JP6144387B1 - 伸縮性のある気密コンセントカバー及び配線器具の配置構造並びに施工方法 - Google Patents
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ところが、このような長い挿通筒を用いる結果、特許文献1の段落0007に記載されたように水蒸気やガスの透過率の低いゴムのような材質のものが採用された場合であっても、特許文献2の段落0009に記載されたように合成樹脂等(例えば、特殊軟化塩化ビニル樹脂)の成形品より構成した場合であっても、その伸縮性が乏しく、サイズの適合性や気密防塵に課題を残すものであった。特に最近は、電話線ケーブルやLANケーブルのように、ケーブルの先端に大きな接続部材を備えたものが増えており、挿通筒が邪魔をして、ケーブルを通すことができないという事態が発生するおそれがあった。
また本発明は、ケーブルの種類や形状、大きさに関わりなく、良好な貫通性能と気密防塵性を実現することができる配線器具の配置構造並びに施工方法の提供を課題とする。
本発明の気密コンセントカバーにあっては、伸縮性を有する肉厚の環状ワッシャ部と、前記環状ワッシャ部の環状の内側に張られた厚み方向に貫通していない薄膜部分とを備えた伸縮挿通部を備え、前記環状ワッシャ部は、前記環状ワッシャ部自体がその内径において1.5倍以上に伸ばすことができる。そして、前記環状ワッシャ部をその伸縮性によって伸ばすと共に前記薄膜部分を内側または外側から破って、前記配線器具と外部との接続に用いられる部分を通し得るように構成される。
また本発明の気密コンセントカバーにあっては、伸縮性を有する肉厚の環状ワッシャ部と、前記環状ワッシャ部の環状の内側に張られた厚み方向に貫通していない薄膜部分とを備えた伸縮挿通部を備える。そして、前記環状ワッシャ部をその伸縮性によって伸ばすと共に前記薄膜部分を内側または外側から破って、LAN用ケーブルの先端の接続部材を通し得るように構成され、且つ、前記環状ワッシャ部の内側にのみ前記薄膜部分の切れ目の発生を許しつつ、前記環状ワッシャ部自体が広がることによって前記接続部材の通過を許容し、前記接続部材が通過した後は元の大きさまで収縮し、前記ケーブルの周面に密着することにより、前記環状ワッシャ部と前記薄膜部分とによって前記ケーブルの周囲が閉塞されるように構成される。
前記薄膜部分は切開用部を備え、前記切開用部の厚みは前記薄膜部分よりも薄く、前記切開用部から前記薄膜部分を破って前記配線器具と外部との接続に用いられる部分を通すことができる。
本発明にあっては、ケーブルを挿通することに際して、前記環状ワッシャ部の内側にのみ前記薄膜部分に挿通用の開口の発生を許しつつ、前記環状ワッシャ部自体がその内径において1.5倍以上(1.5〜5倍程度)に伸ばすことができる。これによってケーブル先端などに設けられる大きな接続部材の通過を許容し、大きな接続部材が通過した後は元の大きさまで収縮し、ケーブルの周面に密着する。また、大きな接続部材が露出した状態の場合は、大きな接続部材に沿って密着する。これにより、前記環状ワッシャ部と前記薄膜部分とによってケーブルの周囲が閉塞され、この部分における気密性が確保されるものである。また、難燃性については、コンセントからの火災の発生を抑制することができるものであればよいが、具体的には燃焼持続時間が30秒以下であり、自己消火性を有することことが望ましい。
前記伸縮挿通部は種々変更して実施することができるが、例えば、前記薄膜部分は、その厚みが1mm以下、好ましくは0.1〜0.8mm程度であり、前記環状ワッシャ部は、その厚みおよび幅が、前記薄膜部分の2〜10倍程度、好ましくは1〜5mm程度であることが望ましい。また、前記環状ワッシャ部の内径は、挿通するケーブルなどの太さに応じて種々変更して実施することができるが、φ1mm以上、好ましくはφ2〜φ15mm程度であることが望ましい。また、伸縮性に関わる素材の硬度については、90度以下、好ましくは30〜60度程度であることが望ましい。
