[第1実施形態]
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
[画像形成装置10の概略構成]
まず、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10の概略構成について説明する。
図1に示すように、前記画像形成装置10は、複数の画像形成ユニット1〜4と、中間転写ベルト5、光走査装置6、二次転写ローラー7、定着装置8、排紙トレイ9、給紙カセット21、及び搬送経路22などを備えるカラープリンターである。そして、前記画像形成装置10は、入力される画像データに基づいてシートにモノクロ画像又はカラー画像を形成する。前記シートは、紙、コート紙、ハガキ、封筒、及びOHPシートなどのシート材料である。また、本発明に係る画像形成装置の他の例として、ファクシミリー、コピー機、及び複合機などがある。
前記画像形成ユニット1〜4各々は、感光体ドラム、帯電装置、現像装置、一次転写ローラー、及びクリーニング装置などを備える電子写真方式の画像形成ユニットである。前記画像形成ユニット1〜4は、前記中間転写ベルト5の走行方向(水平方向)に沿って並設されており、所謂タンデム方式の画像形成部を構成している。具体的に、前記画像形成ユニット1ではC(シアン)、前記画像形成ユニット2ではM(マゼンダ)、前記画像形成ユニット3ではY(イエロー)、前記画像形成ユニット4ではK(ブラック)に対応するトナー像が形成される。
前記中間転写ベルト5は、前記画像形成ユニット1〜4各々の前記感光体ドラムに形成された各色のトナー像が中間転写される中間転写部材である。前記光走査装置6は、入力される各色の画像データに基づいてレーザー光を前記画像形成ユニット1〜4各々の前記感光体ドラムに照射することにより前記感光体ドラム各々に静電潜像を形成する。
このように構成された前記画像形成装置10では、前記給紙カセット21から前記搬送経路22に沿って供給されるシートに以下の手順でカラー画像が形成され、画像形成後のシートが前記排紙トレイ9に排出される。なお、前記搬送経路22には、前記給紙カセット21に積載されたシートを前記二次転写ローラー7及び前記定着装置8を経て前記排紙トレイ9に搬送する各種搬送ローラーが設けられている。
まず、前記画像形成ユニット1〜4各々では、前記帯電装置により前記感光体ドラムが所定の電位に一様に帯電される。次に、前記光走査装置6により前記感光体ドラム各々の表面に画像データに基づくレーザー光が照射されることにより、前記感光体ドラム各々の表面に静電潜像が形成される。そして、前記感光体ドラム各々の静電潜像は前記現像装置各々によって各色のトナー像として現像(可視像化)される。なお、前記現像装置各々には、各色に対応する着脱可能なトナーコンテナ11〜14からトナー(現像剤)が補給される。
続いて、前記画像形成ユニット1〜4各々の前記感光体ドラムに形成された各色のトナー像は、前記一次転写ローラー各々によって前記中間転写ベルト5に順に重ね合わせて転写される。これにより、前記中間転写ベルト5に画像データに基づくカラー像が形成される。次に、前記中間転写ベルト5上のカラー像は、前記二次転写ローラー7により、前記給紙カセット21から前記搬送経路22を経て搬送されるシートに転写される。その後、前記シートに転写されたカラー像は、前記定着装置8で加熱されて前記シートに溶融定着する。なお、前記感光体ドラム各々の表面に残存したトナーは前記クリーニング装置各々で除去される。
また、前記画像形成装置10には、前記画像形成ユニット1〜3各々の前記感光体ドラム及び前記一次転写ローラーと前記中間転写ベルト5とを接触及び離間させる離接機構(不図示)が設けられている。そして、前記画像形成装置10においてモノクロ画像が印刷される場合には、前記離接機構により前記画像形成ユニット1〜3各々の前記感光体ドラム及び前記一次転写ローラーと前記中間転写ベルト5とが離間される。これにより、前記画像形成ユニット4から前記中間転写ベルト5にブラックのトナー像のみが転写され、前記中間転写ベルト5から前記シートにモノクロの画像が転写される。
[光走査装置6の構成]
次に、図2〜図8を参照しつつ、前記光走査装置6の詳細について説明する。
まず、図2に示すように、前記光走査装置6は、ユニット筐体60、光源ユニット61、ポリゴンミラー(走査部材の一例)62、及び出射ミラー63〜66などを備える。前記光走査装置6では、前記画像形成ユニット1〜4各々に対応するレーザー光が前記光源ユニット61から照射され、前記ポリゴンミラー62によって主走査方向D1に偏向走査される。前記ポリゴンミラー62で走査された光は、各種のレンズ又はミラーなどの光学素子を介して前記出射ミラー63〜66各々に導かれる。そして、前記出射ミラー63〜66で反射するレーザー光は、前記画像形成ユニット1〜4各々の前記感光体ドラムに照射される。なお、前記感光体ドラムの表面において前記主走査方向D1に垂直な方向、及び前記ポリゴンミラー62の表面において前記主走査方向D1に垂直な方向をそれぞれ副走査方向D2と称する。
ここで、前記光源ユニット61は、図3に示すように、LD基板611〜614、出射光学系615〜618、反射ミラー71〜76、及びシリンドリカルレンズ77を備える。前記LD基板611〜614は、前記感光体ドラム各々に対応するレーザー光を照射する光源としてレーザーダイオード611A〜614Aが搭載された基板である。前記出射光学系615〜618各々は、前記レーザーダイオード611A〜614A各々から照射されるレーザー光を平行光束として出射すると共に前記レーザー光の光路幅を制限する。
ここに、前記レーザーダイオード611A〜614A各々は、1つのレーザー光を照射するシングルビームレーザーダイオード又は、複数のレーザー光を照射可能なモノリシックマルチビームレーザーダイオードである。なお、前記レーザーダイオード611A〜614A各々が、前記モノリシックマルチビームレーザーダイオードである場合、前記光走査装置6は、前記感光体ドラム各々に対して複数ライン同時に静電潜像を書き込むことが可能である。
前記反射ミラー71〜74は、前記出射光学系615〜618各々から出射されるレーザー光を前記反射ミラー75に向けて反射させる。また、前記反射ミラー75は、前記レーザー光各々を前記反射ミラー76に向けて反射させ、前記反射ミラー76は、前記レーザー光各々を前記シリンドリカルレンズ77に向けて反射させる。前記シリンドリカルレンズ77は、前記レーザー光各々を前記副走査方向D2に収束させて前記ポリゴンミラー62の反射面(偏向面)上に線像として結像させる収束レンズの一例である。ここで、前記レーザー光各々は、前記シリンドリカルレンズ77における前記副走査方向D2の異なる位置に入射し、前記ポリゴンミラー62に対してそれぞれ異なる角度で入射する。これにより、前記ポリゴンミラー62で反射した前記レーザー光各々は、分離して前記出射ミラー63〜66に導かれた後、前記画像形成ユニット1〜4各々の前記感光体ドラムに導かれる。このように、前記光走査装置6では、複数のレーザー光の走査に共通の前記シリンドリカルレンズ77及び前記ポリゴンミラー62が用いられる。
