JP6140977B2 - 化合物薄膜太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

化合物薄膜太陽電池およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6140977B2
JP6140977B2 JP2012242632A JP2012242632A JP6140977B2 JP 6140977 B2 JP6140977 B2 JP 6140977B2 JP 2012242632 A JP2012242632 A JP 2012242632A JP 2012242632 A JP2012242632 A JP 2012242632A JP 6140977 B2 JP6140977 B2 JP 6140977B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound semiconductor
electrode
solar cell
film solar
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012242632A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014093399A (ja
Inventor
恭崇 葛本
恭崇 葛本
弘文 吉川
弘文 吉川
真 和泉
真 和泉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2012242632A priority Critical patent/JP6140977B2/ja
Publication of JP2014093399A publication Critical patent/JP2014093399A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6140977B2 publication Critical patent/JP6140977B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/541CuInSe2 material PV cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

本発明は、化合物薄膜太陽電池およびその製造方法に関する。
CIGSまたはCZTSに代表される化合物薄膜太陽電池には、光吸収層となる化合物半導体層の材料特性による高性能化、および化合物半導体層の数μmオーダーへの薄膜化による低コスト化が見込める。そのため、近年、化合物薄膜太陽電池の開発が活発に進められている。
一般に、化合物薄膜太陽電池の製造方法は、真空プロセスを用いて化合物半導体層を形成する真空成膜法と、非真空プロセスを用いて化合物半導体層を形成する非真空成膜法とに分けられる。真空成膜法は、真空下で化合物半導体層を構成する元素(Cu、In、Gaなど)を蒸着またはスパッタリングにより堆積させる工程を含む。そのため、真空成膜法では、材料利用効率が低く、また真空設備の導入およびその維持に多額の費用が必要である。
一方、非真空成膜法は、化合物半導体層を構成する元素を含んだ溶液を基板上に塗布してから焼成するものであり、真空成膜法に比べて材料利用効率が高く且つ設備費用が安価であるというメリットを有する。
非真空成膜法の中でも、Cu、In、Ga、またはSeなどの化合物半導体材料の核部分の周囲が有機配位子で取り囲まれてなるナノ粒子を基板上に塗布してから焼成処理を行うことで化合物半導体層を形成する手法(以下、ナノ粒子塗布焼成法と記載)が好適である。その理由は、ナノ粒子が有機配位子によって溶媒中に凝集することなく良好に分散するからであり、またナノ粒子を用いることによって焼成温度を低くすることができるからである。
ところで、化合物半導体層が太陽光を十分に吸収するためには、その化合物半導体層の厚さを1μm以上とする必要がある。ナノ粒子塗布焼成法を用いて厚さが1μm以上の化合物半導体層を形成しようとすると、ナノ粒子を塗布して焼成するという処理を複数回にわたって繰り返し行う必要がある。その理由は次に示す通りである。粒子の微細化に伴って、核部分に対する有機配位子の体積比が増える。焼成時には有機配位子が各部分から脱離するため、有機配位子の脱離に起因する化合物半導体層の収縮が起こり、その結果、クラックが化合物半導体層に発生する恐れがある。化合物半導体層の厚さが大きくなるにつれて化合物半導体層の収縮量が増加するため、クラックの発生は顕著となる。クラックが化合物半導体層に発生すると、化合物薄膜太陽電池の積層方向におけるリークパスの原因となる。ここで、クラックとは、化合物半導体層の上面から下面へ連続して形成された間隙部分である。
焼成時におけるクラックの発生を防止する手法としては、たとえば特許文献1に、化合物半導体からなる微細粒子を含む有機溶媒中にNaを混合して薄膜太陽電池を製造することが記載されている。この手法では、Naが欠陥の起点において結着剤として作用するため、焼成時に発生する欠陥を抑制できる。
特開2010−225883号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法を用いて化合物半導体層を形成するときであっても、化合物半導体層におけるクラックの発生を抑制できるのは厚さが数百nm以下の化合物半導体層を形成する場合に限られる。実際、特許文献1の実施例においても、1.4μmの厚さの化合物半導体層を形成するために、塗布工程および焼成工程を7回行なっている。このように、従来技術においては、クラックの発生が抑制され且つ太陽光を十分に吸収できる化合物半導体層には、塗布工程および焼成工程を複数回行なう必要があるために製造スループットが低いという課題がある。
さらに、クラックが形成されてない膜を形成することができた場合であっても、形成された化合物半導体層内には膜応力が残存する。そのため、化合物半導体層の剥がれが起こり易く、よって、化合物薄膜太陽電池の耐久性の低下を招くという課題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造スループットの低下を招くことなくナノ粒子塗布焼成法を用いて形成され、太陽光を十分に吸収できる厚さを有し且つクラックの発生が抑制された化合物半導体層を備え、耐久性に優れた化合物薄膜太陽電池を提供することである。
本発明に係る化合物薄膜太陽電池は、基板と、基板上に設けられた第一電極、化合物半導体層、バッファ層および第二電極とを備える。化合物半導体層は、隔離部材によって2以上の化合物半導体部分に分割されている。
隔離部材は、絶縁材料からなっても良いし、有機半導体材料からなっても良い。絶縁材料は、透明絶縁材料であることが好ましい。化合物半導体部分は、複数存在していることが好ましい。化合物半導体部分の厚さは、1μm以上5μm以下であることが好ましい。化合物半導体部分のそれぞれがバッファ層に接する部分の面積は、10000μm2以下であることが好ましい。化合物半導体部分は、Cuと、InおよびGaの少なくとも一方と、SeおよびSの少なくとも一方とを含んでも良いし、Cuと、Znと、Snと、SeおよびSの少なくとも一方とを含んでも良い。
本発明に係る化合物薄膜太陽電池の製造方法は、基板上に、第一電極、化合物半導体層、バッファ層および第二電極を順に形成する工程を備える。化合物半導体層を形成する工程は、化合物半導体材料からなる核部分と核部分の周囲を取り囲む配位子部分とを含むナノ粒子が分散された溶液を第一電極上の少なくとも一部分に塗布する工程と、溶液を第一電極上に塗布することにより形成された塗布膜が2以上の領域に分割された状態で当該塗布膜が形成された基板を焼成する工程とを含む。
化合物半導体層を形成する工程は、塗布膜に対してパターニングを行うことにより塗布膜を2以上の領域に分割する第1の分割工程と、第1の分割工程において塗布膜に形成された貫通孔の内部に隔離部材を形成する工程とをさらに備えていてもよい。または、化合物半導体層を形成する工程は、溶液を塗布する工程の前に、第一電極上であって溶液が塗布される部分を隔離部材によって2以上の領域に分割する第2の分割工程をさらに備えていても良く、溶液を塗布する工程は、第一電極上であって隔離部材によって区画された領域に溶液を塗布する工程を含んでも良い。
溶液を第一電極上の少なくとも一部分に塗布する工程と溶液が塗布された基板を焼成する工程との間に、溶液を乾燥させる工程を行うことが好ましい。
ナノ粒子の直径は、1nm以上100nm以下であることが好ましい。化合物半導体材料は、Cuと、InおよびGaの少なくとも一方と、SeおよびSの少なくとも一方とを含んでも良いし、Cuと、Znと、Snと、SeおよびSの少なくとも一方とを含んでも良い。
本発明に係る化合物薄膜太陽電池によれば、製造スループットの低下を招くことなくナノ粒子塗布焼成法を用いて形成され、太陽光を十分に吸収できる厚さを有し、かつクラックの発生が抑制された化合物半導体層を備えた化合物薄膜太陽電池を提供することができる。また、耐久性に優れた化合物薄膜太陽電池を提供することができる。
(a)は本発明の一実施形態に係る化合物薄膜太陽電池の断面図であり、(b)は本発明の一実施形態に係る化合物薄膜太陽電池における化合物半導体層の平面図である。 本発明の別の一実施形態に係る化合物薄膜太陽電池の断面図である。 本発明のまた別の一実施形態に係る化合物薄膜太陽電池の断面図である。 本発明の一実施形態に係る化合物薄膜太陽電池の製造方法を工程順に示すフロー図である。 本発明の別の一実施形態に係る化合物薄膜太陽電池の製造方法を工程順に示すフロー図である。 (a)は実施例1に係る化合物薄膜太陽電池の平面図であり、(b)は図6(a)に示すVIB−VIB’線におけるセル部分の断面図である。 (a)〜(d)は実施例1に係る化合物薄膜太陽電池の化合物半導体層の形成方法を工程順に示す断面図である。 (a)〜(d)は実施例1に係る化合物薄膜太陽電池の製造方法を工程順に示す平面図である。
