JP6138040B2 - 空気調和機 - Google Patents

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Description

本発明は、室内空気の冷房時に発生するドレン水の微生物を金属イオンで殺菌する空気調和機に関するものである。
一般に、熱交換器と、この熱交換器から流下するドレン水を受けるドレンパンと、このドレンパンに溜まったドレン水を汲み上げて排出するドレンポンプと、を備える空気調和機が知られている。この種の空気調和機では、ドレンパンに貯まったドレン水に微生物が繁殖し、半固形状のヌメリ(以下、スライムという)が発生することがある。このスライムにより、ドレンポンプやドレンホースが詰まってしまうおそれがあった。
これを解消するため、銀イオンの溶出によりスライムの発生を抑制する抗菌剤をドレンパンに配置したものが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2006−52918号公報 特開2012−7870号公報
しかしながら、ドレン水の水質は設置場所、設置環境、設置状況等により異なるため、抗菌剤からドレン水への銀イオン溶出量には大幅なばらつきが生じる。ドレン水の水質によっては、抗菌剤からの銀イオン溶出量が少なく、殺菌効果が低下してしまうという問題点があった。
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであり、ドレン水の水質に関わらずドレン水の殺菌効果を向上できる空気調和機を提供することを目的とする。
本発明に係る空気調和機は、熱交換器で発生するドレン水を受けるドレンパンを備えた空気調和機であって、前記ドレン水に銀イオンを溶出させる銀イオン発生部と、銀イオン以外の少なくとも1種類の金属イオンを前記ドレン水に溶出させる銀イオン殺菌効果促進部と、前記ドレン水を排出するドレンポンプと、を有し、前記銀イオン発生部は、前記ドレンポンプの吸込口の高さよりも上側に設置されており、前記銀イオン殺菌効果促進部の少なくとも一部は、前記高さと同じ又はそれよりも下側に設置されており、前記銀イオン発生部及び前記銀イオン殺菌効果促進部は、互いに接触せずに離間して設置されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、銀イオンによるドレン水の殺菌効果が銀イオン殺菌効果促進部により促進されるため、ドレン水の水質に関わらずドレン水の殺菌効果を向上できる。
本発明の実施の形態1に係る空気調和機の全体構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機のドレンパン7近傍の構成を示す概略の断面図である。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機のドレンパン7を上方から見た構成を示す概略の平面図である。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機において、銀イオン発生部1としてホウケイ酸ガラス抗菌剤を用い、電気伝導度20μS/cmのドレン水8に対し銀イオンによる殺菌処理を行った際の銀イオン溶出量とドレン水8の微生物生存率との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機において、銀イオン発生部1としてホウケイ酸ガラス抗菌剤を用いた場合のドレン水8の電気伝導度と銀イオン溶出量との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機におけるドレン水8の電気伝導度と、ドレン水8の微生物を銀イオン発生部1と共存で8時間静置させた後の生存率との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機において、電気伝導度120μS/cmのドレン水8に銅イオンを添加し、銀イオン発生部1としてホウケイ酸ガラス抗菌剤を5g/L投入した場合の、銅イオン濃度とドレン水8の8時間後の微生物の生存率との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機において、電気伝導度120μS/cmのドレン水8に対して24時間で0.1mg/Lの銅イオンを溶出させるのに必要な銅の表面積とドレン水8の量との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機におけるドレン水8の水位とドレン水8の量との関係の一例を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機における銀イオン殺菌効果促進部2の構造の一例を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機における銀イオン発生部1と銀イオン殺菌効果促進部2との距離と、殺菌効果との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機における銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2の位置関係の別の例を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機において、銀イオン発生部1から溶出した銀イオンの殺菌効果に対する銅イオン溶出状態の影響を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機の動作の例を示す説明図である。