JP6140634B2 - 合金微粒子分散液およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金(Au)と銀(Ag)とを構成元素として含む合金微粒子を高濃度に含有する合金微粒子分散液に関する。また、かかる分散液の製造方法に関する。
従来、食器や装飾器等の陶器の彩色においては、鮮やかな赤色材としてカドミウム(Cd)系の材料(例えばカドミウムレッド)が用いられてきた。しかし、Cdは人体にとって有害なことから、これに替わる材料が求められていた。
かかる代替材料の一例として、数〜数十ナノメートル程度の粒径を有する金(Au)ナノ微粒子が挙げられる。Auナノ微粒子は、可視光との相互作用によって鮮やかな赤色を示し得る。また、銀(Ag)と合金化してAuAg合金微粒子とすることにより、色味の微妙に異なる赤色(例えば、濃赤色〜橙色)を自由に産出することもできるため、着色材として有望である。ただし、産業に利用するためには、かかる微粒子を比較的低コストで安定的に生産する必要がある。また、着色材としての使用を考慮すると、高濃度の分散液の態様であることが好ましい。
Auナノ微粒子分散液の合成方法としては、例えば還元剤としてクエン酸を使用する合成方法が知られている(例えば非特許文献1)。しかしながら、本発明者らの検討によれば、かかる合成方法では高濃度はAu微粒子分散液を得ることが困難であった。さらに、かかる合成方法でAuAg合金微粒子分散液を合成しようとすると、Au成分とAg成分で還元に時間差が生じ、これらの合金微粒子を得ることすら容易ではなかった。
また、非特許文献2には、Au塩およびクエン酸ナトリウムを含む水溶液と、Ag塩およびクエン酸ナトリウムを含む水溶液とを別々に加熱した後、これら2液を煮沸状態で混合することによって、AuAg合金微粒子分散液を製造する方法が開示されている。
G.Frens," Controlled nucleation for the Regulation of the particle Size in Monodisperse Gold Suspensions", Nature Phys. Sci. 1973, 241, p.20-22 Edit Csapo et al., Colloids and Surfaces A: Physicochem. Eng. Aspects, 2012, 415, p.281-287
非特許文献2の合成方法では、煮沸状態においてAuイオンとAgイオンの還元が一気に進行し、AuAg合金微粒子を得ることができる。しかしながら、かかる手法では原料濃度が高い条件での合成が困難であり、直接的に(濃縮せずに)高濃度の分散液を得ることができなかった。
本発明はこれらの事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、原料濃度が高い条件で合成することで(濃縮せずに)高濃度なAuAg合金微粒子分散液を提供することにある。関連する他の目的は、かかる合金微粒子分散液を簡便かつ安定的に製造する方法を提供することにある。
本発明により、金(Au)と銀(Ag)とを構成元素として含む合金微粒子の分散液が提供される。かかる合金微粒子分散液は、(1)吸光光度計を用いて測定される極大吸収波長が520nm以下であり、(2)上記合金微粒子の構成金属元素換算のモル濃度が10mM以上であり、(3)静置状態において上記合金微粒子を含む沈殿物が視覚上認められない、ことを特徴とする。
ここに開示される合金微粒子分散液は、AuAg合金微粒子を含むために極大吸収波長が520nm以下であり、濃い赤色を呈する。また、構成金属元素換算のモル濃度が10mM以上と高濃度であるにもかかわらず、凝集がなく、安定な分散状態が保たれている。したがって、本発明によれば発色性に優れた高濃度のAuAg合金微粒子分散液を安定的に提供することができる。
なお、本明細書において「構成金属元素換算のモル濃度」とは、合金微粒子を構成する金(Au)元素のモル濃度MAuと銀(Ag)元素のモル濃度MAgとの総和(MAu+MAg)をいう。また、本明細書において「極大吸収波長」とは、合金微粒子分散液を精製水で希釈して当該合金微粒子の構成金属元素換算のモル濃度を約0.2mMに調製した後、吸光光度計を用いてUV−vis吸収スペクトルを測定したときに、吸光強度の最も大きな吸収波長をいう。また、本明細書において「静置状態において沈殿物が視覚上認められない」とは、巨視的にみて当該合金微粒子分散液が静止した状態(典型的には12時間以上放置した後の状態、例えば半日乃至2日静置した後の状態)にあるときに、粗大粒子の存在や沈殿が視認されないことをいう。
ここで開示される合金微粒子分散液の好適な一態様では、上記構成金属元素換算のモル濃度が80mM以下である。これにより、合金微粒子の凝集や沈殿を一層高度に抑制することができ、より安定性に優れた(例えば長期安定性に優れた)分散液を実現することができる。
