(実施の形態の要約)
実施の形態に係る磁気センサは、磁気ベクトルの向きの変化に応じた出力信号を出力するように構成され、第1の配置領域に配置される第1の磁気センサ素子、第2の配置領域に配置される第2の磁気センサ素子、第3の配置領域に配置される第3の磁気センサ素子、及び第4の配置領域に配置される第4の磁気センサ素子と、貫通孔が形成された筒形状を有し、対向する第1のスリット及び第2のスリットが形成され、第1のスリットと第2のスリットとの間を貫通する仮想的な平面の第1のスリット側に、第1の配置領域と第2の配置領域が位置し、仮想的な平面内の対称軸に関して第1の配置領域の線対称の位置に第4の配置領域、第2の配置領域の線対称の位置に第3の配置領域が位置し、第1の磁気センサ素子乃至第4の磁気センサ素子の配置位置が貫通孔の内方向に移動した場合、第1の配置領域の磁気ベクトルと第3の配置領域の磁気ベクトルと、が第1の方向に変化したような磁気ベクトルが存在し、第2の配置領域の磁気ベクトルと第4の配置領域の磁気ベクトルと、が第1の方向とは反対の第2の方向に変化したような磁気ベクトルが存在する磁場を生成する磁石と、を備える。
[第1の実施の形態]
(磁気センサ1の構成)
図1(a)は、第1の実施の形態に係る磁気センサの斜視図であり、(b)は、磁気センサの正面図、(c)は、磁気センサの側面図、(d)は、磁気センサの後面図、(e)は、磁性体と磁気センサとの位置関係を示す斜視図である。図2(a)は、第1の実施の形態に係る磁気センサの磁石を図1(b)に示すII(a)-II(a)線で切断した断面を矢印方向から見た断面図であり、(b)は、磁石を図1(b)に示すII(b)-II(b)線で切断した断面を矢印方向から見た断面図である。図1(c)に示す二点鎖線は、第1のスリット28及び第2のスリット29の間を貫通する仮想的な平面2aを示している。なお、以下に記載する各実施の形態に係る各図において、描かれた画像と画像の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。
磁気センサ1は、例えば、検出対象物の接近及び離脱に基づく磁場の磁気ベクトルの変化を電気信号として出力するように構成されている。
この磁気センサ1は、図1(a)〜(e)、図2(a)及び(b)に示すように、主に、磁気ベクトルの向きの変化に応じた出力信号を出力するように構成され、第1の配置領域410に配置される第1の磁気センサ素子41、第2の配置領域420に配置される第2の磁気センサ素子42、第3の配置領域430に配置される第3の磁気センサ素子43、及び第4の配置領域440に配置される第4の磁気センサ素子44と、磁石2と、を備えて概略構成されている。
この磁石2は、貫通孔30が形成された筒形状を有し、対向する第1のスリット28及び第2のスリット29が形成されている。
また磁石2は、第1のスリット28と第2のスリット29との間を貫通する仮想的な平面2aの第1のスリット28側に、第1の配置領域410と第2の配置領域420が位置し、仮想的な平面2a内の対称軸300に関して第1の配置領域410の線対称の位置に第4の配置領域440、第2の配置領域420の線対称の位置に第3の配置領域430が位置し、第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44の配置位置が貫通孔30の内方向に移動した場合、第1の配置領域410の磁気ベクトルと第3の配置領域430の磁気ベクトルと、が第1の方向に変化したような磁気ベクトルが存在し、第2の配置領域420の磁気ベクトルと第4の配置領域440の磁気ベクトルと、が第1の方向とは反対の第2の方向に変化したような磁気ベクトルが存在する磁場2bを生成するように構成されている。
また磁石2は、第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44の配置位置が貫通孔30の外方向に移動した場合、第1の配置領域410の磁気ベクトルと第3の配置領域430の磁気ベクトルと、が第2の方向に変化したような磁気ベクトルが存在し、第2の配置領域420の磁気ベクトルと第4の配置領域440の磁気ベクトルと、が第1の方向に変化したような磁気ベクトルが存在する磁場2bを生成するように構成されている。
つまり、上述の記載は、例えば、第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44の磁石2に対しての配置位置が貫通孔30の内方向又は外方向にずれた場合、磁石2が上述のような磁場2bを生成しているので、ずれた配置位置においても検出精度の低下が抑制されることを示している。
(磁石2の構成)
図3(a)は、第1の実施の形態に係る磁気センサの磁石が形成する磁場の磁気ベクトルの概略図であり、(b)は、第1の磁気センサ素子及び第2の磁気センサ素子近傍の拡大図であり、(c)は、第1の磁気センサ素子〜第4の磁気センサ素子の回路図である。図4(a)〜(c)は、第1の実施の形態に係る磁気センサの磁気センサ素子の配置位置における磁気ベクトルの違いを示した模式図である。
