JP6141236B2 - 画像形成装置、画像形成装置における帯電ローラー寿命警報方法 - Google Patents

画像形成装置、画像形成装置における帯電ローラー寿命警報方法 Download PDF

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Description

本発明は、画像形成装置およびその画像形成装置における帯電ローラー寿命警報方法に関する。
一般に、電子写真方式の画像形成装置は、回転する像担持体に対向して回転することによって前記像担持体を帯電させる帯電ローラーを備える。前記帯電ローラーは、芯金部と、その芯金部の外周面側に形成された導電性のゴムなどの弾性部とを有する。
また、前記帯電ローラーの前記芯金部を含む回路に一定電圧の印加または一定電流の供給を行い、その回路の電流または電圧の測定値から前記帯電ローラーの電気抵抗を算出することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−338749号公報
ところで、前記帯電ローラーが長期間使用されると前記芯金部が腐食するおそれがある。また、前記帯電ローラーの使用環境における温度および湿度が高いほど前記芯金部の腐食の進行速度が速まる。前記芯金部の腐食が進行すると、前記弾性部において帯電性のばらつきが生じ、それが画質に悪影響を及ぼす。
即ち、前記帯電ローラーの使用環境の状況により前記帯電ローラーの寿命が変動する。前記帯電ローラーの寿命は、前記芯金部の腐食に起因する画質の悪化が生じない範囲で前記帯電ローラーを使用可能な期間である。従って、前記帯電ローラーの寿命を推定し、使用時間がその寿命に至る前に前記帯電ローラー交換などのメンテナンスを促す警報を出力できることが重要である。
一般に、前記芯金部の腐食が進行すると前記帯電ローラーの電気抵抗が大きくなる。そのため、前記帯電ローラーの前記芯金部を含む回路に一定電圧の印加または一定電流の供給を行い、その回路の電流または電圧の測定値から前記帯電ローラーの電気抵抗を算出し、その電気抵抗に基づいて前記芯金部の腐食状況を把握することが考えられる。
しかしながら、前記芯金部の腐食が部分的である場合、前記帯電ローラーの電気抵抗の変化はごく小さく、その微小な抵抗の変化を検出することは難しい。そのため、前記帯電ローラーの電気抵抗の変化から前記帯電ローラーの寿命を事前に推定することは難しい。
本発明の目的は、帯電ローラーの使用時間が環境の温度および湿度によって変動する寿命に至る前に警報を出力可能な画像形成装置および画像形成装置における帯電ローラー寿命警報方法を提供することにある。
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、帯電ローラーと、温度センサーと、湿度センサーと、サンプリング部と、寿命消費度合算出部と、警報処理部とを備える。前記帯電ローラーは、像担持体を帯電させるローラーである。前記温度センサーは、前記帯電ローラーの環境の温度を検出するセンサーである。前記湿度センサーは、前記帯電ローラーの環境の湿度を検出するセンサーである。前記サンプリング部は、予め定められたタイミングで前記温度センサーの検出温度および前記湿度センサーの検出湿度を入力する温湿度入力処理を実行する。前記寿命消費度算出部は、前記温湿度入力処理が実行されるごとに、前回および今回に入力された前記検出温度および前記検出湿度各々の代表値を予め定められたモデル式に適用することにより、前記温湿度入力処理の前回の実行時点から今回の実行時点までの期間当たりの前記帯電ローラーの寿命消費度合を算出する。前記モデル式は、前記検出温度の前記代表値および前記検出湿度の前記代表値の各々が大きい場合の方が小さい場合よりも大きな前記寿命消費度合を導出する式である。前記警報処理部は、前記寿命消費度合の積算値が予め定められたしきい値を超えた場合に警報を出力する。
本発明の他の局面に係る画像形成装置における帯電ローラー寿命警報方法は、像担持体を帯電させる帯電ローラーを備える画像形成装置において行われる方法であり、サンプリング工程と、寿命消費度合算出工程と、警報処理工程とを含む。前記サンプリング工程は、予め定められたタイミングで前記帯電ローラーの環境の検出温度および検出湿度を入力する温湿度入力処理を実行する工程である。前記寿命消費度合算出工程は、前記温湿度入力処理が実行されるごとに行われる工程である。前記寿命消費度合算出工程は、前記温湿度入力処理の前回の実行時点から今回の実行時点までの期間当たりの前記帯電ローラーの寿命消費度合を算出する工程である。前記寿命消費度合算出工程は、前回および今回に入力された前記検出温度および前記検出湿度各々の代表値を予め定められたモデル式に適用することにより前記期間当たりの前記寿命消費度合を算出する工程である。