ここで開示される合金微粒子分散液の好適な一態様では、合金微粒子の動的光散乱法に基づく多分散性指数(PDI:polydispersity index)が0.6以下である。PDIが上記範囲にあることで、よりシャープではっきりした色みの合金微粒子分散液を安定的に実現することができる。
なお、本明細書において「PDI」とは、合金微粒子分散液を精製水で希釈して当該合金微粒子の構成金属元素換算のモル濃度を約0.2mMに調製した後、動的光散乱法(DLS:Dynamic light scattering)を用いて粒度分布を測定し、得られた結果をキュムラント法で解析した値をいう。かかる値は粒度分布の広さを表す指標となり得、数値が小さいほど粒度分布が狭い(よりシャープである)ことを表している。
ここで開示される合金微粒子分散液の好適な一態様では、上記合金微粒子の動的光散乱法に基づく個数基準の最大頻度粒径が10nm以上20nm以下である。最大頻度粒径が上記範囲にあることで、より鮮やかな発色の合金微粒子分散液を実現することができる。
なお、本明細書において「最大頻度粒径」とは、合金微粒子分散液を精製水で希釈して当該合金微粒子の構成金属元素換算のモル濃度を約0.2mMに調製した後、動的光散乱法(DLS)を用いて粒度分布を測定し、得られた結果を非負最小2乗法(NNLS法)で解析した個数基準の粒度分布において、最もピークの大きな粒径をいう。
また、本発明は、他の側面として、金(Au)と銀(Ag)とを構成元素として含む合金微粒子の分散液を製造する方法を提供する。本発明者らは、原料濃度が高い条件でAuAg合金微粒子分散液の合成を行うべく様々な角度から検討を重ねた。その結果、原料の混合条件や添加のタイミングが重要であるとの結論に至った。また、ナノ微粒子は付着性や凝集性が極めて高いため、粒子の凝集・分散状態の制御が重要である。そこで、本発明者らは、これらの合成条件について更なる鋭意検討を重ね、安定的なAuAg合金微粒子の分散液の合成方法を創出するに至った。
かかる製造方法は、以下の工程:(a)金イオンを含み、還元剤を含まない、溶液Aを用意すること;(b)銀イオンと、還元剤と、分散剤と、を含む溶液Bを用意すること;(c)上記溶液Aと上記溶液Bとを、それぞれ60℃以上100℃以下の温度域まで加熱すること;(d)上記温度域において、上記溶液Aと上記溶液Bとを混合・撹拌すること;を包含する。上記(a),(b)において、上記溶液Aおよび上記溶液Bの調製は、上記溶液Aに含まれる上記Auイオンのモル数m1と、上記溶液Bに含まれる上記Agイオンのモル数m2とが、0<(m2/(m1+m2))≦0.3を満たすよう行う。また、上記(d)において、上記溶液Aと上記溶液Bを混合したときの、上記Auイオンのモル濃度M1と上記Agイオンのモル濃度M2の合計モル濃度(M1+M2)が、20mM以上となるよう調製する。かかる製造方法によれば、上述のような性状を備えたAuAg合金微粒子分散液を簡便かつ安定的に製造することができる。
ここに開示されるAuAg合金微粒子分散液は、高濃度であり、かつ金微粒子の固有色である赤色と銀微粒子の固有色である黄色との中間色(例えば鮮やかな赤色)を呈する。このため、着色材(色材、典型的には赤色材)として、供試体を彩色する用途で好適に用いることができる。したがって、本発明の他の側面として、かかる着色材を用いて彩色された器具(例えば食器や装飾器等の陶器)が提供される。当該器具の彩色部位では、例えば数ナノメートル程度の粒径を有するAuAg合金微粒子が緻密に整列し、これによって鮮明な発色を実現し得る。
一実施形態に係る製造方法を説明するためのフローチャートである。 比較例に係る製造方法を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事項であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
≪合金微粒子分散液≫
ここに開示される合金微粒子の分散液は、金(Au)と銀(Ag)とを構成元素として含むAuAg合金微粒子が液状媒体中に分散されてなる分散液(コロイド溶液)である。そして、かかるAuAg合金微粒子分散液は、以下の(1)〜(3)の特徴:
(1)吸光光度計を用いて測定される極大吸収波長が520nm以下であること;
(2)上記合金微粒子の構成金属元素換算のモル濃度が10mM以上であること;
(3)静置状態において上記合金微粒子を含む沈殿物が視覚上認められないこと;
によって特徴づけられる。したがって、その他の性状については特に限定されず、種々の基準に照らして任意に決定し得、例えば種々の成分を配合したりその組成を変更したりすることができる。
一般に、金や銀等の金属微粒子を含む分散液は、表面プラズモン共鳴(SPR:surface plasmon resonance)に起因して紫外〜可視領域にそれぞれ固有の光学的特徴(例えば強い光吸収帯)を有する。上記(1)の条件、すなわち吸光光度計を用いて測定される極大吸収波長が520nm以下であることは、AuとAgとを構成元素とする合金微粒子の存在を示している。ここに開示される分散液の極大波長は520nm以下であって、典型的には510〜520nm、例えば515〜520nmであり得る。このような極大吸収波長を有する分散液は、鮮やかな赤色として視認される。分散液が高濃度である場合は一見すると黒色様であり得るが、希釈することで鮮やかな赤色として視認することができる。なお、分散液の極大波長が520nmを大きく超える場合には、合金微粒子が凝集あるいは沈殿を生じている虞がある。かかる場合、分散液は典型的には青みがかった赤色(赤紫色)を呈し得る。