図3(a)及び(b)は、図1(c)に示す第1のスリット28及び第2のスリット29の間を貫通する仮想的な平面2aにおける磁気ベクトル200をシミュレーションした結果を示している。また図3(a)は、磁性体6が検出される程度に磁気センサ1に接近している場合の磁気ベクトル200を示している。この磁気ベクトル200は、例えば、磁場2bの平面2aの成分であり、長さは、磁気ベクトル200の大きさに比例している。
図4(a)〜(c)は、第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44の配置位置を、図3(a)に示すシミュレーション結果に基づいて貫通孔30内の平面2aに模式的に図示したものである。さらに図4(a)は、予定された配置位置における磁気ベクトルを示し、(b)は、貫通孔30の内方向にずれた位置における磁気ベクトルを示し、(c)は、貫通孔30の外方向にずれた位置における磁気ベクトルを示している。この図4(b)及び(c)は、点線で示す磁気ベクトルが、図4(a)に示す磁気ベクトルを比較にために図示したものであり、実線で示す磁気ベクトルが、配置された位置における磁気ベクトルを示している。
この磁石2は、図1(a)〜(e)に示すように、対向する第1の基部21及び第2の基部22と、第1の基部21の一方側及び他方側から延びて形成され、第2の基部22に面した第1の基部21の第1の内壁210よりも、一方側の第1の端部240及び他方側の第2の端部250が第2の基部22側に位置する第1の延長部24及び第2の延長部25と、第2の基部22の一方側及び他方側から延びて形成され、第1の基部21に面した第2の基部22の第2の内壁220よりも、一方側の第3の端部260及び他方側の第4の端部270が第1の基部21側に位置する第3の延長部26及び第4の延長部27と、対向する第1の端部240及び第3の端部260により形成された第1のスリット28と、対向する第2の端部250及び第4の端部270により形成された第2のスリット29と、を備えて概略構成されている。
磁石2は、例えば、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石等の永久磁石を所望の形状に成形したもの、又は、フェライト系、ネオジム系、サマコバ系、サマリウム鉄窒素系等の磁性体材料と、合成樹脂材料と、を混合して所望の形状に成形したものである。
この磁石2は、例えば、貫通孔30の形状が、隅が傾斜するように加工され、さらに図1(b)の紙面の左右方向に細長い矩形状となっている。
言い換えるなら、第1の基部21、第2の基部22、第1の延長部24〜第4の延長部27により形成される貫通孔30の輪郭は、例えば、第1のスリット28及び第2のスリット29方向が第1の基部21及び第2の基部22方向よりも長くなるような形状を有している。
また磁石2は、図1(a)〜(e)に示すように、第1の基部21、第2の基部22、第1の延長部24〜第4の延長部27を含んで構成される本体20の貫通孔30が延びる方向と直交する方向に切断した断面よりも小さい断面を有し、本体20の端部20bに設けられた第3の基部23を備えている。
この第3の基部23は、例えば、図1(a)〜(d)、図2(a)及び(b)に示すように、本体20を小さくしたような形状を有している。
なお貫通孔30は、図1(b)、(d)及び図2(a)に示すように、第3の基部23を貫通するように形成され、その輪郭が変化しないように構成されている。この輪郭は、例えば、8角形を上下に押しつぶして横に広げたような、つまり、第1のスリット28及び第2のスリット29方向が、第1の基部21及び第2の基部22方向よりも長くなるような形状を有している。
第1のスリット28は、第1の端部240の端面と、第3の端部260の端面と、が向かい合うことで形成されている。また第2のスリット29は、第2の端部250の端面と、第4の端部270の端面と、が向かい合うことで形成されている。
なお本実施の形態では、第1のスリット28及び第2のスリット29は、一例として、本体20を上部と下部に分けるように形成されているが、これに限定されず、当該上部と当該下部の途中まで形成されても良い。つまり、第1のスリット28及び第2のスリット29は、例えば、第1の延長部24と第3の延長部26とが繋がり、第2の延長部25と第4の延長部27とが、途中で繋がる構成であっても良い。また、第1のスリット28及び第2のスリット29は、例えば、第3の基部23にも形成されても良い。
後述する第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44は、例えば、第1のスリット28及び第2のスリット29の間を通る平面2aに検出面が含まれるように配置される。
図2(a)に示すように、貫通孔30の内部では、主に、第1の基部21と第2の基部22の端部から湧き出した磁場2bが反発し合い、磁気ベクトル200の平面2aの成分が大きくなる。