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機において、ドレン水8の攪拌実施の有無による殺菌効果の比を比較したグラフである。 本発明の実施の形態1の実施例1における実験条件1、2及び比較条件1〜4を示す図である。 本発明の実施の形態1の実施例1における実験結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態2に係る空気調和機のドレンパン7近傍の構成を示す概略の断面図である。 本発明の実施の形態2に係る空気調和機の動作の例を示す説明図である。 本発明の実施の形態3に係る空気調和機のドレンパン7近傍の構成を示す概略の断面図である。 本発明の実施の形態3に係る空気調和機の動作の例を示す説明図である。 本発明の実施の形態3に係る空気調和機における電極対9、11の構成の例を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態4に係る空気調和機のドレンパン7近傍の構成を示す概略の断面図である。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る空気調和機について説明する。図1は、本実施の形態に係る空気調和機の全体構成を示す断面図である。本実施の形態では、天井カセット形の4方向吹出式空気調和機(室内機)を例に挙げて説明する。図1を含む以下の図面では、各構成部材の寸法の関係や形状等が実際のものとは異なる場合がある。明細書中における各構成部材同士の位置関係(例えば、上下関係等)は、原則として、空気調和機を使用可能な状態に設置したときのものである。
図1に示すように、本実施の形態に係る空気調和機は、下方が開口された本体ケーシング21と、本体ケーシング21の天井面の中心部に設けられた遠心式の電動送風機22(室内送風機)と、を有している。電動送風機22の回転軸は鉛直方向に延伸している。電動送風機22の下方には、室内空気を電動送風機22に流入させる空気吸込口27が形成されている。空気吸込口27には、吸込グリル28が取り付けられている。
電動送風機22の外周側(径方向外側)には、熱交換器6(室内熱交換器)が電動送風機22を囲むように設けられている。熱交換器6は、不図示の圧縮機、四方弁、室外熱交換器、膨張弁等と共に冷凍サイクル装置を構成する。冷房運転時には、熱交換器6は蒸発器として機能する。このとき、電動送風機22により送風されて熱交換器6を通過する室内空気は、冷媒との熱交換により冷却されて冷風となる。一方、暖房運転時には、四方弁が切り替えられることにより、熱交換器6は凝縮器として機能する。このとき、電動送風機22により送風されて熱交換器6を通過する室内空気は、冷媒との熱交換により加熱されて温風となる。
熱交換器6の下方には、熱交換器6で発生したドレン水を受けるドレンパン7が設けられている。ドレンパン7は、少なくとも熱交換器6全体の下方投影面(真下)に配置されている。ドレンパン7の下方には、室内の天井面に露出する化粧パネル26が設けられている。化粧パネル26は、空気吸込口27となる開口部と、当該開口部の周囲を長方形枠状に囲む枠状部とを有している。枠状部の4辺のそれぞれには吹出口29が形成されている。熱交換器6を通過して冷却又は加熱された空調空気は、本体ケーシング21内の風路24を通り、吹出口29から室内の4方向に吹き出される。各吹出口29には、空調空気の風向を調節する風向板29aが設けられている。
図2は、本実施の形態に係る空気調和機のドレンパン7近傍の構成を示す概略の断面図である。図3は、ドレンパン7を上方から見た構成を示す概略の平面図である。図2及び図3に示すように、ドレンパン7上には、熱交換器6と、ドレンパン7で受けたドレン水8を排出するドレンポンプ4と、ドレン水8の水位を検知する水位センサー5と、銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2を備えるドレンパン殺菌機構3と、が設けられている。銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2は、熱交換器6で発生したドレン水8がドレンポンプ4で排出されるドレン水流路15(図3参照)に設置されている。銀イオン発生部1の下端は、例えば、冷房運転中にドレンポンプ4による排水が行われている際の水位(ドレンポンプ4の吸込口4aの高さ。下限水位17)よりも上側に配置されている。また、銀イオン発生部1の下端は、後述する上限水位18と同じ又はそれよりも下側に配置されている。銀イオン殺菌効果促進部2の少なくとも一部は、下限水位17よりも下側に配置されている。銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2は、互いに接触しないように離間して設置されている。本例では、銀イオン発生部1は、平面視で熱交換器6の内周側となるドレン水流路15に配置されており、銀イオン殺菌効果促進部2は、平面視で熱交換器6の外周側となるドレン水流路15に配置されている。
