JP6138672B2 - 育苗セットと、トレイと、育苗ポットと、苗のスペーシング方法と、育苗方法 - Google Patents
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Description
本発明の育苗セットは、請求項1記載のように、トレイと、当該トレイに整列させる多数の育苗ポットとを備えた育苗セットにおいて、前記トレイは、前記育苗ポットを収容可能な収容ポケットを複数備え、前記複数の収容ポケットは縦横方向に多数列整列して設けられ、前記各収容ポケットの間に、隣接する収容ポケットを区画する区画壁が縦横方向に設けられ、前記育苗ポットは、前記トレイの収容ポケットに収容可能な大きさであり、上面開口部を備えた有底の筒状であり、上面開口部の周縁にその外側に突出する鍔を備えており、前記鍔は操作機器(育苗ポットを操作する機器。明細書及び特許請求の範囲において同じ。)のアームで下方から持ち上げ可能な突出幅であり、前記育苗ポットは前記操作機器のアームで前記鍔を持ち上げても変形しない剛性を備え、前記育苗ポットの高さは、収容ポケットに収容すると当該育苗ポットの鍔が当該トレイの区画壁の上面よりも上方に突出して、当該区画壁の上面と当該鍔との間に前記操作機器のアームを差込み可能な差込み空間が形成される高さであることを特徴とするものである。
本発明のトレイは、請求項2記載のように、請求項1記載の育苗セットにおけるトレイにおいて、トレイの区画壁の高さは、収容ポケットに収容した育苗ポットの鍔の位置よりも低いことを特徴とするものである。
本発明の育苗ポットは、請求項4記載のように、請求項1記載の育苗セットにおける育苗ポットにおいて、底面に下方に突出する脚が設けられたことを特徴とするものである。
本発明の苗のスペーシング方法は、請求項7記載のように、請求項1記載の育苗セットを用いた栽培中の苗のスペーシング方法において、トレイの収容ポケットに収容された育苗ポット内の培土で生育中の苗が所定の大きさまで成長した段階で、当該育苗ポットの鍔の下の差込み空間に当該差込み空間の側方から操作機器のアームを差し込んで当該育苗ポットの鍔を下方から支持し、前記操作機器のアームにより育苗ポットを移動し、育苗ポット内の苗の周囲に広いスペース(空間部)を形成することを特徴とするものである。
本発明の育苗方法は、請求項12記載のように、請求項1記載の育苗セットを用いて、トレイの収容ポケット内の育苗ポット内で苗を栽培する育苗方法において、請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の苗のスペーシング方法により、育苗ポットを移動して育苗ポット内の苗の周囲に広いスペースを形成し、前記収容ポケットの底面開口部の下方から液体を上向きに噴霧して、育苗ポットで生育中の苗の葉の裏面に葉面散布することを特徴とする方法である。
(1)操作機器で保持しても変形しない剛性を備えているため、スペーシング作業を機械化し易くなる。スペーシング作業を機械化でき、作業者の労働負担が大幅に軽減され、作業効率も大幅に向上する。
(2)操作機器のアームで支持して持ち上げても変形しない剛性を有する鍔を備えているため、スペーシング作業を機械化し易くなる。スペーシング作業を機械化でき、作業者の労働負担が大幅に軽減され、作業効率も大幅に向上する。
(3)育苗ポットの底面に脚を設けて、育苗ポットの底面とトレイの受け面との間に通気空間が形成されるようにした場合、トレイに溜まった水分による根腐れを防止することができる。
(4)底面に排水孔を設けた場合、当該排水孔から余分な水分が抜けるので、水分過多による根腐れを防止することができる。
(5)ポットの外周壁が裾細りの場合は、操作機器のアームを外周壁の側方から鍔の下に差し込み易い。
(1)トレイの区画壁の背丈(高さ)を、それに載せる育苗ポットの周壁の高さよりも低くして、トレイの受け面に載せた育苗ポットの保持部が区画壁よりも上方に突出して、操作機器のアームで保持できるようにしたので、スペーシング作業し易く、機械化しやすい。
(2)トレイの外周壁の背丈(高さ)を、それに載せる育苗ポットの周壁の高さよりも低くして、トレイの受け面に載せた育苗ポットの鍔の下方に、操作機器のアームを差込み可能な差込み空間が形成されるようにしたので、その差込み空間に操作機器のアームを差込んでスペーシング作業し易く、機械化しやすい。
