JP6139377B2 - センサ装置およびその製造方法 - Google Patents
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Description
検出対象と直接に接触する接触センシング面を外部に露出する一面に有するとともに、前記接触センシング面の変化に感応してアナログセンサ信号を出力するセンシング手段を前記接触センシング面とは反対側である他面側に有する表基板構造部と、
前記表基板構造部の前記他面側に配置された裏基板構造部と、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部とを貼り合わせる接合層と、を備え、
前記表基板構造部の前記他面側には集積回路が組み込まれ、前記集積回路と前記センシング手段との間には絶縁層が介在しており、
裏基板構造部は、当該裏基板構造部の上面と下面との電気的導通をとる貫通電極を有し、
前記接合層は、前記表基板構造部の他面と前記裏基板構造部の前記上面との間に配設され、前記表基板構造部の前記他面と前記裏基板構造部の前記上面とを貼り合わせている
ことを特徴とする。
前記集積回路と前記センシング手段との間の絶縁層の厚みはトータルで5μm以上である
ことが好ましい。
前記集積回路は複数の入出力端子を有し、
前記表基板構造部の前記他面側には、
前記入出力端子のうちの一以上は前記センシング手段と配線によって電気的導通がとられ、
前記入出力端子のうちの他の一以上は前記裏基板構造部の前記貫通電極と電気的導通がとられ、
前記センシング手段からの前記アナログセンサ信号は前記集積回路で処理された後、前記裏基板構造部の前記貫通電極を介して前記裏基板構造部の下面から出力される
ことが好ましい。
前記表基板構造部は、前記一面側からのエッチングで薄化されることで形成された薄肉部を有するダイヤフラム構造を備え、
前記薄肉部の最も薄いところの厚みは、前記集積回路を構成するトランジスタのウェル深さに対して2倍以上の厚さを有する
ことが好ましい。
前記表基板構造部は、他面側から順にSi、SiO2、SiであるSOI基板であって、
他面側Si層の厚みは前記集積回路を構成するトランジスタのウェル深さに対して2倍以上であり、
前記一面側からのエッチングが前記SiO2層で止まり、
前記薄肉部の厚みは、前記他面側Si層の厚みで決定される
ことが好ましい。
前記表基板構造部は、集積回路を形成するためのロードープ層をハイドープP+層にエピタキシャル成長させたエピウェハであり、
前記ハイドープP+層の厚みは、前記集積回路を構成するトランジスタのウェル深さに対して2倍以上であり、
前記一面側からのエッチングが前記ハイドープP+層の境界で止まっている
ことが好ましい。
前記表基板構造部は、前記一面側から薄化されることで形成された薄肉部を有するダイヤフラム構造を備え、
前記ダイヤフラム構造は、前記薄肉部のほぼ中央領域に前記薄肉部よりも厚みを有しその上面が前記センシング面となる力伝達部を有しており、
前記表基板構造部の前記他面側において前記力伝達部の真裏に相当する領域には、前記集積回路のアナログ回路が1以上形成されている
ことが好ましい。
前記センシング手段は静電容量素子であって、
前記表基板構造部の前記他面に形成され、前記接触センシング面が押された際に共に変位する変位電極と、
前記裏基板構造部の前記上面に配設され、前記変位電極と対向した固定電極と、を有する
ことが好ましい。
前記変位電極は、回転対称性を有しつつ、3極、4極、6極または8極に分かれている
ことが好ましい。
前記表基板構造部の前記他面には、前記変位電極に加えて、前記接触センシング面が押されても変位しない参照電極が形成されており、
前記集積回路は、前記変位電極と前記固定電極との間の静電容量値と、前記参照電極と前記固定電極との間の静電容量値と、の差を検知する
ことが好ましい。
前記センシング手段は静電容量素子であって、
前記表基板構造部の前記他面側に配設、前記接触センシング面が押された際に共に変位する変位電極と、
前記裏基板構造部の前記上面に配設され、前記変位電極と対向した固定電極と、を有し、
前記変位電極は、前記表基板構造部の前記他面側において前記表基板構造部の前記他面と平行なトーションバーを揺動軸として揺動可能であり、
さらに、
前記表基板構造部の前記他面には前記接触センシング面とともに変位するロッドが垂下するように設けられ、前記変位電極の一辺はリンクを介して前記ロッドに接続されている