以下、本発明の化合物薄膜太陽電池およびその製造方法について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
[化合物薄膜太陽電池の構成]
図1(a)は本発明に係る化合物薄膜太陽電池の構成の一例を示す断面図であり、図1(b)は本発明に係る化合物薄膜太陽電池の構成の一例を示す平面図である。
図1に示す化合物薄膜太陽電池100は、基板11と、基板11上に設けられた第一電極12、化合物半導体層13、バッファ層14、窓層15および第二電極16とを備えている。化合物半導体層13は、隔離部材13bによって2以上の化合物半導体部分13aに分割されている。以下、化合物薄膜太陽電池100を構成する構成要素について説明する。
<基板>
基板11は、たとえば、ガラス板、ポリイミド箔またはステンレス箔などからなることが好ましい。基板11の厚さは特に限定されない。
<第一電極>
第一電極12は、基板11上に設けられており、化合物薄膜太陽電池100内で生じたキャリアを取り出す役割を担う。第一電極12は、キャリアの輸送損失をできるだけ防ぐという役割も担うため、抵抗率が低い材料からなることが好ましい。たとえば、第一電極12は、Mo、Au、Ag、CuまたはAlなどからなる金属電極であっても良いし、ITO(Indium Tin Oxide)またはZnOなどからなる酸化物電極であっても良い。その中でも、第一電極12は、Moからなる金属電極であることが好ましい。これにより、第一電極12と化合物半導体層13との間に良好なオーミック接触が形成されるので、キャリアの輸送損失をさらに防ぐことができる。このような第一電極12の厚さは、50nm以上2000nm以下であることが好ましい。
<化合物半導体層>
化合物半導体層13は、第一電極12上に設けられており、隔離部材13bによって2以上の化合物半導体部分13aに分割されている。そのため、隣り合う化合物半導体部分13aは、互いに接触することなく第一電極12上に設けられている。また、化合物半導体部分13aは第一電極12上に複数設けられていることが好ましい。
化合物半導体部分13aは、太陽光を吸収してキャリアを発生させる役割を担っており、連続膜であることが好ましい。「化合物半導体部分13aが連続膜である」とは、化合物半導体部分13aを構成する化合物半導体材料が第一電極12上に連続して設けられていることを意味し、換言すると、化合物半導体部分13aには当該化合物半導体部分13aを厚さ方向に貫通する空間(たとえばクラック)が存在しないことを意味する。
化合物半導体部分13aは、ナノ粒子塗布焼成法により形成される。一般に、ナノ粒子塗布焼成法における焼成時には、塗布膜に含まれるナノ粒子において配位子部分が核部分から脱離するので、塗布膜の体積が収縮する。しかし、化合物半導体部分13aは、塗布膜が2以上の領域に分割された状態で当該塗布膜が形成された基板11を焼成することにより形成される。そのため、塗布膜を2以上の領域に分割することなく焼成する場合に比べて、塗布膜の体積収縮量を小さく抑えることができる。よって、クラックの発生を伴うことなく化合物半導体部分13aを形成することができるので、連続膜である化合物半導体部分13aが形成される。したがって、電流が、化合物半導体部分13aが形成されている部分において当該化合物半導体部分13aを介さずに、第一電極12とバッファ層14との間を流れること(以下では「リーク電流の発生」と記すことがある。)を防止できる。また、塗布膜の厚さを大きくした場合であっても、塗布膜の体積収縮量を小さく抑えることができる。よって、塗布工程、乾燥工程および焼成工程を繰り返し行わなくても、所望の厚さ(たとえば200nm〜5μm程度)を有し連続膜である化合物半導体部分13aを形成することができる。したがって、ナノ粒子塗布焼成法を用いた化合物半導体層13の製造スループットの低下を防止することができる。さらに、2以上の領域に分割された連続膜である化合物半導体部分13aが形成されるため、焼成後に各領域の化合物半導体部分13aに残存する膜応力を小さく抑えることができる。よって、この膜応力に起因する化合物半導体部分13aの剥がれが起こり難いので、耐久性に優れた化合物薄膜太陽電池を提供できる。以下では、化合物半導体部分13aおよび隔離部材13bの各構成を示す。
化合物半導体部分13aは、化合物半導体材料からなる複数の結晶粒からなり、その結晶粒のサイズは、たとえば1〜5000nmであることが好ましい。ここで、化合物半導体材料とは、2つ以上の原子が共有結合またはイオン結合により結合された半導体材料であり、本発明ではCuとInおよびGaの少なくとも一方とSeおよびSの少なくとも一方とが共有結合またはイオン結合により結合された半導体材料であっても良く、CuとZnとSnとSeおよびSの少なくとも一方とが共有結合またはイオン結合により結合された半導体材料であっても良い。このような化合物半導体材料としては、たとえば、CuInxGa1-x(Sey1-y2(0≦x≦1、0≦y≦1)、CuAlxIn1-x(Sey1-y2(0≦x≦1、0≦y≦1)、CuAlxGa1-x(Sey1-y2(0≦x≦1、0≦y≦1)、AgInxGa1-x(Sey1-y2(0≦x≦1、0≦y≦1)、AgAlxIn1-x(Sey1-y2(0≦x≦1、0≦y≦1)、AgAlxGa1-x(Sey1-y2(0≦x≦1、0≦y≦1)、Cu2ZnSn(Sex1-x4(0≦x≦1)、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、PbSe、PbS、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InAs、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、InGaN、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAsまたはInAlPAsなどが挙げられる。結晶粒のサイズの測定方法としては、たとえば、走査型電子顕微鏡(SEM(Scanning Electron Microscope))または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて化合物半導体層を観察する方法を挙げることができる。
化合物半導体部分13aは、上記化合物半導体材料のうちの1つの化合物半導体材料からなる単一層であっても良いし、上記化合物半導体材料のうちの2つの化合物半導体材料が混合されてなる単一層であっても良いし、化合物半導体材料が異なる2以上の層が積層されて構成されていても良い。
化合物半導体部分13aの厚さは、特に限定されないが、1μm以上であることが好ましく、より好ましくは2μm以上である。太陽電池で主に使用される紫外域から近赤外域までの波長領域において、化合物半導体材料の光吸収係数は凡そ104cm-1以上である。そのため、化合物半導体部分13aは、その厚さが1μmであれば、約90%以上の光を吸収することができる。すなわち、化合物半導体部分13aは、その厚さが1μm以上であれば、入射された光のほとんどを吸収することができる。よって、このような化合物半導体部分13aを有する化合物半導体層13を光吸収層に用いれば、光電変換効率が向上する。また、化合物半導体部分13aの厚さは、5μm以下であることが好ましく、より好ましくは3μm以下である。これにより、材料コストを安く抑えることができる。
化合物半導体部分13aのそれぞれがバッファ層14に接する部分の面積は、10000μm2以下であることが好ましい。これにより、焼成時には、塗布膜の体積収縮量をさらに小さく抑えることができるので、クラックの発生をさらに抑えることができる。よって、リーク電流の発生をさらに防止できる。また、塗布膜の厚さを大きくした場合であっても、塗布膜の体積収縮量をさらに小さく抑えることができる。よって、ナノ粒子塗布焼成法を用いた化合物半導体層13の製造スループットの低下をさらに防止することができる。さらに、形成された化合物半導体部分13aに残存する膜応力を小さく抑えることができる。よって、耐久性に優れた化合物薄膜太陽電池を提供することができる。
一方、化合物半導体部分13aのそれぞれがバッファ層14に接する部分の面積が10000μm2を超えると、焼成時には、塗布膜の体積収縮量を小さく抑えることが難しくなり、よって、クラックの発生を招くことがある。また、形成された化合物半導体部分13aに残存する膜応力を小さく抑えることが難しくなるため、当該膜応力に起因して化合物半導体部分13aが剥がれることがある。また、化合物半導体部分13aのそれぞれがバッファ層14に接する部分の面積が400μm2未満であれば、第一電極12上に設けられる化合物半導体材料の量が低下するため、化合物半導体部分13aでの光吸収率の低下を招くことがある。よって、光電変換効率の低下を招くことがある。
化合物半導体部分13aのそれぞれがバッファ層14に接する部分の面積の求め方としては、たとえば化合物半導体部分13aの表面を光学顕微鏡または電子顕微鏡などで観察して当該箇所の面積を計測するという方法などを挙げることができる。
なお、化合物半導体部分13aの平面形状は図1(b)に示す形状に限定されず、正方形以外の多角形であっても良いし、円形であっても良いし、多角形と円形とが組み合わされた形状であっても良い。