本発明によれば、帯電ローラーの使用時間が環境の温度および湿度によって変動する寿命に至る前に警報を出力可能な画像形成装置および画像形成装置における帯電ローラー寿命警報方法を提供することが可能になる。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成図である。 図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置における帯電ローラー寿命警報処理に関連する機器のブロック図である。 図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置における帯電ローラー寿命警報処理の手順の一例を示すフローチャート図である。 図4は、帯電ローラーの寿命と温度および湿度との関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
[画像形成装置の構成]
まず、図1,2を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の構成について説明する。前記画像形成装置10は、電子写真方式の画像形成装置である。図1が示すように、前記画像形成装置10は、筐体100内にシート供給部2、シート搬送部3、画像形成部4、光走査部5、定着装置6、温度センサー801、湿度センサー802、制御部8および操作表示部80などを備える。
なお、前記画像形成装置10は、例えば、プリンター、コピー機、ファクシミリーまたは複合機などである。前記複合機は、前記プリンターの機能および前記コピー機の機能などを併せ持つ。
前記シート供給部2は、シート受部21およびシート送出部22を備えている。前記シート受部21は、複数の記録シート9を重ねて載置可能に構成されている。前記記録シート9は、紙、コート紙、ハガキ、封筒、およびOHPシートなどのシート状の画像形成媒体である。
前記シート送出部22は、前記記録シート9に接して回転することにより前記記録シート9を前記シート受部21から搬送路30へ向けて送り出す。
前記シート搬送部3は、レジストローラー31、搬送ローラー32および排出ローラー33などを備える。前記レジストローラー31および前記搬送ローラー32が、前記シート供給部2から供給される前記記録シート9を前記画像形成部4へ向けて搬送する。さらに、前記排出ローラー33が画像形成後の前記記録シート9を前記搬送路30の排出口304から排出トレイ101上へ排出する。
前記画像形成部4は、前記シート送出部22から供給されて前記搬送路30を移動中の前記記録シート9の表面に画像を形成する。前記画像形成部4は、ドラム状の感光体41、帯電部42、現像部43、転写部45およびクリーニング部47などを備える。前記帯電部42は帯電ローラー40を備える。なお、前記感光体41は像担持体の一例である。
前記感光体41が回転し、前記帯電部42が前記感光体41の表面を一様に帯電させる。前記帯電部42において、前記帯電ローラー40が、回転する前記感光体41に対向して回転することによって前記感光体41を帯電させる。前記帯電ローラー40は、芯金部401と、その芯金部401の外周面側に形成された導電性のゴムなどの弾性部402を有する。
前記芯金部401は、例えば炭素鋼合金などの金属の基部とその基部の表面に形成された無電解ニッケルのメッキなどの外皮部とを含む。前記外皮部は、例えば3〜15マイクロメートル程度の厚みで形成されている。前記弾性部402は、例えばエピクロルヒドリンゴムなどの導電性ゴムの部材である。前記弾性部402は、前記芯金部401の外周面に接着されている。
前記光走査部5は、レーザー光の照射によって前記感光体41に静電潜像を書き込む。前記現像部43は、現像剤を前記感光体41に供給することによって前記静電潜像を現像する。前記転写部45は、前記感光体41表面の画像(現像剤)を、前記搬送路30を移動中の前記記録シート9に転写する。最後に、前記クリーニング部47が前記感光体41表面に残存する前記現像剤を除去する。
前記定着装置6において、ヒーター611を内包する加熱ローラー61とそれに対向する加圧ローラー62とが、それらの間に画像が形成された前記記録シート9を挟み込みつつ後工程へ送り出す。これにより、前記定着装置6は、前記記録シート9上の前記現像剤を加熱し、前記記録シート9上に画像を定着させる。
