[比較例1]
本発明に基づいた各実施の形態および各実験例について説明する前に、本発明に関する比較例1について説明する。本比較例の説明において、同一の部品および相当部品に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
(送風装置100)
図1は、本比較例における送風装置100を示す断面図である。送風装置100は、本体部10および把持部20を備える。把持部20は、使用者によって把持される部位である。把持部20の表面には、操作部23が設けられる。把持部20の先端21は、本体部10に回動可能に取り付けられる。把持部20の後端22には、電源コード24が設けられる。
本体部10は、外ケース11、内ケース12、駆動モータ30、プロペラファン50Z、整流翼40Zおよびヒータ17を含む。外ケース11および内ケース12は、略筒状の形状をそれぞれ有する。外ケース11は、入口開口13および出口開口14を有する。入口開口13は出口開口14に連通し、入口開口13と出口開口14との間には風路が形成される。
風路形成部材としての内ケース12は、外ケース11の内部に配置される。内ケース12は、吸入口15および吐出口16を有する。内ケース12が外ケース11の内部に配置された状態では、吸入口15は、外ケース11の入口開口13側に位置し、吐出口16は、外ケース11の出口開口14側に位置する。
駆動モータ30、プロペラファン50Zおよび整流翼40Zは、内ケース12の内部に設けられる。整流翼40Zの内側には、モータ支持部44(図2参照)が設けられる。駆動モータ30は、モータ支持部44によって支持される。駆動モータ30は、その出力軸31(図2参照)が本体部10の長手方向に対して略平行となるように配置される。
プロペラファン50Zは、駆動モータ30に取り付けられる。プロペラファン50Zは、駆動モータ30よりも吸入口15の側に配置される。プロペラファン50Zは、プロペラファン50Zの回転軸(図2における回転軸80を参照)が本体部10の長手方向に対して略平行となるように配置される。駆動モータ30は、電源コード24を通して電力を供給されることによって、プロペラファン50Zを回転させる。
プロペラファン50Zは、駆動モータ30からの回転動力を受けて回転軸周りに回転し、上流側の入口開口13および吸入口15から下流側の吐出口16および出口開口14に向かって流れる気流(空気流)を発生させる。ヒータ17は、プロペラファン50Zよりも出口開口14の側に配置される。
図2は、図1中のII線に囲まれた領域を拡大して示す断面図である。図示上の便宜のため、図2の断面図は、紙面の上側に吸入口15が位置し、紙面の下側に吐出口16が位置するように図示されている。上述のとおり、駆動モータ30、プロペラファン50Zおよび整流翼40Zは、内ケース12の内部に設けられる。整流翼40Zの内側には、モータ支持部44が設けられる。
モータ支持部44は、周壁44A、底壁44Bおよび孔44Cを有する。周壁44Aは、円筒状の形状を有する。周壁44Aの中心軸および内ケース12の中心軸は、ほぼ同一直線上に位置している。底壁44Bは、円盤状の形状を有し、周壁44Aの上流側の端部を塞ぐように設けられる。孔44Cは、底壁44Bの中央に設けられる。駆動モータ30が周壁44Aの内側に嵌め込まれたとき、駆動モータ30の出力軸31は、孔44Cから上流側に向かって飛び出す。
整流翼40Zは、プロペラファン50Zよりも下流側に配置される。整流翼40Zは、板状部42を含む。板状部42は、モータ支持部44(周壁44A)の外表面から外方に向かって放射状に延在している。板状部42は、吸入口15から吐出口16に向かって流れる気流の流量を低下させないように、周方向に間隔を空けて配置されている。板状部42は、上流側に上流縁部43を有する。本比較例の上流縁部43は、平面状の形状を有し、プロペラファン50Zの回転軸80に対して垂直な方向に沿って延びている。
(プロペラファン50Z)
図3は、プロペラファン50Zを示す側面図である。図4は、プロペラファン50Zを示す平面図である。プロペラファン50Zは、たとえば、AS(acrylonitrile-styrene)樹脂等の合成樹脂により、樹脂成型品として一体的に作製されている。プロペラファン50Zは、駆動モータ30(図2参照)からの回転動力を受けて回転軸80(図3参照)の周りに矢印AR1方向に回転する。
図2〜図4に示すように、プロペラファン50Zは、ボス部60Zおよび7枚の翼部70Zを備える。本比較例におけるプロペラファン50Zは、回転対称の形状を有する。ここで言う回転対称とは、回転軸80の周りにプロペラファン50Zを回転させたとき、2π/nラジアン(nは正の整数であり、本比較例ではn=7である)の回転角度で同じ図形が繰り返される性質を意味する。プロペラファン50Zは、翼部70Zのうちの一つを回転軸80の周りに360/7=約51.4(°)の回転角度で回転させると、その翼部70Zに隣接する他の翼部70Zに重なるという性質を有している。
(ボス部60Z)
ボス部60Zは、駆動モータ30からの回転動力を受けることにより、仮想の回転軸80を中心として矢印AR1方向に回転する。ボス部60Zは、外表面61、内表面68および軸受部69を含む。ボス部60Zは、全体として回転対称の形状を有し、ボス部60Zの外表面61は、全体として半球状の形状を有する。外表面61の最も上流側(頂点)の位置には、上流端部62が形成される。プロペラファン50Zが回転している時、上流端部62を通るように、回転軸80が形成される。
回転軸80に対して平行な方向における外表面61の途中位置には、主流面63が形成される。主流面63は、上流端部62に連続する半球面の形状を有し、下流側に向かうにつれてプロペラファン50Zの回転半径方向の外側に向かって拡径するように延びている。外表面61の最も下流側の位置には、下流部67が形成される。下流部67は、主流面63の下流端に位置している。下流部67を平面視した場合(図4参照)、下流部67は円形状の形状を有している。
ボス部60Zの内表面68は、外表面61の内側に形成される。軸受部69は、筒状の形状を有し、内表面68の中央の位置に設けられる。軸受部69は、プロペラファン50Zを、駆動モータ30(図2参照)の出力軸31(図2参照)に接続する部位である。
(翼部70Z)
7枚の翼部70Zは、ボス部60Zの外表面61に設けられ、この外表面61からプロペラファン50Zの回転半径方向の外側に向かって延出する形状を有する。7枚の翼部70Zは、同一の形状を有している。7枚の翼部70Zは、プロペラファン50Zの回転方向(矢印AR1方向)において、等間隔に並んで配置されている。
7枚の翼部70Zが回転軸80を中心として矢印AR1方向に回転する際、7枚の翼部70Zはボス部60Zと一体的に回転する。7枚の翼部70Zは、回転軸80を中心として回転することにより、吸入口15(図2参照)から吐出口16(図2参照)に向かって流れる気流(図3の上側から下側に向かって流れる気流)を発生させる。
図3および図4を参照して、翼部70Zは、翼先端部71、前縁部72、根元部73、後縁部74、翼後端部75および外周縁部76を有する。翼先端部71は、プロペラファン50Zの回転方向(矢印AR1方向)における最も先端(前方側)に位置している。前縁部72は、翼先端部71からボス部60Zの外表面61まで延在し、回転方向における翼部70Zの前縁を形成している。本比較例の前縁部72は、プロペラファン50Zの回転軸80に対して垂直な方向にほぼ沿うように延びている(図3参照)。根元部73は、翼部70Zとボス部60Zの外表面61との間(境目)に形成される。
後縁部74は、ボス部60Zの外表面61から回転半径方向の外側に向かって延在し、プロペラファン50Zの回転方向(矢印AR1方向)における翼部70Zの後縁を形成している。プロペラファン50Zを回転軸80に対して直交する方向から見た場合(換言すると、プロペラファン50Zを側面視した場合)に、本比較例の後縁部74は、プロペラファン50Zの回転軸80に対して垂直な方向に沿って延びている(図3参照)。翼後端部75は、回転半径方向における後縁部74の最も外側の端部(外側端)に形成される。外周縁部76は、翼先端部71と翼後端部75とを接続し、回転半径方向における翼部70Zの外周縁を形成している。
より具体的に、翼部70Zは、翼先端部71を先端とする鎌状の形状を有する。翼部70Zは、回転半径方向の内側に向かうにつれて、前縁部72および後縁部74の間の回転方向に沿う方向の幅が徐々に小さくなる形状を有する。換言すると、翼部70Zは、回転半径方向の外側に向かうにつれて、前縁部72および後縁部74の間の回転方向に沿う方向の幅が徐々に大きくなる形状を有する。
前縁部72は、翼部70Zの回転方向(矢印AR1方向)の前方側に位置し、回転方向における翼部70Zの前縁を形成している。プロペラファン50Zを回転軸80に対して平行な方向から見た場合(換言すると、プロペラファン50Zを平面視した場合)に、前縁部72は、根元部73のうちの回転方向における前端部を起点として、回転半径方向の内側から同方向の外側に向けて略直線状に延びている。上述のとおり、プロペラファン50Zを回転軸80に対して直交する方向から見た場合(換言すると、プロペラファン50Zを側面視した場合)に、本比較例の前縁部72は、プロペラファン50Zの回転軸80に対して垂直な方向にほぼ沿うように延びている(図3参照)。
翼先端部71は、回転方向(矢印AR1方向)における翼部70Zの最も先端(前方側)に位置するとともに、前縁部72における回転半径方向の最も外側に位置する。翼先端部71は、前縁部72と外周縁部76とが接続される部分であり、前縁部72と外周縁部76との間において曲率半径が最小となる部分である。
後縁部74は、翼部70Zの回転方向(矢印AR1方向)の後方側に位置し、回転方向における翼部70Zの後縁を形成している。プロペラファン50Zを回転軸80に対して平行な方向から見た場合(換言すると、プロペラファン50Zを平面視した場合)に、後縁部74は、根元部73のうちの回転方向における後端部を起点として、回転半径方向の内側から同方向の外側に向けて略直線状に延びている。上述のとおり、プロペラファン50Zを回転軸80に対して直交する方向から見た場合(換言すると、プロペラファン50Zを側面視した場合)に、本比較例の後縁部74は、プロペラファン50Zの回転軸80に対して垂直な方向に沿って直線状に延びている(図3参照)。
翼後端部75は、後縁部74における回転半径方向の最も外側に位置する。翼後端部75は、後縁部74と外周縁部76とが接続される部分であり、後縁部74と外周縁部76との間において曲率半径が最小となる部分である。本比較例のプロペラファン50Zにおいては、翼先端部71および翼後端部75は、略同一円上に位置している。
外周縁部76は、翼部70Zの回転方向(回転軸80を中心とする周方向)に沿って延び、翼先端部71と翼後端部75との間を接続するように設けられる。本比較例の外周縁部76は、全体として、翼先端部71と翼後端部75との間で円弧状に延びている。換言すると、プロペラファン50Zを回転軸80に対して平行な方向から見た場合(換言すると、プロペラファン50Zを平面視した場合)に、回転軸80(上流端部62)および翼先端部71の間の寸法と、回転軸80(上流端部62)および翼後端部75の間の寸法とは同一の値となっている。
翼先端部71、前縁部72、根元部73、後縁部74、翼後端部75および外周縁部76は、翼部70Zの周縁を形成している。この周縁に囲まれた領域の内側の全域に、翼部70Zの翼面が形成される。翼部70Zの翼面は、前縁部72が気流の流れる方向における上流側に位置し、後縁部74が気流の流れる方向における下流側に位置する形状を有している。換言すると、翼部70Zの翼面は、前縁部72から後縁部74に向かうにつれて、吸入口15(図2参照)の側から吐出口16(図2参照)の側に向かって全体として滑らかに湾曲するように形成されている(図3参照)。
プロペラファン50Zが回転している時、翼部70Zの翼面の吐出口16側の面には正圧面が形成され、この翼面の吸入口15の面には負圧面が形成される。プロペラファン50Zが回転している時、翼部70Zの翼面は、吸入口15から吐出口16に向かって流れる気流を発生させる。プロペラファン50Zが回転している時、翼面上で空気流れが発生することに伴って、正圧面で相対的に大きく、負圧面で相対的に小さくなる圧力分布が生じる。
図5は、プロペラファン50Zが回転しているときの様子を示す断面図である。プロペラファン50Zは、駆動モータ30からの回転動力を受けて矢印AR1方向に回転し、吸入口15から吐出口16に向かって流れる気流(矢印DR1参照)を発生させる。矢印DR1に示すように、吸入口15からの気流は、翼部70Zの翼面およびボス部60Zの外表面61に沿いながら、上流側から下流側に向かって流れる。
翼部70Zが回転することに伴って、翼部70Zの翼先端部71(図3および図4参照)の付近には、翼先端渦が発生する(矢印DR3参照)。この翼先端渦は、翼先端部71の付近を先端として、回転方向(矢印AR1方向)の後方側に向かって延びるように発生する。
一方で、プロペラファン50Zが回転しているとき、ボス部60Zの内表面68によって、ボス部60Zの内部に存在している空気も回転する。ボス部60Zの内部に存在している空気には、回転に伴って遠心力が発生する。この遠心力が発生した空気と、ボス部60Zの周囲における翼部70Zが設けられていない空間を流れる空気とによって、ボス部60Zの下流部67の付近には負圧が発生する。ボス部60Zの下流部67の付近には、この負圧の作用によって渦(矢印DR2参照)が発生する。
矢印DR2に示すように、外表面61に沿って流れていた空気(矢印DR1)の一部は、この渦の作用を受けてボス部60Zの下流部67を中心として折り返し、内表面68側に向かってボス部60Zの内部に吸い込まれるように流れる。
図6は、外表面61に沿って流れていた空気の一部が、ボス部60Zの内部に吸い込まれる様子を示す模式的に示す図である。図6中の矢印DR4に示すように、ボス部60Zの外表面61が全体として半球状の形状を有していることによって、外表面61に沿って流れていた空気の一部は、ボス部60Zの下流部67を中心として折り返し、ボス部60Zの内部に吸い込まれるように流れる。
送風装置100(図1参照)が使用されている時、送風装置100の内部には入口開口13(図1参照)から空気と共に毛髪または埃などの異物が吸い込まれることがある。毛髪などの異物は、矢印DR4(図6参照)に示す空気の流れに乗ってボス部60Zの内部に吸い込まれる。毛髪などの異物が駆動モータ30の出力軸31に絡みついた場合、送風効率が低下するだけでなく、毛髪などの異物は故障を誘発することもある。
(ボス部60ZA)
図7を参照して、上記と同様な現象は、ボス部60ZAにおいても発生し得る。ボス部60ZAの外表面61は、全体として円柱面の形状を有する。ボス部60ZAの外表面61は、上流端部62、主流面63および下流部67を含む。上流端部62は、ボス部60ZAの最も上流側に位置し、面状の形状を有する。主流面63は、上流端部62の外縁に連続し、回転軸80に対して平行な方向に沿って延びる形状を有する。下流部67は、主流面63の下流端に位置している。
プロペラファンが回転しているとき、ボス部60ZAの内表面によって、ボス部60ZAの内部に存在している空気も回転する。ボス部60ZAの内部に存在している空気には、回転に伴って遠心力が発生する。この遠心力が発生した空気と、ボス部60ZAの周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気とによって、ボス部60ZAの下流部67の付近には負圧が発生する。ボス部60ZAの下流部67の付近には、この負圧の作用によって渦が発生する。
矢印DR4に示すように、ボス部60ZAの外表面61が全体として円柱面の形状を有していることによって、外表面61に沿って流れていた空気の一部は、ボス部60ZAの下流部67を中心として折り返し、ボス部60ZAの内部に吸い込まれるように流れる。毛髪などの異物は、矢印DR4に示す空気の流れに乗ってボス部60ZAの内部に吸い込まれ、駆動モータ30の出力軸31に絡みつくことがある。
(ボス部60ZB)
図8を参照して、上記と同様な現象は、ボス部60ZBにおいても発生し得る。ボス部60ZBの外表面61は、全体として円錐面の形状を有する。ボス部60ZBの外表面61は、上流端部62、主流面63および下流部67を含む。上流端部62は、ボス部60ZBの最も上流側に位置する。主流面63は、上流端部62に連続し、下流側に向かうにつれて回転半径方向の外側に向かって拡径するように延びている。下流部67は、主流面63の下流端に位置している。
プロペラファンが回転しているとき、ボス部60ZBの内表面によって、ボス部60ZBの内部に存在している空気も回転する。ボス部60ZBの内部に存在している空気には、回転に伴って遠心力が発生する。この遠心力が発生した空気と、ボス部60ZBの周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気とによって、ボス部60ZBの下流部67の付近には負圧が発生する。ボス部60ZBの下流部67の付近には、この負圧の作用によって渦が発生する。
矢印DR4に示すように、ボス部60ZBの外表面61が全体として円錐面の形状を有していることによって、外表面61に沿って流れていた空気の一部は、ボス部60ZBの下流部67を中心として折り返し、ボス部60ZBの内部に吸い込まれるように流れる。毛髪などの異物は、矢印DR4に示す空気の流れに乗ってボス部60ZBの内部に吸い込まれ、駆動モータ30の出力軸31に絡みつくことがある。
[実施の形態]
以下、本発明に基づいた各実施の形態および各実験例について、図面を参照しながら説明する。各実施の形態および各実験例の説明において、個数および量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数およびその量などに限定されない。各実施の形態および各実験例の説明において、同一の部品および相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。特に制限が無い限り、各実施の形態に示す構成および各実験例に示す構成を適宜組み合わせて用いることは、当初から予定されていることである。
[実施の形態1]
(送風装置200)
図9は、本実施の形態における送風装置200を示す断面図である。送風装置200は、本体部10および把持部20を備える。把持部20は、使用者によって把持される部位である。把持部20の表面には、操作部23が設けられる。把持部20の先端21は、本体部10に回動可能に取り付けられる。把持部20の後端22には、電源コード24が設けられる。
