JP2010209407A - 金属微粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性ぺーストに適した経時変化しにくい金属微粒子を常温で簡便に合成可能な金属微粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】金属塩と分散剤であるアミン化合物を含む還元性溶媒中において、撹拌を行いながら紫外線を照射することで還元する工程を常温で行うことを特徴とする金属微粒子の製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】金属塩と分散剤であるアミン化合物を含む還元性溶媒中において、撹拌を行いながら紫外線を照射することで還元する工程を常温で行うことを特徴とする金属微粒子の製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、金属塩を紫外線照射により常温の還元性溶媒中で還元する金属微粒子の製造方法に関するものである。
金属微粒子は、粒径が100nm以下の非常に小さい金属粒子のことであり、粒子表面に存在する原子の割合の増加により焼結温度の低下や、表面積増大による触媒活性の増加が見られる。また、粒子内の磁区の単一化により磁気特性が大幅に向上するなど、バルク体とは異なる特性を示す。
そのため、金属微粒子は、新材料の一つとして期待されており、電気配線、電子・磁気センサー、光学材料、焼結材料、触媒などとして、工学的な応用が期待されている。
金属微粒子の中でも、銀微粒子は特有の導電性の高さから、導電性ペースト材料への応用が見込まれており、様々な作製法が検討され報告されている。
また、銅微粒子は銀に替わる導電性ペースト材料への応用が見込まれている。その理由として、銅は地金の価格が銀よりも安価であることや耐イオンマイグレーション性が高いことが挙げられる。
特許文献1においては、金属微粒子の作製法として、原料である金属塊を真空中で加熱し蒸発させ、過飽和度を調整し作製する気相法が開示されている。また、特許文献2においては、プラズマを用いて100nm程度の金属微粒子を作製する手法が開示されている。
しかしながら、これらの方法では、合成のために真空系やチャンバーが必要であり、さらに金属を蒸発させるエネルギー源としてプラズマや電子ビーム、レーザー、誘導加熱といった装置も必要となるため、工業的な大量生産を行う場合、設備費用やランニングコストが高価であるといった問題がある。
一方、安価で大量生産に適した製造方法として、液相中から金属微粒子を作製する還元法が提案されている。一般的には、金属の原料を還元剤により数時間高温で加熱することで金属微粒子を合成している。しかし、還元剤や高温という条件の為に、金属微粒子の粒成長を制御しにくく、粒径の小さな金属微粒子を合成するのは困難であった。特に、銅は白金や金などの貴金属に比べて酸化還元電位が負電位側にあるため、銅微粒子は酸化されやすく合成が困難であり、たとえ合成できても容易に酸化され経時変化するという問題もあった。
そこで、生産性の高い金属微粒子の合成法として、金属塩を含む溶液に紫外線を照射することで貴金属微粒子を合成する方法が知られている(特許文献3)。
この紫外線照射法においては、常温で微細な貴金属微粒子を得ることが可能である。
S.Yajima et al., Nature, 261,683(1976).
S.Yajima et al., J.Mater. Sci.13, 2569(1978).
しかしながら、合成できるのが貴金属の微粒子に限られており、また貴金属濃度が非常に希薄な条件でしか合成できないという問題があった。さらに、この合成法では分散剤を加えていないために、合成後の金属粒子が凝集しやすく、安定性が悪いという問題もあった。
最近、紫外線照射法によってポリシラン化合物を分解し、生成する還元性ラジカルによって貴金属微粒子を合成する手法が開示されている(特許文献4)。
しかし、比較的沸点の高いシラン化合物が多量に添加されているために、本手法で製造した金属微粒子をたとえば導電性ペースト材料として用いた場合、金属微粒子が焼結しにくいという不都合が生じる。また、一般にポリシラン化合物を空気中で加熱すると炭化ケイ素や酸化ケイ素が最終的に生成することが知られており(非特許文献1、2)、このケイ素化合物の残存は導電性ペースト材料において、導電性の低下を招くという問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、導電性ぺーストに適した経時変化しにくい金属微粒子を常温で簡便に合成可能な金属微粒子の製造方法を提供することにある。
また、本発明は、金属微粒子を被覆する分散剤とその添加量を調整することで、低温焼結可能な導電性に優れたペーストのための金属微粒子の製造方法を提供する。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、金属塩と分散剤であるアミン化合物を含む還元性溶媒中において、撹拌を行いながら紫外線を照射することで還元する工程を常温で行うことを特徴とする金属微粒子の製造方法である。
請求項2の発明は、前記金属微粒子が、AgまたはCuから選択される請求項1に記載の金属微粒子の製造方法である。