そして、前記光走査装置6では、前記出射光学系615〜618各々が、前記ポリゴンミラー62における前記主走査方向D1のレーザー光の入射位置、前記副走査方向D2のレーザー光の入射角度、及び前記レーザー光の光軸回りの傾きを調整することが可能な調整機構を備える。前記調整機構では、前記ポリゴンミラー62における前記主走査方向D1のレーザー光の入射位置、前記副走査方向D2のレーザー光の入射角度、及び前記レーザー光の光軸回りの傾きが調整される。ここで、前記調整機構が、例えばネジの螺合の深さによって前記アパーチャー82の固定状態を調整可能な構成であれば、例えば前記画像形成装置10の運搬時又は前記画像形成装置10の動作時に生じる振動に起因してネジが緩み、前記アパーチャー82の固定状態が変化するおそれがある。これに対し、前記画像形成装置6では、ネジを用いることなく前記アパーチャー82の固定状態を調整することが可能である。以下、この点について詳細に説明する。
ここに、図4は、前記出射光学系618の構成を簡略化して示した模式図である。以下では、説明の便宜上、図4〜図8に定義された前後、左右及び上下の方向を用いて説明することがある。なお、前記調整機構の構成について前記出射光学系618を例に挙げて説明するが、前記出射光学系615〜617についても同様の調整機構が設けられている。即ち、前記光走査装置6は、前記調整機構を構成する後述のアパーチャー82、支持部材84、及び貫通部744を、複数の前記レーザーダイオード611A〜614Aに対応して複数組備える。
前記出射光学系618は、ベース部681、壁部682、コリメータレンズ81、アパーチャー82、及び支持部材84を備える。前記ベース部681及び前記壁部682は、前記ユニット筐体60の一部である。前記壁部682には、前記LD基板614に搭載された前記レーザーダイオード614Aが挿入される貫通部743が設けられている。
前記ベース部681には、前記ベース部681の表面681A及び裏面681Bに貫通して形成され、前記支持部材84が挿通可能な貫通部744が設けられている。そして、前記ベース部681には、前記支持部材84が前記貫通部744に挿通された状態で接着剤を用いて接着固定される。なお、前記ベース部681は、第1ベース部の一例であり、前記貫通部744は、第1貫通部の一例である。
前記コリメータレンズ81は、接着剤を用いて前記ベース部681に接着固定されている。前記コリメータレンズ81は、前記LD基板614の前記レーザーダイオード614Aから照射されるレーザー光を平行光束にして出射する。前記アパーチャー82は、前記コリメータレンズ81から前記反射ミラー74に向かうレーザー光の前記主走査方向D1及び前記副走査方向D2の光路幅を予め定められた範囲に制限する開口部83を有する。なお、前記アパーチャー82は、第1アパーチャーの一例であり、前記開口部83は、第1開口部の一例である。前記支持部材84は、前記アパーチャー82を支持する部材であって、前記ベース部681とは別部材として構成されている。
ここに、図5は、前記アパーチャー82及び前記支持部材84の構成を示す図である。図5に示すように、前記アパーチャー82は、操作部821及び円柱部822を備える。前記円柱部822は、前記開口部83の中心を軸とする円柱状に形成されている。前記アパーチャー82の前記開口部83は、前記円柱部822の上面及び底面に亘って形成されている。前記操作部821は、前記円柱部822の周面に、前記開口部83の長手方向に対して垂直な方向に突出して設けられている。さらに、前記操作部821は、その上端が、前記アパーチャー82が前記支持部84に支持された状態で前記支持部材84から上方に突出する長さを有する。
また、前記支持部材84は、円柱支持部841、切り欠き部842、及び溝部843を備える。前記円柱支持部841は、前記支持部材84の前面及び背面に貫通して形成され、前記アパーチャー82の前記円柱部822を回動可能に支持する。前記切り欠き部842は、前記アパーチャー82の前記円柱部822を前記円柱支持部841に挿入する際に前記アパーチャー82の前記操作部821との干渉を避けるために前記支持部材84の上端部84Aに形成されている。
ここで、前記支持部材84は、前記レーザー光が前記アパーチャー82の前記開口部83に入射する位置まで前記支持部材84が前記貫通部744に挿通された状態で、前記ベース部681の裏面681B側から下端部84Bが突出する長さを有している。特に、前記支持部材84の前記円柱支持部841の下端位置と前記下端部84Bとの間の距離は、前記ベース部681の厚み寸法に対して予め設定された調整幅の分だけ大きく設計されている。また、前記溝部843は、前記支持部材84の左側面及び右側面にそれぞれにおいて前記支持部材84の長手方向である上下方向に沿って形成されている。
ここに、図6は、前記ベース部681の構成を示す図である。図6に示すように、前記ベース部681に設けられた前記貫通部744は、左右両端部から開口内側に突出して形成され、前記支持部材84の前記溝部843に挿入可能な規制部745を有する。また、前記規制部745は、前記ベース部681の表裏面に亘って形成されている。そして、前記規制部745は、前記支持部材84の前記溝部843に挿入されることにより、前記アパーチャー82の回動軸方向である前後方向への前記支持部材84の移動を規制する。一方、前記貫通部744では、前記アパーチャー82の回動軸に垂直な方向である上下方向及び左右方向(主走査方向D1及び副走査方向D2)への前記支持部材84の移動が予め設定された調整範囲で許容される。
このように構成された前記出射光学系618では、前記ベース部681の前記貫通部744に前記支持部材84が挿通された後、前記アパーチャー82の上下左右の位置と前記アパーチャー82に入射するレーザー光の光軸を中心とする回転位置とが調整可能である。
ここに、図7は、前記ベース部681の前記貫通部744に前記支持部材84が挿通された状態を上方から見た模式図である。図7に示すように、前記貫通部744に前記支持部材84が挿通された状態で、前記溝部843の左右方向には前記規制部745に対して予め設定された調整幅w1の隙間が形成される。即ち、前記支持部材84は、前記貫通部744内において前記調整幅w1の2倍の幅の範囲内で前記主走査方向D1に移動可能な状態である。これにより、前記光走査装置6の組み立て時には、前記ポリゴンミラー62における前記主走査方向D1のレーザー光の入射位置が調整可能である。
さらに、前記支持部材84は、前記溝部843に前記規制部745が挿入された状態で、前記規制部745に沿って上下方向に移動可能である。これにより、前記光走査装置6の組み立て時には、前記シリンドリカルレンズ77へのレーザー光の入射位置を変更することができ、前記ポリゴンミラー62における前記副走査方向D2のレーザー光の入射角度が調整可能である。