前記温度センサー801および前記湿度センサー802は、それぞれ前記画像形成部4(前記帯電ローラー40)が配置されている環境の温度および湿度を計測するセンサーである。前記温度センサー801および前記湿度センサー802は、前記筐体100内または前記筐体100に沿う位置に配置されている。
例えば、前記温度センサー801および前記湿度センサー802は、前記制御部8の位置またはその周辺の位置に取り付けられている。また、前記温度センサー801および前記湿度センサー802が、前記感光体41により近い位置に配置されることも考えられる。
前記温度センサー801は、例えばサーミスターなどである。また、前記湿度センサー802は、例えば高分子容量式湿度センサーまたは高分子抵抗式湿度センサーなどである。また、前記温度センサー801および前記湿度センサー802が一体化された温湿度センサーが採用されることも考えられる。
図2が示すように、前記制御部8は、MPU(Micro Processor Unit)81、メモリー82および信号インターフェイス83などを備えている。
前記MPU81は、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。例えば、前記MPU81は、前記帯電ローラー40の寿命を推定し、使用時間がその寿命に至る前に前記帯電ローラー40のメンテナンスを促す警報を出力する帯電ローラー寿命警報処理などを実行する。前記メモリー82は、前記MPU81に各種の処理を実行させるためのプログラムPr1〜Pr3(コンピュータープログラム)などの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。さらに、前記メモリー82は、前記MPU81が各種データD1,D2を記録および更新することが可能な書き換え可能記憶部でもある。
前記制御部8は、前記MPU81が前記メモリー82に予め記憶された各種の前記プログラムPr1〜Pr3を実行することにより前記画像形成装置10を統括的に制御する。
前記信号インターフェイス83は、前記MPU81とセンサーおよび制御対象機器との間の信号の受け渡しを中継するインターフェイス回路である。前記MPU81は、前記信号インターフェイス83を介して前記温度センサー801、前記湿度センサー802およびその他のセンサーの検出信号(計測信号)を入力する。
以降の説明において、前記MPU81が、前記温度センサー801および前記湿度センサー802の各々から前記信号インターフェイス83を通じて入力する温度および湿度のことをそれぞれ環境温度および環境湿度と称する。
さらに、前記MPU81は、例えば液晶パネルおよび操作ボタンなどを含む前記操作表示部80に操作メニューおよび装置の状態を表す情報などを表示させる。前記MPU81は、前記信号インターフェイス83を通じて前記操作表示部80との間で情報の受け渡しを行う。
ところで、前記帯電ローラー40が長期間使用されると前記芯金部401が腐食するおそれがある。また、前記帯電ローラー40の使用環境における温度および湿度が高いほど前記芯金部401の腐食の進行速度が速まる。前記芯金部401の腐食が進行すると、前記弾性部402において帯電性のばらつきが生じ、それが画質に悪影響を及ぼす。
即ち、前記帯電ローラー40の使用環境の状況により前記帯電ローラー40の寿命が変動する。前記帯電ローラー40の寿命は、前記芯金部401の腐食に起因する画質の悪化が生じない範囲で前記帯電ローラー40を使用可能な期間である。従って、前記帯電ローラー40の寿命を推定し、使用時間がその寿命に至る前に前記帯電ローラー40のメンテナンスを促す警報を出力できることが重要である。
一般に、前記芯金部401の腐食が進行すると前記帯電ローラー40の電気抵抗が大きくなる。そのため、前記帯電ローラー40の前記芯金部401を含む回路に一定電圧の印加または一定電流の供給を行い、その回路の電流または電圧の測定値から前記帯電ローラー40の電気抵抗を算出し、その電気抵抗に基づいて前記芯金部401の腐食状況を把握することが考えられる。
しかしながら、前記芯金部401の腐食が部分的である場合、前記帯電ローラー40の電気抵抗の変化はごく小さく、その微小な抵抗の変化を検出することは難しい。そのため、前記帯電ローラー40の電気抵抗の変化から前記帯電ローラー40の寿命を事前に推定することは難しい。
一方、前記画像形成装置10において、前記MPU81が前記帯電ローラー寿命警報処理を実行する。これにより、前記帯電ローラー40の使用時間が環境の温度および湿度によって変動する寿命に至る前に警報を出力可能である。
[帯電ローラー40の寿命推定方法の説明]