本実施の形態で用いる銀イオン発生部1は、銀又は銀イオンを固形物材料に均一に含有させたものである。銀イオン発生部1がドレン水8に触れる際又はドレン水8に溶解する際には、銀イオン発生部1内部に含まれる銀又は銀イオンがドレン水8に銀イオンとして放出される。有機物を含まない無機系抗菌剤では、徐々に溶解するように設計された製品が市販されている。本実施の形態では、このような無機系抗菌剤として、ガラスタブレットのホウケイ酸ガラス抗菌剤を用いた。ガラスタブレットとは、ガラスの網目状分子構造内に銀イオン等の無機系の抗菌成分を含有したものである。ガラスタブレットは、水に溶解する際に銀イオンを溶出する。無機系抗菌剤の溶解速度は銀イオン溶出速度とほぼ比例するため、ガラスタブレットの仕様を変更することにより銀イオン溶出速度の調整が可能である。無機系抗菌剤としては、ホウケイ酸ガラス抗菌剤に特に限定されず、他に例えば、リン酸系、ケイ酸系、又はゼオライト系などを用いることが可能である。
図4は、本実施の形態に係る空気調和機において、銀イオン発生部1としてホウケイ酸ガラス抗菌剤を用い、電気伝導度20μS/cmのドレン水8に対し銀イオンによる殺菌処理を行った際の銀イオン溶出量とドレン水8の微生物生存率との関係を示すグラフである。グラフの横軸は、銀イオン発生部1からドレン水8に溶出した銀イオンの24時間後の濃度、すなわち銀イオン溶出量(mg/L)を表している。グラフの縦軸は、殺菌処理前に対するドレン水8の微生物の生存率(−(無次元))を表している。
殺菌効果を実証する実験では、有機物がほとんど含まれない水、例えば純水や滅菌生理食塩水に微生物を散布したものを対象とした殺菌実験がしばしば行われている。しかしながら、実際のドレン水には種々雑多の汚れ成分が含まれていることが知られている。ドレン水に含まれる汚れ成分は一定ではなく、空気中の汚れ成分である有機物、塩化物イオン、ナトリウムイオンなどを含むものである。これらの成分は殺菌処理を阻害することが知られていることから、抗菌剤の殺菌性能を正確に把握するためには、市場のドレン水を入手するか、ドレン水に相当する水を人工的に作製したものを試験サンプルとして用いる必要がある。ドレン水に含まれる成分は市場によってバラツキが大きいが、一つの指標として電気伝導度で示すことが可能である。電気伝導度は水の抵抗の逆数であり、汚れ成分が多く含まれるほど高い値を示すものである。種々の市場のドレン水の電気伝導度を電気伝導率計(堀場製作所ES−51)を用いて実際に測定したところ、10〜150μS/cmの範囲であった。
殺菌処理の実験の手順は以下のとおりである。市場でスライムの発生が確認されたドレン水をNB(Nutrient Broth)寒天培地(ベクトン・ディッキンソン製)に散布し、35℃で18時間経過後に育成したコロニーを釣菌し、電気伝導度20μS/cmのドレン水に微生物の細胞を添加する。このときのドレン水の初期微生物数は、約10CFU/mLとした。CFU(Colony Forming Unit)は、培地上に育成したコロニーの数をカウントしたものであり、微生物数の単位である。このサンプルに対し、ホウケイ酸ガラス抗菌剤を添加して24時間後の水を採取し、NB寒天培地に散布し、35℃で18時間経過後にNB寒天培地上に育成したコロニー数をカウントする。このとき、ホウケイ酸ガラス抗菌剤の量を調節することで銀イオン溶出量を変化させ、0.0mg/L、1.8mg/L、4.1mg/Lの3つの条件で実験を行った。銀イオン濃度はICP(誘導結合プラズマ)分析装置で測定した。
微生物の生存率は初期微生物数に対する微生物数の比であることから、値が小さいほど殺菌効果が高く、値が1.0に近いほど殺菌効果が小さいことを示している。一般的に有意な抗菌効果とは、微生物が99%殺菌されること、すなわち生存率が0.01であることをいう。このことから、十分な殺菌効果を得るには、図4に示すように、24時間で約1.5mg/L以上の銀イオン溶出量が必要であることがわかる。したがって、銀イオン発生部1は、24時間で1.5mg/Lの銀イオン溶出量となるような仕様にする必要がある。ホウケイ酸ガラス抗菌剤を用いた場合、1Lのドレン水8あたり5gのホウケイ酸ガラス抗菌剤が必要であった。
次に、銀イオン殺菌効果促進部2に関して説明する。