(3)トレイの区画壁の高さを育苗ポットの周壁の高さよりも低くした場合も、トレイの受け面に載せた育苗ポットの鍔の下方に、操作機器のアームを差込み可能な差込み空間が形成されるので、その差込み空間に操作機器のアームを差込んでスペーシング作業し易く、機械化し易くなる。
(4)トレイの受け部にその底面に貫通する底面開口部を備えた場合、育苗ポットから排出される余分な水分が底面開口部を通じてトレイの外に排出でき、通気性もよいため、水分過多による根腐れを防止することができる。
(1)トレイに並べた育苗ポットを任意数ずつ移動することができるので、空間の必要な箇所の苗をスペーシングすることができる。
(2)育苗ポットを移動して苗を移動するので、スペーシング作業により育苗用の土が崩れることがなく、苗、特に根が損傷しない。
(3)操作機器のアームで保持して育苗ポットを移動するので、スペーシング作業を機械化でき、作業効率及び作業者の労力負担を大幅に改善できる。
(4)操作機器のアームで育苗ポットの鍔を支持して育苗ポットを移動する場合は、育苗ポットの側面が濡れていても滑りにくく、スペーシング作業中に育苗ポットが滑り落ちにくい。
(5)育苗ポット内に収容した軟質ポット内やソイルブロックで育苗し、育苗ポットを移動させてスペーシング作業する場合、軟質ポットやソイルブロックで育苗しても苗のスペーシングが容易にできる。しかも、育苗後は育苗ポットから軟質ポットやソイルブロックを取り出して、従来と同様に、軟質ポット付き苗或いは苗付きソイルブロックとしてそのまま出荷することができる。
(6)トレイの上の育苗ポット全てを同時に移動させて、育苗ポットの間隔を広げて、他のトレイや他の場所に移し替える(間隔を調整して並び替える)ことができるので、単なるスペーシングというよりも育苗中の苗の場所替えや、苗の間隔調整を行うことができる。
(7)育苗ポットは一つずつ又は複数個ずつ移動させることも、トレイに並べた縦列の育苗ポット又は横列の育苗ポットを、単一列又は複数列単位で移動することもできるので、スペーシング作業を効率良く行うことができる。
(1)本発明の苗のスペーシング方法で苗の周囲に空間を作ってから、その空間から、育苗中の苗の裏面に液体散布するので、トレイの上に載せて育苗ポット内で育苗中の多くの苗に液体(溶液、消毒液等)を万遍なく、均等(略均等を含む)に葉面散布することができる。
(2)育苗ポット内に収容した軟質ポット内で育苗し、育苗ポットを移動させてスペーシング作業をする場合、軟質ポットで育苗しても苗のスペーシングが容易にできる。しかも、育苗後は育苗ポットから軟質ポットを取り出して、従来と同様に、軟質ポット付きで苗を販売することができる。
本発明の育苗ポット1は、それに直に培土や土ブロックを入れて育苗に使用することもできるが、育苗用のバラの土、軟弱な土ブロック、変形しやすいポリ容器などを、場所換え、スペーシングなどのために操作機器で移動する場合に、形崩れ、変形などして扱いにくいものを入れて扱い易くし、その状態で育苗することもできる硬質の育苗ポットである。
本発明のトレイ10の一例を図3(a)(b)に示す。このトレイ10は、前記育苗ポット1を収容可能な収容ポケット11が縦横に碁盤目状に多数(図3に示す例では50個)設けられ、各収容ポケット11は区画壁12で個々に区画されている。
本発明の育苗ポット1とトレイ10を用いた苗のスペーシング方法の一例を、図7及び図8(a)(b)を参照して説明する。この使用例は、図3(a)(b)に示すトレイ10の収容ポケット11に収容された育苗ポット1で苗Xを栽培し、当該苗Xの成長に合わせて、スペーシングを行う場合の例である。
(2)前記(1)の状態でトレイ10にカバー17を被せ(STEP002)、カバー17のカバー開口部18から育苗ポット1内に培土を投入する(STEP003)。
(3)カバー17を外して育苗ポット1内の培土に播種又は挿し木(茎挿し、葉挿し、根挿し、断根接木苗の挿し木等を含む。明細書において同じ。)をする(STEP004)。
(4)苗Xを生育させ(STEP005)、隣接する苗X同士が干渉し合うまで、又は干渉前(直前を含む)まで、又は任意の大きさまで成長した段階で、スペーシング(間引き)を行う(STEP006)。
