以下、図面を参照して、本発明の換気装置の実施の形態としての熱交換型換気装置について説明する。
<本実施の形態の熱交換型換気装置の全体構成例>
図1は、本実施の形態の熱交換型換気装置の風路構成の一例を示す正面断面図、図2は、本実施の形態の熱交換型換気装置の風路構成の一例を示す側面断面図、図3は、本実施の形態の熱交換型換気装置の風路構成の一例を示す側面断面図である。また、図4は、本実施の形態の熱交換型換気装置の外観構成の一例を示す正面図、図5は、本実施の形態の熱交換型換気装置の外観構成の一例を示す上面図である。
本実施の形態の熱交換型換気装置1Aは、装置本体10が建物の床に設置される形態で使用される。熱交換型換気装置1Aは、屋外から吸い込まれた外気OAと、室内から吸い込まれた還気RAとの間で熱交換を行う熱交換素子2を装置本体10に備える。
また、熱交換型換気装置1Aは、屋外から外気OAを吸い込み、熱交換素子2で還気RAと熱交換された外気OAを、給気SAとして室内に吹き出す給気ファン3SAを装置本体10に備える。
更に、熱交換型換気装置1Aは、室内から還気RAを吸い込み、熱交換素子2で外気OAと熱交換された還気RAを、排気EAとして屋外に吹き出す排気ファン3EAを装置本体10に備える。
熱交換型換気装置1Aは、装置本体10の上面に空気の吸込口と吹出口が形成される構成で、屋外からの外気OAが吸い込まれる外気吸込口10OAと、室内への給気SAが吹き出される給気吹出口10SAを、装置本体10の上面に備える。また、熱交換型換気装置1Aは、室内からの還気RAが吸い込まれる還気吸込口10RAと、屋外への排気EAが吹き出される排気吹出口10EAを、装置本体10の上面に備える。
熱交換型換気装置1Aは、本例では、還気吸込口10RAと給気吹出口10SAが、装置本体10の正面側の上面に並列して設けられ、外気吸込口10OAと排気吹出口10EAが、装置本体10の背面側の上面に並列して設けられる。
また、熱交換型換気装置1Aは、還気吸込口10RAと外気吸込口10OAが、装置本体10を正面から見て左側に設けられ、給気吹出口10SAと排気吹出口10EAが、装置本体10を正面から見て右側に設けられる。
熱交換型換気装置1Aは、還気吸込口10RAにRAダクトジョイント11RAが取り付けられ、外気吸込口10OAにOAダクトジョイント11OAが取り付けられる。また、熱交換型換気装置1Aは、給気吹出口10SAにSAダクトジョイント11SAが取り付けられ、排気吹出口10EAにEAダクトジョイント11EAが取り付けられる。
熱交換型換気装置1Aは、金属等で構成された筐体11の内側に、気密性及び断熱性を有した材質、本例では発泡スチロールで構成された風路形成部材12が取り付けられて、装置本体10が構成される。
熱交換素子2は熱交換手段の一例で、外気OAが通る第1の熱交換風路20aを構成する部材と、還気RAが通る第2の熱交換風路20bを構成する部材が、第1の熱交換風路20aと第2の熱交換風路20bとの間での空気の流れが遮蔽された状態となるように積層されて構成される。
熱交換素子2は、熱交換素子取付部13に取り付けられた状態で、第1の熱交換風路20aと第2の熱交換風路20bが前後方向に沿って交互に積層される。また、熱交換素子2は、還気RAが吸い込まれる還気吸込口21RAと、給気SAが吹き出される給気吹出口21SAが、熱交換素子2の上部に並列して設けられる。更に、熱交換素子2は、外気OAが吸い込まれる外気吸込口21OAと、排気EAが吹き出される排気吹出口21EAが、熱交換素子2の下部に並列して設けられる。
熱交換素子2は、本例では、装置本体10を正面から見て、左側の上部に還気吸込口21RAが形成され、右側の上部に給気吹出口21SAが形成される。また、熱交換素子2は、左側の下部に外気吸込口21OAが形成され、右側の下部に排気吹出口21EAが形成される。
これにより、熱交換素子2の下部の外気吸込口21OAから吸い込まれ、第1の熱交換風路20aを通り、熱交換素子2の上部の給気吹出口21SAから吹き出される空気と、熱交換素子2の上部の還気吸込口21RAから吸い込まれ、第2の熱交換風路20bを通り、熱交換素子2の下部の排気吹出口21EAから吹き出される空気の流れが対向する。ここで、熱交換素子2が第1の熱交換風路20aと第2の熱交換風路20bとの間で湿度の交換ができる構成である場合、図示しない透湿層に防カビ剤を添加することで、カビの発生が抑えられる。
熱交換型換気装置1Aは、熱交換素子2が取り付けられる熱交換素子取付部13が、装置本体10を正面から見て中央付近に設けられる。熱交換型換気装置1Aは、風路形成部材12に空間を設けて熱交換素子取付部13が形成され、装置本体10の風路形成部材12に熱交換素子2が取り付けられる。
熱交換型換気装置1Aは、熱交換素子取付部13に取り付けられる熱交換素子2が前後方向に移動可能に支持される構成を熱交換素子2と熱交換素子取付部13に備える。熱交換型換気装置1Aは、筐体11の正面板11aを取り外すことで、熱交換素子2が前後方向への移動で装置本体10の正面側から着脱可能に構成される。
給気ファン3SAは給気送風手段の一例、排気ファン3EAは排気送風手段の一例で、給気ファン3SA及び排気ファン3EAは、回転駆動される多翼の羽根車30と、羽根車30を回転させるモータ30Mと、風路を形成するファンケース31と、ファンケース31内を通る空気の風量を検出する風量検出センサ32を備える。
ファンケース31は風路形成手段の一例で、羽根車30が回転駆動されることで空気が吸い込まれる吸込部であるファン吸込口31aと、ファン吸込口31aから吸い込まれた空気が吹き出される吹出部であるファン吹出口31bを備える。また、ファンケース31は、ファン吸込口31aから吸い込んだ空気をファン吹出口31bから吹き出す空気の流れを生成する風路であるファンケース風路31cを備える。
給気ファン3SA及び排気ファン3EAは、ベルマウスと称される円形の開口で構成されるファン吸込口31aが、羽根車30の軸方向に沿って設けられる。また、給気ファン3SA及び排気ファン3EAは、羽根車30の外周に沿ってファンケース風路31cが設けられ、羽根車30の軸方向に沿ってファン吸込口31aから吸い込まれた空気が、羽根車30の回転方向に沿ってファン吹出口31bから吹き出される。
