(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
図1は、実施の形態1にかかる搬送装置1を示す図である。搬送装置1は、平角線2(2a〜2h)を、矢印Aの方向に搬送する。搬送装置1は、搬送装置本体10と、搬送装置本体10の両側に設けられた固定プレート(支持部材)20及び搬送プレート(搬送部材)30とを有する。ここで、平角線2は、例えば平角導体である。平角線2は、表面をエナメル等の絶縁皮膜で被覆されている。また、平角線2は、その断面形状が略長方形となるように形成されている。
なお、以下の説明では、主に、図1の手前側から見た状態(搬送方向右側)について説明するが、図1の向こう側から見た状態(搬送方向左側)についても、(左右は逆であるものの)同様である。
固定プレート20は、搬送装置本体10に固定されている。固定プレート20には、平角線2a〜2hそれぞれの位置に対応した複数の位置決め溝が設けられている。固定プレート20は、複数の位置決め溝それぞれで平角線2の姿勢を決めて、平角線2を、平角線2a〜2hそれぞれの位置で支持する。位置決め溝については後述する。
搬送プレート30は、搬送装置本体10に設けられたリンク機構に支持されている。搬送プレート30は、このリンク機構によって、固定プレート20と略平行の姿勢を維持したまま、固定プレート20に沿って回転するように構成されている。搬送プレート30には、複数の搬送溝が設けられている。搬送プレート30は、固定プレート20に沿って回転することによって、固定プレート20に支持された平角線2を搬送する。詳しくは後述する。
図2は、実施の形態1にかかる固定プレート20及び搬送プレート30を示す図であり、(a)は固定プレート20を示し、(b)は搬送プレート30を示す。また、図3は、平角線2が搬送される状態を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
図2(a)に示すように、固定プレート20には、位置決め溝22(22a〜22f)が設けられている。位置決め溝22a〜22fは、搬送方向上流側から、この順に設けられている。位置決め溝22a〜22fは、それぞれ、平角線2の両端近傍を支持することにより、平角線2を、それぞれ対応する姿勢で維持する。これにより、固定プレート20は、平角線2を、位置決め溝22a〜22fそれぞれの位置で支持する。
位置決め溝22aは、平角線2aを支持する。位置決め溝22aは、断面が矩形形状であり、その幅が平角線2の断面形状の短辺長さ(エッジワイズの幅)に対応するように形成されている。この位置決め溝22aに平角線2が置かれることにより、位置決め溝22aは、平角線2の姿勢を垂直方向に長い状態(縦向き)に決める。つまり、位置決め溝22aは、平角線2(平角線2a)を、縦向きの姿勢となるように位置決めし、支持する。
位置決め溝22bは、平角線2bを支持する。位置決め溝22bは、断面が略V字型形状であり、その両方の斜面の傾斜が略45度となるように形成されている。この位置決め溝22bの左側の斜面に接するように平角線2が置かれることにより、位置決め溝22bは、平角線2の姿勢を、平角線2aの状態から図2(a)において反時計回りに45度回転させた状態(右斜め下向き)に決める。つまり、位置決め溝22bは、平角線2(平角線2b)を、右斜め下向きの姿勢となるように位置決めし、支持する。
位置決め溝22cは、平角線2cを支持する。位置決め溝22cは、断面が略V字型形状であり、その両方の斜面の傾斜が略45度となるように形成されている。この位置決め溝22cの右側の斜面に接するように平角線2が置かれることにより、位置決め溝22cは、平角線2の姿勢を、平角線2bの状態から図2(a)において反時計回りに90度回転させた状態(左斜め下向き)に決める。つまり、位置決め溝22cは、平角線2(平角線2c)を、左斜め下向きの姿勢となるように位置決めし、支持する。
位置決め溝22dは、平角線2dを支持する。位置決め溝22dは、断面が矩形形状であり、その幅が平角線2の断面形状の長辺長さ(フラットワイズの幅)に対応するように形成されている。この位置決め溝22dに平角線2が置かれることにより、位置決め溝22dは、平角線2の姿勢を、平角線2cの状態から図2(a)において時計回りに45度回転させた状態(横向き)に決める。つまり、位置決め溝22dは、平角線2(平角線2d)を、横向きの姿勢となるように位置決めし、支持する。
位置決め溝22eは、平角線2eを支持する。位置決め溝22eは、位置決め溝22aと同様に、断面が矩形形状であり、その幅が平角線2の断面形状の短辺長さに対応するように形成されている。この位置決め溝22eに平角線2が置かれることにより、位置決め溝22eは、平角線2の姿勢を、平角線2dの状態から図2(a)において時計回りに90度回転させた状態(縦向き)に決める。つまり、位置決め溝22dは、平角線2(平角線2e)を、縦向きの姿勢となるように位置決めし、支持する。
位置決め溝22fは、平角線2fを支持する。位置決め溝22fは、位置決め溝22eと同様に、断面が矩形形状であり、その幅が平角線2の断面形状の短辺長さに対応するように形成されている。この位置決め溝22fに平角線2が置かれることにより、位置決め溝22fは、平角線2の姿勢を縦向きに決める。つまり、位置決め溝22fは、平角線2(平角線2f)を、縦向きの姿勢となるように位置決めし、支持する。
図2(b)に示すように、搬送プレート30には、搬送溝32(32a〜32e)が設けられている。この搬送プレート30によって、平角線2は、位置決め溝22aから位置決め溝22bへと搬送される。同様に、平角線2は、位置決め溝22bから位置決め溝22cへと搬送され、位置決め溝22cから位置決め溝22dへと搬送され、位置決め溝22dから位置決め溝22eへと搬送され、位置決め溝22eから位置決め溝22fへと搬送される。
具体的には、後述するように、搬送溝32は、搬送プレート30の回転により、搬送元の位置決め溝22から平角線2を持ち上げる。搬送プレート30は、搬送溝32に持ち上げられた平角線2を、搬送プレート30の回転によって、搬送先の位置決め溝22まで搬送する。このとき、平角線2は、搬送元の位置決め溝22から持ち上げられてから搬送先の位置決め溝22に置かれるまでの間に、搬送元の位置決め溝22に対応した姿勢から搬送先の位置決め溝22に対応した姿勢へと回転する。言い換えると、搬送プレート30は、平角線2を、回転させつつ搬送する。なお、回転動作については、図4〜図7を用いて後述する。
搬送溝32aは、位置決め溝22aに置かれた平角線2(平角線2a)を、位置決め溝22bに搬送するための溝である。搬送溝32aは、平角線2の搬送過程において、平角線2を、位置決め溝22aに対応する姿勢(縦向き)から、位置決め溝22bに対応する姿勢(右斜め下向き)に回転させるのに適した形状となっている。例として、図2(b)では、搬送溝32aは、断面が略V字型形状であり、その両方の斜面が略45度となるように形成されている。搬送溝32aは、搬送プレート30の回転により、搬送元の位置決め溝22aから平角線2(平角線2a)を持ち上げる。搬送溝32aに持ち上げられた平角線2は、搬送先の位置決め溝22bに搬送される。
搬送溝32bは、位置決め溝22bに置かれた平角線2(平角線2b)を、位置決め溝22cに搬送するための溝である。搬送溝32bは、平角線2の搬送過程において、平角線2を、位置決め溝22bに対応する姿勢(右斜め下向き)から、位置決め溝22cに対応する姿勢(左斜め下向き)に回転させるのに適した形状となっている。例として、図2(b)では、搬送溝32bは、断面が略V字型形状であり、その両方の斜面が略45度となるように形成されている。搬送溝32bは、搬送プレート30の回転により、搬送元の位置決め溝22bから平角線2(平角線2b)を持ち上げる。搬送溝32bに持ち上げられた平角線2は、搬送先の位置決め溝22cに搬送される。
搬送溝32cは、位置決め溝22cに置かれた平角線2(平角線2c)を、位置決め溝22dに搬送するための溝である。搬送溝32cは、平角線2の搬送過程において、平角線2を、位置決め溝22cに対応する姿勢(左斜め下向き)から、位置決め溝22dに対応する姿勢(横向き)に回転させるのに適した形状となっている。例として、図2(b)では、搬送溝32cは、断面が略V字型形状であり、その両方の斜面が略45度となるように形成されている。搬送溝32cは、搬送プレート30の回転により、搬送元の位置決め溝22cから平角線2(平角線2c)を持ち上げる。搬送溝32cに持ち上げられた平角線2は、搬送先の位置決め溝22dに搬送される。
搬送溝32dは、位置決め溝22dに置かれた平角線2(平角線2d)を、位置決め溝22eに搬送するための溝である。搬送溝32dは、平角線2の搬送過程において、平角線2を、位置決め溝22dに対応する姿勢(横向き)から、位置決め溝22eに対応する姿勢(縦向き)に回転させるのに適した形状となっている。例として、図2(b)では、搬送溝32dは、断面が略V字型形状であり、その両方の斜面が略45度となるように形成されている。搬送溝32dは、搬送プレート30の回転により、搬送元の位置決め溝22dから平角線2(平角線2d)を持ち上げる。搬送溝32dに持ち上げられた平角線2は、搬送先の位置決め溝22eに搬送される。
