JP6144869B2 - 空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、乗り心地を維持しつつ、高速耐久性能及び耐ノイズ性能を向上しうる空気入りタイヤの製造方法に関する。
近年、内圧充填時のタイヤ内面形状に近似したトロイド状の外周面を有する中子体を用いた空気入りタイヤの製造方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。この製造方法では、中子体の外周面に、カーカス、サイドウォールゴム、ベルト層、バンド層及びトレッドゴム等が順次貼り付けられることにより、加硫金型の成形面の輪郭形状に近い形状で、生タイヤを形成できる。
このため、この製造方法では、例えば、生タイヤの内側から、ブラダー等によって加硫金型側へ拡張させる拡張工程を経ることなく加硫成形され、カーカスプライのカーカスコードのエンズの乱れや、ゴム流れ等を抑制でき、仕上がり精度(ユニフォミティ)を向上しうる。
特開2008−302860号公報
しかしながら、上記のような製造方法では、前記拡張工程を経ることなく加硫成形されるため、加硫中にバンド層のバンドコードを十分に伸張させることができない。このため、このような方法で製造されたタイヤでは、バンド層によるベルト層への拘束力が小さくなり、高速耐久性能及び耐ノイズ性能を十分に向上できないという問題があった。
上記の問題点を解決するために、バンドコードに、モジュラスの大きいコードを用いることも考えられるが、ベルト層への拘束力が過度に大きくなり、乗り心地が低下するという問題もあった。
発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、内圧充填によりバンドコードが1.5%程度伸張することに着目し、バンドコードの1.5%伸張時の荷重とバンド層のエンズとの積を、所定の範囲に限定することにより、乗り心地を維持しつつ、高速耐久性能及び耐ノイズ性能を向上しうることを見出した。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ショルダーバンド層のエンズEs(本/5cm)とショルダーバンドコードの1.5%伸張時の荷重Ls(N)との積、及びセンターバンド層のエンズEc(本/5cm)とセンターバンドコードの1.5%伸張時の荷重Lc(N)との積を、所定の範囲に限定することを基本として、乗り心地を維持しつつ、高速耐久性能及び耐ノイズ性能を向上しうる空気入りタイヤの製造方法を提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、このカーカスのタイヤ半径方向外側かつ前記トレッド部の内部に配されたベルト層と、このベルト層のタイヤ半径方向の外側に配されたバンド層を有し、かつ前記バンド層が、タイヤ軸方向の両端に配される一対のショルダーバンド層と、該ショルダーバンド層間に配されるセンターバンド層とを具えた空気入りタイヤの製造方法であって、前記カーカス、前記ベルト層及び前記バンド層を、トロイド状の外周面を有する生タイヤ成形用の中子体に順次貼り付けて未加硫の生タイヤを形成する生タイヤ成形工程と、前記生タイヤを前記中子体とともに、前記生タイヤの外面を形成する加硫金型に投入し、かつ、前記生タイヤを前記加硫金型側へ拡張させる拡張工程を経ることなく加硫成形する加硫工程とを含み、前記生タイヤ成形工程は、1本又は複数本のショルダーバンドコードをトッピングゴムで被覆したショルダー帯状プライを、前記ベルト層の前記外側に、タイヤ周方向に螺旋状に巻回して前記ショルダーバンド層を形成するショルダーバンド巻回工程と、1本又は複数本のセンターバンドコードをトッピングゴムで被覆したセンター帯状プライを、前記ベルト層の前記外側に、タイヤ周方向に螺旋状に巻回して前記センターバンド層を形成するセンターバンド巻回工程とを含み、前記ショルダーバンド層及び前記センターバンド層は、下記式(1)及び(2)を満足し、前記ショルダーバンドコードの1.5%伸張時の荷重Lsが35〜78Nであることを特徴とする。
540≦Ls×Es≦2340…(1)
比(Ls×Es/Lc×Ec)>1…(2)
ここで、符号は次の通りである。
Ls:ショルダーバンドコードの1.5%伸張時の荷重(N)
Es:ショルダーバンド層の幅5cm当たりのショルダーバンドコードの打ち込み本数であるエンズ(本/5cm)
Lc:センターバンドコードの1.5%伸張時の荷重(N)
Ec:センターバンド層の幅5cm当たりのセンターバンドコードの打ち込み本数であるエンズ(本/5cm)