給気ファン3SAは、羽根車30の軸が水平方向に沿った向きとなり、ファン吸込口31aが側部に配置される。また、給気ファン3SAは、ファンケース風路31cが上向きに屈曲した形状で、ファン吹出口31bが上部に配置される。
排気ファン3EAも同様に、羽根車30の軸が水平方向に沿った向きとなり、ファン吸込口31aが側部に配置される。また、排気ファン3EAは、ファンケース風路31cが上向きに屈曲した形状で、ファン吹出口31bが上部に配置される。
ファンケース風路31cは、羽根車30の外周に沿って形成される風路と連通し、ファン吸込口31aから吸い込まれた空気が横方向に沿って流れる第1の風路31dを備える。また、ファンケース風路31cは、第1の風路31dと連通し、第1の風路31dを通る横方向に沿った空気の流れを縦方向に曲げる屈曲部31eを備える。更に、ファンケース風路31cは、屈曲部31eと連通し、空気が縦方向に沿って流れてファン吹出口31bから吹き出される第2の風路31fとを備える。
ファンケース31は、ファンケース風路31cの開口面積が、第1の風路31dから第2の風路31fに向かって屈曲部31eで広がる形状を有する。
風量検出センサ32は検出手段の一例で、ファンケース風路31cを通る空気ン流れで回転するシャッタ部材32aと、軸32bにシャッタ部材32aが取り付けられ、シャッタ部材32aの回転による軸32bの回転角度に応じた信号を出力する角度検出手段としてのエンコーダ32cを備える。
風量検出センサ32は、シャッタ部材32aの一方の端部である先端から軸32bまでの長さが、シャッタ部材32aの他方の端部である後端から軸32bまでの長さより長くなるように、シャッタ部材32aに対して軸32bが偏芯して設けられる。
風量検出センサ32は、軸32bを支点としたシャッタ部材32aの回転方向が、ファンケース風路31cの屈曲した方向に沿うように、第1の風路31dと第2の風路31fが連通するファンケース風路31cの屈曲部31eに、シャッタ部材32aが配置される。
すなわち、風量検出センサ32は、軸32bの向きを、ファンケース風路31cを通る空気の流れに対して略直交する水平方向に沿った向きとし、軸32bの位置を、第1の風路31dに対して上側にオフセットされ、かつ、第2の風路31f方向にオフセットされる位置として、シャッタ部材32aが屈曲部32eに配置される。
風量検出センサ32は、羽根車30が停止されている換気停止状態では、シャッタ部材32aの一方の端部側が下向きとなる方向に、シャッタ部材32aが自重で軸32bを支点に回転して、シャッタ部材32aが鉛直方向に沿った向きとなる。
そして、風量検出センサ32は、換気停止状態でシャッタ部材32aの先端と、ファンケース風路31cを形成するファンケース31の内面との間に所定の間隔で隙間が形成されるように、シャッタ部材32aの長さ及び軸32bの位置が設定される。
これにより、給気ファン3SA及び排気ファン3EAは、換気停止状態では、シャッタ部材32aで第1の風路31dの一部が閉塞され、羽根車30が回転駆動された初期の状態で、空気が流れる空間が形成されている。
また、給気ファン3SA及び排気ファン3EAは、シャッタ部材32aの軸32bの位置が、第1の風路31dに対して上側にオフセットされ、かつ、第2の風路31f方向にオフセットされる位置としたことで、空気の流れで図3に矢印で示す開く方向に回転するシャッタ部材32aの軌跡が、第2の風路31fに入ることが可能となる。
そして、給気ファン3SA及び排気ファン3EAは、第2の風路31fでは空気が上向きに流れるので、シャッタ部材32aに上方へ回転させる力が加えられ、シャッタ部材32aの回転角度を、換気停止状態におけるシャッタ部材32aの鉛直方向に沿った向きを0°としたとき、90°より大きく設定することが可能になる。
ここで、シャッタ部材32aの回転角度αが180°以上になると、自重で復帰できなくなるので、シャッタ部材32aの回転角度αは、90°より大きく180°より小さく設定される。
更に、給気ファン3SA及び排気ファン3EAは、上述したように、シャッタ部材32aが屈曲部31eに配置され、ファンケース風路31cの開口面積が、第1の風路31dから第2の風路31fに向かって屈曲部31eで広がる形状を有することで、空気の流れでシャッタ部材32aが開く方向に回転する動作で、ファンケース風路31cの開口面積が広がる。
熱交換型換気装置1Aは、給気ファン3SAが取り付けられる給気ファン取付部14SAが、装置本体10を正面から見て熱交換素子2の側方、本例では右側の側方の上部に設けられる。また、熱交換型換気装置1Aは、排気ファン3EAが取り付けられる排気ファン取付部14EAが、装置本体10を正面から見て給気ファン取付部14SAと同じ熱交換素子2の側方、本例では右側の側方の下部に設けられる。
熱交換型換気装置1Aは、風路形成部材12の側方上部に、筐体11との間に空間を設けて給気ファン取付部14SAが形成され、風路形成部材12の側方下部に、筐体11との間に空間を設けて排気ファン取付部14EAが形成されて、装置本体10に給気ファン3SAと排気ファン3EAが取り付けられる。
熱交換型換気装置1Aは、給気ファン取付部14SAに取り付けられる給気ファン3SAが前後方向に移動可能に支持される構成を給気ファン3SAと給気ファン取付部14SAに備える。熱交換型換気装置1Aは、筐体11の正面板11aを取り外すことで、給気ファン3SAが前後方向への移動で装置本体10の正面側から着脱可能に構成される。
また、熱交換型換気装置1Aは、排気ファン取付部14EAに取り付けられる排気ファン3EAが前後方向に移動可能に支持される構成を排気ファン3EAと排気ファン取付部14EAに備える。熱交換型換気装置1Aは、筐体11の正面板11aを取り外すことで、排気ファン3EAが前後方向への移動で装置本体10の正面側から着脱可能に構成される。