搬送溝32eは、位置決め溝22eに置かれた平角線2(平角線2e)を、位置決め溝22fに搬送するための溝である。搬送溝32eは、平角線2の搬送過程において、平角線2を、位置決め溝22eに対応する姿勢(縦向き)から、位置決め溝22fに対応する姿勢(縦向き)に維持させるのに適した形状となっている。例として、図2(b)では、搬送溝32eは、断面が矩形形状であり、その幅が平角線2の断面形状の短辺長さに対応するように形成されている。搬送溝32eは、搬送プレート30の回転により、搬送元の位置決め溝22eから平角線2(平角線2e)を持ち上げる。搬送溝32eに持ち上げられた平角線2は、搬送先の位置決め溝22fに搬送される。
次に、図4〜図7を用いて、搬送プレート30の回転動作について説明する。
図4には、搬送溝32aによって位置決め溝22aから位置決め溝22bに平角線2を搬送する動作が示されている。まず、初期状態(状態1)において、固定プレート20の位置決め溝22aには、平角線2が置かれている。また、搬送プレート30は、固定プレート20に対して、搬送溝32aが位置決め溝22aの下にあるように位置している。
次に、状態2において、矢印Aで示すように搬送プレート30が時計回りに回転すると、位置決め溝22aに置かれた平角線2は、搬送溝32aによって持ち上げられる。このとき、搬送溝32aにおいて、平角線2は、搬送溝32aの左側の斜面S1で支持される。これによって、平角線2は、状態1から、反時計回りに45度回転した状態となる。
さらに搬送プレート30が、矢印Bで示すように時計回りに回転すると、状態3のように、平角線2は、位置決め溝22bの上方に搬送される。
さらに、搬送プレート30が時計回りに回転すると、搬送溝32aは、位置決め溝22bと重なるように降下する。そのとき、状態4のように、平角線2の、搬送溝32aの斜面S1で支持されていた面S2は、位置決め溝22bの左側の斜面S3に突き当たる。そして、搬送プレート30が時計回りに回転することにより、搬送溝32aは、矢印Cで示すように、位置決め溝22bよりも下方まで降下する。そのため、平角線2は、搬送溝32aから離れ、位置決め溝22bに入り込む。このとき、平角線2の面S2が斜面S3に突き当たっていたので、平角線2は、面S2を斜面S3に沿って滑らせながら、位置決め溝22bの底に突き当たる。
図5には、搬送溝32bによって位置決め溝22bから位置決め溝22cに平角線2を搬送する動作が示されている。まず、初期状態(状態1)において、固定プレート20の位置決め溝22bには、平角線2が置かれている。また、搬送プレート30は、固定プレート20に対して、搬送溝32bが位置決め溝22bの下にあるように位置している。
次に、状態2において、矢印Aで示すように搬送プレート30が時計回りに回転すると、位置決め溝22bに置かれた平角線2は、搬送溝32bによって持ち上げられる。このとき、搬送溝32bが位置決め溝22bの左下から平角線2に近づくことによって、搬送溝32bにおいて、平角線2は、搬送溝32bの右側の斜面S1で支持される。これによって、平角線2は、状態1から、反時計回りに90度回転した状態となる。
さらに搬送プレート30が、矢印Bで示すように時計回りに回転すると、状態3のように、平角線2は、位置決め溝22cの上方に搬送される。
さらに、搬送プレート30が時計回りに回転すると、搬送溝32bは、位置決め溝22cと重なるように降下する。そのとき、状態4のように、平角線2の、搬送溝32bの斜面S1で支持されていた面S2は、位置決め溝22cの右側の斜面S3に突き当たる。そして、搬送プレート30が時計回りに回転することにより、搬送溝32bは、矢印Cで示すように、位置決め溝22cよりも下方まで降下する。そのため、平角線2は、搬送溝32bから離れ、位置決め溝22cに入り込む。このとき、平角線2の面S2が斜面S3に突き当たっていたので、平角線2は、面S2を斜面S3に沿って滑らせながら、位置決め溝22cの底に突き当たる。
図6には、搬送溝32cによって位置決め溝22cから位置決め溝22dに平角線2を搬送する動作が示されている。まず、初期状態(状態1)において、固定プレート20の位置決め溝22cには、平角線2が置かれている。また、搬送プレート30は、固定プレート20に対して、搬送溝32cが位置決め溝22cの下にあるように位置している。
次に、状態2において、矢印Aで示すように搬送プレート30が時計回りに回転すると、位置決め溝22cに置かれた平角線2は、搬送溝32cによって持ち上げられる。このとき、搬送溝32cにおいて、平角線2は、搬送溝32cの右側の斜面S1で支持される。
さらに搬送プレート30が、矢印Bで示すように時計回りに回転すると、状態3のように、平角線2は、位置決め溝22dの上方に搬送される。
さらに、搬送プレート30が時計回りに回転すると、搬送溝32cは、位置決め溝22dと重なるように降下する。そのとき、状態4のように、平角線2の下端Pが、位置決め溝22dの底に突き当たる。そして、搬送プレート30が時計回りに回転することにより、搬送溝32cは、矢印Cで示すように、位置決め溝22dよりも下方まで降下する。そのため、平角線2は、搬送溝32cから離れ、位置決め溝22dに入り込む。このとき、平角線2は、矢印Dで示すように、時計回りに45度回転しながら、位置決め溝22dの底に倒れこむ。
図7には、搬送溝32dによって位置決め溝22dから位置決め溝22eに平角線2を搬送する動作が示されている。まず、初期状態(状態1)において、固定プレート20の位置決め溝22dには、平角線2が置かれている。また、搬送プレート30は、固定プレート20に対して、搬送溝32dが位置決め溝22dの下にあるように位置している。
次に、状態2において、矢印Aで示すように搬送プレート30が時計回りに回転すると、位置決め溝22dに置かれた平角線2は、搬送溝32dによって持ち上げられる。このとき、搬送溝32dにおいて、平角線2は、搬送溝32dの左側の斜面S1で支持される。これによって、平角線2は、状態1から、時計回りに45度回転した状態となる。
さらに、搬送プレート30が矢印Bで示すように時計回りに回転すると、状態3のように、平角線2は、位置決め溝22eの上方に搬送される。
さらに、搬送プレート30が時計回りに回転すると、搬送溝32dは、位置決め溝22eと重なるように降下する。そのとき、状態4のように、平角線2の、搬送溝32dの斜面S1で支持されていた面S2は、位置決め溝22eの角部Eに突き当たる。そして、搬送プレート30が時計回りに回転することにより、搬送溝32dは、矢印Cで示すように、位置決め溝22eよりも下方まで降下する。そのため、平角線2は、搬送溝32dから離れ、位置決め溝22eに入り込む。このとき、平角線2の面S2が角部Eに突き当たっていたので、平角線2は、面S2を角部Eに摺りながら、時計回りに45度回転する。
このようにして、実施の形態1においては、搬送プレート30は、この搬送プレート30が回転することによって、平角線2を搬送しながら、この平角線2を回転させる。したがって、搬送プレート30は、図3に示すように、平角線2を回転させながら搬送する。また、搬送溝32の形状は、搬送元の位置決め溝22の形状及び搬送先の位置決め溝22の形状の少なくとも一方と異なるようになっている。例えば、搬送溝32aの形状は、搬送元の位置決め溝22aの形状と異なる。また、搬送溝32dの形状は、搬送元の位置決め溝22dの形状及び搬送先の位置決め溝22eと異なる。このように構成されていることによって、平角線2を、より確実に、搬送先の姿勢に回転させることができる。
ここで、搬送装置1の両側には、平角線2に被覆された絶縁皮膜を剥離する剥離装置(図示せず)が設けられている。剥離装置は、各位置決め溝22それぞれに対応して、例えばカッター等の複数の切削部材を有している。つまり、切削部材は、各位置決め溝22それぞれによって位置決めされた平角線2の両端から、絶縁皮膜を剥離する。ここで、上述したように、各位置決め溝22で平角線2の姿勢が異なっている。これにより、平角線2の長辺(フラットワイズ)、短辺(エッジワイズ)及び角部について絶縁皮膜を剥離するに際し、複数の切削部材の剥離方向(切削方向)を異なるようにする必要はなく、同じ方向に切削するように構成することが可能となる。したがって、平角線の製造設備を単純化することが可能となる。
次に、搬送プレート30を回転させるリンク機構について、図1及び図8を用いて説明する。図8は、リンク機構を示す図である。
搬送装置本体10には、ハンドル40が設けられている。ハンドル40は、駆動装置である。ハンドル40を手動で時計回り(矢印B方向)に回すことによって、駆動軸42が時計回りに回転する。駆動軸42が回転すると、駆動軸42に設けられた駆動ローラ44も時計回りに回転する。なお、本実施の形態においては、ハンドル40を手動で駆動させるが、モータ等によって、駆動軸42及び駆動ローラ44を駆動させてもよい、
駆動ローラ44には、伝達ベルト46が巻かれている。駆動ローラ44が回転すると、それに伴って伝達ベルト46が回転し、その回転駆動力が従動ローラ48に伝達されて、従動ローラ48が時計回りに回転する。なお、駆動ローラ44及び伝達ベルト46は、それぞれギアを設けられ、これらのギアが噛み合うことによって、より確実に、動力を伝達できる。
従動ローラ48は、回転軸50に設けられており、従動ローラ48が回転すると、それに伴って回転軸50が時計回りに回転する。また、回転軸50には従動ローラ52が設けられており、回転軸50の回転に伴って、従動ローラ52も回転する。また、従動ローラ52には、伝達ベルト54が巻かれている。従動ローラ52が回転すると、それに伴って伝達ベルト54が回転し、その回転駆動力が従動ローラ56に伝達される。なお、従動ローラ52及び伝達ベルト54は、それぞれギアを設けられ、これらのギアが噛み合うことによって、より確実に、動力を伝達できる。従動ローラ56は、回転軸58に設けられており、従動ローラ56が回転することによって、回転軸58が時計回りに回転する。