請求項3の発明は、前記金属塩は、炭酸塩、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩または炭素数4以下の脂肪酸塩のいずれかである請求項1に記載の金属微粒子の製造方法である。
請求項4の発明は、前記アミン化合物は、第一級アミン(R1NH2)、第二級アミン(R1R2NH)、第三級アミン(R1R2R3N)からなる群から選択され、金属塩1molに対して1〜3mol添加される請求項1に記載の金属微粒子の製造方法である。
請求項5の発明は、前記還元性溶媒は、水、アルコール類、アルデヒド類、直鎖の炭化水素類、脂肪酸類、芳香族類からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒と、ヒドラジン溶液、水素化ホウ素ナトリウム溶液、クエン酸溶液及びシュウ酸溶液からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒を混合して得られる請求項1に記載の金属微粒子の製造方法である。
請求項6の発明は、前記還元性溶媒は、常温において、前記アミン化合物と均一な混合物を形成可能な溶媒であり、かつ、沸点が50℃以上の溶媒である請求項1〜5のいずれかに記載の金属微粒子の製造方法である。
請求項7の発明は、前記紫外線を照射し還元する工程において、溶媒の温度は、少なくとも50℃以下であり、かつ、前記アミン化合物が溶媒と均一な混合液を形成する温度の範囲に選択される請求項1に記載の金属微粒子の製造方法である。
請求項8の発明は、前記紫外線が、波長300nm以下である請求項1に記載の金属微粒子の製造方法である。
本発明は、例えば、導電性金属ペースト、微細配線形成のための金属インクとして利用可能な、微細な粒子径を有する金属銅微粒子について、合成法に簡易な紫外線ランプを使用して、経済的に製造する技術を提供しており、商業的な規模の大量生産を可能とする。
以下、本発明の好適な一実施の形態を詳述する。
発明者らは、研究の結果、紫外線の照射により金属微粒子を合成できることに着目し、試験により確認して本発明を完成した。
すなわち本発明は、金属塩と分散剤であるアミン化合物を含む還元性溶媒中において、撹拌を行いながら紫外線を照射することで還元する工程を常温で行うようにした金属微粒子の製造方法である。
本発明に用いる分散剤としては、前記形成される金属微粒子に対して親和性を示す分子種が有効である。このような分散剤としては、公知の化合物を用いることができ、一般的に酸素、硫黄、窒素原子を有する化合物を、用いることができる。より具体的には、チオール基(−SH)、カルボキシル基(−COOH)、アミン基(−NH2)を有する化合物が分散剤として用いることができ、本発明では、アミン基(−NH2)を有するアミン化合物を分散剤として用いるのが好ましい。
アミン化合物は、アミノ窒素原子上の孤立電子対を利用して、配位的な結合を行うことができる。また、アミン化合物は、アミン化合物中の炭化水素基の疎水的な作用により、特に非極性溶媒中において均一な混合液を形成することが可能である。
そのため、溶媒中において金属微粒子同士の凝集を抑制し、均一に分散する状態を保持する機能を有する。さらにアミン化合物は緩やかな還元性を有するため、還元反応を補助する働きがあり、添加する還元剤量を減らすことができ、その結果金属を緩やかに還元し微細なサイズで金属粒子の成長を止めることができる。
アミン化合物は、金属微粒子1molに対して、同等か過剰量、具体的には、多くとも3mol量を超えない範囲、1mol〜2mol量程度添加することが望ましい。前記添加量を1mol量未満とすると、金属微粒子が十分に被覆されず凝集が起こりやすく粒径が粗大化しやすい、また他方、3mol量を超える添加量とすると、金属イオンの還元を阻害する可能性もある。また、金属微粒子表面に過剰なアミンが存在することとなり、除去が難しく、焼結の際に十分に脱離せず残存しやすくなる。
前記アミン化合物は、第一級アミン(R1NH2)、第二級アミン(R1R2NH)、第三級アミン(R1R2R3N)からなる群から選択される1種のアミン、または2種以上のアミンであることが望ましい。なかでも、前記アミン化合物は、常温で液状であるアルキルアミンであることが好ましい。
本発明に用いる溶媒は、沸点が50℃以上の溶媒であり、水、アルコール類、アルデヒド類、直鎖の炭化水素類、脂肪酸類、芳香族類からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒と、ヒドラジン溶液、水素化ホウ素ナトリウム溶液、クエン酸溶液及びシュウ酸溶液からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒を混合したものが望ましい。ここで、ヒドラジン溶液、水素化ホウ素ナトリウム溶液、クエン酸溶液、シュウ酸溶液が金属塩の還元剤として添加されている。
金属塩の還元を制御し、微細なサイズで粒子成長をとめるためには、還元性溶媒に含まれる還元剤の添加量は、金属塩に対する濃度比(還元剤/金属塩濃度比)で0.001〜3.0の範囲に抑えることが望ましい。還元剤の濃度を高くしすぎると、金属塩の還元が著しく進行し、金属微粒子の粒子サイズが大きくなり、さらに粒子サイズのばらつきも大きくなるため好ましくない。