また、請求項2記載の発明は、前記ショルダーバンドコードの1.5%伸張時の荷重Ls(N)、前記ショルダーバンド層のエンズEs(本/5cm)、センターバンドコードの1.5%伸張時の荷重Lc(N)及び前記センターバンド層のエンズEc(本/5cm)は、下記式(3)を満足する請求項1に記載の空気入りタイヤの製造方法である。
比(Ls×Es/Lc×Ec)≦10…(3)
また、請求項3記載の発明は、前記ショルダーバンド層のタイヤ軸方向の幅は、10〜40mmである請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの製造方法である。
本明細書において、タイヤの各部の寸法は、特に断りがない限り、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも無負荷である正規状態において特定される値とする。
前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。
前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE"とするが、タイヤが乗用車用である場合には一律に180kPaとする。
本発明の製造方法で製造される空気入りタイヤは、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、このカーカスのタイヤ半径方向外側かつ前記トレッド部の内部に配されたベルト層と、このベルト層のタイヤ半径方向の外側にバンドコードを螺旋状に巻き付けることにより形成されたバンド層を有する。バンド層は、タイヤ軸方向の両端に配される一対のショルダーバンド層と、該ショルダーバンド層間に配されるセンターバンド層とを具える。
また、本発明の製造方法では、カーカス、ベルト層及びバンド層を、トロイド状の外周面を有する生タイヤ成形用の中子体に順次貼り付けて、未加硫の生タイヤを形成する生タイヤ成形工程を含む。このような製造方法では、加硫金型における成形面の輪郭形状に近い形状で生タイヤを形成でき、生タイヤを加硫金型側へ拡張させることなく加硫成形できる。従って、カーカスプライのカーカスコードのエンズの乱れや、ゴム流れ等を抑制でき、仕上がり精度を向上しうる。
さらに、生タイヤ成形工程は、1本又は複数本のショルダーバンドコードをトッピングゴムで被覆したショルダー帯状プライを、ベルト層の外側に、タイヤ周方向に螺旋状に巻回してショルダーバンド層を形成するショルダーバンド巻回工程と、1本又は複数本のセンターバンドコードをトッピングゴムで被覆したセンター帯状プライを、ベルト層の外側に、タイヤ周方向に螺旋状に巻回してセンターバンド層を形成するセンターバンド巻回工程とを含む。
また、ショルダーバンド層及びセンターバンド層は、下記式(1)及び(2)を満足する。
540≦Ls×Es≦2340…(1)
比(Ls×Es/Lc×Ec)>1…(2)
ここで、符号は次の通りである。
Ls:ショルダーバンドコードの1.5%伸張時の荷重(N)
Es:ショルダーバンド層の幅5cm当たりのショルダーバンドコードの打ち込み本数であるエンズ(本/5cm)
Lc:センターバンドコードの1.5%伸張時の荷重(N)
Ec:センターバンド層の幅5cm当たりのセンターバンドコードの打ち込み本数であるエンズ(本/5cm)
このようなショルダーバンド層は、バンドコードが十分に伸張されることなく加硫成形されても、上記式(1)を満たすことにより、ショルダーバンドコードが1.5%伸張する内圧充填時において、ショルダーバンド層によるベルト層への拘束力を十分に確保でき、高速耐久性能及び耐ノイズ性能を向上しうる。
また、センターバンド層は、上記式(2)を満たすことにより、ショルダーバンド層に比べて、ベルト層への拘束力が小に設定されるため、乗り心地を維持しうる。
本実施形態の製造方法で形成される空気入りタイヤを示す断面図である。 インナーライナー貼付工程及びカーカスプライ貼付工程を説明する断面図である。 (a)は図2の斜視図、(b)は短冊プライ片の展開斜視図である。 ショルダーバンド巻回工程及びセンターバンド巻回工程を説明する断面図である。 図4のバンド層を拡大して示す断面図である。 センター帯状プライを拡大して示す斜視図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態の製造方法で製造された空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへて、ビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されたベルト層7と、このベルト層7のタイヤ半径方向の外側に配されるバンド層9と、カーカス6の内側に配されかつタイヤ内腔面10sをなすインナーライナーゴム10とを具え、本実施形態では乗用車用のラジアルタイヤが示されている。