送風装置200を使用する時、本体部10および把持部20は、全体として略T字状または略L字状の形状を形成する。送風装置200を収納する時、把持部20は、本体部10に沿う位置まで回動することができる。把持部20が折り畳まれることで、送風装置200は容易に収納されることができる。
本体部10は、外ケース11、内ケース12、駆動モータ30、プロペラファン50、整流翼40およびヒータ17を含む。外ケース11および内ケース12は、略筒状の形状をそれぞれ有する。外ケース11は、入口開口13および出口開口14を有する。入口開口13は出口開口14に連通し、入口開口13と出口開口14との間には風路が形成される。
風路形成部材としての内ケース12は、外ケース11の内部に配置される。内ケース12は、吸入口15および吐出口16を有する。内ケース12が外ケース11の内部に配置された状態では、吸入口15は、外ケース11の入口開口13側に位置し、吐出口16は、外ケース11の出口開口14側に位置する。
駆動モータ30、プロペラファン50および整流翼40は、内ケース12の内部に設けられる。整流翼40の内側には、モータ支持部44(図10参照)が設けられる。駆動モータ30は、モータ支持部44によって支持される。駆動モータ30は、その出力軸31(図10参照)が本体部10の長手方向に対して略平行となるように配置される。
プロペラファン50は、駆動モータ30に取り付けられる。プロペラファン50は、駆動モータ30よりも吸入口15の側に配置される。プロペラファン50は、プロペラファン50の回転軸(図10における回転軸80を参照)が本体部10の長手方向に対して略平行となるように配置される。駆動モータ30は、電源コード24を通して電力を供給されることによって、プロペラファン50を回転させる。
プロペラファン50は、駆動モータ30からの回転動力を受けて回転軸周りに回転し、上流側の入口開口13および吸入口15から下流側の吐出口16および出口開口14に向かって流れる気流(空気流)を発生させる。ヒータ17は、プロペラファン50よりも出口開口14の側に配置される。
ヒータ17の動作状態は、操作部23が操作されることによって切り替えられる。ヒータ17がON状態のとき、出口開口14からは温風が吹き出される。ヒータ17がOFF状態のとき、出口開口14からは冷風が吹き出される。ヒータ17の動作状態は、ON状態およびOFF状態が周期的に切り替わるモードを含んでいてもよい。出口開口14から吹き出される風の温度が経時的に変化することにより、温められた頭皮を冷風で引き締めたり、温められて広がった毛髪を引き締めたり、毛髪にキューティクルを形成したりすることなどが可能となる。
図10は、図9中のX線に囲まれた領域を拡大して示す断面図である。図示上の便宜のため、図10の断面図は、紙面の上側に吸入口15が位置し、紙面の下側に吐出口16が位置するように図示されている。上述のとおり、駆動モータ30、プロペラファン50および整流翼40は、内ケース12の内部に設けられる。整流翼40の内側には、モータ支持部44が設けられる。
モータ支持部44は、周壁44A、底壁44B、孔44Cおよび環状壁46を有する。周壁44Aは、円筒状の形状を有する。周壁44Aの中心軸および内ケース12の中心軸は、ほぼ同一直線上に位置している。底壁44Bは、円盤状の形状を有し、周壁44Aの上流側の端部を塞ぐように設けられる。孔44Cは、底壁44Bの中央に設けられる。駆動モータ30が周壁44Aの内側に嵌め込まれたとき、駆動モータ30の出力軸31は、孔44Cから上流側に向かって飛び出す。環状壁46は、底壁44Bの上流側の面上に設けられ、出力軸31に間隔を空けて出力軸31の周りを取り囲んでいる。
整流翼40は、プロペラファン50よりも下流側に配置される。整流翼40は、板状部42を含む。板状部42は、モータ支持部44(周壁44A)の外表面から外方に向かって放射状に延在している。板状部42は、吸入口15から吐出口16に向かって流れる気流の流量を低下させないように、周方向に間隔を空けて配置されている。板状部42は、上流側に上流縁部43を有する。本実施の形態の上流縁部43は、平面状の形状を有し、プロペラファン50の回転軸80に対して垂直な方向に沿って延びている。
(プロペラファン50)
図11は、プロペラファン50を示す側面図である。図12は、プロペラファン50を示す平面図である。プロペラファン50は、たとえば、AS(acrylonitrile-styrene)樹脂等の合成樹脂により、樹脂成型品として一体的に作製されている。プロペラファン50は、駆動モータ30(図10参照)からの回転動力を受けて回転軸80(図11参照)の周りに矢印AR1方向に回転する。
図10〜図12に示すように、プロペラファン50は、ボス部60および3枚の翼部70を備える。本実施の形態におけるプロペラファン50は、回転対称の形状を有する。ここで言う回転対称とは、回転軸80の周りにプロペラファン50を回転させたとき、2π/nラジアン(nは正の整数であり、本実施の形態ではn=3である)の回転角度で同じ図形が繰り返される性質を意味する。プロペラファン50は、翼部70のうちの一つを回転軸80の周りに360/3=120(°)の回転角度で回転させると、その翼部70に隣接する他の翼部70に重なるという性質を有している。
プロペラファン50は、たとえば、一枚物の板金を捻り加工することによって作製されてもよいし、曲面を有して形成される一体の薄肉状物から作製されてもよい。これらの場合、そのプロペラファンは、別に成形したボス部60に3枚の翼部70を接合する構造としてもよい。プロペラファン50は、3枚以外の複数枚の翼部70を備えていてもよいし、1枚のみの翼部70を備えていてもよい。プロペラファン50が1枚のみの翼部70を備える場合、回転軸80に対して翼部70の反対側に、バランサーとしての錘が設けられるとよい。
(ボス部60)
ボス部60は、駆動モータ30からの回転動力を受けることにより、仮想の回転軸80を中心として矢印AR1方向に回転する。ボス部60は、外表面61、内表面68および軸受部69を含む。ボス部60は、全体として回転対称の形状を有する。
ボス部60の外表面61は、上流端部62、上流面64、上流面64の下流端65、下流面66および下流部67を含む。上流端部62は、外表面61の最も上流側(頂点)の位置に形成される。プロペラファン50が回転している時、上流端部62を通るように、回転軸80が形成される。上流面64は、上流端部62に連続する略円錐面の形状を有し、下流側に向かうにつれてプロペラファン50の回転半径方向の外側に向かって拡径するように延びている。
ここで言う略円錐面の形状とは、上流面64の回転軸80に沿う方向の断面形状が、略直線からなる面の形状を意味する。略円錐面は、上流面64のうちの上流端部62寄りの部分およびまたは上流面64のうちの下流端65寄りの部分が適宜湾曲している場合も含む。上流面64の形状は、下流側に向かうにつれてプロペラファン50の回転半径方向の外側に向かって拡径するように延びていれば、その全体として湾曲するように形成されていてもよく、円錐面を軸線に近付く向きに湾曲させた形状も、円錐面を軸線から遠ざかる向きに湾曲させた形状も「略円錐面」に含まれる。
換言すると、ボス部60の外表面61は、上流面64から下流面66に向かって湾曲するように形成されていてもよいし、上流面64から下流面66に向かって屈曲するように形成されていてもよい。上流面64の形状は、上流端部62に連続する半球面の形状を有し、下流側(上流面64の下流端65)に向かうにつれてプロペラファン50の回転半径方向の外側に向かって拡径するように延びていてもよい。
上流面64の下流端65は、上流面64の最も下流側の位置に形成される。上流面64の下流端65を平面視した場合(図12参照)、上流面64の下流端65は円形状の形状を有している。下流部67(図11参照)は、上流面64の下流端65よりもさらに下流側に位置している。本実施の形態の下流部67は、外表面61の全体としての最も下流側に位置している。外表面61は、下流部67のさらに下流側に他の部位を有していてもよい。
下流面66は、上流面64の下流端65と下流部67とを接続するように形成されている。本実施の形態の下流面66は、全体として円柱面の形状を有し、回転軸80に対して平行な方向に沿って延びている。ボス部60の内表面68は、外表面61の内側に形成される。軸受部69は、筒状の形状を有し、内表面68の中央の位置に設けられる。軸受部69は、プロペラファン50を、駆動モータ30(図10参照)の出力軸31(図10参照)に接続する部位である。
図10に示すように、プロペラファン50が駆動モータ30の出力軸31に取り付けられたとき、回転軸80に対して平行な方向において、モータ支持部44の底壁44Bおよび出力軸31は、ボス部60の最も下流側の部分(下流部67)よりも上流側に位置している。換言すると、モータ支持部44の底壁44B寄りの部分、底壁44Bおよび出力軸31は、ボス部60の内表面68によって覆われるように配置されている。
(翼部70)
3枚の翼部70は、ボス部60の外表面61に設けられ、この外表面61からプロペラファン50の回転半径方向の外側に向かって延出する形状を有する。3枚の翼部70は、同一の形状を有している。3枚の翼部70は、プロペラファン50の回転方向(矢印AR1方向)において、等間隔に並んで配置されている。
3枚の翼部70が回転軸80を中心として矢印AR1方向に回転する際、3枚の翼部70はボス部60と一体的に回転する。3枚の翼部70は、回転軸80を中心として回転することにより、吸入口15(図10参照)から吐出口16(図10参照)に向かって流れる気流(図11の上側から下側に向かって流れる気流)を発生させる。
図11および図12を参照して、翼部70は、翼先端部71、前縁部72、根元部73、後縁部74、翼後端部75および外周縁部76を有する。翼先端部71は、プロペラファン50の回転方向(矢印AR1方向)における最も先端(前方側)に位置している。前縁部72は、翼先端部71からボス部60の外表面61まで延在し、回転方向における翼部70の前縁を形成している。本実施の形態の前縁部72は、ボス部60の外表面61から回転半径方向の外側に向かうにつれて、回転方向の前方側に向かって延びている(図11参照)。根元部73は、翼部70とボス部60の外表面61との間(境目)に形成される。
後縁部74は、ボス部60の外表面61から回転半径方向の外側に向かって延在し、プロペラファン50の回転方向(矢印AR1方向)における翼部70の後縁を形成している。本実施の形態の後縁部74は、ボス部60の外表面61から回転半径方向の外側に向かうにつれて、回転方向のやや前方側に向かって延びている(図11参照)。翼後端部75は、回転半径方向における後縁部74の最も外側の端部(外側端)に形成される。外周縁部76は、翼先端部71と翼後端部75とを接続し、回転半径方向における翼部70の外周縁を形成している。
より具体的に、翼部70は、翼先端部71を先端とする鎌状に尖った形状を有する。翼部70は、回転半径方向の内側に向かうにつれて、前縁部72および後縁部74の間の回転方向に沿う方向の幅が比較的に急峻に小さくなる形状を有する。換言すると、翼部70は、回転半径方向の外側に向かうにつれて、前縁部72および後縁部74の間の回転方向に沿う方向の幅が比較的に急峻に大きくなる形状を有する。
前縁部72は、翼部70の回転方向(矢印AR1方向)の前方側に位置し、回転方向における翼部70の前縁を形成している。プロペラファン50を回転軸80に対して平行な方向から見た場合(換言すると、プロペラファン50を平面視した場合)に、前縁部72は、根元部73のうちの回転方向における前端部を起点として、ボス部60の外表面61から回転半径方向の外側に向かうにつれて、回転方向の前方側に向かって延びている。プロペラファン50を回転軸80に対して直交する方向から見た場合(換言すると、プロペラファン50を側面視した場合)に、本実施の形態の前縁部72は、根元部73のうちの回転方向における前端部を起点として、ボス部60の外表面61から回転半径方向の外側に向かうにつれて、気流の流れる方向の上流側に向かって延びている(図11参照)。
翼先端部71は、回転方向(矢印AR1方向)における翼部70の最も先端(前方側)に位置するとともに、前縁部72における回転半径方向の最も外側に位置する。翼先端部71は、前縁部72と外周縁部76とが接続される部分であり、前縁部72と外周縁部76との間において曲率半径が最小となる部分である。
後縁部74は、翼部70の回転方向(矢印AR1方向)の後方側に位置し、回転方向における翼部70の後縁を形成している。プロペラファン50を回転軸80に対して平行な方向から見た場合(換言すると、プロペラファン50を平面視した場合)に、後縁部74は、根元部73のうちの回転方向における後端部を起点として、回転半径方向の内側から同方向の外側に向けて延びている。プロペラファン50を回転軸80に対して直交する方向から見た場合(換言すると、プロペラファン50を側面視した場合)に、本実施の形態の後縁部74は、根元部73のうちの回転方向における後端部を起点として、ボス部60の外表面61から回転半径方向の外側に向かうにつれて、気流の流れる方向のやや上流側に向かって延びている(図11参照)。
翼後端部75は、後縁部74における回転半径方向の最も外側に位置する。翼後端部75は、後縁部74と外周縁部76とが接続される部分であり、後縁部74と外周縁部76との間において曲率半径が最小となる部分である。
外周縁部76は、翼部70の回転方向(回転軸80を中心とする周方向)に沿って延び、翼先端部71と翼後端部75との間を接続するように設けられる。本実施の形態の外周縁部76は、全体として、翼先端部71と翼後端部75との間でほぼ円弧状に延びている。プロペラファン50を回転軸80に対して平行な方向から見た場合(換言すると、プロペラファン50を平面視した場合)に、回転軸80(上流端部62)および翼先端部71の間の寸法は、回転軸80(上流端部62)および翼後端部75の間の寸法よりも小さくなっている。
翼先端部71、前縁部72、根元部73、後縁部74、翼後端部75および外周縁部76は、翼部70の周縁を形成している。この周縁に囲まれた領域の内側の全域に、翼部70の翼面が形成される。翼部70の翼面は、前縁部72が気流の流れる方向における上流側に位置し、後縁部74が気流の流れる方向における下流側に位置する形状を有している。換言すると、翼部70の翼面は、前縁部72から後縁部74に向かうにつれて、吸入口15(図10参照)の側から吐出口16(図10参照)の側に向かって全体として滑らかに湾曲するように形成されている(図11参照)。
プロペラファン50が回転している時、翼部70の翼面の吐出口16側の面には正圧面が形成され、この翼面の吸入口15の面には負圧面が形成される。プロペラファン50が回転している時、翼部70の翼面は、吸入口15から吐出口16に向かって流れる気流を発生させる。プロペラファン50が回転している時、翼面上で空気流れが発生することに伴って、正圧面で相対的に大きく、負圧面で相対的に小さくなる圧力分布が生じる。
(作用および効果)
図13は、プロペラファン50が回転しているときの様子を示す断面図である。図14は、ボス部60が回転しているときの様子を模式的に示す図である。図13および図14を参照して、プロペラファン50は、駆動モータ30(図10参照)からの回転動力を受けて矢印AR1方向に回転し、吸入口15(図10参照)から吐出口16(図10参照)に向かって流れる気流(矢印DR5参照)を発生させる。矢印DR5に示すように、吸入口15からの気流は、翼部70の翼面およびボス部60の外表面61に沿いながら、上流側から下流側に向かって流れる。
ボス部60の周囲における翼部70が設けられていない空間を流れる空気は、上流側においては外表面61の上流面64に沿うように流れる。一方で、ボス部60の周囲における翼部70が設けられていない空間を流れる空気は、下流側においては外表面61の下流面66に沿うようには流れず、外表面61からの遠心力の作用を受けて、上流面64の下流端65の近傍で外表面61から剥離する。ボス部60の周囲における翼部70が設けられていない空間を流れる空気は、下流側においては外表面61よりも回転半径方向の外側を流れる(矢印DR5参照)。
空気が矢印DR5方向に流れることに伴って、その空気の流れとボス部60の下流面66との間には、矢印DR6で示すような渦が発生する。この渦は、矢印DR5方向に流れる空気からその一部が切り離され、切り離されたその一部の空気が外表面61からの遠心力の作用を受けることによって発生する。この渦は、その大部分がボス部60の下流部67よりも上流側の位置において発生する。この渦は、ボス部60の下流部67を中心として折り返すことはなく、内表面68側に向かってボス部60の内部に吸い込まれるようには流れない。
送風装置200(図9参照)が使用されている時、送風装置200の内部には入口開口13(図9参照)から空気と共に毛髪または埃などの異物が吸い込まれることがある。入口開口13(図9参照)から吸い込まれた毛髪が生えている毛であった場合には、その毛髪は駆動モータ30の出力軸31に絡みつくことなくその場で停滞する。その毛髪は、上流側に引っ張られることにより、送風装置200の内部から簡単に引き出すことが可能である。
入口開口13(図9参照)から吸い込まれた毛髪が抜け毛などである場合には、毛髪などの異物は、矢印DR5(図13および図14参照)に示す空気の流れに乗って下流側にそのまま流れる。毛髪などの異物が駆動モータ30の出力軸31に絡みつくことはほとんどない。したがって本実施の形態の送風装置200(図1参照)によれば、送風効率が低下することもなく、毛髪などの異物によって故障を誘発されることも効果的に抑制可能となっている。
上述のとおり(図10参照)、プロペラファン50が駆動モータ30の出力軸31に取り付けられたとき、回転軸80に対して平行な方向において、モータ支持部44の底壁44Bおよび出力軸31は、ボス部60の最も下流側の部分(下流部67)よりも上流側に位置している。換言すると、モータ支持部44の底壁44B寄りの部分、底壁44Bおよび出力軸31は、ボス部60の内表面68によって覆われるように配置されている。毛髪などの異物が出力軸31に絡みつくことはより一層抑制されている。
(第1変形例)
図15は、実施の形態1の第1変形例におけるボス部60Aを模式的に示す図である。ボス部60Aの外表面61は、上流端部62、上流面64、上流面64の下流端65、下流面66および下流部67を含む。上流端部62は、外表面61の最も上流側(頂点)の位置に形成される。プロペラファンが回転している時、上流端部62を通るように、回転軸80が形成される。上流面64は、上流端部62に連続する略円錐面の形状を有し、下流側に向かうにつれてプロペラファンの回転半径方向の外側に向かって拡径するように延びている。
