JP6140563B2 - 太陽電池、太陽電池モジュールおよびその設置方法 - Google Patents

太陽電池、太陽電池モジュールおよびその設置方法 Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池、太陽電池モジュールおよびその設置方法に関するものである。
太陽電池は、太陽の光を直接電気エネルギーに変換できるという特徴から、クリーン且つ無尽蔵なエネルギーの利用手段として注目されており、火力発電や原子力発電に代わる新しい電力源として、ますます期待が高まっている。
図4は、従来から知られている太陽電池の一例を示す断面模式図である。太陽電池は、太陽光Iが入射する受光面側から、透光性基板104、受光面側封止層106、光電変換素子101、裏面側封止層107、反射層108およびカバー層105がこの順に積層された構成となっており、光電変換素子101は受光面側電極および裏面側電極(図示せず)を備えている。
太陽電池の性能は、一般に、太陽電池に入射した光(太陽光)が電気に変換された割合である変換効率で表される。変換される光のエネルギーは、太陽電池内部の光電変換素子101に吸収された光のエネルギーであり、変換効率は、太陽光に含まれる光の波長領域に対する、光電変換素子101が効率よく吸収できる光の波長領域の割合に大きく依存し、光電変換素子101に用いられる半導体材料の種類によって大きく異なってくる。
太陽電池用の光電変換素子101には、主としてシリコンおよび化合物半導体が単結晶および多結晶を含む結晶質やアモルファス(非晶質)の形で用いられているが、いずれも変換効率が低く、発電コストが高いことが課題となっている。
これは、光電変換素子101が吸収して電気エネルギーに変換可能な光が、光電変換素子101の材料の物性であるバンドギャップにより決定される限られた波長領域の光のみであることに起因する。
太陽光は、紫外光、可視光および赤外光を含む幅広い波長領域を有するが、各種半導体材料からなる光電変換素子101が吸収して電気エネルギーに変換可能な光は、350〜1200nmの波長領域の光のみであり、それ以外の波長領域の光は、ほとんど発電に寄与しないことが知られている。
上記の問題に対して、太陽電池を構成する透光性基板104や封止層106、107に、入射光を吸収して入射光とは異なる波長の光を放出する蛍光体材料等を塗布または含有させ、波長変換機能を持たせた構成とすることによって、太陽光のうち光電変換素子101が吸収できない波長領域(非有効波長領域)の光を光電変換素子101が吸収可能な波長領域(有効波長領域)の光に変換して光の利用効率を高め、太陽電池の変換効率を向上させる試みが行われている(たとえば、特許文献1、2を参照)。
また、反射層108を設けず、透光性を有するカバー層105を用いて、カバー層105側からも光が入射する両面受光が可能な構造にすることで、太陽光を太陽電池の表裏の両面で効率的に受光するとともに、その傾斜角を最適化することによって光の利用効率を高めたり(たとえば、特許文献3を参照)、中間部材の両側に太陽電池素子を配置したものを透光性の表面部材および裏面部材の間に配置し、太陽電池の変換効率を向上させる(たとえば、特許文献4を参照)方法が開示されている。
国際公開第2011/155614号公報 特開2012−129391号公報 特開2005−223164号公報 国際公開第2005/074039号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載された波長変換機能を備える太陽電池は、太陽光は太陽に面する一方側の受光面からのみ入射する構造となっており、受光面から入射する光は効率良く利用できるが、他方側の裏面から入射する光は利用できず、また、特許文献3および4のような構造では、波長変換機能を有さないため、太陽電池の設置面積当たりの発電量が低くなるという問題があり、幅広い波長領域の光の活用と、裏面から入射する光の活用との両方を実現することは難しかった。
本発明は、両面受光が可能であると共に、波長変換層によって変換された光を最大限に活用可能な、より高い変換効率の太陽電池、太陽電池モジュールおよびその設置方法を提供することを目的とする。