前記カーカス6は、少なくとも1枚以上、本実施形態では1枚のカーカスプライ6Aにより構成される。このカーカスプライ6Aは、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至る本体部6aと、この本体部6aからのびてビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを含む。また、本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのび、かつ硬質ゴムからなるビードエーペックスゴム8が配され、ビード部4が適宜補強される。なお、本実施形態では、カーカスプライ6Aが折返し部6bを具えるものを例示したが、ビードコア5で折り返されることなく終端するものでもよいのは言うまでもない。
また、カーカスプライ6Aは、タイヤ赤道Cに対して例えば70〜90度の角度で配列されたカーカスコードを有する。このカーカスコードとしては、例えば、ポリエステル、ナイロン、レーヨン又はアラミドなどの有機繊維コードが好適に採用される。
前記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ赤道Cに対して例えば10〜40度の小角度で傾けて配列した少なくとも2枚、本実施形態ではタイヤ半径方向に内、外2枚のベルトプライ7A、7Bを、各ベルトコードが互いに交差する向きに重ね合わせて構成される。また、本実施形態のベルトコードには、スチールコードが採用されるが、アラミド、レーヨン等の高弾性の有機繊維のコードも必要に応じて用いることができる。
本実施形態のバンド層9は、ベルト層7の全幅を覆うフルバンドプライとして形成され、タイヤ軸方向の両端に配される一対のショルダーバンド層11と、該ショルダーバンド層11、11間に配されるセンターバンド層12とを含む。これらのショルダーバンド層11及びセンターバンド層12は、バンドコード9c(図5に示す)がタイヤ周方向に対して5度以下の角度で螺旋状に配されたジョイントレスバンドプライとして形成される。
前記インナーライナーゴム10は、ビードコア5、5間をトロイド状に跨ってタイヤ内腔面10sの略全域に配置される。また、インナーライナーゴム10は、例えば、ブチル系ゴム、又はゴム中にハロゲン化ブチルを50重量部以上含む空気非透過性のゴムからなり、タイヤ内圧を保持するのに役立つ。
次に、上記タイヤ1の製造方法について説明する。
本実施形態の製造方法では、図2及び図4に示されるように、トロイド状の外周面16sを有する生タイヤ成形用の中子体16を用いて、未加硫の生タイヤ1Lを形成する生タイヤ成形工程と、該生タイヤ1Lを中子体16とともに、該生タイヤ1Lの外面を形成する加硫金型(図示省略)を用いて加硫する加硫工程とが含まれる。
本実施形態の中子体16は、例えば、タイヤ周方向で分割可能な複数の分割ピース(図示省略)によって構成され、これらの分割ピースを組み立てることにより、タイヤ1の内面形状に近似した三次元の外周面16sと、この外周面16sのビード側の端部に連なりかつ軸方向の外側にそれぞれのびる一対のフランジ面16fとが形成される。この中子体16は、加硫時の熱及び圧力にも耐えうる例えばジュラルミン等の金属材料によって形成される。
このような中子体16は、加硫金型における成形面の輪郭形状に近い形状で生タイヤ1Lを形成でき、該生タイヤ1Lを加硫金型側へ拡張させることなく加硫成形できる。従って、本実施形態の製造方法は、生タイヤ1Lを拡張させるブラダー(図示省略)等を用いた従来の製造方法に比べて、カーカスプライ6Aのカーカスコードのエンズの乱れや、ゴム流れ等を抑制でき、仕上がり精度を向上しうる。
前記生タイヤ成形工程では、中子体16にインナーライナーゴム10を貼り付けるインナーライナー貼付工程と、カーカスプライ6Aを貼り付けるカーカスプライ貼付工程と、ベルト層7の外側に前記ショルダーバンド層11を形成するショルダーバンド巻回工程と、前記センターバンド層12を形成するセンターバンド巻回工程とを含む。
図2に示されるように、本実施形態のインナーライナー貼付工程では、インナーライナーゴム10の貼付けに先立ち、リムとの接触部分に配されるクリンチ底部ゴム4G1が、中子体16のフランジ面16fに貼り付けられる。そして、インナーライナーゴム10が、クリンチ底部ゴム4G1、4G1間を跨って、中子体16の外周面16sに貼り付けられる。本実施形態のインナーライナーゴム10は、幅狭のリボン状の未加硫のゴムストリップ(図示省略)を、中子体16の外周面16s上で、周方向に沿って側縁をずらしながら螺旋状に巻き付けることにより形成される。