ここに開示される分散液には、AuAg合金微粒子が高濃度に含有されている。具体的には、上記(2)の条件、すなわち当該合金微粒子の構成金属元素換算のモル濃度が10mM以上であることを満たしている。構成金属元素換算のモル濃度は、典型的には18〜90mMであり、好ましくは20〜80mM、例えば20〜40mMであり得る。ここに開示される分散液は、このように高濃度であるにもかかわらず、上記(3)の条件をも同時に満たしている。すなわち、当該分散液では、高濃度の分散液でありながらも、凝集や沈殿等の発生が高度に抑制されている。
AuAg合金微粒子の化学組成は特に限定されないが、合金微粒子1モルに占めるAgの割合をxとしたときに、Xの値が、0<x≦0.3(典型的には0.1≦x≦0.3)を満たし得る。換言すれば、合金微粒子に占めるAuとAgのモル比が、Au:Ag=9:1〜7:3の範囲であり得る。かかる組成の範囲とすることで、分散液の安定状態を一層高いレベルで維持することができ、優れた長期保存性を実現することができる。また、合金微粒子を高い収率で生成することができる。
ここに開示される技術において、AuAg合金微粒子の平均粒径は特に限定されないが、通常ナノメートルサイズ(1〜1000nm程度)であって、典型的には10〜600nmであり、好ましくは10〜100nmであり、より好ましくは10〜50nmである。これにより、AuAg合金微粒子全体の比表面積が増大し、より少量で鮮やかな発色を実現することができる。あるいは、色ムラの少ない緻密な彩色部位を実現することができる。
なお、本明細書において「平均粒径」とは、合金微粒子分散液を精製水で希釈して当該合金微粒子の構成金属元素換算のモル濃度を約0.2mMに調製した後、動的光散乱法(DLS)を用いて粒度分布を測定し、得られた結果をキュムラント法で解析した値(Z-Average)をいう。
また、AuAg合金微粒子の最大頻度粒径は、典型的には1nm以上であり、例えば3nm以上であり、好ましくは10nm以上である。上記最大頻度粒径とすることで、合金微粒子による発色性を向上し、鮮やかな発色を安定的に得ることができる。また、AuAg合金微粒子の最大頻度粒径は、典型的には50nm以下であり、例えば30nm以下であり、好ましくは20nm以下である。上記最大頻度粒径とすることで、光の散乱の効果を抑え、くすんだ色調や紫〜青みがかった発色となることを防止することができる。
また、AuAg合金微粒子の多分散性指数(PDI)は、典型的には0.6以下であり、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.3以下であり、特には0.2以下であるとよい。PDIの値が小さいほど、すなわち合金微粒子の粒度分布が狭くシャープになるほど、鮮やかな発色の分散液を実現することができる。下限値は特に限定されないが、生産容易性の観点等から0.1以上であるとよい。
液状媒体としては、上記AuAg合金微粒子を均一に分散し得る限りにおいて特に限定されない。例えば、従来からこの種の金属微粒子分散液に用いられている溶媒のうち1種または2種以上を適宜用いることができる。具体的には、大まかにいって水系溶媒と有機溶剤とを考慮することができる。水系溶媒としては、水または水を主体とする混合溶媒が挙げられる。混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る低級アルコールや低級ケトン等有機溶剤が例示される。一方、有機溶剤としては、アミド系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アミン系溶剤、エーテル系溶剤、ニトリル系溶剤、環状エーテル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤等が例示される。
一好適例として、液状媒体全体の80質量%以上(より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上)が水である水系溶媒が挙げられる。なかでも、環境保護や廃棄物削減の観点から、実質的に水からなる水系溶媒(例えば水)が好ましい。