上流面64の下流端65は、上流面64の最も下流側の位置に形成される。下流部67は、上流面64の下流端65よりもさらに下流側に位置している。本変形例の下流部67は、外表面61の全体としての最も下流側に位置している。ボス部60Aの下流面66も、上流面64の下流端65と下流部67とを接続するように形成されている。本変形例の下流面66は、全体として円錐面の形状を有し、下流部67に向かうにつれて回転軸80に対して平行な方向よりも回転半径方向の内側に向かって縮径するように延びている。
換言すると、ボス部60Aの下流面66を含む部位の外観形状は、下流部67に向かうにつれて縮径する略円錐台の形状を有している。円錐台の形状とは、円錐を底面に対して平行な平面で二分して得られる立体のうち、円錐ではない方の立体形状のことである。ここで言う略円錐台の形状とは、その側面の形状(下流面66の形状)が略直線からなる面の形状を意味するだけでなく、下流面66のうちの下流端65寄りの部分およびまたは下流面66のうちの下流部67寄りの部分が適宜湾曲している場合も含む。本変形例の下流面66の形状は、下流側に向かうにつれて回転半径方向の内側に向かって縮径するように延びていれば、その全体として湾曲するように形成されていてもよく、下流面66を回転軸に近付く向きに湾曲させた形状も、下流面66を回転軸から遠ざかる向きに湾曲させた形状も「略円錐台の形状」に含まれる。
プロペラファンが回転しているとき、吸入口からの気流は、矢印DR5に示すように流れる。ボス部60Aの周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、上流側においては外表面61の上流面64に沿うように流れ、下流側においては外表面61の下流面66に沿うようには流れず、上流面64の下流端65の近傍で外表面61から剥離する。ボス部60Aの周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、下流側においては外表面61よりも回転半径方向の外側を流れる(矢印DR5参照)。
空気が矢印DR5方向に流れることに伴って、その空気の流れとボス部60Aの下流面66との間には、矢印DR6で示すような渦が発生する。この渦は、その大部分がボス部60Aの下流部67よりも上流側の位置において発生する。この渦は、ボス部60Aの下流部67を中心として折り返すことはなく、ボス部60Aの内部に吸い込まれるようには流れない。したがってボス部60Aが用いられる場合であっても、送風効率が低下することもなく、毛髪などの異物によって故障を誘発されることも効果的に抑制可能となっている。
(第2変形例)
図16は、実施の形態1の第2変形例におけるボス部60B1を模式的に示す図である。ボス部60B1の外表面61は、上流端部62、上流面64、上流面64の下流端65、下流面66および下流部67を含む。上流端部62は、外表面61の最も上流側(頂点)の位置に形成される。プロペラファンが回転している時、上流端部62を通るように、回転軸80が形成される。上流面64は、上流端部62に連続する略円錐面の形状を有し、下流側に向かうにつれてプロペラファンの回転半径方向の外側に向かって拡径するように延びている。
上流面64の下流端65は、上流面64の最も下流側の位置に形成される。下流部67は、上流面64の下流端65よりもさらに下流側に位置している。本変形例の下流部67は、外表面61の全体としての最も下流側に位置している。ボス部60B1の下流面66も、上流面64の下流端65と下流部67とを接続するように形成されている。本変形例の下流面66は、第1下流面66Aおよび第2下流面66Bを有する。第1下流面66Aは、回転軸80に対して直交する方向に延びている。第2下流面66Bは、第1下流面66Aに連続する円柱面の形状を有し、回転軸80に対して平行な方向に延びている。下流面66の全体としては、下流部67に向かうにつれて、回転軸80に対して平行な方向よりも回転半径方向の内側に向かって屈曲しながら延びている。
プロペラファンが回転しているとき、ボス部60B1の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、上流側においては外表面61の上流面64に沿うように流れ、下流側においては外表面61の下流面66に沿うようには流れず、上流面64の下流端65の近傍で外表面61から剥離する。ボス部60B1の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、下流側においては外表面61よりも回転半径方向の外側を流れる。
その空気の流れとボス部60B1の下流面66との間には、渦が発生する。この渦は、その大部分がボス部60B1の下流部67よりも上流側の位置において発生する。この渦は、ボス部60B1の下流部67を中心として折り返すことはなく、ボス部60B1の内部に吸い込まれるようには流れない。したがってボス部60B1が用いられる場合であっても、送風効率が低下することもなく、毛髪などの異物によって故障を誘発されることも効果的に抑制可能となっている。
(第3変形例)
図17は、実施の形態1の第3変形例におけるボス部60B2を模式的に示す図である。ボス部60B2の外表面61は、上流端部62、上流面64、上流面64の下流端65、下流面66および下流部67を含む。上流端部62は、外表面61の最も上流側(頂点)の位置に形成される。プロペラファンが回転している時、上流端部62を通るように、回転軸80が形成される。上流面64は、上流端部62に連続する略半球面の形状を有し、下流側に向かうにつれてプロペラファンの回転半径方向の外側に向かって拡径するように延びている。
上流面64の下流端65は、上流面64の最も下流側の位置に形成される。下流部67は、上流面64の下流端65よりもさらに下流側に位置している。本変形例の下流部67は、外表面61の全体としての最も下流側に位置している。ボス部60B2の下流面66も、上流面64の下流端65と下流部67とを接続するように形成されている。本変形例の下流面66は、上流面64の下流端65に連続する略円錐面の形状を有し、下流部67に向かうにつれて、回転軸80に対して平行な方向よりも回転半径方向の内側に向かって縮径するように直線状に延びている。
プロペラファンが回転しているとき、ボス部60B2の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、上流側においては外表面61の上流面64に沿うように流れ、下流側においては外表面61の下流面66に沿うようには流れず、上流面64の下流端65の近傍で外表面61から剥離する。ボス部60B2の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、下流側においては外表面61よりも回転半径方向の外側を流れる。
その空気の流れとボス部60B2の下流面66との間には、渦が発生する。この渦は、その大部分がボス部60B2の下流部67よりも上流側の位置において発生する。この渦は、ボス部60B2の下流部67を中心として折り返すことはなく、ボス部60B2の内部に吸い込まれるようには流れない。したがってボス部60B2が用いられる場合であっても、送風効率が低下することもなく、毛髪などの異物によって故障を誘発されることも効果的に抑制可能となっている。
(第4変形例)
図18は、実施の形態1の第4変形例におけるボス部60B3を模式的に示す図である。ボス部60B3の外表面61は、上流端部62、上流面64、上流面64の下流端65、下流面66および下流部67を含む。上流端部62は、外表面61の最も上流側(頂点)の位置に形成される。プロペラファンが回転している時、上流端部62を通るように、回転軸80が形成される。上流面64は、上流端部62に連続する略半球面の形状を有し、下流側に向かうにつれてプロペラファンの回転半径方向の外側に向かって拡径するように延びている。
上流面64の下流端65は、上流面64の最も下流側の位置に形成される。下流部67は、上流面64の下流端65よりもさらに下流側に位置している。本変形例の下流部67は、外表面61の全体としての最も下流側に位置している。ボス部60B3の下流面66も、上流面64の下流端65と下流部67とを接続するように形成されている。本変形例の下流面66は、第1下流面66Aおよび第2下流面66Bを有する。第1下流面66Aは、回転軸80に対して直交する方向に延びている。第2下流面66Bは、第1下流面66Aに連続する円柱面の形状を有し、回転軸80に対して平行な方向に延びている。下流面66の全体としては、下流部67に向かうにつれて、回転軸80に対して平行な方向よりも回転半径方向の内側に向かって屈曲しながら延びている。
プロペラファンが回転しているとき、ボス部60B3の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、上流側においては外表面61の上流面64に沿うように流れ、下流側においては外表面61の下流面66に沿うようには流れず、上流面64の下流端65の近傍で外表面61から剥離する。ボス部60B3の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、下流側においては外表面61よりも回転半径方向の外側を流れる。
その空気の流れとボス部60B3の下流面66との間には、渦が発生する。この渦は、その大部分がボス部60B3の下流部67よりも上流側の位置において発生する。この渦は、ボス部60B3の下流部67を中心として折り返すことはなく、ボス部60B3の内部に吸い込まれるようには流れない。したがってボス部60B3が用いられる場合であっても、送風効率が低下することもなく、毛髪などの異物によって故障を誘発されることも効果的に抑制可能となっている。
(第5変形例)
図19は、実施の形態1の第5変形例におけるボス部60B4を模式的に示す図である。ボス部60B4の外表面61は、上流端部62、上流面64、上流面64の下流端65、下流面66および下流部67を含む。上流端部62は、外表面61の最も上流側(頂点)の位置に形成される。プロペラファンが回転している時、上流端部62を通るように、回転軸80が形成される。上流面64は、上流端部62に連続する略半球面の形状を有し、下流側に向かうにつれてプロペラファンの回転半径方向の外側に向かって拡径するように延びている。
上流面64の下流端65は、上流面64の最も下流側の位置に形成される。下流部67は、上流面64の下流端65よりもさらに下流側に位置している。本変形例の下流部67は、外表面61の全体としての最も下流側に位置している。ボス部60B4の下流面66も、上流面64の下流端65と下流部67とを接続するように形成されている。本変形例の下流面66は、下流部67に向かうにつれて、回転軸80に対して平行な方向よりも回転半径方向の内側に向かって円弧状に延びている。本変形例の下流面66は、下流部67に向かうにつれて内側に凹む円弧状の形状を有している。
プロペラファンが回転しているとき、ボス部60B4の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、上流側においては外表面61の上流面64に沿うように流れ、下流側においては外表面61の下流面66に沿うようには流れず、上流面64の下流端65の近傍で外表面61から剥離する。ボス部60B4の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、下流側においては外表面61よりも回転半径方向の外側を流れる。
その空気の流れとボス部60B4の下流面66との間には、渦が発生する。この渦は、その大部分がボス部60B4の下流部67よりも上流側の位置において発生する。この渦は、ボス部60B4の下流部67を中心として折り返すことはなく、ボス部60B4の内部に吸い込まれるようには流れない。したがってボス部60B4が用いられる場合であっても、送風効率が低下することもなく、毛髪などの異物によって故障を誘発されることも効果的に抑制可能となっている。
(第6変形例)
図20は、実施の形態1の第6変形例におけるボス部60Cを模式的に示す図である。ボス部60Cの外表面61は、上流端部62、上流面64、上流面64の下流端65、下流面66および下流部67を含む。上流端部62は、外表面61の最も上流側(頂点)の位置に形成される。プロペラファンが回転している時、上流端部62を通るように、回転軸80が形成される。上流面64は、上流端部62に連続する略半球面の形状を有し、下流側に向かうにつれてプロペラファンの回転半径方向の外側に向かって拡径するように延びている。
上流面64の下流端65は、上流面64の最も下流側の位置に形成される。下流部67は、上流面64の下流端65よりもさらに下流側に位置している。本変形例の下流部67は、外表面61の全体としての最も下流側に位置している。ボス部60Cの下流面66も、上流面64の下流端65と下流部67とを接続するように形成されている。本変形例の下流面66は、第1下流面66Aおよび第2下流面66Bを有する。第1下流面66Aは、下流側に向かうにつれて、回転軸80に対して平行な方向よりも回転半径方向の内側に向かって円弧状に延びている。本変形例の第1下流面66Aは、下流側に向かうにつれて外側に凸となる円弧状の形状を有している。第2下流面66Bは、第1下流面66Aの下流端を起点として回転軸80に対して平行な方向に延び、そのさらに下流側においては回転軸80に対して平行な方向よりも回転半径方向の内側に向かって円弧状に延びている。本変形例の第2下流面66Bの下流側の部分は、下流側に向かうにつれて外側に凸となる円弧状の形状を有している。
プロペラファンが回転しているとき、ボス部60Cの周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、上流側においては外表面61の上流面64に沿うように流れ、下流側においては外表面61の下流面66に沿うようには流れず、上流面64の下流端65の近傍で外表面61から剥離する。ボス部60Cの周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、下流側においては外表面61よりも回転半径方向の外側を流れる。
その空気の流れとボス部60Cの下流面66との間には、渦が発生する。この渦は、その大部分がボス部60Cの下流部67よりも上流側の位置において発生する。この渦は、ボス部60Cの下流部67を中心として折り返すことはなく、ボス部60Cの内部に吸い込まれるようには流れない。したがってボス部60Cが用いられる場合であっても、送風効率が低下することもなく、毛髪などの異物によって故障を誘発されることも効果的に抑制可能となっている。
(第7変形例)
図21は、実施の形態1の第7変形例におけるボス部60D1を模式的に示す図である。ボス部60D1の外表面61は、上流端部62、上流端部62の外縁62T、上流面64、上流面64の下流端65、下流面66および下流部67を含む。上流端部62は、外表面61の最も上流側(頂点)の位置に形成され、面状の形状を有する。プロペラファンが回転している時、上流端部62の中心を通るように、回転軸80が形成される。上流面64は、上流端部62の外縁62Tに連続する略円錐面の形状を有し、下流側に向かうにつれてプロペラファンの回転半径方向の外側に向かって拡径するように延びている。
上流面64の下流端65は、上流面64の最も下流側の位置に形成される。下流部67は、上流面64の下流端65よりもさらに下流側に位置している。本変形例の下流部67は、外表面61の全体としての最も下流側に位置している。ボス部60D1の下流面66も、上流面64の下流端65と下流部67とを接続するように形成されている。本変形例の下流面66は、第1下流面66Aおよび第2下流面66Bを有する。第1下流面66Aは、回転軸80に対して直交する方向に延びている。第2下流面66Bは、第1下流面66Aに連続する円柱面の形状を有し、回転軸80に対して平行な方向に延びている。下流面66の全体としては、下流部67に向かうにつれて、回転軸80に対して平行な方向よりも回転半径方向の内側に向かって屈曲しながら延びている。
プロペラファンが回転しているとき、ボス部60D1の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、上流側においては外表面61の上流面64に沿うように流れ、下流側においては外表面61の下流面66に沿うようには流れず、上流面64の下流端65の近傍で外表面61から剥離する。ボス部60D1の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、下流側においては外表面61よりも回転半径方向の外側を流れる。
その空気の流れとボス部60D1の下流面66との間には、渦が発生する。この渦は、その大部分がボス部60D1の下流部67よりも上流側の位置において発生する。この渦は、ボス部60D1の下流部67を中心として折り返すことはなく、ボス部60D1の内部に吸い込まれるようには流れない。したがってボス部60D1が用いられる場合であっても、送風効率が低下することもなく、毛髪などの異物によって故障を誘発されることも効果的に抑制可能となっている。
(第8変形例)
図22は、実施の形態1の第8変形例におけるボス部60D2を模式的に示す図である。ボス部60D2の外表面61は、上流端部62、上流端部62の外縁62T、上流面64、上流面64の下流端65、下流面66および下流部67を含む。上流端部62は、外表面61の最も上流側(頂点)の位置に形成され、面状の形状を有する。プロペラファンが回転している時、上流端部62の中心を通るように、回転軸80が形成される。上流面64は、上流端部62の外縁62Tに連続する略円錐面の形状を有し、下流側に向かうにつれてプロペラファンの回転半径方向の外側に向かって拡径するように延びている。
上流面64の下流端65は、上流面64の最も下流側の位置に形成される。下流部67は、上流面64の下流端65よりもさらに下流側に位置している。本変形例の下流部67は、外表面61の全体としての最も下流側に位置している。ボス部60D2の下流面66も、上流面64の下流端65と下流部67とを接続するように形成されている。本変形例の下流面66は、下流側に向かうにつれて、回転軸80に対して平行な方向よりも回転半径方向の内側に向かって円弧状に延びている。本変形例の下流面66は、下流側に向かうにつれて外側に凸となる円弧状の形状を有している。
プロペラファンが回転しているとき、ボス部60D2の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、上流側においては外表面61の上流面64に沿うように流れ、下流側においては外表面61の下流面66に沿うようには流れず、上流面64の下流端65の近傍で外表面61から剥離する。ボス部60D2の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、下流側においては外表面61よりも回転半径方向の外側を流れる。