隔離部材13bは、絶縁材料からなっても良いし、有機半導体材料からなっても良い。絶縁材料とは、電気伝導度が凡そ10-8S/cm以下である材料のことであり、無機物であっても良いし、有機物であっても良いし、無機物と有機物との混合であっても良い。無機物としては、たとえば、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化アルミニウム(AlOx)または酸化タンタル(TaOx)などが挙げられる。有機物としては、たとえば、パラキシリレン系ポリマー、ポリイミド(PI)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、エポキシ樹脂(EP)、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA)または有機シリコーン化合物などが挙げられる。
絶縁材料は、透明な絶縁材料からなることが好ましい。これにより、化合物半導体部分13aでの光吸収率の増加を図ることができるので、光電変換効率に優れた化合物薄膜太陽電池100を提供することができる。ここで、「透明な絶縁材料」とは、可視域の光の平均透過率が80%以上である絶縁材料を意味し、可視域の光の平均透過率が90%以上である絶縁材料であることが好ましい。透明な絶縁材料としては、たとえばエチレンビニルアセテート(EVA)樹脂、ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂または酸化シリコン(SiO2)などを挙げることができる。
有機半導体材料とは、半導体特性を有する有機材料のことである。半導体特性を有する材料とは、電気伝導度が凡そ10-8S/cmよりも大きく104S/cm以下である材料のことである。有機半導体材料としては、たとえば、アントラセンまたはペンタセンなどのアセン系材料、C60、C70またはPCBMなどのフラーレン系材料、P3HT、P3OTまたは6Tなどのチオフェン系共役ポリマー、F8、F8BTまたはF8T2などのフルオレン系共役ポリマー、MEH−PPV、MDMO−PPVまたはCN−PPVなどのフェニレンビニレン系ポリマー、銅フタロシアニン、鉛フタロシアニン、水素化フタロシアニンまたはフッ素化銅フタロシアニンなどのフタロシアニン系材料などが挙げられる。隔離部材13bが有機半導体材料からなれば、隔離部材13bにおいても太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換させることができる。よって、キャリアは化合物半導体部分13aだけでなく隔離部材13bにおいても発生するため、化合物半導体層13における光電変換効率を高くすることができる。
隔離部材13bの厚さは、特に限定されない。隔離部材13bの厚さは、図1に示すように化合物半導体部分13aの厚さと同一であっても良いし、図2に示すように化合物半導体部分13aの厚さよりも薄くても良いし、図3に示すように化合物半導体部分13aの厚さよりも厚くても良い。図2〜図3は、それぞれ、本発明に係る化合物薄膜太陽電池の構成の別の一例を示す断面図である。
図2に示す化合物薄膜太陽電池110では、隔離部材13bの厚さが化合物半導体部分13aの厚さよりも薄いので、バッファ層14は化合物半導体層13上だけでなく化合物半導体部分13aの間にも設けられている。つまり、図2に示す化合物薄膜太陽電池110では、化合物半導体層13は、隔離部材13bとバッファ層14の一部分とによって2以上の化合物半導体部分13aに分割されている。このような化合物半導体部分13aは、塗布膜が2以上の領域に分割された状態で当該塗布膜が形成された基板11を焼成することにより形成されるので、連続膜である。よって、図2に示す化合物薄膜太陽電池110は図1に示す化合物薄膜太陽電池100と同様の効果を奏する。
図3に示す化合物薄膜太陽電池120では、隔離部材13bの厚さが化合物半導体部分13aの厚さよりも厚い。つまり、図3に示す化合物薄膜太陽電池120では、化合物半導体層13は、隔離部材13bによって2以上の化合物半導体部分13aに分割されている。このような化合物半導体部分13aは、塗布膜が2以上の領域に分割された状態で当該塗布膜が形成された基板11を焼成することにより形成されるので、連続膜である。したがって、図3に示す化合物薄膜太陽電池120も図1に示す化合物薄膜太陽電池100と同様の効果を奏する。図1に示す化合物薄膜太陽電池100と同様の効果を得るためには、隔離部材13bの厚さは化合物半導体部分13aの厚さに対して2倍以下であることが好ましい。
しかし、隔離部材13bの厚さが化合物半導体部分13aの厚さと同一であれば、化合物半導体層13の上面が平坦となる。そのため、化合物半導体層13とバッファ層14との界面接合が良好となるため、化合物半導体層13とバッファ層14との界面においてピンホールが発生しにくくなる。よって、リーク電流の発生をさらに防止することができる。したがって、隔離部材13bの厚さは、化合物半導体層13の上面が平坦となるように調整されていることが好ましい。
ここで、「ピンホール」は、膜の厚さが薄すぎる場合または層界面の接合が不十分である場合などに生じる電気的リークパスである。一方、「クラック」は、膜の厚さが厚い場合に生じる構造的リークパスである。そのため、ピンホールは、クラックよりも小さい。
化合物半導体層13をその厚さ方向に対して垂直な方向に切断したとき、当該切断面における隔離部材13bの合計占有率はできるだけ低い方が好ましい。これにより、上記切断面における化合物半導体部分13aの合計占有率が高くなるので、隔離部材13bを設けたことに起因する光電変換効率の低下を抑制することができる。つまり、本発明では、連続膜からなり膜応力が残存し難い化合物半導体層13を形成するという観点では、化合物半導体部分13aは複数存在していることが好ましく、化合物半導体部分13aのそれぞれがバッファ層14に接する部分の面積は10000μm2以下であることがより好ましい。しかし、隔離部材13bを設けたことに起因する光電変換効率の低下を防止するという観点では、上記切断面における隔離部材13bの合計占有率は、できるだけ低いことが好ましい。
<バッファ層>
バッファ層14は、化合物半導体層13と窓層15との間に設けられており、化合物半導体層13と窓層15との接合を緩衝する役割を担う。バッファ層14を設けることにより、シャント抵抗の増大およびキャリア再結合の発生の低減などの効果が見込まれる。このような効果を得るためには、化合物半導体層13または窓層15とバッファ層14のバンドラインナップなどを考慮してバッファ層14の材料を適切に選択することが好ましい。たとえば、バッファ層14は、CdS、ZnO、ZnS、ZnMgOまたはZnInSe2などからなることが好ましい。バッファ層14の厚さは、特に限定されず、たとえば30nm以上200nm以下であることが好ましい。
<窓層>
窓層15は、バッファ層14上に設けられており、化合物半導体層13とは逆の導電性を有する半導体材料からなることが好ましく、化合物半導体層13で吸収される太陽光の大半を透過する。たとえば、窓層15は、Al、BまたはInが適量(たとえば1021/cm3程度)ドーピングされたZnOなどからなることが好ましい。窓層15の厚さは、特に限定されず、たとえば200nm以上2000nm以下であることが好ましい。
<第二電極>
第二電極16は、窓層15上に設けられており、第一電極12と同じく化合物薄膜太陽電池100内で生じたキャリアを取り出す役割を担う。第二電極16は、第一電極12と同じく、キャリアの輸送損失をできるだけ防ぐという役割も担うため、抵抗率が低い材料からなることが好ましい。たとえば、第二電極16は、Mo、Au、Ag、CuまたはAlなどからなる金属電極であっても良いし、ITO(Indium Tin Oxide)またはZnOなどからなる酸化物電極であっても良い。その中でも、第二電極16は、Al層またはNi層を密着層とした積層膜からなることが好ましい。これにより、窓層15と第二電極16との間に良好なオーミック接触が形成されるので、キャリアの輸送損失をさらに防ぐことができる。このような第二電極16の厚さは、50nm以上1000nm以下であることが好ましい。
図1に示す化合物薄膜太陽電池100において、基板11、第一電極12、化合物半導体部分13a、隔離部材13b、バッファ層14、窓層15および第二電極16の各材料は上記材料に限定されない。図1に示す化合物薄膜太陽電池100の代表的な構成としては、次に示す構成があげられる。基板11はガラス板であり、第一電極12はMoからなり、化合物半導体部分13aはCuInxGa1-xSe2(0≦x≦1)からなるp型半導体層であり、隔離部材13bはエポキシ樹脂(絶縁材料)またはP3HT(有機半導体材料)からなり、バッファ層14はZnOからなり、窓層15はAlドープZnOからなり、第二電極16はAlからなる。
なお、本発明に係る化合物薄膜太陽電池は、基本的には図1に示す化合物薄膜太陽電池100を構成する要素を備えていることが好ましいが、図1に示す化合物薄膜太陽電池100を構成する要素以外の要素を備えていても良い。図1に示す化合物薄膜太陽電池100を構成する要素以外の要素は、特に限定されないが、窓層15上に設けられた反射防止層であっても良いし、化合物薄膜太陽電池を封止するように設けられた封止層であっても良い。反射防止層は、たとえば、MgF2またはSiO2などからなることが好ましい。封止層は、たとえば、EVA樹脂またはエポキシ樹脂などからなることが好ましい。
[化合物薄膜太陽電池の製造方法]
本発明に係る化合物薄膜太陽電池の製造方法は、本発明に係る化合物薄膜太陽電池を製造する方法である。