ここに開示される技術において、AuAg合金微粒子は、当該合金微粒子の表面の少なくとも一部に分散剤(保護剤、安定化剤)が付着または配位した態様であり得る。これにより、合金微粒子の粒成長(粗大化)や合金微粒子同士の凝集を高度に抑制することができ、分散系として一層の安定化を実現することができる。かかる分散剤としては、従来公知のもののなかから1種を単独で、または2種以上を組み合せて用いることができる。好適な一態様では、重量平均分子量Mwが1000以上(典型的には1万以上、例えば1万〜10万、好ましくは1万〜6万)の高分子化合物を用いる。このような性状の高分子化合物を用いることで、合金微粒子間に適度な距離を保つことができ、当該合金微粒子の界面をより安定に維持することができる。したがって、本発明の効果を更に高いレベルで実現することができる。かかる高分子化合物の具体例としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド等が例示される。
なお、重量平均分子量Mwは、一般的なゲルクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)の手法によって測定することができる。
上記高分子化合物のなかでも、窒素(N)や硫黄(S)等の非共有電子対を有する元素を備えた化合物、すなわちアミド系化合物やアミン系化合物、チオール系化合物等を好ましく用いることができる。かかる元素はAuAg合金微粒子の表面と特異な結合(例えば、Au−N結合やAu−S結合)を生じ得、これによって当該合金微粒子の表面に安定な保護膜を形成し得る。したがって、一層高いレベルで合金微粒子の安定化を行い得る。特に好ましい一例として、ポリビニルピロリドンが挙げられる。
なお、ここに開示される合金微粒子分散液は、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、上記合金微粒子や液状媒体に加えて他の成分を含み得る。かかる成分としては、例えば未反応の還元剤や分散剤、ならびにこれらの分解物、当該合金微粒子の合成に伴う副生成物(例えばAuまたはAgの塩)、各種添加剤等を考慮することができる。還元剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸等の脂肪族カルボン酸;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;等が例示される。また、添加剤の一例としては、例えば分散液の分散安定性や保存性等を高めることを目的とした、粘度調整剤や酸化防止剤、pH調整剤、防腐剤、可塑剤等が例示される。
≪合金微粒子分散液の製造方法≫
このような高濃度のAuAg合金微粒子分散液を得るためには、例えば反応系中に合金の原料となるAuイオンとAgイオンとを高濃度に混在させた状態で両イオンを還元剤で還元して、AuAg合金微粒子を得るとよい。
図1は、一実施形態に係る製造方法を説明するためのフローチャートである。図1に示す製造方法は、大まかに言って以下のステップ:
(a)金イオンを含み、還元剤を含まない、溶液Aを用意すること;
(b)銀イオンと還元剤と分散剤とを含む溶液Bを用意すること;
(c)溶液Aと上記溶液Bとを、それぞれ60℃以上100℃以下の温度域に加熱すること;および、
(d)上記加熱状態において、上記溶液Aと上記溶液Bとを混合・撹拌すること;
を包含する。かかる態様の製造方法によると、金イオンおよび銀イオンの還元、合金化反応の進行が効率よく進行すると共に、不要な副生成物の生成が最小限に抑制され、AuAg合金微粒子を高収率で(典型的には50モル%以上で、例えば80モル%以上で、好ましくは90モル%以上で、より好ましくは95モル%以上で、特には実質的に100%で)製造することができる。すなわち、かかる製造方法によれば、出来上がった分散液を濃縮して微粒子の濃度を濃くするのではなく、原料濃度が高い条件で合成して初めから高濃度のAuAg合金微粒子分散液を得ることができる。以下、各ステップを説明する。
a.溶液Aの用意
ここに開示される製造方法では、先ず、金イオンを含む溶液Aを用意する。溶液Aは、例えば原料としてのAu源を用意し、これを典型的には室温環境下(例えば25±5℃)において所定の液状媒体中(典型的には水中)に分散または溶解させることで調製し得る。液状媒体としては、例えば上述の水系溶媒や有機溶剤を適宜用いることができる。なかでも、Auイオンの分散性や環境保護等の観点から水系溶媒の使用が好ましい。
例えば液状媒体として水系溶媒(典型的には水)を使用する場合、Au源としては、当該水系溶媒への溶解度が高いイオン化合物を好ましく用いることができる。一好適例として、テトラクロロ金酸(HAuCl)やテトラブロモ金酸(HAuBr)、テトラクロロ金ナトリウム(NaAuCl)等の化合物や、これらの水和物、塩が挙げられる。なかでも、テトラクロロ金酸(典型的には水和物、例えばHAuCl・4HO)の使用が好ましい。溶液AにおけるAuイオンの濃度は、Au源の溶解度を超えない限りにおいて任意に決定することができる。
溶液Aは、実質的に還元剤を含まないことを特徴とする。本発明者らがここに開示される製造方法について検討を開始した当初は、所望のAuAg合金微粒子を得る前にAu成分のみが早期に沈降してしまうことが問題であった。そこで、このようにAu成分と還元剤とを後の合金化開始時(具体的には、(d.還元、合金化工程))まで接触させないこととするものである。これによって、Au成分のみが単独で還元されて析出・沈殿することを防止することができる。