図8(a)に示すように、回転軸50は、リンク機構60を介して、搬送プレート30を回転させる。リンク機構60は、長板形状のリンク62を有している。リンク62の一端は、回転軸50に固定されている。リンク62の他端には、軸64が支持されている。つまり、回転軸50が時計回りに回転(自転)すると、軸64は、回転軸50の周りを時計回りに回転(公転)する。ここで、搬送プレート30は、左側(搬送方向上流側)において、軸64に回転可能に支持されている。
同様に、回転軸58は、リンク機構70を介して、搬送プレート30を回転させる。リンク機構70は、長板形状のリンク72を有している。リンク72の一端は、回転軸58に支持されている。リンク72の他端には、軸74が支持されている。つまり、回転軸58が時計回りに回転(自転)すると、軸74は、回転軸58の周りを時計回りに回転(公転)する。ここで、搬送プレート30は、右側(搬送方向下流側)において、軸74に回転可能に支持されている。
回転軸50及び回転軸58が回転することによって、軸64及び軸74が、それぞれ、回転軸50及び回転軸58の周りを公転する。ここで、軸64及び軸74は、搬送プレート30の搬送方向と略平行になるように設けられている。したがって、図8(b)に示すように、搬送プレート30は、平行を保ったまま、矢印Cで示すように、時計回りに回転する。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2においては、位置決め溝の位置及び搬送溝の形状が、実施の形態1と比較してさらに最適化されている。なお、搬送プレート30の回転機構については、実施の形態1と同様である。
図9は、実施の形態2にかかる固定プレート(支持部材)20及び搬送プレート(搬送部材)30を示す図であり、(a)は固定プレート20を示し、(b)は搬送プレート30を示し、(c)は、固定プレート20における位置決め溝24の間隔(ピッチ)を示す。また、図10は、平角線2が搬送される状態を示す図である。
図9(a)に示すように、実施の形態1と同様に、固定プレート20には、位置決め溝24(24a〜22e)が設けられている。位置決め溝22a〜22fと同様に、位置決め溝24a〜24eは、それぞれ、平角線2の両端近傍を支持することにより、平角線2を、それぞれ対応する姿勢で維持する。これにより、固定プレート20は、平角線2を、位置決め溝24a〜24eそれぞれの位置で支持する。
位置決め溝24aは、平角線2aを、平角線2aの姿勢が縦向きとなるように支持する。位置決め溝24aは、断面が矩形形状であり、その幅が平角線2の断面形状の短辺長さ(エッジワイズの幅)に対応するように形成されている。この位置決め溝24aに平角線2が置かれることにより、位置決め溝24aは、平角線2の姿勢を縦向きに決める。つまり、位置決め溝24aは、平角線2(平角線2a)を、縦向きの姿勢となるように位置決めし、支持する。
位置決め溝24bは、平角線2bを、平角線2bの姿勢が横向きとなるように支持する。位置決め溝24bは、断面が矩形形状であり、その幅が平角線2の断面形状の長辺長さ(フラットワイズの幅)に対応するように形成されている。この位置決め溝24bに平角線2が置かれることにより、位置決め溝24bは、平角線2の姿勢を横向きに決める。つまり、位置決め溝24bは、平角線2(平角線2b)を、横向きの姿勢となるように位置決めし、支持する。
位置決め溝24cは、平角線2cを、平角線2cの姿勢が左斜め下向きとなるように支持する。位置決め溝24cは、断面が略V字型形状であり、その両方の斜面の傾斜が略45度となるように形成されている。この位置決め溝24cの右側の斜面に接するように平角線2が置かれることにより、位置決め溝24cは、平角線2の姿勢を左斜め下向きに決める。つまり、位置決め溝24cは、平角線2(平角線2c)を、左斜め下向きの姿勢となるように位置決めし、支持する。
位置決め溝24dは、平角線2dを、平角線2dの姿勢が右斜め下向きとなるように支持する。位置決め溝24dは、断面が略V字型形状であり、その両方の斜面の傾斜が略45度となるように形成されている。この位置決め溝24dの左側の斜面に接するように平角線2が置かれることにより、位置決め溝24dは、平角線2の姿勢を右斜め下向きに決める。つまり、位置決め溝24dは、平角線2(平角線2d)を、右斜め下向きの姿勢となるように位置決めし、支持する。
位置決め溝24eは、平角線2eを、平角線2eの姿勢が横向きとなるように支持する。位置決め溝24eは、断面が矩形形状であり、その幅が平角線2の断面形状の長辺長さ(フラットワイズの幅)に対応するように形成されている。この位置決め溝24eに平角線2が置かれることにより、位置決め溝24eは、平角線2の姿勢を横向きに決める。つまり、位置決め溝24eは、平角線2(平角線2e)を、横向きの姿勢となるように位置決めし、支持する。
図9(b)に示すように、実施の形態1と同様に、搬送プレート30には、搬送溝34(34a〜34e)が設けられている。この搬送プレート30が反時計回りに回転することによって、平角線2は、位置決め溝24aから位置決め溝24bへと搬送される。同様に、平角線2は、位置決め溝24bから位置決め溝24cへと搬送され、位置決め溝24cから位置決め溝24dへと搬送され、位置決め溝24dから位置決め溝24eへと搬送される。
具体的には、実施の形態1と同様に、搬送溝34は、搬送プレート30の回転により、搬送元の位置決め溝24から平角線2を持ち上げる。搬送プレート30は、搬送溝34に持ち上げられた平角線2を、搬送プレート30の回転によって、搬送先の位置決め溝24まで搬送する。このとき、平角線2は、搬送元の位置決め溝24から持ち上げられてから搬送先の位置決め溝24に置かれるまでの間に、搬送元の位置決め溝24に対応した姿勢から搬送先の位置決め溝24に対応した姿勢へと回転する。言い換えると、搬送プレート30は、平角線2を、回転させつつ搬送する。
搬送溝34aは、位置決め溝24aに置かれた平角線2(平角線2a)を、位置決め溝24bに搬送するための溝である。搬送溝34aは、平角線2の搬送過程において、平角線2を、位置決め溝24aに対応する姿勢(縦向き)から、位置決め溝24bに対応する姿勢(横向き)に回転させるのに適した形状となっている。例として、図9(b)では、搬送溝34aは、底部a1とステップa2を有する。ステップa2は、底部a1の右側に設けられている。底部a1は、ステップa2側に向かって下がるように傾斜が付けられている。
搬送溝34bは、位置決め溝24bに置かれた平角線2(平角線2b)を、位置決め溝24cに搬送するための溝である。搬送溝34bは、平角線2の搬送過程において、平角線2を、位置決め溝24bに対応する姿勢(横向き)から、位置決め溝24cに対応する姿勢(左斜め下向き)に回転させるのに適した形状となっている。例として、図9(b)では、搬送溝34bは、断面が略V字型形状となっており、右側の斜面b1及び左側の斜面b2を有する。さらに、斜面b1の右側には、ステップb3が設けられている。
搬送溝34cは、位置決め溝24cに置かれた平角線2(平角線2c)を、位置決め溝24dに搬送するための溝である。搬送溝34cは、平角線2の搬送過程において、平角線2を、位置決め溝24cに対応する姿勢(左斜め下向き)から、位置決め溝24dに対応する姿勢(右斜め下向き)に回転させるのに適した形状となっている。例として、図9(b)では、搬送溝34cは、底部c1及びステップc2を有する。ステップc2は、底部c1の左側に設けられている。
搬送溝34dは、位置決め溝24dに置かれた平角線2(平角線2d)を、位置決め溝24eに搬送するための溝である。搬送溝34dは、平角線2の搬送過程において、平角線2を、位置決め溝24dに対応する姿勢(右斜め下向き)から、位置決め溝24dに対応する姿勢(横向き)に回転させるのに適した形状となっている。例として、図9(b)では、搬送溝34dは、底部d1及びステップd2を有する。ステップd2は、底部d1の右側に設けられている。
搬送溝34eは、位置決め溝24eに置かれた平角線2(平角線2e)を、次の工程に搬送するための溝である。図9(b)では、搬送溝34eは、断面が矩形形状であり、その幅が平角線2の断面形状の長辺長さ(フラットワイズの幅)に対応するように形成されている。
図9(c)には、固定プレート20における位置決め溝24の間隔(ピッチ)が、搬送溝34との関係とともに示されている。例えば、リンク設定を50mmとする。このとき、搬送プレート30の回転半径は、25mmとなる。搬送プレート30において、搬送溝34aと搬送溝34bとの間隔、搬送溝34bと搬送溝34cとの間隔、搬送溝34cと搬送溝34dとの間隔、及び搬送溝34dと搬送溝34eとの間隔は、それぞれ、リンク設定と同じ50mmとしてよい。
一方、図9(c)に示すように、位置決め溝24aと位置決め溝24bとの間隔は51mmである。また、位置決め溝24bと位置決め溝24cとの間隔は50.5mmである。また、位置決め溝24cと位置決め溝24dとの間隔は49mmである。また、位置決め溝24dと位置決め溝24eとの間隔は50.5mmである。つまり、位置決め溝24a〜24eの間隔は、互いに異なるように構成されている。理由については後述する。
次に、図10を用いて、搬送プレート30が、平角線2の姿勢を変えつつ平角線2を搬送する動作について説明する。
図10(a)は、初期状態を示す。位置決め溝24a〜24eには、それぞれ、平角線2a〜2eが置かれている。また、搬送溝34a〜34eは、それぞれ、位置決め溝24a〜34eの下にあるように位置している。