その空気の流れとボス部60D2の下流面66との間には、渦が発生する。この渦は、その大部分がボス部60D2の下流部67よりも上流側の位置において発生する。この渦は、ボス部60D2の下流部67を中心として折り返すことはなく、ボス部60D2の内部に吸い込まれるようには流れない。したがってボス部60D2が用いられる場合であっても、送風効率が低下することもなく、毛髪などの異物によって故障を誘発されることも効果的に抑制可能となっている。
(第9変形例)
図23は、実施の形態1の第9変形例におけるボス部60D3を模式的に示す図である。ボス部60D3の外表面61は、上流端部62、上流端部62の外縁62T、上流面64、上流面64の下流端65、下流面66および下流部67を含む。上流端部62は、外表面61の最も上流側(頂点)の位置に形成され、面状の形状を有する。プロペラファンが回転している時、上流端部62の中心を通るように、回転軸80が形成される。上流面64は、上流端部62の外縁62Tに連続する略円錐面の形状を有し、下流側に向かうにつれてプロペラファンの回転半径方向の外側に向かって拡径するように延びている。
上流面64の下流端65は、上流面64の最も下流側の位置に形成される。下流部67は、上流面64の下流端65よりもさらに下流側に位置している。本変形例の下流部67は、外表面61の全体としての最も下流側に位置している。ボス部60D3の下流面66も、上流面64の下流端65と下流部67とを接続するように形成されている。本変形例の下流面66は、下流側に向かうにつれて、回転軸80に対して平行な方向よりも回転半径方向の内側に向かって円弧状に延びている。本変形例の下流面66は、下流側に向かうにつれて内側に凹となる円弧状の形状を有している。
プロペラファンが回転しているとき、ボス部60D3の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、上流側においては外表面61の上流面64に沿うように流れ、下流側においては外表面61の下流面66に沿うようには流れず、上流面64の下流端65の近傍で外表面61から剥離する。ボス部60D3の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、下流側においては外表面61よりも回転半径方向の外側を流れる。
その空気の流れとボス部60D3の下流面66との間には、渦が発生する。この渦は、その大部分がボス部60D3の下流部67よりも上流側の位置において発生する。この渦は、ボス部60D3の下流部67を中心として折り返すことはなく、ボス部60D3の内部に吸い込まれるようには流れない。したがってボス部60D3が用いられる場合であっても、送風効率が低下することもなく、毛髪などの異物によって故障を誘発されることも効果的に抑制可能となっている。
(第10変形例)
図24は、実施の形態1の第10変形例におけるボス部60E1を模式的に示す図である。ボス部60E1の外表面61は、上流端部62、上流端部62の外縁62T、上流面64、上流面64の下流端65、下流面66および下流部67を含む。上流端部62は、外表面61の最も上流側(頂点)の位置に形成され、面状の形状を有する。プロペラファンが回転している時、上流端部62の中心を通るように、回転軸80が形成される。上流面64は、上流端部62の外縁62Tに連続する略円柱面の形状を有し、回転軸80に対して平行な方向に沿って延びている。
上流面64の下流端65は、上流面64の最も下流側の位置に形成される。下流部67は、上流面64の下流端65よりもさらに下流側に位置している。本変形例の下流部67は、外表面61の全体としての最も下流側に位置している。ボス部60E1の下流面66も、上流面64の下流端65と下流部67とを接続するように形成されている。本変形例の下流面66は、上流面64の下流端65に連続する略円錐面の形状を有し、下流側に向かうにつれて、回転軸80に対して平行な方向よりも回転半径方向の内側に向かって縮径するように直線状に延びている。
プロペラファンが回転しているとき、ボス部60E1の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、上流側においては外表面61の上流面64に沿うように流れ、下流側においては外表面61の下流面66に沿うようには流れず、上流面64の下流端65の近傍で外表面61から剥離する。ボス部60E1の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、下流側においては外表面61よりも回転半径方向の外側を流れる。
その空気の流れとボス部60E1の下流面66との間には、渦が発生する。この渦は、その大部分がボス部60E1の下流部67よりも上流側の位置において発生する。この渦は、ボス部60E1の下流部67を中心として折り返すことはなく、ボス部60E1の内部に吸い込まれるようには流れない。したがってボス部60E1が用いられる場合であっても、送風効率が低下することもなく、毛髪などの異物によって故障を誘発されることも効果的に抑制可能となっている。
(第11変形例)
図25は、実施の形態1の第11変形例におけるボス部60E2を模式的に示す図である。ボス部60E2の外表面61は、上流端部62、上流端部62の外縁62T、上流面64、上流面64の下流端65、下流面66および下流部67を含む。上流端部62は、外表面61の最も上流側(頂点)の位置に形成され、面状の形状を有する。プロペラファンが回転している時、上流端部62の中心を通るように、回転軸80が形成される。上流面64は、上流端部62の外縁62Tに連続する略円柱面の形状を有し、下流側に向かうにつれて回転軸80に対して平行な方向に沿って延びている。
上流面64の下流端65は、上流面64の最も下流側の位置に形成される。下流部67は、上流面64の下流端65よりもさらに下流側に位置している。本変形例の下流部67は、外表面61の全体としての最も下流側に位置している。ボス部60E2の下流面66も、上流面64の下流端65と下流部67とを接続するように形成されている。本変形例の下流面66は、第1下流面66Aおよび第2下流面66Bを有する。第1下流面66Aは、回転軸80に対して直交する方向に延びている。第2下流面66Bは、第1下流面66Aに連続する略円錐面の形状を有し、下流側に向かうにつれて、回転軸80に対して平行な方向よりも回転半径方向の内側に向かって縮径するように直線状に延びている。下流面66の全体としては、下流部67に向かうにつれて、回転軸80に対して平行な方向よりも回転半径方向の内側に向かって屈曲しながら延びている。
プロペラファンが回転しているとき、ボス部60E2の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、上流側においては外表面61の上流面64に沿うように流れ、下流側においては外表面61の下流面66に沿うようには流れず、上流面64の下流端65の近傍で外表面61から剥離する。ボス部60E2の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、下流側においては外表面61よりも回転半径方向の外側を流れる。
その空気の流れとボス部60E2の下流面66との間には、渦が発生する。この渦は、その大部分がボス部60E2の下流部67よりも上流側の位置において発生する。この渦は、ボス部60E2の下流部67を中心として折り返すことはなく、ボス部60E2の内部に吸い込まれるようには流れない。したがってボス部60E2が用いられる場合であっても、送風効率が低下することもなく、毛髪などの異物によって故障を誘発されることも効果的に抑制可能となっている。
(第12変形例)
図26は、実施の形態1の第12変形例におけるボス部60E3を模式的に示す図である。ボス部60E3の外表面61は、上流端部62、上流端部62の外縁62T、上流面64、上流面64の下流端65、下流面66および下流部67を含む。上流端部62は、外表面61の最も上流側(頂点)の位置に形成され、面状の形状を有する。プロペラファンが回転している時、上流端部62の中心を通るように、回転軸80が形成される。上流面64は、上流端部62の外縁62Tに連続する略円錐面の形状を有し、下流側に向かうにつれて、回転軸80に対して平行な方向よりも回転半径方向の内側に向かって縮径するように直線状に延びている。
上流面64の下流端65は、上流面64の最も下流側の位置に形成される。下流部67は、上流面64の下流端65よりもさらに下流側に位置している。本変形例の下流部67は、外表面61の全体としての最も下流側に位置している。ボス部60E3の下流面66も、上流面64の下流端65と下流部67とを接続するように形成されている。本変形例の下流面66は、第1下流面66Aおよび第2下流面66Bを有する。第1下流面66Aは、回転軸80に対して直交する方向に延びている。第2下流面66Bは、第1下流面66Aに連続する円柱面の形状を有し、回転軸80に対して平行な方向に延びている。下流面66の全体としては、下流部67に向かうにつれて、回転軸80に対して平行な方向よりも回転半径方向の内側に向かって屈曲しながら延びている。
プロペラファンが回転しているとき、ボス部60E3の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、上流側においては外表面61の上流面64に沿うように流れ、下流側においては外表面61の下流面66に沿うようには流れず、上流面64の下流端65の近傍で外表面61から剥離する。ボス部60E3の周囲における翼部が設けられていない空間を流れる空気は、下流側においては外表面61よりも回転半径方向の外側を流れる。
その空気の流れとボス部60E3の下流面66との間には、渦が発生する。この渦は、その大部分がボス部60E3の下流部67よりも上流側の位置において発生する。この渦は、ボス部60E3の下流部67を中心として折り返すことはなく、ボス部60E3の内部に吸い込まれるようには流れない。したがってボス部60E3が用いられる場合であっても、送風効率が低下することもなく、毛髪などの異物によって故障を誘発されることも効果的に抑制可能となっている。
[実験例1]
図27〜図29を参照して、上述の実施の形態1(図9〜図14)に関する実験例1およびその結果について説明する。本実験例においては、図27に示すようなボス部60Fを用いた。ボス部60Fは、上述の実施の形態1におけるボス部60(図14参照)と略同一の形状を有している。具体的には、ボス部60Fの外表面61は、上流端部62、上流面64、上流面64の下流端65、下流面66および下流部67を含む。
上流端部62は、外表面61の最も上流側(頂点)の位置に形成される。プロペラファンが回転している時、上流端部62を通るように、回転軸80(図示せず)が形成される。上流面64は、上流端部62に連続する略円錐面の形状を有し、下流側に向かうにつれてプロペラファンの回転半径方向の外側に向かって拡径するように延びている。
上流面64の下流端65は、上流面64の最も下流側の位置に形成される。下流部67は、上流面64の下流端65よりもさらに下流側に位置している。本実験例の下流部67は、外表面61の全体としての最も下流側に位置している。ボス部60Fの下流面66も、上流面64の下流端65と下流部67とを接続するように形成されている。本実験例の下流面66は、上流面64の下流端65に連続する円柱面の形状を有し、回転軸80に対して平行な方向に延びている。
ボス部60Fの上流端部62は、内角θ1を有している。ボス部60Fの上流面64は、回転軸80(図示せず)に対して平行な方向において高さ寸法Hを有している。ボス部60Fの下流面66は、回転軸80(図示せず)に対して平行な方向において高さ寸法hを有している。ボス部60Fの下流面66は、外径D1を有している。本実験例では、内角θ1および高さ寸法Hは、変数値として取り扱われた(図28および図29参照)。高さ寸法hおよび外径D1は、固定値として取り扱われた。高さ寸法hの値は10mmであり、外径D1の値は40mmである。
上流端部62の内角θ1を0°から170°まで変化させ、それに伴って上流面64の高さ寸法Hも変化させた。異なる内角θ1を有する複数種類のボス部60Fを備えたプロペラファンを準備し、そのプロペラファンを駆動モータとともに筒状のケース内に配置した。プロペラファンを回転させながら、上流側から下流側に向かって1000本の毛髪を流した。各々のプロペラファンごとに、1000本の毛髪を流す作業を5回繰り返し、駆動モータの出力軸に巻き込まれた毛髪の本数の平均値を算出した。
図28中の線L1は、内角θ1と駆動モータの出力軸に巻き込まれた毛髪の本数との関係を示している。図28の横軸は、ボス部60Fの上流端部62の内角θ1を示している。図28の縦軸は、駆動モータの出力軸に巻き込まれた毛髪の本数の平均値を示している。この平均値は、1000本の毛髪を流す作業を5回繰り返したときの平均値である。
線L1に示されるように、内角θ1の値を10°から大きくするにつれて、毛髪の巻き込みは急峻に少なくなっていることがわかる。内角θ1が50°以上になると、毛髪の巻き込みはほとんど発生していないことがわかる。したがって、ボス部60Fの上流端部62における内角θ1は、50°以上であるとよいことがわかる。
図29中の線L2は、h/(H+h)の値と駆動モータの出力軸に巻き込まれた毛髪の本数との関係を示している。図29の横軸は、下流面66の高さ寸法hを(高さ寸法H+高さ寸法h)で除した値を示している。この高さ寸法Hは、上流端部62の内角θ1を0°から170°まで変化させたときに得られる上流面64の高さ寸法Hである。h/(H+h)の値は、回転軸80(図示せず)に対して平行な方向において、ボス部60Fの全高(H+h)の中に占める下流面66の高さ寸法hの割合である。図29の縦軸は、駆動モータの出力軸に巻き込まれた毛髪の本数の平均値を示している。この平均値は、1000本の毛髪を流す作業を5回繰り返したときの平均値である。
線L2に示されるように、h/(H+h)の値を0.05から大きくするにつれて、毛髪の巻き込みは急峻に少なくなっていることがわかる。h/(H+h)が0.2以上になると、毛髪の巻き込みはほとんど発生していないことがわかる。したがって、h/(H+h)の値は、0.2(=1/5)以上であるとよいことがわかる。換言すると、ボス部60Fの全高(H+h)の中に占める下流面66の高さ寸法hの割合は、1/5以上であるとよいことがわかる。
なお、内角θ1の値が50°未満の場合であっても、下流面66の高さ寸法hがある程度確保されることによって、毛髪の巻き込みは抑制可能である。下流面66の高さ寸法hが全体の高さの1/5未満の場合であっても、内角θ1がある程度の値を有しており流れが外表面61から剥離するような形状を有していれば、毛髪の巻き込みは抑制可能である。したがって、内角θ1の特徴とh/(H+h)の特徴とは、ボス部60Fに対して独立して適用されてもよい。
[実験例2]
図30および図31を参照して、上述の実施の形態1(図9〜図14)に関する実験例2およびその結果について説明する。本実験例においては、図30に示すようなボス部60Gを用いた。ボス部60Gは、上述の実施の形態1におけるボス部60(図14参照)と略同一の形状を有している。具体的には、ボス部60Gの外表面61は、上流端部62、上流面64、上流面64の下流端65、下流面66および下流部67を含む。
上流端部62は、外表面61の最も上流側(頂点)の位置に形成される。プロペラファンが回転している時、上流端部62を通るように、回転軸80(図示せず)が形成される。上流面64は、上流端部62に連続する略円錐面の形状を有し、下流側に向かうにつれてプロペラファンの回転半径方向の外側に向かって拡径するように延びている。
上流面64の下流端65は、上流面64の最も下流側の位置に形成される。下流部67は、上流面64の下流端65よりもさらに下流側に位置している。本実験例の下流部67は、外表面61の全体としての最も下流側に位置している。ボス部60Gの下流面66も、上流面64の下流端65と下流部67とを接続するように形成されている。本実験例の下流面66は、上流面64の下流端65に連続する円柱面の形状を有し、回転軸80に対して平行な方向に延びている。
ボス部60Gの上流端部62は、内角θ2を有している。ボス部60Gの上流面64は、回転軸80(図示せず)に対して平行な方向において高さ寸法Hを有している。ボス部60Gの下流面66は、回転軸80(図示せず)に対して平行な方向において高さ寸法hを有している。ボス部60Gの下流面66は、外径D2を有している。本実験例では、内角θ2の値は150°、98°、および60°の3種類に設定された(図31参照)。外径D2の値は40mm(固定値)である。
内角θ2の値が150°のとき、高さ寸法Hの値は5.36mmである。内角θ2の値が98°のとき、高さ寸法Hの値は17.39mmである。内角θ2の値が60°のとき、高さ寸法Hの値は34.64mmである。高さ寸法hは、変数値として取り扱われた(図31参照)。
150°、98°、および60°の内角θ2を有する3種類のボス部60Gを備えたプロペラファンを準備し、そのプロペラファンを駆動モータとともに筒状のケース内に配置した。プロペラファンを回転させながら、上流側から下流側に向かって1000本の毛髪を流した。各々のプロペラファンごとに、1000本の毛髪を流す作業を5回繰り返し、駆動モータの出力軸に巻き込まれた毛髪の本数の平均値を算出した。
図31中の線L3は、内角θ2の値が150°のとき、h/(H+h)の値と駆動モータの出力軸に巻き込まれた毛髪の本数との関係を示している。図31中の線L4は、内角θ2の値が98°のとき、h/(H+h)の値と駆動モータの出力軸に巻き込まれた毛髪の本数との関係を示している。図31中の線L5は、内角θ2の値が60°のとき、h/(H+h)の値と駆動モータの出力軸に巻き込まれた毛髪の本数との関係を示している。図29の横軸は、下流面66の高さ寸法hを(高さ寸法H+高さ寸法h)で除した値を示している。図31の縦軸は、駆動モータの出力軸に巻き込まれた毛髪の本数の平均値を示している。この平均値は、1000本の毛髪を流す作業を5回繰り返したときの平均値である。
線L3〜L5に示されるように、h/(H+h)の値を0.05から大きくするにつれて、毛髪の巻き込みは急峻に少なくなっていることがわかる。h/(H+h)が0.2以上になると、毛髪の巻き込みはほとんど発生していないことがわかる。したがって、h/(H+h)の値は、0.2(=1/5)以上であるとよいことがわかる。換言すると、ボス部60Gの全高(H+h)の中に占める下流面66の高さ寸法hの割合は、1/5以上であるとよいことがわかる。