なお、溶液Aには、後述の還元、合金化反応に悪影響を及ぼさない限りにおいて、還元剤を除く他の任意成分を添加することができる。かかる任意成分の一例としては、分散安定性の向上を目的とした分散剤(保護剤)や粘度調整剤、pH調整剤等を考慮することができる。換言すれば、溶液Aには例えば上述のような分散剤を含ませてもよいし、含ませなくてもよい。なお、例えばクエン酸のように分散剤としても還元剤としても機能し得る化合物は、上述のような不具合(すなわちAu成分のみが単独で還元されること)を生じ得るため好ましくなく、ここでいう分散剤には包含されない。例えば、溶液Aに任意成分としての分散剤を添加する場合、Auイオン1モルに対する分散剤の割合は、モノマーとして、通常0〜200モル程度とすることが適当であり、例えば0〜40モルとすることが好ましい。
好適な一態様では、溶液Aが、還元剤に加えて分散剤をも実質的に含まない。これにより、PDIが小さく、単分散状態のAuAg合金微粒子を好適に得ることができる。
溶液Aの調製に際しては、必要に応じて攪拌を行ってもよい。攪拌操作によれば、比較的短時間で均質な溶液Aを安定的に調製することができる。かかる攪拌は、例えばマグネティックスターラーや超音波等の適当な攪拌手段を用いて行うことができる。撹拌する時間は特に限定されないが、例えば数分〜数時間(典型的には1分〜5時間、例えば5分〜1時間)とするとよい。
b.溶液Bの用意
ここに開示される製造方法では、次に、銀イオンと還元剤と分散剤とを含む溶液Bを用意する。溶液Bは、例えば原料として少なくともAg源と還元剤と分散剤とを用意し、これらの原料を、典型的には室温環境下(例えば25±5℃)において、所定の液状媒体中(典型的には水中)に分散または溶解させることで調製し得る。原料を添加する順序は特に限定されず、全ての原料を同時に混合してもよく、何度かに分けて(例えば1種の原料を液状媒体中に分散または溶解させた後、他の原料を添加して分散または溶解させて)行ってもよい。また、適宜撹拌操作を採用し得ることは、上記溶液Aと同様である。
液状媒体としては、例えば上述の水系溶媒や有機溶剤を適宜用いることができる。なかでも、Agイオンの分散性や環境保護等の観点から水系溶媒の使用が好ましい。
Ag源としては、例えば液状媒体として水系溶媒(典型的には水)を使用する場合、当該水系溶媒への溶解度が高いイオン化合物(Ag塩)を好ましく用いることができる。一好適例として、硝酸銀(AgNO)、硫化銀(AgSO)、フッ化銀(AgF)、メタンスルホン酸銀(CHSOAg)等が挙げられる。なかでも硝酸銀の使用が好ましい。溶液BにおけるAgイオンの濃度は、Ag源の溶解度を超えない限りにおいて任意に決定することができる。
ここに開示される技術では、上記溶液Aに含まれる上記Auイオンのモル数m1と溶液Bに含まれるAgイオンのモル数m2とが、0<(m2/(m1+m2))≦0.3(典型的には、0.1≦(m2/(m1+m2))≦0.3)を満たすよう、Agイオン濃度を調製する。これにより、AuイオンとAgイオンとが過不足なく反応し、上述のような組成および性状のAuAg合金微粒子を高収率で得ることができる。また、不要な副生成物の生成を抑制することができる。
還元剤としては特に限定されないが、溶液BのAgが溶液混合前に単独で析出することを防止するために、比較的還元力の弱いものを好ましく用いることができる。これにより、還元反応を比較的緩やかに生じさせることができ、上述のような性状のAuAg合金微粒子を安定して得ることができる。かかる還元剤の具体例としては、上述の脂肪族カルボン酸やアスコルビン酸等が挙げられる。なかでも、AuAg合金微粒子の粒径を上述の範囲内に制御する観点から、クエン酸(C)およびその塩(典型的にはアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩)を好ましく用いることができる。
溶液Bにおける還元剤の添加量は、上記Auイオンを上記Agイオンとともに還元し、合金化するために十分な量であることが好ましい。このような添加量としては、以下の式:還元剤が与える電荷数/{(Auイオンの数×価数)+(Agイオンの数×価数)};が、通常1〜100、例えば2〜20を満たすよう決定するとよい。
分散剤としては特に限定されないが、上述の高分子化合物を好ましく用いることができる。なかでも、非共有電子対を有する元素(典型的には窒素(N)や硫黄(S))を備えた化合物、例えばポリビニルピロリドン(PVP)を好ましく用いることができる。このような分散剤は、一連の還元、合金化反応の反応において、AuAg合金微粒子の核生成速度および粒成長速度を制御するために役立ち得る。また、AuAg合金微粒子分散液において、微粒子の凝集や沈殿を防止するために役立ち得る。すなわち、かかる分散剤の添加により、例えば最大頻度粒径が数十ナノメートル程度に抑制された、および/または、粒子の分散性を表す指標であるPDIが0.6以下に抑えられた合金微粒子を安定的に得ることができる。