具体的には、まず、基板11上に第一電極12を形成する。第一電極12の形成方法としては、たとえば、抵抗加熱もしくは電子ビームなどの真空蒸着法、スパッタリング法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法またはMBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いることができる。第一電極12のパターニングには、たとえば、フォトプロセスを用いたエッチング法、リフトオフ法またはメタルマスクを用いて堆積させる方法などの既存の手法を用いることができる。
次に、第一電極12上に化合物半導体層13を形成する。化合物半導体層13の形成方法については、以下で詳述する。
続いて、化合物半導体層13上にバッファ層14を形成する。バッファ層14の形成方法としては、たとえば、CBD(Chemical Bath Deposition)法と呼ばれる溶液成長法、スパッタリング法またはMOCVD法などを用いることができる。
続いて、バッファ層14上に窓層15を形成する。窓層15の形成方法としては、たとえば、CBD法、スパッタリング法またはMOCVD法などを用いることができる。
続いて、窓層15上に第二電極16を形成する。第二電極16の形成方法としては、たとえば、抵抗加熱または電子ビームなどの真空蒸着法を用いても良いし、スパッタリング法、MOCVD法またはMBE法などを用いても良い。
[化合物半導体層の製造方法]
本発明に係る化合物半導体層の製造方法は、化合物半導体材料からなる核部分と前記核部分の周囲を取り囲む配位子部分とを含むナノ粒子が分散された溶液を第一電極12上の少なくとも一部分に塗布する工程と、溶液を第一電極12上に塗布することにより形成された塗布膜が2以上の領域に分割された状態で塗布膜が形成された基板11を焼成する工程とを含む。これにより、上記[化合物薄膜太陽電池の構成]で示した効果を得ることができる。以下では、図4〜図5を用いて本発明に係る化合物半導体層の製造方法をより具体的に示す。図4〜図5は、それぞれ、本発明に係る化合物半導体層の製造方法の一例を示すフロー図である。
[図4に示す化合物半導体層の製造方法]
図4に示す化合物半導体層の製造方法では、溶液の塗布工程S102と第1の分割工程S104と隔離部材の形成工程S105と焼成工程S106とをこの順に行なう。溶液の塗布工程S102の前に溶液の調製工程S101を行うことが好ましく、溶液の塗布工程S102の後に溶液の乾燥工程S103を行うことが好ましい。
<溶液の調製工程>
溶液の調製工程S101では、ナノ粒子を溶媒に分散または溶解させる。これにより、溶液が調製される。具体的には、必要量のナノ粒子を溶媒中に加えて攪拌または加熱を行なうことにより、ナノ粒子を溶媒中に分散または溶解させることができる。化合物半導体部分13aの材料に応じて、ナノ粒子の材料、溶液の溶媒の種類およびナノ粒子の濃度などを適宜選択することが好ましい。
ナノ粒子は、核部分と、核部分の周囲を取り囲む配位子部分とを有する。ナノ粒子の直径は、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは1〜100nmであり、さらに好ましくは1〜20nmである。ナノ粒子の直径が1〜100nmであれば、ナノ粒子の表面積が大きくなるので、焼成工程S106での焼成温度を低く設定することができる。ナノ粒子の直径を測定する方法としては、たとえば、走査型電子顕微鏡(SEM(Scanning Electron Microscope))または透過型電子顕微鏡(TEM)などを用いてナノ粒子を観察する方法を挙げることができる。
核部分は、化合物半導体材料からなり、化合物半導体部分13aを構成する。核部分を構成する化合物半導体材料(以下では「化合物半導体材料」と記すことがある。)としては、たとえば、CuInxGa1-x(Sey1-y2(0≦x≦1、0≦y≦1)、CuAlxIn1-x(Sey1-y2(0≦x≦1、0≦y≦1)、CuAlxGa1-x(Sey1-y2(0≦x≦1、0≦y≦1)、AgInxGa1-x(Sey1-y2(0≦x≦1、0≦y≦1)、AgAlxIn1-x(Sey1-y2(0≦x≦1、0≦y≦1)、AgAlxGa1-x(Sey1-y2(0≦x≦1、0≦y≦1)、Cu2ZnSn(Sex1-x4(0≦x≦1)、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、PbSe、PbS、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InAs、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、InGaN、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAsまたはInAlPAsなどが挙げられ、最終的に化合物半導体部分13aを構成する材料が選択される。
配位子部分は、有機材料からなり、ナノ粒子を溶媒中に分散させる役割を主に有する。核部分と配位子部分とは、物理吸着などで接していてもよいし、共有結合または配位結合などで化学的に結合していてもよい。配位子部分を構成する有機材料(以下では「配位子材料」と記す)は、たとえば、n−ヘキサンセレノール、n−オクタンセレノール、n−デカンセレノールまたはn−ドデカンセレノールなどのセレノール基を有していることが好ましく、n−ヘキサンチオール、n−オクタンチオール、n−デカンチオール、n−ドデカンチオールまたはメチルベンゼンチオールなどのチオール基を有していることが好ましく、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリクロロシラン、n−アミノプロピルトリメトキシシランもしくはフェニルトリメトシシシランなどのアルコキシシリル基またはクロロシリル基を有していることが好ましく、n−オクタデシルフォスフォニックアシッドなどのホスホン酸基を有していることが好ましい。
配位子材料は、化合物半導体材料と結合可能な官能基を有することが好ましい。これにより、核部分と配位子部分との間に強固な結合が形成される。化合物半導体材料がセレン、硫黄または銀などを含むときには、配位子材料はセレノール基またはチオール基を有することが好ましい。化合物半導体材料がインジウム、銀または銅などを含むときには、配位子材料はアルコキシシリル基またはクロロシリル基から生じるシラノール基を有することが好ましい。化合物半導体材料がアルミニウムなどを含むときには、配位子材料はホスホン酸基を含むことが好ましい。
ナノ粒子を分散させる配位子材料の能力は、溶液に含まれる溶媒の種類に応じて異なる。よって、配位子材料は、以下に述べる溶媒の種類に応じて適宜選択されることが好ましい。
このようなナノ粒子の作製方法は特に限定されない。核部分の作製手法については、たとえば、化合物半導体材料の原料となる各プリカーサ(前駆体)を使って溶媒中でナノサイズの化合物半導体材料を化学合成する方法であってもよいし、化合物半導体材料を物理的に粉砕して微細化する方法であってもよい。また、ナノ粒子の作製方法は、たとえば、核部分と配位子材料とを溶媒中で反応させる液相反応法であってもよいし、核部分を配位子材料の蒸気と反応させる気相反応法であっても良い。
溶液中に含まれる溶媒(以下では「溶媒」と記すことがある)は、メタノールまたはエタノールなどのアルコール系溶媒であっても良いし、ヘキサン、オクタン、デカンまたはドデカンなどのアルキル系溶媒であっても良いし、ベンゼンまたはトルエンなどの芳香族系溶媒であってもよい。溶媒は、このような有機溶媒に限定されず、酸性、中性または塩基性を示す水系溶媒であってもよい。溶媒の種類は、ナノ粒子の各特性に応じて選択されることが好ましく、ナノ粒子が溶媒などにより分解または酸化などの反応を起こさないような材料であることが好ましい。たとえば、ナノ粒子が酸化されやすい場合には、溶媒としては、蒸留などの手法で脱水した有機溶媒または窒素バブリングなどの処理で脱酸素した有機溶媒を用いることが好ましい。
なお、核部分と配位子部分とが物理吸着などの弱い力で接していた場合、超音波などを用いた強力な撹拌手法を用いて溶液を調製すると核部分と配位子部分との接合が解除されるおそれがある。そのため、溶液の調製工程S101においてナノ粒子を攪拌させる手法には、留意が必要である。
<溶液の塗布工程>
溶液の塗布工程S102では、溶液の調製工程S101で調製された溶液を第一電極12上に塗布する。溶液を塗布する方法としては、たとえばスクリーン印刷法、キャスト法、ドクターブレードコート法、ディップ法またはスピンコート法などを挙げることができる。これらのいずれの手法を用いて溶液を第一電極12上に塗布しても良く、目的に応じた塗布手法を選択することが好ましい。
なお、溶液を第一電極12上に塗布する前に、第一電極12上に存在する不純物を除去することが好ましい。たとえば、第一電極12が形成された基板11に対して超音波洗浄またはUVオゾンアッシングなどの洗浄処理を行うことが好ましい。
<溶液の乾燥工程>
溶液の乾燥工程S103では、上記溶液の塗布工程S102において溶液を第一電極12上に塗布することにより形成された塗布膜から溶媒を除去する。これにより、焼成工程S106において塗布膜中の溶媒が突沸することを防止できるため、ボイドの発生を伴うことなく化合物半導体部分13aを形成することができる。よって、化合物半導体部分13aの形成中に当該化合物半導体部分13aの性能低下を招くことを防止できる。