本発明の太陽電池は、いずれも透光性を有する第1の表面部材および第2の表面部材の間に、第1の光電変換素子、波長変換層および第2の光電変換素子がこの順に配置され、前記第1の表面部材と前記第1の光電変換素子との間に第1の封止層を備えており、該第1の封止層の前記第1の光電変換素子側の面が、凸凹からなる第1の二次元周期構造を有するとともに、該第1の二次元周期構造のピッチが、300〜3000nmの範囲であることを特徴とする。
本発明の太陽電池モジュールは、上述の太陽電池の複数個を用い、配線を介して前記第1の光電変換素子同士および前記第2の光電変換素子同士をそれぞれ電気的に接続してなることを特徴とする。
本発明の太陽電池モジュールの設置方法は、上述の太陽電池モジュールの水平面に対する傾斜角度を50〜90°とすることを特徴とする。
本発明によれば、両面受光が可能であると共に、波長変換層によって変換された光を最大限に活用可能な、より高い変換効率の太陽電池、太陽電池モジュールおよびその設置方法を提供できる。
(a)〜(c)は本発明の一実施形態である太陽電池の積層状態を示す概略断面図である。 (a)は二次元周期構造の一例を模式的に示す斜視図、(b)は(a)のA−A’断面図および(c)は二次元周期構造の別の例の断面模式図である。 本発明の一実施形態である太陽電池モジュールの(a)は概略断面図、および(b)は第1の表面部材側からみた平面図である。 従来の太陽電池の積層状態を示す概略断面図である。
本発明の一実施形態である太陽電池について説明する。本実施形態の太陽電池は、図1(a)に示すように、第1の光電変換素子1と第2の光電変換素子2とが、波長変換層3を介して対向するように配置されたものである。
このような構成を有する太陽電池においては、第1の光電変換素子1側および第2の光電変換素子2側のいずれからも受光することができる。たとえば、設置した太陽電池の裏面には、夏季における太陽高度の低い朝夕などに太陽光I’が照射される。また、ビルの壁面や屋上などに太陽電池を設置した場合には、ビルの壁面や屋上によって反射した光I’などが太陽電池の裏面に照射される。本実施形態の太陽電池では、これらの太陽電池の裏面に照射された光I’を有効に活用することができる。さらに、道路脇の防音壁や落下防止柵等の、設置向きが限定される上に様々な方向を向くことが想定される場所に使用した場合にも、従来の片面受光型の太陽電池では得られなかった高い出力特性を得ることができる。
第1の光電変換素子1および第2の光電変換素子2(以下、まとめて単に光電変換素子という場合もある)は、光起電力を有する基材の両主面に電極(図示せず)を設けたものである。基材は例えば0.3〜0.4mmの板状であることが好ましいが、例えば(半)球状型や薄膜型などの形態をとっても構わない。基材には、単結晶シリコンや多結晶シリコン、アモルファスシリコン等のシリコン系材料のほか、CIGS化合物系、CdTe化合物、有機系、色素増感型材料等のいずれを用いてもよい。なお、第1の光電変換素子1と第2の光電変換素子2とに、同種の材料を用いてもよいし、異なる材料としてもよい。
太陽光Iは、300〜3000nmの領域の様々な波長を有する光で構成され、その波長により、可視光領域(下界が360〜400nm、上界が760〜830nmの範囲)を中心に、その下界よりも短い波長の近紫外光領域、その上界よりも長い波長の近赤外領域、および赤外光領域に分類される。
光電変換素子の変換効率の高い波長領域、すなわち有効波長領域は、例えば単結晶および多結晶シリコン太陽電池では400〜1100nm、CIGS化合物系およびCdTe化合物系太陽電池では400〜1200nm、アモルファスシリコン、有機系、および色素増感型太陽電池では350〜750nmであることが知られており、その大半は可視光領域と重複している。
このような太陽電池において、第1の光電変換素子1側から入射した太陽光Iのうち、第1の光変換素子1が吸収して電気エネルギーに変換可能な波長領域、すなわち有効波長領域の光は、直接第1の光電変換素子1に入射し、電気エネルギーに変換される。
また、太陽光Iに含まれる有効波長領域以外の光、すなわち非有効波長領域の光は、第1の光電変換素子1で電気エネルギーに変換されずに通過し、波長変換層3に入射する。