溶液Bにおける分散剤の添加量は、合金微粒子の最大頻度粒径を数ナノメートル〜数十ナノメートルサイズ(例えば1〜100nm、特には10〜20nm)に制御しつつ、当該合金微粒子を略100%に近い収率で得るために、合金微粒子を構成する金属イオンのモル数に対して、モノマーとして、通常5〜200モル程度とすることが適当であり、例えば10〜100モルとすることが好ましい。
なお、金属ナノ微粒子の粒成長や凝集を抑制するための手段として、高分子分散剤を用いることは公知の手段であるが、ここに開示されるような高濃度の合金合成においては、濃度が希薄な場合あるいは当該高分子分散剤を含まない場合に比べて含有成分の反応性が高まるため、AuイオンとAgイオンの反応を制御し、これらの金属イオンを略同時に還元してAuAg合金微粒子とすることが難しい。一般的な合金微粒子の合成においては、まず液状媒体にAu塩とAg塩と分散剤とを溶解または分散させ、その後に(例えば加熱を行いながら)還元剤を添加するが、本発明者の検討によれば、かかる方法ではAuAg合金微粒子を得ることが困難である。
c.溶液Aおよび溶液Bの温度調整
ここに開示される製造方法では、次に、適当な加熱装置を用いて、上記溶液Aと上記溶液Bの液温を、それぞれ60℃以上100℃以下の温度域まで加熱する。2種類の溶液を予め60℃以上の温度域まで加熱しておくことで、還元、合金化における反応速度を調整、制御することができる。すなわち、後の(d.還元、合金化工程)において、合金微粒子の核生成および粒成長を一気に進めることができ、ナノメートルサイズの合金微粒子を好適に生じさせることができる。また、生産性や低コストの観点からは、上記加熱する温度を100℃以下(典型的には80℃以下)とするとよい。また、本工程では、かかる加熱を攪拌しながら行うとよい。かかる加熱・撹拌は、例えばマグネティックホットスターラー等を用いて行うことができる。
d.還元、合金化
ここに開示される製造方法では、次に、上記溶液Aと上記溶液Bの液温をそれぞれ上記温度域に保つよう加熱状態を維持したままで、上記溶液Aと上記溶液Bとを一気に混合し、撹拌する。これにより、溶液Aに含まれるAuイオンと溶液Bに含まれるAgイオンとが還元剤によって一気に還元され、液状媒体中にAuとAgを構成元素とする合金微粒子(AuAg合金微粒子)を生じさせることができる。攪拌速度は特に制限されないが、通常100〜1000rpm程度が適当である。また、撹拌する時間は特に限定されないが、例えば数分〜数時間(典型的には1分〜5時間、例えば5〜30分)とするとよい。
ここに開示される技術では、本工程(混合直後)における混合液中のAuイオンのモル濃度M1と上記Agイオンのモル濃度M2の合計モル濃度(M1+M2)が10mM以上となるよう調製する。より高濃度の分散液を効率的に得るためには、合計モル濃度(M1+M2)が、典型的には18mM以上、例えば20mM以上となるよう調製するとよい。また、合金微粒子の凝集や沈殿を防止して分散液の安定性(保存性)を高く維持するためには、合計モル濃度(M1+M2)が80mM以下、典型的には60mM以下、例えば40mM以下となるよう調製するとよい。これにより高濃度でかつ沈殿の無い均質なAuAg合金微粒子分散液(AuAg合金微粒子のコロイド溶液)を高い再現性で得ることができる。
溶液Aと溶液Bとの混合比率(体積比)は、混合直後(粒子生成前)において、溶液Aのモル数m1と溶液Bのモル数m2とが、0<(m2/(m1+m2))≦0.3の範囲を満たし、かつ、溶液Aのモル濃度M1と溶液Bのモル濃度M2とが、(M1+M2)≧10mMの範囲を満たす限りにおいて特に限定されない。現実的なプロセスとしては、溶液Aの体積をVaとし、溶液Bの体積をVbとしたときに、Va/(Va+Vb)が、通常0.05〜0.95、典型的には0.10〜0.90、好ましくは0.20〜0.70、より好ましくは0.35〜0.45となるよう混合するとよい。
このようにして得られるAuAg合金微粒子の化学組成(モル比)をAu(1−x)Agとすると、Xの値は、例えば0<x≦0.3(典型的には0.1≦x≦0.3)を満たし得る。また、AuAg合金微粒子は、以下の条件のうち少なくとも1つの性状を満たし得る。
・動的光散乱法に基づく個数基準の最大頻度粒径が、10nm以上20nm以下である。
・動的光散乱法に基づく多分散性指数(PDI)が、0.6以下である。
・動的光散乱法に基づく平均粒径が、ナノメートルサイズ(1〜1000nm程度)である。
かかる合金微粒子分散液は、合金微粒子の凝集による色褪せや変色等が生じ難く、安定して優れた発色性を実現し得るものである。このため、かかる性質を利用して、陶器、磁器、石器、ガラス、樹脂、金属、木材等からなる供試体の表面を彩色するための着色材(絵具)として好適に用いることができる。供試体の具体例としては、食器、装飾器、タイル、れんが、瓦等を考慮することができる。