本発明に用いる金属塩は、金属微粒子の原料となる物質、前記金属塩又は、炭酸塩、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩または炭素数4以下の脂肪酸塩を挙げることができる。特に、溶媒に溶ける原料がより望ましい。
均一な金属微粒子を得るためには、溶液の温度は50℃以下、好ましくは40℃以下とし、紫外線照射により金属塩の還元をゆるやかに進行させることが望ましい。これよりも高温の温度条件では、金属塩の還元反応が速く、そのため粒子サイズの粗大化が起こりやすい。
照射する紫外線としては、波長300nm以下の紫外線で、具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、紫外線レーザーであるKrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFレーザー(193nm)などを用いることができる。
照射出力は、特に制限されないが、1W/cm2〜100W/cm2程度が好ましい。照射出力が、前記1W/cm2未満では、金属微粒子の生成速度が著しく低下する傾向にあり、他方、100W/cm2を超えると、溶媒が温度上昇しやすく、そのために粒子が粗大化する傾向がある。
また、照射時間は、1〜10時間程度の範囲から選択できる。前記照射時間が1時間未満では、金属塩の還元反応が不十分で金属塩が残存しやすく、また他方、10時間を超えると粒子の凝集による粗大化が起こりやすくなる。
この照射時間は、金属塩や還元剤や濃度により適正な照射時間は異なるが、銀よりも銅の還元のほうが反応時間を要するためより長い照射時間を選定する。
さらに、前記還元性溶媒に照射する温度は、40℃以下であることが望ましい。
以下に、本発明の実施例を説明する。
これらの実施例は、本発明に係る最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれらの実施例により限定を受けるものではない。
先ず、紫外線源として高圧水銀ランプHB100A−1(セン特殊光源(株)製、100W)を用いる。
各実施例における各物性の測定は、次のようにして実施した。
(1)定性分析
金属成分の同定は、粉末X線回折装置「R1NT2000」(株式会社リガク製)を用いた。
金属成分の同定は、粉末X線回折装置「R1NT2000」(株式会社リガク製)を用いた。
(2)平均粒子径
微粒子の粒子径測定には、レーザードップラー動的光散乱装置「UPA−EX150型」(日機装製)を使用した。平均粒径には体積平均値を用いた。
微粒子の粒子径測定には、レーザードップラー動的光散乱装置「UPA−EX150型」(日機装製)を使用した。平均粒径には体積平均値を用いた。
(3)プラズモン吸収
数nm〜100nm程度の金属銀微粒子は、局在表面プラズモン共鳴により、420nm付近に吸収をもつことが知られており、同様に金属銅微粒子は570nm付近に吸収をもつことが知られている。このプラズモン吸収は、紫外−可視吸光光度計「V−550」(日本分光製)により測定を行った。
数nm〜100nm程度の金属銀微粒子は、局在表面プラズモン共鳴により、420nm付近に吸収をもつことが知られており、同様に金属銅微粒子は570nm付近に吸収をもつことが知られている。このプラズモン吸収は、紫外−可視吸光光度計「V−550」(日本分光製)により測定を行った。
(4)金属成分の含有量
示差熱熱重量同時測定装置「TG8120」(株式会社リガク製)を用い、TG−DTA分析することにより求めた。
示差熱熱重量同時測定装置「TG8120」(株式会社リガク製)を用い、TG−DTA分析することにより求めた。
以下に、実施例をより具体的に説明する。
(実施例1)
100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、トリエチルアミン0.35gを投入し、さらに濃度9.3×10-4mol/Lのヒドラジンエタノール溶液を20mL加えた。この溶液に粉末状の硝酸銀0.3g(トリエチルアミン/硝酸銀のモル比1.96)を加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を3時間照射した。
100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、トリエチルアミン0.35gを投入し、さらに濃度9.3×10-4mol/Lのヒドラジンエタノール溶液を20mL加えた。この溶液に粉末状の硝酸銀0.3g(トリエチルアミン/硝酸銀のモル比1.96)を加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を3時間照射した。
その後、溶液を遠心分離し、粉末を回収した。粉末X線回折測定を行ったところ、図1に示した測定結果が得られた。これによりfcc構造(面心立法格子構造)を有する金属銀であることが確認された。また図2に示したTG−DTA分析結果から、粉末中の銀含有率は90mass%と算出された。
この粉末をエタノール溶液に再分散させた分散溶液をUV−Vis測定した結果、図3に示すように420nm付近に銀ナノ粒子に特有のプラズモン吸収を示した。