波長変換層3には、蛍光体材料等の波長変換材料が含まれている。波長変換材料は、紫外光変換型と赤外光変換型の2種に大別される。紫外光変換型とは、非有効波長領域の光のうち、紫外光領域の光の吸収により励起されて、吸収した光の波長よりも長い波長、すなわち光電変換効率の高い可視光領域の波長の光を発するものであり、一般的に用いられる蛍光、蓄光物質を採用できる。具体的にはインドシアニングリーン、ローダミン等の有機物や、中心金属として希土類金属、配位子として芳香環類似の共役系部位を有する配位子を有する有機金属錯体、各種希土類をドープした酸化物や複合酸化物などの無機物が挙げられる。
赤外光変換型とは、非有効波長領域の光のうち、赤外光領域の光子を複数、同時あるいは逐次的に吸収し、ある電子状態から多段階励起を経て上方の準位から発光することで、吸収した光の波長よりも短い波長、すなわち光電変換効率の高い可視光領域の波長の光を放出するものであり、無機系材料の場合、希土類ドープ結晶やガラス等の材料、たとえば
LiKYF:Pr3+やY:Pr3+などが知られている。
また、有機系材料であれば三重項―三重項消滅を利用するフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体などの光吸収色素と、ペリレンやルブレンなどの発光性分子とを組み合わせたものが知られている。
なお、これらの波長変換材料の形態は特に限定するものではなく、粒子状、マトリックス状、フィルム状等の種々の形態として使用できる。特に粒子状の場合は、波長変換材料との屈折率の差が小さい透明な樹脂と混合して使用されることが多く、光透過性および波長変換特性に優れるという点で、ナノ粒子を用いることが好ましい。
波長変換層3に入射した非有効波長領域の光のうち、波長変換層3で波長変換可能な光は、波長変換層3において有効波長領域の光に変換され、放出される。このとき、波長変換層3の第1の光電変換素子1側に放出された光は第1の光電変換素子1に再度入射して電気エネルギーに変換されるが、波長変換された光は等方的に放出されるため、波長変換層3の第1の光電変換素子1とは反対側にも放出される。
本実施形態においては、波長変換層3の第1の光電変換素子1側とは反対側に第2の光電変換素子2が位置することにより、波長変換層3の第1の光電変換素子1とは反対側に放出された光も、第2の光電変換素子に入射して電気エネルギーに変換することができる。
一方、第2の光電変換素子2側には、太陽光や反射光(I’)が入射する。ここでも第1の光電変換素子1側に太陽光Iが入射したときと同様なことが起きる。
すなわち、第2の光電変換素子2が吸収して電気エネルギーに変換可能な有効波長領域の光は、直接第2の光電変換素子2に入射し、電気エネルギーに変換される。また、I’に含まれる有効波長領域以外の光、すなわち非有効波長領域の光は、第2の光電変換素子2で電気エネルギーに変換されずに通過し、波長変換層3に入射する。
波長変換層3に入射した非有効波長領域の光のうち、波長変換層3で波長変換可能な光は、波長変換層3において有効波長領域の光に変換され、等方的に放出される。このとき、波長変換層3の第2の光電変換素子2側に放出された光は第2の光電変換素子2に再度入射して電気エネルギーに変換され、第1の光電変換素子1側に放出された光は第1の光電変換素子1に入射して電気エネルギーに変換される。
このように、本実施形態では、第1の光電変換素子1と第2の光電変換素子2とを、波長変換層3を介して対向するように配置することにより、両面受光を可能とするとともに、波長変換層3によって変換された光を、反射層を設けることなく比較的単純な構造により最大限に活用することができる。
また、両面受光型の太陽電池の場合、太陽光を直接受光する側の光電変換素子と反射光や散乱光を受光する側の光電変換素子とではその発電量に差が生じる。したがって、第1の光電変換素子1の出力と第2の光電変換素子2の出力とを別々に取り出すとともに、第1の光電変換素子1と第2の光電変換素子2とは電気的に絶縁されている、すなわち波長変換層3が絶縁性を有することが好ましい。
また、本実施形態によれば受光量の多い側の光電変換素子に入射した光の一部が、波長変換層3を介して透過光や波長変換された光として受光量の少ない側の光電変換素子に入射して、光電変換素子間の受光量の差を低減することができる。これにより、第1の光電