本実施の形態で用いる銀イオン殺菌効果促進部2は、銀イオン以外の少なくとも1種類の金属イオン(例えば、銅、ニッケル又は亜鉛のイオン)を溶出させるものである。溶出させる金属イオンは特に限定されるものではないが、特に銅イオンによる促進効果が高いことから、銅イオンを溶出させるものがより好ましい。銀イオン殺菌効果促進部2として銅を用いる場合、銅単体を用いるか、又は、金属態の銅若しくは銅イオンを固形物材料に均一に含有させたものであって、水に触れる際や水に溶解する際に内部に取り込まれていた銅が銅イオンとして放出されるものを用いるのが望ましい。本実施の形態では、銅単体のリン脱酸銅の銅板を用いたが、前述のガラスタブレットに銅を含有させたものを用いてもよい。
図5は、本実施の形態に係る空気調和機において、銀イオン発生部1としてホウケイ酸ガラス抗菌剤を用いた場合のドレン水8の電気伝導度と銀イオン溶出量との関係を示すグラフである。グラフの横軸は、ドレン水8の電気伝導度(μS/cm)を表している。グラフの縦軸は、銀イオン発生部1を各電気伝導度の1Lのドレン水8に5g投入した際の24時間後の銀イオン濃度(銀イオン溶出量)(mg/L)を表している。図5に示すように、銀イオン溶出量は、電気伝導度が約0μS/cmの場合には約4.2mg/Lであるのに対し、約120μS/cmの場合には約0.25mg/Lまで減少している。このことから、電気伝導度が高くなるほど、銀イオン溶出量が低下することがわかる。銀イオン溶出量の低下は殺菌性能の低下を意味することから、電気伝導度が高くなるほど殺菌性能が低下することとなる。
それを実証するために電気伝導度と微生物の生存率との関係を調べた。図6は、本実施の形態に係る空気調和機におけるドレン水8の電気伝導度と、ドレン水8の微生物を銀イオン発生部1と共存で8時間静置させた後の生存率との関係を示すグラフである。グラフの横軸は電気伝導度(μS/cm)を表しており、グラフの縦軸は微生物の生存率を表している。銀イオン発生部1として、ホウケイ酸ガラス抗菌剤を各電気伝導度の1Lのドレン水8に5g投入している。実験の手順は前述の実験と同様であり、電気伝導度が異なるドレン水8のサンプルにドレン水から得た微生物を添加し、1Lのドレン水8に対し5gのホウケイ酸ガラス抗菌剤を添加して、8時間後のドレン水8の微生物数をNB寒天培地で測定した。図6に示すように、ドレン水8の微生物生存率は、電気伝導度が約0μS/cmの場合には10−5程度であるが、電気伝導度が100μS/cmの場合には10−2程度となり、さらに、電気伝導度が130μS/cmになると1程度となる。これにより、電気伝導度が高くなるほど微生物生存率は1に近づき、殺菌効果が低下していることがわかる。
図5及び図6から、ドレン水8の電気伝導度が高くなると、銀イオン発生部1からの銀イオン溶出量が低下するため、微生物殺菌効果が低下し、銀イオンの殺菌効果が十分得られない条件が存在することがわかる。
図7は、本実施の形態に係る空気調和機において、電気伝導度120μS/cmのドレン水8に銅イオンを添加し、銀イオン発生部1としてホウケイ酸ガラス抗菌剤を5g/L投入した場合の、銅イオン濃度とドレン水8の8時間後の微生物の生存率との関係を示すグラフである。グラフの横軸は銅イオン濃度(mg/L)を表しており、グラフの縦軸は微生物の生存率を表している。銀イオン発生部1は、24時間後の銀イオン溶出量が0.25mg/Lとなるように設定している。図7に示すように、銅イオン濃度が約0mg/Lの場合の生存率は0.5程度である。銅イオン濃度が0.01mg/L以上になると生存率が低下し、銅イオン濃度が0.1〜2.0mg/Lの範囲にあると生存率が10−3程度と最も小さくなる。銅イオン濃度が2.0mg/Lより増加すると、徐々に生存率が上昇し、銅イオン濃度が5.0g/L程度の場合には生存率が0.5程度となる。銅イオン濃度0.0mg/Lのときの生存率は、銀イオンのみの殺菌効果による生存率を示している。このことから、銀イオンと銅イオンが共存することで、銀イオンのみの場合と比較すると殺菌の相乗効果が得られていることがわかる。図7のグラフから、相乗効果の得られる銅イオン濃度は0.01mg/L以上5.0mg/L以下の範囲であり、望ましくは0.1mg/L以上2.0mg/L以下であることがわかる。したがって、銀イオン殺菌効果促進部2からは、上記の相乗効果が得られる濃度となるように金属イオン(例えば、銅イオン)を溶出させると、より高い殺菌効果を得ることができる。
銀イオン殺菌効果促進部2に銅(リン脱酸銅)板を用いた場合の設置形状に関して説明する。図8は、電気伝導度120μS/cmのドレン水8に対して、24時間で0.1mg/Lの銅イオンを溶出させるのに必要な銅の表面積とドレン水8の量との関係を示すグラフである。グラフの横軸はドレン水量(mL)を表しており、グラフの縦軸は銅表面積(cm)を表している。図8に示すように、ドレン水8に接触させる銅の表面積が大きくなると銅イオン溶出量が多くなり、銅イオン溶出量が24時間で0.1mg/Lとなる銅表面積は、100mLあたりで約35cmであることがわかる。銅の表面積とドレン水8の量との関係は直線的であり、以下の式1で表される。
Y=0.35X ・・・(式1)
Y:銅の表面積(cm)、X:ドレン水8の量(mL)