熱交換型換気装置1Aは、熱交換素子2の還気吸込口21RAから吸い込まれる還気RAが通る還気吸込空間15RAと、熱交換素子2の排気吹出口21EAから吹き出される排気EAが通る排気吹出空間15EAを備える。
また、熱交換型換気装置1Aは、熱交換素子2の外気吸込口21OAから吸い込まれる外気OAが通る外気吸込空間15OAと、熱交換素子2の給気吹出口21SAから吹き出される給気SAが通る給気吹出空間15SAを備える。
熱交換型換気装置1Aは、本例では、装置本体10を正面から見て、風路形成部材12の左側の上部に還気吸込空間15RAが形成され、風路形成部材12の右側の上部に給気吹出空間15SAが形成される。また、熱交換型換気装置1Aは、風路形成部材12の左側の下部に外気吸込空間15OAが形成され、風路形成部材12の右側の下部に排気吹出空間15EAが形成される。
熱交換型換気装置1Aは、還気吸込空間15RAの上側に還気吸込口10RAが位置する風路構成で、還気吸込空間15RAと装置本体10の上面に設けられる還気吸込口10RAが連通し、還気吸込口10RAと熱交換素子2の還気吸込口21RAが、還気吸込空間15RAを介して連通する。
また、熱交換型換気装置1Aは、給気吹出空間15SAの側方に給気ファン3SAが位置する風路構成で、給気吹出空間15SAと給気ファン3SAのファン吸込口31aが連通する。
熱交換型換気装置1Aは、給気ファン3SAの上側に給気吹出口10SAが位置する風路構成で、給気ファン3SAのファン吹出口31bと、装置本体10の上面に設けられる給気吹出口10SAが連通し、給気吹出口10SAと熱交換素子2の給気吹出口21SAが、給気吹出空間15SAと給気ファン3SAを介して連通する。
熱交換型換気装置1Aは、外気吸込口10OAと外気吸込空間15OAを連通させた外気吸込風路16OAを備える。熱交換型換気装置1Aは、装置本体10を正面から見て熱交換素子2の側方、本例では左側の風路形成部材12に、上下方向に延在する空間を設けて外気吸込風路16OAが構成される。
熱交換型換気装置1Aは、外気吸込風路16OAの上部側と、装置本体10の上面に設けられる外気吸込口10OAが連通する。また、熱交換型換気装置1Aは、外気吸込風路16OAが装置本体10の下部に形成される外気吸込空間15OAの側方まで延在し、外気吸込風路16OAの下部側と外気吸込空間15OAが連通する。
更に、熱交換型換気装置1Aは、外気吸込風路16OAと還気吸込空間15RAが風路形成部材12で仕切られる。
これにより、熱交換型換気装置1Aは、外気吸込口10OAと熱交換素子2の外気吸込口21OAが、外気吸込風路16OAと外気吸込空間15OAを介して連通する。また、外気吸込風路16OAが熱交換素子2の側方に設けられることで隣接した外気吸込風路16OAと還気吸込空間15RAが、風路形成部材12で隔絶される。
また、熱交換型換気装置1Aは、排気吹出空間15EAと排気吹出口10EAを、排気ファン3EAを介して連通させた排気吹出風路16EAを備える。熱交換型換気装置1Aは、装置本体10を正面から見て熱交換素子2の側方、本例では右側の風路形成部材12に、上下方向に延在する空間を設けて排気吹出風路16EAが構成される。
熱交換型換気装置1Aは、排気吹出空間15EAの側方に排気ファン3EAが位置する風路構成で、排気吹出空間15EAと排気ファン3EAのファン吸込口31aが連通し、排気ファン3EAのファン吹出口31bと排気吹出風路16EAの下部側が連通する。
また、熱交換型換気装置1Aは、排気吹出風路16EAが給気ファン3SAの後方を通り、排気吹出風路16EAの上部側と、装置本体10の上面に設けられる排気吹出口10EAが連通する。
更に、熱交換型換気装置1Aは、排気吹出風路16EAと給気吹出空間15SAが風路形成部材12で仕切られる。
これにより、熱交換型換気装置1Aは、排気吹出口10EAと熱交換素子2の排気吹出口21EAが、排気吹出空間15EAと排気ファン3EAと排気吹出風路16EAを介して連通する。また、排気吹出風路16EAが熱交換素子2の側方に設けられることで隣接した排気吹出風路16EAと給気吹出空間15SAが、風路形成部材12で隔絶される。
これにより、熱交換型換気装置1Aは、外気吸込口10OA、外気吸込風路16OA、外気吸込空間15OA、熱交換素子2の第1の熱交換風路20a、給気吹出空間15SA、給気ファン3SA及び給気吹出口10SAが連通した給気風路17SAが形成される。
また、熱交換型換気装置1Aは、還気吸込口10RA、還気吸込空間15RA、熱交換素子2の第2の熱交換風路20b、排気吹出空間15EA、排気ファン3EA、排気吹出風路16EA及び排気吹出口10EAが連通した排気風路17EAが形成される。
熱交換型換気装置1Aは、熱交換素子2の第2の熱交換風路20bをバイパスさせるバイパス風路18を備える。熱交換型換気装置1Aは、還気吸込空間15RAの後面側に設けた開口でバイパス風路入口18aが形成されると共に、排気吹出空間15EAの後面側に設けた開口でバイパス風路出口18bが形成され、還気吸込空間15RAと排気吹出空間15EAとが連通する空間を、熱交換素子2の後方の風路形成部材12に設けて、バイパス風路18が形成される。
熱交換型換気装置1Aは、バイパス風路18を開閉する風路開閉ダンパ4を備える。熱交換型換気装置1Aは、還気吸込空間15RAに設けたバイパス風路入口18aに、この開口を開閉する構成を有した風路開閉ダンパ4が取り付けられる。
図6は、本実施の形態の風路開閉ダンパの一例を示す斜視図で、図6(a)は、風路開閉ダンパを閉じた状態を示し、図6(b)は、風路開閉ダンパを開いた状態を示す。風路開閉ダンパ4は、風路開口部40を開閉する開閉板41と、開閉板41を駆動するモータを備えた駆動部42と、風路開口部40が形成されると共に、開閉板41と駆動部42が取り付けられる筐体43を備える。
風路開閉ダンパ4は、風路開口部40の形状、大きさ等に応じて、1枚あるいは複数枚の開閉板41が軸41aを支点として回転可能に筐体43に取り付けられる。駆動部42は、軸41aを回転させることで開閉板41を回転させ、開閉板41で風路開口部40を開閉する。