ここで、前記帯電ローラー寿命警報処理についての説明の前に、前記帯電ローラー40の寿命推定方法について説明する。
前記芯金部401の腐食は化学反応である。一般に、反応速度定数kと、単位体積あたりの物質量Vと、反応次数nとの間には次の(1)式の関係が成り立つ。(1)式は、物質量が化学反応(腐食)によって減少する速度は、化学反応前の物質量のn乗に比例することを示す。
Figure 0006141236
一方、前記反応速度定数kは前記環境温度T(絶対温度)および前記環境湿度RH(相対湿度)に依存する。例えば、前記反応速度定数kを次の(2)式で表すことができる。(2)式は、アレニウスモデルに環境の相対湿度をストレス因子として加えたアイリングモデルに従った式である。
Figure 0006141236
(2)式は、活性化エネルギーEと、ボルツマン定数kと、物質固有の定数Aと、前記環境温度T(絶対温度)と、前記環境湿度RH(相対湿度)の関数f(RH)とを含む。前記関数f(RH)は、前記反応速度定数kへの前記湿度RHの寄与度を表す関数である。化学反応(腐食)は、前記湿度RHが高いほど加速するため、例えば、前記関数f(RH)を次の(3)式で表すことが考えられる。なお、(3)式は前記湿度RHと定数Bとを含む。
Figure 0006141236
(3)式は、前記反応速度定数kと前記湿度RHとの正の相関を表す一般的な式であるが、実験により得られる近似関数が前記関数f(RH)に適用されることも考えられる。
例えば、炭素鋼合金などの金属で構成された前記芯金部401の腐食における前記反応次数nが1であるとし、前記芯金部401の酸化(腐食)によって前記芯金部401の物質量Vが減少する場合を考える。この場合、(1)式は次の(4)式に置き換えられる。
Figure 0006141236
次の(5)式は、(4)式の両辺を積分することにより得られる式である。(5)式は、前記芯金部401についての初期の物質量Vと、寿命到達時の物質量Vと、寿命tとを含む。前記寿命到達時の物質量Vは、腐食によって寿命に達したとみなされる状態になったときの前記芯金部401の物質量である。前記寿命tは、前記芯金部401の物質量が前記初期の物質量Vから前記寿命到達時の物質量Vに至るまでに要する時間である。
Figure 0006141236
(5)式に(2)式を代入することによって次の(6)式が得られる。
Figure 0006141236
仮に、前記環境温度Tが一定であるとすると、(6)式は次の(7)式で表される。
Figure 0006141236
(7)式において、V>Vであるので、(7)式を次の(8)式に変形可能である。
Figure 0006141236
(8)式において、両辺の対数をとることによって次の(9)式が得られる。
Figure 0006141236
また、(9)式は次の(10)式と等価である。
Figure 0006141236
(10)式は以下のことを示している。即ち、前記環境湿度RHが一定の環境において、前記寿命tの対数値は、前記環境温度Tの逆数の増大によって線形に単純増加する。同様に、前記環境温度Tが一定の環境において、前記寿命tの対数値は、前記環境湿度RHの逆数の増大によって線形に単純増加する。
また、寿命推定の前提となる前記初期の物質量Vおよび前記寿命到達時の物質量Vが一定である限り、(10)式の右辺の3つ目の項は定数である。従って、(10)式の右辺は、前記環境温度Tの逆数および前記環境湿度RHの逆数の2つを変数とする一次線形多項式であるといえる。即ち、(10)式の右辺は、前記環境温度Tの逆数および前記環境湿度RHの逆数の2つを変数として1つの平面を表す式である。
一般に、前記定数A、前記定数B、前記活性化エネルギーE、前記初期の物質量Vおよび前記寿命到達時の物質量Vを直接測定する事は困難な場合が多い。そのため、(10)式を、その一部が定数α,β,γに置き換えられた次の(11)式に変形することが考えられる。
Figure 0006141236
(11)式における前記定数α,β,γは、前記環境温度および前記環境湿度の条件が異なる複数の腐食試験の結果に基づいて実験的に求められる定数である。前記環境温度T(絶対温度)および前記環境湿度RH(相対湿度)が変化しない場合における前記帯電ローラー40の寿命tは、(11)式に基づいて算出(推定)することができる。なお、(11)式の右辺は、前記環境温度Tの逆数および前記環境湿度RHの逆数の2つを変数とする一次線形多項式であるといえる。
次に、前記環境温度および前記環境湿度が変化する場合について説明する。例えば、初期状態からの寿命に至るまでの期間が、時系列に区分されたn個の要素期間の集合であると考えることができる。ここで、最初の時点から前記要素期間各々の終了時点までの経過時間がt,t,t,・・・,tであるとする。