変換素子1と第2の光電変換素子2との発電量の差が低減され、より安定した出力が得られる。
波長変換層3は、赤外光変換機能を有することが好ましい。換言すれば、波長変換層3は、赤外光領域の波長を有する光を、第1の光電変換素子1および第2の光電変換素子2のうち少なくともいずれか一方により電気エネルギーに変換可能な波長の光に変換する機能を有する材料を含むことが好ましい。先に述べたように、波長変換材料は紫外光変換型と赤外光変換型の2種に大別されるが、紫外光は光電変換素子が吸収して電気エネルギーに変換できない波長領域であるとともに、太陽電池の構成要素を劣化させる原因となるため、通常は紫外線吸収材等を用いて光電変換素子への入射を抑制している。一方、赤外光は光電変換素子を透過して波長変換層3に入射し、この赤外光を波長変換層3において有効波長領域の光に変換して放出することにより、第1の光電変換素子1および第2の光電変換素子2において電気エネルギーに変換することが可能となる。例えば、第1の光電変換素子1を、有効波長領域が400〜1100nmの結晶質シリコン製とした場合には、波長変換層3には1100nm以上の光を有効波長領域に変換する材料を用いればよい。
このように、第1の光電変換素子1と第2の光電変換素子2の間に配置された波長変換層3において、赤外光を有効波長領域の光に変換することにより、赤外光を最大限に有効活用できる。さらに、赤外光が太陽電池内部で熱に変換されると太陽電池の温度が上昇し、太陽電池の変換効率が低下するが、このように赤外光を波長変換層3により熱ではなく有効波長領域の光に変換することにより、太陽電池の温度上昇を抑制し、高い変換効率を維持することができる。
なお、紫外光変換型の波長変換材料を、第1の光電変換素子1および第2の光電変換素子2の、波長変換層3とは反対側の面すなわち太陽光IやI’が入射する面に配置することで、光電変換素子への紫外光の入射を抑制するとともに紫外光を有効波長領域の光に変換して有効活用することもできる。
以上、本発明の主構成要素である第1の光電変換素子1、第2の光電変換素子2および波長変換層3について詳述してきたが、一般に、太陽電池は図1(b)および(c)に示すようにこれらの主構成要素を第1の表面部材4および第2の表面部材5の間に封止して用いられる。両面受光型の太陽電池である本実施形態においては、第1の表面部材4および第2の表面部材5はいずれも透光性を有している。
第1の表面部材4としては通常透光性基板が用いられ、第1の表面部材4と第1の光電変換素子1との間には第1の封止層6を備えている。このとき、第1の封止層6における第1の光電変換素子1側の面(6A)が、図2(a)〜(c)に例示するような微細な凹凸からなる二次元周期構造を有していることが好ましい。なお、本発明における微細な凹凸からなる二次元周期構造とは、材料表面に300〜3000nmの範囲のピッチ(p)を有する突起や窪みなどの凹凸が形成されたものである。このように入射光の波長よりも短い周期構造は、モスアイ構造(蛾の目構造)とも呼ばれ、その大きさや形態、製法などについて種々の報告がなされている。
図2(a)〜(c)に例示するような微細な凹凸からなる二次元周期構造は、光がその二次元周期構造を有する界面を通過する際、二次元周期構造のピッチ(p)よりも長い波長の光の散乱を低減する効果を持つ。これは、媒質A側から媒質B側に入射する光に対して、媒質Aと媒質Bとの中間の屈折率を持つ物質が媒質Aと媒質Bとの間に存在するのと同様の効果を及ぼして、反射率が低下するためである(図2(a)を参照)。さらに、図2(a)および(b)における矩形の凸部Sを、図2(c)に示すような先端に行くほど幅wが小さくなるような錐形(円錐、四角錐、多角錐など)にすることによって、媒質A
と媒質とBの間で屈折率が緩やかに変化するようになり、反射率がさらに低下することが知られている。なお、錐形とした場合の先端の形状は、尖っていてもよいし、丸められたものであってもよい。