図2及び図3(a)に示されるように、前記カーカスプライ貼付工程では、シート状のカーカスプライ6Aがタイヤ周方向に小幅の短冊状に切り分けられた短冊プライ片21(図3(b)に示す)を、そのタイヤ周方向の側縁21eを突き合わせてタイヤ周方向に並べて、インナーライナーゴム10の外側に貼り付ける。
さらに、短冊プライ片21は、そのタイヤ軸方向の両側が、隣り合う短冊プライ片21と重ねられて、カーカスプライ6Aに重なり部22が形成される。このような重なり部22は、中子体16のトレッド部2側とビード部4側とのタイヤ周方向長さの差分を吸収でき、皺などを発生させることなく、トロイド状のカーカスプライ6Aを形成できる。
図4に示されるように、前記ショルダーバンド巻回工程では、ショルダーバンド層11の形成に先立ち、ビードコア5及びビードエーペックスゴム8を貼り付けて、カーカスプライ6Aをビードコア5の周りで巻き上げるとともに、クリンチサイドゴム4G2、サイドウォールゴム3G及びベルト層7を順次貼り付ける。
そして、図5及び図6に示されるように、1本又は複数本のショルダーバンドコード11cがトッピングゴム11gで被覆されたショルダー帯状プライ11Pを、ベルト層7の外側で、タイヤ周方向に螺旋状に巻回することにより、ショルダーバンド層11が形成される。
次に、前記センターバンド巻回工程では、1本又は複数本のセンターバンドコード12cがトッピングゴム12gで被覆されたセンター帯状プライ12Pを、ショルダーバンド層11、11間、かつベルト層7の外側で、タイヤ周方向に螺旋状に巻回することにより、センターバンド層12が形成される。
ところで、本実施形態のように、中子体16を用いた製造方法では、ブラダー等によって加硫金型側へ拡張させる拡張工程を経ることなく加硫成形されるため、加硫中にバンド層9のバンドコード9cを十分に伸張させることができない。このため、上述の通り、製造後のタイヤ1においては、該バンド層9によるベルト層7への拘束力が小さくなる等の問題がある。
そこで発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、タイヤ1に前記正規内圧が充填された前記正規状態において、バンドコード9cが1.5%程度伸張することに着目し、バンドコード9cの1.5%伸張時の荷重(N)と、バンド層9の幅5cm当たりのバンドコード9cの打ち込み本数であるエンズ(本/5cm)との積を、所定の範囲に限定することにより、上記問題を解決しうることを見出した。
具体的には、ショルダーバンド層11及びセンターバンド層12を、下記式(1)及び(2)に満足させることが重要である。
540≦Ls×Es≦2340…(1)
比(Ls×Es/Lc×Ec)>1…(2)
ここで、符号は次の通りである。
Ls:ショルダーバンドコード11cの1.5%伸張時の荷重(N)
Es:ショルダーバンド層11の幅5cm当たりのショルダーバンドコード11cの打ち込み本数であるエンズ(本/5cm)
Lc:センターバンドコード12cの1.5%伸張時の荷重(N)
Ec:センターバンド層12の幅5cm当たりのセンターバンドコード12cの打ち込み本数であるエンズ(本/5cm)
上記式(1)を満足することより、ショルダーバンド層11は、ショルダーバンドコード11cが、加硫中に十分に伸張できなくても、加硫成形後のタイヤ1の内圧充填時において、タイヤ軸方向外側のベルト層7への拘束力を確保でき、高速耐久性能及び耐ノイズ性能を向上しうる。
また、上記式(2)を満足することにより、センターバンド層12は、ショルダーバンド層11に比べて、タイヤ赤道C側のベルト層7への拘束力が小に設定されるため、乗り心地を維持しうる。
なお、前記Ls×Esが540未満であると、ショルダーバンド層11がベルト層7を十分に拘束できず、高速耐久性及び耐ノイズ性能を十分に向上できないおそれがある。逆に、前記Ls×Esが2340を超えると、ショルダーバンド層11のベルト層7への拘束力が過度に大きくなり、乗り心地が低下するおそれがある。このような観点より、前記Ls×Esは、より好ましくは1050以上が望ましく、また、より好ましくは1750以下が望ましい。
同様に、前記荷重Lsは、好ましくは18N以上、さらに好ましくは35N以上が望ましく、また、好ましくは78N以下、さらに好ましくは50N以下が望ましい。