風路開閉ダンパ4は、開閉板41、駆動部42及び筐体43等の構成要素が組み立てられた組立体が、熱交換型換気装置1Aのバイパス風路入口18aに取り付けられる。
これにより、熱交換型換気装置1Aは、風路開閉ダンパ4の開閉板41の開閉で、還気RAの全量を熱交換素子2の第2の熱交換風路20bに通す風路と、還気RAの一部を熱交換素子2の第2の熱交換風路20bに通し、残部をバイパス風路18に通す風路が切り替えられる。ここで、風路開閉ダンパ4は、開閉板41、駆動部42及び筐体43等の構成要素が組み立てられた組立体が、熱交換型換気装置1Aに対して着脱可能に構成される。
熱交換型換気装置1Aは、給気風路17SAに捕集フィルタ5と給気フィルタ6を備える。熱交換型換気装置1Aは、空気が上部から下部へと流れる外気吸込風路16OAに、袋状の捕集フィルタ5が、上方に袋の開口部、下方に袋の底部となる向きで、着脱可能に取り付けられる。捕集フィルタ5は、袋部が捕集対象物と同系色に近い例えば黒等の色がつけられた不織布等で構成される。
また、熱交換型換気装置1Aは、捕集フィルタ5の下流で、外気吸込空間15OAの入口に、給気フィルタ6が装置本体10の前方から着脱可能に取り付けられる。
ここで、熱交換型換気装置1Aは、給気フィルタ6を清掃する機構を備えても良い。フィルタ清掃機構は、例えば、給気フィルタ6の上流側にレールに沿って動作可能なブラシを備える。ブラシは、レールにガイドされて移動することで、給気フィルタ6の空気通過面の全面を通過できる構成を有する。また、フィルタ清掃機構は、給気フィルタ6の下部に受け皿を備え、ブラシの動作で給気フィルタ6から落とした粉塵等を、受け皿で回収する。
<本実施の形態の熱交換型換気装置の制御機能例>
図7は、本実施の形態の熱交換型換気装置の制御機能の一例を示すブロック図で、次に、各図を参照して、本実施の形態の熱交換型換気装置1Aの制御機能について説明する。
熱交換型換気装置1Aは、給気ファン3SAに備えた風量検出センサ32と、排気ファン3EAに備えた風量検出センサ32で検出された風量に基づき、給気ファン3SAのモータ30Mと排気ファン3EAのモータ30Mを制御すると共に、外気OAが通る風路中に備えた温度検出センサ8OAで検出された外気OAの温度に基づき、風路開閉ダンパ4を制御する制御部300を備える。
制御部300は制御手段の一例で、風量検出センサ32のエンコーダ32cから出力される角度情報と風量情報のテーブルが設定され、給気ファン3SA及び排気ファン3EAの各風量検出センサ32から出力される角度情報に基づき、給気ファン3SA及び排気ファン3EAのそれぞれの風量を検出する。
制御部300は、給気ファン3SAの風量検出センサ32で検出した風量に基づき、給気ファン3SAで所定の風量が得られるように、給気ファン3SAのモータ30Mに印加される電圧を制御する。また、制御部300は、排気ファン3EAの風量検出センサ32で検出した風量に基づき、排気ファン3EAで給気ファン3SAと同じあるいは異なる所定の風量が得られるように、排気ファン3EAのモータ30Mに印加される電圧を制御する。
また、制御部300は、モータ30Mに印加する電圧情報と、モータ30Mに所定の電圧を印加した場合の目標風量情報のテーブルが設定され、給気ファン3SA及び排気ファン3EAにおいて、モータ30Mに印加した電圧と、各風量検出センサ32で検出した風量に基づき、給気フィルタ6の目詰まり等の負荷の発生の有無を検出する。
熱交換型換気装置1Aは、外気吸込空間15OA等、外気OAが通る風路に、温度検出手段としての温度検出センサ8OAが設けられる。制御部300は、バイパス風路開閉温度情報と、バイパス風路開閉温度情報に基づく風量設定情報が設定され、温度検出センサ8OAで検出された外気OAの温度が、バイパス風路開閉温度情報で設定されるバイパス風路18を開く温度であると、駆動部42を制御して風路開閉ダンパ4でバイパス風路18を開ける。また、風量設定情報に基づき給気ファン3SAと排気ファン3EAの風量を下げる。
ここで、熱交換型換気装置1Aは、還気吸込空間15RA等、還気RAが通る風路に、温度検出手段としての温度検出センサ8RAを設ける構成としても良い。制御部300は、温度検出センサ8OAで検出された外気OAの温度と、温度検出センサ8RAで検出された還気RAの温度の差を算出し、還気RAと外気OAの温度差が、バイパス風路開閉温度情報で設定されるバイパス風路18を開く所定の温度であると、駆動部42を制御して風路開閉ダンパ4でバイパス風路18を開ける。また、風量設定情報に基づき給気ファン3SAと排気ファン3EAの風量を下げる。
更に、外気OAの温度と、還気RAと外気OAの温度差の両方を利用して、バイパス風路18の開閉と、風量を変更する制御を行うこととしても良い。すなわち、バイパス風路18を開閉するバイパス風路開閉温度情報として、還気RAと外気OAとの温度差の値が、外気OAの温度に応じて設定され、外気OAの温度に基づき、バイパス風路18を開閉する還気RAと外気OAとの温度差の値が切り替えられるようにしても良い。
<本実施の形態の換気装置の設置例>
図8は、本実施の形態の熱交換型換気装置が設置される建物の一例を示す模式的な構成図である。熱交換型換気装置1Aは、建物100に設けた設置室101に、捕集フィルタ5を交換する際に開閉される蓋部11bの開閉、及び正面板11aを取り外しての熱交換素子2、給気ファン3SA及び排気ファン3EAの点検、交換等、装置本体10内の所定のメンテナンスが可能な形態で設置される。
熱交換型換気装置1Aは、OAダクトジョイント11OAにOAダクト71OAが接続される。OAダクト71OAは、建物100の天井等に配置され、外壁に設けたOA吸込グリル72OAと接続される。また、熱交換型換気装置1Aは、EAダクトジョイント11EAにEAダクト71EAが接続される。EAダクト71EAは、建物100の天井等に配置され、外壁に設けたEA吹出グリル72EAと接続される。