本発明の育苗ポット1とトレイ10を用いた苗のスペーシング方法の他例を、図9を参照して説明する。この使用例は、ソイルブロック23(図6(a))を収容した育苗ポット1を、図3(a)(b)に示すトレイ10の収容ポケット11に収容して苗Xを栽培し、当該苗Xの成長に合わせて、スペーシングを行う場合の例である。
(2)収容ポケット11の育苗ポット1内に、ソイルブロック23を収容する(STEP102)。
(3)前記(2)の状態でトレイ10にカバー17をし(STEP103)、カバー17のカバー開口部18からソイルブロック23の作業穴24内に培土(栽培用土26)を投入する(STEP104)。ソイルブロック23に予め培土(栽培用土26)が充填されている場合には、この作業は不要である。
(4)カバー17を外して作業穴24内の培土(栽培用土26)に播種又は挿し木をする(STEP105)。
(5)苗Xを生育させ(STEP106)、隣接する苗X同士が干渉し合うまで、又は干渉前(直前を含む)まで、又は任意の大きさまで成長した段階で、スペーシングを行う(STEP107)。スペーシングは、前記実施形態1と同様の方法(図8(a)(b))で行うことができる。
本発明の育苗ポット1とトレイ10を用いた苗のスペーシング方法の他例を、図10を参照して説明する。この使用例は、開口径90mmの軟質ポットPを収容できる大きさの育苗ポット1と、その育苗ポット1を収容可能なサイズの収容ポケット11を有するトレイ10(ここでは図3(a)(b))を用いる場合の例である。
(1)軟質ポットP内の培土に播種又は挿し木をする(STEP201)。
(2)トレイ10の収容ポケット11に育苗ポット1を収容し(STEP202)、当該育苗ポット1内に前記(1)で播種又は挿し木した軟質ポットPを入れる(STEP203)。
(3)軟質ポットP内で苗Xを生育させ(STEP204)、隣接する苗X同士が干渉し合うまで、又は干渉前(直前を含む)まで、又は任意の大きさまで成長した段階で、スペーシングを行う(STEP205)。スペーシングは、前記実施形態1と同様の方法(図8(a)(b))で行うことができる。
本発明の苗のスペーシング方法は、トレイ10に並べた縦列の育苗ポット1又は横列の育苗ポット1を一つずつ又は複数個ずつ移動させることもできる。また、トレイ10に並べた縦列の育苗ポット1又は横列の育苗ポット1を、単一列又は複数列単位で移動することもできる。移動した育苗ポット1は別途用意してある空トレイ10bに移すことができる。
本発明の苗のスペーシング方法は、トレイ10上に縦列と横列に並べられている育苗ポット1の鍔3の下に操作機器のアームAを差し込んで、操作機器のアームAを操作し、任意の或いは全ての育苗ポット1をトレイ10から取り出して別の場所に移動させて、それら育苗ポット1の苗Xの周囲に移動前よりも広いスペースを設けることもできる。この場合も、移動した育苗ポット1は別途用意してある空トレイ10bや他や場所に移すことができるが、空トレイ10bではなく、他の育苗場や移植する畑等の他の場所に移動して、それら育苗ポット1の苗の間隔を広げる(間隔調整して並べ替える)こともできる。
本発明の育苗方法の一例を図8(a)(b)及び図11を参照して説明する。この育苗方法は、トレイ10に並べた育苗ポット1で育苗する育苗方法において、前記苗のスペーシング方法で苗Xを移動させることによって生じる空きの収容ポケット11aを薬剤散布に用いる場合の例である。前記スペーシングによって、元のトレイ10aに空の収容ポケット11aが生じる(図8(b))。当該収容ポケット11aの底面開口部16の下から液状の薬剤(以下「液状剤」という)を噴霧して、その収容ポケット11aに隣接する収容ポケット11b内の育苗ポット1で育苗中の苗Xの葉の裏面に散布(葉面散布)する苗の栽培方法である。
本発明の育苗方法は、トレイ10に並べた多数の育苗ポット1内に汎用の軟質ポット(ポリポット)Pを収容し、それら軟質ポットP内で育苗し、隣接する苗X同士が干渉し合うまで、又は干渉前(直前を含む)まで、又は任意の大きさまで成長した段階まで生育したら、育苗ポット1を移動させてその中の軟質ポットPを移動させることにより軟質ポットPの間隔を広げて育苗する方法であってもよい。この場合も、前記と同様に葉面散布することができる。
