジ3にはエンコーダスケール91を読み取るエンコーダセンサ92が設けられている。これらのエンコーダスケール91とエンコーダセンサ92によってリニアエンコーダ90を構成し、このリニアエンコーダ90の検出信号によってキャリッジ3の主走査位置(キャリッジ位置)や移動量を検出するようにしている。
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図7を参照して説明する。図7は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司り、本発明における送液制御手段などの各種制御手段を兼ねるCPU501と、CPU501が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503とを備えている。また、制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504を備えている。また、制御部500は、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505を備えている。
また、制御部500は、記録ヘッド4を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ3側に設けた記録ヘッド4を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509を備えている。
また、制御部500は、キャリッジ3を移動走査する主走査モータ554、搬送ローラ21を回転駆動させる副走査モータ555を駆動するためのモータ駆動部510とを備えている。
また、制御部500は、駆動モータ401及び駆動切替機構403の駆動モータ402を駆動するモータ駆動部512などを備えている。
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する。また、印刷制御部508には、ROM502に格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含んでいる。そして、印刷制御部508は、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号(駆動波形)をヘッドドライバ509に対して出力する。
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド4の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド4のアクチュエータ手段に与えて、記録ヘッド4を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、512の制御、ヘッドタンク5に対するインク供給の制御などに使用する。
センサ群515は、前述した第1センサ251、第2センサ301、検知電極ピン208a、208bが含まれる。また、センサ群515には、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ(環境温度センサ、環境湿度センサ)、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなども含まれる。I/O部513は、様々のセンサ情報を処理することができる。
次に、ヘッドタンク5の変位部材205の位置検知について図8及び図9を参照して説明する。図8はヘッドタンクの変位部材の変位の説明に供する模式的説明図、図9は同位置検知の説明に供する模式的平面説明図である。なお、ヘッドタンクは簡略化して図示する。
ヘッドタンク5の変位部材205は、内部のインク残量に応じて実線図示の位置と破線図示の位置の間で変位する。
そこで、図9に示すように、装置本体側の第2センサ301にてヘッドタンク5の変位部材205を検知したときのキャリッジ3の位置をエンコーダ90にて記憶しておく。そして、ヘッドタンク5の変位部材205が変位したときに、再度、第2センサ301にてヘッドタンク5の変位部材205を検知するまでキャリッジ3を移動させる。このときのキャリッジ3の位置をエンコーダ90で読取ることで、変位部材205の位置ないし変位量をキャリッジ位置の差分として検知することができる。
このとき、変位部材205の初期位置に対応するヘッドタンク5のインク残量と、変位部材205の変位量に対応するインク量を予め把握しておくことで、検出した変位部材205の変位量からヘッドタンク5内のインク残量を把握することができる。
そこで、例えば、第2センサ301を使用してヘッドタンク5の変位部材205を検知することで液体供給を制御するときには、印刷動作を停止して、第2センサ301によって変位部材205が検知される位置までキャリッジ3を移動させて液体供給動作を行う。
一方、印刷動作中にヘッドタンク5に液体供給を行うときには、第2センサ301によって変位部材205が検知される位置までキャリッジ3を移動させることなく、第1センサ251を使用して液体供給動作を行う。