更に、熱交換型換気装置1Aは、SAダクトジョイント11SAにSAダクト71SAが接続される。SAダクト71SAは、建物100の天井等に配置され、居室102の天井等に設けたSA吹出グリル72SAと接続される。また、熱交換型換気装置1Aは、RAダクトジョイント11RAにRAダクト71RAが接続される。RAダクト71RAは、建物100の天井等に配置され、居室102の天井等に設けたRA吸込グリル72RAと接続される。
<本実施の形態の熱交換型換気装置の動作例>
次に、各図を参照して、本実施の形態の熱交換型換気装置1Aの動作例について説明する。
熱交換型換気装置1Aは、給気ファン3SAの羽根車30が回転駆動されることで、給気ファン3SAのファン吸込口31aから吸い込まれた空気が、ファンケース風路31cを通って給気ファン3SAのファン吹出口31bから吹き出される。
これにより、熱交換型換気装置1Aは、給気ファン3SAが駆動されると、給気風路17SAを通る空気の流れが生じ、OA吸込グリル72OAから外気OAが吸い込まれる。OA吸込グリル72OAから吸い込まれた外気OAは、OAダクト71OAを通り外気吸込口10OAから装置本体10内に吸い込まれる。
外気吸込口10OAから装置本体10内に吸い込まれる外気OAは、外気吸込風路16OAから捕集フィルタ5及び給気フィルタ6を通り、外気吸込空間15OAから熱交換素子2の外気吸込口21OAに導入される。
熱交換素子2に外気吸込口21OAから導入された外気OAは、熱交換素子2の第1の熱交換風路20aを通り、熱交換素子2の給気吹出口21SAから給気吹出空間15SAを通り、給気ファン3SAのファン吸込口31aに吸い込まれる。
給気ファン3SAに吸い込まれた空気は、給気ファン3SAのファン吹出口31bから吹き出され、給気ファン3SAから吹き出された空気は、給気吹出口10SAから給気SAとして装置本体10外へ吹き出される。そして、給気吹出口10SAから吹き出された給気SAは、SAダクト71SAを通り、SA吹出グリル72SAから居室102に吹き出される。
一方、熱交換型換気装置1Aは、排気ファン3EAの羽根車30が回転駆動されることで、排気ファン3EAのファン吸込口31aから吸い込まれた空気が、ファンケース風路31cを通って排気ファン3EAのファン吹出口31bから吹き出される。
これにより、熱交換型換気装置1Aは、排気ファン3EAが駆動されると、排気風路17EAを通る空気の流れが生じ、RA吸込グリル72RAから居室102の空気である還気RAが吸い込まれる。RA吸込グリル72RAから吸い込まれた還気RAは、RAダクト71RAを通り還気吸込口10RAから装置本体10内に吸い込まれる。
還気吸込口10RAから装置本体10内に吸い込まれる還気RAは、還気吸込空間15RAから熱交換素子2の還気吸込口21RAに導入される。熱交換素子2に還気吸込口21RAから導入された還気RAは、熱交換素子2の第2の熱交換風路20bを通り、熱交換素子2の排気吹出口21EAから排気吹出空間15EAを通り、排気ファン3EAのファン吸込口31aに吸い込まれる。
排気ファン3EAに吸い込まれた空気は、排気ファン3EAのファン吹出口31bから吹き出され、排気ファン3EAから吹き出された空気は、排気吹出風路16EAを通り、排気吹出口10EAから排気EAとして装置本体10外へ吹き出される。そして、排気吹出口10EAから吹き出された排気EAは、EAダクト71EAを通り、EA吹出グリル72EAから屋外に吹き出される。
熱交換型換気装置1Aは、熱交換素子2では、外気OAと還気RAの間で熱交換が行われることで、室温に近づけられた給気SAが室内に吹き出され、温度が調整された新鮮な空気(外気OA)が室内に供給される。また、室内の汚れた空気が屋外に排気されて、室温の変動を抑えて換気が行われる。
熱交換型換気装置1Aでは、熱交換素子2の下部の外気吸込口21OAから吸い込まれ、第1の熱交換風路20aを通り、熱交換素子2の上部の給気吹出口21SAから吹き出される空気と、熱交換素子2の上部の還気吸込口21RAから吸い込まれ、第2の熱交換風路20bを通り、熱交換素子2の下部の排気吹出口21EAから吹き出される空気の流れが対向する。これにより、外気OAと還気RAが熱交換し得る距離が長くなり、熱交換効率が向上する。
図9は、バイパス風路の開閉動作を示すフローチャートで、次に、各図を参照して、バイパス風路18を外気OAの温度に基づき開閉する動作について説明する。
制御部300は、図9のステップSA1で、温度検出センサ8OAで検出された外気OAの温度が、バイパス風路開閉温度情報で設定されるバイパス風路18を閉じる温度であると、図9のステップSA2で、駆動部42を制御して、図6(a)に示すように、開閉板41で風路開口部40を閉じた状態として、風路開閉ダンパ4でバイパス風路18のバイパス風路入口18aを閉じる。
また、制御部300は、図9のステップSA1で、温度検出センサ8OAで検出された外気OAと、温度検出センサ8RAで検出された還気RAの温度差が、バイパス風路開閉温度情報で設定されるバイパス風路18を閉じる所定値であるか否かを判断するようにしても良い。更に、外気OAの温度と、還気RAと外気OAの温度差の両方を利用して、バイパス風路18を閉じるか否かを判断するようにしても良い。
また、制御部300は、図9のステップSA3で、風量設定情報に基づき通常の給気及び排気風量となるように、給気ファン3SAと排気ファン3EAの風量を制御する。これにより、室内より吸い込んだ還気RAの全量と外気OAとの間で熱交換が行われる。
制御部300は、図9のステップSA1で、温度検出センサ8OAで検出された外気OAの温度が、バイパス風路開閉温度情報で設定されるバイパス風路18を開く温度であると、図9のステップSA4で、駆動部42を制御して、図6(b)に示すように、開閉板41で風路開口部40を開いた状態として、風路開閉ダンパ4でバイパス風路18のバイパス風路入口18aを開ける。また、制御部300は、図9のステップSA5で、風量設定情報に基づき給気ファン3SAと排気ファン3EAの風量を下げる。