図10(b)は、搬送溝34が平角線2を持ち上げる直前の状態を示す。また、図10(c)は、搬送溝34が平角線を持ち上げた直後の状態を示す。図10(a)の状態から搬送プレート30が回転することによって、図10(b)に示すように、搬送溝34a〜34eが、それぞれ、位置決め溝24a〜34eに重なる位置まで上昇する。さらに、搬送プレート30が回転することによって、図10(c)に示すように、搬送溝34a〜34eが、平角線2を、それぞれ、位置決め溝24a〜34eから持ち上げる。
このとき、図10(b)に示すように、搬送溝34aが上昇することによって、位置決め溝24aに支持されていた平角線2aの下面(エッジワイズ面)右側端近傍に、搬送溝34aのステップa2が突き当たる。そして、さらに搬送溝34aが上昇することによって、ステップa2が平角線2aを右下から突き上げる。これによって、平角線2aは、反時計回りに回転し、図10(c)に示すように、フラットワイズ面を底部a1に接触させるようにして、搬送溝34aの底部a1に落下する。
また、図10(b)に示すように、搬送溝34bが上昇することによって、位置決め溝24bに支持されていた平角線2bの下面(フラットワイズ面)右側端近傍に、搬送溝34bのステップb3が突き当たる。そして、さらに搬送溝34bが上昇することによって、ステップb3が平角線2bを右下から突き上げる。これによって、平角線2bは、反時計回りに回転し、図10(c)に示すように、平角線2bのフラットワイズ面が斜面b1に接するように、搬送溝34bに落下する。
また、図10(b)に示すように、搬送溝34cが上昇することによって、位置決め溝24cの左側斜面に支持されていた平角線2cのエッジワイズ面に、搬送溝34cのステップc2が突き当たる。そして、さらに搬送溝34cが上昇することによって、ステップc2が平角線2cを左下から突き上げる。これによって、平角線2cは、時計回りに回転し、図10(c)に示すように、平角線2cのフラットワイズ面を下にして、底部c1に落下する。
また、図10(b)に示すように、搬送溝34dが上昇することによって、位置決め溝24dの右側斜面に支持されていた平角線2dのエッジワイズ面に、搬送溝34dのステップd2が突き当たる。そして、さらに搬送溝34dが上昇することによって、ステップd2が平角線2dを右下から突き上げる。これによって、平角線2dは、反時計回りに回転し、図10(d)に示すように、平角線2dのフラットワイズ面を下にして、底部d1に落下する。
図10(d)は、搬送工程における中間位置の状態を示す。図10(c)の状態から搬送プレート30が回転することによって、図10(d)に示すように、各搬送溝34は、最高点近傍位置まで移動する。さらに搬送プレート30が回転することによって、図10(e)に示す状態まで、搬送溝34が移動する。
図10(e)は、搬送溝34が平角線2を搬送先の位置決め溝24に置く直前の状態を示す。また、図10(f)は、搬送溝34が平角線2を搬送先の位置決め溝24に置いた状態を示す。図10(e)に示した状態から搬送プレート30が回転することによって、図10(f)に示すように、搬送溝34が、搬送先の位置決め溝24に重なる位置まで下降する。このとき、平角線2は、搬送先の位置決め溝24に置かれることとなる。さらに搬送プレート30が回転すると、搬送溝34は、位置決め溝24の下側を回転するように移動して、図10(a)の状態に戻る。
このとき、図10(e)の状態から図10(f)の状態に搬送溝34aが下降すると、平角線2aの下端は、位置決め溝24bの底に突き当たる。さらに搬送溝34aが下降すると、平角線2aは、搬送溝34aの底部a1から離れ、搬送溝34aに支持されなくなる。したがって、平角線2aは、反時計回りに回転し、図10(f)に示すように、フラットワイズ面を位置決め溝24bの底に接触させるように、位置決め溝24bに支持される。つまり、平角線2aは、位置決め溝24aに支持されていたときの姿勢から、反時計回りに90度回転して、位置決め溝24bに搬送される。
また、図10(e)の状態から図10(f)の状態に搬送溝34bが下降すると、平角線2bの斜面b1に接触していたフラットワイズ面が、位置決め溝24cの右側の斜面に突き当たる。さらに搬送溝34bが下降すると、平角線2bは、搬送溝34bの斜面b1から離れ、搬送溝34bに支持されなくなる。したがって、平角線2bは、図10(f)に示すように、斜面b1に接触していたフラットワイズ面を位置決め溝24cの右側の斜面に接触させるように、位置決め溝24cに支持される。つまり、平角線2bは、位置決め溝24bに支持されていたときの姿勢から、反時計回りに45度回転して、位置決め溝24cに搬送される。
また、図10(e)の状態から図10(f)の状態に搬送溝34cが下降すると、平角線2cの底部c1に接触していたフラットワイズ面が、位置決め溝24dの左側の斜面に突き当たる。さらに搬送溝34cが下降すると、平角線2cは、搬送溝34cの底部c1から離れ、搬送溝34cに支持されなくなる。したがって、平角線2cは、時計回りに回転し、図10(f)に示すように、底部c1に接触していたフラットワイズ面を位置決め溝24dの左側の斜面に接触させるように、位置決め溝24dに支持される。つまり、平角線2cは、位置決め溝24cに支持されていたときの姿勢から、時計回りに90度回転して、位置決め溝24dに搬送される。
また、図10(e)の状態から図10(f)の状態に搬送溝34dが下降すると、平角線2dの底部d1に接触していたフラットワイズ面が、位置決め溝24eの底に突き当たる。さらに搬送溝34dが下降すると、平角線2dは、搬送溝34dの底部d1から離れ、搬送溝34dに支持されなくなる。したがって、平角線2dは、図10(f)に示すように、底部d1に接触していたフラットワイズ面を位置決め溝24eの底に接触させるように、位置決め溝24eに支持される。つまり、平角線2dは、位置決め溝24dに支持されていたときの姿勢から、反時計回りに45度回転して、位置決め溝24eに搬送される。
ここで、搬送溝34aによって平角線2aが搬送されるとき、平角線2aは、搬送溝34aの中心から左側にずれて設けられた底部a1に支持されている。一方、平角線2aが搬送先の位置決め溝24bに置かれるとき、平角線2aと位置決め溝24bとが位置合わせされていないと、平角線2aが位置決め溝24bに入らないおそれがある。そのため、位置決め溝24bを左側にずらす必要がある。したがって、図9(c)に示すように、位置決め溝24aと位置決め溝24bとの間隔が広くなっている。
また、搬送溝34cによって平角線2cが搬送されるとき、平角線2cは、搬送溝34cの中心から右側にずれて設けられた底部c1に支持されている。一方、平角線2cの搬送先の位置決め溝24dにおいては、平角線2は、位置決め溝24dの左側の斜面に支持される。そのため、位置決め溝24bを右側にずらす必要がある。したがって、図9(c)に示すように、位置決め溝24cと位置決め溝24dとの間隔が狭くなっている。
上記のことは、実施の形態1のように、搬送溝が略V字型形状である場合にも、適用される。
図11は、位置決め溝の間隔がリンク長さと同じ場合の問題点を説明するための図である。また、図12は、位置決め溝の間隔がリンク長さと異なる場合について説明するための図である。
図11には、位置決め溝22dと位置決め溝22eとの間隔Wが、リンク長さL(例えば50mm)と同じである場合について示されている。搬送溝32dは、平角線2を搬送するとき、搬送溝32dの左側の斜面S1で支持する。そのため、搬送溝32dが位置決め溝22dから平角線2を持ち上げるとき、搬送溝32dは、位置決め溝22dからずれD(例えば1mm)だけ右にずれている。
ここで、位置決め溝22dと位置決め溝22eとの間隔Wがリンク長さLと同じである場合、搬送溝32dが位置決め溝22eに平角線2を置くときも、搬送溝32dは、位置決め溝22eからずれDだけ右にずれる。そのため、平角線2は、位置決め溝22eの右端に突き当たり、位置決め溝22eに入り込まない。
一方、図12に示すように、位置決め溝22dと位置決め溝22eとの間隔WをL+D(例えば51mm)とすることによって、搬送溝32dが位置決め溝22eに平角線2を置くときに、平角線2は、位置決め溝22eに入り込むようになる。
なお、例えば図7において、平角線2は、位置決め溝22dから位置決め溝22eに搬送される際に、時計回りに90度回転する。一方、平角線2の加工状況に応じて、位置決め溝22dから位置決め溝22eに搬送される際に、反時計回りに90度回転することが必要な場合がある。このようなとき、平角線2の搬送の際に、必要に応じて回転方向を逆にすることも可能である。
図13は、平角線2の搬送の際に回転方向を逆にする構成を説明するための図である。位置決め溝22dは、固定プレート20に対して固定しておらず、左右に移動可能に構成されている。例えば位置決め溝22dは、左右に隙間を有していて、その隙間の分だけ、左右に移動可能になっている。
図13(a)に示すように、位置決め溝22dが左側にある場合、搬送溝32dは、上述したように、平角線2の搬送の際に、平角線2を、搬送溝32dの左側の斜面S1で支持する。したがって、平角線2は、位置決め溝22dから位置決め溝22eに搬送される間に、時計回りに90度回転する。
一方、図13(b)に示すように、位置決め溝22dが右側に移動すると、搬送溝32dは、平角線2の搬送の際に、平角線2を、搬送溝32dの右側の斜面S2で支持する。したがって、平角線2は、位置決め溝22dから位置決め溝22eに搬送される間に、反時計回りに90度回転する。