このような微細な凹凸からなる二次元周期構造を、第1の封止層6の6A面に、300〜3000nmのピッチ(p)、すなわち太陽光の波長領域と同程度のピッチ(p)で第1の二次元周期構造として形成することにより、太陽電池に入射した太陽光Iの、6A面における散乱を低減し、第1の光電変換素子1に入射する光量を増大することができ、太陽光の利用効率を向上することができる。なお、微細な凹凸の形状は、例えば椀状(ドーム状)や円錐状、角錐状の突起や窪み、波型状等、種々の形状があるが、そのピッチ(p)や凹凸の高低差(h)が太陽光の波長領域と同等な300〜3000nmの範囲であれば特に制限するものではない。微細な凹凸のピッチ(p)と高低差(h)の比率(h/p)については、h/pを0.2〜5の範囲とすることで、充分な散乱抑制効果が得られるとともに、凹凸の形成工程や太陽電池の組み立て工程等における凹凸の変形や破損の発生を抑えることができ、好ましい。なお、本願の各断面図は模式的なものであり、凹凸の大きさや各層の厚さは実際の寸法関係を反映したものではない。
第1の封止層6の6A面に、このような微細な凸凹からなる第1の二次元周期構造を形成するには、CVD法、スパッタ法、エッチング法、研磨法、転写法等の公知の方法を利用すればよい。
第2の表面部材5としては、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)などの透明なシートや、第1の表面部材4と同様な透光性を有するガラス製やポリカーボネート等の樹脂からなる透光性基板が用いられる。また、図1(c)に示すように第2の表面部材5と第2の光電変換素子2との間に第2の封止層7を備えていてもよい。
ここで、図1(b)のように第2の表面部材5と第2の光電変換素子2とが直接接している場合には、第2の表面部材5における第2の光電変換素子2側の主面(5A)に、上述のような微細な凹凸からなる第2の二次元周期構造を有していることが好ましい。また、図1(c)のように第2の表面部材5と第2の光電変換素子2との間に第2の封止層7を備える場合には、第2の封止層7における第2の光電変換素子2側の面(7A)に、同様に微細な凹凸からなる第2の二次元周期構造を有していることが好ましい。このような構成とすることにより、太陽電池に入射した光I’の、5A面または7A面における散乱を低減し、第2の光電変換素子2に入射する光量を増大することができ、入射光の利用効率を向上することができる。
なお、6A面および5A面または7A面における二次元周期構造のピッチ(p1)は、紫外光領域の波長よりも大きくすることが好ましい。これにより、電気エネルギーに変換できない波長領域であるとともに太陽電池の構成要素を劣化させる原因となる紫外光を、6A面および5A面または7A面で散乱させて、太陽電池に紫外光が入射する量を低減できる。
二次元周期構造のピッチは、6A面においては紫外光領域の波長の上限近傍、または第1の光電変換素子1が電気エネルギーに変換可能な波長の下限近傍とすることが好ましい。また、5A面または7A面においては、紫外光領域の波長の上限近傍、または第2の光電変換素子2が電気エネルギーに変換可能な波長の下限近傍とすることが好ましい。これにより、光電変換素子に入射し、電気エネルギーに変換されずに光電変換素子を通過する紫外光が、6A面および5A面または7A面において散乱されることにより低減され、太陽電池を構成する材料の紫外光による劣化を抑制することができるとともに、第1の光電変換素子1における有効波長領域の光の6A面における散乱や、第2の光電変換素子2に
おける有効波長領域の光の5A面または7A面における散乱を抑制することができる。
第1の表面部材4は、第1の光電変換素子1や第2の光電変換素子2、波長変換層3等の太陽電池を構成する各要素を保護するものであり、耐候性や機械的強度の点から、ガラス製やポリカーボネート等の樹脂製であることが好ましく、その厚さは3〜5mm程度とすることが好ましい。
第1の光電変換素子1および第2の光電変換素子2の両主面に設ける電極は、導電性を有する材料で構成されており、Ag、Ni、Cu、Al等の金属材料や半田等の合金材料、カーボン材料、酸化インジウム錫(ITO)などの導電性酸化物材料、およびこれらをフィラーとして含む導電性樹脂材料等から適宜選択することができる。
なお、光電変換素子に用いる電極は、太陽光I、I’や波長変換層3で有効波長領域に変換された光の光電変換素子への入射を妨げないように、少なくとも有効波長領域の光に対して透光性を有する材料を使用することが好ましい。また、透光性が低い材料の場合も、光電変換素子の表面を部分的に被覆する形状、例えばメッシュ状等とすることで適用可能である。