また粒度分布測定の結果、平均粒子径は60nmであった。
本実施例1の手法で製造した銀微粒子を溶剤に分散しペーストとし、ガラス基板上に塗布した。続いて、大気中において250℃、30分間の条件で焼結を行ったところ、バルク金属銀の数倍という良好な比抵抗値を示した。
この銀微粒子溶液を1ヶ月間大気中で保存したところ、プラズモン吸収に変化はなく、粒径も変化が見られなかった。
(実施例2)
100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、オレイルアミン0.5gを投入し、さらに濃度9.3×10-4mol/Lのヒドラジンエタノール溶液を20mL加えた。この溶液に粉末状の硝酸銀0.3g(オレイルアミン/硝酸銀のモル比1.06)を加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を3時間照射した。
100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、オレイルアミン0.5gを投入し、さらに濃度9.3×10-4mol/Lのヒドラジンエタノール溶液を20mL加えた。この溶液に粉末状の硝酸銀0.3g(オレイルアミン/硝酸銀のモル比1.06)を加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を3時間照射した。
その後、溶液を遠心分離し、粉末を回収した。粉末X線回折測定を行ったところ、fcc構造を有する金属銀であることが確認された。粉末中の銀含有率は87mass%と算出された。この粉末をエタノール溶液に再分散させた分散溶液は、420nm付近に銀ナノ粒子に特有のプラズモン吸収を示した。粒度分布測定の結果、平均粒子径は80nmであった。
本実施例2の手法で製造した銀微粒子を溶剤に分散しペーストとし、ガラス基板上に塗布した。続いて、大気中において270℃、30分間の条件で焼結を行ったところ、バルク金属銀の数倍という良好な比抵抗値を示した。この銀微粒子溶液を1ヶ月間大気中で保存したところ、プラズモン吸収に変化はなく、粒径も変化が見られなかった。
(実施例3)
100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、トリエチルアミン0.22gを投入し、さらに濃度2.9×10-2mol/Lのヒドラジンエタノール溶液を20mL加えた。この溶液に粉末状の酢酸銅0.2g(トリエチルアミン/酢酸銅のモル比1.97)を加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を8時間照射した。
100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、トリエチルアミン0.22gを投入し、さらに濃度2.9×10-2mol/Lのヒドラジンエタノール溶液を20mL加えた。この溶液に粉末状の酢酸銅0.2g(トリエチルアミン/酢酸銅のモル比1.97)を加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を8時間照射した。
その後、溶液を遠心分離し、粉末を回収した。粉末X線回折測定を行ったところ、fcc構造を有する金属銅であることが確認された。粉末中の銅含有率は80mass%と算出された。この粉末をエタノール溶液に再分散させた分散溶液は、570nm付近に銅ナノ粒子に特有のプラズモン吸収を示した。粒度分布測定の結果、平均粒子径は100nmであった。本手法で製造した銅微粒子を溶剤に分散しペーストとし、ガラス基板上に塗布した。続いて、窒素雰囲気中において280℃、30分間の条件で焼結を行ったところ、バルク金属銅の数倍という良好な比抵抗値を示した。この銅微粒子溶液を1ヶ月間大気中で保管したところ、プラズモン吸収に変化はなく、また粉末X線回折の結果からも金属銅のピークが確認され、銅の酸化は認められなかった。この結果から、時間が経過しても粒子が凝集せず、また酸化されにくい銅微粒子であることが示された。
(比較例1)
100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、トリエチルアミン0.04gを投入し、さらに濃度9.3×10-4mol/Lのヒドラジンエタノール溶液を20mL加えた。この溶液に粉末状の硝酸銀0.3g(トリエチルアミン/硝酸銀のモル比0.223)を加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を3時間照射した。溶液を遠心分離し、粉末を回収した。粉末X線回折測定を行ったところ、fcc構造を有する金属銀であることが確認された。この粉末をエタノール溶液に再分散させた分散溶液は、銀ナノ粒子に特有のプラズモン吸収を示さなかった。粒度分布測定の結果、平均粒子径は2.2μmであり粗大化が確認された。