また本発明は、壁面や天井面などの取り付け面に対して開口部を形成する工程と、前述の気密コンセントカバーを前記開口部の背面側に突出するように配置すると共に、配線器具の背面部が前記気密コンセントカバーにて被覆されるように配置する工程とを含む配線器具の施工方法を提供する。この施工方法にあっては、前記環状ワッシャ部をその伸縮性によって伸ばすと共に前記薄膜部分を内側または外側から破って、前記配線器具と外部との接続に用いられる部分を通すことを特徴とする。
また本発明は、ケーブルの種類や形状、大きさに関わりなく、良好な貫通性能と形状保持性を備えた配線器具の配置構造並びに施工方法を提供することができたものである。
まず図1から図6を参照して、本発明の第1の実施の形態を説明する。
この実施の形態に係る気密コンセントカバー11は、図4に示すように、配線器具33の背面部35を被覆して気密防塵性を確保するために用いられるものである。一般に配線器具33は、壁面や天井面などの取り付け面31に設けられた開口部32に取り付けられるが、室内の密閉性が向上した今日の建物においては、配線器具33のすき間を通じて空気や塵が室内外を通過することを防ぐために、気密コンセントカバー11が設けられることが多い。
この実施の形態にかかる気密コンセントカバー11も同様の目的のために設けられたもので、従来の気密コンセントカバー11と基本構造を同じくするものである。
図1及び図2を参照して気密コンセントカバー11の具体的な構造を説明すると、気密コンセントカバー11は、ボックス部12とその前面側の開口端に設けられたフランジ部13とを備えている。ボックス部12とフランジ部13は通常一体に形成されるが、一体に形成されることは必須の要件ではない。ボックス部12は、有底筒状をなし、この例では上下左右の側壁部15と、その背面を閉ざす底壁部16とを備えている。なお側壁部15と底壁部16を区別する必要がないときにはこれらを合わせて壁部14と呼ぶ。
この例では、全体で四角筒状を形成する側壁部15の前面側の開放端にフランジ部13が形成され、このフランジ部13は、正面視略四角形をなし、ボックス部12の外側に連続して張り出している。
図3を参照して、伸縮挿通部21ついて説明する。伸縮挿通部21は、図3(A)(B)に示すように、伸縮性を有する肉厚の環状ワッシャ部22と、環状ワッシャ部22の環状の内側に張られた薄膜部分23とを備えたもので、これらは壁部14と一体に形成されている。
環状ワッシャ部22は、薄膜部分23の周囲に形成されたもので、次の作用を果たす。
第二は環状ワッシャ部22自体が伸縮性を保有することにより、先端に大きな接続部材42を備えたケーブル41についても、通すことができるようにする。
環状ワッシャ部22の正面形状は、図に示したような円形の他、楕円形状や、矩形などの多角形であってもかまわず、二重などの多重の環状であってもかまわず、環状の一部分が分断されているものであってもかまわない。
前記の伸縮挿通部21は壁部14の適宜位置に形成することができる。また各壁部14に複数の伸縮挿通部21を形成することも可能である。その際、図3(B)に示したように、壁部14の全体を薄膜部分23と同じ厚みにすることも可能である。また図3(D)に示したように、壁部14の厚みを薄膜部分23の1.5〜3倍程度の厚みとして実施することもでき、さらにそれより厚みの大きなものであっても構わない。
図4を参照して、気密コンセントカバー11の取り付け構造について説明する。気密コンセントカバー11は、壁や天井などの取り付け面31に設けられた開口部32に配置される。その際、ボックス部12は開口部32の前面側から背面側に挿入され、フランジ部13が取り付け面31の前面に沿わされる。気密コンセントカバー11の前面側に配線器具33が配置される。配線器具33は、その前面部34に電線の差し込みプラグ、電話線ケーブル用のジャック、TVケーブルやLANケーブル用の接続端子など、室内側の各種ケーブルに対する接続部分を備えており、その背面部35は後方に突出して各種の接続構造部分が配置されている。この背面部35は気密コンセントカバー11のボックス部12内に配置される。言い換えれば、ボックス部12は背面部35を内部に配置できる程度の大きさでフランジ部13から後方に突出して設けられている。配線器具33は、取り付け面31に対してネジによって固定されるが、そのねじ挿通穴が配線器具33の上下及びフランジ部13の上下にそれぞれ形成されている。