封止層6には、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする樹脂が用いられ、光電変換素子への接着性、耐久性および加工性の点で、ポリビニルブチラール(PVB)やシリコーンなどが10質量%以下の割合で含まれていてもよい。封止層7を備える場合も同様な材料を用いればよい。また、封止層6、7および波長変換層3の厚さは合計で0.4〜1mm程度がよい。
図3(a)は、本発明の一実施形態である太陽電池モジュールについて示した概略断面図であり、太陽光Iが入射する側から、板状の透光性基板である第1の表面部材4、第1の封止層6、複数の第1の光電変換素子1、波長変換層3、複数の第2の光電変換素子2、第2の封止層7、板状の透光性基板である第2の表面部材5の順で積層され、複数の第1の光電変換素子1(第1の光電変換素子1群)および複数の第2の光電変換素子2(第2の光電変換素子2群)はそれぞれインターコネクタ9によって電気的に接続された構成となっている。なお、図3(b)の第1の表面部材4側からみた平面図では、第1の光電変換素子1群およびそれを接続するインターコネクタ9のみを示している。インターコネクタ9には、ハンダを被覆した銅箔等が好適に用いられる。
本実施形態の太陽電池モジュールは、水平面に対して50〜90°の傾斜角度で設置することが好ましい。このような傾斜角度とすることで、太陽光IおよびI’の一日当たりの受光量を増やすことができる。
本実施形態の太陽電池の製造方法について、図1(c)を基に説明する。第1の光電変換素子1および第2の光電変換素子2としては、たとえば光起電力を有する多結晶シリコン基材の両主面にメッシュ状電極として、それぞれ金属Ag粉末を含有する電極ペーストを用いて印刷し、焼き付けたものを用いる。
波長変換層3には、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする樹脂粉末と、赤外光変換型の蛍光体である希土類ドープ結晶やガラス等の材料、たとえばLiKYF:Pr3+やY:Pr3+などの粉末とを用いる。樹脂粉末と蛍光体粉末を所定量配合し、必要に応じてトルエンなどの溶媒を添加して、樹脂粉末が溶解する程度に加熱したロールミルを用いて混合し、樹脂粉末と蛍光体粉末の混合物である波長変換層用の前駆体ペースト(以下、単に前駆体ペーストともいう)を作製する。得られた波長変換層用の前駆体ペーストを、2枚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム間に挟み、ロールプ
レス等を用いて波長変換層3となる所定厚さのシート状成形体を作製する。得られたシート状成形体からポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを剥がして得られたシートを波長変換層3として用いる。
第1の表面部材4、第1の封止層6、第1の光電変換素子1、波長変換層3、第2の光電変換素子2、第2の封止層7および第2の表面部材5を、順次図1(c)のように重ね合わせる。このとき、第1の表面部材4と第1の封止層6とを重ね合わせた後、第1の光電変換素子1を重ねる前に、第1の封止層6の表面に、いわゆるロールツーロール法や転写法等により、所望の微細な凸凹構造を形成することができる。第2の表面部材5と第2の封止層7についても同様な処理を行い、さらに第2の光電変換素子2を重ねた後、これらの光電変換素子側の面を、波長変換層3を介して対向するように重ね合わせることで、所定の箇所に微細な凹凸構造を有する積層体が得られる。得られた積層体は、100〜200℃の温度にて加熱圧着するとともに積層体中の樹脂成分を硬化させることにより、太陽電池を作製することができる。なお、重ね合わせた各層間の密着性を向上するため、真空状態で加熱圧着して樹脂成分の硬化処理を行うことが好ましい。また、光電変換素子と、それに隣接する層との界面に、例えばポリエチレンナフタレート樹脂等の透明性を有する樹脂層を配置しても良い。
第1の表面部材4および第2の表面部材5としては、たとえば強化ガラスを用いる。第1の封止層6および第2の封止層7としては、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを用いる。