一方で、線L3〜L5に示されるように、h/(H+h)の値をさらに大きくするにつれて、毛髪の巻き込み本数はわずかに増加していることがわかる。線L3を参照して、内角θ2の値が150°のとき、h/(H+h)の値が0.88を超えると毛髪の巻き込み本数の平均値は2本以上となる。線L4を参照して、内角θ2の値が98°のとき、h/(H+h)の値が0.63を超えると毛髪の巻き込み本数の平均値は2本以上となる。線L5を参照して、内角θ2の値が60°のとき、h/(H+h)の値が0.37を超えると毛髪の巻き込み本数の平均値は2本以上となる。
図32は、毛髪の巻き込み本数の平均値が2本となる場合の内角θ2の値と、毛髪の巻き込み本数の平均値が2本となる場合のh/(H+h)の値との関係を示した図である。図32に示されるように、毛髪の巻き込み本数の平均値が2本となる場合の内角θ2の値と、毛髪の巻き込み本数の平均値が2本となる場合のh/(H+h)の値とは、略線形的に変化していることがわかる。図32中の線L6は、毛髪の巻き込み本数の平均値が2本となる場合の内角θ2の値と、毛髪の巻き込み本数の平均値が2本となる場合のh/(H+h)の値との関係を示した近似直線である。この近似曲線は、「h/(H+h)=0.0501×内角θ2max+0.0056」の式で表わされ、その決定係数は0.989である。
したがって、ボス部60Gの全高(H+h)の中に占める下流面66の高さ寸法hの割合は、1/5以上であるとよく、駆動モータの出力軸への毛髪の巻き込みをより一層抑制したい場合には、「h/(H+h)=0.0501×内角θ2max+0.0056」の式で表わされる関係が成立するように、内角θ2の最大値が設定されるとより好ましいことがわかる。
[比較例2]
(プロペラファン50Z1)
図33を参照して、本比較例におけるプロペラファン50Z1について説明する。プロペラファン50Z1は、ボス部60Z1および翼部70Z1を含む。プロペラファン50Z1は、上述の比較例1におけるプロペラファン50Z(図3および図5参照)とほぼ同一の形状を有している。
回転軸80に対して平行な方向において、プロペラファン50Z1の翼部70Z1は、高さ寸法hazおよび高さ寸法hbzを有している。高さ寸法hazは、回転軸80に対して平行な方向において、翼部70Z1における最も下流側の位置(翼部70Z1においては後縁部74の位置)と、前縁部72の根元72Hの位置との間の寸法である。高さ寸法hbzは、回転軸80に対して平行な方向において、翼部70Z1における最も下流側の位置と、翼先端部71の位置との間の寸法である。
上述の比較例1の説明でも述べたとおり、本比較例の前縁部72は、プロペラファン50Z1の回転軸80に対して垂直な方向にほぼ沿うように延びている。翼部70Z1においては、hbz/hazの値は1.05となっている。
図34は、プロペラファン50Z1が回転しているときの様子を示す断面図である。プロペラファン50Z1は、駆動モータ30からの回転動力を受けて矢印AR1方向に回転し、吸入口15から吐出口16に向かって流れる気流(矢印DR1参照)を発生させる。矢印DR1に示すように、吸入口15からの気流は、翼部70Z1の翼面およびボス部60Z1の外表面61に沿いながら、上流側から下流側に向かって流れる。
上述の比較例1の説明でも述べたとおり、翼部70Z1が回転することに伴って、翼部70Z1の翼先端部71の付近には、翼先端渦が発生する(矢印DR3参照)。この翼先端渦は、翼先端部71の付近を先端として、回転方向(矢印AR1方向)の後方側に向かって延びるように発生する。
翼部70Z1の翼先端部71の位置は、翼部70Z1の下流端(後縁部74)の位置に近くなっている(後述する実施の形態2の場合に比べて近くなっている)。したがってプロペラファン50Z1においては、矢印DR3で示される翼先端渦の発生位置と、矢印DR2で示される翼部70Z1の下流端(後縁部74)の付近に発生する渦の発生位置との間の距離が、短くなっている。
プロペラファン50Z1においては、吸入口15からの空気が吐出口16に向かってスムーズに流れることが可能な風路の幅W10が狭く、内ケース12の内壁面に対する空気の入射角θ10も大きくなっている。ここで言う入射角θ10とは、吸入口15からの空気が内ケース12の内壁面に接触する際に、その空気の流れる方向と内ケース12の内壁面との間に形成される角度のことである。
吸入口15からの空気が内ケース12の内壁面に接触する際に、回転半径方向の外側に向かう流れは、内ケース12の内壁面に衝突して弾き返される。外表面61に沿って流れていた空気は、弾き返された外側からの流れに乗って、更に内側に入り込むように流れる。したがって翼部70Z1を備えたプロペラファン50Z1を用いた場合、毛髪などの異物が駆動モータ30の出力軸31に絡みつくことを抑制することは困難となっている。
[実施の形態2]
(プロペラファン50H)
図35を参照して、本実施の形態におけるプロペラファン50Hについて説明する。プロペラファン50Hは、ボス部60Hおよび翼部70Hを含む。プロペラファン50Hは、上述の実施の形態1におけるプロペラファン50(図11参照)とほぼ同一の形状を有している。
回転軸80に対して平行な方向において、プロペラファン50Hの翼部70Hは、高さ寸法haおよび高さ寸法hbを有している。高さ寸法haは、回転軸80に対して平行な方向において、翼部70Hにおける最も下流側の位置(翼部70Hにおいては後縁部74の根元)と、前縁部72の根元72Hの位置との間の寸法である。高さ寸法hbは、回転軸80に対して平行な方向において、翼部70Hにおける最も下流側の位置と、翼先端部71の位置との間の寸法である。
上述の実施の形態1の説明でも述べたとおり、プロペラファン50Hを回転軸80に対して直交する方向から見た場合(換言すると、プロペラファン50Hを側面視した場合)に、本実施の形態の前縁部72は、根元部73のうちの回転方向における前端部を起点として、ボス部60の外表面61から回転半径方向の外側に向かうにつれて、気流の流れる方向の上流側に向かって延びている。翼部70Hにおいては、hb/haの値は2.20となっている。
図36は、プロペラファン50Hが回転しているときの様子を示す断面図である。プロペラファン50Hは、駆動モータ30からの回転動力を受けて矢印AR1方向に回転し、吸入口15から吐出口16に向かって流れる気流(矢印DR1参照)を発生させる。矢印DR1に示すように、吸入口15からの気流は、翼部70Hの翼面およびボス部60Hの外表面61に沿いながら、上流側から下流側に向かって流れる。
上述の実施の形態1の説明でも述べたとおり、翼部70Hが回転することに伴って、翼部70Hの翼先端部71の付近には、翼先端渦が発生する(矢印DR3参照)。この翼先端渦は、翼先端部71の付近を先端として、回転方向(矢印AR1方向)の後方側に向かって延びるように発生する。
上述の比較例2の場合に比べて、翼部70Hの翼先端部71の位置は、翼部70Hの下流端の位置から遠くなっている。したがってプロペラファン50Hにおいては、矢印DR3で示される翼先端渦の発生位置と、矢印DR6で示される翼部70Hの下流端(後縁部74)の付近に発生する渦の発生位置との間の距離が、長くなっている。
プロペラファン50Hにおいては、吸入口15からの空気が吐出口16に向かってスムーズに流れることが可能な風路の幅W11が上記の幅W10(図34参照)に比べて広く、内ケース12の内壁面に対する空気の入射角θ11も上記の入射角θ10(図34参照)に比べて小さくなっている。ここで言う入射角θ11とは、吸入口15からの空気が内ケース12の内壁面に接触する際に、その空気の流れる方向と内ケース12の内壁面との間に形成される角度のことである。
吸入口15からの空気が内ケース12の内壁面に接触する際に、回転半径方向の外側に向かう流れは、内ケース12の内壁面に接触したとしても弾き返されることはほとんどない。外表面61に沿って流れていた空気が内側に入り込むこともなく、内ケース12の内壁面に接触した空気はそのまま下流側に向かって流れることとなる。したがって翼部70Hを備えたプロペラファン50Hを用いた場合、毛髪などの異物が駆動モータ30の出力軸31に絡みつくことを効果的に抑制することが可能となっている。
[実験例3]
図37を参照して、上述の実施の形態2(図35および図36)に関する実験例3およびその結果について説明する。本実験例においては、高さ寸法haの値を15mmに設定し、高さ寸法hbの値を15mmから35mmまで変化させた。異なるhb/haの値を有する複数種類のボス部60H(図35参照)を備えたプロペラファンを準備し、そのプロペラファンを駆動モータとともに筒状のケース内に配置した。プロペラファンを回転させながら、上流側から下流側に向かって1000本の毛髪を流した。各々のプロペラファンごとに、1000本の毛髪を流す作業を5回繰り返し、駆動モータの出力軸に巻き込まれた毛髪の本数の平均値を算出した。
図37中の線L10は、hb/haの値と駆動モータの出力軸に巻き込まれた毛髪の本数との関係を示している。図37の横軸は、ボス部60Hのhb/haの値を示している。図37の縦軸は、駆動モータの出力軸に巻き込まれた毛髪の本数の平均値を示している。この平均値は、1000本の毛髪を流す作業を5回繰り返したときの平均値である。
線L10に示されるように、hb/haの値を1.0から大きくするにつれて、毛髪の巻き込みは急峻に少なくなっていることがわかる。hb/haの値が1.5以上になると、毛髪の巻き込みはほとんど発生していないことがわかる。したがって、ボス部60Hのhb/haの値は、1.5以上であるとよいことがわかる。
[実験例4]
図38および図39を参照して、上述の実施の形態2(図35および図36)に関する実験例4およびその結果について説明する。本実験例においては、回転軸80に対して平行な方向において、翼部70Hと整流翼40との間に形成される最小隙間CL(最も狭い隙間)の値を0.5mmから9.5mmまで変化させた。
異なる最小隙間CLの値を有する複数種類のプロペラファンを準備し、そのプロペラファンを駆動モータとともに筒状のケース内に配置した。プロペラファンを回転させながら、上流側から下流側に向かって1000本の毛髪を流した。各々のプロペラファンごとに、1000本の毛髪を流す作業を5回繰り返し、駆動モータの出力軸に巻き込まれた毛髪の本数の平均値を算出した。一方で、プロペラファンを回転させながら、筒状のケースの下流側において風量も測定した。
図39中の線L20は、最小隙間CLの値と駆動モータの出力軸に巻き込まれた毛髪の本数との関係を示している。図39中の線L21は、最小隙間CLの値と筒状のケースの下流側で測定された風量との関係を示している。線L20および線L21を参照して、最小隙間CLの値が約3mmよりも大きいとき、同一回転数時の風量が減少してしまい、毛髪の巻き込み数も増加することがわかる。最小隙間CLの値が3mm以下(たとえば2.27mm)のとき、同一回転数時の風量が低下することもなく、毛髪の巻き込み数もより一層抑制することが可能であるということがわかる。
[比較例3]
(プロペラファン50Z2)
図40は、上述の実施の形態2(図35参照)に関する比較例3のプロペラファン50Z2を示す平面図である。プロペラファン50Z2は、ボス部60Z2および翼部70Z2を含む。プロペラファン50Z2は、上述の比較例1におけるプロペラファン50Z(図4参照)とほぼ同一の形状を有している。
上述の比較例1の説明でも述べたとおり、本比較例の翼先端部71および翼後端部75は、略同一の円C10の上に位置している。外周縁部76は、翼部70Z2の回転方向(回転軸80を中心とする周方向)に沿って円弧状に延びている。プロペラファン50Z2を回転軸80に対して平行な方向から見た場合(換言すると、プロペラファン50Z2を平面視した場合)に、回転軸80(上流端部62)および翼先端部71の間の寸法と、回転軸80(上流端部62)および翼後端部75の間の寸法とは同一の値となっている。
プロペラファン50Z2が静止している状態では、翼部70Z2の翼先端部71は円C10の上に位置する。一方で、プロペラファン50Z2が回転している状態では、翼部70Z2の翼先端部71側の翼面には大きなモーメント(慣性力)が作用する。翼部70Z2の翼先端部71側の翼面は、回転半径方向の外側に向かって広がるように弾性変形する。プロペラファン50Z2が樹脂成型品からなる場合、弾性変形量はより一層大きくなる。翼先端部71が内ケース12の内壁に干渉することを避けるためには、内ケース12の内径を大きくする必要がある。
(第1変形例)
図41は、上述の実施の形態2(図35参照)の第1変形例におけるプロペラファン50Jを示す平面図である。プロペラファン50Jは、ボス部60Jおよび翼部70Jを含む。上述のとおり、ボス部60H(図35参照)のhb/haの値は、1.5以上であるとよい。当該構成によれば、毛髪の巻き込みはほとんど発生しなくなる。一方で、hb/haの値を大きくすると、プロペラファンが回転している状態では、翼部の翼面の弾性変形量も大きくなる。
図41に示すように、本変形例におけるプロペラファン50Jの外周縁部76は、翼先端部71に向かうにつれて回転半径方向における外側から内側に向かって延びる形状を有する。プロペラファン50Jを回転軸80に対して平行な方向から見た場合(換言すると、プロペラファン50Jを平面視した場合)に、回転軸80(上流端部62)および翼先端部71の間の寸法R1は、回転軸80(上流端部62)および翼後端部75の間の寸法R2よりも小さい値となっている。
図42を参照して、プロペラファン50Jが静止している状態では、翼部70Jの翼先端部71は円C10の上に位置せず、円C10よりも回転半径方向の内側に位置する(図42中の一点鎖線参照)。一方で、プロペラファン50Jが回転している状態では、翼部70Jの翼先端部71側の翼面には大きなモーメント(慣性力)が作用する。翼部70Jの翼先端部71側の翼面は、回転半径方向の外側に向かって広がるように弾性変形する(矢印DR10参照)。プロペラファン50Jが樹脂成型品からなる場合、弾性変形量はより一層大きくなる。
本変形例のプロペラファン50Jにおいては、翼先端部71が予め回転半径方向における内側に位置している。翼部70Jの翼先端部71側の翼面が回転半径方向の外側に向かって広がるように弾性変形したとしても、内ケース12の内壁に干渉することは抑制されている。プロペラファン50Jが所定の回転数で回転している時、外周縁部76の翼先端部71寄りの部分が円周方向(円C10)にほぼ沿いながら回転するように、プロペラファン50Jの翼部70Jが予め設計されているとよい。この構成によると、翼部70Jが内ケース12の内壁に干渉することの無い範囲において、高い送風効率を得ることができる。
(第2変形例)
図43は、上述の実施の形態2(図35および図36参照)の第2変形例における送風装置を部分的に示す断面図である。本変形例の送風装置は、内ケース12A(風路形成部材)を備える。内ケース12Aは、内壁部12A1と、プロペラファン50Jの回転半径方向の外側に向かって内壁部12A1から凹むように設けられた凹部12Wとを有する。凹部12Wは、環状の形状を有し、内ケース12A内の風路は、凹部12Wにおいて広く、内壁部12A1において狭くなっている。
回転軸80に対して平行な方向において、凹部12Wの最も下流側の部分12W1は、ボス部60Jの最も下流側の部分(ボス部60Jにおいては下流部67)よりも上流側に位置する。図43の中では、便宜上、回転軸80に対して平行な方向におけるボス部60Jの下流部67の位置が、線LL1を用いて示されている。
一方で、翼部70Jの翼面の翼先端部71寄りの部分に形成される接線を回転半径方向の外側に向かって仮想的に延長することにより、延長線LL2が得られる。本変形例の内ケース12Aでは、回転軸80に対して平行な方向において、凹部12Wの最も下流側の部分12W1は、延長線LL2よりも下流側(吐出口16側)に位置している。さらに、回転軸80に対して平行な方向において、凹部12Wの最も上流側の部分12W2は、延長線LL2よりも上流側(吸入口15側)に位置している。
翼部70Jが回転することに伴って、翼部70Jの翼先端部71の付近には、翼先端渦が発生する(矢印DR3参照)。この翼先端渦は、翼先端部71の付近を先端として、回転方向(矢印AR1方向)の後方側に向かって延びるように発生する。内ケース12内の翼先端部71の付近に風路が広がる部分(凹部12W)を設けることにより、翼先端渦は、遠心力の作用により凹部12W内に入り込み、内ケース12に凹部12Wが設けられていない場合に比べて凹部12W寄りの部分で発生する。
本変形例の送風装置においても、矢印DR3で示される翼先端渦の発生位置と、矢印DR6で示される翼部70Jの下流端(後縁部74)の付近に発生する渦の発生位置との間の距離は、上述の比較例2(図34参照)の場合に比べて長くなっている。吸入口15からの空気が吐出口16に向かってスムーズに流れることが可能な風路の幅が比較例2の幅W10(図34参照)に比べて広く、内ケース12Aの内壁面に対する空気の入射角も比較例2の入射角θ10(図34参照)に比べて小さくなっている。
吸入口15からの空気が内ケース12Aの内壁面に接触する際に、回転半径方向の外側に向かう流れは、内ケース12Aの内壁面に接触したとしても弾き返されることはほとんどない。外表面61に沿って流れていた空気が内側に入り込むこともなく、内ケース12Aの内壁面に接触した空気はそのまま下流側に向かって流れることとなる。したがって本変形例の送風装置においても、毛髪などの異物が駆動モータ30の出力軸31に絡みつくことを効果的に抑制することが可能となっている。
本変形例の内ケース12Aでは、凹部12Wの最も下流側の部分12W1はボス部60Jの最も下流側の部分(ボス部60Jにおいては下流部67)よりも上流側に位置し、凹部12Wの最も下流側の部分12W1は延長線LL2よりも下流側(吐出口16側)に位置し、さらに、凹部12Wの最も上流側の部分12W2は延長線LL2よりも上流側(吸入口15側)に位置している。この構成に限られず、本変形例の内ケース12Aは、次のように構成されていてもよい。
すなわち、回転軸80に対して平行な方向において、凹部12Wの最も下流側の部分12W1はボス部60Jの最も下流側の部分(ボス部60Jにおいては下流部67)よりも上流側に位置し、且つ凹部12Wの最も下流側の部分12W1はプロペラファン50Jの翼部70Jの翼先端部71よりも下流側(吐出口16側)に位置し、さらに、凹部12Wの最も上流側の部分12W2はプロペラファン50Jの翼部70Jの翼先端部71よりも上流側(吸入口15側)に位置するように、本変形例の内ケース12Aが構成されていてもよい。