言い換えるなら、磁石2は、図3(a)に示すように、第1のスリット28及び第2のスリット29が形成されること、第1のスリット28及び第2のスリット29方向を長くする形状に形成されることで、貫通孔が真円形であったり正多角形であったりする場合よりも、第1のスリット28及び第2のスリット29側に、磁気ベクトル200の平面2aの成分が大きい領域を作り出すことが可能となっている。
磁石2の本体20は、例えば、図1(b)〜(d)に示すように、第3の基部23側の端部20bの反対の端部20aが第1の磁極を有するように構成されている。また第3の基部23は、例えば、図1(b)〜(d)に示すように、本体20側の端部23bの反対の端部23aが、第1の磁極と異なる第2の磁極を有するように構成されている。なお、第1の磁極が、N極である場合は、第2の磁極がS極となり、第1の磁極が、S極である場合は、第2の磁極がN極となる。本実施の形態では、一例として、第1の磁極をN極、第2の磁極をS極としている。
(第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44の構成)
第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44は、例えば、磁気センサ1に対する磁性体6の接近及び離脱により変化する、磁場2bに基づく磁気ベクトル200の向きの変化を検出して電気信号を出力するように構成されている。
本実施の形態に係る第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44は、一例として、2つの磁気抵抗素子40a及び磁気抵抗素子40bを直列に電気的に接続したハーフブリッジ回路40であり、第1の磁気センサ素子41と第4の磁気センサ素子44、及び第2の磁気センサ素子42と第3の磁気センサ素子43、でフルブリッジ回路を構成している。この磁気抵抗素子40a及び磁気抵抗素子40bは、例えば、図3(c)に示すように、磁気ベクトルの向きの変化に反応して磁気抵抗が変化する感磁部400が直交するように配置されている。
この磁気抵抗素子40a及び磁気抵抗素子40bは、一例として、Ni、Fe、Co等の強磁性体金属を主成分とした膜を用いて形成される。磁気ベクトル200が作用していない場合の磁気抵抗素子40a及び磁気抵抗素子40bの抵抗値は、等しいものとする。
磁気抵抗素子40aは、図3(c)に示すように、一方端部には基準電圧Vccが印加され、他方端部が磁気抵抗素子40bと電気的に接続されている。また磁気抵抗素子40bは、図3(c)に示すように、一方端部が磁気抵抗素子40aの他方端部と電気的に接続され、他方端部が接地回路に電気的に接続されている。この磁気抵抗素子40a及び磁気抵抗素子40bからは、中間電位が電気信号として出力される。ここで、第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44から出力される中間電位は、V1〜V4と記載するものとする。
第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44は、一例として、図2(a)、(b)、図3(a)に示すように、磁石2の端部20aから少し内側の領域に配置されることが好ましい。第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44が配置される領域は、図2(b)に示すように、第1のスリット28から第2のスリット29に向かって第1の配置領域410、第2の配置領域420、第3の配置領域430及び第4の配置領域440の順番で並んでいる。
この第1の配置領域410及び第4の配置領域440は、実質的に、貫通孔30の中心に対して対称な領域である。また第2の配置領域420及び第3の配置領域430は、実質的に、貫通孔30の中心に対して対称な領域である。
ここで、図3(b)及び図4(a)に示す配置位置(ノミナル)において、第1の磁気センサ素子41が検出する磁気ベクトル201は、第2のスリット29側に傾いた磁気ベクトルである。また、第2の磁気センサ素子42が検出する磁気ベクトル202は、第1のスリット28側に傾いた磁気ベクトルである。また、第3の磁気センサ素子43が検出する磁気ベクトル203は、第2の磁気センサ素子42における磁気ベクトル202が、対称軸300に基づいて折り返された磁気ベクトルと実質的に同一である。さらに第4の磁気センサ素子44が検出する磁気ベクトル204は、第1の磁気センサ素子41における磁気ベクトル201が、対称軸300に基づいて折り返された磁気ベクトルと実質的に同一である。
配置位置が貫通孔30の内方向、つまり図4(b)に示す矢印の方向にずれた場合、第1の磁気センサ素子41が検出する磁気ベクトルは、例えば、図4(b)に実線で示す磁気ベクトル201aとなる。また図3(b)では、例えば、点線の四角で囲まれた磁気ベクトル201aとなる。この磁気ベクトル201aは、図4(b)に矢印で示す第1の方向に、点線で示す磁気ベクトル201を回転させたものとなっている。この第1の方向は、図3(b)、図4(b)及び(c)の紙面において、反時計回りとなる方向である。