このように、位置決め溝22をずらすことによって、平角線2の回転方向を変更することができる。これにより、位置決め溝22dにおける平角線2の左側面Lを位置決め溝22eで上側にしたい場合、図13(a)に示すように、位置決め溝22dを左側に移動すればよい。また、位置決め溝22dにおける平角線2の右側面Rを位置決め溝22eで上側にしたい場合、図13(b)に示すように、位置決め溝22dを右側に移動すればよい。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。
図14は、実施の形態3にかかる剥離装置100を示す斜視図である。剥離装置100は、平角線2の両端から絶縁皮膜を除去する。剥離装置100は、平角線2を回転させながら搬送する搬送装置101と、剥離部200とを有する。なお、剥離部200は、図14には搬送装置101の片側のみに示されているが、搬送装置101の両側に設けられていてもよい。
図15は、実施の形態3にかかる搬送装置101を示す斜視図である。また、図16は、実施の形態3にかかる搬送装置101を示す平面図である。また、図17は、実施の形態3にかかる搬送装置101を示す側面図である。さらに、図18は、実施の形態3にかかる固定プレート120及び搬送プレート130を示す図であり、(a)は固定プレート120を示し、(b)は搬送プレート130を示す。
なお、以下の説明では、主に、図15の手前側から見た状態(搬送方向左側)について説明するが、図15の向こう側から見た状態(搬送方向右側)についても、(左右は逆であるものの)同様である。
搬送装置101は、搬送装置本体110と、搬入された平角線2を受け取る搬入部材112と、搬送装置本体110の両側に設けられた固定プレート(支持部材)120及び搬送プレート(搬送部材)130とを有する。搬入部材112には、位置決め溝122aが設けられており、その位置決め溝122aに、平角線2(2a)が置かれる。
固定プレート120は、搬送装置本体110に固定されている。固定プレート120には、平角線2b〜2kそれぞれの位置に対応した複数の位置決め溝122b〜122kが設けられている。固定プレート120は、複数の位置決め溝122それぞれで平角線2の姿勢を決めて、平角線2を、平角線2b〜2kそれぞれの位置で支持する。位置決め溝の詳細については後述する。また、固定プレート120は、後述するように、固定プレートA120A、固定プレートB120B、固定プレートC120Cというように、3つに分かれている。
搬送プレート130は、搬送装置本体110に設けられたT字部材140に支持されている。搬送プレート30は、このT字部材140がリンク機構によって回転することによって、固定プレート120と略平行の姿勢を維持したまま、固定プレート120に沿って回転するように構成されている。搬送プレート130には、複数の搬送溝132a〜132kが設けられている。搬送プレート130は、固定プレート120に沿って回転することによって、固定プレート120に支持された平角線2を、矢印A方向に搬送する。詳しくは後述する。
図18(a)に示すように、固定プレート120には、位置決め溝122(122b〜122k)が設けられている。位置決め溝122b〜122kは、搬送方向上流側から、この順に設けられている。位置決め溝122b〜122kは、それぞれ、平角線2b〜2kの両端近傍を支持することにより、平角線2b〜2kを、それぞれ対応する姿勢で維持する。これにより、固定プレート120は、平角線2b〜2kを、それぞれ、位置決め溝122b〜122kの位置で支持する。なお、位置決め溝122の形状及び位置決め溝122における平角線2の姿勢については、後述する。
図18(b)に示すように、搬送プレート130には、搬送溝132(132a〜132k)が設けられている。搬送プレート130の回転動作によって、平角線2は、位置決め溝122aから位置決め溝122bへと搬送される。同様に、搬送プレート130の回転動作によって、平角線2は、位置決め溝122bから位置決め溝122cへと搬送され、位置決め溝122cから位置決め溝122dへと搬送される。以下同様に、搬送プレート130の回転動作によって、平角線2は、位置決め溝122dから位置決め溝122kまで、順に搬送される。そして、位置決め溝122kに搬送された平角線2は、次の工程へと搬送される。
具体的には、後述するように、搬送溝132は、搬送プレート130の回転により、搬送元の位置決め溝122から平角線2を持ち上げる。搬送プレート130は、搬送溝132に持ち上げられた平角線2を、搬送プレート130の回転によって、搬送先の位置決め溝122まで搬送する。このとき、平角線2は、搬送元の位置決め溝122から持ち上げられてから搬送先の位置決め溝122に置かれるまでの間に、搬送元の位置決め溝122に対応した姿勢から搬送先の位置決め溝122に対応した姿勢へと回転する。言い換えると、搬送プレート130は、平角線2を、回転させつつ搬送する。なお、平角線2の回転については後述する。
搬送溝132aは、位置決め溝122aに置かれた平角線2(平角線2a)を、位置決め溝122bに搬送するための溝である。搬送溝132bは、位置決め溝122bに置かれた平角線2(平角線2b)を、位置決め溝122cに搬送するための溝である。搬送溝132cは、位置決め溝122cに置かれた平角線2(平角線2c)を、位置決め溝122dに搬送するための溝である。以下同様に、搬送溝132d〜132jは、それぞれ、位置決め溝122d〜122jに置かれた平角線2(平角線2d〜2j)を、搬送先の位置決め溝122e〜122kに搬送するための溝である。搬送溝132kは、位置決め溝122kに置かれた平角線2(平角線2k)を、次の工程に搬送するための溝である。
搬送装置101は、駆動装置であるモータ150を有する。モータ150が駆動すると、駆動軸152が、図17において反時計回り(矢印B方向)に回転する。駆動軸152には、駆動ローラ154が設けられている。駆動ローラ154は、駆動軸152が反時計回りに回転することによって、反時計回りに回転する。駆動ローラ154には、伝達ベルト156が巻かれている。駆動ローラ154が回転すると、それに伴って伝達ベルト156が回転し、その回転駆動力が従動ローラ158に伝達されて、従動ローラ158が反時計回りに回転する。従動ローラ158は、回転軸160に設けられており、従動ローラ158が回転すると、それに伴って回転軸160が反時計回りに回転する。
また、回転軸160には従動ローラ162が設けられており、回転軸160の回転に伴って、従動ローラ162も回転する。また、従動ローラ162には、伝達ベルト164が巻かれている。従動ローラ162が回転すると、それに伴って伝達ベルト164が回転し、その回転駆動力が従動ローラ166に伝達されて、従動ローラ166が反時計回りに回転する。従動ローラ166は、回転軸168に設けられており、従動ローラ166が回転することによって、回転軸168が反時計回りに回転する。
また、回転軸168には従動ローラ170が設けられており、回転軸168の回転に伴って、従動ローラ170も回転する。また、従動ローラ170には、伝達ベルト172が巻かれている。従動ローラ170が回転すると、それに伴って伝達ベルト172が回転し、その回転駆動力が従動ローラ174に伝達されて、従動ローラ174が反時計回りに回転する。従動ローラ174は、回転軸176に設けられており、従動ローラ174が回転することによって、回転軸176が反時計回りに回転する。
なお、駆動ローラ154、伝達ベルト156及び従動ローラ158は、それぞれギアが設けられ、これらのギアが噛み合うことによって、より確実に、回転駆動力が伝達されうる。同様に、従動ローラ162、伝達ベルト164及び従動ローラ166は、それぞれギアが設けられ、これらのギアが噛み合うことによって、より確実に、回転駆動力が伝達されうる。同様に、従動ローラ170、伝達ベルト1172及び従動ローラ174は、それぞれギアが設けられ、これらのギアが噛み合うことによって、より確実に、回転駆動力が伝達されうる。
回転軸160の両端には、長板形状のリンク180が固定されている。また、リンク180は、回転軸160の側とは反対側で、軸182を支持している。つまり、回転軸160が図17の矢印C方向に回転(自転)すると、軸182は、回転軸160の周りを矢印C方向に回転(公転)する。ここで、T字部材140は、搬送方向上流側において、軸182に回転自在に支持されている。
回転軸168の両端には、長板形状のリンク184が固定されている。また、リンク184は、回転軸168の側とは反対側で、軸186を支持している。つまり、回転軸168が図17の矢印D方向に回転(自転)すると、軸186は、回転軸168の周りを矢印D方向に回転(公転)する。ここで、T字部材140は、T字の下端近傍において、軸186に回転自在に支持されている。
回転軸176の両端には、長板形状のリンク188が固定されている。また、リンク188は、回転軸176の側とは反対側で、軸190を支持している。つまり、回転軸176が図17の矢印E方向に回転(自転)すると、軸190は、回転軸176の周りを矢印E方向に回転(公転)する。ここで、T字部材140は、搬送方向下流側において、軸190に回転自在に支持されている。
回転軸160、回転軸168及び回転軸176が回転することによって、軸182、軸186及び軸190が、それぞれ、回転軸160、回転軸168及び回転軸176の周りを公転する。したがって、搬送プレート130は、平行を保ったまま、反時計回りに回転する。ここで、搬送プレート130(T字部材140)は、搬送方向上流側、T字の下端近傍及び搬送方向下流側の3箇所で回転自在に支持されている。このため、実施の形態1よりも、搬送プレート130の回転動作がさらに安定する。