次に、ヘッドタンク5内の負圧と液体量の関係について図10を参照して説明する。図10はヘッドタンク内負圧と液体量(以下「インク量」ともいう。)の関係を説明する説明図である。
前述したように、ヘッドタンク5内にインクを供給した状態で、ヘッドタンク5内のインクをノズルから吸引して排出させ、あるいは、送液ポンプ241によってメインタンク10に逆送することで、フィルム部材203がバネ204の復元力に抗して内方に引き込まれ、バネ204が圧縮されて負圧が高まる。この状態から、ヘッドタンク5内にインクを供給すると、フィルム部材203が外方向に押し出されるので、バネ204が伸びて負圧が低下する。
ここで、ヘッドタンク5内の負圧が弱すぎる(負圧が低すぎる)と、記録ヘッド4のノズルからのインク漏れが発生し、逆に、負圧が強すぎる(高すぎる)と、ノズルから空気や塵を内部に引き込んで、吐出不良の原因となる。また、良好な滴吐出のために最適化されたメニスカス形状保持するためには、ヘッドタンク5内の負圧(圧力)を一定の範囲内になるように制御する必要がある。
すなわち、図10に示すように、ヘッドタンク5内の負圧はヘッドタンク5内のインク量と相関関係にある。つまり、ヘッドタンク5内のインク量が多いとき、ヘッドタンク5内の負圧は小さく弱い状態であり、インク量が少ないとき、ヘッドタンク5内の負圧は大きく強くなる。
そこで、ヘッドタンク5内からの排出されるインク量を、ヘッドタンク5内の負圧が所定の負圧管理範囲A内に収まる排インク量Bの範囲内になるように、ヘッドタンク5に対するインク供給を制御するようにしている。
この負圧管理範囲Aの下限値(負圧が小さい値、排インク量が少ない値)に対応するヘッドタンク5の排インク量を変位部材205の変位位置で「インク供給上限位置」(インク量で「インク供給上限値」)とする。また、上限値(負圧が大きい値、排インク量が多い値)に対応するヘッドタンク5の排インク量を変位部材205の変位位置で「インク消費下限位置」(インク量で「インク消費下限値」)とする。図10には各位置におけるヘッドタンク5の状態を付記している。
次に、キャリッジ上の第1センサを使用したインク供給動作について図11を参照して説明する。
ここで、第1センサ251は、予め定めたヘッドタンク5のインク供給上限位置での変位部材205の位置から、予め定めたヘッドタンク5のインク消費下限位置での変位部材205の位置までの間で、変位部材205を検知する位置に設けられている。
そして、第1センサ251が変位部材205を検知したときからのインク消費量を、プログラムによってカウントして算出する(又は、初期値は規定値として設定しておき、初期値から算出したインク消費量を減じてインク残量を算出する。)。
なお、インク消費量は、上述したとおり、プログラムによるカウント(これを「ソフトカウント」という。)で計測している。つまり、吐出する滴数を計数して、計数値に当該滴の滴量を乗じて、すべての滴サイズについて同様の計測を行うことで、インク吐出量を得ることができる。このインク吐出量に、維持回復など画像形成に寄与しないで消費する量(予め規定値として定めておき、維持回復回数を乗じればよい)などを加算することで、インク消費量を得ることができる。
そして、インク消費量が予め定めた閾値になったときに、ヘッドタンク5に対するインク供給(送液)を行う。この場合、閾値は、変位部材205がヘッドタンク5のインク消費下限位置に変位するまでの予め定めたインク消費量(累積カウント値)に相当する。
この送液動作によって、変位部材205はヘッドタンク5のインク残量が増加する方向に変位するので、第1センサ251が変位部材205を検知した後、更に所定供給量のインク供給を行ったときに送液を停止する。この送液を停止する所定供給量は、例えば、変位部材205がインク供給上限位置に変位するまでの変位量に相当するインク量である。
このようにして、印刷動作を中断することなくインク供給動作を行うことができ、インク吐出量の多い高画像率の印刷や、印刷領域が広く長い広幅長尺印刷でも印刷効率が低下することなく、短時間で印刷することができる。
ここで、前述したように同一駆動源の駆動力を切替えて異なる送液ポンプを駆動するときの問題点について説明する。
複数のヘッドタンク5のインクが同時に消費されていくと、各ヘッドタンク5のインク残量が同時に、あるいは短い間隔で、所定残量以下になることがある。つまり、複数のヘッドタンク5の変位部材205がインク消費下限値位置になったことが検出されることがある。
この場合、上述したように、駆動切替機構403によって選択的に駆動モータ401の駆動力を複数(ここでは2つとする)の送液ポンプ241に伝達する構成では、一方のヘッドタンク5にインク供給を行っている間にも、他方のヘッドタンク5は印刷動作によってインクが消費される。
そのため、他方のヘッドタンク5がインク消費下限位置を下回って消費され、負圧が強負圧となって、ヘッドノズルのメニスカス形状を保持できなくなり、ノズルから空気を吸引して気泡が混入するなどしてノズルダウン(吐出不能)になる原因となる。