そして、前記出射光学系618では、前記貫通部744内における前記支持部材84の上下方向及び左右方向の位置が調整された後、前記支持部材84が接着剤によって前記ベース部681に接着固定される。このとき、例えば前記接着剤には、紫外線の照射により硬化する光硬化性樹脂が用いられる。この場合、前記光硬化性樹脂が前記支持部材84及び前記貫通部744に塗布された後、前記光硬化性樹脂に紫外線を照射する必要がある。ここで、前記支持部材84を把持可能な位置が前記支持部材84の上端部84Aのみであると、前記光硬化性樹脂を塗布する際及び前記光硬化性樹脂に紫外線を照射する際に、前記支持部材84を把持するロボットアームのチャック部又は作業者の手などが邪魔になる。
これに対し、前記出射光学系618では、前記レーザー光が前記アパーチャー82の前記開口部83に入射する位置まで前記支持部材84が前記貫通部744に挿通された状態で、前記支持部材84の下端部84Bが前記ベース部681の裏面681B側から突出する。そのため、前記支持部材84の下端部84Bを前記ベース部681の裏面681B側においてロボットアームのチャック部又は作業者の手などで把持した状態で、前記支持部材84及び前記貫通部744に光硬化性樹脂を塗布し、その光硬化性樹脂に上方から紫外線を照射することが可能である。なお、前記支持部材84の上端部84Aが把持された状態で、前記ベース部681の裏面681B側から前記支持部材84及び前記貫通部744に光硬化性樹脂が塗布され、前記ベース部681の裏面681B側から光硬化性樹脂に紫外線が照射されることも考えられる。
また、図8(A)〜図8(C)は、前記ベース部681の前記貫通部744に前記支持部材84が挿通された状態を示す正面図である。図8(A)に示すように、前記支持部材84では、前記円柱支持部841によって前記アパーチャー82の前記円柱部822が回動可能に支持されている。そして、図8(B)及び図8(C)に示すように、前記操作部821が左右方向に動かされると、前記アパーチャー82は、前記円柱支持部841の開口中心及び前記円柱部822の中心を回動軸として回動する。これにより、前記光走査装置6の組み立て時には、前記ポリゴンミラー62における前記レーザー光の光軸回りの傾きが調整可能である。なお、前記レーザー光の光軸回りの傾きは、例えば前記光源ユニット61に配置される各種の反射ミラーなどの設置誤差に起因して発生する。
以上説明したように、前記光走査装置6は、前記アパーチャー82の固定状態を調整することにより、前記ポリゴンミラー62における前記主走査方向D1のレーザー光の入射位置、前記副走査方向D2のレーザー光の入射角度、及び前記レーザー光の光軸回りの傾きが調整可能な調整機構を有する。そして、前記調整機構は、ネジなどを用いることなく簡易な構成で実現されており、部品点数及びコストを省減することが可能である。さらに、前記支持部材84を前記ベース部681に接着固定する際の作業が容易となるため、前記光硬化性樹脂などの接着剤を用いて前記アパーチャー82を所望の固定状態で安定して固定することが可能である。
[第1実施形態に係る光走査装置6におけるアパーチャー固定方法]
ここで、図9を参照しつつ、前記光走査装置6における前記アパーチャー82の固定方法として実行される作業工程について説明する。当該作業工程は、例えば前記光走査装置6の組み立てを行う作業者又はロボットアームによって実行される。
まず、ステップS1では、前記支持部材84を前記ベース部681の前記貫通部744内で移動させることにより、前記アパーチャー82の回動軸に垂直な方向である上下方向及び左右方向(主走査方向D1及び副走査方向D2)の位置を調整する。
次に、ステップS2では、前記ステップS1で位置が調整された前記支持部材84を前記ベース部681に接着剤を用いて接着固定する。ここで、前記接着剤には、紫外線の照射により硬化する光硬化性樹脂が用いられる。より具体的に、前記支持部材84と前記貫通部744との間に光硬化性樹脂が塗布された後、その光硬化性樹脂に紫外線が照射される。このとき、前記支持部材84の下端部84Bは、前記ベース部681の底面から突出しているため、前記支持部材84の下端部84Bを把持した状態で、前記ベース部681の上方から前記光硬化性樹脂の塗布及び前記光硬化性樹脂への紫外線の照射を容易に行うことが可能である。
続いて、ステップS3では、前記ベース部681に固定された前記支持部材84で支持された前記アパーチャー82の操作部821を操作して前記アパーチャー82を回動させて前記アパーチャー82の回転位置を調整する。
そして、ステップS4では、前記ステップS3で回転位置が調整された前記アパーチャー82を前記支持部材84に接着剤を用いて接着固定する。この場合にも、前記接着剤には、紫外線の照射により硬化する光硬化性樹脂が用いられる。より具体的に、前記アパーチャー82の円筒部822と前記支持部材84の切り欠き部842との間に光硬化性樹脂が塗布された後、その光硬化性樹脂に紫外線が照射される。このとき、前記アパーチャー82の操作部821は、前記円筒部822より上方に突出しているため、前記アパーチャー82の操作部821を把持した状態で、前記切り欠き部842に前記光硬化性樹脂の塗布及び前記光硬化性樹脂への紫外線の照射を容易に行うことが可能である。
[第2実施形態]
ところで、前記アパーチャー82の固定状態の調整時には、前記レーザー光をCCDなどの撮像素子を有するカメラで撮影しながらその調整を行うことが考えられる。例えば、前記カメラは、調整作業時に前記反射ミラー71〜74と前記反射ミラー75との間、又は前記シリンドリカルレンズ77と前記ポリゴンミラー62との間などに配置され、調整作業終了後に取り外される。
但し、例えば前記光走査装置6に設けられるFθレンズなどの走査レンズの焦点距離が長い場合には、前記アパーチャー82を通過した後の前記主走査方向D1のレーザー光の幅が大きくなる。そのため、前記主走査方向D1のレーザー光の幅に対してカメラのサイズが小さければ、図10(A)に示すように、前記カメラの撮影画像P1において、レーザー光の前記主走査方向D1における端部が途切れるおそれがある。なお、前記カメラは、図10(A)〜図10(C)に示すように、前記撮影画像P1の左右方向が前記主走査方向D1と平行であり上下方向が前記副走査方向D2と平行になる状態で前記光走査装置6に配置される。なお、図10(A)〜図10(C)では、前記レーザー光をハッチング領域で示している。
ここで、前記主走査方向D1における前記レーザー光の全体を撮影するためにサイズの大きなカメラを用いることも考えられるが、この場合には、前記アパーチャー82の固定状態の調整時における前記光走査装置6への前記カメラの設置位置に制約が生じる。
これに対し、ここで説明する第2実施形態に係る前記画像形成装置10は、前記アパーチャー82の固定状態の調整時に小型のカメラを用いることが可能な構成を備える。なお、前記第1実施形態で説明した前記画像形成装置10及び前記光走査装置6について同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