配線器具33の周囲には、コンセント意匠カバー取付け部37が配置される。このコンセント意匠カバー取付け部37にコンセント意匠カバー38が取付けられるが、これによって、フランジ部13は外部から見えないように隠される。
図5と図6を参照して、各種ケーブル41の接続構造について説明する。今日のIT社会にあっては、各種事業所はもちろん一般家庭における室内についても種々のケーブルが使用される。具体的には従来の電源配線用ケーブル45に加えて、電話用ケーブル44やTV用ケーブル46はもとよりLAN用ケーブル43が用いられている。特にLAN用ケーブル43については大きな接続部材42がその先端に設けられている。この実施の形態の気密コンセントカバー11にあっては、そのすべてについて対応することができる。
図6(A)に示すように、電源配線用ケーブル45については、底壁部16の適宜位置から挿通することができる。前述のように底壁部16はその全体が厚みの小さな薄い膜となっているため、特許文献3と同様に、その適宜位置から電源配線用ケーブル45を通すことができる。
この実施の形態にかかる気密コンセントカバー11は本発明の趣旨を阻害しない限り、種々変更して実施することができる。たとえば、図6(F)に示すように、底壁部16についてフラットなものとして実施できるほか、周縁部分17に比べて中央部分18を前方へ突出したものとして実施することができる。これは配線器具33の背面部35の後方への突出量が小さな場合に有効であり、配線器具33と中央部分18との空間を少なくすることができる。
次に図7から図10を参照して、本発明の第2の実施の形態を説明する。
先の実施の形態に係る気密コンセントカバー11は、配線器具33が1個のものに対するものであったが、この実施の形態に係る気密コンセントカバー11は、配線器具33が左右に2個並べられたものに対するものであり、2個の大きさを備えたボックス部12とフランジ部13とを有するものである。なお配線器具33が左右に3個以上並べられたものに対する場合、3個以上の大きさを備えたものとすることもできる。
なお、図の例では、左右のそれぞれの部分に設けられた環状ワッシャ部22は同じものとしたが、異なるものとして実施することもできる。また第一の実施の形態において示された変更例を、この実施の形態に適用することも可能である。
次に本発明の施工方法の実施の形態を説明する。
図4及び図10に示すように、壁面や天井面などの取り付け面31に対して開口部32を形成する工程を行う。開口部32は、壁面や天井面が完成した後にその取り付け面31を切断して形成するものであってもよいし、予め開口部32を形成したボードなどを用意し、これを用いて壁面や天井面を作成してもかまわない。
本発明の施工方法は、図1〜図10を参照して説明した各実施の形態及びその変形例について適用することができるものである。
12 ボックス部
13 フランジ部
14 壁部
15 側壁部
16 底壁部
17 周縁部分
18 中央部分
19 区画壁
21 伸縮挿通部
22 環状ワッシャ部
23 薄膜部分
24 挿通用の開口溝
31 取り付け面
32 開口部
33 配線器具
34 前面部
35 背面部
36 接続部分
37 コンセント意匠カバー取付け部
38 コンセント意匠カバー
41 ケーブル
42 接続部材
43 LAN用ケーブル
44 電話用ケーブル
45 電源配線用ケーブル
46 TV用ケーブル
Claims (6)
- 壁面や天井面などの取り付け面に設けられた開口部に取り付けられる配線器具の背面部を被覆するように前記開口部の背面側に配置されるボックス部を備えた、配線器具用の伸縮性のある気密コンセントカバーにおいて、
前記ボックス部は、伸縮性を有する素材により構成された壁部と、前記壁部と一体に構成された伸縮挿通部を備え、
前記伸縮挿通部は、伸縮性を有する肉厚の環状ワッシャ部と、前記環状ワッシャ部の環状の内側に張られた厚み方向に貫通していない薄膜部分とを備え、