100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、トリエチルアミン0.04gを投入し、さらに濃度9.3×10-4mol/Lのヒドラジンエタノール溶液を20mL加えた。この溶液に粉末状の硝酸銀0.3g(トリエチルアミン/硝酸銀のモル比0.223)を加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を3時間照射した。溶液を遠心分離し、粉末を回収した。粉末X線回折測定を行ったところ、fcc構造を有する金属銀であることが確認された。この粉末をエタノール溶液に再分散させた分散溶液は、銀ナノ粒子に特有のプラズモン吸収を示さなかった。粒度分布測定の結果、平均粒子径は2.2μmであり粗大化が確認された。
(比較例2)
100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、トリエチルアミン3.5gを投入し、この溶液に粉末状の硝酸銀0.3g(トリエチルアミン/硝酸銀のモル比19.6)を加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を3時間照射した。溶液を遠心分離し、粉末を回収した。粉末X線回折測定を行ったところ、一部金属銀のピークが確認されたものの、大部分は原料である硝酸銀のまま変化していなかった。
100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、トリエチルアミン3.5gを投入し、この溶液に粉末状の硝酸銀0.3g(トリエチルアミン/硝酸銀のモル比19.6)を加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を3時間照射した。溶液を遠心分離し、粉末を回収した。粉末X線回折測定を行ったところ、一部金属銀のピークが確認されたものの、大部分は原料である硝酸銀のまま変化していなかった。
(比較例3)
100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、トリエチルアミン0.02gを投入し、さらに濃度2.9×10-2mol/Lのヒドラジンエタノール溶液を20mL加えた。この溶液に粉末状の酢酸銅0.2g(トリエチルアミン/酢酸銅のモル比0.18)を加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を8時間照射した。溶液を遠心分離し、粉末を回収した。粉末X線回折測定を行ったところ、fcc構造を有する金属銅であることが確認された。この粉末をエタノール溶液に再分散させた分散溶液は、銅ナノ粒子に特有のプラズモン吸収を示さなかった。粒度分布測定の結果、平均粒子径は3.4μmであり粗大化が確認された。
100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、トリエチルアミン0.02gを投入し、さらに濃度2.9×10-2mol/Lのヒドラジンエタノール溶液を20mL加えた。この溶液に粉末状の酢酸銅0.2g(トリエチルアミン/酢酸銅のモル比0.18)を加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を8時間照射した。溶液を遠心分離し、粉末を回収した。粉末X線回折測定を行ったところ、fcc構造を有する金属銅であることが確認された。この粉末をエタノール溶液に再分散させた分散溶液は、銅ナノ粒子に特有のプラズモン吸収を示さなかった。粒度分布測定の結果、平均粒子径は3.4μmであり粗大化が確認された。
(比較例4)
100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、トリエチルアミン2.2gを投入し、さらに濃度2.9×10-2mol/Lのヒドラジンエタノール溶液を20mL加えた。この溶液に粉末状の酢酸銅0.2g(トリエチルアミン/酢酸銅のモル比19.7)を加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を8時間照射した。その後、溶液を遠心分離し、粉末を回収した。粉末X線回折測定を行ったところ、原料である酢酸銅のピークが確認され、銅のピークは確認されなかった。
100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、トリエチルアミン2.2gを投入し、さらに濃度2.9×10-2mol/Lのヒドラジンエタノール溶液を20mL加えた。この溶液に粉末状の酢酸銅0.2g(トリエチルアミン/酢酸銅のモル比19.7)を加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を8時間照射した。その後、溶液を遠心分離し、粉末を回収した。粉末X線回折測定を行ったところ、原料である酢酸銅のピークが確認され、銅のピークは確認されなかった。
(比較例5)
金属ナノ粒子の分散剤として使用されるオレイン酸(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH)を用いて銀ナノ粒子の合成を以下の手順に従い行った。100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、オレイン酸0.5gを投入し、さらに濃度9.3×10-4mol/Lのヒドラジンエタノール溶液を20mL加えた。この溶液に粉末状の硝酸銀0.3gを加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を3時間照射した。溶液を遠心分離し、粉末を回収した。粉末X線回折測定を行ったところ、金属銀の生成はほとんど認められず、原料の残存および酢酸銀の生成が確認された。