一方、ヘッドタンク5内のインク残量に伴って変位する変位部材205の所定の変位範囲であるインク供給上限位置からインク消費下限位置までの間で、第1センサ251によって変位部材205を検知したときに、常に、インク供給を行う構成を採用すると、インク供給を行う回数が多くなり、送液ポンプ241や駆動モータ401、102の負荷が大きくなるため寿命が短くなる原因となる。
この点について図12を参照して説明する。この図12では、同一の駆動源で送液ポンプが駆動される2つのヘッドタンクを「ヘッドタンク1」、「ヘッドタンク2」と表記し、また、第1センサ251が変位部材205を検知する位置を「第1検知位置」とする。
図12(a)に示すように、満タン位置からインク吐出によってヘッドタンク1、2内のインクは減少し、変位部材205が第1センサ251で検知されたときからソフトカウントによってインク消費量がカウントされる。なお、カウントは累積していくので、「累積カウント」といい、累積カウントの結果を「累積カウント値」という。
そして、例えばヘッドタンク1のインク残量がインク消費下限位置になると、ヘッドタンク1へのインク供給が開始され、吐出が行われつつインクが供給されて、例えば満タン位置まで供給して供給が停止される。
このとき、ヘッドタンク1内のインク残量とヘッドタンク2のインク残量の差が小さい状態でどちらか一方のヘッドタンクがインク消費下限値になると、図12(b)に示すように、ヘッドタンク1への供給を行っている間は、ヘッドタンク2へのインク供給を行うことができないので、ヘッドタンク2のインク残量がインク消費下限位置を下回ることがある。
そこで、上述した問題を解決する本発明における基本的なインク供給制御について図13を参照して説明する。
本発明では、図13(a)に示すように、ヘッドタンク1について変位部材205が第1センサ251で検知され、ヘッドタンク2についても変位部材205が第1センサ251で検知されたときには、ヘッドタンク1のインク残量とヘッドタンク2のインク残量の差を算出する。この差は、両者の累積カウント値を比較することで得られる。
そして、ヘッドタンク1のインク残量とヘッドタンク2のインク残量の差が予め定めた所定量(閾値)以下であるときには、一方のヘッドタンクへのインク供給を行っていると、他方のヘッドタンクへのインク供給が間に合わない状態にあると判断する。「間に合わない」とは上述したように他方のヘッドタンクがインク消費下限位置を下回る可能性があることを意味する。
そこで、図13(b)に示すように、ヘッドタンク1のインク残量とヘッドタンク2のインク残量の差が予め定めた所定量(閾値)以下であるときには、例えば最初に変位部材205が検知されたヘッドタンク1について、インク消費下限位置になる前に、インク供給動作を開始する。
これによって、ヘッドタンク2のインクが消費されてインク消費下限位置になったときには、すでに相当量のインクをヘッドタンク1に供給済みであり、駆動伝達経路の切り替えを行って、ヘッドタンク1へのインク供給動作を停止し、ヘッドタンク2へのインク供給動作を行うことができる。
なお、図13(b)ではヘッドタンク1に満タン位置までインク供給している例で説明しているが、上述したように、ヘッドタンク2のインク消費下限値検出を優先させて、検出段階でヘッドタンク1へのインク供給を停止してヘッドタンク2に切り替えることが好ましい。
このようにして、駆動切替機構を用いて送液ポンプを駆動しても、一方のヘッドタンクに供給している間に、他方のヘッドタンクがインク消費下限値になってもインク供給動作を開始できない不都合が解消される。以下、具体的な実施形態で説明する。
そこで、本発明の第1実施形態における印刷動作中のインク供給動作制御について図14のフロー図を参照して説明する。
まず、同一の駆動源から選択的に駆動力が伝達される複数の送液ポンプ241でインクが供給される複数のヘッドタンク5のうち、いずれかのヘッドタンク5の変位部材205(フィラ)が第1センサ251で検知されたか否かを判別する。
このとき、いずれのヘッドタンク5の変位部材205も第1センサ251で検知されていなければ、印刷終了か否かを判別し、印刷終了になるまで、いずれかのヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたか否かの判別処理を繰り返す。
そして、いずれかのヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたときには、当該変位部材205が第1センサ251で検知されたヘッドタンク5に対応するインク吐出量の累積カウント(液体消費量の計測)を開始する。なお、ヘッドタンク5に対応するインク吐出量とは、当該ヘッドタンク5からインクが供給される記録ヘッド4又は記録ヘッドのノズル列から吐出されるインク吐出量の意味である。
その後、他のヘッドタンク5について変位部材205が第1センサ251で検知されたか否かを判別する。
ここで、他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたときには、同様に、当該変位部材205が第1センサ251で検知されたヘッドタンク5に対応するインク吐出量の累積カウント(インク消費量の計測)を開始する。