このような構成を有する内ケース12Aであっても、吸入口15からの空気が内ケース12Aの内壁面に接触する際に、回転半径方向の外側に向かう流れは、内ケース12Aの内壁面に接触したとしても弾き返されることはほとんどない。外表面61に沿って流れていた空気が内側に入り込むこともなく、内ケース12Aの内壁面に接触した空気はそのまま下流側に向かって流れることとなる。結果として、毛髪などの異物が駆動モータ30の出力軸31に絡みつくことを効果的に抑制することが可能となる。
(第3変形例)
図44は、上述の実施の形態2(図35および図36参照)の第3変形例における送風装置を部分的に示す断面図である。本変形例の送風装置は、内ケース12B(風路形成部材)を備える。内ケース12Bは、第1内壁部12B1および第2内壁部12B2を有する。第2内壁部12B2は、第1内壁部12B1よりも下流側(吐出口16側)に位置し、第1内壁部12B1よりも狭い風路面積を有する。第1内壁部12B1と第2内壁部12B2との間には段差が形成され、内ケース12B内の風路は、第1内壁部12B1において広く、第2内壁部12B2において狭くなっている。
回転軸80に対して平行な方向において、第2内壁部12B2の最も上流側の部分12BBは、ボス部60Jの最も下流側の部分(ボス部60Jにおいては下流部67)よりも上流側に位置する。図44の中では、便宜上、回転軸80に対して平行な方向におけるボス部60Jの下流部67の位置が、線LL1を用いて示されている。
一方で、翼部70Jの翼面の翼先端部71寄りの部分に形成される接線を回転半径方向の外側に向かって仮想的に延長することにより、延長線LL2が得られる。本変形例の内ケース12Bでは、回転軸80に対して平行な方向において、第2内壁部12B2の最も上流側の部分12BBは、延長線LL2よりも下流側(吐出口16側)に位置している。
翼部70Jが回転することに伴って、翼部70Jの翼先端部71の付近には、翼先端渦が発生する(矢印DR3参照)。この翼先端渦は、翼先端部71の付近を先端として、回転方向(矢印AR1方向)の後方側に向かって延びるように発生する。内ケース12内の翼先端部71の付近に風路が広がる部分(第1内壁部12B1と第2内壁部12B2との間の段差)を設けることにより、翼先端渦は、遠心力の作用により第1内壁部12B1と第2内壁部12B2との間の段差内に入り込み、内ケース12に段差が設けられていない場合に比べて第1内壁部12B1寄りの部分で発生する。
本変形例の送風装置においても、矢印DR3で示される翼先端渦の発生位置と、矢印DR6で示される翼部70Jの下流端(後縁部74)の付近に発生する渦の発生位置との間の距離は、上述の比較例2(図34参照)の場合に比べて長くなっている。吸入口15からの空気が吐出口16に向かってスムーズに流れることが可能な風路の幅が比較例2の幅W10(図34参照)に比べて広く、内ケース12Bの内壁面に対する空気の入射角も比較例2の入射角θ10(図34参照)に比べて小さくなっている。
吸入口15からの空気が内ケース12Bの内壁面に接触する際に、回転半径方向の外側に向かう流れは、内ケース12Bの内壁面に接触したとしても弾き返されることはほとんどない。外表面61に沿って流れていた空気が内側に入り込むこともなく、内ケース12Bの内壁面に接触した空気はそのまま下流側に向かって流れることとなる。したがって本変形例の送風装置においても、毛髪などの異物が駆動モータ30の出力軸31に絡みつくことを効果的に抑制することが可能となっている。
本変形例の内ケース12Bでは、第2内壁部12B2の最も上流側の部分12BBは、ボス部60Jの最も下流側の部分(ボス部60Jにおいては下流部67)よりも上流側に位置し、且つ第2内壁部12B2の最も上流側の部分12BBは、延長線LL2よりも下流側(吐出口16側)に位置している。この構成に限られず、本変形例の内ケース12Bは、次のように構成されていてもよい。
すなわち、回転軸80に対して平行な方向において、第2内壁部12B2の最も上流側の部分12BBは、ボス部60Jの最も下流側の部分(ボス部60Jにおいては下流部67)よりも上流側に位置し、且つ第2内壁部12B2の最も上流側の部分12BBは、プロペラファン50Jの翼部70Jの翼先端部71よりも下流側(吐出口16側)に位置するように、本変形例の内ケース12Bが構成されていてもよい。
このような構成を有する内ケース12Bであっても、吸入口15からの空気が内ケース12Bの内壁面に接触する際に、回転半径方向の外側に向かう流れは、内ケース12Bの内壁面に接触したとしても弾き返されることはほとんどない。外表面61に沿って流れていた空気が内側に入り込むこともなく、内ケース12Bの内壁面に接触した空気はそのまま下流側に向かって流れることとなる。結果として、毛髪などの異物が駆動モータ30の出力軸31に絡みつくことを効果的に抑制することが可能となる。
[実施の形態3]
図45は、本実施の形態におけるプロペラファン50Kおよび整流翼40Kを示す平面図である。図45においては、駆動モータ30(図示せず)の出力軸31に、プロペラファン50Kの軸受部69が取り付けられる際の様子が示されている。図46は、駆動モータ30(図示せず)にプロペラファン50Kが取り付けられた際の様子を示す平面図である。図47は、図46中のXKVII線に囲まれた領域を拡大して示す平面図である。
(プロペラファン50K)
図45〜図47を参照して、プロペラファン50Kは、ボス部60Kおよび翼部70Kを含み、上述の実施の形態1におけるプロペラファン50(図12参照)とほぼ同一の形状を有している。プロペラファン50Kは、図45中の矢印DR50に示すように駆動モータの出力軸31に取り付けられる。
図45および図47に示すように、プロペラファン50Kを回転軸80(図示せず)に対して平行な方向から見た場合(換言すると、プロペラファン50Kを平面視した場合)、基準線LAおよび仮想直線LB(第3仮想直線)が形成される。基準線LAは、プロペラファン50Kの回転半径方向において、翼部70Kの後縁部74のうちの最も内側の部分79と、回転軸80(上流端部62)とを結ぶことによって仮想的に得られる直線である。
仮想直線LBは、プロペラファン50Kの回転半径方向において、翼部70Kの後縁部74のうちの最も内側の部分79と、プロペラファン50Kの回転半径方向において、翼部70Kの後縁部74のうちの最も外側の部分(翼後端部75)とを結ぶことによって仮想的に得られる直線である。基準線LAと仮想直線LBとの間には、角度θAが形成される。
(整流翼40K)
図45に示すように、本実施の形態の送風装置においては、5枚の整流翼40Kが用いられる。整流翼40Kの板状部42は、モータ支持部44の外表面から外方に向かって放射状に延在している。5枚の板状部42は、吸入口から吐出口に向かって流れる気流の流量を低下させないように、周方向に間隔を空けて配置されている。板状部42は、上流側に上流縁部43を有する。本実施の形態の上流縁部43は、平面状の形状を有し、プロペラファン50Kの回転軸80(図示せず)に対して垂直な方向に沿って延びている。
図45および図47に示すように、整流翼40Kを回転軸80(図示せず)に対して平行な方向から見た場合(換言すると、整流翼40Kを平面視した場合)、基準線LCおよび仮想直線LD(第4仮想直線)が形成される。基準線LCは、プロペラファン50Kの回転半径方向において、整流翼40Kの上流縁部43のうちの最も内側の部分47と、回転軸80(出力軸31)とを結ぶことによって仮想的に得られる直線である。
仮想直線LDは、プロペラファン50Kの回転半径方向において、整流翼40Kの上流縁部43のうちの最も内側の部分47と、プロペラファン50Kの回転半径方向において、整流翼40Kの上流縁部43のうちの最も外側の部分48とを結ぶことによって仮想的に得られる直線である。基準線LCと仮想直線LDとの間には、角度θBが形成される。
図47を参照して、本実施の形態の送風装置においては、角度θAの値は43°であり、角度θBの値は−13°である。基準線LA,LCよりも仮想直線LB,LDが回転方向の前方側に向かうように伸びているとき、角度θA,θBは正の値となる。基準線LA,LCよりも仮想直線LB,LDが回転方向の後方側に向かうように伸びているとき、角度θA,θBは負の値となる。本実施の形態の送風装置においては、角度θAおよび角度θBの差をθCとすると、角度差θC=43−(−13)=56(°)である。
仮に、角度差θC=0°であるとする。この場合、翼部70Kの後縁部74に沿って形成される仮想直線LBと、整流翼40Kの上流縁部43に沿って形成される仮想直線LDとは、互いに同一の方向に向かって延びる形状を有する。翼部70Kの後縁部74と整流翼40Kの上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して平行な方向からこれらを見た場合(換言すると、プロペラファン50Kを平面視した場合)、翼部70Kの後縁部74と整流翼40Kの上流縁部43とは、ほとんど若しくは完全に重なっていることとなる。
翼部70Kの後縁部74と整流翼40Kの上流縁部43とを互いに対向させた状態でこれらを平面視した場合、これらが互いに完全に重なっている場合、プロペラファン50Kの回転時に発生する騒音が大きくなる。本実施の形態の送風装置においては、角度差θC=56°であるため、プロペラファン50Kからの騒音の発生が効果的に抑制されている。
[実験例5]
図48を参照して、上述の実施の形態3(図45〜図47)に関する実験例5およびその結果について説明する。本実験例においては、翼部70Kの後縁部74に形成される角度θA(図47参照)の値を固定した状態で、整流翼40Kの上流縁部43に形成される角度θB(図47参照)の値を変化させた。図48は、その時に得られる角度差θCと、騒音との関係を示す図である。上述のとおり、角度差θCとは、角度θAおよび角度θBの差である。本実験例においては、角度θB(図47参照)の値を変化させることで、角度差θCの値は0°から120°まで変化させた。
図48中の線L30は、整流翼40Kの上流縁部43に形成される仮想直線LDが、翼部70Kの後縁部74に形成される仮想直線LBよりも回転方向の後方側に向いている場合(図47に示されるようなケース)の角度差θCと騒音との関係を示している。図48中の線L31は、整流翼40Kの上流縁部43に形成される仮想直線LDが、翼部70Kの後縁部74に形成される仮想直線LBよりも回転方向の前方側に向いている場合の角度差θCと騒音との関係を示している。
線L30および線L31を参照して、角度差θCの値を0°から大きくするにつれて、騒音は急峻に小さくなっていることがわかる。角度差θCの値が10°以上90°以下になると、騒音の発生は大幅に抑制されていることがわかる。したがって、角度差θCの値、換言すると、整流翼40Kの上流縁部43に形成される仮想直線LDと翼部70Kの後縁部74に形成される仮想直線LBとのなす角度は、10°以上90°以下であるとよいことがわかる。
この理由は、翼部70Kの後縁部74と整流翼40Kの上流縁部43との間を気流が流れるときに、その気流に乱れが生じにくく、整流翼40Kに沿いながらその気流が下流側に向かってスムーズに流れることができ、翼部70Kの後縁部74が整流翼40Kの上流縁部43と対向する部分を通過するときにいわゆるピーク音が発生し難くなっているからであると考えられる。なお、角度差θCの値が130°以上となる場合、整流翼40Kの長さがより長くなり、翼部70Kと整流翼40Kとの重なる時間が増加し、騒音の低減効果はやや少なくなるという結果が得られている。
(第1変形例)
図49は、実施の形態3の第1変形例におけるプロペラファン50L1および整流翼40L1を模式的に示す平面図である。プロペラファン50L1は、ボス部60L1および翼部70L1を有する。プロペラファン50L1を平面視した場合、翼部70L1の後縁部74は、略直線状の形状を有している。翼部70L1の後縁部74には、上述の実施の形態3と同様に、仮想直線LBが形成される。
整流翼40L1を平面視した場合、整流翼40L1の上流縁部43は、回転半径方向に沿って延びている。整流翼40L1の上流縁部43には、上述の実施の形態3と同様に、仮想直線LDが形成される。整流翼40L1の上流縁部43(仮想直線LD)は、翼部70L1の後縁部74(仮想直線LB)よりも回転方向の後方側を向いて延びている。
本変形例の場合も、角度差θCの値、換言すると、整流翼40L1の上流縁部43に形成される仮想直線LDと翼部70L1の後縁部74に形成される仮想直線LBとのなす角度が10°以上90°以下であることによって、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファン50L1から発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第2変形例)
図50は、実施の形態3の第2変形例におけるプロペラファン50L2および整流翼40L2を模式的に示す平面図である。プロペラファン50L2は、ボス部60L2および翼部70L2を有する。プロペラファン50L2を平面視した場合、翼部70L2の後縁部74は、略直線状の形状を有し、外周側(内ケース12側)に向かうにつれて回転方向の前方側に向かって延びている。翼部70L2の後縁部74には、上述の実施の形態3と同様に、仮想直線LBが形成される。
整流翼40L2を平面視した場合、整流翼40L2の上流縁部43は、略直線状の形状を有し、外周側(内ケース12側)に向かうにつれて回転方向の後方側に向かって延びている。整流翼40L2の上流縁部43には、上述の実施の形態3と同様に、仮想直線LDが形成される。整流翼40L2の上流縁部43(仮想直線LD)は、翼部70L2の後縁部74(仮想直線LB)よりも回転方向の後方側を向いて延びている。
本変形例の場合も、角度差θCの値、換言すると、整流翼40L2の上流縁部43に形成される仮想直線LDと翼部70L2の後縁部74に形成される仮想直線LBとのなす角度が10°以上90°以下であることによって、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファン50L2から発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第3変形例)
図51は、実施の形態3の第3変形例におけるプロペラファン50L3および整流翼40L3を模式的に示す平面図である。プロペラファン50L3は、ボス部60L3および翼部70L3を有する。プロペラファン50L3を平面視した場合、翼部70L3の後縁部74は、略直線状の形状を有し、回転半径方向に沿って延びている。翼部70L3の後縁部74には、上述の実施の形態3と同様に、仮想直線LBが形成される。
整流翼40L3を平面視した場合、整流翼40L3の上流縁部43は、円弧状の形状を有し、外周側(内ケース12側)に向かうにつれて回転方向の後方側に向かって延びている。整流翼40L3の上流縁部43には、上述の実施の形態3と同様に、仮想直線LDが形成される。整流翼40L3の上流縁部43(仮想直線LD)は、翼部70L3の後縁部74(仮想直線LB)よりも回転方向の後方側を向いて延びている。
本変形例の場合も、角度差θCの値、換言すると、整流翼40L3の上流縁部43に形成される仮想直線LDと翼部70L3の後縁部74に形成される仮想直線LBとのなす角度が10°以上90°以下であることによって、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファン50L3から発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第4変形例)
図52は、実施の形態3の第4変形例におけるプロペラファン50L4および整流翼40L4を模式的に示す平面図である。プロペラファン50L4は、ボス部60L4および翼部70L4を有する。プロペラファン50L4を平面視した場合、翼部70L4の後縁部74は、曲線状の形状を有し、回転半径方向の一部は回転方向の前方側に凹むように形成されている。翼部70L4の後縁部74には、上述の実施の形態3と同様に、仮想直線LBが形成される。
整流翼40L4を平面視した場合、整流翼40L4の上流縁部43は、直線状の形状を有し、外周側(内ケース12側)に向かうにつれて回転方向の後方側に向かって延びている。整流翼40L4の上流縁部43には、上述の実施の形態3と同様に、仮想直線LDが形成される。整流翼40L4の上流縁部43(仮想直線LD)は、翼部70L4の後縁部74(仮想直線LB)よりも回転方向の後方側を向いて延びている。
本変形例の場合も、角度差θCの値、換言すると、整流翼40L4の上流縁部43に形成される仮想直線LDと翼部70L4の後縁部74に形成される仮想直線LBとのなす角度が10°以上90°以下であることによって、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファン50L4から発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第5変形例)
図53は、実施の形態3の第5変形例におけるプロペラファン50L5および整流翼40L5を模式的に示す平面図である。プロペラファン50L5は、ボス部60L5および翼部70L5を有する。プロペラファン50L5を平面視した場合、翼部70L5の後縁部74は、直線状の形状を有し、回転半径方向に沿って延びている。翼部70L5の後縁部74には、上述の実施の形態3と同様に、仮想直線LBが形成される。
整流翼40L5を平面視した場合、整流翼40L5の上流縁部43は、曲線状の形状を有し、外周側(内ケース12側)に向かうにつれて回転方向の前方側に向かって延びている。整流翼40L5の上流縁部43には、上述の実施の形態3と同様に、仮想直線LDが形成される。整流翼40L5の上流縁部43(仮想直線LD)は、翼部70L5の後縁部74(仮想直線LB)よりも回転方向の前方側を向いて延びている。
本変形例の場合も、角度差θCの値、換言すると、整流翼40L5の上流縁部43に形成される仮想直線LDと翼部70L5の後縁部74に形成される仮想直線LBとのなす角度が10°以上90°以下であることによって、プロペラファン50L5から発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第6変形例)
図54は、実施の形態3の第6変形例におけるプロペラファン50L6および整流翼40L6を模式的に示す平面図である。プロペラファン50L6は、ボス部60L6および翼部70L6を有する。プロペラファン50L6を平面視した場合、翼部70L6の後縁部74は、直線状の形状を有し、回転半径方向に沿って延びている。翼部70L6の後縁部74には、上述の実施の形態3と同様に、仮想直線LBが形成される。