金属ナノ粒子の分散剤として使用されるオレイン酸(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH)を用いて銀ナノ粒子の合成を以下の手順に従い行った。100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、オレイン酸0.5gを投入し、さらに濃度9.3×10-4mol/Lのヒドラジンエタノール溶液を20mL加えた。この溶液に粉末状の硝酸銀0.3gを加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を3時間照射した。溶液を遠心分離し、粉末を回収した。粉末X線回折測定を行ったところ、金属銀の生成はほとんど認められず、原料の残存および酢酸銀の生成が確認された。
(比較例6)
金属ナノ粒子の分散剤として使用されるオレイン酸(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH)を用いて銅ナノ粒子の合成を以下の手順に従い行った。100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、オレイン酸3.4gを投入し、さらに濃度2.9×10-2mol/Lのヒドラジンエタノール溶液を20mL加えた。この溶液に粉末状の酢酸銅2.2gを加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を8時間照射した。その後、溶液を遠心分離し、粉末を回収した。粉末X線回折測定を行ったところ、原料である酢酸銅と蟻酸銅のピークが確認され、銅のピークは確認されなかった。
金属ナノ粒子の分散剤として使用されるオレイン酸(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH)を用いて銅ナノ粒子の合成を以下の手順に従い行った。100mLのガラスビーカーに、メタノール20mL、オレイン酸3.4gを投入し、さらに濃度2.9×10-2mol/Lのヒドラジンエタノール溶液を20mL加えた。この溶液に粉末状の酢酸銅2.2gを加え、この溶液を40℃に保ち撹拌しながら、紫外線を8時間照射した。その後、溶液を遠心分離し、粉末を回収した。粉末X線回折測定を行ったところ、原料である酢酸銅と蟻酸銅のピークが確認され、銅のピークは確認されなかった。
以上の実施例と比較例から、先ず、アミン化合物を用いない比較例5、6は、金属微粒子が生成されず、また、アミン化合物を用いた比較例1〜4においては、金属塩に対して1mol未満か、3molを超えるアミン化合物を加えているために金属微粒子が生成されなかった。よって実施例1〜3のように金属塩に対して1〜3molのアミン化合物を添加することでナノ粒子からなる金属微粒子を製造できることが分かる。
Claims (8)
- 金属塩と分散剤であるアミン化合物を含む還元性溶媒中において、撹拌を行いながら紫外線を照射することで還元する工程を常温で行うことを特徴とする金属微粒子の製造方法。
- 前記金属微粒子が、AgまたはCuから選択される請求項1に記載の金属微粒子の製造方法。
- 前記金属塩は、炭酸塩、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩または炭素数4以下の脂肪酸塩のいずれかである請求項1に記載の金属微粒子の製造方法。
- 前記アミン化合物は、第一級アミン(R1NH2)、第二級アミン(R1R2NH)、第三級アミン(R1R2R3N)からなる群から選択され、金属塩1molに対して1〜3mol添加される請求項1に記載の金属微粒子の製造方法。
- 前記還元性溶媒は、水、アルコール類、アルデヒド類、直鎖の炭化水素類、脂肪酸類、芳香族類からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒と、ヒドラジン溶液、水素化ホウ素ナトリウム溶液、クエン酸溶液及びシュウ酸溶液からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒を混合して得られ請求項1に記載の金属微粒子の製造方法。
- 前記還元性溶媒は、常温において、前記アミン化合物と均一な混合物を形成可能な溶媒であり、かつ、沸点が50℃以上の溶媒である請求項1〜5のいずれかに記載の金属微粒子の製造方法。
- 前記紫外線を照射し還元する工程において、溶媒の温度は、少なくとも50℃以下であり、かつ、前記アミン化合物が溶媒と均一な混合液を形成する温度の範囲に選択される請求項1に記載の金属微粒子の製造方法。
- 前記紫外線が、波長300nm以下である請求項1に記載の金属微粒子の製造方法。
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2009
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