ここで、前記環境温度および前記環境湿度が前記要素期間ごとにステップ状に変化する環境が、前記帯電ローラー40が前記初期状態から寿命に至るまでの実際の環境に近似すると考えることができる。そこで、前記要素期間各々における前記環境温度(絶対温度)がT,T,T,・・・,Tであるとする。また、前記要素期間各々における前記環境湿度(相対温度)がRH,RH,RH,・・・,RHであるとする。
i番目の前記要素期間における反応速度定数kは、(3)式を(2)式に適用することによって得られる次の(12)式によって表される。なお、iはn以下の自然数である。
Figure 0006141236
また、(5)式の右辺は、前記要素期間各々における物質量の変化量の積分式に置き換えることができる。そのため、(5)式を次の(13)式へ変形することができる。
Figure 0006141236
また、(13)式の右辺における積分の項各々のkiは、前記環境温度および前記環境湿度が一定の下での前記反応速度定数であるため、(13)式を次の(14)式へ変形することができる。
Figure 0006141236
また、前記反応速度定数kが一定である場合、即ち、前記環境温度および前記環境湿度が一定である場合の寿命をteiとすると次の(15)式の関係が成り立つ。
Figure 0006141236
従って、(14)式は次の(16)式へ変形可能である。
Figure 0006141236
(15)式を(16)式へ適用すると、次の(17)式が得られる。
Figure 0006141236
(17)式は次の(18)式へ変形可能である。
Figure 0006141236
さらに、(18)式は次の(19)式へ変形可能である。(19)式において、Δtはi番目の前記要素期間の時間(期間の開始時点から終了時点までの時間)である。
Figure 0006141236
式(19)の右辺におけるシグマ内の式は、k番目の前記要素期間について、その期間における前記環境温度T(絶対温度)および前記環境湿度RH(相対湿度)が一定のまま継続した場合の前記帯電ローラー40の寿命tekに対するk番目の前記要素期間の時間Δtの比を算出する式である。そして、式(19)は、右辺におけるシグマ内の式の算出結果の積算値が1に到達した時点で前記帯電ローラー40が寿命に達することを表している。
即ち、式(19)の右辺におけるシグマ内の式は、前記要素期間ごとの寿命消費度合を算出する式である。k番目の前記要素期間における前記寿命消費度合yは、k番目の前記要素期間における前記環境温度T(絶対温度)および前記環境湿度RH(相対湿度)を次の(20)式に適用することによって算出することができる。
Figure 0006141236
(20)式は、温度および湿度が一定の環境下で前記帯電ローラー40が前記時間Δtの期間使用される場合における前記時間Δt当たりの前記帯電ローラー40の物質量の減量率(減量度合)を算出するモデル式である。(20)式(モデル式)における前記寿命消費度合yは、寿命が1であるとして正規化された寿命消費度合の一例である。前記寿命消費度合yを寿命消費率と称することもできる。
そして、前記MPU81が、前記要素期間ごとに前記寿命消費度合を算出するとともにその寿命消費度合を順次積算し、その積算値が予め定められたしきい値を超えた時点で警報を出力することが考えられる。これにより、前記帯電ローラー40の使用時間が前記環境温度および前記環境湿度によって変動する寿命に至る前に警報を出力することが可能である。なお、寿命が1であるとして正規化された前記寿命消費度合が採用される場合、前記しきい値は1未満である。
前記寿命消費度合yを算出するためには、予め(20)式における定数α,β,γを実験的に明らかにしておく必要がある。図4は、温度条件および湿度条件がそれぞれ異なる9つの試験条件各々の下で前記帯電ローラー40の寿命を測定した9つの試験結果がプロットされた3次元グラフである。
9つの前記試験条件は、前記環境温度Tが293.15K、313.15Kおよび333.15Kのいずれかである3つの温度条件と、前記環境湿度RHが65%、80%および95%のいずれかである3つの湿度条件との組合せである。各試験において、前記帯電ローラー40の寿命tは、試験開始から一定時間が経過するごとに実行される画像形成処理によって得られた画像に白紋が発生した時点までの経過時間である。なお、前記白紋は、前記帯電ローラー40の腐食の進行に起因してハーフトーンの出力画像に現れるノイズ画像である。