図19は、搬送プレート130の回転動作を示す図である。図19(a)には、図17で示された状態の固定プレート120(120A〜120C)及び搬送プレート130が示されている。このとき、リンク180,184,188の回転角度は、それぞれ0度である。
図19(a)の状態からリンク180,184,188が反時計回りに回転し、図19(a)の状態からの回転角度が90度となると、図19(b)に示された状態となる。さらにリンク180,184,188が反時計回りに回転し、図19(a)の状態からの回転角度が180度となると、図19(c)に示された状態となる。さらにリンク180,184,188が反時計回りに回転し、図19(a)の状態からの回転角度が270度となると、図19(d)に示された状態となる。さらにリンク180,184,188が反時計回りに回転すると、図19(a)の状態に戻る。
ここで、図19(a)に示すように、リンク180,184,188の回転角度が0度のときは、例えば、搬送溝132cは、位置決め溝122cと重なっており、搬送溝132dは、位置決め溝122dと重なっている。そして、リンク180,184,188が回転して、リンク180,184,188の回転角度が180度となったとき、搬送溝132cは、位置決め溝122dと重なり、搬送溝132dは、位置決め溝122eと重なる。これによって、搬送溝132cは、位置決め溝122cに置かれた平角線2を、位置決め溝122dに搬送する。同様に、搬送溝132dは、位置決め溝122dに置かれた平角線2を、位置決め溝122eに搬送する。
そして、リンク180,184,188が回転を繰り返し、図19(a)の状態から図19(d)の状態が繰り返されることによって、例えば、搬送溝132cは、繰り返し、位置決め溝122cに置かれた平角線2を、位置決め溝122dに搬送する。同様に、例えば、繰り返し、搬送溝132dは、位置決め溝122dに置かれた平角線2を、位置決め溝122eに搬送する。
固定プレートB120Bは、移動装置114に支持されている。固定プレートB120Bと固定プレートA120Aとの間には、隙間が設けられている。同様に、固定プレートB120Bと固定プレートC120Cとの間には、隙間が設けられている。移動装置114は、固定プレートB120Bを、搬送方向上流側及び下流側に移動させる。これによって、位置決め溝122iにおいて、図13に示したような機構を実現することができる。
剥離部200(図14)は、切削部202a〜202eを有する。切削部202は、例えばカッターである。切削部202は、カム204が回転することによって、上下に移動する。好ましくは、切削部202a〜202eは、同時に、同じ方向に移動する。つまり、切削部202a〜202eは、同時に下降し、同時に上昇する。切削部202の下には、搬送装置101によって、平角線2の端部が搬送される。切削部202は、上から下に移動することによって、平角線2の端部に被覆された絶縁皮膜を剥離する。カム204は、モータ206の駆動によって回転する。
搬送装置101(搬送プレート130の搬送溝132b)は、平角線2を、位置決め溝122cに搬送する。切削部202aは、位置決め溝122cによって位置決めされた平角線2(2c)の端部に被覆された絶縁皮膜を剥離する。搬送装置101(搬送プレート130の搬送溝132c)は、切削部202aによって絶縁皮膜を剥離された平角線2を、位置決め溝122dに搬送する。
切削部202bは、位置決め溝122dによって位置決めされた平角線2(2d)の端部に被覆された絶縁皮膜を剥離する。搬送装置101(搬送プレート130の搬送溝132d)は、切削部202bによって絶縁皮膜を剥離された平角線2を、位置決め溝122eに搬送する。
切削部202cは、位置決め溝122eによって位置決めされた平角線2eの端部に被覆された絶縁皮膜を剥離する。搬送装置101(搬送プレート130の搬送溝132e)は、切削部202cによって絶縁皮膜を剥離された平角線2を、位置決め溝122fに搬送する。
切削部202dは、位置決め溝122fによって位置決めされた平角線2fの端部に被覆された絶縁皮膜を剥離する。搬送装置101(搬送プレート130の搬送溝132f)は、切削部202dによって絶縁皮膜を剥離された平角線2を、位置決め溝122gに搬送する。
切削部202eは、位置決め溝122gによって位置決めされた平角線2gの端部に被覆された絶縁皮膜を剥離する。搬送装置101(搬送プレート130の搬送溝132g)は、切削部202eによって絶縁皮膜を剥離された平角線2を、位置決め溝122hに搬送する。
このようにして、平角線2の搬送工程と絶縁皮膜の剥離工程とが、交互に行われる。
図20及び図21は、実施の形態3にかかる平角線2の姿勢及び姿勢変化を説明するための図である。図20及び図21に示すように、平角線2cは、縦向きの姿勢である。また、平角線2dは、横向きの姿勢である。また、平角線2eは、左斜め下向きの姿勢である。また、平角線2fは、右斜め下向きの姿勢である。また、平角線2gは、横向きの姿勢である。また、平角線2iは、横向きの姿勢である。
なお、図示はしていないが、平角線2a及び平角線2bは、縦向きの姿勢である。また、平角線2hは、横向きの姿勢である。また、平角線2j及び平角線2kは、縦向きの姿勢である。
切削部202aは、1対のカッターを有しており、図20のA−0に示すように、カッターを矢印A方向に移動させることによって、縦向きに位置決めされた平角線2cの両方のフラットワイズ面から、絶縁皮膜を剥離する。
切削部202bは、1対のカッターを有しており、図20のB−0に示すように、カッターを矢印B方向に移動させることによって、横向きに位置決めされた平角線2dの両方のエッジワイズ面から、絶縁皮膜を剥離する。
切削部202cは、1対のカッターを有しており、図20のC−0に示すように、カッターを矢印C方向に移動させることによって、左斜め下向きに位置決めされた平角線2eの対角にある2つの角部から、絶縁皮膜を剥離する。
切削部202dは、1対のカッターを有しており、図20のD−0に示すように、カッターを矢印D方向に移動させることによって、右斜め下向きに位置決めされた平角線2fの対角にある2つの角部(上記C−0で切削された角部とは異なる角部)から、絶縁皮膜を剥離する。
切削部202eは、1つのカッターを有しており、平角線2gの端面から、絶縁皮膜を剥離する。
図20(a)は、位置決め溝122cによって位置決めされた平角線2cの姿勢変化を示す。平角線2cは、縦向きの姿勢である。位置決め溝122cは、断面が略矩形形状であり、その底部c21の幅が平角線2の断面形状の短辺長さ(エッジワイズの幅)に対応するように形成されている。この位置決め溝122cに平角線2が置かれることにより、位置決め溝122cは、平角線2の姿勢を縦向きに決める。また、位置決め溝122cの左側上端には、斜面c22が形成されている。位置決め溝122cの右側上端には、斜面c23が形成されている。
搬送溝132cは、平角線2の搬送過程において、平角線2を、位置決め溝122cに対応する姿勢(縦向き)から、位置決め溝122dに対応する姿勢(横向き)に回転させるのに適した形状となっている。搬送溝132cは、断面が略矩形形状であり、底部c31の幅が平角線2の断面形状の長辺長さ(フラットワイズの幅)に対応するように形成されている。また、搬送溝132cの右側にはステップc32が設けられている。
A−1で示した状態から搬送溝132cが上昇すると、A−2で示すように、ステップc32が平角線2cの右下に突き当たる。そのため、平角線2cは、反時計回りに回転しつつ持ち上げられ、左側のフラットワイズ面が、斜面c22に突き当たる。さらに搬送溝132cが上昇すると、A−3で示すように、平角線2cは、反時計回りに回転し、平角線2cが位置決め溝122cから離れると、A−4に示すように、平角線2cは、フラットワイズ面を下にして底部c31に落ち込む。このように、平角線2cは、搬送溝132cによって位置決め溝122cから持ち上げられると、反時計回りに90度回転し、横向きとなる。つまり、平角線2cは、搬送先の位置決め溝122dに対応する姿勢(横向き)となる。
図20(b)は、位置決め溝122dによって位置決めされた平角線2dの姿勢変化を示す。平角線2dは、横向きの姿勢である。位置決め溝122dは、断面が略矩形形状であり、その底部d21の幅が平角線2の断面形状の長辺長さ(フラットワイズの幅)に対応するように形成されている。この位置決め溝122dに平角線2が置かれることにより、位置決め溝122dは、平角線2の姿勢を横向きに決める。また、位置決め溝122dの左側上端には、斜面d22が形成されている。位置決め溝122dの右側上端には、斜面d23が形成されている。
搬送溝132dは、平角線2の搬送過程において、平角線2を、位置決め溝122dに対応する姿勢(横向き)から、位置決め溝122eに対応する姿勢(左斜め下向き)に回転させるのに適した形状となっている。搬送溝132dは、底の断面が略V字型形状である。右側の底部d31の長さが平角線2のフラットワイズの幅以上に形成されている。また、左側の底部d32の長さが平角線2のエッジワイズの幅以上に形成されている。また、底部d31と底部d32とのなす角度は略90度である。