例えば、供試体としての陶器に彩色を施す方法場合には、上記合金微粒子分散液を含む着色材をガラスフリットに添加混合して色つきのガラスフリットを調製し、これを供試体の表面に付与した後、所定の温度で焼成を行う方法が例示される。換言すれば、ここに開示される技術により、上記着色材を用いて彩色された器具(例えば食器や装飾器等の陶器)が開示される。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明を以下の実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
例1および例2の合成方法では、図2に示されるフローチャートに基づいて、表1に示す条件でAuAg合金微粒子分散液を作製した。これは、上記非特許文献2を参考にした方法(比較例)である。なお、図2における「1〜10」は、それぞれ表1の当該番号(工程)の欄と対応している。一例として、例1の合成方法を以下に具体的に示す。
先ず、テトラクロロ金酸四水和物(HAuCl・4HO)を用意し、これを純水に溶解させて0.4mMの濃度の水溶液を9ml調製した(工程1)。次いで、還元剤としてのクエン酸三ナトリウム(Na)を用意し、これを純水に溶解させて2Mの濃度の水溶液を9ml調製した(工程2)。この2つの水溶液を混合することで、溶液A(18ml)を得た。
次に、硝酸銀(AgNO)を用意し、これを純水に溶解させて0.4mMの濃度の水溶液を1ml調製した(工程4)。次いで、還元剤としてのクエン酸三ナトリウム(Na)を用意し、これを純水に溶解させて2Mの濃度の水溶液を1ml調製した(工程5)。この2つの水溶液を混合することで、溶液B(2ml)を得た。
次に、溶液Aと溶液Bを、マグネティックホットスターラーを用いて600rpm程度の回転速度で攪拌しながらそれぞれ100℃に達するまで加熱した(工程7,8)。
そして、上記溶液Aと溶液Bとを一気に混合し、5分間撹拌した(工程9)。この間、混合溶液は100℃に保たれるように加熱し、かつ上記と同じ回転速度で攪拌を続けた。これにより、例1に係るAuAg合金微粒子分散液を得た(工程10)。なお、分散状態にあるAuAg合金微粒子を濾別した後、濾液中のAuイオンおよびAgイオンをICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析:Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectrometry)で測定し、合金微粒子の収率を逆算したところ、略100%だった。
例3以降の合成方法では、図1に示されるフローチャートに基づいて、表1〜3に示す条件でAuAg合金微粒子分散液を作製した。なお、図1における「1〜10」は、それぞれ表1〜3の当該番号(工程)の欄と対応しており、「−」とあるのは当該工程を行わなかったことを表している。一例として、例15の合成方法を以下に具体的に示す。
先ず、テトラクロロ金酸四水和物(HAuCl・4HO)を用意し、これを純水に溶解させて40mMの濃度の水溶液を2.25ml調製し(工程1)、溶液A(2.25ml)を得た。
次に、硝酸銀(AgNO)を用意し、これを純水に溶解させて40mMの濃度の水溶液を0.25ml調製した(工程4)。次いで、還元剤としてのクエン酸三ナトリウム(Na)を用意し、これを純水に溶解させて200Mの濃度の水溶液を2.5ml調製した(工程5)。この2つの水溶液を混合した後、分散剤(高分子保護剤)としてのPVPを0.111g添加、混合して、溶液B(2.75ml)を得た。
次に、溶液Aと溶液Bを、マグネティックホットスターラーを用いて600rpm程度の回転速度で攪拌しながらそれぞれ100℃に達するまで加熱した(工程7,8)。
そして、上記溶液Aと溶液Bとを一気に混合し、5分間撹拌した(工程9)。この間、混合溶液は100℃に保たれるように加熱し、かつ上記と同じ回転速度で攪拌を続けた。これにより、例15に係るAuAg合金微粒子分散液を得た(工程10)。
同様に、例3〜14、16〜23についてもAuAg合金微粒子分散液を作製した。なお、例1および例2と同様に合金微粒子の収率を算出したところ、いずれの例においても略100%だった。
Figure 0006140634
Figure 0006140634
Figure 0006140634
合成条件について、表4に纏める。
また、得られた分散液(例1〜23)について、以下の項目の確認や測定を行った。結果をそれぞれ表5の該当欄に示す。表5には、あわせて工程9における溶液A、溶液Bの混合直後(粒子生成前)のAuAg濃度(mM)と、AuAgの化学組成を表している。
1.各工程における溶液の状態を目視で観察し、粗大粒子や沈降の有無を確認した。結果を表5の「沈殿生成したプロセス」の欄に示す。当該欄において、「−」は、AuAg分散液(工程10)まで沈殿が認められなかったことを表している。また、沈殿が生成した場合には、その工程を示している。
2.Malvern Instruments社製の粒度分布測定装置(製品名:ゼータサイザーナノZS)を用いて、上述した手法でAuAg微粒子分散液の粒度分布を測定し、最大頻度粒径、平均粒径(Z‐Ave.)、粒度分布の広がり(PDI)を求めた。結果を表5に示す。