また、図4において3つの軸のパラメーターは、それぞれ前記環境温度Tの逆数、前記環境湿度RHの逆数および前記寿命tの自然対数である。図4が示すように、前記環境温度Tの逆数および前記環境湿度RHの逆数の2つを変数とする一次線形多項式、即ち、前記環境温度Tの逆数および前記環境湿度RHの逆数の2つを変数として1つの平面Fを表す式が、前記寿命tの自然対数を算出する近似式となる。
従って、上記の試験結果からも、(11)式に基づいて前記帯電ローラー40の寿命推定を行うことが有効であることがわかる。なお、図4が示す前記平面Fを表す式は、前記定数(α,β,γ)=(8300.33,647.49,−28.70)を(11)式に適用して得られる一次線形多項式である。これらの定数(8300.33,647.49,−28.70)は、最小二乗法によって求められた値である。
[帯電ローラー寿命警報処理]
以下、図3のフローチャートを参照しつつ、前記MPU81が実行する前記帯電ローラー寿命警報処理の一例について説明する。以下の説明において、S1,S2,・・・は、処理手順の識別符号を表す。なお、以下に示される処理は、前記MPU81が前記メモリー82に記憶されたプログラムを実行することによって実現される。
前記MPU81は、図3が示す工程S1〜S7の処理を予め定められたタイミングで実行する。例えば、前記MPU81は、起動するごと、画像形成ジョブが発生もしくは終了するごと、および起動後において予め定められた時間が経過するごと、などのタイミングで工程S1〜S7の処理を実行する。
<工程S1>
まず、前記MPU81は、前回の処理において前記メモリー82に記録した前記環境温度および前記環境湿度の情報と、それらを記録した日時情報とを含む計測データD1を読み出す。前記計測データD1は、後述する工程S3において前記MPU81によって前記メモリー82に記録されるデータである。
工程S1において読み出される前記計測データD1に含まれる前記環境温度および前記環境湿度のことを、それぞれ前回環境温度および前回環境湿度と称する。また、工程S1において読み出される前記計測データD1に含まれる日時のことを前回計測日時と称する。後述するように、前記前回計測日時は、前記MPU81が前回環境温度および前回環境湿度を前記温度センサー801および前記湿度センサー802から入力した日時である。
<工程S2>
また、前記MPU81は、前記温度センサー801および前記湿度センサー802から前記環境温度および前記環境湿度を入力する。この工程S2において前記MPU81が入力する前記環境温度および前記環境湿度のことを、それぞれ今回環境温度および今回環境湿度と称する。また、この工程S2において前記MPU81が前記環境温度および前記環境湿度を入力した日時のことを今回計測日時と称する。
なお、工程S2の処理は、予め定められたタイミングで前記温度センサー801の検出温度および前記湿度センサー802の検出湿度を入力する温湿度入力処理である。工程S1,S2は、前記MPU81がサンプリングプログラムPr1を実行することによって実現されるサンプリング工程の一例である。前記サンプリングプログラムPr1を実行する前記MPU81は、前記温湿度入力処理を実行するサンプリング部の一例である。
<工程S3>
さらに、前記MPU81は、工程S2で入力した前記今回環境温度および前記今回環境湿度の情報と前記今回計測日時の情報とを含む前記計測データD1を前記メモリー82に記録する。ここで記録される前記計測データD1は、次回の処理の工程S1において、前記前回環境温度、前記前回環境湿度および前記前回計測日時を含むデータとして前記MPU81によって読み出される。
なお、工程S1において前記計測データD1が前記メモリー82に未だ記録されていない場合、即ち、工程S1〜S3が最初に実行される場合が考えられる。この場合、例えば前記今回環境温度、前記今回環境湿度および前記今回計測日時が、それぞれ前記前回環境温度、前記前回環境湿度および前記前回計測日時と等しいという仮定の下で、以下の処理が実行されることが考えられる。或いは、工程S1において前記計測データD1が前記メモリー82に未だ記録されていない場合に、以降の工程S4〜S8がスキップされることも考えられる。
<工程S4>
次に、前記MPU81は、前記前回環境温度および前記今回環境温度の代表値である温度代表値と、前記前回環境湿度および前記今回環境湿度の代表値である湿度代表値とを算出する。さらに、前記MPU81は、前記今回計測日時と前記前回計測日時との時間間隔を算出する。前記代表値は、例えば、重み付け平均値などの平均値、最大値または最小値などである。前記代表値が前記平均値であれば、前回および今回の温度および湿度が適度に反映された前記代表値が得られる。