また、第2の磁気センサ素子42が検出する磁気ベクトルは、図4(b)に実線で示す磁気ベクトル202aとなる。また図3(b)では、例えば、点線の四角で囲まれた磁気ベクトル202aとなる。この磁気ベクトル202aは、図4(b)に矢印で示す第2の方向に、点線で示す磁気ベクトル202を回転させたものとなっている。この第2の方向は、第1の方向とは反対の方向であり、図3(b)、図4(b)及び(c)の紙面において、時計回りとなる方向である。
また、第3の磁気センサ素子43が検出する磁気ベクトルは、図4(b)に実線で示す磁気ベクトル203aである。この磁気ベクトル203aは、図4(b)に矢印で示す第1の方向に、点線で示す磁気ベクトル203を回転させたものとなっており、第2の磁気センサ素子42の磁気ベクトル202aを、対称軸300に基づいて折り返した磁気ベクトルと実質的に同一である。
さらに、第4の磁気センサ素子44が検出する磁気ベクトルは、図4(b)に実線で示す磁気ベクトル204aである。この磁気ベクトル204aは、図4(b)に矢印で示す第2の方向に、点線で示す磁気ベクトル204を回転させたものとなっており、第1の磁気センサ素子41の磁気ベクトル201aを、対称軸300に基づいて折り返した磁気ベクトルと実質的に同一である。
配置位置が貫通孔30の外方向、つまり図4(c)に示す矢印の方向にずれた場合、第1の磁気センサ素子41が検出する磁気ベクトルは、図4(c)に実線で示す磁気ベクトル201bとなる。また図3(b)では、例えば、点線の四角で囲まれた磁気ベクトル201bとなる。この磁気ベクトル201bは、図4(c)に矢印で示す第2の方向に、点線で示す磁気ベクトル201を回転させたものとなっている。
また、第2の磁気センサ素子42が検出する磁気ベクトルは、図4(c)に実線で示す磁気ベクトル202bとなる。図3(b)では、例えば、点線の四角で囲まれた磁気ベクトル202bとなる。この磁気ベクトル202bは、図4(c)に矢印で示す第1の方向に、点線で示す磁気ベクトル202を回転させたものとなっている。
また、第3の磁気センサ素子43が検出する磁気ベクトルは、図4(c)に実線で示す磁気ベクトル203bである。この磁気ベクトル203bは、図4(c)に矢印で示す第2の方向に、点線で示す磁気ベクトル203を回転させたものとなっており、第2の磁気センサ素子42の磁気ベクトル202bを、対称軸300に基づいて折り返した磁気ベクトルと実質的に同一である。
さらに、第4の磁気センサ素子44が検出する磁気ベクトルは、図4(c)に実線で示す磁気ベクトル204bである。この磁気ベクトル204bは、図4(c)に矢印で示す第1の方向に、点線で示す磁気ベクトル204を回転させたものとなっており、第1の磁気センサ素子41の磁気ベクトル201bを、対称軸300に基づいて折り返した磁気ベクトルと実質的に同一である。
つまり、磁石2は、例えば、対となる磁気センサ素子に作用する磁気ベクトルが、内方向又は外方向にずれた先において、互いに異なる方向に変化する磁気ベクトルとなるような磁場2bを生成するように構成されている。この対となる磁気センサ素子とは、例えば、フルブリッジ回路を構成する二つの磁気センサ素子である。
具体的には、磁石2は、例えば、対となる第1の磁気センサ素子41と第4の磁気センサ素子44の配置位置がずれた場合、第1の磁気センサ素子41が検出する磁気ベクトルが、正しい配置位置における磁気ベクトルと比べて、第1の方向に変化していると、第4の磁気センサ素子44が検出する磁気ベクトルが、第1の方向とは反対となる第2の方向に変化しているような磁場2bを生成するように構成されている。同様に、磁石2は、例えば、対となる第2の磁気センサ素子42と第3の磁気センサ素子43とが配置される領域にも、上記のような磁場2bを生成するように構成されている。
ここで、第1の磁気センサ素子41のハーフブリッジ回路40は、一例として、図3(a)及び(b)に示す端部20aを投影した直線と、感磁部400と、が45°となり、また磁気抵抗素子40aと磁気抵抗素子40bとの接続点が、第2のスリット29の方向に向くように配置される。また、第2の磁気センサ素子42〜第4の磁気センサ素子44のハーフブリッジ回路40は、例えば、第1の磁気センサ素子42のハーフブリッジ回路40と同じ方向で配置される。なお、ハーフブリッジ回路40の向きは、上記の例に限定されない。
このように配置されることで、第1の磁気センサ素子41が検出する磁気ベクトル201と、第4の磁気センサ素子44が検出する磁気ベクトル204と、が、図3(a)に示すように、対称軸300に基づいて実質的に対称となる。しかし、磁気センサ1は、第1の磁気センサ素子41及び第4の磁気センサ素子44のハーフブリッジ回路40が同じ向きに配置されるので、磁気抵抗素子40a及び磁気抵抗素子40bが同じ磁気抵抗となる場合以外は、中間電位V1及び中間電位V4が異なる値となる。
また第2の磁気センサ素子42が検出する磁気ベクトル202と、第3の磁気センサ素子43が検出する磁気ベクトル203と、が、対称軸300に基づいて実質的に対称となる。しかし、磁気センサ1は、第2の磁気センサ素子42及び第3の磁気センサ素子43のハーフブリッジ回路40が同じ向きに配置されるので、磁気抵抗素子40a及び磁気抵抗素子40bが同じ磁気抵抗となる場合以外は、中間電位V2及び中間電位V3が異なる値となる。