ことが好ましい。
前記センシング手段は、ピエゾ抵抗部である
ことが好ましい。
前記表基板構造部は、前記一面側から薄化されることで形成された薄肉部を有するダイヤフラム構造を備え、
前記ダイヤフラム構造は、
前記薄肉部のほぼ中央領域に前記薄肉部よりも厚みを有しその上面が前記センシング面となる力伝達部と、
前記薄肉部を取り囲むようにしてあり、前記薄肉部よりも厚みを有する支持枠部と、を有しており、
前記ピエゾ抵抗部は、前記表基板構造部の他面において、前記薄肉部と前記力伝達部との境界および前記薄肉部と前記支持枠部との境界の少なくともいずれかに配置されている
ことが好ましい。
前記裏基板構造部は、貫通電極付きのセラミック基板である
ことが好ましい。
前記セラミック基板は、LTCC基板(低温焼成積層セラミック、Low Temperature Co-fired Ceramics)である
ことが好ましい。
前記LTCC基板の熱膨張率がシリコンの熱膨張率とほぼ等しい
ことが好ましい。
前記裏基板構造部は、貫通電極が形成されたSi基板である
ことが好ましい。
前記センサ装置を製造する製造方法であって、
前記集積回路の入出力端子と電気的に導通しておりかつ突起状の接続バンプを前記表基板構造部の前記他面側に用意しておき、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部とを接合する際に、前記接続バンプを前記裏基板構造部の前記上面に露出した前記貫通電極に突き当てる
ことを特徴とする。
前記表基板構造部の他面側に前記接続バンプのもとになる金属電極を突起状に形成し、
さらに、前記金属電極も含めて前記表基板構造部の他面側を覆うように前記接合層のもとになる有機接着剤を塗布し、
前記表基板構造部の他面側を研磨することで、前記接合層から突起した前記接続バンプを得る
ことが好ましい。
前記接続バンプの研磨面には凸凹の研磨痕が残るようにし、
前記接続バンプを前記裏基板構造部の前記貫通電極に突き当てた際には、前記接続バンプの前記研磨痕の凸凹が潰れる
ことが好ましい。
前記裏基板構造部の上面側のうち前記貫通電極の周囲をエッチングすることで、前記貫通電極の所定高さが前記裏基板構造部の上面において露出させる
ことが好ましい。
前記貫通電極は、前記エッチングされた際に多孔質状になる
ことが好ましい。
前記表基板構造部と前記裏基板構造部とを接合した後で、前記表基板構造部の前記一面側を部分的にエッチングすることで前記表基板構造部の前記一面側をダイヤフラム構造とする
ことが好ましい。
前記表基板構造部と前記裏基板構造部との貼り合わせにあたって互いの位置関係を調整するための位置決めマークを前記表基板構造部と前記裏基板構造部とにそれぞれ設けておく
ことが好ましい。
(第1実施形態)
図1は、多数のセンサ装置200を配置した触覚センサシステム100をロボットのハンドに適用した様子を示す図である。図2は、バス110に複数のセンサ装置200を配置した様子を示す図である。
図3は、センサ装置200を表面側からみた斜視図である。
図4は、センサ装置200を裏面側からみた斜視図である。
図4中、見やすくするために、センサ装置200の輪郭線を白線で付加した。
図5は、センサ装置200の断面図である。
すなわち、力伝達部321に力がかかると構造本体部310がたわむようになっている。図6に、力伝達部321に力を受けて構造本体部310がたわんだ状態を例示した。薄肉部323の周囲である周縁部は、作動膜を支持する支持枠部325となっている。
それぞれのセンサ装置200ごとに集積回路340は独自に動作するので、センサIDはもちろんのこと、センサ閾値といった設定値がセンサ装置200ごとに異なっていてもよい。
すなわち、Siにはピエゾ抵抗効果が存在する。しかも、Siのピエゾ抵抗係数は極めて大きく、結晶方位に強く依存する。参考のため、図7にP型Si{100}面におけるピエゾ抵抗係数を示す。したがって、力印加による変形応力が回路動作特性に影響してしまうことが懸念される。力印加による変形応力が回路動作に影響しないようにするためには、単純には、構造本体部310の裏面において力伝達部321および薄肉部323に対応する部位には集積回路340を作らず、支持枠部325に対応する部位にのみ集積回路340を形成することが考えられる。しかし、当然のことながら、これではデッドスペースが大きいため、その分センサ装置200が大きくなってしまうことになる。