B−1で示した状態から搬送溝132dが上昇すると、B−2で示すように、底部d31が平角線2dの右下に突き当たる。そのため、平角線2dは、反時計回りに回転しつつ持ち上げられ、B−3で示すように、左側のエッジワイズ面が、斜面d22に突き当たる。さらに搬送溝132dが上昇すると、B−4で示すように、平角線2dが位置決め溝122dから離れ、平角線2dは、フラットワイズ面が底部d31に接し、エッジワイズ面が底部d32に接するように、搬送溝132dの底に落ち込む。このように、平角線2dは、搬送溝132dによって位置決め溝122dから持ち上げられると、反時計回りに45度回転し、左斜め下向きとなる。つまり、平角線2dは、搬送先の位置決め溝122eに対応する姿勢(左斜め下向き)となる。
図20(c)は、位置決め溝122eによって位置決めされた平角線2eの姿勢変化を示す。平角線2eは、左斜め下向きの姿勢である。位置決め溝122eは、断面が略V字型形状である。左側の底部e21が平角線2のエッジワイズに接する。また、右側の底部e22が平角線2のフラットワイズに接する。この位置決め溝122eに平角線2が置かれることにより、位置決め溝122eは、平角線2の姿勢を左斜め下向きに決める。また、位置決め溝122eの右側上端には、略垂直の壁面である側面e23が形成されている。
搬送溝132eは、平角線2の搬送過程において、平角線2を、位置決め溝122eに対応する姿勢(左斜め下向き)から、位置決め溝122fに対応する姿勢(右斜め下向き)に回転させるのに適した形状となっている。搬送溝132eは、底の断面が略V字型形状である。右側の底部e31の長さが平角線2のエッジワイズの幅以上に形成されている。また、左側の底部e32の長さが平角線2のフラットワイズの幅以上に形成されている。また、底部e31と底部e32とのなす角度は略90度である。また、搬送溝132eの左側上端には、斜面e33が形成されている。また、斜面e33と底部e32の間には、略垂直の壁面である側面e34が形成されている。
C−1で示した状態から搬送溝132eが上昇すると、斜面e33が平角線2eの左角部に突き当たる。そのため、平角線2eは、C−2に示すように、時計回りに回転しつつ持ち上げられる。このとき、平角線2eの右側のエッジワイズ面は、側面e23に接する。さらに搬送溝132eが上昇すると、C−3で示すように、平角線2eの左側のエッジワイズ面は、側面e34に接する。さらに搬送溝132eが上昇すると、平角線2eは、底部e32に突き上げられ、時計回りに回転する。そして、平角線2eが位置決め溝122eから離れると、平角線2eは、エッジワイズ面が底部e31に接し、フラットワイズ面が底部e32に接するように、搬送溝132eの底に落ち込む。このように、平角線2eは、搬送溝132eによって位置決め溝122eから持ち上げられると、時計回りに90度回転し、右斜め下向きとなる。つまり、平角線2eは、搬送先の位置決め溝122fに対応する姿勢(右斜め下向き)となる。
図20(d)は、位置決め溝122fによって位置決めされた平角線2fの姿勢変化を示す。平角線2fは、右斜め下向きの姿勢である。位置決め溝122fは、断面が略V字型形状である。左側の底部f21が平角線2のフラットワイズに接する。また、右側の底部f22が平角線2のエッジワイズに接する。この位置決め溝122fに平角線2が置かれることにより、位置決め溝122fは、平角線2の姿勢を右斜め下向きに決める。
搬送溝132fは、平角線2の搬送過程において、平角線2を、位置決め溝122fに対応する姿勢(右斜め下向き)から、位置決め溝122gに対応する姿勢(横向き)に回転させるのに適した形状となっている。搬送溝132fは、断面が略矩形形状であり、底部f31の幅が平角線2のフラットの幅に対応するように形成されている。また、搬送溝132fの右側上端には、斜面f32が形成されている。
D−1で示した状態から搬送溝132fが上昇すると、斜面f32が平角線2fの右角部に突き当たる。そのため、平角線2fは、D−2に示すように、反時計回りに回転しつつ持ち上げられる。さらに搬送溝132fが上昇すると、D−3で示すように、平角線2fの左側のエッジワイズ面は、壁f34に接する。さらに搬送溝132fが上昇すると、平角線2fは、位置決め溝122fから離れ、フラットワイズ面が底部f31に接するように、搬送溝132fの底に落ち込む。そして、D−4に示すように、平角線2fは、搬送溝132fによって持ち上げられる。このように、平角線2fは、搬送溝132fによって位置決め溝122fから持ち上げられると、反時計回りに45度回転し、横向きとなる。つまり、平角線2fは、搬送先の位置決め溝122gに対応する姿勢(横向き)となる。
図20(e)は、位置決め溝122gによって位置決めされた平角線2gの姿勢変化を示す。平角線2gは、横向きの姿勢である。位置決め溝122gは、断面が略矩形形状であり、その底部g21の幅が平角線2のフラットワイズの幅に対応するように形成されている。この位置決め溝122gに平角線2が置かれることにより、位置決め溝122gは、平角線2の姿勢を横向きに決める。
搬送溝132gは、平角線2の搬送過程において、平角線2を、位置決め溝122gに対応する姿勢(横向き)から、位置決め溝122hに対応する姿勢(横向き)に維持させるのに適した形状となっている。搬送溝132gは、断面が略矩形形状であり、底部g31の幅が平角線2のフラットワイズの幅に対応するように形成されている。つまり、搬送溝132gは、位置決め溝122gと同様の形状となっている。
E−1で示した状態から搬送溝132gが上昇すると、E−2で示すように、搬送溝132gの底部g31が、平角線2gのフラットワイズ面に突き当たる。さらに搬送溝132gが上昇すると、E−3で示すように、平角線2gは、横向きの姿勢を保ったまま、位置決め溝122gの底部g21から離れ、搬送溝132gに支持される。そして、E−4に示すように、平角線2gは、搬送溝132gによって持ち上げられる。つまり、平角線2gは、その姿勢を、搬送先の位置決め溝122dに対応する姿勢(横向き)に維持する。
図21は、位置決め溝122iによって位置決めされた平角線2cの姿勢変化を示す。ここで、上述したように、位置決め溝122iは固定プレートB120Bに設けられている。つまり、位置決め溝122iは、移動装置114によって、搬送方向上流側(図21では右側)及び下流側(図21では左側)に移動する。
図21(a)は、搬送方向上流側(右側)にある位置決め溝122iによって位置決めされた平角線2iの姿勢変化を示す。平角線2iは、横向きの姿勢である。位置決め溝122iは、断面が略矩形形状であり、その底部i21の幅が平角線2のフラットワイズの幅に対応するように形成されている。この位置決め溝122iに平角線2が置かれることにより、位置決め溝122iは、平角線2の姿勢を横向きに決める。また、位置決め溝122iの左側上端には、斜面i22が形成されている。位置決め溝122iの右側上端には、斜面i23が形成されている。
搬送溝132iは、平角線2の搬送過程において、平角線2を、位置決め溝122iに対応する姿勢(横向き)から、位置決め溝122jに対応する姿勢(縦向き)に回転させるのに適した形状となっている。搬送溝132iは、断面が略矩形形状であり、底部i31の幅が平角線2のエッジワイズの幅に対応するように形成されている。また、搬送溝132iの右側にはステップi32が設けられている。また、搬送溝132iの左側にはステップi33が設けられている。
A−1で示した状態から搬送溝132iが上昇すると、A−2で示すように、ステップi32が平角線2iの右下に突き当たる。そのため、平角線2iは、反時計回りに回転しつつ持ち上げられ、左側のエッジワイズ面が、斜面i22に突き当たる。さらに搬送溝132iが上昇すると、A−3で示すように、平角線2iは、反時計回りに回転し、平角線2iが位置決め溝122iから離れると、A−4に示すように、平角線2iは、エッジワイズ面を下にして底部i31に落ち込む。このように、平角線2iは、搬送溝132iによって位置決め溝122iから持ち上げられると、反時計回りに90度回転し、姿勢変更前は左側にあったエッジワイズ面を下にするようにして、縦向きとなる。つまり、平角線2iは、搬送先の位置決め溝122jに対応する姿勢(縦向き)となる。
図21(b)は、搬送方向下流側(左側)にある位置決め溝122iによって位置決めされた平角線2iの姿勢変化を示す。図21(b)に示すように、位置決め溝122iは、図21(a)の状態から左に移動している。
B−1で示した状態から搬送溝132iが上昇すると、B−2で示すように、ステップi33が平角線2iの左下に突き当たる。そのため、平角線2iは、時計回りに回転しつつ持ち上げられ、右側のエッジワイズ面が、斜面i23に突き当たる。さらに搬送溝132iが上昇すると、B−3で示すように、平角線2iは、時計回りに回転し、平角線2iが位置決め溝122iから離れると、B−4に示すように、平角線2iは、エッジワイズ面を下にして底部i31に落ち込む。このように、平角線2iは、搬送溝132iによって位置決め溝122iから持ち上げられると、時計回りに90度回転し、姿勢変更前は右側にあったエッジワイズ面を下にするようにして、縦向きとなる。つまり、平角線2iは、搬送先の位置決め溝122jに対応する姿勢(縦向き)となる。
このように、位置決め溝122iが左右に移動することによって、平角線2が位置決め溝122iから搬送先の位置決め溝122jに搬送される際の平角線2の回転方向を、時計回りとしたり、反時計回りとしたりすることができる。
なお、位置決め溝122aの形状は、平角線2aの姿勢が縦向きであるので、位置決め溝122cと同様の形状としてもよい。また、搬送溝132aの形状は、搬送先の位置決め溝122bにおいても姿勢は変わらない(縦向きのままである)ので、図20(e)の場合と同様に、位置決め溝122aの形状と同様としてもよい。