整流翼40L6を平面視した場合、整流翼40L6の上流縁部43は、直線状の形状を有し、外周側(内ケース12側)に向かうにつれて回転方向の前方側に向かって延びている。整流翼40L6の上流縁部43には、上述の実施の形態3と同様に、仮想直線LDが形成される。整流翼40L6の上流縁部43(仮想直線LD)は、翼部70L6の後縁部74(仮想直線LB)よりも回転方向の前方側を向いて延びている。
本変形例の場合も、角度差θCの値、換言すると、整流翼40L6の上流縁部43に形成される仮想直線LDと翼部70L6の後縁部74に形成される仮想直線LBとのなす角度が10°以上90°以下であることによって、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファン50L6から発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第7変形例)
図55は、実施の形態3の第7変形例におけるプロペラファン50L7および整流翼40L7を模式的に示す平面図である。プロペラファン50L7は、ボス部60L7および翼部70L7を有する。プロペラファン50L7を平面視した場合、翼部70L7の後縁部74は、直線状の形状を有し、回転半径方向に沿って延びている。翼部70L7の後縁部74には、上述の実施の形態3と同様に、仮想直線LBが形成される。
整流翼40L7を平面視した場合、整流翼40L7の上流縁部43は、直線状の形状を有し、外周側(内ケース12側)に向かうにつれて回転方向の後方側に向かって延びている。整流翼40L7の上流縁部43には、上述の実施の形態3と同様に、仮想直線LDが形成される。整流翼40L7の上流縁部43(仮想直線LD)は、翼部70L7の後縁部74(仮想直線LB)よりも回転方向の後方側を向いて延びている。
本変形例の場合も、角度差θCの値、換言すると、整流翼40L7の上流縁部43に形成される仮想直線LDと翼部70L7の後縁部74に形成される仮想直線LBとのなす角度が10°以上90°以下であることによって、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファン50L7から発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第8変形例)
図56は、実施の形態3の第8変形例におけるプロペラファンの翼部70M1および整流翼の上流縁部43を模式的に示す平面図である。翼部70M1を平面視した場合、翼部70M1の後縁部74は、円弧状の形状を有し、回転方向の後方側に向かって凸状に湾曲している。整流翼の上流縁部43を平面視した場合、上流縁部43は、直線状の形状を有する。
翼部70M1の後縁部74および整流翼の上流縁部43の各々は、これらを互いに対向させた状態で回転軸80(図示せず)に対して平行な方向からこれらを見たときにこれらの一部同士のみが交差する形状を有している。本変形例の場合も、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第9変形例)
図57は、実施の形態3の第9変形例におけるプロペラファンの翼部70M2および整流翼の上流縁部43を模式的に示す平面図である。翼部70M2を平面視した場合、翼部70M2の後縁部74は、円弧状の形状を有し、回転方向の前方側に向かって凹状に湾曲している。整流翼の上流縁部43を平面視した場合、上流縁部43は、直線状の形状を有する。
翼部70M2の後縁部74および整流翼の上流縁部43の各々は、これらを互いに対向させた状態で回転軸80(図示せず)に対して平行な方向からこれらを見たときにこれらの一部同士のみが交差する形状を有している。本変形例の場合も、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第10変形例)
図58は、実施の形態3の第10変形例におけるプロペラファンの翼部70M3および整流翼の上流縁部43を模式的に示す平面図である。翼部70M3を平面視した場合、翼部70M3の後縁部74は、曲線状の形状を有し、回転半径方向の一部は回転方向の前方側に凹むように形成されている。整流翼の上流縁部43を平面視した場合、上流縁部43は、直線状の形状を有する。
翼部70M3の後縁部74および整流翼の上流縁部43の各々は、これらを互いに対向させた状態で回転軸80(図示せず)に対して平行な方向からこれらを見たときにこれらの一部同士のみが交差する形状を有している。本変形例の場合も、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第11変形例)
図59は、実施の形態3の第11変形例におけるプロペラファンの翼部70M4および整流翼の上流縁部43を模式的に示す平面図である。翼部70M4を平面視した場合、翼部70M4の後縁部74は、曲線状の形状を有し、回転半径方向の一部は回転半径方向の後方側に向かって突出するように形成されている。整流翼の上流縁部43を平面視した場合、上流縁部43は、曲線状の形状を有し、回転方向の前方側に向かって凸状に湾曲している。
翼部70M4の後縁部74および整流翼の上流縁部43の各々は、これらを互いに対向させた状態で回転軸80(図示せず)に対して平行な方向からこれらを見たときにこれらの一部同士のみが交差する形状を有している。本変形例の場合も、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第12変形例)
図60は、実施の形態3の第12変形例におけるプロペラファンの翼部70M5および整流翼の上流縁部43を模式的に示す平面図である。翼部70M5を平面視した場合、翼部70M5の後縁部74は、円弧状の形状を有し、回転方向の後方側に向かって凸状に湾曲している。整流翼の上流縁部43を平面視した場合、上流縁部43は、曲線状の形状を有し、回転方向の前方側に向かって凸状に湾曲している。
翼部70M5の後縁部74および整流翼の上流縁部43の各々は、これらを互いに対向させた状態で回転軸80(図示せず)に対して平行な方向からこれらを見たときにこれらの一部同士のみが交差する形状を有している。本変形例の場合も、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第13変形例)
図61は、実施の形態3の第13変形例におけるプロペラファンの翼部70M6および整流翼の上流縁部43を模式的に示す平面図である。翼部70M6を平面視した場合、翼部70M6の後縁部74は、直線状の形状を有し、回転半径方向に沿って延びている。整流翼の上流縁部43を平面視した場合、上流縁部43は、曲線状の形状を有し、回転方向の前方側に向かって凸状に湾曲している。
翼部70M6の後縁部74および整流翼の上流縁部43の各々は、これらを互いに対向させた状態で回転軸80(図示せず)に対して平行な方向からこれらを見たときにこれらの一部同士のみが交差する形状を有している。本変形例の場合も、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第14変形例)
図62は、実施の形態3の第14変形例におけるプロペラファンの翼部70M7および整流翼の上流縁部43を模式的に示す平面図である。翼部70M7を平面視した場合、翼部70M7の後縁部74は、直線状の形状を有し、回転半径方向に沿って延びている。整流翼の上流縁部43を平面視した場合、上流縁部43は、曲線状の形状を有し、回転方向の後方側に向かって凹状に湾曲している。
翼部70M7の後縁部74および整流翼の上流縁部43の各々は、これらを互いに対向させた状態で回転軸80(図示せず)に対して平行な方向からこれらを見たときにこれらの一部同士のみが交差する形状を有している。本変形例の場合も、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第15変形例)
図63は、実施の形態3の第15変形例におけるプロペラファンの翼部70M8および整流翼の上流縁部43を模式的に示す平面図である。翼部70M8を平面視した場合、翼部70M8の後縁部74は、曲線状の形状を有し、回転半径方向の一部は回転方向の前方側に凹むように形成されている。整流翼の上流縁部43を平面視した場合、上流縁部43は、直線状の形状を有する。
翼部70M8の後縁部74および整流翼の上流縁部43の各々は、これらを互いに対向させた状態で回転軸80(図示せず)に対して平行な方向からこれらを見たときにこれらの一部同士のみが交差する形状を有している。本変形例の場合も、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第16変形例)
図64は、実施の形態3の第16変形例におけるプロペラファンの翼部70M9および整流翼の上流縁部43を模式的に示す平面図である。翼部70M9を平面視した場合、翼部70M9の後縁部74は、円弧状の形状を有し、回転方向の前方側に向かって凹状に湾曲している。整流翼の上流縁部43を平面視した場合、上流縁部43は、円弧状の形状を有し、回転方向の後方側に向かって凹状に湾曲している。
翼部70M9の後縁部74および整流翼の上流縁部43の各々は、これらを互いに対向させた状態で回転軸80(図示せず)に対して平行な方向からこれらを見たときにこれらの一部同士のみが交差する形状を有している。本変形例の場合も、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
[実施の形態4]
図65は、本実施の形態におけるプロペラファン50Nおよび整流翼40Nを示す断面図である。図66は、本実施の形態におけるプロペラファン50Nおよび整流翼40Nを拡大して示す断面図である。
(プロペラファン50N)
図65および図66を参照して、プロペラファン50Nは、ボス部60Nおよび翼部70Nを含み、上述の実施の形態1におけるプロペラファン50(図10参照)とほぼ同一の形状を有している。
図66に示すように、プロペラファン50Nを回転軸80(図示せず)に対して垂直な方向から見た場合(換言すると、プロペラファン50Nを側面視した場合)、基準線LPおよび仮想直線LQ(第1仮想直線)が形成される。基準線LPは、プロペラファン50Nの回転半径方向における翼部70Nの後縁部74のうちの最も内側の部分79を通り、且つプロペラファン50Nの回転軸80に対して垂直な方向に延びる仮想的な直線である。
仮想直線LQは、プロペラファン50Nの回転半径方向において、翼部70Nの後縁部74のうちの最も内側の部分79と、プロペラファン50Nの回転半径方向において、翼部70Nの後縁部74のうちの最も外側の部分(翼後端部75)とを結ぶことによって仮想的に得られる直線である。基準線LPと仮想直線LQとの間には、角度θPが形成される。
(整流翼40N)
図66に示すように、整流翼40Nを回転軸80(図示せず)に対して垂直な方向から見た場合(換言すると、整流翼40Nを側面視した場合)、基準線LRおよび仮想直線LS(第2仮想直線)が形成される。基準線LRは、プロペラファン50Nの回転半径方向における整流翼40Nの上流縁部43のうちの最も内側の部分47を通り、且つ、プロペラファン50Nの回転軸80に対して垂直な方向に延びる仮想的な直線である。
仮想直線LSは、プロペラファン50Nの回転半径方向において、整流翼40Nの上流縁部43のうちの最も内側の部分47と、プロペラファン50Nの回転半径方向において、整流翼40Nの上流縁部43のうちの最も外側の部分48とを結ぶことによって仮想的に得られる直線である。基準線LRと仮想直線LSとの間には、角度θQ(図示せず。本実施の形態においては角度θQ=0°)が形成される。
本実施の形態の送風装置においては、角度θPの値は23°であり、角度θQの値は0°である。基準線LP,LRよりも仮想直線LQ,LSが気流の流れる方向の上流側(吸入口15の側)に向かうように伸びているとき、角度θP,θQは正の値となる。基準線LP,LRよりも仮想直線LQ,LSが気流の流れる方向の下流側(吐出口16の側)に向かうように伸びているとき、角度θP,θQは負の値となる。本実施の形態の送風装置においては、角度θPおよび角度θQの差をθTとすると、角度差θT=23−0=23(°)である。
仮に、角度差θT=0°であるとする。この場合、翼部70Nの後縁部74に沿って形成される仮想直線LQと、整流翼40Nの上流縁部43に沿って形成される仮想直線LSとは、平行な関係にあり、互いに同一の方向に向かって延びる形状を有する。翼部70Nの後縁部74と整流翼40Nの上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して垂直な方向からこれらを見ながら(換言すると、プロペラファン50Nを側面視しながら)、これらのうちの一方をこれらのうちの他方に向かって回転軸80に対して平行な方向に沿って仮想的に移動させて互いに接触させたとき(図65中の矢印AR2参照)、これらの間に隙間は形成されない。
これに対して本実施の形態の送風装置においては、角度差θT=23°である。翼部70Nの後縁部74と整流翼40Nの上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して垂直な方向からこれらを見ながら(換言すると、プロペラファン50Nを側面視しながら)、これらのうちの一方をこれらのうちの他方に向かって回転軸80に対して平行な方向に沿って仮想的に移動させて互いに接触させたとき(図65中の矢印AR2参照)、これらの間に隙間S(図65参照)が形成される。したがって本実施の形態の送風装置においては、プロペラファン50Nからの騒音の発生が効果的に抑制されている。
[実験例6]
図67を参照して、上述の実施の形態4(図65および図66)に関する実験例6およびその結果について説明する。本実験例においては、翼部70Nの後縁部74に形成される角度θP(図66参照)の値を固定した状態で、整流翼40Nの上流縁部43に形成される角度θQ(図66において図示せず。図69〜図71参照)の値を変化させた。図67は、その時に得られる角度差θTと、騒音との関係を示す図である。上述のとおり、角度差θTとは、角度θPおよび角度θQの差である。翼部70Nと整流翼40Nとの隙間は、一番狭い部分にて2.27mmの固定値とした。
図67中の線L40は、整流翼40Nの上流縁部43に形成される仮想直線LSが、翼部70Nの後縁部74に形成される仮想直線LQよりも気流が流れる方向の上流側を向いている場合(図70および図72に示されるようなケース)の角度差θTと騒音との関係を示している。図67中の線L41は、整流翼40Nの上流縁部43に形成される仮想直線LSが、翼部70Nの後縁部74に形成される仮想直線LQよりも気流が流れる方向の下流側を向いている場合(図66、図68、図69および図71に示されるようなケース)の角度差θTと騒音との関係を示している。
線L40および線L41を参照して、角度差θTの値を0°から大きくするにつれて、騒音は急峻に小さくなっていることがわかる。角度差θTの値が10°以上80°以下になると、騒音の発生は大幅に抑制されていることがわかる。したがって、角度差θTの値、換言すると、整流翼40Nの上流縁部43に形成される仮想直線LSと翼部70Nの後縁部74に形成される仮想直線LQとのなす角度は、10°以上80°以下であるとよいことがわかる。
この理由は、翼部70Nの後縁部74と整流翼40Nの上流縁部43との間を気流が流れるときに、その気流に乱れが生じにくく、整流翼40Nに沿いながらその気流が下流側に向かってスムーズに流れることができ、翼部70Nの後縁部74が整流翼40Nの上流縁部43と対向する部分を通過するときにいわゆるピーク音が発生し難くなっているからであると考えられる。
なお、整流翼40Nの上流縁部43が回転軸80に対して垂直でなく、翼部70Nの後縁部74が大きく傾くように形成される場合には、角度差θTの値が90°以上となるケースも考えられる。このような形状は作ることがほとんど困難であるが、作ったとしても、角度差θTの値が80°を超える場合には、整流翼40Nと翼部70Nとの距離が大きく離れる部分が出てくるため、スワール成分を回収できずに損失が発生し、騒音の低減効果はやや少なくなるという結果が得られている。
(第1変形例)
図68は、実施の形態4の第1変形例におけるプロペラファン50Pおよび整流翼40Pを示す断面図である。プロペラファン50Pは、ボス部60Pおよび翼部70Pを有する。プロペラファン50Pを側面視した場合、翼部70Pの後縁部74は、曲線状の形状を有し、外側に向かうにつれて気流が流れる方向の下流側に向かって突出するように形成されている。翼部70Pの後縁部74には、上述の実施の形態4と同様に、仮想直線LQが形成される。
整流翼40Pを側面視した場合、整流翼40Pの上流縁部43は、回転軸80に対して垂直な方向に沿って延びている。整流翼40Pの上流縁部43には、上述の実施の形態4と同様に、仮想直線LSが形成される。整流翼40Pの上流縁部43(仮想直線LS)は、翼部70Pの後縁部74(仮想直線LQ)よりも、気流が流れる方向の下流側を向いて延びている。
本変形例の場合も、翼部70Pの後縁部74と整流翼40Pの上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して垂直な方向からこれらを見ながら(換言すると、プロペラファン50Pを側面視しながら)、これらのうちの一方をこれらのうちの他方に向かって回転軸80に対して平行な方向に沿って仮想的に移動させて互いに接触させたとき、これらの間に隙間が形成される。
本変形例の場合も、角度差θTの値、換言すると、整流翼40Pの上流縁部43に形成される仮想直線LSと翼部70Pの後縁部74に形成される仮想直線LQとのなす角度が10°以上80°以下であることによって、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファン50Pから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第2変形例)
図69は、実施の形態4の第2変形例におけるプロペラファン50Qおよび整流翼40Qを示す断面図である。プロペラファン50Qは、ボス部60Qおよび翼部70Qを有する。プロペラファン50Qを側面視した場合、翼部70Qの後縁部74は、直線状の形状を有し、回転軸80に対して垂直な方向に沿って延びている。翼部70Qの後縁部74には、上述の実施の形態4と同様に、仮想直線LQが形成される。
整流翼40Qを側面視した場合、整流翼40Qの上流縁部43は、直線状の形状を有し、外側に向かうにつれて気流が流れる方向の下流側に向かって延びている。整流翼40Qの上流縁部43には、上述の実施の形態4と同様に、仮想直線LSが形成される。整流翼40Qの上流縁部43(仮想直線LS)は、翼部70Qの後縁部74(仮想直線LQ)よりも、気流が流れる方向の下流側を向いて延びている。