溶液の乾燥工程S103では、加熱、減圧、気体によるブローまたは自然乾燥などを行なうことにより、塗布膜から溶媒を除去することができる。これらの手法を組み合わせて溶液の乾燥工程S103を行なっても良いし、これらの手法のいずれかを用いて溶液の乾燥工程S103を行なっても良い。しかし、どのような手法を用いて溶液の乾燥工程S103を行なう場合であっても、溶媒を塗布膜から緩やかに除去することが肝要である。溶媒を塗布膜から急速に除去すると、塗布膜において溶媒の突沸が起こることがあり、形成された化合物半導体部分13aに多数のボイドが生じることがある。
<第1の分割工程>
第1の分割工程S104では、塗布膜を2以上の領域に分割する。具体的には、塗布膜に対してパターニングを行なって塗布膜に貫通孔101を形成する。このように貫通孔101が塗布膜に形成されることによって塗布膜が2以上の領域に分割される。この第1の分割工程S104を後述の焼成工程S106よりも前に行なえば、焼成工程S106では、塗布膜が2以上の領域に分割された状態で当該塗布膜が形成された基板11を焼成することができる。これにより、上記[化合物薄膜太陽電池の構成]で示した効果を得ることができる。
本工程における塗布膜に対するパターニング方法は特に限定されない。レーザースクライブ法、メカニカルスクライブ法、または、エッチング法もしくはリフトオフ法などのフォトプロセスなどによって、塗布膜の一部分を機械的に除去してもよい。また、インクジェット法またはスクリーン法などの印刷手法を用いて塗布膜を直接パターニングしても良い。
なお、後述の焼成工程S106よりも前に第1の分割工程S104を行なうのであれば、第1の分割工程S104を行なうタイミングは特に限定されない。たとえば、第1の分割工程S104を行ってから溶液の乾燥工程S103を行なってもよい。
<隔離部材の形成工程>
隔離部材の形成工程S105では、塗布膜に形成された貫通孔101を絶縁材料または有機半導体材料で埋める。これにより、貫通孔101の内部に隔離部材13bが形成されることとなる。
本工程における隔離部材13bの形成方法は特に限定されない。絶縁材料からなる隔離部材13bを形成する場合には、エッチング法またはリフトオフ法などのようなフォトプロセスを用いて、貫通孔101を絶縁材料で埋めてもよい。また、インクジェット法もしくはスクリーン法などの印刷手法、メタルマスクを用いた抵抗加熱方法、電子ビームなどの真空蒸着法、または、スパッタリング法を用いて、貫通孔101に直接的に隔離部材13bを形成しても良い。
有機半導体材料からなる隔離部材13bを形成する場合には、たとえば、インクジェット法もしくはスクリーン法などの印刷手法、または、メタルマスクを用いた抵抗加熱などの真空蒸着法を用いて、貫通孔101を有機半導体材料で埋めることが好ましい。有機半導体材料からなる隔離部材13bを形成すれば、隔離部材13bにおいても太陽光が吸収されてキャリアが生成される。よって、光電変換効率に優れた化合物薄膜太陽電池を製造することができる。
なお、隔離部材の形成工程S105は、後述の焼成工程S106の後で行ってもよい。その場合であっても、上記[化合物薄膜太陽電池の構成]で示した効果を十分に得ることができる。
<焼成工程>
焼成工程S106では、塗布膜が隔離部材13bによって2以上の領域に分割された状態で、当該塗布膜が形成された基板11を焼成する。これにより、塗布膜に含まれるナノ粒子では、配位子部分は、加温によって核部分から脱離し、ある温度以上での加温により核部分から容易に脱離する。配位子部分の核部分からの脱離により、塗布膜には空隙が形成される。ここで、配位子部分は核部分同士の凝集を防ぐ役割を担っているので、配位子部分の脱離により核部分同士が凝集して結晶化する。核部分の結晶化により、核部分は大きくなって、最終的に化合物半導体部分13aが形成される。
塗布膜に形成される空隙の体積が大きいと、核部分の結晶化によって空隙を埋めることができず、そのため、形成された化合物半導体膜にはクラックが生じてしまう。しかし、焼成工程S106では、塗布膜が隔離部材13bによって2以上の領域に分割された状態で、当該塗布膜が形成された基板11を焼成する。よって、塗布膜を2以上の領域に分割することなく焼成する場合に比べて、焼成により生じる空隙の体積を小さく抑えることができるので、その空隙は核部分の結晶成長により埋められることとなる。つまり、塗布膜の体積収縮量を小さく抑えることができる。これにより、連続膜である化合物半導体部分13aを形成することができるので、リーク電流の発生を防止することができる。
また、焼成工程S106では、塗布膜の厚さが大きくなっても、塗布膜を2以上の領域に分割することなく焼成する場合に比べて焼成により生じる空隙の体積を小さく抑えることができる。よって、クラックの発生を招くことなく厚さが大きな化合物半導体部分13aを形成することができる。したがって、塗布工程S102、乾燥工程S103および焼成工程S106を繰り返し行わなくても、所望の厚さを有し連続膜である化合物半導体部分13aを形成することができる。これにより、ナノ粒子塗布焼成法を用いた化合物半導体層13の製造スループットの低下を防止することができる。
さらに、焼成工程S106では、クラックの発生を伴うことなく化合物半導体部分13aを形成することができるので、形成された化合物半導体部分13aに残存する膜応力を小さく抑えることができる。よって、この膜応力に起因する化合物半導体部分13aの剥がれが起こり難くなる。したがって、耐久性に優れた化合物薄膜太陽電池を製造することができる。
焼成工程S106における焼成条件は特に限定されない。たとえば、焼成温度は、核部分と配位子部分との間に働く結合力(上述の物理吸着力または化学結合力)が解離する温度以上であることが好ましい。結合力が解離する温度は核部分の材料および配位子部分の材料などに依存するため一概に言えないが概ね150℃以上であると考えられる。よって、焼成温度は150℃以上であることが好ましい。また、化合物半導体部分13aの結晶化時間を短縮するためには、焼成温度は500℃以上であることがより好ましい。また、基板11または隔離部材13bの材料などに応じて、焼成温度を設定することが好ましい。たとえばポリイミドなどからなる基板を用いる場合には、基板11の耐熱性の観点から、焼成温度の上限は400℃程度であることが好ましい。
焼成工程S106での加熱方法としては、たとえば、基板をホットプレート上に置いて加熱をするというものであっても良いし、基板をオーブン中で加熱するというものであっても良い。
焼成工程S106は、溶液の調製工程S101、塗布工程S102および乾燥工程S103よりも高温で行なわれるので、大気雰囲気下でなく不活性雰囲気下で行なわれることが好ましい。特に、焼成温度が500℃程度の高温である場合には、焼成工程S106を不活性雰囲気下で行なうことにより、化合物半導体材料の酸化が防止される。よって、化合物半導体材料が本来有する特性の喪失を防止できる。また、たとえばナノ粒子として水または酸素に弱い材料を用いた場合にも、焼成工程S106を不活性雰囲気下で行なうことが好ましい。ここで、不活性雰囲気とは、アルゴンなどの希ガスまたは窒素などを含む雰囲気であることが好ましい。
なお、形成された化合物半導体部分13aの厚さが所望の値に達していない場合には、塗布工程S102、乾燥工程S103および焼成工程S106を繰り返しおこなって化合物半導体部分13aの厚膜化を図ることができる。このとき、塗布工程S102を行なうたびに溶液の調製工程S101を行なっても良い。
[図5に示す化合物半導体層の製造方法]
図5に示す化合物半導体層の製造方法では、第2の分割工程S201と溶液の塗布工程S202と焼成工程S106とをこの順に行なう。好ましくは、第2の分割工程S201と溶液の調製工程S101と溶液の塗布工程S202と溶液の乾燥工程S103と焼成工程S106とをこの順に行なう。溶液の調製工程S101、溶液の乾燥工程S103および焼成工程S106は図4に示す化合物半導体層の製造方法で説明したとおりである。以下では、図4に示す化合物半導体層の製造方法との相違点を主に示す。
<第2の分割工程>
第2の分割工程S201では、第一電極12上であって溶液が塗布される部分を隔離部材13bによって2以上の領域に分割する。具体的には、第一電極12の上面を複数の領域に区画するように隔離部材13bを第一電極12上に形成する。
本工程における隔離部材13bの形成方法は特に限定されない。エッチング法もしくはリフトオフ法などのようなフォトプロセスを用いても良いし、インクジェット法もしくはスクリーン法などの印刷手法、メタルマスクを用いた抵抗加熱方法、電子ビームなどの真空蒸着法またはスパッタリング法などを用いても良い。
第2の分割工程S201の後、溶液の調製工程S101を行なう。なお、焼成工程S106よりも前に第2の分割工程S201を行なうのであれば、第2の分割工程S201を行なうタイミングは特に限定されない。また、塗布工程S202よりも前に溶液の調製工程S101を行うのであれば、溶液の調製工程S101を行うタイミングは特に限定されない。たとえば第2の分割工程S201の前に溶液の調製工程S101を行っても良い。
<溶液の塗布工程>
溶液の塗布工程S202では、溶液の調製工程S101で調製された溶液を第一電極12上であって隔離部材13bにより区画された領域に塗布する。溶液の塗布方法としては、上記溶液の塗布工程S102で記載した方法を特に限定されることなく用いることができる。
溶液の塗布工程S202の後に、溶液の乾燥工程S103および焼成工程S106を順に行なう。このように図5に示す化合物半導体層の製造方法においても、塗布膜が隔離部材13bによって2以上の領域に分割された状態で当該塗布膜が形成された基板11を焼成する。そのため、図4に示す化合物半導体層の製造方法が奏する効果と同様の効果を得ることができる。
なお、図2〜図3に示す化合物薄膜太陽電池を製造するときには、隔離部材13bの厚さを調整すればよい。