2 上面開口部
3 鍔
3a 窪み部
4 底面
5 脚
6 通気空間
7 排水孔
8 (育苗ポットの)周壁
9 収容部
10 トレイ
10a 元トレイ
10b 空トレイ
11、11a、11b 収容ポケット
12 区画壁
13 (トレイの)外周壁
14 差込み空間
15 支持部
16 底面開口部
17 カバー
18 カバー開口部
19 受け面
20 外周壁
21 周縁鍔
23 ソイルブロック
24 作業穴
26 栽培用土(培土)
A アーム
P 軟質ポット
X 苗
Claims (12)
- トレイと、当該トレイに整列させる多数の育苗ポットとを備えた育苗セットにおいて、
前記トレイは、前記育苗ポットを収容可能な収容ポケットを複数備え、
前記複数の収容ポケットは縦横方向に多数列整列して設けられ、
前記各収容ポケットの間に、隣接する収容ポケットを区画する区画壁が縦横方向に設けられ、
前記育苗ポットは、前記トレイの収容ポケットに収容可能な大きさであり、上面開口部を備えた有底の筒状であり、上面開口部の周縁にその外側に突出する鍔を備えており、
前記鍔は操作機器のアームで下方から持ち上げ可能な突出幅であり、
前記育苗ポットは前記操作機器のアームで前記鍔を持ち上げても変形しない剛性を備え、
前記育苗ポットの高さは、収容ポケットに収容すると当該育苗ポットの鍔が当該トレイの区画壁の上面よりも上方に突出して、当該区画壁の上面と当該鍔との間に前記操作機器のアームを差込み可能な差込み空間が形成される高さである、
ことを特徴とする育苗セット。 - 請求項1記載の育苗セットにおけるトレイにおいて、
トレイの区画壁の高さは、収容ポケットに収容した育苗ポットの鍔の位置よりも低い、
ことを特徴とするトレイ。 - 請求項2記載のトレイにおいて、
収容ポケットの底面に底面開口部と、育苗ポットを支持可能な支持部が設けられた、
ことを特徴とするトレイ。 - 請求項1記載の育苗セットにおける育苗ポットにおいて、
底面に下方に突出する脚が設けられた、
ことを特徴とする育苗ポット。 - 請求項4記載の育苗ポットにおいて、
底面に一又は二以上の排水孔が開口された、
ことを特徴とする育苗ポット。 - 請求項4又は請求項5記載の育苗ポットにおいて、
鍔が上面開口部の全周に設けられた、
ことを特徴とする育苗ポット。 - 請求項1記載の育苗セットを用いた栽培中の苗のスペーシング方法において、
トレイの収容ポケットに収容された育苗ポット内の培土で生育中の苗が所定の大きさまで成長した段階で、当該育苗ポットの鍔の下の差込み空間に当該差込み空間の側方から操作機器のアームを差し込んで当該育苗ポットの鍔を下方から支持し、
前記操作機器のアームにより育苗ポットを移動し、育苗ポット内の苗の周囲に広いスペースを形成する、
ことを特徴とする苗のスペーシング方法。 - 請求項7記載の苗のスペーシング方法において、
苗が育苗ポット内のソイルブロックで生育された苗である、
ことを特徴とする苗のスペーシング方法。 - 請求項7記載の苗のスペーシング方法において、
苗が育苗ポット内の培土で生育された苗である、
ことを特徴とする苗のスペーシング方法。 - 請求項7記載の苗のスペーシング方法において、
苗が育苗ポット内の軟質ポット内の培土で生育された苗である、
ことを特徴とする苗のスペーシング方法。 - 請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の苗のスペーシング方法において、
トレイの収容ポケットに収容された縦列の育苗ポット又は横列の育苗ポットを、単一列又は複数列単位で移動する、
ことを特徴とする苗のスペーシング方法。 - 請求項1記載の育苗セットを用いて、トレイの収容ポケット内の育苗ポット内で苗を栽培する育苗方法において、
請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の苗のスペーシング方法により、育苗ポットを移動して育苗ポット内の苗の周囲に広いスペースを形成し、
前記収容ポケットの底面開口部の下方から液体を上向きに噴霧して、育苗ポットで生育中の苗の葉の裏面に葉面散布する、
ことを特徴とする育苗方法。
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