つまり、ドレン水8の100mLに対して、表面積として35cmとなる銅を設置する必要がある。ただし、ドレン水8の水位は一定ではなく、ドレン水8の水量によって変化することから、銅の設置方法もそれに応じて対応する必要がある。図9は、ドレン水8の水位とドレン水8の量との関係の一例を示すグラフである。グラフの横軸はドレン水水位(mm)を表しており、グラフの縦軸はドレン水量(mL)を表している。図9に示すように、この例では、ドレン水8の量100mL毎の水位変化は5mmとなっている。このような場合、各100mL毎に所定の表面積となる銅を設置するには、ドレンパン7から高さ5mm以内に、表面積35cmの銅の板を、ドレンポンプ4によるドレン水8の排出を妨げない形状で設置するのが望ましい。そのため、平板状の銅板ではなく、リン脱酸銅のメッシュ若しくは銅メッシュを丸めたもの、又は銅板をプリーツ形状に折り曲げたもの等を設置するのが望ましい。
銀イオン殺菌効果促進部2の具体的な構造の例について説明する。図10は、銀イオン殺菌効果促進部2の構造の一例を示す図である。図10に示すように、銀イオン殺菌効果促進部2は、平板状の銅板2aをプリーツ形状に折り曲げ、ドレン水8の高さ0〜5mmの部分(ドレンパン7の底面7aからの高さが5mmまでの部分)に設置した構造を有している。銅板2aは、各斜面が底面7aに対して角度30°となるように折り曲げられている。これにより、各斜面の傾斜の長さが10mmとなり、山2個半分(斜面5個分)のプリーツ形状とすることで斜面の長さの合計は片面で50mm、表裏両面で100mmとなる。したがって、図10の紙面に直交する方向の奥行を35mmとすることにより、所定の表面積(本例では35cm)を有するプリーツ形状の銅板2aをドレン水8に浸漬させることができる。
次に、銀イオンと銅イオンの共存で、殺菌効果が相乗的に向上する現象に関して説明する。
各金属イオンによる細菌(微生物)の不活化メカニズムは、次の2段階で進行すると考えられる。
第1段階:金属イオンが、細胞膜、細胞壁と反応しながら、細胞質内部に浸透する工程。その際、金属イオンは、細菌表面の細胞膜と細胞壁との間(ペリプラズム空間)に存在する呼吸鎖酵素のうち、塩基(例えば、チオール基(SH基))と反応する。その結果、酵素活性が失われ、細菌が不活化する。また、金属イオンの触媒効果により細胞膜や細胞壁が損傷することによっても細菌が不活化する。
第2段階:細胞質内部での不活化工程。細胞質内部に入り込んだ金属イオンは、細胞質内に多量に存在するリボソームと反応し、タンパク質合成機能を不全とする。その結果、生体エネルギーであるATP(アデノシン三リン酸)を合成するために必要なATP合成酵素の生産が停止し、細胞が不活化する。
銀イオンによる細菌の不活化では、第1段階がスムーズに進行し、銀イオンは比較的短時間に菌体中央部付近まで侵入する。細菌によっては30分以内に細菌中央に多量の銀イオンが浸透することもある。その一方で、銅イオンによる細菌の不活化では、第1段階の進行は難しく、他の何らかの手段(例えば、光触媒による活性酸素、又は次亜塩素酸ナトリウムの遊離塩素基などによる細胞膜や細胞壁の損傷)により、第1段階を促進する必要がある。
一方で、第2段階では、銀イオン及び銅イオンは共に、12時間から24時間程度かけて、タンパク質合成機能の不活化、さらに細胞形態異常を引き起こす。この反応速度は、細菌によって異なり、銅イオンの方が殺菌効果が高く、反応速度も速い場合がある。
これらのことから、銀イオン及び銅イオンの相乗的な殺菌効果は、第1段階において、銀イオンが主として、細胞膜、細胞壁を損傷し、第2段階において、銀イオン及び銅イオン両者が細胞質内に浸透し、細胞質内部を損傷し、細胞の不活化を行うメカニズムとなっている。
図7に示したグラフでは、銀イオン濃度と銅イオン濃度とが同程度の場合に、殺菌効果が大きく向上している。これは、銀イオンが細胞膜、細胞壁を浸透し、損傷を受けた部分から銅イオンが細胞質内部に浸透して、殺菌効果を高めたためであると考えられる。その一方で、銀イオン濃度が銅イオン濃度よりも低い場合に殺菌効果が減少するのは、銅イオンが多量に存在しても、銀イオンによる細胞膜、細胞壁への浸透が律速となり、殺菌効果が得られないためか、又は、銀イオンより多く存在する銅イオンが銀イオンと細胞質、細胞壁との接触を阻害するためであると考えられる。以上のことから、銀イオン殺菌効果促進部2から溶出する銅イオンは、銀イオン発生部1から溶出した銀イオン濃度を上回らない濃度とする方が好ましい。
なお、スライムを形成する微生物種により、銀イオン及び銅イオンの作用の度合いは異なる。銀イオンによる殺菌効果の寄与の方が大きい場合は、銀イオン溶出促進の寄与の方が大きくなり、銅イオンにより不活化が促進される微生物が存在した場合、第2段階における銅イオンの作用が劇的に効果を上げる場合もある。
次に、銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2の位置関係に関して説明する。