図9は、センサ装置200に組み込む回路の例である。このような回路の構成および動作の説明は、例えば、本出願人によるWO2011/045835に開示済みである。この回路構成のなかでアナログ的回路は、センサ信号検出部341、クロック発生部342および電源電圧制御部343である。(したがって、残りの回路である論理演算処理部344、シリアル化部345、データ送信部346、バス状態判定部347、設定レジスタ348および送信履歴レジスタ349はデジタル的回路である。)センサ信号検出部341のうち周波数変換部341Aは、センサ電極の静電容量変化を周波数変化に変換する。(センサ電極が静電容量式であることは後述する。)周波数変換部341Aは、例えば、図10のようなシュミットトリガ型CF(容量−周波数)コンバータ回路で実現できる。帰還抵抗Rが特性に重要な部分となっており、ピエゾ抵抗効果によって抵抗値が変化すると変換係数が大きく変化してしまう。
図5において、集積回路340の上に入出力端子(I/O端子)351と表面絶縁層352とがあり、本実施形態では入出力端子(I/O端子)351と表面絶縁層352とは同一平面となっている。そして、表面絶縁層352の上に配線層370が形成されている。この配線層370は、パターニングにより、一部はセンサ電極371、378となり、一部は配線381となる。
接合用ランドは、接合位置を明確にするとともに接合領域を確保するため、あるいは、後述する接合部(有機接着剤)210との接着性をよくするための機械的接合用金属膜領域である。本実施形態においては接合には有機接着材を用いたが(詳しくは後述する)、これ以外に金属系の材料、合金、半田、金属そのもの、例えばCuSn、AlGe、 CuIn等、鉛半田、鉛フリー半田等、Cu/Cu、An/An、などを用いた接合を用いることができる。
この場合、接合用ランドは金属薄膜層、例えばCr/Pt/Auなどになる。ここでは、表基板構造部300の側の接合用ランドを説明したが、裏基板構造部400の側にも同様に接合用ランドを設けておくことが好ましい。
図5を参照して判るように、貫通電極420は、絶縁性基板410の上面と下面とに露出している。図5に示すように、裏基板構造部400の上面には固定電極450が形成されている。図13は、裏基板構造部400の上面を示す図である。固定電極450は、変位電極371および参照電極378に対向配置された一枚の電極板(膜)であり、参照電極378の外周よりも一回り大きい。固定電極450の方が一回り大きいことにより、表基板構造部300と裏基板構造部400とを貼り合わせるときに仮に僅かに位置ずれが生じた場合でも、変位電極371および参照電極378は固定電極450と確実にカップリングする。
従って、薄肉部323の厚みhが薄いほど高感度のダイヤフラム320となる。一方、薄肉部323の厚みhを薄くし過ぎると、ダイヤフラム320の変形に伴う内部応力が大きくなり、Siの破壊応力を超えてダイヤフラム320が壊れやすくなる。この応力は、たとえば、薄肉部323の厚みhの2乗に反比例する。このように考えると、薄肉部323の厚みには適切な範囲が存在することになる。
図58は、CMOS回路を拡大した模式図である。表基板構造部300の表面側からエッチングするにあたって一番深くまでエッチングしようと思えば、図59に示すように、ウェルNW、PWに到達するまでエッチングできる。しかし、この状態のダイヤフラムを作製して実験したところ、Siの破壊応力よりもかなり低い応力でダイヤフラムが壊れてしまうことがわかった。ウェルNW、PWに到達するところまで深くエッチングしてしまうと、ウェルNW、PWが存在することにより、ダイヤフラム(薄肉部323)の膜厚に凸凹が生じる。すると、厚みが薄いところに応力が集中してしまい、Siの破壊応力よりかなり低い条件で破壊が生じると考えられる。
本発明者らは詳細な観察を行ってみたところ、ウェルNW、PWに対応する箇所でダイヤフラム(薄肉部323)の厚みが変化していることがわかった。すなわち、ウェル深さまでエッチングしていないにも関わらず、ダイヤフラム(薄肉部323)の膜厚に凸凹が生じてしまっていた。これは、ウェルNW、PWが存在するために、ウェルNW、PWの境界でエッチング条件が変化し、ダイヤフラム(薄肉部323)の厚みに変化が生じてしまうのだと推測される。この時の断面形状の模式図が図60である。