その後、累積カウントを行っているヘッドタンク5の累積カウント値の差を算出する。この場合、累積カウント値の差は、第1センサ251が変位部材205を検知したときのインク残量は、第1センサ251の累積カウントを行っているヘッドタンク5のインク残量(液体残量)の差分に相当する。
そして、累積カウント値の差が予め定めた所定値である所定量以下であるか否かを判別する。
ここで、累積カウント値の差が所定量以下であるときには、インク供給するヘッドタンク5を選択する。そして、駆動モータ402を駆動して、駆動切替機構403を、当該選択したヘッドタンク5に対応する送液ポンプ241に駆動モータ401の駆動力が伝達されるように切り替える(この動作を「駆動切替動作」という。)。
その後、ヘッドタンク5へのインク供給を開始し、予め定めたインク供給満タンになったときに、当該ヘッドタンク5へのインク供給を停止する。なお、後述するが、インク供給満タンよりも少ない所定供給量の供給を行って停止することもできる。
また、他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されていないとき、あるいは、他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されているが、累積カウント値の差が所定量以下でないときには、いずれも、累積カウント値からインク消費下限値になったか否かを判別する。
そして、インク消費下限値になったときには、当該インク消費下限値になったヘッドタンク5をインク供給するヘッドタンクとして駆動切替動作を行ってインク供給満タン位置までインク供給を行う。
これに対し、インク消費下限値になっていないときには、印刷終了か否かを判別する。
そして、印刷終了でなければ、複数のヘッドタンク5に対応するインク吐出量の累積カウント中か否かを判別する。
このとき、複数のヘッドタンク5に対応するインク吐出量の累積カウント中であれば、累積カウント値の差を算出する処理に戻り、累積カウント中でなければ、他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたか否かの判別処理に戻る。
このような処理(制御)を行うことで、複数のヘッドタンク5のインク量が同時にインク消費下限値となり、同時にインク供給を行う(インク供給動作が競合する)ことがなくなる。
したがって、吐出量の多い高画像率の印刷や広幅長尺印字でも、印刷動作を中断することなく、送液ポンプ241の数よりも少ない数の駆動モータ401(駆動源)を使用し、駆動切替機構403によって選択的に駆動力を伝えるようにしても、供給不足を生じることがなくなる。
また、ヘッドタンク5内のインク量がインク消費下限値前で常にインク供給することなく、それぞれのヘッドタンク5内のインク量の差が予め定めた所定量よりも少ないことを検知したときのみ、インク消費下限値前にインク供給を行う。これにより、送液ポンプ241や駆動モータ401への負荷も少なくなり、長寿命化を図れる。
なお、それぞれの計測しているインク吐出量の累積カウント値の差が所定量よりも少ないときに、累積カウント値からインク残量が最も少ないヘッドタンク5をインク供給するヘッドタンクとして選択するようにしてもよい。
また、それぞれの計測しているインク吐出量の累積カウント値の差が所定量よりも少ないときに、最も短い時間で駆動モータ401の駆動力が伝達可能な送液モータ241で送液するヘッドタンク5をインク供給するヘッドタンクとして選択するようにしてもよい。
これにより、例えばインク供給が必要なヘッドタンク5に対して、既に駆動モータ401の駆動力が送液ポンプ241に伝達可能である場合、駆動モータ402にて駆動切替機構403を駆動する動作時間を省くことができ、次にインク供給が必要なヘッドタンク5へのインク供給開始時間を短縮することができる。
ここで、複数のヘッドタンク5内のインク量の差(上述した累積カウント値)と比較する閾値(所定値)である所定量は、例えば、次のようにして設定した値である。
所定量[ml]=一方の送液ポンプへの駆動切替時間[sec]+(一方の送液ポンプによるインク供給時間(送液時間)[sec]+次に駆動する送液ポンプへの駆動切替時間[sec])×他方の送液ポンプ数×吐出ヘッドからの吐出流量[ml/sec]
また、上記所定量は、吐出ヘッドからのインク吐出量を計測した値と実際に吐出ヘッドからインク吐出した実測量との差となる計測誤差分の補正係数を乗じて(或いは加算して)もよい。また上記算出式の「吐出ヘッドからの吐出流量[ml/sec]」は、記録ヘッド4又はノズル列(以下、両者を「吐出ヘッド」と総称する。)の最大吐出流量[ml/sec]としてもよい。
また、インク供給するヘッドタンク5を選択し、送液ポンプ241によってインク供給を行うとき、ヘッドタンク5のインク充填満タンとなるまでインク供給を行わなくてもよい。インク充填満タンになるまでのインク量よりも予め定めた所定量の方が少ないインク量であるときには、ヘッドタンク5へのインク供給は所定量よりも多いインク量でもよい。