なお、本実施形態では、樹脂粉末と蛍光体粉末との混合物である波長変換層用の前駆体ペーストを、2枚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム間に挟み、ロールプレス等を用いて波長変換層3となる所定厚さのシート状成形体を予め作製したが、第1の表面部材4の上に配置した第1の光電変換素子1の主面上や、第2の表面部材5の上に配置した第2の光電変換素子2の主面上に、樹脂粉末と蛍光体粉末の混合物を塗布することで波長変換層3を形成してもよい。
以上、本発明の実施形態の一例である太陽電池および太陽電池モジュールについて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲で種々変更したものについても適用することができる。
1、101:(第1の)光電変換素子
2 :第2の光電変換素子
3 :波長変換層
4、104:第1の表面部材(透光性基板)
5、105:第2の表面部材(カバー層)
6、106:第1の封止層(受光面側封止層)
7、107:第2の封止層(裏面側封止層)
108 :反射層
9 :インターコネクタ
I :太陽光

Claims (10)

  1. いずれも透光性を有する第1の表面部材および第2の表面部材の間に、第1の光電変換素子、波長変換層および第2の光電変換素子がこの順に配置され、前記第1の表面部材と前記第1の光電変換素子との間に第1の封止層を備えており、該第1の封止層の前記第1の光電変換素子側の面が、凸凹からなる第1の二次元周期構造を有するとともに、該第1の二次元周期構造のピッチが、300〜3000nmの範囲であることを特徴とする太陽電池。
  2. 前記波長変換層が、赤外光領域の波長を有する光を、前記第1の光電変換素子および前記第2の光電変換素子のうち少なくとも一方により電気エネルギーに変換可能な波長の光に変換する、赤外光変換機能を有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  3. 前記第1の二次元周期構造の前記ピッチが、紫外光領域の波長よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池。
  4. 前記第1の二次元周期構造の前記ピッチが、紫外光領域の波長の上限近傍または前記第1の光電変換素子が電気エネルギーに変換可能な波長の下限近傍であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池。
  5. 前記第2の表面部材の前記第2の光電変換素子側の面が、凸凹からなる第2の二次元周期構造を有するとともに、該第2の二次元周期構造のピッチが、300〜3000nmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池。
  6. 前記第2の表面部材と前記第2の光電変換素子との間に第2の封止層を備え、
    該第2の封止層の前記第2の光電変換素子側の面が、凸凹からなる第2の二次元周期構造を有するとともに、該第2の二次元周期構造のピッチが、300〜3000nmの範囲であることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の太陽電池。
  7. 前記第2の二次元周期構造の前記ピッチが、紫外光領域の波長よりも大きいことを特徴とする請求項またはに記載の太陽電池。
  8. 前記第2の二次元周期構造の前記ピッチが、紫外光領域の波長の上限近傍または前記第2の光電変換素子が電気エネルギーに変換可能な波長の下限近傍であることを特徴とする
    請求項またはに記載の太陽電池。
  9. 請求項1乃至のいずれかに記載の太陽電池の複数個を用い、配線を介して前記第1の光電変換素子同士および前記第2の光電変換素子同士をそれぞれ電気的に接続してなることを特徴とする太陽電池モジュール。
  10. 請求項に記載の太陽電池モジュールを、水平面に対して50〜90°の傾斜角度で設置することを特徴とする太陽電池モジュールの設置方法。
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