同様に、位置決め溝122bの形状は、平角線2bの姿勢が縦向きであるので、位置決め溝122cと同様の形状としてもよい。また、搬送溝132bの形状は、搬送先の位置決め溝122cにおいても姿勢は変わらない(縦向きのままである)ので、図20(e)の場合と同様に、位置決め溝122bの形状と同様としてもよい。
また、位置決め溝122hの形状は、平角線2hの姿勢が横向きであるので、位置決め溝122gと同様の形状としてもよい。また、搬送溝132hの形状は、搬送先の位置決め溝122iにおいても姿勢は変わらない(横向きのままである)ので、図20(e)の場合と同様に、位置決め溝122hの形状と同様としてもよい。
また、位置決め溝122jの形状は、平角線2jの姿勢が縦向きであるので、位置決め溝122cと同様の形状としてもよい。また、搬送溝132jの形状は、搬送先の位置決め溝122kにおいても姿勢は変わらない(縦向きのままである)ので、図20(e)の場合と同様に、位置決め溝122jの形状と同様としてもよい。
また、位置決め溝122hの形状は、平角線2hの姿勢が縦向きであるので、位置決め溝122cと同様の形状としてもよい。また、搬送溝132hの形状は、次の工程には平角線2は縦向きで搬送されるので、図20(e)の場合と同様に、位置決め溝122hの形状と同様としてもよい。
図22は、搬送溝132によって、平角線2が、搬送元の位置決め溝122から搬送先の位置決め溝122に搬送される様子を示す図である。例として、搬送溝132cによって、平角線2が、搬送元の位置決め溝122cから搬送先の位置決め溝122dに搬送される様子が示されているが、他の位置決め溝122及び搬送溝132についても同様である。
上述したように、搬送プレート130が回転することによって、搬送溝132cは、矢印Aのように回転移動する。搬送溝132cは、位置決め溝122cから平角線2を持ち上げるときに、平角線2を反時計回りに回転させる。したがって、搬送溝132cが矢印Aのように移動(回転)しているときは、平角線2は、横向きの姿勢となる。そして、搬送溝132cが位置決め溝122dの位置に重なるように降下することによって、平角線2は、横向きの姿勢で、位置決め溝122dに置かれる。
以上のように、実施の形態3においては、搬送装置101が、平角線2を、その姿勢を変えながら搬送する。これによって、平角線2は、平角線2が搬送されたそれぞれの位置において、異なる姿勢(横向き、縦向き、右斜め下向き、左斜め下向き)となる。したがって、搬送位置に応じて設けられた切削部202の切削方向を同じ(上から下方向)にしても、剥離装置100は、平角線2の全ての面(フラットワイズ面、エッジワイズ面、4つの角部)から絶縁皮膜を剥離することができる。したがって、平角線2の製造設備を単純化することが可能となる。
(比較例)
次に、比較例について説明する。
図23は、比較例にかかる剥離装置300を示す図である。剥離装置300は、平角線2を搬送する搬送装置310と、剥離部400とを有する。剥離部400は、搬送装置310の両側に設けられている。剥離部400は、複数の切削部410を有する。搬送装置310は、平角線2を複数の切削部410それぞれの位置に平角線2を搬送する。切削部410は、対応する位置に搬送された平角線2から、絶縁皮膜を剥離する。
図24は、比較例にかかる搬送装置310を示す図である。搬送装置310は、チェーン312と、駆動ローラ314と、従動ローラ316とを有する。チェーン312は、駆動ローラ314と従動ローラ316とに巻かれている。駆動ローラ314が矢印A方向に回転することによって、チェーン312が、矢印A方向に回転する。
また、チェーン312には、複数の搬送治具320が取り付けられている。搬送治具320には、平角線2が挿入される。搬送治具320は、挿入された平角線2を、剥離部400の切削部410に搬送する。平角線2は、Bの位置で搬送治具320に挿入され、チェーン312の上部で切削部410に搬送された後、Cの位置で搬送治具320から抜き出される。
図24は、比較例にかかる搬送治具320を示す図である。搬送治具320には、カムフォロア322と、筒部324とが設けられている。筒部324は、平角線2が挿入され、平角線2は、筒部324を貫通する。カムフォロア322は、平角線2の姿勢を変更するための部品である。このカムフォロア322によって、搬送治具320に挿入された平角線2の姿勢が、横向きから縦向きといったように変換される。つまり、搬送治具320は、平角線2を横向きの姿勢で切削部410に搬送し、切削部410は、横向きの姿勢の平角線2から絶縁皮膜を剥離する。そして、搬送治具320は、カムフォロア322によって平角線2の姿勢を縦向きにして次の切削部410に搬送し、次の切削部410は、縦向きの姿勢の平角線2から絶縁皮膜を剥離する。
ここで、比較例においては、以下の問題が生じるおそれがある。第1の問題として、チェーン312で平角線2を搬送する。したがって、駆動ローラ314に近い位置では、搬送治具320による位置決めの精度は悪化しないが、駆動ローラ314から遠い位置(従動ローラ316に近い位置)では、搬送治具320による位置決めの精度は悪化してしまう。したがって、駆動ローラ314から遠い位置では、位置補正をする必要がある。
また、第2の問題として、搬送治具320の形状が複雑となってしまう。具体的には、カムフォロア322の形状が複雑となり、加工に要する設備コストが増大するおそれがある。さらに、第3の問題として、搬送治具320は、チェーン312で循環して搬送されるので、剥離加工される位置(上部)だけでなく、チェーン312の全体に設けられる必要がある。また、第4の問題として、搬送治具320に挿入された平角線2が、何らかの異常によって曲がってしまった場合、平角線2を筒部324から抜き出すことが困難となる。
一方、第1の問題について、上述した実施の形態においては、平角線2の位置決めは、搬送装置に支持された固定プレートに形成された位置決め溝によって行われる。したがって、比較例よりも、位置決めの精度を向上させることができる。
また、第2の問題及び第3の問題について、上述した実施の形態においては、平角線2の搬送は、搬送装置の両側に設けられた搬送プレートによって行われる。この搬送プレートは、搬送溝が形成されているのみの単純な構造である。また、搬送プレートは、リンク機構といった単純な機構で回転する。さらに、搬送溝は、搬送プレートの片側(上部)のみに形成されるだけでよい。したがって、比較例よりも、構造が単純となるので、製造コストの増大を抑制することができる。また、上述した実施の形態においては、搬送治具320のような特殊な治具は必要ない。
また、第4の問題について、上述した実施の形態においては、平角線2は、搬送されているとき、単に搬送プレートに形成された搬送溝に置かれているのみである。つまり、平角線2は、搬送溝に下から支持されているのみである。したがって、何らかの異常により平角線2が曲がった場合は、その平角線2を、上から取り出せばよい。よって、比較例よりも、異常の際に平角線2を取り出すことは容易である。
(変形例)
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、以下のように、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。各実施の形態の構成は、別の実施の形態に適用してもよい。例えば、実施の形態3にかかる剥離部200を実施の形態1に適用してもよい。
支持部材及び搬送部材は、平角線を支持し搬送することができれば、その形状及び数は任意である。つまり、上述した実施の形態においては、位置決め溝が形成された支持部材の例を固定プレートとし、搬送溝が形成された搬送部材の例を搬送プレートとしたが、支持部材及び搬送部材は、プレート形状(つまり板形状)でなくてもよい。また、固定プレート(支持部材)及び搬送プレート(搬送部材)は、それぞれ2つでなくてもよい。さらに、固定プレート(支持部材)及び搬送プレート(搬送部材)は、搬送装置の両側に設けられなくてもよい。例えば、2つの支持部材の間に、幅広の搬送部材を1つ設け、その搬送部材に、搬送溝が形成されるようにしてもよい。逆に、2つの搬送部材の間に1つの支持を設け、その支持部材に位置決め溝が形成されるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態において、様々な位置決め溝の順序及び搬送溝の順序を示したが、このように、位置決め溝の順序及び搬送溝の順序は任意である。つまり、平角線の姿勢は、どのような順序で変更されてもよい。同様に、平角線から絶縁皮膜を剥離する際に剥離される面の順序も、任意である。実施の形態3においては、フラットワイズ面を剥離し、エッジワイズ面を剥離し、角部を剥離し、別の角部を剥離し、最後に端面を剥離するとした。しかしながら、例えば、最後にフラットワイズ面を剥離してもよい。また、フラットワイズ面を剥離し、次に角部を剥離してもよい。また、例えば、フラットワイズ面を剥離し、次に端面を剥離してもよい。
また、実施の形態3においては、移動装置によって移動される位置決め溝の数は1つとしたが、その数は任意である。また実施の形態3においては、固定プレートは3つに分かれているとしたが、移動装置によって移動される位置決め溝の数に応じて、適宜、変更可能である。つまり、移動しうる位置決め溝の数が2つの場合、移動可能な固定プレートB120Bの数は、2つとしてもよい。この場合、固定プレートは、4つ又は5つに分かれていてもよい。