このグラフを説明する。力伝達部321に印加する力を一定にする。まず、集積回路340が組み込まれていないSi基板をエッチングして普通のダイヤフラムを形成した。この場合、当然ながら、ダイヤフラム(薄肉部323)の厚み(横軸)が減少するに伴いダイヤフラムのたわみ(左側の軸)が急激に増加するデータが得られる(この時の解析結果を最大たわみのデータとして示す)。一方、ダイヤフラム320に発生する応力(右側の軸)もダイヤフラム320(薄肉部323)の厚み(横軸)が減少するに伴い急激に増加するデータが得られる(この時の解析結果を最大応力のデータとして示す)。さて、次に、集積回路340を組み込んだSi基板を反対側からエッチングして薄肉部323の厚みが一定でないダイヤフラム320を得た(図60)。これを解析した結果を先のデータに重ねると、図61の局所応力のデータとなった。
集積回路340のウェル深さが1μm程度だとする。単純にSiの破壊応力だけを考えると、薄肉部323を2μm程度の厚みまで薄く出来ると考えられるであろう。しかし実際には、ウェルの影響を考えると、薄肉部323は2μmよりも厚くし、例えば4μm程度の厚みに作製することが好ましい。つまり、ダイヤフラム320の薄肉部323の厚みは、集積回路340のウェル深さに対して2倍を超えることが好ましい。
さらに、ダイヤフラム320の薄肉部323の厚みは、集積回路340のウェル深さに対して4.0倍前後にすることが好ましい。4.0倍前後とは、誤差も考慮しつつ、前後30%程度の幅を認める意味である。さらに、ダイヤフラム320の薄肉部323の厚みは、集積回路340のウェル深さに対して4.0倍以上10.0倍未満にすることが好ましい。この範囲の厚みの場合、エッチングプロセスに対してダイヤフラム320の薄肉部323の厚みを一定にしやすく、かつセンサの感度を制御し、再現しやすいため製品化が容易という利点がある。
このときのダイヤフラム320形状の模式図を図62に示す。このようにダイヤフラム320(薄肉部323)の厚みを集積回路340との関係で調整することにより、検出感度と破壊耐力とを適切に両立させることができる。
このとき、上層(他面側)Siの厚みはウェル深さの2倍とする。SOIウェハをエッチングするとSiO2542でエッチングが止まる。次にSiO2542をエッチングする。SiO2のエッチングではSiがエッチングされないので、エッチングがSi/SiO2界面で止まり、ダイヤフラムの薄肉部323の厚みは上層(他面側)Siの厚みで決定される。したがって、上記と同様に、薄肉部323の厚みをウェル深さの2倍程度にでき、検出感度と耐久性とを高いレベルで両立させることができる。
したがって、両者の位置合わせのために表基板構造部300に位置合わせマークが残っている必要がある。しかし、先の第1位置合わせマークは既に隠れて見えない。そこで、第1位置合わせマークを基準にし、配線層370を形成する際に配線層に第2位置合わせマーク552を形成しておくとよい(図66参照)。
そして、この貫通電極420を使った位置合わせマーク(パターン)(第3位置合わせマーク)を基準にして、絶縁性基板410(LTCC基板)に固定電極450や配線455を形成する。上記と同じく、後工程で絶縁性基板410(LTCC基板)と表基板構造部300とを貼り合わせるにあたって、絶縁性基板410(LTCC基板)に位置合わせマークが必要である。したがって、絶縁性基板410(LTCC基板)に固定電極450や配線455を形成する際に、位置合わせマークを絶縁性基板410(LTCC基板)のシード層461に作成しておく。
この位置合わせマークを第4位置合わせマーク553とする。
すなわち、第3位置合わせマークを基準にして、絶縁性基板410(LTCC基板)の裏面(下面)に第4位置合わせマーク554を作成してもよい(図67参照)。また、ダイヤフラム320を作成するにあたって、位置合わせマークを表基板構造部300の表面側に形成しておいてもよい。この場合、前記第4位置合わせマークを基準にして、第5位置合わせマーク555を表基板構造部300の表面側に形成しておく。
(表基板構造部300の表面側は、絶縁性基板410(LTCC基板)との貼り合わせの後で薄化される。したがって、薄化したあとで第5位置合わせマーク555を形成する必要があり、そのためには、絶縁性基板410(LTCC基板)の裏面(下面)にある前記第4位置合わせマーク554を基準にするのがよい。)
第2実施形態を図70に示す。第2実施形態の基本的構成は上記第1実施形態と同様である。第2実施形態においては、裏基板構造部400をSi基板で形成している。
つまり、Si基板を絶縁性基板410として使用している。Si絶縁性基板410には貫通電極420を設ける。
貫通電極420はよく知られている通り、貫通孔の内壁に絶縁膜421を形成し、さらに、絶縁膜421の内側に導電性部材422を充填している。Si基板はLTCC基板(セラミック基板)よりも精密な微細加工ができる利点がある。LTCC基板では焼成した際に変形(縮み)が生じるので貫通電極420の配置を設計通りにするにあたっては調整を要する。
この点、Si基板であれば、微細な位置合わせが可能である。微細な配線、位置合わせが可能になるので、センサ装置200の更なる小型化を図ることが可能となる。
なお、集積回路が形成されているようなSi基板に配線取り出し用の貫通電極を設けるのはそれなりに難しい。しかし、ただのSiの板に単純に貫通電極を設けるだけであればそれほど難しくない。
本発明では、集積回路340をダイヤフラム320側の基板(表基板構造部300)に形成するようにしたので、裏基板構造部400には単純な貫通電極420を形成するだけでよくなった。これにより、裏基板構造部400をSi基板とし、貫通電極を低コストで形成することができるようになり、信号の裏面(下面)取り出しが容易になった。
第1実施形態において、集積回路340とセンサ電極(変位電極371、参照電極378)との間には5μm以上の絶縁膜を設けておくことが好ましい。変位電極371および参照電極378は集積回路340の信号線やデジタル回路、アナログ回路に近いのでこれらと静電容量的にカップリングし、信号のクロストークやノイズが混入しやすい。このカップリングを減らす方法として、静電容量が絶縁層(誘電層)の厚みに反比例するという法則により、絶縁層の厚みを5μm厚以上にすることが好ましい。単純な絶縁膜であれば通常は1μm厚程度にするのが一般的であるから、5倍の厚みの絶縁膜を設けることになるが、これにより、ノイズを1/5以下に減少させることができる。
第4実施形態を図71に示す。第4実施形態においては、ダイヤフラム320のコーナー部329をラウンドさせた(丸めた)点に特徴がある。
力伝達部321に力が掛かると角部(コーナー部)329に応力が集中する。この点、コーナー部329の角をラウンドさせることで応力を分散させ、耐久性を格段に向上させることができる。
コーナー部329の角を丸めるにあたっては、異方性エッチングの後に、さらに、等方性エッチングを行うことで実現できる。
第5実施形態としては、変位電極371を一枚ではなく、複数に分割した例を説明する。図72は、変位電極371を4つにした例である。
なお、対向する固定電極450は大きな一枚のままでよい(図73)。ダイヤフラム320の裏面に変位電極371が4つある。
4つの変位電極371は、力伝達部321の真裏の点を中心とする回転対称に90度ずつ離れて配置されている。変位電極371の配設位置は、薄肉部323に相当する部位である。
逆に、−X方向側にある二枚の変位電極371c、371dは固定電極450から離間するように変位するであろう。このように、X方向やY方向の力が力伝達に掛かると、4つの変位電極371a−371dはそれぞれ異なる方向に変位することから、3軸の力検知が可能となる。
全体的に三角形であり、力伝達部321も薄肉部323も支持枠部325も三角形もしくは三角枠状である。
3回対称の電極配置に対して6回対称の電極配置では電極数は2倍になる。これにより、差動検知ができ、検出精度を向上させることができる。
図86−図88とを参照して第6実施形態を説明する。第6実施形態においては、変位電極371が立体的に構成されている。この変位電極371の構造をシーソー型変位電極構造と称することにする。
ロッド601の先端にシーソー型変位電極構造が取り付けられている。
シーソー型変位電極構造の中心に押し板602がある。この押し板602がロッド601の先端に取り付けられる。押し板602から十字方向(X軸方向およびY軸方向)にリンク603が伸びている。各リンク603の先にはシーソー変位電極371a−371dが設けられている。各シーソー変位電極371a−371dは、リンク603と直交する方向にトーションバー604を有する。各トーションバー604は、固定部605に接続されて固定されている。固定部605は、構造本体部310に固定されている。固定部605は、変位しないようにするため、支持枠部325に対応する部位に接続固定する。(固定部の固定構造については図示を省略した。)この構成において、各シーソー変位電極371a−371dは、トーションバー604を回転軸(揺動軸)として微小角度回転(揺動)できる。
このようにして、左右の静電容量を差動検出することができる。
これにより、検出感度の向上はもちろん、温度変化や経年変化による影響を排除でき、高い精度と安定性が得られる。
図89−図91を参照して、第7実施形態として、接触力の検出にピエゾ抵抗効果を用いた例を説明する。本体構造部に作り込んだ集積回路340の上に表面絶縁層352を形成し、その上にピエゾ抵抗効果素子701を配設する。ピエゾ抵抗効果素子701としては、CrNi合金のような金属膜、Cr系酸化物のような酸化膜、Si、Geのような半導体膜、あるいは、カーボンや銀粒子を分散させたゴム系材料を利用できる。
その結果、回路中に示された各抵抗値が変わり回路特性が大幅に変化する懸念がある。また、アナログアンプを多用しているので、アナログアンプのゼロ点、増幅率もピエゾ抵抗効果の影響を受けやすい。
従来は、支持枠部325に対応する領域にアナログ回路を総て配置するようにしていたので、センサ装置200の大型化を招いていた。第1実施形態で説明したように、力伝達部321の真裏の領域にアナログ回路を形成してもよい。これにより、ピエゾ抵抗効果を用いた場合にセンサ装置200を格段に小型化でき、その結果、大幅なコスト削減にも繋がる。
ここで、集積回路340の表面に絶縁層が無い場合には、集積回路340の上に絶縁層を改めて形成する必要がある。このとき、前記絶縁層にはビアを設け、下地の集積回路340の電極パッドと電気的に導通するようにしておく。そして、前記絶縁層の上に配線を形成するにあたっては、前記ビアと電気的導通を取るようにする。
Claims (21)
- 検出対象と直接に接触する接触センシング面を外部に露出する一面に有するとともに、前記接触センシング面の変化に感応してアナログセンサ信号を出力するセンシング手段を前記接触センシング面とは反対側である他面側に有する表基板構造部と、
前記表基板構造部の前記他面側に配置された裏基板構造部と、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部とを貼り合わせる接合層と、を備え、
前記表基板構造部の前記他面側には集積回路が組み込まれ、前記集積回路と前記センシング手段との間には絶縁層が介在しており、
裏基板構造部は、当該裏基板構造部の上面と下面との電気的導通をとる貫通電極を有し、
前記接合層は、前記表基板構造部の他面と前記裏基板構造部の前記上面との間に配設され、前記表基板構造部の前記他面と前記裏基板構造部の前記上面とを貼り合わせ、
前記表基板構造部は、前記一面側からのエッチングで薄化されることで形成された薄肉部を有するダイヤフラム構造を備え、
前記薄肉部の最も薄いところの厚みは、前記集積回路を構成するトランジスタのウェル深さに対して2倍以上の厚さを有し、
前記センシング手段は静電容量素子であって、
前記表基板構造部の前記他面に形成され、前記接触センシング面が押された際に共に変位する変位電極と、
前記裏基板構造部の前記上面に配設され、前記変位電極と対向した固定電極と、を有する
ことを特徴とするセンサ装置。 - 請求項1に記載のセンサ装置において、
前記集積回路と前記センシング手段との間の絶縁層の厚みはトータルで5μm以上である
ことを特徴するセンサ装置。 - 請求項1または請求項2に記載のセンサ装置において、
前記集積回路は複数の入出力端子を有し、
前記表基板構造部の前記他面側には、
前記入出力端子のうちの一以上は前記センシング手段と配線によって電気的導通がとられ、
前記入出力端子のうちの他の一以上は前記裏基板構造部の前記貫通電極と電気的導通がとられ、
前記センシング手段からの前記アナログセンサ信号は前記集積回路で処理された後、前記裏基板構造部の前記貫通電極を介して前記裏基板構造部の下面から出力される
ことを特徴とするセンサ装置。 - 請求項1に記載のセンサ装置において、
前記表基板構造部は、他面側から順にSi、SiO2、SiであるSOI基板であって、
他面側Si層の厚みは前記集積回路を構成するトランジスタのウェル深さに対して2倍以上であり、
前記一面側からのエッチングが前記SiO2層で止まり、
前記薄肉部の厚みは、前記他面側Si層の厚みで決定される
ことを特徴とするセンサ装置。 - 請求項1に記載のセンサ装置において、
前記表基板構造部は、集積回路を形成するためのロードープ層をハイドープP+層にエピタキシャル成長させたエピウェハであり、
前記ハイドープP+層の厚みは、前記集積回路を構成するトランジスタのウェル深さに対して2倍以上であり、
前記一面側からのエッチングが前記ハイドープP+層の境界で止まっている
ことを特徴とするセンサ装置。 - 検出対象と直接に接触する接触センシング面を外部に露出する一面に有するとともに、前記接触センシング面の変化に感応してアナログセンサ信号を出力するセンシング手段を前記接触センシング面とは反対側である他面側に有する表基板構造部と、
前記表基板構造部の前記他面側に配置された裏基板構造部と、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部とを貼り合わせる接合層と、を備え、
前記表基板構造部の前記他面側には集積回路が組み込まれ、前記集積回路と前記センシング手段との間には絶縁層が介在しており、
裏基板構造部は、当該裏基板構造部の上面と下面との電気的導通をとる貫通電極を有し、
前記接合層は、前記表基板構造部の他面と前記裏基板構造部の前記上面との間に配設され、前記表基板構造部の前記他面と前記裏基板構造部の前記上面とを貼り合わせ、
前記表基板構造部は、前記一面側から薄化されることで形成された薄肉部を有するダイヤフラム構造を備え、
前記ダイヤフラム構造は、前記薄肉部のほぼ中央領域に前記薄肉部よりも厚みを有しその上面が前記接触センシング面となる力伝達部を有しており、
前記表基板構造部の前記他面側において前記力伝達部の真裏に相当する領域には、前記集積回路のアナログ回路が1以上形成され、
前記センシング手段は静電容量素子であって、
前記表基板構造部の前記他面に形成され、前記接触センシング面が押された際に共に変位する変位電極と、
前記裏基板構造部の前記上面に配設され、前記変位電極と対向した固定電極と、を有する
ことを特徴とするセンサ装置。 - 請求項1〜6のいずれかに記載のセンサ装置において、
前記変位電極は、回転対称性を有しつつ、3極、4極、6極または8極に分かれている
ことを特徴とするセンサ装置。 - 請求項1〜7のいずれかに記載のセンサ装置において、
前記表基板構造部の前記他面には、前記変位電極に加えて、前記接触センシング面が押されても変位しない参照電極が形成されており、
前記集積回路は、前記変位電極と前記固定電極との間の静電容量値と、前記参照電極と前記固定電極との間の静電容量値と、の差を検知する
ことを特徴するセンサ装置。 - 検出対象と直接に接触する接触センシング面を外部に露出する一面に有するとともに、前記接触センシング面の変化に感応してアナログセンサ信号を出力するセンシング手段を前記接触センシング面とは反対側である他面側に有する表基板構造部と、
前記表基板構造部の前記他面側に配置された裏基板構造部と、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部とを貼り合わせる接合層と、を備え、
前記表基板構造部の前記他面側には集積回路が組み込まれ、前記集積回路と前記センシング手段との間には絶縁層が介在しており、
裏基板構造部は、当該裏基板構造部の上面と下面との電気的導通をとる貫通電極を有し、
前記接合層は、前記表基板構造部の他面と前記裏基板構造部の前記上面との間に配設され、前記表基板構造部の前記他面と前記裏基板構造部の前記上面とを貼り合わせ、
前記センシング手段は静電容量素子であって、
前記表基板構造部の前記他面に形成され、前記接触センシング面が押された際に共に変位する変位電極と、
前記裏基板構造部の前記上面に配設され、前記変位電極と対向した固定電極と、を有し、
前記変位電極は、前記表基板構造部の前記他面側において前記表基板構造部の前記他面と平行なトーションバーを揺動軸として揺動可能であり、
さらに、
前記表基板構造部の前記他面には前記接触センシング面とともに変位するロッドが垂下するように設けられ、前記変位電極の一辺はリンクを介して前記ロッドに接続されている
ことを特徴するセンサ装置。 - 検出対象と直接に接触する接触センシング面を外部に露出する一面に有するとともに、前記接触センシング面の変化に感応してアナログセンサ信号を出力するセンシング手段を前記接触センシング面とは反対側である他面側に有する表基板構造部と、
前記表基板構造部の前記他面側に配置された裏基板構造部と、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部とを貼り合わせる接合層と、を備え、
前記表基板構造部の前記他面側には集積回路が組み込まれ、前記集積回路と前記センシング手段との間には絶縁層が介在しており、
裏基板構造部は、当該裏基板構造部の上面と下面との電気的導通をとる貫通電極を有し、
前記接合層は、前記表基板構造部の他面と前記裏基板構造部の前記上面との間に配設され、前記表基板構造部の前記他面と前記裏基板構造部の前記上面とを貼り合わせ、
前記センシング手段はピエゾ抵抗部であって、
前記表基板構造部の前記他面に形成され、前記接触センシング面が押された際に共に変位するピエゾ抵抗部と、を有し、
前記表基板構造部は、前記一面側から薄化されることで形成された薄肉部を有するダイヤフラム構造を備え、
前記ダイヤフラム構造は、
前記薄肉部のほぼ中央領域に前記薄肉部よりも厚みを有しその上面が前記接触センシング面となる力伝達部と、
前記薄肉部を取り囲むようにしてあり、前記薄肉部よりも厚みを有する支持枠部と、を有しており、
前記ピエゾ抵抗部は、前記表基板構造部の他面において、前記薄肉部と前記力伝達部との境界および前記薄肉部と前記支持枠部との境界の少なくともいずれかに配置されている
ことを特徴とするセンサ装置。 - 請求項1から請求項10のいずれかに記載のセンサ装置において、
前記裏基板構造部は、貫通電極付きのセラミック基板である
ことを特徴とするセンサ装置。 - 請求項11に記載のセンサ装置において、
前記セラミック基板は、LTCC基板(低温焼成積層セラミック、Low Temperature Co-fired Ceramics)である
ことを特徴するセンサ装置。 - 請求項12に記載のセンサ装置において、
前記LTCC基板の熱膨張率がシリコンの熱膨張率とほぼ等しい
ことを特徴するセンサ装置。 - 請求項1から請求項10のいずれかに記載のセンサ装置において、
前記裏基板構造部は、貫通電極が形成されたSi基板である
ことを特徴とするセンサ装置。 - 請求項1、6、9及び10のうちのいずれかに記載のセンサ装置を製造する製造方法であって、
前記集積回路の入出力端子と電気的に導通しておりかつ突起状の接続バンプを前記表基板構造部の前記他面側に用意しておき、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部とを接合する際に、前記接続バンプを前記裏基板構造部の前記上面に露出した前記貫通電極に突き当てる
ことを特徴とするセンサ装置の製造方法。 - 請求項15に記載のセンサ装置の製造方法において、
前記表基板構造部の他面側に前記接続バンプのもとになる金属電極を突起状に形成し、
さらに、前記金属電極も含めて前記表基板構造部の他面側を覆うように前記接合層のもとになる有機接着剤を塗布し、
前記表基板構造部の他面側を研磨することで、前記接合層から突起した前記接続バンプを得る
ことを特徴とするセンサ装置の製造方法。 - 請求項16に記載のセンサ装置の製造方法において、
前記接続バンプの研磨面には凸凹の研磨痕が残るようにし、
前記接続バンプを前記裏基板構造部の前記貫通電極に突き当てた際には、前記接続バンプの前記研磨痕の凸凹が潰れる
ことを特徴とするセンサ装置の製造方法。 - 請求項15から請求項17のいずれかに記載のセンサ装置の製造方法において、
前記裏基板構造部の上面側のうち前記貫通電極の周囲をエッチングすることで、前記貫通電極の所定高さが前記裏基板構造部の上面において露出させる
ことを特徴とするセンサ装置の製造方法。 - 請求項18に記載のセンサ装置の製造方法において、
前記貫通電極は、前記エッチングされた際に多孔質状になる
ことを特徴とするセンサ装置の製造方法。 - 請求項15から請求項19のいずれかに記載のセンサ装置の製造方法において、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部とを接合した後で、前記表基板構造部の前記一面側を部分的にエッチングすることで前記表基板構造部の前記一面側をダイヤフラム構造とする
ことを特徴とするセンサ装置の製造方法。 - 請求項15から請求項20のいずれかに記載のセンサ装置の製造方法において、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部との貼り合わせにあたって互いの位置関係を調整するための位置決めマークを前記表基板構造部と前記裏基板構造部とにそれぞれ設けておく
ことを特徴とするセンサ装置の製造方法。
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