さらに、上述のように、第1の配置領域410〜第4の配置領域440は、配置位置が内方向及び外方向にずれても、対となる磁気センサ素子が検出する磁気ベクトルが異なる方向に変化することで中間電位の位置ずれによる誤差を吸収する領域であるので、磁気センサ素子がこれらの配置領域に配置されることで、位置ずれによる誤差を抑制することが可能となる。この位置ずれによる誤差が抑制される出力の演算方法については、後述する。
なお、第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44は、図3(a)及び(b)に示すように、磁性体6の接近及び離脱により、磁気ベクトル200の向きが大きく変化する領域に配置されることが好ましい。また対となる第1の磁気センサ素子41と第4の磁気センサ素子44、及び第2の磁気センサ素子42と第3の磁気センサ素子43は、対称軸300に基づく対称な領域に配置されることが好ましい。
例えば、図3(a)の紙面中央付近の磁気ベクトル200は、向きの変化に乏しい領域が、第1のスリット28及び第2のスリット29側の領域に比べて多い。従って、当該中央付近に磁気センサを配置する際には、磁石と磁気センサとの位置精度が、検出精度と磁気センサ素子から出力される電気信号の振幅の大きさに大きく関係する。
しかし、第1の配置領域410〜第4の配置領域440では、磁性体6が離脱している場合の磁気ベクトル200の向きと、磁性体6が接近している場合の磁気ベクトル200の向きと、が、大きく変化しているため、磁石2と第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44との位置がずれたとしても、必要な振幅の大きさの出力を得ることが可能となる。
この磁気ベクトル200の変化は、第1のスリット28及び第2のスリット29を設けたことが、主に影響している。例えば、磁石にスリットを設けていない場合、磁石の端部付近の磁気ベクトルは、端部方向から端部の側面に向う方向の変化が小さいので、側面近くの磁気ベクトルは、中央付近の磁気ベクトルよりも方向の変化に乏しい。
しかし、磁石2は、第1のスリット28及び第2のスリット29が形成されているので、第1のスリット28及び第2のスリット29を通過して第3の基部23に向かう磁場2bが形成される。従って、磁性体6が磁石2と離れている場合は、第1のスリット28及び第2のスリット29を通過する磁場が生じ、磁性体6が磁石2に接近している場合は、磁場が磁性体6に引っ張られるので、スリット方向に向いていた磁気ベクトル200が磁性体6方向に向くこととなり、大きな方向の変化を生じる。
従って、第1の配置領域410〜第4の配置領域440は、図2(a)に示すように、第1のスリット28及び第2のスリット29の間の領域であることが好ましい。当該領域では、磁気ベクトル200の方向の変化が大きいからである。
さらに、磁石2は、第1の延長部24〜第4の延長部27を有することから、第1の配置領域410〜第4の配置領域440では、磁場2bの平面2aの成分である磁気ベクトル200が中央近傍よりも大きくなり出力の振幅が大きくなる。
またさらに、磁石2は、本体20よりも断面積が小さい第3の基部23を備えていることで、磁性体6が接近した場合に、磁場2bが、第1の基部21及び第2の基部22の方向に引っ張られるのを抑制している。従って、磁気センサ1は、第1の磁気センサ素子41及び第2の磁気センサ素子42の検出面における磁気ベクトル200の大きさの変化が小さく、検出精度の低下や出力の振幅の減少が抑制される。なお、この第1の配置領域410〜第4の配置領域440は、例えば、図2(a)の紙面の上下にずれても良い。
続いて、以下では、磁気センサ素子から出力される中間電圧に基づく出力の演算方法について説明する。
図5(a)は、比較例に係る磁気センサから出力される第1の磁気センサ素子と第4の磁気センサ素子の中間電位に基づく第1の差分値と、磁石と磁性体との距離と、の関係を示したグラフであり、(b)は、第1の差分値をリニア化して得られたグラフであり、(c)は、比較例に係る第2の磁気センサ素子と第3の磁気センサ素子の中間電位に基づく第2の差分値と、磁石と磁性体との距離と、の関係を示したグラフであり、(d)は、第2の差分値をリニア化して得られたグラフである。
図5(a)〜(d)に実線で示す「ノミナル」とは、設計から期待される値を示している。また、一点鎖線で示す「内方向にずれた場合」とは、配置位置が、貫通孔30の内方向にずれた場合を示し、「外方向にずれた場合」とは、外方向にずれた場合を示している。図5(a)及び(c)は、縦軸が差分値(mV)、横軸が磁石と磁性体との距離(mm)であり、(b)及び(d)は、縦軸が差分値をリニア化して得られたリニア出力(mV)、横軸が磁石と磁性体との距離(mm)である。また図5(a)〜(d)は、シミュレーションした結果に基づいたグラフである。上記のリニア化は、例えば、逆関数を用いる方法等の周知の方法により行われたものである。