このようにすれば、一方のヘッドタンク5へのインク供給時間が短くなり、他方のヘッドタンク5へのインク供給が必要なときでも、早期に駆動切替を行って、他方のヘッドタンク5へのインク供給動作を開始することができる。
次に、本発明の第2実施形態における印刷動作中のインク供給動作制御について図15のフロー図を参照して説明する。
前記第1実施形態ではインク消費量(インク残量)をソフトカウントでカウントした累積カウント値の差を所定量と比較して判別していたのに対し、本実施形態では第1センサ251が変位部材205を検知した時の時間差を所定値に相当する所定時間と比較して判別する。
すなわち、まず、同一の駆動源から選択的に駆動力が伝達される複数の送液ポンプ241でインクが供給される複数のヘッドタンク5のうち、いずれかのヘッドタンク5の変位部材205(フィラ)が第1センサ251で検知されたか否かを判別する。
このとき、いずれのヘッドタンク5の変位部材205も第1センサ251で検知されていなければ、印刷終了か否かを判別し、印刷終了になるまで、いずれかのヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたか否かの判別処理を繰り返す。
そして、いずれかのヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたときには、第1センサ251が変位部材205を検知したときからの経過時間の計測を開始する。次いで、当該変位部材205が第1センサ251で検知されたヘッドタンク5に対応するインク吐出量の累積カウント(インク消費量の計測)を開始する。
その後、他のヘッドタンク5について変位部材205が第1センサ251で検知されたか否かを判別する。
ここで、他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたときには、第1センサ251が変位部材205を検知したときからの経過時間の計測を開始する。次いで、当該変位部材205が第1センサ251で検知されたヘッドタンク5に対応するインク吐出量の累積カウント(インク消費量の計測)を開始する。
その後、前記いずれかのヘッドタンク5の変位部材205を第1センサ251で検知したときから他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたときまでの時間差を算出する。この時間差は、各ヘッドタンク5のインク残量の差分に相当することになる。
そこで、算出した時間差が予め定めた所定値である所定時間以下か否かを判別する。
ここで、算出した時間差が所定時間以下であるときには、インク供給するヘッドタンク5を選択し、駆動切替動作を開始する。
その後、ヘッドタンク5へのインク供給を開始し、予め定めたインク供給満タンになったときに、当該ヘッドタンク5へのインク供給を停止する。なお、この場合もインク供給満満タンよりも少ない所定供給量の供給を行って停止することもできる。
また、他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されていないとき、あるいは、他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されているが、算出した時間差が所定時間以下でないときには、いずれも、累積カウント値からインク消費下限値になったか否かを判別する。
そして、インク消費下限値になったときには、当該インク消費下限値になったヘッドタンク5をインク供給するヘッドタンクとして駆動切替動作を行ってインク供給満タン位置までインク供給を行う。
これに対し、インク消費下限値になっていないときには、印刷終了か否かを判別する。
そして、印刷終了でなければ、複数のヘッドタンク5に対応するインク吐出量の累積カウント中か否かを判別する。
このとき、複数のヘッドタンク5に対応するインク吐出量の累積カウント中であれば、時間差を算出する処理に戻り、累積カウント中でなければ、他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたか否かの判別処理に戻る。
このような処理(制御)を行うことでも、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
ここで、複数のヘッドタンク5について変位部材205を検知したときの時間差と比較する所定値(閾値)である所定時間は、例えば、次のようにして設定した値である。
所定時間[sec]=一方の送液ポンプへの駆動切替時間[sec]+(一方の送液ポンプによるインク供給時間[sec]+次に駆動する送液ポンプへの駆動切替時間[sec])
また、前述したように、インク供給するヘッドタンク5を選択し、送液ポンプ241によってインク供給を行うとき、ヘッドタンク5のインク充填満タンとなるまでインク供給を行わなくてもよい。インク充填満タンになるまでのインク量よりも予め定めた所定量の方が少ないインク量であるときには、ヘッドタンク5へのインク供給は所定量よりも多いインク量でもよい。