具体的に、当該第2実施形態に係る前記画像形成装置10では、図11に示すように、前記アパーチャー82が、前記開口部83に対して前記開口部83の長手方向に垂直な方向に後述の遮蔽部材98が挿入可能な切り欠き部97を有する。ここに、前記切り欠き部97が第1切り欠き部の一例であり、前記遮蔽部材98が第1遮蔽部材の一例である。また、前記切り欠き部97は、前記主走査方向D1の中心が、前記開口部83の前記主走査方向D1の中心と一致するように予め定められた位置に形成されている。前記切り欠き部97は、前記アパーチャー82におけるレーザー光の照射方向下流側の面(即ち前面)に形成された凹部であって、前記アパーチャー82をレーザー光の光軸方向に貫通しない。従って、前記切り欠き部97は、前記アパーチャー82の前記開口部83による前記レーザー光の幅規制の性能には影響を与えない。
そして、図12に示すように、前記切り欠き部97には、前記レーザーダイオード614Aから照射されるレーザー光を遮蔽する長尺円柱形状の遮蔽部材98が着脱可能である。前記切り欠き部97に前記遮蔽部材98が装着されると、図10(B)に示すように、前記カメラの撮影画像P1において、前記レーザーダイオード614Aから照射されるレーザー光は、前記遮蔽部材98によって一部が遮蔽された状態となる。このとき、前記遮蔽部材98によって前記レーザー光に形成される遮蔽領域A1は、前記アパーチャー82の前記開口部83と予め定められた一定の関係を有する。即ち、前記開口部83の長手方向における中心と同方向における前記遮蔽領域A1の中心とは同じ位置である。なお、前記遮蔽領域A1と前記レーザー光との境界線は、前記開口部83の長手方向に垂直な線分を形成する。
これにより、前記撮影画像P1における前記遮蔽領域A1を参照することにより、前記アパーチャー82の開口部83から出射されるレーザー光の前記主走査方向D1における中心位置を特定することができる。より具体的には、前記遮蔽領域A1における前記遮蔽領域A1と前記レーザー光との境界線の中心を通り前記境界線に垂直な方向の幅w2の中心が前記レーザー光の中心位置である。そのため、図10(B)に示すように前記カメラで撮影される前記レーザー光の一端又は両端が途切れている場合でも、前記遮蔽領域A1によって前記レーザー光の中心位置を特定することができる。そして、前記光走査装置6では、前記調整機構を用いて、前記アパーチャー82の前記主走査方向D1(左右方向)における固定位置を容易に調整することが可能である。
また、前記アパーチャー82から出射されて前記カメラに入射する前記レーザー光に、前記アパーチャー82の回動軸を中心とする傾きが生じている場合には、図10(C)に示すように、前記撮影画像P1において、前記遮蔽部材98によって生じる前記遮蔽領域A1に傾きが生じる。従って、前記撮影画像P1における前記遮蔽領域A1を参照することにより、前記レーザー光の傾きを特定することができる。より具体的には、前記遮蔽領域A1における前記遮蔽領域A1と前記レーザー光との境界線の中心を通り前記境界線に垂直な線分の傾きが前記レーザー光の傾きと一致することになる。そのため、図10(C)に示すように前記カメラで撮影される前記レーザー光の一端又は両端が途切れている場合でも、前記遮蔽領域A1によって前記レーザー光の傾きを特定することができる。そして、前記アパーチャー82の回動軸回りの回転位置を容易に調整することが可能である。
以上説明したように、前記第2実施形態に係る前記光走査装置6によれば、前記アパーチャー82の固定状態の調整時にサイズの小さいカメラを用いることができ、前記光走査装置6への前記カメラの設置位置の制約が緩和される。
より具体的に、前記第2実施形態に係る前記光層走査装置6では、前記アパーチャー82の固定方法として実行される作業工程の前記ステップS1において、以下の作業工程が実行される。まず、前記アパーチャー82の前記切り欠き部97に前記遮蔽部材98を挿入した状態で、前記開口部83を通過した後の前記レーザー光を、前記カメラが設置される予め定められた位置で撮影する。次に、前記カメラで撮影される撮影画像に基づいて前記開口部83を通過した後の前記レーザー光における前記開口部83の長手方向(主走査方向D1)の中心位置を特定する。そして、その特定された前記レーザー光における前記開口部83の長手方向の中心位置に基づいて前記支持部材84の固定状態を調整する。また、前記カメラで撮影される撮影画像に基づいて前記アパーチャー91の前記支持部材93における回転位置を調整する。
[第3実施形態]
ところで、前記第1実施形態及び前記第2実施形態では、1つの前記アパーチャー82を用いて前記レーザー光の前記主走査方向D1及び前記副走査方向D2の幅を制限する構成について説明した。以下、第3実施形態では、前記レーザー光の前記主走査方向D1の光路幅と前記副走査方向D2の光路幅とが個別のアパーチャーによって制限される構成について説明する。なお、前記第1実施形態で説明した前記画像形成装置10及び前記光走査装置6について同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
具体的に、図13に示すように、当該第3実施形態に係る前記光走査装置6が備える前記レーザーダイオード611A〜614A各々は、二つのレーザー光を照射可能なモノリシックマルチビームレーザーダイオードである。このように、前記レーザーダイオード611A〜614A各々が前記モノリシックマルチビームレーザーダイオードである場合、前記光走査装置6では、前記感光体ドラム各々に対して二ライン同時に静電潜像を書き込むことが可能である。なお、前記レーザーダイオード611A〜614A各々は、三つ以上のレーザー光を照射可能な構成であってもよい。
また、当該第3実施形態に係る前記光走査装置6は、前記アパーチャー82に代えてアパーチャー91及びアパーチャー92を備える。前記アパーチャー91は、前記レーザーダイオード611A〜614A各々に対応して設けられている。
前記アパーチャー91各々は、前記レーザーダイオード611A〜614A各々から照射される前記レーザー光各々の副走査方向D2の光路幅を制限する。また、前記アパーチャー92は、前記レーザーダイオード611A〜614A各々から照射される前記レーザー光の前記主走査方向D1の光路幅を制限する。即ち、前記アパーチャー92は、前記レーザーダイオード611A〜614Aに共通する一つのアパーチャーである。そして、前記アパーチャー91は、前記コリメータレンズ81と前記シリンドリカルレンズ77との間で前記ユニット筐体60の一部であるベース部683に配置されている。一方、前記アパーチャー92は、前記シリンドリカルレンズ77と前記ポリゴンミラー62との間で前記ユニット筐体60の一部であるベース部686に配置されている。
ここに、図14(A)は、前記光走査装置6におけるレーザー光の軌跡を示す前記主走査方向D1の断面模式図である。なお、図14(A)において前記反射ミラー71〜76の図示は省略している。図14(A)に示すように、前記レーザーダイオード614Aから照射される二本のレーザー光L1及びレーザー光L2は、前記主走査方向D1及び前記副走査方向D2の位置が異なる出射点を有する。
そして、前記レーザー光L1及び前記レーザー光L2は、前記コリメータレンズ81を経て前記アパーチャー91を通過した後、前記シリンドリカルレンズ77に入射する。その後、前記シリンドリカルレンズ77から出射された前記レーザー光L1及び前記レーザー光L2は、前記アパーチャー92を経て前記ポリゴンミラー62に入射する。前記ポリゴンミラー62によって偏向走査される前記レーザー光L1及び前記レーザー光L2は、fθレンズなどの走査レンズ67を経て前記感光体ドラムの表面上に照射される。なお、図14(A)に示す前記レーザー光L1及び前記レーザー光L2は、前記アパーチャー92の光軸中心を通過する前記レーザー光L1及び前記レーザー光L2の成分を示す軌跡である。
このように、前記光走査装置6では、前記アパーチャー91が前記コリメータレンズ81と前記シリンドリカルレンズ77との間に配置され、前記アパーチャー92が前記シリンドリカルレンズ77と前記ポリゴンミラー62との間に配置されている。そのため、前記シリンドリカルレンズ77の焦点距離を確保しつつ、前記アパーチャー92の位置を前記ポリゴンミラー62に近い位置に設定することが可能である。従って、前記ポリゴンミラー62における前記レーザー光L1及び前記レーザー光L2のピッチd1を狭くすることが可能である。これにより、前記第3実施形態に係る前記光走査装置6では、前記ポリゴンミラー62を小型化することができ、前記光走査装置6を小型化することができる。
これに対し、図14(B)は、前記アパーチャー91及び前記アパーチャー92を前記コリメータレンズ81と前記シリンドリカルレンズ77との間に配置することを想定した場合の前記光走査装置6におけるレーザー光の軌跡を示す前記主走査方向D1の断面模式図である。なお、図14(A)に示す前記レーザー光L1及び前記レーザー光L2も前述同様に、前記アパーチャー92の光軸中心を通過する前記レーザー光L1及び前記レーザー光L2の成分を示す軌跡である。図14(B)に示す例では、前記アパーチャー92を通過した後、前記レーザー光L1及び前記レーザー光L2が前記主走査方向D1に広がりを有するため、前記ポリゴンミラー62における前記レーザー光L1及び前記レーザー光L2のピッチd2は、前記ピッチd1よりも広くなる。そのため、前記ポリゴンミラー62を大型化する必要が生じ、前記光走査装置6の小型化が阻害される。
続いて、図15〜図22を参照しつつ、前記アパーチャー91及び前記アパーチャー92の構成について説明する。
図15に示すように、前記出射光学系618は、ベース部683、前記壁部682、前記コリメータレンズ81、前記アパーチャー91、及び支持部材93を備える。当該第3実施形態に係る前記光走査装置6では、前記出射光学系615〜618に対応して設けられる複数組の前記調整機構の構成要素に、前記アパーチャー91、前記支持部材93、及び後述の貫通部684が含まれる。
前記支持部材93は、前記アパーチャー91を支持する部材であって、前記ベース部683とは別部材として構成されている。また、前記ベース部683には、前記ベース部683の表面683A及び裏面683Bを貫通して形成され、前記支持部材93が挿通可能な貫通部684が設けられている。そして、前記ベース部683には、前記支持部材93が前記貫通部684に挿通された状態で接着剤を用いて接着固定される。なお、前記ベース部683が第2ベース部の一例である。
前記アパーチャー91は、前記コリメータレンズ81から前記反射ミラー74に向かうレーザー光の前記副走査方向D2の光路幅を予め定められた範囲に制限する開口部911を有する。具体的に、前記開口部911は、前記主走査方向D1及び前記副走査方向D2に予め設定された幅を有しており、前記副走査方向D2の幅は、前記アパーチャー92が有する後述の開口部921よりも小さい。ここに、前記アパーチャー91が第2アパーチャーの一例であり、前記開口部911が第2開口部の一例である。
ここに、図16は、前記アパーチャー91及び前記支持部材93の構成を示す図である。図16に示すように、前記アパーチャー91は、操作部912及び円柱部913を備える。前記円柱部913は、前記開口部911の中心を軸とする円柱状に形成されている。前記アパーチャー91の前記開口部911は、前記円柱部913の上面及び底面に亘って形成されている。前記操作部912は、前記円柱部913の周面に、前記開口部911の長手方向に対して垂直な方向に突出して設けられている。さらに、前記操作部912は、その上端が、前記アパーチャー91が前記支持部93に支持された状態で前記支持部材93から上方に突出する長さを有する。
また、前記支持部材93は、円柱支持部931、切り欠き部932、及び溝部933を備える。前記円柱支持部931は、前記支持部材93の前面及び背面に貫通して形成され、前記アパーチャー91の前記円柱部913を回動可能に支持する。前記切り欠き部932は、前記アパーチャー91の前記円柱部913を前記円柱支持部931に挿入する際に前記アパーチャー91の前記操作部912との干渉を避けるために前記支持部材93の上端部93Aに形成されている。
ここで、前記支持部材93の下端部93Bは、前記レーザー光が前記アパーチャー91の前記開口部911に入射する位置まで前記支持部材93が前記貫通部684に挿通された状態で、前記ベース部683の裏面683B側から下端部93Bが突出する長さを有している。特に、前記支持部材93の前記円柱支持部931の下端位置と前記下端部93Bとの間の距離は、前記ベース部683の厚み寸法に対して予め設定された調整幅の分だけ大きく設計されている。また、前記溝部933は、前記支持部材93の左側面及び右側面にそれぞれにおいて前記支持部材93の長手方向である上下方向に沿って形成されている。
ここに、図17は、前記ベース部683の構成を示す図である。図17に示すように、前記ベース部683に設けられた前記貫通部684は、左右両端部から開口内側に突出して形成され、前記支持部材93の前記溝部933に挿入可能な規制部685を有する。また、前記規制部685は、前記ベース部683の表裏面に亘って形成されている。そして、前記規制部685は、前記支持部材93の前記溝部933に挿入されることにより、前記アパーチャー91の回動軸方向である前後方向への前記支持部材93の移動を規制する。一方、前記貫通部684では、前記アパーチャー91の回動軸に垂直な方向である上下方向(副走査方向D2)への前記支持部材93の移動が予め設定された調整範囲で許容される。ここに、前記貫通部684が第2貫通部の一例である。
このように構成された前記出射光学系618では、前記ベース部683の前記貫通部684に前記支持部材93が挿通された後、前記アパーチャー91の上下の位置と前記アパーチャー91に入射するレーザー光の光軸を中心とする回転位置とが調整可能である。
ここに、図18は、前記ベース部683の前記貫通部684に前記支持部材93が挿通された状態を上方から見た模式図である。図18に示すように、前記貫通部684に前記支持部材93が挿通された状態で、前記支持部材93の左右方向への移動は前記溝部933と前記規制部685とによって規制される。一方、前記支持部材93は、前記溝部933に前記規制部685が挿入された状態で、前記規制部685に沿って上下方向に移動可能である。これにより、前記光走査装置6の組み立て時には、前記シリンドリカルレンズ77へのレーザー光の入射位置を変更することができ、前記ポリゴンミラー62における前記副走査方向D2のレーザー光の入射角度が調整可能である。
そして、前記出射光学系618では、前記貫通部684内における前記支持部材93の上下方向の位置が調整された後、前記支持部材93は接着剤によって前記ベース部683に接着固定される。このとき、例えば前記接着剤には、紫外線の照射により硬化する光硬化性樹脂が用いられる。この場合、前記光硬化性樹脂が前記支持部材93及び前記貫通部684に塗布された後、前記光硬化性樹脂に紫外線を照射する必要がある。ここで、前記支持部材93を把持可能な位置が前記支持部材93の上端部93Aのみであると、前記光硬化性樹脂を塗布する際及び前記光硬化性樹脂に紫外線を照射する際に、前記支持部材93を把持するロボットアームのチャック部又は作業者の手などが邪魔になる。
これに対し、前記出射光学系618では、前記レーザー光が前記アパーチャー91の前記開口部911に入射する位置まで前記支持部材93が前記貫通部684に挿通された状態で、前記支持部材93の下端部93Bが前記ベース部683の裏面683B側から突出する。そのため、前記支持部材93の下端部93Bを前記ベース部683の裏面683B側においてロボットアームのチャック部又は作業者の手などで把持した状態で、前記支持部材93及び前記貫通部684に光硬化性樹脂を塗布し、その光硬化性樹脂に上方から紫外線を照射することが可能である。なお、前記支持部材93の上端部93Aが把持された状態で、前記ベース部683の裏面683B側から前記支持部材93及び前記貫通部684に光硬化性樹脂が塗布され、前記ベース部683の裏面683B側から光硬化性樹脂に紫外線が照射されることも考えられる。
また、図19(A)〜図19(C)は、前記ベース部683の前記貫通部684に前記支持部材93が挿通された状態を示す正面図である。図19(A)に示すように、前記支持部材93では、前記円柱支持部931によって前記アパーチャー91の前記円柱部913が回動可能に支持されている。そして、図19(B)及び図19(C)に示すように、前記操作部912が左右方向に動かされると、前記アパーチャー91は、前記円柱支持部931の開口中心及び前記円柱部913の中心を回動軸として回動する。これにより、前記光走査装置6の組み立て時には、前記ポリゴンミラー62における前記レーザー光の光軸回りの傾きが調整可能である。特に、前記第3実施形態に係る前記光走査装置6では、前記アパーチャー91及び前記アパーチャー92のうち前記コリメータレンズ81と前記シリンドリカルレンズ77との間に配置されて前記副走査方向D2の光路幅を規制する前記アパーチャー91において前記レーザー光の光軸回りの傾きが調整可能である。そのため、前記シリンドリカルレンズ77に入射する前に前記レーザー光の傾きを補正することが可能であり、前記ポリゴンミラー62における前記レーザー光の傾きを補正することが可能である。なお、前記レーザー光の光軸回りの傾きは、例えば前記光源ユニット61に配置される各種の反射ミラーなどの設置誤差に起因して発生する。
ここに、図20〜図22は、前記アパーチャー92及び前記ベース部686の構成を示す図である。図20に示すように、前記ベース部686には、前記ベース部683の表面686A及び裏面686Bに貫通して形成され、前記アパーチャー92が挿通可能な貫通部687が設けられている。そして、前記ベース部686には、前記アパーチャー92が前記貫通部687に挿通された状態で接着剤を用いて接着固定される。なお、前記ベース部686が第1ベース部の一例である。
また、図20及び図21に示すように、前記アパーチャー92は、開口部921、規制部922、及び溝部923を有する。前記開口部921は、前記アパーチャー92の前面及び背面に亘って形成されている。前記開口部921は、前記シリンドリカルレンズ77から前記ポリゴンミラー62に向かうレーザー光の前記主走査方向D1の光路幅を予め定められた範囲に制限する。具体的に、前記開口部921は、前記主走査方向D1及び前記副走査方向D2に予め設定された幅を有しており、前記主走査方向D1の幅は、前記アパーチャー91の前記開口部911よりも小さい。ここに、前記アパーチャー92が第1アパーチャーの一例であり、前記開口部921が第1開口部の一例である。
前記規制部922は、前記アパーチャー92から前記レーザー光の軸方向に突出して形成されており、前記アパーチャー92の前記貫通部687における下方への移動を規制する。なお、前記溝部923は、前記アパーチャー92の上端及び下端に亘って形成されている。
また、図22に示すように、前記ベース部686に設けられた前記貫通部687は、左右両端部から開口内側に突出して形成され、前記アパーチャー92の前記溝部923に挿入可能な規制部688を有する。また、前記規制部688は、前記ベース部686の表裏面に亘って形成されている。そして、前記規制部688は、前記アパーチャー92の前記溝部923に挿入されることにより、前記アパーチャー92の前後方向の移動を規制する。一方、前記貫通部687では、前記アパーチャー92の回動軸に垂直な方向である左右方向(主走査方向D1)への前記アパーチャー92の移動が予め設定された調整範囲で許容される。ここに、前記貫通部687が第1貫通部の一例である。
このように構成された前記アパーチャー92では、前記ベース部686の前記貫通部687に前記アパーチャー92が挿通された後、前記アパーチャー92の左右の位置が調整可能である。ここに、図23は、前記ベース部686の前記貫通部687に前記アパーチャー92が挿通された状態を上方から見た模式図である。図23に示すように、前記貫通部687に前記アパーチャー92が挿通された状態で、前記溝部923の左右方向には前記規制部688に対して予め設定された調整幅w1の隙間が形成される。即ち、前記アパーチャー92は、前記貫通部688内において前記調整幅w1の2倍の幅の範囲内で前記主走査方向D1に移動可能な状態である。これにより、前記光走査装置6の組み立て時には、前記ポリゴンミラー62における前記主走査方向D1のレーザー光の入射位置が調整可能である。
そして、前記光走査装置6では、前記貫通部687内における前記アパーチャー92の左右方向の位置が調整された後、前記アパーチャー92が接着剤によって前記ベース部686に接着固定される。このとき、例えば前記接着剤には、紫外線の照射により硬化する光硬化性樹脂が用いられる。この場合、前記光硬化性樹脂が前記アパーチャー92及び前記貫通部687に塗布された後、前記光硬化性樹脂に紫外線を照射する必要がある。ここで、前記アパーチャー92を把持可能な位置が前記アパーチャー92の上端部92Aのみであると、前記光硬化性樹脂を塗布する際及び前記光硬化性樹脂に紫外線を照射する際に、前記アパーチャー92を把持するロボットアームのチャック部又は作業者の手などが邪魔になる。
これに対し、前記光走査装置6では、前記レーザー光が前記アパーチャー92の前記開口部921に入射する位置まで前記アパーチャー92が前記貫通部687に挿通された状態で、前記アパーチャー92の下端部92Bが前記ベース部686の裏面686B側から突出する。そのため、前記アパーチャー92の下端部92Bを前記ベース部686の裏面686B側においてロボットアームのチャック部又は作業者の手などで把持した状態で、前記アパーチャー92及び前記貫通部687に光硬化性樹脂を塗布し、その光硬化性樹脂に上方から紫外線を照射することが可能である。なお、前記アパーチャー92の上端部92Aが把持された状態で、前記ベース部686の裏面686B側から前記アパーチャー92及び前記貫通部687に光硬化性樹脂が塗布され、前記ベース部686の裏面686B側から光硬化性樹脂に紫外線が照射されることも考えられる。
以上説明したように、前記第3実施形態に係る前記光走査装置6は、前記ポリゴンミラー62における前記主走査方向D1のレーザー光の入射位置、前記副走査方向D2のレーザー光の入射角度、及び前記レーザー光の光軸回りの傾きが調整可能な調整機構を有する。そして、前記調整機構は、ネジなどを用いることなく簡易な構成で実現されており、部品点数及びコストを省減することが可能である。さらに、前記支持部材93及び前記アパーチャー92を前記ベース部683及び前記ベース部686に接着固定する際の作業が容易となるため、前記光硬化性樹脂などの接着剤を用いて前記支持部材93及び前記アパーチャー92を所望の固定状態で安定して固定することが可能である。
[第3実施形態に係る光走査装置6におけるアパーチャー固定方法]
ここで、図24を参照しつつ、前記第3実施形態に係る前記光走査装置6における前記アパーチャー91及び前記アパーチャー92の固定方法として実行される作業工程について説明する。当該作業工程は、例えば前記光走査装置6の組み立てを行う作業者又はロボットアームによって実行される。
まず、ステップS11では、前記支持部材93を前記ベース部683の前記貫通部744内で移動させることにより、前記アパーチャー91の回動軸に垂直な方向である上下方向(副走査方向D2)の位置を調整する。
次に、ステップS12では、前記ステップS11で位置が調整された前記支持部材93を前記ベース部683に接着剤を用いて接着固定する。ここで、前記接着剤には、紫外線の照射により硬化する光硬化性樹脂が用いられる。より具体的に、前記支持部材93と前記貫通部744との間に光硬化性樹脂が塗布された後、その光硬化性樹脂に紫外線が照射される。このとき、前記支持部材93の下端部93Bは、前記ベース部683の底面から突出しているため、前記支持部材93の下端部93Bを把持した状態で、前記ベース部683の上方から前記光硬化性樹脂の塗布及び前記光硬化性樹脂への紫外線の照射を容易に行うことが可能である。
続いて、ステップS13では、前記ベース部683に固定された前記支持部材93で支持された前記アパーチャー91の操作部912を操作して前記アパーチャー91を回動させて前記アパーチャー91の回転位置を調整する。
そして、ステップS14では、前記ステップS13で回転位置が調整された前記アパーチャー91を前記支持部材93に接着剤を用いて接着固定する。この場合にも、前記接着剤には、紫外線の照射により硬化する光硬化性樹脂が用いられる。より具体的に、前記アパーチャー91の円筒部913と前記支持部材93の切り欠き部932との間に光硬化性樹脂が塗布された後、その光硬化性樹脂に紫外線が照射される。このとき、前記アパーチャー912の操作部912は、前記円筒部913より上方に突出しているため、前記アパーチャー91の操作部912を把持した状態で、前記切り欠き部932に前記光硬化性樹脂の塗布及び前記光硬化性樹脂への紫外線の照射を容易に行うことが可能である。
その後、ステップS15では、前記アパーチャー92を前記ベース部686の前記貫通部687内で移動させることにより、前記アパーチャー92の回動軸に垂直な方向である左右方向(主走査方向D1)の位置を調整する。
そして、ステップS16では、前記ステップS15で位置が調整された前記アパーチャー92を前記ベース部686に接着剤を用いて接着固定する。ここで、前記接着剤には、紫外線の照射により硬化する光硬化性樹脂が用いられる。より具体的に、前記アパーチャー92と前記貫通部687との間に光硬化性樹脂が塗布された後、その光硬化性樹脂に紫外線が照射される。このとき、前記アパーチャー92の下端部92Bは、前記ベース部686の底面から突出しているため、前記アパーチャー92の下端部92Bを把持した状態で、前記ベース部686の上方から前記光硬化性樹脂の塗布及び前記光硬化性樹脂への紫外線の照射を容易に行うことが可能である。
[第4実施形態]
ところで、前記アパーチャー91及び前記アパーチャー92の固定状態の調整時には、前記レーザー光をCCDなどの撮像素子を有するカメラで撮影しながらその調整を行うことが考えられる。例えば、前記カメラは、調整作業時に前記反射ミラー71〜74と前記反射ミラー75との間、又は前記シリンドリカルレンズ77と前記ポリゴンミラー62との間などに配置され、調整作業終了後に取り外される。
但し、例えば前記光走査装置6に設けられるFθレンズなどの走査レンズの焦点距離が長い場合には、前記アパーチャー92を通過した後の前記主走査方向D1のレーザー光の幅が大きくなる。そのため、前記主走査方向D1のレーザー光の幅に対してカメラのサイズが小さければ、図25(A)に示すように、前記カメラの撮影画像P1において、レーザー光の前記主走査方向D1における端部が途切れるおそれがある。なお、前記カメラは、図25(A)〜図25(D)に示すように、前記撮影画像P1の左右方向が前記主走査方向D1と平行であり上下方向が前記副走査方向D2と平行になる状態で前記光走査装置6に配置される。なお、図25(A)〜図25(D)では、前記レーザー光をハッチング領域で示している。
ここで、前記主走査方向D1における前記レーザー光の全体を撮影するためにサイズの大きなカメラを用いることも考えられるが、この場合には、前記アパーチャー92の固定状態の調整時における前記光走査装置6への前記カメラの設置位置に制約が生じる。
これに対し、ここで説明する第4実施形態に係る前記画像形成装置10は、前記アパーチャー92の固定状態の調整時に小型のカメラを用いることが可能な構成を備える。なお、前記第3実施形態で説明した前記画像形成装置10及び前記光走査装置6について同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
具体的に、当該第4実施形態に係る前記画像形成装置10では、図26に示すように、前記アパーチャー92が、前記開口部921に対して前記開口部921の長手方向に垂直な方向に後述の遮蔽部材925が挿入可能な切り欠き部924を有する。ここに、前記切り欠き部924が第1切り欠き部の一例であり、前記遮蔽部材925が第1遮蔽部材の一例である。また、前記切り欠き部924は、前記主走査方向D1の中心が、前記開口部921の前記主走査方向D1の中心と一致するように予め定められた位置に形成されている。前記切り欠き部924は、前記アパーチャー92におけるレーザー光の照射方向下流側の面(即ち前面)に形成された凹部であって、前記アパーチャー92をレーザー光の光軸方向に貫通しない。従って、前記切り欠き部924は、前記アパーチャー92の前記開口部921による前記レーザー光の幅規制の性能には影響を与えない。
そして、図27に示すように、前記切り欠き部924には、前記レーザーダイオード614Aから照射されるレーザー光を遮蔽する長尺円柱形状の遮蔽部材925が着脱可能である。ここで、前記切り欠き部924に前記遮蔽部材925を挿入した状態で、前記開口部921を通過した後の前記レーザー光を撮影すると、図25(B)に示すように、前記カメラの撮影画像P1において、前記レーザー光の一部が前記遮蔽部材925によって遮蔽された状態となる。このとき、前記遮蔽部材925によって前記レーザー光に形成される遮蔽領域B1は、前記アパーチャー92の前記開口部921と予め定められた一定の関係を有する。即ち、前記開口部921の長手方向における中心と同方向における前記遮蔽領域B1の中心とは同じ位置である。なお、前記遮蔽領域B1と前記レーザー光との境界線は、前記開口部921の長手方向に垂直な線分を形成する。
これにより、前記撮影画像P1に基づいて前記レーザー光の前記主走査方向D1における中心位置を特定することができる。より具体的には、前記遮蔽領域B1における前記遮蔽領域B1と前記レーザー光との境界線の中心を通り前記境界線に垂直な方向の幅w2の中心が前記レーザー光の中心位置である。そのため、図25(B)に示すように前記カメラで撮影される前記レーザー光の一端又は両端が途切れている場合でも、前記遮蔽領域B1によって前記レーザー光の中心位置を特定することができる。そして、前記アパーチャー92の前記主走査方向D1(左右方向)における固定位置を容易に調整することが可能である。
また、当該第4実施形態に係る前記画像形成装置10では、図28に示すように、前記アパーチャー91が、前記開口部911に対して前記開口部911の長手方向に平行な方向に後述の遮蔽部材915が挿入可能な切り欠き部914を有することが考えられる。ここに、前記切り欠き部914が第2切り欠き部の一例であり、前記遮蔽部材915が第2遮蔽部材の一例である。前記切り欠き部914は、前記副走査方向D2の中心が、前記開口部911の前記副走査方向D2の中心と一致するように予め定められた位置に形成されている。前記切り欠き部914は、前記アパーチャー91におけるレーザー光の照射方向下流側の面(即ち前面)に形成された凹部であって、前記アパーチャー91をレーザー光の光軸方向に貫通しない。従って、前記切り欠き部914は、前記アパーチャー91の前記開口部911による前記レーザー光の幅規制の性能には影響を与えない。
そして、図29に示すように、前記切り欠き部914には、前記レーザーダイオード614Aから照射されるレーザー光を遮蔽する長尺円柱形状の遮蔽部材915が着脱可能である。ここで、前記切り欠き部914に前記遮蔽部材915を挿入した状態で、前記開口部911を通過した後の前記レーザー光を撮影すると、図25(C)に示すように、前記カメラの撮影画像P1において、前記レーザー光の一部が前記遮蔽部材915によって遮蔽された状態となる。このとき、前記遮蔽部材915によって前記レーザー光に形成される遮蔽領域B2は、前記アパーチャー91の前記開口部911と予め定められた一定の関係を有する。具体的に、前記開口部911の長手方向と前記遮蔽領域B2の長手方向とは平行であり、前記遮蔽領域B2と前記レーザー光との境界線が前記開口部911の長手方向に平行な線分を形成する。
これにより、前記撮影画像P1に基づいて前記レーザー光の傾きを特定することができる。そのため、図25(D)に示すように、前記カメラで撮影される前記レーザー光の一端又は両端が途切れている場合でも、前記遮蔽領域B2によって前記レーザー光の傾きを特定し、前記アパーチャー91の回動軸回りの回転位置を容易に調整することが可能である。
以上説明したように、前記第4実施形態に係る前記画像形成装置10によれば、前記アパーチャー91及び前記アパーチャー92の固定状態の調整時にサイズの小さいカメラを用いることができ、前記光走査装置6への前記カメラの設置位置の制約が緩和される。
より具体的に、前記第2実施形態に係る前記光層走査装置6では、前記アパーチャー82の固定方法として実行される作業工程において、以下の作業工程が実行される。
まず、前記ステップS11〜S14では、前記アパーチャー91の前記切り欠き部914に前記遮蔽部材915を挿入した状態で、前記開口部911を通過した後の前記レーザー光を、前記カメラが設置される予め定められた位置で撮影する。次に、前記カメラで撮影される撮影画像に基づいて前記開口部911を通過した後の前記レーザー光の傾きを特定する。そして、その特定された前記レーザー光の傾きに基づいて前記支持部材93における前記アパーチャー91の回転位置を調整する。また、前記カメラで撮影される撮影画像に基づいて前記支持部材93の副走査方向D2の位置も調整する。
次に、前記ステップS15〜S16では、前記遮蔽部材915を前記切り欠き部914から取り外し、前記アパーチャー92の前記切り欠き部924に前記遮蔽部材925を挿入した状態で、前記開口部921を通過した後の前記レーザー光を、前記カメラが設置される予め定められた位置で撮影する。続いて、前記カメラで撮影される撮影画像に基づいて前記開口部921を通過した後の前記レーザー光における前記開口部921の長手方向(主走査方向D1)の中心位置を特定する。そして、その特定された前記レーザー光における前記開口部921の長手方向の中心位置に基づいて前記アパーチャー92の固定状態を調整する。
なお、前記遮蔽部材915を前記切り欠き部914に挿入すると共に、前記遮蔽部材925を前記切り欠き部924に挿入した状態で、前記開口部911及び前記開口部921を通過した後の前記レーザー光を前記カメラで撮影し、前記アパーチャー91の回転位置及び前記アパーチャー92の固定状態を調整することが考えられる。このとき、前記カメラは、例えば前記シリンドリカルレンズ77と前記ポリゴンミラー62との間に配置される。この場合、前記カメラで撮影された撮影画像では、前記レーザー光に前記遮蔽領域B1及び前記遮蔽量領域B2が共に形成されることになる。