図6(a)は、第1の実施の形態に係る磁気センサから出力される第1の磁気センサ素子〜第4の磁気センサ素子の中間電位の差分値に基づいて得られた演算値と、磁石と磁性体との距離と、の関係を示したグラフであり、(b)は、演算値をリニア化して得られたグラフであり、(c)は、磁気センサの構成の一例を示すブロック図である。図6(a)は、縦軸が演算値(mV)、横軸が磁石と磁性体との距離(mm)であり、(b)は、縦軸が演算値をリニア化して得られたリニア出力(mV)、横軸が磁石と磁性体との距離(mm)である。
図5(a)に示す第1の差分値は、第1の磁気センサ素子41と第4の磁気センサ素子44により形成されるフルブリッジ回路から出力される中間電位V1及び中間電位V4を用いて、以下の式(1)に基づいて求められる。
第1の差分値=中間電位V4−中間電位V1・・・(1)
また、図5(c)に示す第2の差分値は、第2の磁気センサ素子42及び第3の磁気センサ素子43により形成されるフルブリッジ回路から出力される中間電位V2及び中間電位V3を用いて、以下の式(2)に基づいて求められる。
第2の差分値=中間電位V3−中間電位V2・・・(2)
この比較例は、実施の形態に係る磁気センサ1の第1の磁気センサ素子41と第4の磁気センサ素子44とによりフルブリッジ回路を組んで式(1)に示す差分値を出力し、第2の磁気センサ素子42と第3の磁気センサ素子43とによりフルブリッジ回路を組んで式(2)に示す差分値を出力するように概略構成されている。つまり、比較例に係る磁気センサは、例えば、2つのフルブリッジ回路を備えている。
第1の差分値は、図5(a)に示すように、貫通孔30の内方向に配置位置がずれた場合、磁性体との距離が短い間は、ノミナルよりも低い値となる。また第1の差分値は、図5(a)に示すように、貫通孔30の外方向に配置位置がずれた場合、磁性体との距離が短い間は、ノミナルよりも高い値となる。
また第2の差分値は、図5(c)に示すように、貫通孔30の内方向に配置位置がずれた場合、磁性体との距離が短い間は、ノミナルよりも低い値となる。また当該差分値は、図5(c)に示すように、貫通孔30の外方向に配置位置がずれた場合、磁性体との距離が短い間は、ノミナルよりも高い値となる。
図5(a)及び(c)に示すように、貫通孔30の内方向及び外方向に配置位置がずれたとしても、差分値の差は、それほど大きくはない。
しかし、得られた差分値をリニア化して得られたリニア出力では、図5(b)及び(d)に矢印で示すように、ノミナルからのばらつきが大きくなる。
つまり、式(1)の第1の差分値をリニア化したリニア出力が、例えば、ゼロ以下となる距離で磁性体6を検出するように構成されている場合、図5(b)に示すように、外方向に配置位置がずれると、ノミナルから離れた距離で磁性体6を検出することとなり、内方向に配置位置がずれると、ノミナルよりも磁性体6が近づかないと検出されないこととなる。
一方、式(2)の第2の差分値をリニア化したリニア出力が、例えば、ゼロ以下となる距離で磁性体6を検出するように構成されている場合、図5(d)に示すように、外方向に配置位置がずれると、ノミナルよりも磁性体6が近づかないと検出されないこととなり、内方向に配置位置がずれると、ノミナルから離れた距離で磁性体6を検出することとなる。
つまり、式(1)の第1の差分値に基づいたリニア出力と式(2)の第2の差分値に基づいたリニア出力とでは、ずれた方向によるノミナルからのずれが反対となっている。従って、ノミナルに近いリニア出力を得るためには、位置ずれの方向に基づいて得られた差分値ごとに異なる補正を行って、2つのリニア出力をノミナルに近づける必要がある。
これは、対となる磁気センサ素子に作用する磁気ベクトルが、位置ずれにより、互いに異なる方向に変化することに起因している。
一方、本実施の形態では、比較例と異なる演算方法でリニア出力を得る。具体的には、リニア化される演算値は、式(1)及び式(2)で得られた差分値を用いて、以下の式(3)に基づいて求められる。
演算値=式(1)の第1の差分値+式(2)の第2の差分値・・・(3)
この演算値は、図6(a)に示すように、貫通孔30の内方向に配置位置がずれた場合、磁性体との距離が短い間は、ノミナルよりも低い値となる。また演算値は、図6(a)に示すように、貫通孔30の外方向に配置位置がずれた場合、磁性体との距離が短い間は、ノミナルよりも高い値となる。
この演算値を比較例と同じ方法によりリニア化して得られたリニア出力は、図6(b)に示すように、配置位置が内方向及び外方向にずれた場合であってもノミナルからのずれが、比較例と比べて小さいことがわかる。
この演算値を算出する方法は、第1の差分値と第2の差分値とが、互いに逆の方向に値がずれることを利用し、両者を加算することで誤差を抑制している。なお、上述の演算は、例えば、外部装置で実行されても良いが、これに限定されず、演算を実行する演算部等を磁気センサ1が備える構成であっても良い。この場合、磁気センサ1は、例えば、演算部等と共に封止樹脂により封止され、磁気センサIC(Integrated Circuit)として構成される。この磁気センサICは、例えば、貫通孔30に応じた形状を有することが好ましい。磁気センサICは、そのような形状を有することで、磁石2との位置決めが容易となる。