本変形例の場合も、翼部70Qの後縁部74と整流翼40Qの上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して垂直な方向からこれらを見ながら(換言すると、プロペラファン50Qを側面視しながら)、これらのうちの一方をこれらのうちの他方に向かって回転軸80に対して平行な方向に沿って仮想的に移動させて互いに接触させたとき、これらの間に隙間が形成される。
本変形例の場合も、角度差θTの値、換言すると、整流翼40Qの上流縁部43に形成される仮想直線LSと翼部70Qの後縁部74に形成される仮想直線LQとのなす角度が10°以上80°以下であることによって、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファン50Qから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第3変形例)
図70は、実施の形態4の第3変形例におけるプロペラファン50Rおよび整流翼40Rを示す断面図である。プロペラファン50Rは、ボス部60Rおよび翼部70Rを有する。プロペラファン50Rを側面視した場合、翼部70Rの後縁部74は、直線状の形状を有し、回転軸80に対して垂直な方向に沿って延びている。翼部70Rの後縁部74には、上述の実施の形態4と同様に、仮想直線LQが形成される。
整流翼40Rを側面視した場合、整流翼40Rの上流縁部43は、直線状の形状を有し、外側に向かうにつれて気流が流れる方向の上流側に向かって延びている。整流翼40Rの上流縁部43には、上述の実施の形態4と同様に、仮想直線LSが形成される。整流翼40Rの上流縁部43(仮想直線LS)は、翼部70Rの後縁部74(仮想直線LQ)よりも、気流が流れる方向の上流側を向いて延びている。
本変形例の場合も、翼部70Rの後縁部74と整流翼40Rの上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して垂直な方向からこれらを見ながら(換言すると、プロペラファン50Rを側面視しながら)、これらのうちの一方をこれらのうちの他方に向かって回転軸80に対して平行な方向に沿って仮想的に移動させて互いに接触させたとき、これらの間に隙間が形成される。
本変形例の場合も、角度差θTの値、換言すると、整流翼40Rの上流縁部43に形成される仮想直線LSと翼部70Rの後縁部74に形成される仮想直線LQとのなす角度が10°以上80°以下であることによって、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファン50Rから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第4変形例)
図71は、実施の形態4の第4変形例におけるプロペラファン50Sおよび整流翼40Sを示す断面図である。プロペラファン50Sは、ボス部60Sおよび翼部70Sを有する。プロペラファン50Sを側面視した場合、翼部70Sの後縁部74は、曲線状の形状を有し、外側に向かうにつれて気流が流れる方向の上流側に向かって延びている。翼部70Sの後縁部74には、上述の実施の形態4と同様に、仮想直線LQが形成される。
整流翼40Sを側面視した場合、整流翼40Sの上流縁部43は、直線状の形状を有し、外側に向かうにつれて気流が流れる方向の下流側に向かって延びている。整流翼40Sの上流縁部43には、上述の実施の形態4と同様に、仮想直線LSが形成される。整流翼40Sの上流縁部43(仮想直線LS)は、翼部70Sの後縁部74(仮想直線LQ)よりも、気流が流れる方向の下流側を向いて延びている。
本変形例の場合も、翼部70Sの後縁部74と整流翼40Sの上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して垂直な方向からこれらを見ながら(換言すると、プロペラファン50Sを側面視しながら)、これらのうちの一方をこれらのうちの他方に向かって回転軸80に対して平行な方向に沿って仮想的に移動させて互いに接触させたとき、これらの間に隙間が形成される。
本変形例の場合も、角度差θTの値、換言すると、整流翼40Sの上流縁部43に形成される仮想直線LSと翼部70Sの後縁部74に形成される仮想直線LQとのなす角度が10°以上80°以下であることによって、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファン50Sから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第5変形例)
図72は、実施の形態4の第5変形例におけるプロペラファン50Tおよび整流翼40Tを示す断面図である。プロペラファン50Tは、ボス部60Tおよび翼部70Tを有する。プロペラファン50Tを側面視した場合、翼部70Tの後縁部74は、気流が流れる方向の下流側に向かって延びる曲線状の形状を有し、外側に向かうにつれて気流が流れる方向の上流側に凹むように形成されている。翼部70Tの後縁部74には、上述の実施の形態4と同様に、仮想直線LQが形成される。
整流翼40Tを側面視した場合、整流翼40Tの上流縁部43は、直線状の形状を有し、外側に向かうにつれて気流が流れる方向の上流側に向かって延びている。整流翼40Tの上流縁部43には、上述の実施の形態4と同様に、仮想直線LSが形成される。整流翼40Tの上流縁部43(仮想直線LS)は、翼部70Tの後縁部74(仮想直線LQ)よりも、気流が流れる方向の上流側を向いて延びている。
本変形例の場合も、翼部70Tの後縁部74と整流翼40Tの上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して垂直な方向からこれらを見ながら(換言すると、プロペラファン50Tを側面視しながら)、これらのうちの一方をこれらのうちの他方に向かって回転軸80に対して平行な方向に沿って仮想的に移動させて互いに接触させたとき、これらの間に隙間が形成される。
本変形例の場合も、角度差θTの値、換言すると、整流翼40Tの上流縁部43に形成される仮想直線LSと翼部70Tの後縁部74に形成される仮想直線LQとのなす角度が10°以上80°以下であることによって、気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファン50Tから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第6変形例)
図73は、実施の形態4の第6変形例におけるプロペラファンの翼部70U1および整流翼40U1を模式的に示す側面図である。プロペラファンの翼部70U1を側面視した場合、翼部70U1の後縁部74は、円弧状の形状を有し、気流が流れる方向の下流側に向かって凸状に湾曲している。整流翼40U1を側面視した場合、上流縁部43は、直線状の形状を有し、回転軸80に対して垂直な方向に沿って延びている。
本変形例の場合も、翼部70U1の後縁部74と整流翼40U1の上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して垂直な方向からこれらを見ながら(換言すると、プロペラファンを側面視しながら)、これらのうちの一方をこれらのうちの他方に向かって回転軸80に対して平行な方向(矢印AR2方向)に沿って仮想的に移動させて互いに接触させたとき、これらの間に隙間Sが形成される。気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第7変形例)
図74は、実施の形態4の第7変形例におけるプロペラファンの翼部70U2および整流翼40U2を模式的に示す側面図である。プロペラファンの翼部70U2を側面視した場合、翼部70U2の後縁部74は、円弧状の形状を有し、気流が流れる方向の上流側に向かって凹状に湾曲している。整流翼40U2を側面視した場合、上流縁部43は、直線状の形状を有する。
本変形例の場合も、翼部70U2の後縁部74と整流翼40U2の上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して垂直な方向からこれらを見ながら(換言すると、プロペラファンを側面視しながら)、これらのうちの一方をこれらのうちの他方に向かって回転軸80に対して平行な方向(矢印AR2方向)に沿って仮想的に移動させて互いに接触させたとき、これらの間に隙間Sが形成される。気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第8変形例)
図75は、実施の形態4の第8変形例におけるプロペラファンの翼部70U3および整流翼40U3を模式的に示す側面図である。プロペラファンの翼部70U3を側面視した場合、翼部70U3の後縁部74は、曲線状の形状を有し、外側に向かうにつれて気流が流れる方向の下流側に向かって突出するように形成され、回転半径方向の一部は気流が流れる方向の上流側に凹むように形成されている。整流翼40U3を側面視した場合、上流縁部43は、直線状の形状を有する。
本変形例の場合も、翼部70U3の後縁部74と整流翼40U3の上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して垂直な方向からこれらを見ながら(換言すると、プロペラファンを側面視しながら)、これらのうちの一方をこれらのうちの他方に向かって回転軸80に対して平行な方向(矢印AR2方向)に沿って仮想的に移動させて互いに接触させたとき、これらの間に隙間Sが形成される。気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第9変形例)
図76は、実施の形態4の第9変形例におけるプロペラファンの翼部70U4および整流翼40U4を模式的に示す側面図である。プロペラファンの翼部70U4を側面視した場合、翼部70U4の後縁部74は、曲線状の形状を有し、回転半径方向の一部は気流が流れる方向の下流側に向かって突出するように形成されている。整流翼40U4を側面視した場合、上流縁部43は、円弧状の形状を有し、気流が流れる方向の上流側に向かって凸状に湾曲している。
本変形例の場合も、翼部70U4の後縁部74と整流翼40U4の上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して垂直な方向からこれらを見ながら(換言すると、プロペラファンを側面視しながら)、これらのうちの一方をこれらのうちの他方に向かって回転軸80に対して平行な方向(矢印AR2方向)に沿って仮想的に移動させて互いに接触させたとき、これらの間に隙間Sが形成される。気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第10変形例)
図77は、実施の形態4の第10変形例におけるプロペラファンの翼部70U5および整流翼40U5を模式的に示す側面図である。プロペラファンの翼部70U5を側面視した場合、翼部70U5の後縁部74は、円弧状の形状を有し、気流が流れる方向の下流側に向かってに向かって凸状に湾曲している。整流翼40U5を側面視した場合、上流縁部43は、円弧状の形状を有し、気流が流れる方向の上流側に向かって凸状に湾曲している。
本変形例の場合も、翼部70U5の後縁部74と整流翼40U5の上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して垂直な方向からこれらを見ながら(換言すると、プロペラファンを側面視しながら)、これらのうちの一方をこれらのうちの他方に向かって回転軸80に対して平行な方向(矢印AR2方向)に沿って仮想的に移動させて互いに接触させたとき、これらの間に隙間Sが形成される。気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第11変形例)
図78は、実施の形態4の第11変形例におけるプロペラファンの翼部70U6および整流翼40U6を模式的に示す側面図である。プロペラファンの翼部70U6を側面視した場合、翼部70U6の後縁部74は、直線状の形状を有し、回転軸80に対して直交する方向に沿って延びている。整流翼40U6を側面視した場合、上流縁部43は、円弧状の形状を有し、気流が流れる方向の上流側に向かって凸状に湾曲している。
本変形例の場合も、翼部70U6の後縁部74と整流翼40U6の上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して垂直な方向からこれらを見ながら(換言すると、プロペラファンを側面視しながら)、これらのうちの一方をこれらのうちの他方に向かって回転軸80に対して平行な方向(矢印AR2方向)に沿って仮想的に移動させて互いに接触させたとき、これらの間に隙間Sが形成される。気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第12変形例)
図79は、実施の形態4の第12変形例におけるプロペラファンの翼部70U7および整流翼40U7を模式的に示す側面図である。プロペラファンの翼部70U7を側面視した場合、翼部70U7の後縁部74は、直線状の形状を有し、回転軸80に対して直交する方向に沿って延びている。整流翼40U7を側面視した場合、上流縁部43は、円弧状の形状を有し、気流が流れる方向の下流側に向かって凹状に湾曲している。
本変形例の場合も、翼部70U7の後縁部74と整流翼40U7の上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して垂直な方向からこれらを見ながら(換言すると、プロペラファンを側面視しながら)、これらのうちの一方をこれらのうちの他方に向かって回転軸80に対して平行な方向(矢印AR2方向)に沿って仮想的に移動させて互いに接触させたとき、これらの間に隙間Sが形成される。気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第13変形例)
図80は、実施の形態4の第13変形例におけるプロペラファンの翼部70U8および整流翼40U8を模式的に示す側面図である。プロペラファンの翼部70U8を側面視した場合、翼部70U8の後縁部74は、曲線状の形状を有し、回転半径方向の一部は、気流が流れる方向の上流側に凹むように形成されている。整流翼40U8を側面視した場合、上流縁部43は、直線状の形状を有する。
本変形例の場合も、翼部70U8の後縁部74と整流翼40U8の上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して垂直な方向からこれらを見ながら(換言すると、プロペラファンを側面視しながら)、これらのうちの一方をこれらのうちの他方に向かって回転軸80に対して平行な方向(矢印AR2方向)に沿って仮想的に移動させて互いに接触させたとき、これらの間に隙間Sが形成される。気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(第14変形例)
図81は、実施の形態4の第14変形例におけるプロペラファンの翼部70U9および整流翼40U9を模式的に示す側面図である。プロペラファンの翼部70U9を側面視した場合、翼部70U9の後縁部74は、円弧状の形状を有し、気流が流れる方向の上流側に向かって凹状に湾曲している。整流翼40U9を側面視した場合、上流縁部43は、円弧状の形状を有し、気流が流れる方向の下流側に向かって凹状に湾曲している。
本変形例の場合も、翼部70U9の後縁部74と整流翼40U9の上流縁部43とを互いに対向させた状態で回転軸80に対して垂直な方向からこれらを見ながら(換言すると、プロペラファンを側面視しながら)、これらのうちの一方をこれらのうちの他方に向かって回転軸80に対して平行な方向(矢印AR2方向)に沿って仮想的に移動させて互いに接触させたとき、これらの間に隙間Sが形成される。気流が下流側に向かってスムーズに流れることができるためにいわゆるピーク音が発生し難く、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
(その他の変形例)
上述の各実施の形態および各変形例において、送風装置に用いられるプロペラファンおよび整流翼は、上述の実施の形態3(各変形例を含む)に係る特徴のみを備えていてもよいし、上述の実施の形態4(各変形例を含む)に係る特徴のみを備えていてもよいし、これらの双方の特徴を備えていてもよい。送風装置が実施の形態3,4の双方の特徴を備えている場合、騒音の発生はより一層低減されることが可能となる。
プロペラファンに用いられる翼部の枚数をMとし、整流翼の枚数をNとすると、MおよびNはいずれも素数であり、2M±1=Nまたは2N±1=Mの関係が成立しているとよい。たとえば、翼部の枚数Mが3枚のとき、整流翼の枚数Nは7枚であるとよい。その他の組み合わせとしては、7枚と13枚、3枚と5枚、5枚と11枚等が挙げられる。この関係が成立している場合には、ピーク音がより一層発生し難くなり、結果としてプロペラファンから発生する騒音を効果的に抑制することが可能となる。
上述の各実施の形態および各変形例において、送風装置は、本体部10(図9参照)の内部にイオン発生部を備えていてもよい。プロペラファンによって送出される風にイオンをのせることにより、毛髪および頭皮に潤いやツヤなどを与えることが可能である。さらに、イオンによって静電気の発生を抑え、髪へのダメージを低減するように構成してもよい。
上述の各実施の形態および各変形例において、送風装置は、発光部を備えていてもよい。この場合、発光部は、本体部10(図9参照)内に配置されたLED(発光ダイオード)等の光源と、光源の光を導光するアクリル等の透光性を有する合成樹脂材料で形成される導光部材と、を有している。
この発光部は、ヘアドライヤとしての送風装置の動作モードの表示手段として利用することができる。たとえば、ヒータを使用していて温風が吹き出されている状態では赤色、ヒータを使用せず冷風が吹き出されている状態では緑色、イオン放出部が稼動していてイオンが放出されている状態では青色、など、動作状態に応じて色を変化させるようにすることができる。この場合、各色に対応する光源が複数実装され、制御回路がこれら複数の光源の発光を制御することになる。制御回路によって光源を点滅させたり、その点滅間隔を制御したり、発光強度を変化させたりすることも可能であり、これら発光形態を、種々の動作モードに対応づけて設定することも可能である。
以上、本発明に基づいた各実施の形態および各実験例について説明したが、今回開示された各実施の形態および各実験例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。