以下、実施例を用いて、本発明の化合物薄膜太陽電池およびその製造方法についてさらに詳細に説明する。
[実施例1]
図6(a)は実施例1に係る化合物薄膜太陽電池の平面図であり、図6(b)は図6(a)に示すVIB−VIB’線におけるセル部分の断面図である。図7(a)〜(d)は本実施例に係る化合物薄膜太陽電池の化合物半導体層の形成方法を工程順に示す断面図であり、図8(a)〜(d)は本実施例に係る化合物薄膜太陽電池の製造方法を工程順に示す平面図である。なお、セル部分27は図6(a)において太線で囲まれた領域である。
まず、図7(a)および図8(a)に示すように、上面の大きさが2cm×2cmのガラス基板21上に、スパッタリングによってMo膜を形成した。これにより、第一電極22がガラス基板21上に形成された。
次に、図7(b)に示すように、第一電極22上に、化合物半導体からなる塗布膜203を形成した。具体的には、まず、溶液の調製工程を行なった。CuInSe2からなる核部分とn−オクタンセレノールからなる配位子部分とを含むナノ粒子(直径が約10nmである)を準備した。このナノ粒子を無水トルエン溶媒に加えて30分間撹拌した。これにより、ナノ粒子の濃度が10wt%である無水トルエン溶液を調製した。
次に、調製された無水トルエン溶液を第一電極22上にキャストして、溶液の塗布工程を行なった。これにより、図7(b)に示すように、塗布膜203が第一電極22上に形成された。
その後、メカニカルスクライブ法により、塗布膜203に貫通孔201を形成した。
その後、溶液の乾燥工程を行なった。ガラス基板21を窒素雰囲気下で15分静置して、塗布膜203から無水トルエン溶媒を簡易的に乾燥させた。その後、ガラス基板21をホットプレート上で120℃で1時間加熱して、塗布膜203から無水トルエン溶媒を完全に除去した。
続いて、焼成工程を行なった。ガラス基板21を窒素雰囲気下でホットプレート上で400℃で1時間加熱した。これにより、図7(c)および図8(b)に示す化合物半導体部分23aが形成された。得られた化合物半導体部分23aのそれぞれの上面の大きさは、50μm×50μmであった。
その後、ディスペンサによってエポキシ樹脂を貫通孔201内に供給した。これにより、図7(d)および図8(b)に示す隔離部材23bが形成された。このようにして、図8(b)に示すように、化合物半導体部分23aが隔離部材23bにより区画されてなる化合物半導体層23が形成された。
なお、溶液の調製工程、溶液の塗布工程、溶液の乾燥工程および焼成工程はいずれも窒素雰囲気下で行なわれた。
形成された化合物半導体層23の断面を電子顕微鏡で観察すると、化合物半導体部分23aの厚さはおよそ1100nmであり、隔離部材23bの厚さは1070nmであった。また、化合物半導体層23は、全体において、クラックのない連続膜であった。これらのことから、わずか1回の化合物半導体層形成プロセスによって、太陽光を十分に吸収できる厚さを有し且つリーク電流の発生の原因となるクラックの発生が抑制された化合物半導体層23を形成することができた。
続いて、図8(c)に示すように、スパッタリングによって、化合物半導体層23上にZnOからなるバッファ層24を形成した。
続いて、図8(d)に示すように、スパッタリングによってバッファ層24上にAlドープZnOからなる窓層25を形成してから、窓層25上にAlからなる第二電極26を形成した。これにより、図6(a)に示す化合物薄膜太陽電池200が製造された。製造された化合物薄膜太陽電池200のセル部分27の面積は2×2mmであった。製造された化合物薄膜太陽電池200に対してAM1.5Gの擬似太陽光を照射してセル特性を測定すると、変換効率は0.44%であった。また、製造された化合物薄膜太陽電池200の断面を電子顕微鏡で観察したが、化合物半導体層23の剥がれは確認されなかった。
[実施例2]
実施例2では、P3HTからなる隔離部材23bを形成したことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、化合物薄膜太陽電池を製造した。具体的には、ディスペンサによってP3HTを貫通孔201内に供給してから、150℃で1時間加熱した。これにより、図7(d)および図8(b)に示す隔離部材23bが形成された。このようにして、図8(b)に示すように、化合物半導体部分23aが隔離部材23bにより区画されてなる化合物半導体層23が形成された。
形成された化合物半導体層23の断面を電子顕微鏡で観察すると、化合物半導体部分23aの厚さはおよそ1100nmであり、隔離部材23bの厚さは1050nmであった。また、化合物半導体層23は、全体において、クラックのない連続膜であった。これらのことから、わずか1回の化合物半導体層形成プロセスによって、太陽光を十分に吸収できる厚さを有し且つリーク電流の発生の原因となるクラックの発生が抑制された化合物半導体層23を形成することができた。
また、製造された化合物薄膜太陽電池200に対してAM1.5Gの擬似太陽光を照射してセル特性を測定すると、変換効率は0.35%であった。また、製造された化合物薄膜太陽電池200の断面を電子顕微鏡で観察したが、化合物半導体層23の剥がれは確認されなかった。
[比較例1]
まず、上記実施例1と同様にして、上面の大きさが2cm×2cmのガラス基板21上に、スパッタリングによってMo膜を形成した。これにより、第一電極22がガラス基板21上に形成された。
次に、ナノ粒子の濃度を30wt%としたことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、溶液を調製した。その後、スピンコートを用いて、調製された溶液を第一電極22上に塗布した。そして、上記実施例1に記載の方法にしたがって溶液の乾燥工程および焼成工程を行ない、メカニカルスクライブ法によるパターニングによって化合物半導体層を形成した。
形成された化合物半導体層の断面を電子顕微鏡で観察すると、化合物半導体層の厚さはおおよそ300nmであり、化合物半導体層の上端からその下端に至るまで連続した間隙部分すなわちクラックが当該化合物半導体層に形成されていた。
化合物半導体層を形成してから、上記実施例1に記載の方法にしたがって比較例1の化合物薄膜太陽電池を製造した。製造された化合物薄膜太陽電池に対してAM1.5Gの擬似太陽光を照射してセル特性を測定したが、リーク電流が大きく、暗状態および光照射状態のいずれの状態においてもダイオード特性が得られなかった。
[比較例2]
比較例2では、溶液の塗布工程、溶液の乾燥工程および溶液の焼成工程を繰り返し4回行ったことを除いては上記比較例1に記載の方法に従って、化合物薄膜太陽電池を製造した。
形成された化合物半導体層の断面を電子顕微鏡で観察すると、化合物半導体層の厚さはおおよそ1000nmであり、化合物半導体層の上端からその下端に至るまで連続した間隙部分すなわちクラックが当該化合物半導体層に形成されていた。
化合物半導体層を形成してから、上記実施例1に記載の方法にしたがって比較例2の化合物薄膜太陽電池を製造した。製造された化合物薄膜太陽電池に対してAM1.5Gの擬似太陽光を照射してセル特性を測定したが、リーク電流が大きく、暗状態および光照射状態のいずれの状態においてもダイオード特性が得られなかった。
[比較例3]
まず、上記実施例1と同様にして、上面の大きさが2cm×2cmのガラス基板21上に、スパッタリングによってMo膜を形成した。これにより、第一電極22がガラス基板21上に形成された。
次に、上記実施例1に記載の方法にしたがって溶液を調製してから、上記比較例1に記載の方法にしたがって溶液を第一電極22上に塗布した。そして、上記実施例1に記載の方法にしたがって溶液の乾燥工程および焼成工程を行ない、メカニカルスクライブ法によるパターニングによって化合物半導体層を形成した。この塗布工程、乾燥工程および焼成工程を繰り返し10回行った。
形成された化合物半導体層の断面を電子顕微鏡で観察すると、化合物半導体層の厚さはおおよそ1020nmであり、化合物半導体層は全体においてクラックのない連続膜であった。
化合物半導体層を形成してから、上記実施例1に記載の方法にしたがって比較例3の化合物薄膜太陽電池を製造した。製造された化合物薄膜太陽電池の断面を電子顕微鏡で観察すると、化合物半導体層の一部に剥がれが確認された。
[考察]
実施例1〜2の結果と比較例1の結果とから、塗布膜を2以上の領域に分割した状態で焼成すれば、塗布工程を1回行うだけでクラックの発生が抑制された化合物半導体部分23a(厚さが1μm程度)を形成できることが分かった。また、実施例1〜2の結果から、隔離部材23bの材料に限定されることなく上記効果が得られることが分かった。
比較例2〜3の結果から、塗布膜が2以上の領域に分割されていない状態で焼成した場合、塗布工程を10回行えばクラックの発生が抑制された化合物半導体部分23a(厚さが1μm程度)を形成できることが分かった。また、実施例1〜2の結果と比較例3の結果とから、塗布膜を2以上の領域に分割した状態で焼成すれば、化合物半導体部分23aの剥がれを防止することもできるということが分かった。これらのことから、実施例1〜2では、良好な特性を有する化合物薄膜太陽電池の量産が可能であると言える。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
11 基板、12,22 第一電極、13,23 化合物半導体層、13a,23a 化合物半導体部分、13b,23b 隔離部材、14,24 バッファ層、15,25 窓層、16,26 第二電極、21 ガラス基板、27 セル部分、100,110,120,200 化合物薄膜太陽電池、101,201 貫通孔、203 塗布膜。