<工程S5>
次に、前記MPU81は、前記温度代表値および前記湿度代表値を例えば(20)式などの予め定められたモデル式に適用することにより、前記時間間隔当たりの前記帯電ローラー40の前記寿命消費度合を算出する。前記モデル式が(20)式である場合、前記温度代表値、前記湿度代表値および前記時間間隔の各々が、(20)式における前記環境温度T(絶対温度)、前記環境湿度RH(相対湿度)および前記時間Δtの各々に代入される。これにより、前記要素期間ごとの前記寿命消費度合yが算出される。
(20)式(前記モデル式)は、前記温度代表値(検出温度の代表値)および前記湿度代表値(検出湿度の代表値)の各々が大きい場合の方が小さい場合よりも大きな前記寿命消費度合yを導出する式である。
より具体的には、(20)式(前記モデル式)は、前記温度代表値Tの逆数および前記湿度代表値RHの逆数の2つを変数とする一次線形多項式の導出値xを指数とする指数関数の導出値に対する前記時間間隔Δtの比率を導出する式である。ここで、前記時間間隔Δtは、前記温湿度入力処理(S1)の前回の実行時点から今回の実行時点までの時間である。このようなモデル式による前記寿命消費度合yの算出処理は、非常に演算負荷が小さい。
即ち、工程S4,S5において、前記MPU81は、前記温湿度入力処理(S1)が実行されるごとに、前回および今回に入力された前記環境温度(検出温度)および前記環境湿度(検出湿度)各々の代表値を予め定められたモデル式に適用する。これにより、前記MPU81は、前記温湿度入力処理(S1)の前回の実行時点から今回の実行時点までの期間当たりの前記帯電ローラー40の前記寿命消費度合yを算出する。
工程S4,S5は、前記MPU81が寿命消費度合算出プログラムPr2を実行することによって実現される寿命消費度合算出工程の一例である。前記寿命消費度合算出プログラムPr2を実行する前記MPU81は、前記寿命消費度合yを算出する処理を実行する寿命消費度合算出部の一例である。なお、前記寿命消費度合yは、前記温湿度入力処理の前回の実行時点から今回の実行時点までの期間当たりの前記帯電ローラー40の寿命消費度合の一例である。
<工程S6>
さらに、前記MPU81は、前記寿命消費度合yの積算値を算出し、その積算値の情報を含む積算値データD2を前記メモリー82に記録する。より具体的には、前記MPU81は、前回の処理において前記メモリー82に記録した前記積算値データD2を読み出し、その積算値データD2に含まれる前記寿命消費度合の積算値に今回算出した前記寿命消費度合を加算する。なお、前記寿命消費度合の積算値の初期値は0である。
<工程S7>
次に、前記MPU81は、前記寿命消費度合yの積算値が予め定められた警報条件を満たすか否かを判定する。例えば、前記警報条件は、前記寿命消費度合yの積算値が予め定められたしきい値Lsを超えたことである。このような警報条件は、シンプルでその判定が容易である。寿命が1であるとして正規化された前記寿命消費度合yが採用される場合、前記しきい値は比較的"1"に近い"1"未満の値である。
そして、前記寿命消費度合yの積算値が前記警報条件を満たさない場合、今回の前記帯電ローラー寿命警報処理は終了する(S7のNO)。
<工程S8>
一方、前記寿命消費度合yの積算値が前記警報条件を満たす場合、前記MPU81は、警報を出力し、これにより、今回の前記帯電ローラー寿命警報処理が終了する。
例えば、前記MPU81は、前記帯電ローラー40の交換などのメンテナンスを促す警報メッセージを前記操作表示部80に出力する。また、前記MPU81が、前記警報メッセージとともに、または、前記警報メッセージに替えて、不図示のスピーカーを通じて警報音を出力することも考えられる。
工程S6〜S8は、前記MPU81が警報処理プログラムPr3を実行することによって実現される警報処理工程の一例である。前記警報処理プログラムPr3を実行する前記MPU81は、前記寿命消費度合yの積算値が前記警報条件を満たす場合に警報を出力する警報処理部の一例である。
以上に示したように、前記帯電ローラー40の環境の温度および湿度が一定でないために前記帯電ローラー40の寿命は変動する。そのような場合においても、前記画像形成装置10は、前記帯電ローラー40の使用時間が寿命に至る前に、即ち、前記帯電ローラー40の腐食が画質に悪影響を及ぼす前に、適切なタイミングで警報を出力することが可能である。
[応用例]