このようにすることで、一方のヘッドタンク5へのインク供給時間が短くなり、他方のヘッドタンク5へのインク供給が必要なときでも、早期にインク供給動作を開始することができる。
次に、本発明の第3実施形態における印刷動作中のインク供給動作制御について図16のフロー図を参照して説明する。
本実施形態は、前記第1実施形態において、インク供給を行うときに、同一駆動源で送液ポンプ241が駆動される複数のヘッドタンク5のうちの、最大吐出流量が最も多いヘッドタンク5を選択してインク供給を行うようにしたものである。同一駆動源で送液ポンプ241が駆動されるヘッドタンク5が2つである場合には、2つのヘッドタンク5に対応する最大吐出流量が多い側のヘッドタンク5を選択することになる。
すなわち、まず、印刷する画像データから各ヘッドタンク5に対応する最大吐出流量を算出する。なお、ここでも、ヘッドタンク5に対応する最大吐出流量とは、当該ヘッドタンク5からインクが供給される記録ヘッド4又は記録ヘッド4のノズル列からの最大吐出流量の意味である。
その後、インク吐出を開始する。すなわち、画像形成を開始する。
そして、同一の駆動源から選択的に駆動力が伝達される複数の送液ポンプ241でインクが供給される複数のヘッドタンク5のうち、いずれかのヘッドタンク5の変位部材205(フィラ)が第1センサ251で検知されたか否かを判別する。
このとき、いずれのヘッドタンク5の変位部材205も第1センサ251で検知されていなければ、印刷終了か否かを判別し、印刷終了になるまで、いずれかのヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたか否かの判別処理を繰り返す。
そして、いずれかのヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたときには、当該変位部材205が第1センサ251で検知されたヘッドタンク5に対応するインク吐出量の累積カウント(インク消費量の計測)を開始する。
その後、他のヘッドタンク5について変位部材205が第1センサ251で検知されたか否かを判別する。
ここで、他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたときには、同様に、当該変位部材205が第1センサ251で検知されたヘッドタンク5に対応するインク吐出量の累積カウント(インク消費量の計測)を開始する。
その後、累積カウントを行っているヘッドタンク5の累積カウント値の差を算出する。この場合、累積カウント値の差は、第1センサ251が変位部材205を検知したときのインク残量は、第1センサ251の累積カウントを行っているヘッドタンク5のインク残量の差分に相当する。
そして、累積カウント値の差が予め定めた所定値である所定量以下であるか否かを判別する。
ここで、累積カウント値の差が所定量以下であるときには、最大吐出流量が多いヘッドタンク5を、インク供給するヘッドタンク5として選択する。
そして、駆動切替動作を行い、ヘッドタンク5へのインク供給を開始し、予め定めたインク供給満タンになったときに、当該ヘッドタンク5へのインク供給を停止する。なお、この場合も、インク供給満タンよりも少ない所定供給量の供給を行って停止することもできる。
また、他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されていないとき、あるいは、他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されているが、累積カウント値の差が所定量以下でないときには、いずれも、累積カウント値からインク消費下限値になったか否かを判別する。
そして、インク消費下限値になったときには、インク消費下限値になったヘッドタンク5をインク供給するヘッドタンクとして選択し、駆動切替動作を行って、インク供給満タン位置までインク供給を行う。
これに対し、インク消費下限値になっていないときには、印刷終了か否かを判別する。
そして、印刷終了でなければ、複数のヘッドタンク5に対応するインク吐出量の累積カウント中か否かを判別する。
このとき、複数のヘッドタンク5に対応するインク吐出量の累積カウント中であれば、累積カウント値の差を算出する処理に戻り、累積カウント中でなければ、他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたか否かの判別処理に戻る。
このような処理(制御)を行うことで、前述した「所定量」の算出式における、吐出ヘッドからの吐出流量[ml/sec]が、印刷する画像に合わせた最大吐出流量になるため、常に吐出ヘッドの最大吐出性能での最大吐出流量から定めた所定量よりも小さい値となる。
これにより、複数のヘッドタンク5における吐出インク滴量の累積カウントの差が所定量よりも少ないときに、一方のヘッドタンク5へインク供給を行う動作が少なくなることから、送液ポンプ241や駆動モータ402への負荷が少なく、高寿命、高耐久性能にすることができる。
次に、本発明の第4実施形態における印刷動作中のインク供給動作制御について図17のフロー図を参照して説明する。