異種の金属が存在すると、イオン化傾向の大きい金属が溶解し、小さい金属が析出することが知られている。銀と銅では、銀の方がイオン化傾向が小さい。そのため、銀イオンは、銅単体が存在すると電気作用により、以下の式2に示すように銀単体となって析出し、銅イオンが溶解する。その一方で、銀イオンと銅イオンでは、殺菌効果は同一の濃度では銀イオンの方が高い。銀イオン発生部1と銀イオン殺菌効果促進部2とを互いに接触させて設置すると、銀イオン発生部1から銀が銀イオンとして溶解しても、銀イオンが微生物と反応するまでに、銀イオン殺菌効果促進部2の金属と接触して銀単体に置換してしまうため、殺菌効果が低下する。そのため、銀イオン発生部1と銀イオン殺菌効果促進部2とは、互いに接触させずに設置するのがよい。
2Ag+Cu→Ag+Cu2+ ・・・(式2)
図11は、本実施の形態に係る空気調和機において、銀イオン発生部1と銀イオン殺菌効果促進部2との距離と、抗菌効果との関係を示すグラフである。グラフの横軸は、銀イオン発生部1と、銀イオン殺菌効果促進部2すなわち銅板との距離(cm)を表している。横軸の0.0cmは、銀イオン発生部1と銀イオン殺菌効果促進部2とが互いに接触して設置されていることを表している。グラフの縦軸は、ドレン水8の微生物に対する殺菌効果の比を表している。殺菌効果の相対的な大小を表すために、24時間後の微生物の生存率の逆数を殺菌性能とし、銀イオン発生部1単独での殺菌性能に対する比を殺菌効果の比とした。すなわち、銀イオン発生部1単独での殺菌効果の比は1.0であり、殺菌効果の比が1.0よりも大きい場合には銀イオン発生部1単独による殺菌効果よりも高く、殺菌効果の比が1.0よりも小さい場合には銀イオン発生部1単独による殺菌効果よりも低いことを示している。図11に示すように、銀イオン発生部1と銀イオン殺菌効果促進部2との距離が0.0cm、つまり両者が接触している場合には、殺菌効果の比は約0.067であり、銀イオン発生部1単独の殺菌効果よりも低くなっている。一方、銀イオン発生部1と銀イオン殺菌効果促進部2と接触させずに設置すると(距離が0.0cmより大)、殺菌効果の比は約6.67まで増加し、その後殺菌効果は維持された。したがって、銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2は、互いに接触せずに離間して設置されることが望ましい。
図12は、図3に対応する平面図であり、本実施の形態に係る空気調和機における銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2の位置関係の別の例を示す図である。図12では、銀イオン殺菌効果促進部2の設置位置として、2つの位置(図中の符号2(1)及び2(2))を例示している。銀イオン発生部1から溶出した銀イオンは、銀イオン殺菌効果促進部2から溶出した金属イオン(銀よりイオン化傾向の大きい金属イオン)が存在すると、必ず置換されて析出する。そのため、銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2の設置位置は、図12に示すように、互いに接触させず、かつできるだけ距離を離した方が好ましい。
次に、銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2の高さ方向の設置位置について、既に示した図2を用いて説明する。
空気調和機の冷房運転中にドレンポンプ4を駆動する場合、ドレン水8はドレンポンプ4により排出されるため、ドレン水8の水位は、ドレンポンプ4の吸込口4aの高さまで低下する。このときのドレン水8の水位を下限水位17とする。また、冷房運転を停止させてドレンポンプ4を駆動した場合も、ドレン水8の水位は同じく下限水位17となる。一方、冷房運転を停止させてドレンポンプ4を止めた場合には、ドレンポンプ4により汲み上げられたドレン水8の一部がドレンパン7に戻ってくるため、ドレン水8の水位はドレンポンプ4運転時の下限水位17よりも上昇する。このときのドレン水8の水位を上限水位18とする。これは、ドレンポンプ4により途中の機内配管又は付属ドレンパイプ内まで汲み上げられたドレン水8が、ドレンポンプ4の停止によって吸込口4a側に戻ってくることによるものである。すなわち、ドレンポンプ4が停止後のドレン水8の水位は、下限水位17から、ドレンポンプ4からの戻り水による水位上昇分だけ上昇する。上限水位18は、あらかじめドレン水8の水位とドレン水8の量の関係式を算出しておけば、ドレンポンプ4停止時の戻り水の水量から特定することができる。
銀イオン発生部1等の抗菌剤をドレンパン7の底面に設置すると、設置された抗菌剤は常時ドレン水8に浸漬していることとなり、冷房運転中も常に殺菌効果を呈していることになる。冷房運転中は、熱交換器6では次々にドレン水8が発生し、ドレンポンプ4でドレン水8を排水するため、ドレンパン7のドレン水8は淀むことなく流れている。また、冷房運転中に発生しているドレン水8は、熱交換器6の表面で発生した凝縮水であるため、15℃以下と低温である。一般的な微生物が繁殖する温度は25℃以上であり、15℃以下の温度は微生物が繁殖しやすい環境ではない。さらに、冷房運転中は常にドレン水8が流れていることから、抗菌剤も流出することとなり効率的ではない。そこで、銀イオン発生部1は、ドレン水8に常時浸漬させるのではなく、冷房運転停止時(ドレンポンプ4停止時)にのみドレン水8に浸漬するような位置に設置することで、より効率的に殺菌効果を発揮できる。