工程S7で用いられる前記警報条件が、複数の条件の論理和条件であることも考えられる。例えば、前記警報条件が、以下の第1条件および第2条件の論理和であることが考えられる。前記第1条件は、前記寿命消費度合yの積算値が前記しきい値Lsを超えたことである。前記第2条件は、前記寿命消費度合yの積算値が前記しきい値Lsよりも小さな第2のしきい値を超えており、かつ、前記寿命消費度合yの積算値の変化率が予め定められた第3のしきい値を超えていることである。
工程S5において、(20)式とは異なる式が前記モデル式として用いられることも考えられる。例えば、前記モデル式が、周知のデータマイニング手法によって図4に示される試験結果から導出されることなども考えられる。
なお、本発明に係る画像形成装置および帯電ローラー寿命警報方法は、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された実施形態及び応用例を自由に組み合わせること、或いは実施形態及び応用例を適宜、変形する又は一部を省略することによって構成されることも可能である。
2 :シート供給部
3 :シート搬送部
4 :画像形成部
5 :光走査部
6 :定着装置
8 :制御部
9 :記録シート
10 :画像形成装置
21 :シート受部
22 :シート送出部
30 :搬送路
31 :レジストローラー
32 :搬送ローラー
33 :排出ローラー
40 :帯電ローラー
41 :感光体
42 :帯電部
43 :現像部
45 :転写部
47 :クリーニング部
61 :加熱ローラー
62 :加圧ローラー
80 :操作表示部
81 :MPU
82 :メモリー
83 :信号インターフェイス
100 :筐体
101 :排出トレイ
401 :帯電ローラーの芯金部
402 :帯電ローラーの弾性部
611 :ヒーター
801 :温度センサー
802 :湿度センサー
D1 :計測データ
D2 :積算値データ
Pr1 :サンプリングプログラム
Pr2 :寿命消費度合算出プログラム
Pr3 :警報処理プログラム

Claims (4)

  1. 像担持体を帯電させる帯電ローラーと、
    前記帯電ローラーの環境の温度を検出する温度センサーと、
    前記帯電ローラーの環境の湿度を検出する湿度センサーと、
    予め定められたタイミングで前記温度センサーの検出温度および前記湿度センサーの検出湿度を入力する温湿度入力処理を実行するサンプリング部と、
    前記温湿度入力処理が実行されるごとに、前回および今回に入力された前記検出温度および前記検出湿度各々の代表値を予め定められたモデル式に適用することにより、前記温湿度入力処理の前回の実行時点から今回の実行時点までの期間当たりの前記帯電ローラーの寿命消費度合を算出する寿命消費度合算出部と、
    前記寿命消費度合の積算値が予め定められたしきい値を超えた場合に警報を出力する警報処理部と、を備え、
    前記モデル式は、前記検出温度の前記代表値および前記検出湿度の前記代表値の各々が大きい場合の方が小さい場合よりも大きな前記寿命消費度合を導出する式である、画像形成装置。
  2. 前記モデル式は、前記検出温度の前記代表値の逆数および前記検出湿度の前記代表値の逆数の2つを変数とする一次線形多項式の導出値を指数とする指数関数の導出値に対する前記温湿度入力処理の前回の実行時点から今回の実行時点までの時間の比率を導出する式である、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記検出温度および前記検出湿度各々の前記代表値は平均値である、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 像担持体を帯電させる帯電ローラーを備える画像形成装置における帯電ローラー寿命警報方法であって、
    予め定められたタイミングで前記帯電ローラーの環境の検出温度および検出湿度を入力する温湿度入力処理を実行するサンプリング工程と、
    前記温湿度入力処理が実行されるごとに、前回および今回に入力された前記検出温度および前記検出湿度各々の代表値を予め定められたモデル式に適用することにより、前記温湿度入力処理の前回の実行時点から今回の実行時点までの期間当たりの前記帯電ローラーの寿命消費度合を算出する寿命消費度合算出工程と、
    前記寿命消費度合の積算値が予め定められたしきい値を超えた場合に警報を出力する警報処理工程と、を含み、
    前記モデル式は、前記検出温度の前記代表値および前記検出湿度の前記代表値の各々が大きい場合の方が小さい場合よりも大きな前記寿命消費度合を導出する式である、画像形成装置における帯電ローラー寿命警報方法。
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