具体的には、磁気センサ1は、例えば、図6(c)に示すように、演算部100と、制御部101と、を備えて概略構成されても良い。
この演算部100は、例えば、上述の式(3)に示す演算を行うように構成されている。また、制御部101は、例えば、上述の式(3)から得られた演算値をリニア化してリニア出力を生成して出力するように構成されている。なお、制御部101は、生成したリニア出力に基づいて磁性体6の検出を判定する判定手段を備え、判定結果をHi信号又はLo信号として出力する構成を有していても良い。
以下に、本実施の形態に係る磁気センサ1の動作について説明する。
(動作)
磁気センサ1は、基準電圧Vccが印加されると、第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44が検出する磁気ベクトルに応じた中間電位V1〜中間電位V4を出力する。
磁気センサ1に電気的に接続された外部装置は、この中間電位V1〜中間電位V4に基づいて式(3)に示す演算を行って演算値を算出し、演算値をリニア化したリニア出力に基づいて磁性体6を検出しているか否かを判定する。
なお、変形例として、磁気センサ1が、上述の演算部100及び制御部101を備える場合は、演算部100が、式(3)に示す演算を行い、制御部101が、演算部100から取得した演算値をリニア化したリニア出力に基づいて磁性体6を検出しているか否かを判定する。続いて、制御部101は、この判定結果に基づいてHi信号又はLo信号を出力する。
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る磁気センサ1は、位置ずれによる検出精度の低下を抑制することができる。
具体的には、磁石2は、第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44の配置位置が貫通孔30の内方向に移動した場合、第1の配置領域410の磁気ベクトルと第3の配置領域430の磁気ベクトルと、が第1の方向に変化したような磁気ベクトルが存在し、第2の配置領域420の磁気ベクトルと第4の配置領域440の磁気ベクトルと、が第1の方向とは反対の第2の方向に変化したような磁気ベクトルが存在する磁場2bを生成するように構成されている。
また、磁石2は、第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44の配置位置が貫通孔30の外方向に移動した場合、第1の配置領域410の磁気ベクトルと第3の配置領域430の磁気ベクトルと、が第2の方向に変化したような磁気ベクトルが存在し、第2の配置領域420の磁気ベクトルと第4の配置領域440の磁気ベクトルと、が第2の方向に変化したような磁気ベクトルが存在する磁場2bを生成するように構成されている。
磁気センサ1は、このような構成を有しているので、対となる第1の磁気センサ素子41と第4の磁気センサ素子44、及び対となる第2の磁気センサ素子42と第3の磁気センサ素子43における、位置ずれに起因する誤差が打ち消し合って、検出精度の低下が抑制される。従って、磁気センサ1は、出力の変動を抑制すると共に、補正が必要ないことならオフセットをゼロとすることが可能であり、また磁性体6の検出位置のずれを抑制することができる。
また、磁気センサ1は、第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44が配置される仮想的な平面2aを間に挟むように、第1のスリット28及び第2のスリット29が形成されているので、磁性体6の接近及び離脱により、磁気ベクトルの向きが大きく変化する。従って、磁気センサ1は、磁気ベクトルの向きの変化が、中央近傍で検出する場合よりも大きく、検出精度が向上すると共に磁気センサ素子が出力する出力の振幅を大きくすることができる。
また磁気センサ1は、第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44を囲むように、磁石2が第1の延長部24〜第4の延長部27を備えているので、外乱磁場等の影響を受け難い。
さらに、磁気センサ1は、磁石2が、第3の基部23を備えているので、磁性体6の接近による磁場2bの第1の基部21及び第2の基部22方向の偏りを抑制し、磁気ベクトルの大きさの変化を抑えつつ磁気ベクトルの方向の変化を大きくすることができるので、検出精度が向上すると共に磁気センサ素子が出力する出力の振幅を大きくすることができる。
磁気センサ1は、第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44の配置を可能とする第1の配置領域410〜第4の配置領域440が、中央近傍の配置可能な領域と比べて大きいので、磁石2と第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44との位置ずれに起因する精度の低下を抑制することができる。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、貫通孔の端部近傍が面取り加工されている点が第1の実施の形態と異なっている。
図7(a)は、第2の実施の形態に係る磁気センサの斜視図であり、(b)は、磁気センサの正面図、(c)は、磁気センサの側面図、(d)は、磁気センサの後面図である。図8(a)は、第2の実施の形態に係る磁気センサの磁石を図7(b)に示すVIII(a)-VIII(a)線で切断した断面を矢印方向から見た断面図であり、(b)は、磁石を図7(b)に示すVIII(b)-VIII(b)線で切断した断面を矢印方向から見た断面図であり、(c)は、磁石を図7(b)に示すVIII(c)-VIII(c)線で切断した断面を矢印方向から見た断面図である。
なお、以下の実施の形態においては、第1の実施の形態と同じ構成及び機能を有する部分は、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は、省略するものとする。
この磁石2は、例えば、細長い筒形状に形成されている。この筒の孔に相当する貫通孔30aは、例えば、図7(a)、(b)及び(d)に示すように、その輪郭が多角形状を有し、第1の基部21及び第2の基部22の方向に押しつぶれたような形状を有している。
言い換えるなら、第1の基部21、第2の基部22、第1の延長部24〜第4の延長部27により形成される貫通孔30aの輪郭は、例えば、第1のスリット28及び第2のスリット29方向が第1の基部21及び第2の基部22方向よりも長くなるような形状を有している。
さらにこの磁石2は、図7(a)〜(d)、図8(a)〜(c)に示すように、貫通孔30aの先端に対して面取り加工が施されている。
第1の基部21には、本体20の端部20aから貫通孔30aの内側に向かって面取り加工が施されて面取部21aが形成されている。
第2の基部22には、本体20の端部20aから貫通孔30aの内側に向かって面取り加工が施されて面取部22aが形成されている。
第1の延長部24には、本体20の端部20aから貫通孔30aの内側に向かって面取り加工が施されて面取部24aが形成されている。
第2の延長部25には、本体20の端部20aから貫通孔30aの内側に向かって面取り加工が施されて面取部25aが形成されている。
第3の延長部26には、本体20の端部20aから貫通孔30aの内側に向かって面取り加工が施されて面取部26aが形成されている。
第4の延長部27には、本体20の端部20aから貫通孔30aの内側に向かって面取り加工が施されて面取部27aが形成されている。
第1の端部240には、本体20の端部20aから第1のスリット28に向かって面取り加工が施されて面取部240aが形成されている。
第2の端部250には、本体20の端部20aから第2のスリット29に向かって面取り加工が施されて面取部250aが形成されている。
第3の端部260には、本体20の端部20aから第1のスリット28に向かって面取り加工が施されて面取部260aが形成されている。
第4の端部270には、本体20の端部20aから第2のスリット29に向かって面取り加工が施されて面取部270aが形成されている。
磁気センサ1は、磁石2に面取部が形成されているために、第1の配置領域410〜第4の配置領域440が、さらに貫通孔30aの内部に移動する。従って磁気センサ1は、さらに、第1の磁気センサ素子41〜第4の磁気センサ素子44を貫通孔30aの内部に配置することができるので、外乱磁場等の影響を受け難くなる。
また磁気センサ1は、磁石2の面取部が挿入の際のガイドとなるために、磁気センサを封止して端子等が一体となった磁気センサICの磁石2への取り付けが容易となる。なお、この磁気センサICは、一例として、貫通孔30aの形状に基づいた外観を有する。また磁気センサICは、例えば、第1のスリット28及び第2のスリット29に挿入される挿入部が、側面に形成されることで、さらに、磁石2と磁気センサICとの位置決めが容易となる。
ここで変形例として、各実施の形態に係る貫通孔の輪郭は、少なくとも1辺が曲線であっても良い。また磁石2は、例えば、第1のスリット28及び第2のスリット29を有する本体20と第3の基部23が円筒形で、貫通孔が上記の実施の形態の貫通孔のような形状を有していても良い。
また他の変形例として、第1の基部21、第2の基部22、第1の延長部24〜第4の延長部27の肉厚は、異なるものであっても良い。例えば、第1の基部21及び第2の基部22の肉厚を同じとし、第1の延長部24〜第4の延長部27の肉厚を第1の基部21及び第2の基部22の肉厚と異なるものとしても良い。例えば、第1の延長部24〜第4の延長部27の肉厚が、第1の基部21及び第2の基部22の肉厚よりも厚い場合、この部分の体積が増加することにより、第1の配置領域410〜第4の配置領域440における磁気ベクトルの大きさが増加する。
以上述べた少なくとも1つの実施の形態の磁気センサ1によれば、位置ずれによる検出精度の低下を抑制することが可能となる。
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。