本実施形態では、まず、前記第3実施形態と同様に、印刷する画像データから各ヘッドタンク5に対応する最大吐出流量を算出する。なお、ここでも、ヘッドタンク5に対応する最大吐出流量とは、当該ヘッドタンク5からインクが供給される記録ヘッド4又は記録ヘッド4のノズル列からの最大吐出流量の意味である。
その後、インク吐出を開始する。すなわち、画像形成を開始する。
そして、同一の駆動源から選択的に駆動力が伝達される複数の送液ポンプ241でインクが供給される複数のヘッドタンク5のうち、いずれかのヘッドタンク5の変位部材205(フィラ)が第1センサ251で検知されたか否かを判別する。
このとき、いずれのヘッドタンク5の変位部材205も第1センサ251で検知されていなければ、印刷終了か否かを判別し、印刷終了になるまで、いずれかのヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたか否かの判別処理を繰り返す。
そして、いずれかのヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたときには、当該変位部材205が第1センサ251で検知されたヘッドタンク5に対応するインク吐出量の累積カウント(インク消費量の計測)を開始する。
次いで、当該変位部材205が第1センサ251で検知されたヘッドタンク5に送液する送液ポンプ241に駆動力が伝達される状態に駆動伝達切替動作を行う。
その後、他のヘッドタンク5について変位部材205が第1センサ251で検知されたか否かを判別する。
ここで、他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたときには、同様に、当該変位部材205が第1センサ251で検知されたヘッドタンク5に対応するインク吐出量の累積カウント(インク消費量の計測)を開始する。
その後、累積カウントを行っているヘッドタンク5の累積カウント値の差を算出する。この場合、累積カウント値の差は、第1センサ251が変位部材205を検知したときのインク残量は、第1センサ251の累積カウントを行っているヘッドタンク5のインク残量の差分に相当する。
そして、累積カウント値の差が予め定めた所定値である所定量以下であるか否かを判別する。
ここで、累積カウント値の差が所定量以下であるときには、最大吐出流量の多いヘッドタンク5を選択し、当該ヘッドタンク5に送液する送液ポンプ241に駆動力が伝達される状態に駆動伝達切替動作を行う。すなわち、前述したように画像データから画像形成動作で液体吐出流量が最も多くなる液体を収容するヘッドタンクを検出しておき、検出したヘッドタンクの送液手段に対して駆動力が伝達される状態に駆動切替動作を行う。
そして、最大吐出流量の多いヘッドタンク5へのインク供給を開始し、予め定めたインク供給満タンになったときに、当該ヘッドタンク5へのインク供給を停止する。なお、この場合も、インク供給満タンよりも少ない所定供給量の供給を行って停止することもできる。
また、他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されていないとき、あるいは、他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されているが、累積カウント値の差が所定量以下でないときには、いずれも、累積カウント値からインク消費下限値になったか否かを判別する。
そして、インク消費下限値になったときには、既に駆動伝達切替動作によって駆動力を伝達できる状態になっているヘッドタンク5へのインク供給を開始し、インク供給満タン位置までインク供給を行う。
これに対し、インク消費下限値になっていないときには、印刷終了か否かを判別する。
そして、印刷終了でなければ、複数のヘッドタンク5に対応するインク吐出量の累積カウント中か否かを判別する。
このとき、複数のヘッドタンク5に対応するインク吐出量の累積カウント中であれば、累積カウント値の差を算出する処理に戻り、累積カウント中でなければ、他のヘッドタンク5の変位部材205が第1センサ251で検知されたか否かの判別処理に戻る。
これらの第3、第4実施形態に置いて、印刷画像における最大吐出流量の算出は、印刷動作においてキャリッジ3が走査する一走査ごとの最大吐出流量とし、最大吐出流量の比較は、比較するその時点から印刷終了までの一走査ごとの最大吐出流量から算出した最大吐出流量としてもよい。また、印刷画像における各吐出ヘッドの最大吐出流量は、印刷画像における各吐出ヘッドの最大吐出量としてもよい。
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味である。被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味する。また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らない。記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。