図2に示すように、下限水位17は、冷房運転中にドレンポンプ4が排水を行っている際の水位であり、ドレンポンプ4の吸込口4aと同一高さとなっている。上限水位18は、ドレンポンプ4が停止して、戻り水(排水管内に存在していた汲上げ途中のドレン水8)がドレンパン7内に貯水されたときの水位である。この下限水位17及び上限水位18を高さ位置の基準として銀イオン発生部1と銀イオン殺菌効果促進部2を設置することで、微生物が繁殖しやすい冷房運転停止時にのみ抗菌剤を溶出することが可能となる。例えば、銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2の双方の下端を下限水位17と上限水位18との間の高さ位置に設置すれば、銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2の長寿命化を図ることができる。
図13は、銀イオン発生部1から溶出した銀イオンの殺菌効果に対する銅イオン溶出状態の影響を示すグラフである。図13では、4つの条件について殺菌効果の比の大小を比較している。グラフの横軸方向は、左から順に、(1)銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2(銅板)を用いた場合(銀イオン+銅板)、(2)銀イオン発生部1を銅イオンが溶解したドレン水8に浸漬した場合(銀イオン+銅イオン添加)、(3)銀イオン発生部1のみの場合(銀イオンのみ)、(4)銅イオンのみの場合(銅イオンのみ)、の各条件をそれぞれ表している。グラフの縦軸は、銀イオン発生部1単独での殺菌効果(条件(3))を1とした場合の殺菌効果の比を表している。殺菌効果の比が大きいほど殺菌性能が高いことを意味している。すなわち、殺菌効果の比が1よりも大きい場合には、銀イオン発生部1単独よりも殺菌効果が上昇していることを表しており、殺菌効果の比が1よりも小さい場合には、銀イオン発生部1単独よりも殺菌効果が低下していることを表している。
図13に示すように、銀イオン殺菌効果促進部2からドレン水8に銅イオンが徐々に溶解した場合(条件(1))と、あらかじめ銅イオンをドレン水8に溶解させた場合(条件(2))と、におけるドレン水8の微生物に対する殺菌効果の比は、それぞれ3.0及び6.67である。条件(1)及び(2)での殺菌効果は、いずれも銀イオン発生部1単独での殺菌効果よりも高いが、先に銅イオンを溶解したドレン水8に銀イオン発生部1を浸漬させた条件(2)の殺菌効果は、条件(1)の殺菌効果の2倍以上高い結果となった。
一般的に、物質の溶解には酸化還元電位が影響する。酸化還元電位が高い方が、物質から水中へのイオン溶解は促進される。そのため、銀イオン発生部1からの銀イオン溶出は、酸化還元電位が高い方が速い。酸化還元電位は、その他の水質が同等であれば、以下の式3(ネルンストの式)より、金属イオン濃度、すなわちこの場合は銅イオン濃度によって決まる。
E=E+(RT/nF)ln〔金属イオン濃度〕 ・・・(式3)
E:酸化還元電位、E:標準酸化還元電位、R:気体定数(8.3145JK−1mol−1)、T:絶対温度(K)、n:1原子あたりの反応に関与する電子数、F:ファラデー定数(9.6485×10C/mol)、金属イオン濃度:mol/L
式3より、酸化還元電位Eは、金属イオンが全く存在しない場合よりも、銅イオンが所定の濃度(例えば、0.1mg/L)で存在する場合の方が高くなる。このことから、銅イオンが先に溶解していると銀イオンの溶出がより促進されるため、殺菌効果も上昇する。
したがって、銅イオンは、銀イオン発生部1からの銀イオン溶出が起こるまでにイオンとして溶解させておくことが望ましい。そのため、銀イオン殺菌効果促進部2は、銀イオン発生部1と同様にドレンポンプ4停止後の戻り水にのみ浸漬させて銅イオンを溶出させるのではなく、常時ドレン水8に浸漬させ、ドレン水8への銅イオン溶出が起こる位置に設置するのが望ましい。具体的には、銀イオン殺菌効果促進部2は、熱交換器6からドレンポンプ4に流れるドレン水流路15内に設置する。また、図2に示すように、銀イオン殺菌効果促進部2は、ドレン水8がドレンポンプ4で排出されている間でも銅イオンが溶解するように、ドレン水8の流水中の水位となる下限水位17よりも下の部分に浸漬するように設置するのが望ましい。
以上のことから、ドレンパン7の下限水位17(吸込口4aの高さ)及び上限水位18(戻り水により上昇した水位高さ)を基準として、銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2の望ましい高さ位置をまとめると以下のようになる。