さらに、前記エンズEsは、25〜60本/5cmが望ましい。なお、前記エンズEsが25本/5cm未満であると、ショルダーバンド層11のベルト層7への拘束力を十分に高めることができないおそれがある。逆に、前記エンズEsが60本/5cmを超えると、乗り心地が低下するとともに、隣り合うショルダーバンドコード11cとの間隔が密になり、トッピングゴム11gが十分浸透できなくなるおそれがある。このような観点より、前記エンズEsは、より好ましくは30本/5cm以上が望ましく、また、より好ましくは55本/5cm以下が望ましい。
なお、前記エンズEsは、タイヤ軸方向で隣り合うショルダー帯状プライ11Pの同一の側縁11Pt、11Pt間の距離である螺旋ピッチP1を変えたり、該ショルダー帯状プライ11P内のショルダーバンドコード11cの本数を変更することにより、適宜調整しうる。
また、タイヤ1の前記正規状態において、ショルダーバンド層11のタイヤ軸方向の幅W1(図1に示す)は、10〜40mmが望ましい。なお、前記幅W1が10mm未満であると、ショルダーバンド層11がベルト層7を十分に拘束できないおそれがある。逆に、前記幅W1が40mmを超えると、ショルダーバンド層11がベルト層7を広範囲に亘って強固に拘束するため、乗り心地が低下するおそれがある。このような観点より、前記幅W1は、より好ましくは20mm以上が望ましく、より好ましくは30mm以下が望ましい。
前記ショルダーバンドコード11cとしては、上記式(1)、(2)を満足しうるものであれば、適宜選択できるが、例えば、モジュラスが比較的大きいアラミド、PEN、レーヨン又はPET等の有機繊維コードが望ましい。
また、ショルダーバンド層11及びセンターバンド層12は、ショルダーバンドコード11cの1.5%伸張時の前記荷重Ls(N)、ショルダーバンド層11の前記エンズEs(本/5cm)、センターバンドコード12cの1.5%伸張時の前記荷重Lc(N)及びセンターバンド層12のエンズEc(本/5cm)は、下記式(3)を満足するのが望ましい。
比(Ls×Es/Lc×Ec)≦10…(3)
これにより、センターバンド層12は、タイヤ赤道C側のベルト層7への拘束力を確保しうるため、乗り心地を維持しつつ、高速耐久性能及び耐ノイズ性能を向上しうる。
なお、前記比(Ls×Es/Lc×Ec)が10を超えると、センターバンド層12のベルト層7への拘束力を確保できず、高速耐久性能を十分に向上できないおそれがある。このような観点より、前記比(Ls×Es/Lc×Ec)は、より好ましくは8以下、さらに好ましくは5以下が望ましい。
また、センターバンドコード12cの前記荷重Lcは、5〜20Nが望ましい。なお、前記荷重Lcが5N未満であると、センターバンド層12のベルト層7への拘束力を十分に向上できないおそれがある。逆に、前記荷重Lcが20Nを超えると、センターバンド層12のベルト層7への拘束力が過度に大きくなり、乗り心地が低下するおそれがある。このような観点より、前記荷重Lcは、より好ましくは7N以上が望ましく、また、より好ましくは15N以下が望ましい。
同様に、前記エンズEcは、好ましくは25本/5cm以上、さらに好ましくは30本/5cm以上が望ましく、また、好ましくは60本/5cm以下、さらに好ましくは55本/5cm以下が望ましい。
前記センターバンドコード12cとしては、適宜選択できるが、ショルダーバンドコード11cよりもモジュラスの小さい、例えば、ナイロン66、ナイロン6、又はナイロン11等の有機繊維コードが望ましい。
図4に示されるように、、前記バンド層9の外側には、トレッドゴム2Gが貼り付けられ、中子体16に生タイヤ1Lが形成される。
前記加硫工程では、前記加硫金型(図示省略)を用いて、生タイヤ1Lを中子体16とともに加硫成形することにより、タイヤ1が製造される。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示す基本構造をなし、表1に示すバンド層を有するタイヤが製造され、それらが評価された。また、比較として、バンド層が、センターバンド層の構成のみからなるタイヤ(比較例1)や、ブラダー等によって加硫金型側へ拡張させる拡張工程を有する製造方法によって製造されたタイヤ(比較例2)についても同様にテストされた。なお、共通仕様は以下のとおりである。
タイヤサイズ:195/65R14
リムサイズ:14×6J
テスト方法は、次のとおりである。
<高速耐久性能>
各供試タイヤが上記リムにリム組みされ、内圧200kPaが充填されるとともに、ドラム試験機を用いてECE30により規定された荷重/速度性能テストが、ステップスピード方式により実施された。テストでは、逐次走行速度を上昇させるとともに、タイヤが破壊したときの速度が測定された。評価は、比較例1を100とした指数で評価した。数値が高いほど優れている。