前記環状ワッシャ部は、前記環状ワッシャ部自体がその内径において1.5倍以上に伸ばすことができ、
前記環状ワッシャ部をその伸縮性によって伸ばすと共に前記薄膜部分を内側または外側から破って、前記配線器具と外部との接続に用いられる部分を通し得るように構成されたことを特徴とする配線器具用の気密コンセントカバー。 - 壁面や天井面などの取り付け面に設けられた開口部に取り付けられる配線器具の背面部を被覆するように前記開口部の背面側に配置されるボックス部を備えた、配線器具用の伸縮性のある気密コンセントカバーにおいて、
前記ボックス部は、伸縮性を有する素材により構成された壁部と、前記壁部と一体に構成された伸縮挿通部を備え、
前記伸縮挿通部は、伸縮性を有する肉厚の環状ワッシャ部と、前記環状ワッシャ部の環状の内側に張られた厚み方向に貫通していない薄膜部分とを備え、
前記環状ワッシャ部をその伸縮性によって伸ばすと共に前記薄膜部分を内側または外側から破って、LAN用ケーブルの先端の接続部材を通し得るように構成され、且つ、前記環状ワッシャ部の内側にのみ前記薄膜部分の切れ目の発生を許しつつ、前記環状ワッシャ部自体が広がることによって前記接続部材の通過を許容し、前記接続部材が通過した後は元の大きさまで収縮し、前記ケーブルの周面に密着することにより、前記環状ワッシャ部と前記薄膜部分とによって前記ケーブルの周囲が閉塞されるように構成されたことを特徴とする気密コンセントカバー。 - 前記気密コンセントカバーは、伸縮性と難燃性とを有する素材により構成されており、
前記開口部の縁に配置されるフランジ部と、前記フランジ部から前記背面側に伸ばされた前記ボックス部とを備え、
前記壁部は、筒状の側壁部と、前記側壁部の背面側を塞ぐ底壁部とを備え、
前記伸縮挿通部は、前記側壁部と前記底壁部との少なくとも何れか一方に配置され、
前記ボックス部は前記開口部の前面側から背面側に挿入され、前記フランジ部が前記開口部の取り付け面の前面に沿わされるものであり、
前記配線器具と外部との接続に用いられる部分は、前記配線器具に接続されるケーブルと、前記配線器具から突出する接続部分との少なくとも何れか一方であり、
前記薄膜部分は切開用部を備え、前記切開用部の厚みは前記薄膜部分よりも薄く、
前記切開用部から前記薄膜部分を破って前記配線器具と外部との接続に用いられる部分を通することができるように構成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の気密コンセントカバー。 - 前記底壁部は、前記側壁部に連続する周縁部分と、前記周縁部分に囲まれた中央部分とを備え、
前記中央部分は、前記周縁部分と略面一の位置、又は、前記周縁部分よりも前面側に凹んだ位置に配置されており、
前記伸縮挿通部に、前記ケーブルのうち先端に接続部材が設けられたケーブルを挿通し、
前記中央部分に、前記ケーブルのうち先端に接続部材がないケーブルを挿通するように構成されたことを特徴とする請求項3記載の気密コンセントカバー。 - 請求項1〜4の何れかに記載の気密コンセントカバーと、壁面や天井面などの取り付け面に設けられた前記開口部と、前記配線器具とを備え、
前記気密コンセントカバーは、前記開口部の背面側に突出するように配置され、前記配線器具の背面部が前記気密コンセントカバーにて被覆されており、
前記配線器具と外部との接続に用いられる部分が、前記薄膜部分を貫通していることを特徴とする配線器具の配置構造。 - 壁面や天井面などの取り付け面に対して開口部を形成する工程と、
請求項1〜4の何れかに記載の気密コンセントカバーの前記ボックス部とを前記開口部の背面側に突出するように配置すると共に、配線器具の背面部が前記ボックス部にて被覆されるように配置する工程とを含み、
前記気密コンセントカバーの前記環状ワッシャ部をその伸縮性によって伸ばすと共に前記薄膜部分を内側または外側から破って、前記配線器具と外部との接続に用いられる部分を通すことを特徴とする配線器具の施工方法。
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