Claims (13)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられた第一電極、化合物半導体層、バッファ層、窓層および第二電極とを備え、
    前記化合物半導体層は、隔離部材によって2以上の化合物半導体部分に分割されており、
    前記化合物半導体部分の厚さは、1μm以上5μm以下であり、
    前記第二電極は、前記窓層上に配置され、
    前記第一電極と前記第二電極とは接しない、化合物薄膜太陽電池。
  2. 前記隔離部材は、絶縁材料からなる請求項1に記載の化合物薄膜太陽電池。
  3. 前記絶縁材料は、透明な絶縁材料である請求項2に記載の化合物薄膜太陽電池。
  4. 前記隔離部材は、有機半導体材料からなる請求項1に記載の化合物薄膜太陽電池。
  5. 前記化合物半導体部分は、複数存在している請求項1〜4のいずれかに記載の化合物薄膜太陽電池。
  6. 前記化合物半導体部分のそれぞれが前記バッファ層に接する部分の面積は、10000μm2以下である請求項1〜5のいずれかに記載の化合物薄膜太陽電池。
  7. 前記化合物半導体部分は、Cuと、InおよびGaの少なくとも一方と、SeおよびSの少なくとも一方とを含む、または、Cuと、Znと、Snと、SeおよびSの少なくとも一方とを含む請求項1〜6のいずれかに記載の化合物薄膜太陽電池。
  8. 基板上に、第一電極、化合物半導体層、バッファ層、窓層および前記窓層上に配置され、かつ、前記第一電極とは接しない第二電極をこの順に形成する工程を備え、
    前記化合物半導体層を形成する工程は、
    化合物半導体材料からなる核部分と前記核部分の周囲を取り囲む配位子部分とを含むナノ粒子が分散された溶液を前記第一電極上の少なくとも一部分に塗布する工程と、
    前記溶液を前記第一電極上に塗布することにより形成された塗布膜が2以上の領域に分割された状態で、前記塗布膜が形成された基板を焼成する工程とを含む、
    前記第一電極と前記第二電極とは接しない、化合物薄膜太陽電池の製造方法。
  9. 前記化合物半導体層を形成する工程は、
    前記塗布膜に対してパターニングを行うことにより前記塗布膜を2以上の領域に分割する第1の分割工程と、
    前記第1の分割工程において前記塗布膜に形成された貫通孔の内部に隔離部材を形成する工程とをさらに備えている請求項8に記載の化合物薄膜太陽電池の製造方法。
  10. 前記化合物半導体層を形成する工程は、前記溶液を塗布する工程の前に、前記第一電極上であって前記溶液が塗布される部分を隔離部材によって2以上の領域に分割する第2の分割工程をさらに備え、
    前記溶液を塗布する工程は、前記第一電極上であって前記隔離部材によって区画された領域に前記溶液を塗布する工程を含む請求項8に記載の化合物薄膜太陽電池の製造方法。
  11. 前記溶液を前記第一電極上の少なくとも一部分に塗布する工程と前記溶液が塗布された基板を焼成する工程との間に、前記溶液を乾燥させる工程を行う請求項8〜10のいずれかに記載の化合物薄膜太陽電池の製造方法。
  12. 前記ナノ粒子の直径は1nm以上100nm以下である請求項8〜11のいずれかに記載の化合物薄膜太陽電池の製造方法。
  13. 前記化合物半導体材料は、Cuと、InおよびGaの少なくとも一方と、SeおよびSの少なくとも一方とを含む、または、Cuと、Znと、Snと、SeおよびSの少なくとも一方とを含む請求項8〜12のいずれかに記載の化合物薄膜太陽電池の製造方法。
JP2012242632A 2012-11-02 2012-11-02 化合物薄膜太陽電池およびその製造方法 Expired - Fee Related JP6140977B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012242632A JP6140977B2 (ja) 2012-11-02 2012-11-02 化合物薄膜太陽電池およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012242632A JP6140977B2 (ja) 2012-11-02 2012-11-02 化合物薄膜太陽電池およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014093399A JP2014093399A (ja) 2014-05-19
JP6140977B2 true JP6140977B2 (ja) 2017-06-07