3.株式会社日立ハイテクノロジーズ製の分光光度計(製品名:U−3900H)を用いて、UV−Vis吸収スペクトルを測定した。結果を表5の「極大吸収波長(nm)」の欄に示す。
Figure 0006140634
Figure 0006140634
なお、表5に示す総合評価は、以下の基準に基づいて付している。
「×」:沈殿が認められた、または、極大吸収波長が520nmを超えた場合。
「△」:沈殿の生成は認められず、かつ極大吸収波長は520nm以下であるが、合金微粒子の構成金属元素換算のモル濃度が20mM未満の場合。
「○」:沈殿の生成は認められず、かつ極大吸収波長は520nm以下であり、さらに合金微粒子の構成金属元素換算のモル濃度が20mM以上の場合。
「◎」:上記「○」のもののなかで、以下の粒度分布を全て満たす場合。
・最大頻度粒径が、15nm以下(10〜15nm)。
・平均粒径が、25nm以下(15〜25nm)。
・PDIが、0.2以下(0.1〜0.2)。
表5より、上述の製造方法によれば、発色性に優れた高濃度のAuAg合金微粒子分散液を高収率(略100%)で直接的かつ安定的に製造できるとわかった。特には、例15〜17および例19に示すように、Au塩のみを含む(分散剤としてのPVPを含まない)溶液Aと、Ag塩と還元剤と分散剤とを含む溶液Bとを別々に調製し、それぞれ60〜100℃の温度域まで加熱した後、この2種類の溶液を一気に混合することで、最大頻度粒径が数十ナノメートル(例えば10〜30nm、好ましくは10〜15nm)であり、かつ平均粒径が数十ナノメートル(例えば10〜50nm、好ましくは15〜25nm)であり、さらにはPDIが小さい(例えば0.5以下の、好ましくは0.4以下の、より好ましくは0.3以下の、特には0.2以下の)、AuAg合金微粒子を高濃度で含有する均質な分散液を得ることができるとわかった。
溶液AにPVPを加えた場合に粒子サイズ(最大頻度粒径や平均粒径)および/またはPDIが大きくなった原因としては、PVPによるAuイオンの還元が考えられる。すなわち、PVPが非常に弱い還元剤として働き、生成した核がゆっくりとバルク成長もしくは凝集して、大きな粒子となったことが考えられる。一方、溶液AにPVPを加えない場合には、こうした現象が起こらず、クエン酸による相対的に早い還元反応のみで合金微粒子が生成したために、単分散となったと考えられる。
このように製造されたAuAg合金微粒子分散液は発色性に優れるため、実用的な着色材(絵具)として産業上好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 金(Au)と銀(Ag)とを構成元素として含む合金微粒子の分散液であって、
    吸光光度計を用いて測定される極大吸収波長が520nm以下であり、
    前記合金微粒子の構成金属元素換算のモル濃度が10mM以上90mM以下であり、
    前記合金微粒子の化学組成をAu (1−x) Ag としたときに、xの値が、モル基準で、0<x≦0.3であり、
    静置状態において前記合金微粒子を含む沈殿物が視覚上認められない、合金微粒子分散液。
  2. 前記合金微粒子の前記構成金属元素換算のモル濃度が80mM以下である、請求項1に記載の合金微粒子分散液。
  3. 前記合金微粒子の動的光散乱法に基づく多分散性指数(PDI)が0.6以下である、請求項1または2に記載の合金微粒子分散液。
  4. 前記合金微粒子の動的光散乱法に基づく個数基準の最大頻度粒径が10nm以上20nm以下である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の合金微粒子分散液。
  5. 供試体の表面を彩色するための着色材であって、請求項1〜4のいずれか1つに記載の合金微粒子分散液を含む着色材。
  6. 請求項5に記載の着色材を用いて彩色された器具。
  7. 金(Au)と銀(Ag)とを構成元素として含む合金微粒子の分散液を製造する方法であって、
    Auイオンを含み、還元剤を含まない、溶液Aを用意すること;
    Agイオンと、還元剤と、分散剤と、を含む溶液Bを用意すること;
    前記溶液Aおよび前記溶液Bを、それぞれ60℃以上100℃以下の温度域まで加熱すること;および、
    前記温度域において前記溶液Aと前記溶液Bとを混合、撹拌し、AuAg合金微粒子を得ること;
    を包含し、
    ここで、前記溶液Aおよび前記溶液Bは、前記溶液Aに含まれる前記Auイオンのモル数m1と、前記溶液Bに含まれる前記Agイオンのモル数m2とが、0<(m2/(m1+m2))≦0.3を満たすよう調製し、
    前記溶液Aと前記溶液Bを混合したときの、前記Auイオンのモル濃度M1と前記Agイオンのモル濃度M2の合計モル濃度(M1+M2)を10mM以上90mM以下とする、合金微粒子分散液の製造方法。
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