熱交換型換気装置1Aでは、風路開閉ダンパ4が開けられると、排気風路17EAを通る還気RAの一部が、還気吸込空間15RAと排気吹出空間15EAの間で熱交換素子2の第2の熱交換風路20bを通り、排気風路17EAを通る還気RAの残部が、熱交換素子2をバイパスしてバイパス風路18を通る。
春季及び秋季では、屋外と室内の温度差が一般的に小さく、外気OAと還気RAとの間で熱交換を行っても、熱交換前の外気OAと熱交換後の給気SAとの間で温度変化が少ない場合がある。
そこで、制御部300では、春季及び秋季における外気OAの温度、または、還気RAと外気OAの温度差、あるいは、外気OAの温度と、還気RAと外気OAの温度差の両方がバイパス風路開閉温度情報として設定され、例えば、温度検出センサ8OAで検出される外気OAの温度が、春季あるいは秋季に相当する温度であると、風路開閉ダンパ4を開けて、還気RAの一部は熱交換素子2を通し、残部は熱交換素子2をバイパスさせる。熱交換素子2は風路が狭く通気抵抗が大きい。このため、還気RAの一部は熱交換素子2を通し、残部は熱交換素子2をバイパスさせることで、通気抵抗を減らすことができる。
また、外気OAが氷点下になるような冬季では、高湿の還気RAと低温の外気OAとの間で熱交換が行われることで、還気RAの温度が下げられると、熱交換素子2における還気RAの吹出口である排気吹出口21EAが凍結する場合がある。
そこで、制御部300では、冬季における外気OAの温度、または、還気RAと外気OAの温度差、あるいは、外気OAの温度と、還気RAと外気OAの温度差の両方がバイパス風路開閉温度情報として設定され、例えば、温度検出センサ8OAで検出される外気OAの温度が、冬季に相当する温度であると、風路開閉ダンパ4を開けて、還気RAの一部は熱交換素子2を通し、残部は熱交換素子2をバイパスさせる。
これにより、熱交換されておらず温度が下げられていない還気RAが排気吹出空間15EAに吹き出され、熱交換素子2の排気吹出口21EAを暖めることができ、排気吹出口21EAの凍結を防止することができる。
また、風量設定情報に基づき給気ファン3SAと排気ファン3EAの風量を下げることで、給気風量と換気風量が下げられる。給気風量と換気風量が下げられると、外気OA及び還気RAが熱交換素子2を通過する時間が長くなり、熱交換効率が向上する。これにより、還気RAの一部を熱交換素子2を通さずにバイパス風路18でバイパスさせても、室内に低温の空気が給気されることを防ぐことができる。
次に、風量検出センサ32での風量検出及び風量検出に基づく制御について説明する。熱交換型換気装置1Aでは、給気ファン3SAの羽根車30が回転駆動されることで、ファンケース風路31cを通る空気の流れによって、給気ファン3SAに設けた風量検出センサ32のシャッタ部材32aが軸32bを支点に回転する。
制御部300は、風量検出センサ32のエンコーダ32cから出力される角度情報と風量情報のテーブルに基づき、給気ファン3SAの風量検出センサ32から出力されるシャッタ部材32aの角度情報から給気ファン3SAの風量を検出し、給気ファン3SAで所定の風量が得られるように、給気ファン3SAのモータ30Mに印加される電圧を制御する。
また、熱交換型換気装置1Aでは、排気ファン3EAの羽根車30が回転駆動されることで、ファンケース風路31cを通る空気の流れによって、排気ファン3EAに設けた風量検出センサ32のシャッタ部材32aが軸32bを支点に回転する。
制御部300は、角度情報と風量情報のテーブルに基づき、排気ファン3EAの風量検出センサ32から出力されるシャッタ部材32aの角度情報から排気ファン3EAの風量を検出し、排気ファン3EAで所定の風量が得られるように、排気ファン3EAのモータ30Mに印加される電圧を制御する。
熱交換型換気装置1Aでは、給気風路17SAと排気風路17EAは、風路形状の違いや風路長の違いにより一般的に通気抵抗が異なる。そこで、給気ファン3SAと排気ファン3EAのぞれぞれの風量検出センサ32で検出された風量に基づき、給気ファン3SAと排気ファン3EAのぞれぞれのモータ30Mに印加する電圧を変化させることで、給気風路17SAと排気風路17EAとの通気抵抗の違いによらず、給気風量と排気風量を一定にする制御が行われる。また、給気風量と排気風量を異ならせて、給気過多、換気過多とする制御が行われる。
また、制御部300は、モータ30Mに印加する電圧情報と、モータ30Mに所定の電圧を印加した場合の目標風量情報のテーブルに基づき、給気ファン3SA及び排気ファン3EAにおいて、モータ30Mに印加した電圧と、各風量検出センサ32で検出した風量から、給気フィルタ6及び熱交換素子2の目詰まり等の負荷の発生の有無を検出する。
そして、制御部300は、負荷の発生を検出すると、表示あるいは音等を出力する図示しない報知手段で、利用者に通知を行う。ここで、給気フィルタ6を清掃する機構を備えた構成では、風量検出センサ32で検出した風量から負荷の発生を検出すると、給気フィルタ6で目詰まりが発生したと判断し、給気ファン3SA及び排気ファン3EAを停止し、フィルタ清掃機構を作動させることとしても良い。また、一定時間毎等の定期的にフィルタ清掃機構を作動させることとしても良い。
<本実施の形態の熱交換型換気装置の作用効果例>
熱交換型換気装置では、外気OAが氷点下となるような冬季に、高湿の還気RAと低温の外気OAとの間で熱交換が行われると、外気OAの温度に近づけられるように還気RAの温度が下げられることで、熱交換素子において、外気との間で熱交換された還気の吹出口が凍結する場合がある。
このため、外気OAあるいは還気RAを、熱交換素子を通さずにバイパスさせる風路を備え、熱交換素子を通る風路と熱交換素子をバイパスする風路とを切り替えられるようにすることで、例えば、冬季等は外気OAと還気RAとの熱交換をしない風路構成とすれば、還気RAの温度の低下が抑えられ、熱交換素子の凍結を防ぐことができる。
しかし、外気OAと還気RAとの熱交換が行われないことで、冬季であれば室内に低温の空気が給気される。
また、熱交換素子を通る風路と熱交換素子をバイパスする風路が切り替えられて使用されることで、熱交換素子をバイパスする風路を使用する運転時は通気抵抗が増加する。更に、熱交換素子をバイパスする風路の開口面積を大きくすれば通気抵抗は減らすことができるが、装置が大型化する。
一方、給気風量と排気風量の一方、あるいは双方を減らすことで、凍結を抑制することができるが、凍結を完全に防ぐことはできない。また、給気風量を排気風量に対して減らすような運転では、室内から排気される空気の量が給気される空気の量より多くなり、室内の気圧が外気圧に対して負圧になってしまい、窓等の開口部から外気が流入する。
更に、換気動作を停止すれば、熱交換素子に空気が取り込まれなくなり、凍結が防止されるが、換気動作を停止している間は、室内の換気が行われず、24時間換気で必要とされる換気量が確保できない。
これに対して、本実施の形態の熱交換型換気装置1Aでは、還気RAが通る熱交換素子2の第2の熱交換風路20bをバイパスするバイパス風路18を備える。バイパス風路18は、熱交換素子2に還気RAが吸い込まれる還気吸込口21RAに面した還気吸込空間15RAにバイパス風路入口18aが形成され、バイパス風路入口18aにバイパス風路18を開閉する風路開閉ダンパ4を備える。
また、バイパス風路18は、熱交換素子2から熱交換された還気RAが排気EAとして吹き出される排気吹出口21EAに面した排気吹出空間15EAに、バイパス風路出口18bが形成される。
このように、熱交換素子2に還気RAが吸い込まれる還気吸込口21RAに面した還気吸込空間15RAに風路開閉ダンパ4を備えることで、風路開閉ダンパ4を開けると、還気吸込空間15RAが風路の分岐箇所となり、還気吸込空間15RAと連通した還気吸込口10RAから熱交換素子2を通る風路と、還気吸込口10RAからバイパス風路18を通る風路が形成される。
これにより、風路開閉ダンパ4を開けると、還気RAの一部は熱交換素子2を通り、残部は熱交換素子2をバイパスしてバイパス風路18を通る。バイパス風路18を通る還気RAは、バイパス風路出口18bから排気吹出空間15EAに吹き出される。
バイパス風路18を通る還気RAは、外気OAとの熱交換がされておらず温度が下げられていないので、バイパス風路出口18bから排気吹出空間15EAに吹き出される室温に応じた空気で、排気吹出空間15EAに面した熱交換素子2の排気吹出口21EAが暖められる。
還気RAの一部は熱交換素子2を通るので、外気OAと熱交換されて外気OAの温度に応じて温度が下げられた空気が熱交換素子2の排気吹出口21EAから吹き出されるが、バイパス風路18を通る温度が下げられていない空気で熱交換素子2の排気吹出口21EAが暖められるので、排気吹出口21EAの凍結を防止することができる。
また、還気RAの一部は熱交換素子2を通るので、還気RAと熱交換された外気OAを給気SAとして室内に給気することができ、冬季に低温の空気が室内に給気されることを防ぐことができる。
ここで、還気RAは、室温に応じた空気であるので、熱交換素子2の還気吸込口21RAが凍結することは無い。また、外気OAは、冬季では温度は低いものの、水蒸気量が低いため、熱交換素子2の外気吸込口21OAが凍結することは無い。但し、外気OAが熱交換されずに第1の熱交換風路20aを通り給気吹出口21SAから吹き出されると、給気吹出口21SAが凍結する場合がある。
本実施の形態の熱交換型換気装置1Aでは、上述したように、バイパス風路18を使用する運転でも、還気RAの一部は熱交換素子2を通るので、還気RAと熱交換された外気OAを熱交換素子2の給気吹出口21SAから吹き出すことができ、給気吹出口21SAの凍結を防止することができる。従って、熱交換素子2の全体の凍結を防止することができる。
また、風路開閉ダンパ4を開けると、還気吸込空間15RAと連通した還気吸込口10RAから熱交換素子2を通る風路と、還気吸込口10RAからバイパス風路18を通る風路が形成されるので、一方の風路のみを使用する風路構成と比較して、風路の開口面積が拡大する。
これにより、熱交換素子2が凍結する場合がある冬季に加えて、屋外と室内の温度差が小さい春季及び秋季にも風路開閉ダンパ4を開けることで、還気吸込口10RAから熱交換素子2を通る風路と、還気吸込口10RAからバイパス風路18を通る風路の両方を使用することができ、通気抵抗を減らすことができる。
通気抵抗を減らすことで、給気ファン3SA及び排気ファン3EAにおいて所定の風量を得るために必要な羽根車30の回転数を下げることができ、羽根車30の回転数を下げることができれば、羽根車30を駆動するモータ30Mでの消費電力を下げることができると共に、音も下げることができる。
また、バイパス風路18を開く際には、給気ファン3SAと排気ファン3EAの風量を下げることで、給気風量と換気風量が下げられる。給気風量と換気風量が下げられると、外気OA及び還気RAが熱交換素子2を通過する時間が長くなり、熱交換効率が向上する。これにより、還気RAの一部を熱交換素子2を通さずにバイパス風路18でバイパスさせても、室内に低温の空気が給気されることを防ぐことができる。更に、給気風量と排気風量を同一として、風量を下げることで、室内が負圧になることを防止することができる。
熱交換素子を通る風路と熱交換素子をバイパスする風路が切り替えられるようにした換気装置で、一方の風路を開いたときに他方の風路が閉じられるようにした構成では、例えば還気RAの全量を熱交換素子に通す、あるいは全量をバイパスさせるといった切り替えが可能なる。
しかし、風路を切り替える構成が複雑になり、製品のコストアップにつながる。また、上述したように、熱交換素子を通る風路とバイパス風路の切り替えにより一方の風路のみを使用する構成で、通気抵抗を減らすため風路の開口面積を大きくすると、風路を開閉する部材も大型化する。
これに対して、本実施の形態の熱交換型換気装置1Aでは、バイパス風路18を使用する際には、熱交換素子2を通る第2の熱交換風路20bとバイパス風路18の両方を使用する風路構成とした。このため、バイパス風路18を開閉する構成としては、バイパス風路18の入口側である還気吸込空間15RAの一部を開閉するような構成の風路開閉ダンパ4を備えれば良い。
これにより、風路開閉ダンパ4は、図6等に示すように、開閉板41を回転させるような単純な構成で実現でき、製品コストを下げることができる。また、風路開閉ダンパ4は、還気吸込空間15RAの一部を開閉できるような大きさで良く、小型化が可能である。
本実施の形態の熱交換型換気装置1Aでは、給気ファン3SAと排気ファン3EAのそれぞれに風量検出センサ32を備える。本実施の形態では、風量検出センサ32のエンコーダ32cから出力される角度情報と風量情報のテーブルが設定され、給気ファン3SA及び排気ファン3EAの各風量検出センサ32から出力される角度情報に基づき、給気ファン3SA及び排気ファン3EAのそれぞれの風量を検出する。そして、風量検出センサ32で検出した風量に基づき、所定の風量が得られるように、モータ30Mに印加される電圧を制御する。
これにより、給気ファン3SAと排気ファン3EAのぞれぞれの風量検出センサ32で検出された風量に基づき、給気ファン3SAと排気ファン3EAのぞれぞれのモータ30Mに印加する電圧を変化させ、ダクト長のばらつきや外風圧の影響等によらず、風量を一定とする等の制御が可能となる。
上述したように、バイパス風路18を開くと共に、給気ファン3SAと排気ファン3EAの風量を下げる際、給気ファン3SAと排気ファン3EAのぞれぞれの風量検出センサ32で検出された風量に基づき、給気風量と排気風量が同じとなるように制御すれば、室内が負圧になることを防止することができる。
なお、本実施の形態では、シャッタ部材32aの回転角度で風量を検出することで、風路を通る空気の流れを検出する構成としたが、他の風量センサ、風速センサ、圧力センサ等で検出される値に基づき、モータ30Mを制御することとしても良い。
本実施の形態の熱交換型換気装置1Aでは、装置本体10の上面に外気吸込口10OA、給気吹出口10SA、還気吸込口10RA、排気吹出口10EAが配置される。また、外気吸込口10OAと連通した外気吸込風路16OAが、熱交換素子2の一方の側方に配置され、外気OAが装置本体10内で上部から下部へと流れ、装置本体10の下部で熱交換素子2の外気吸込口21OAから吸い込まれ、熱交換素子2内を下部から上部へ流れる。
更に、排気吹出口10EAと連通した排気吹出風路16EAが、熱交換素子2の他方の側方に配置され、還気RAが熱交換素子2内を上部から下部へ流れて外気OAと熱交換された排気EAが、装置本体10内で下部から上部へと流れる。
本実施の形態の熱交換型換気装置1Aでは、このような風路構成としたことで、装置本体10の小型化が可能となる。また、給気ファン3SA及び排気ファン3EAを熱交換素子2の側方に配置し、バイパス風路18を熱交換素子2の背面側に配置することで、熱交換素子2を、装置本体10の前面から着脱可能な構成とすることができると共に、給気ファン3SA及び排気ファン3EAを装置本体の前面から着脱可能な構成とすることができる。
<本実施の形態の熱交換型換気装置の変形例>
図10は、本実施の形態の熱交換型換気装置の変形例を示す構成図である。ここで、図10では、変形例の熱交換型換気装置1Bの風路構成の概要を示している。
変形例の熱交換型換気装置1Bは、凍結防止手段として排気吹出空間15EAにヒータ200を備える。ヒータ200は加熱手段の一例で、熱交換素子2の排気吹出口21EAが面した排気吹出空間15EA内を加熱する。また、ヒータ200を熱交換素子2の排気吹出口21EAに近づけて配置し、排気吹出口21EAを直接的に加熱できるようにしても良い。
これにより、変形例の熱交換型換気装置1Bでは、排気吹出空間15EAに取り込まれる空気である還気RAを利用して、排気吹出空間15EAあるいは排気吹出空間15EAに面した熱交換素子2の排気吹出口21EAの温度を、排気吹出口21EAが凍結しない温度にすることができ、熱交換素子2の凍結を防止することができる。
図11は、本実施の形態の熱交換型換気装置の他の変形例を示す構成図である。ここで、図11では、他の変形例の熱交換型換気装置1Cの風路構成の概要を示している。
他の変形例の熱交換型換気装置1Cは、凍結防止手段として外気OAを暖める温度調整手段を備える構成で、外気OAを暖める温度調整手段として、還気RAを外気吸込空間15OAに流す還流風路201を備える。
他の変形例の熱交換型換気装置1Cでは、排気吹出空間15EAと外気吸込空間15OAを連通させた還流風路201を備えると共に、還流風路201を開閉する還流風路開閉ダンパ202を備える。
他の変形例の熱交換型換気装置1Cでは、風路開閉ダンパ4を開けることで、還気RAが還気吸込空間15RAからバイパス風路18を通り、熱交換素子2の第2の熱交換風路20bをバイパスした空気が排気吹出空間15EAに吹き出される。
また、他の変形例の熱交換型換気装置1Cでは、還流風路開閉ダンパ202を開けることで、排気吹出空間15EAに吹き出された熱交換されていない空気の一部が外気吸込空間15OAに送られ、熱交換素子2の第1の熱交換風路20aに取り込まれる外気OAが暖められる。これにより、他の変形例の熱交換型換気装置1Cでは、外気OA及び還気RAを利用して熱交換素子2の凍結を防止することができる。
上述した各熱交換型換気装置では、外気OAの温度に基づいて風路開閉ダンパ4を開けて、凍結防止運転を行うこととしたが、図示しない操作装置等で予め設定された日付情報に基づき風路開閉ダンパ4を開けて、凍結防止運転を行うこととしても良い。
また、風路開閉ダンパ4は、バイパス風路18の全閉と全開を切り替えるようにしたが、風路開閉ダンパ4の開度を制御して、熱交換素子2を通る空気の風量とバイパス風路18を通る空気の風量の比率を制御するようにしても良い。これにより、熱交換素子2の凍結を防止しつつ、通気抵抗の増減による消費電量と熱交換効率の最適な組み合わせを実現することが可能となる。更に、通気抵抗を減らすためには、給気風路17SA側でも熱交換素子2をバイパスさせるため、例えば、外気吸込空間15OAと給気吹出空間15SAをバイパスさせるバイパス風路を備えることとしても良い。