Family

ID=50937281

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012242632A Expired - Fee Related JP6140977B2 (ja) 2012-11-02 2012-11-02 化合物薄膜太陽電池およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6140977B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111656539A (zh) * 2018-02-05 2020-09-11 索尼公司 半导体膜、光学传感器、固体摄像器件和太阳能电池

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0745846A (ja) * 1993-07-28 1995-02-14 Oki Electric Ind Co Ltd 太陽電池の製造方法
JP2003008039A (ja) * 2001-06-26 2003-01-10 Sharp Corp 化合物太陽電池の製造方法
JP2010225883A (ja) * 2009-03-24 2010-10-07 Honda Motor Co Ltd 薄膜太陽電池の製造方法
JP2011023442A (ja) * 2009-07-14 2011-02-03 Seiko Epson Corp 太陽電池、太陽電池の製造方法
WO2013080766A1 (ja) * 2011-11-30 2013-06-06 京セラ株式会社 光電変換装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014093399A (ja) 2014-05-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20100327258A1 (en) Method for producing core-shell nanowires, nanowires produced by the method and nanowire device comprising the nanowires
CN104937722B (zh) 利用处理量子点溶液制造的中间带半导体、异质结和光电设备,及其相关方法
Kim et al. Fabrication of CuInTe2 and CuInTe2–x Se x Ternary Gradient Quantum Dots and Their Application to Solar Cells
JP6243035B2 (ja) 量子ドット薄膜形成方法
US10529879B2 (en) Photoelectric conversion device including quantum dot layers
US20130092221A1 (en) Intermediate band solar cell having solution-processed colloidal quantum dots and metal nanoparticles
KR20120018165A (ko) 광기전력 전지를 위한 나노파티클 플라즈몬 산란층
KR20100130514A (ko) 유기 태양 전지 및 그 제조방법
US20100326524A1 (en) Organic solar cell and method of fabricating the same
US20160365478A1 (en) Nanostructure material stack-transfer methods and devices
US11638381B2 (en) Thin-film light-emitting device including charge generating junction layer and method of fabricating thin-film light-emitting device
KR101489776B1 (ko) 양자점 태양전지의 제조방법
JP6027738B2 (ja) 化合物半導体層およびその製造方法、ならびに化合物薄膜太陽電池およびその製造方法
US20240114742A1 (en) Display apparatus
JP6140977B2 (ja) 化合物薄膜太陽電池およびその製造方法
KR101489777B1 (ko) 양자점 태양전지의 제조방법
CN113023767B (zh) 改性氧化锌纳米颗粒及其改性方法,及量子点发光二极管
JP2014003129A (ja) 化合物薄膜太陽電池およびその製造方法
KR20120067159A (ko) 그래핀 발광 소자 및 그 제조 방법
JP2014003131A (ja) 化合物薄膜太陽電池およびその製造方法
JP2013222762A (ja) 化合物半導体層およびその製造方法、ならびに化合物薄膜太陽電池およびその製造方法
CN108028288B (zh) 光电转换装置
JP2014236181A (ja) 光電変換素子
KR102632464B1 (ko) 플렉서블 태양전지 모듈의 제조방법 및 이를 이용하여 제조된 플렉서블 태양전지 모듈
KR102317848B1 (ko) 집광형 태양 전지 및 그 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151001

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160624

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160712

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160830

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161115

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170418

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170502

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6140977

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees