JP6138979B2 - 転がり軸受 - Google Patents
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Description
転がり軸受において、外輪に外径部から内径部に連通する給油孔を設けて、この給油孔から給油する方式がある(特許文献1)。この方式では、軸受を背面組み合せで使用する場合に、エアオイル排気のための排気口(切欠き)を形成した間座を、軸受間に設ける必要がある。
前記外輪に、軸受空間内に貫通するエアオイル潤滑用の給油孔が設けられ、前記外輪の幅面のうち、隣りの転がり軸受と接する幅面となる、いずれか一方または両方に、軸受の軸方向内方に凹むエアオイル排気用の切欠き凹部が、内径面から外径面にわたって設けられ、かつ前記切欠き凹部が設けられる幅面として、前記転動体に対して前記給油孔が設けられた側方と反対側の側方の幅面を少なくとも含み、前記外輪の外径面に、前記給油孔に連通する円周溝が設けられ、前記給油孔が、前記外輪の互いに180°離れた2箇所にあり、前記切欠き凹部が、前記給油孔からずれた位相で、前記外輪の互いに180°離れた2箇所にあることを特徴とする。
複数の転動体を円周方向一定間隔おきに保持する保持器を有し、この保持器を外輪案内形式または転動体案内形式としても良い。例えば、高速回転で使用されるアンギュラ玉軸受では、保持器を外輪案内形式にすることで、高速回転時の保持器の振れ回りをより抑えることができる。
前記保持器が外輪案内形式であって、この保持器の内径面を、転動体を保持するポケット側から保持器端面側に向かうに従って径寸法が大きくなるように傾斜する断面形状に形成しても良い。
参考提案例における第5の転がり軸受は、内輪および外輪の転走面間に複数の転動体を介在させ、これら転動体を円周方向一定間隔おきに保持する保持器を有する転がり軸受において、前記転がり軸受がアンギュラ玉軸受であり、前記外輪に、軸受空間内に貫通するエアオイル潤滑用の給油孔を設け、前記外輪の幅面のうちいずれか一方または両方に、軸受の軸方向内方に凹むエアオイル排気用の切欠き凹部を、内径面から外径面にわたって設け、前記保持器が転動体案内形式であって、この保持器の外径面を、転動体を保持するポケット側から保持器端面側に向かうに従って径寸法が大きくなるように傾斜する断面形状に形成した。軸受運転時、保持器の外径面付近に存するエアオイルは、傾斜面の小径側から大径側に沿って流れ、切欠き凹部にスムーズに向かっていく。
複数の転動体を円周方向一定間隔おきに保持する保持器を有し、この保持器を外輪案内形式または転動体案内形式としても良い。
この発明の工作機械用主軸は、前記いずれかの転がり軸受を用いたものである。この場合、主軸の高速化および温度上昇低減が可能である。
前記外輪に、軸受空間内に貫通するエアオイル潤滑用の給油孔が設けられ、前記外輪の幅面のうち、隣りの転がり軸受と接する幅面となる、いずれか一方または両方に、軸受の軸方向内方に凹むエアオイル排気用の切欠き凹部が、内径面から外径面にわたって設けられ、かつ前記切欠き凹部が設けられる幅面として、前記転動体に対して前記給油孔が設けられた側方と反対側の側方の幅面を少なくとも含み、前記外輪の外径面に、前記給油孔に連通する円周溝が設けられ、前記給油孔が、前記外輪の互いに180°離れた2箇所にあり、前記切欠き凹部が、前記給油孔からずれた位相で、前記外輪の互いに180°離れた2箇所にあるため、外輪に給油孔を設けた軸受を間座無しで組合わせて用いる場合に、軸受空間内に供給したエアオイルを、軸受外部にスムーズに排出することができる。
この実施形態に係る転がり軸受は、例えば、工作機械主軸の支持に用いられ、エアオイル潤滑で使用される。但し、工作機械主軸用途に限定されるものではない。
図1(A)に示すように、この転がり軸受は、内輪1と、外輪2と、これら内外輪1,2の転走面1a,2a間に介在する複数の転動体3とを備える。この例の転がり軸受はアンギュラ玉軸受であり、前記転動体3はボールからなる。各転動体3は、リング状の保持器4のポケット4a内に円周方向一定間隔おきにそれぞれ保持される。保持器4は、例えば、外輪2の内径面2bに案内される外輪案内形式のものが適用されている。
図1(A)に示すように、前記一方の幅面の切欠き凹部9,9は、それぞれ軸受の軸方向内方に凹み、且つ、外輪2の内径面2bから外径面2cにわたって設けられている。図2(A)に示すように、前記切欠き凹部9,9は、外輪2の180°対角位置に配設されると共に、これら切欠き凹部9,9の幅寸法H1,H1が同一寸法となるように設けられている。切欠き凹部9,9は、それぞれ底面の深さD1,D1(図1(B))が同一深さとなる断面凹形状に形成されている。図2(A)に示すように、外輪2の切欠き凹部9,9は、給油孔5,5の位相に対して、定められた角度α1位相をもって設けられている。
試験によると、図4(b)に示す切欠き凹部無しの比較品では、軸受温度tが不安定に変位するいわゆる温度ふらつきが解消されていないが、図4(a)に示す切欠き凹部9を設けた実施品では、軸受温度tの温度ふらつきが解消されている。また実施品では、軸受温度tの過度の昇温もない。なお、幅30mm、深さ1mmの切欠き凹部のサイズでは、温度ふらつきが残っており、ある程度の排出面積を確保する必要がある。今回の試験では、2箇所の給油孔5,5を設け、各給油孔5の直径をφ1.5mmとした。この給油孔5からの給油に対し、実施品の切欠き凹部9は、深さ2mm×幅30mmの4箇所である。
この構成によると、内輪カウンタ径D2よりも大径となる環状部材13を、内輪端面間に挟み込むことで、各軸受において潤滑に供されたエアオイルは、前記環状部材13に遮られて、隣接する軸受の軸受空間内に殆んど移動することなく切欠き凹部9から速やかに排出される。
図12(A)に示すように、外輪2の切欠き凹部9と給油孔5との円周方向の位相を、同位相に配置しても良い。この場合、切欠き凹部9と給油孔5との円周方向の位相を90度異ならせた図12(B)の形態よりも、軸受における給排油間の距離を小さくすることができ、より効果的な排気および排油流れとすることができる。
図14に示すように、転がり軸受が内輪つば付の円筒ころ軸受であっても良い。この場合、外輪2における給油孔5の軸方向位置が、転動体3の一端面3aに合致するように設けられる。これにより、エアオイルを、保持器ポケット4aおよび内輪1のつば面1cに確実に導くことができ、潤滑効果を高めることができる。その他前記各実施形態と同様の作用効果を奏する。
アンギュラ玉軸受の組合せの例として、背面組合わせとした例を示しているが、正面組合わせや並列組合わせとしても良い。
外輪案内形式の保持器を転動体案内形式の保持器に変更しても良いし、逆に転動体案内形式の保持器を外輪案内形式に変更しても良い。
この場合、主軸17の前端側に、軸受を集中して配置できるため、従来のように間座を軸受間に設けた場合に比べて、主軸17の短縮化を図り主軸剛性を高めることができる。これと共に、軸受温度が不安定に変位したり過度に昇温することを未然に防止できるため、主軸17の高速化および高精度化を図ることができる。
2…外輪
1a,2a…転走面
2b…内径面
2c…外径面
3…転動体
5…給油孔
6…円周溝
7…環状溝
8,8A…シール部材
10…カウンタボア部
11…突出部
12…反カウンタボア部
13…環状部材
15…面取り
Claims (11)
- 内輪および外輪の転走面間に転動体が介在し、複数組み合わせて用いられる転がり軸受において、
前記外輪に、軸受空間内に貫通するエアオイル潤滑用の給油孔が設けられ、前記外輪の幅面のうち、隣りの転がり軸受と接する幅面となる、いずれか一方または両方に、軸受の軸方向内方に凹むエアオイル排気用の切欠き凹部が、内径面から外径面にわたって設けられ、かつ前記切欠き凹部が設けられる幅面として、前記転動体に対して前記給油孔が設けられた側方と反対側の側方の幅面を少なくとも含み、前記外輪の外径面に、前記給油孔に連通する円周溝が設けられ、前記給油孔が、前記外輪の互いに180°離れた2箇所にあり、前記切欠き凹部が、前記給油孔からずれた位相で、前記外輪の互いに180°離れた2箇所にあることを特徴とする転がり軸受。 - 請求項1において、前記外輪の外径面における、前記円周溝の両側位置に、それぞれ環状溝が設けられ、各環状溝にそれぞれ環状のシール部材が設けられた転がり軸受。
- 請求項1または請求項2において、複数の転がり軸受の組合せ状態で、各軸受の切欠き凹部の円周方向の位相が同位相に配置された転がり軸受。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記外輪の内径面が、転走面側から幅面側に向かうに従って径寸法が大きくなるように傾斜する断面形状に形成された転がり軸受。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記外輪の切欠き凹部と給油孔との円周方向の位相が同位相に配置された転がり軸受。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記外輪の切欠き凹部と、この外輪の外径面との角部に、面取りが設けられた転がり軸受。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記転がり軸受がアンギュラ玉軸受である転がり軸受。
- 請求項7において、複数の転動体を円周方向一定間隔おきに保持する保持器を有し、この保持器が外輪案内形式または転動体案内形式である転がり軸受。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記転がり軸受が内輪つば付の円筒ころ軸受である転がり軸受。
- 請求項9において、複数の転動体を円周方向一定間隔おきに保持する保持器を有し、この保持器が外輪案内形式または転動体案内形式である転がり軸受。
- 請求項1ないし請求項10のいずれか1項の転がり軸受が用いられた工作機械用主軸。
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