<乗り心地>
各供試タイヤが上記リムに上記条件でリム組みされかつ国産FF車(排気量2000cc)の全輪に装着された。そして、この車両でドライアスファルト路面の段差路、ベルジャン路及びビッツマン路をそれぞれ走行させた。そして、プロドライバーによる官能により、ゴツゴツ感、突き上げ及びダンピングが、総合的に評価された。結果は、比較例1の値を100とする評点で表示されている。数値が大きいほど良好である。
<耐ノイズ性能>
上記車両で、スムース路面を速度60km/hで走行させ、運転席の背もたれ部分に取り付けた集音マイクで、周波数100〜500Hzの全音圧が測定された。評価は、比較例1を100とした指数で評価した。数値が高いほど優れている。
<ユニフォミティ>
各供試タイヤについて、のラジアルランナウト(RRO)を測定し(n=20の平均値)、比較例1のRROを100とする指数で表示した。数値が大きいほど良好である。
テストの結果を表1に示す。
Figure 0006144869
Figure 0006144869
テストの結果、実施例のタイヤは、乗り心地を維持しつつ、高速耐久性能及び耐ノイズ性能を向上しうることが確認できた。
1 空気入りタイヤ
11 ショルダーバンド層
11P ショルダー帯状プライ
11c ショルダーバンドコード
12 センターバンド層
12P センター帯状プライ
12c センターバンドコード

Claims (3)

  1. トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、このカーカスのタイヤ半径方向外側かつ前記トレッド部の内部に配されたベルト層と、このベルト層のタイヤ半径方向の外側に配されたバンド層を有し、かつ
    前記バンド層が、タイヤ軸方向の両端に配される一対のショルダーバンド層と、該ショルダーバンド層間に配されるセンターバンド層とを具えた空気入りタイヤの製造方法であって、
    前記カーカス、前記ベルト層及び前記バンド層を、トロイド状の外周面を有する生タイヤ成形用の中子体に順次貼り付けて未加硫の生タイヤを形成する生タイヤ成形工程と、
    前記生タイヤを前記中子体とともに、前記生タイヤの外面を形成する加硫金型に投入し、かつ、前記生タイヤを前記加硫金型側へ拡張させる拡張工程を経ることなく加硫成形する加硫工程とを含み、
    前記生タイヤ成形工程は、1本又は複数本のショルダーバンドコードをトッピングゴムで被覆したショルダー帯状プライを、前記ベルト層の前記外側に、タイヤ周方向に螺旋状に巻回して前記ショルダーバンド層を形成するショルダーバンド巻回工程と、
    1本又は複数本のセンターバンドコードをトッピングゴムで被覆したセンター帯状プライを、前記ベルト層の前記外側に、タイヤ周方向に螺旋状に巻回して前記センターバンド層を形成するセンターバンド巻回工程とを含み、
    前記ショルダーバンド層及び前記センターバンド層は、下記式(1)及び(2)を満足し、
    前記ショルダーバンドコードの1.5%伸張時の荷重Lsが35〜78Nであることを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
    540≦Ls×Es≦2340…(1)
    比(Ls×Es/Lc×Ec)>1…(2)
    ここで、符号は次の通りである。
    Ls:ショルダーバンドコードの1.5%伸張時の荷重(N)
    Es:ショルダーバンド層の幅5cm当たりのショルダーバンドコードの打ち込み本数であるエンズ(本/5cm)
    Lc:センターバンドコードの1.5%伸張時の荷重(N)
    Ec:センターバンド層の幅5cm当たりのセンターバンドコードの打ち込み本数であるエンズ(本/5cm)
  2. 前記ショルダーバンドコードの1.5%伸張時の荷重Ls(N)、前記ショルダーバンド層のエンズEs(本/5cm)、センターバンドコードの1.5%伸張時の荷重Lc(N)及び前記センターバンド層のエンズEc(本/5cm)は、下記式(3)を満足する請求項1に記載の空気入りタイヤの製造方法。
    比(Ls×Es/Lc×Ec)≦10…(3)
  3. 前記ショルダーバンド層のタイヤ軸方向の幅は、10〜40mmである請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの製造方法。
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