銀イオン発生部1の下端は、下限水位17よりも上側で、かつ、上限水位18と同じ又はそれよりも下側の高さ位置に配置されるのが望ましい。これは、微生物が繁殖しにくい冷房運転時(ドレンポンプ4運転時)には銀イオン発生部1をドレン水8に浸漬させず、微生物が繁殖しやすい冷房運転停止時(ドレンポンプ4停止時)のみに銀イオン発生部1をドレン水8に浸漬させるためである。
銀イオン殺菌効果促進部2の少なくとも一部(例えば、下端)は、下限水位17と同じ又はそれよりも下側の高さ位置に配置されるのが望ましい。これは、冷房運転時(ドレンポンプ4運転時)にも銀イオン殺菌効果促進部2をドレン水8に浸漬させるためである。
本実施の形態に係る空気調和機の動作について、図14を用いて説明する。図14は、本実施の形態に係る空気調和機の動作(状況)の例を示す説明図である。図14の左列は空気調和機の運転状況を示しており、中列はドレン水8の水位状況を示しており、右列はドレンパン殺菌機構3(銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2)の状況を示している。
空気調和機の冷房運転を開始すると、熱交換器6の表面で空気中の水分の凝縮が起こり、ドレン水8がドレンパン7に流れ出す。このとき、ドレンパン7でのドレン水8の水位は下限水位17を下回っているが、銀イオン殺菌効果促進部2の一部がドレン水8に浸漬すれば、金属イオン(本例では、銅イオン)がドレン水8に溶出する。ドレンポンプ4の吸込口4aまで水位が上昇すると、水位センサー5の検知信号に基づいてドレンポンプ4によるドレン水8の排出が開始され、ある一定量のドレン水8が排出され続ける(図14の「冷房運転・ドレンポンプ運転開始」)。このときのドレン水8の水位は、下限水位17に維持される。吸込口4aより下側のドレン水8は吸い上げられることがないため、銀イオン殺菌効果促進部2からの銅イオンの溶出は続く。すなわち、ドレンパン殺菌機構3では、銀イオン殺菌効果促進部2のみがドレン水8に浸漬しており、ドレン水8には銅イオンのみが溶出する。
その後、空気調和機の冷房運転が停止し、かつドレンポンプ4が停止した場合(図14の「冷房運転・ドレンポンプ運転停止」)には、ドレンポンプ4の内部等に溜まっていた水が重力によりドレンパン7に戻り、ドレン水8の水位が上昇する。すなわち、ドレン水8の水位は、戻り水により上昇した水位(上限水位18)となる。このとき、ドレンパン殺菌機構3の銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2の双方がドレン水8に浸漬する。ドレン水8には銀イオン殺菌効果促進部2から既に銅イオンが溶出しているため、酸化還元電位が上昇していることから、速やかに銀イオン発生部からの銀イオン溶出が起こる。その結果、銀イオンの殺菌効果により、ドレン水8の電気伝導度に関わらず、ドレン水8の微生物に対する殺菌が実施される。
銀イオン殺菌効果促進部2として、銅を含む抗菌剤を使用してもよい。その場合、それぞれ銅を担持したリン酸ジルコニウム、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、シリカゲル、水溶解性ガラス等を用いることができる。長期間にわたって銅イオンを溶出して微生物の発生を防止できるのは水溶解性ガラスであるため、水溶解性ガラスを用いることが好ましい。上記の銅を担持したリン酸ジルコニウム、ゼオライトなどを水溶性ガラスに添加して用いても良い。銅イオンを溶出する水溶解性ガラスとしては、リンケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウ酸ガラス、リン酸ガラス、及びソーダガラス等が挙げられる。本実施の形態における水溶解性ガラスとしては、リンケイ酸ガラス又はホウケイ酸ガラスが好ましく、酸化物換算の質量比で、SiOが15〜60%;LiO、NaO及びKOからなる群から選ばれる少なくとも1種以上が10〜40%;CuOが0.1〜5%;Pが10〜50%及び/又はBが5〜50%;MgO、CaO、SrO及びBaOからなる群から選ばれる少なくとも1種以上が0〜20%;Al、ZnO、CeO、ZrO及びTiOからなる群から選ばれる少なくとも1種以上が0〜20%含有する水溶解性ガラスが最も好ましい。これらを調合し、銅イオンが必要量溶出する銅抗菌剤を作製することができる。また、これ以外のガラス成分も任意に含むことができる。
図15は、本実施の形態に係る空気調和機において、ドレン水8の攪拌実施の有無による殺菌効果の比を比較したグラフである。ここでは、銀イオン殺菌効果促進部2として銅板を用い、銀イオン発生部1と銀イオン殺菌効果促進部2とを互いに接触させずに設置し、4時間後にドレンポンプ4を駆動し、ドレン水8の攪拌実施の有無による8時間後の殺菌効果の比を比較した。なお、ドレンポンプ4駆動によるドレン水8の攪拌とは、ドレンポンプ4停止時の戻り水によるドレン水8の攪拌を意味する。すなわち、先に述べたように、ドレンポンプ4を停止すると、ドレンポンプ4により汲み上げられたドレン水8の一部がドレンパン7に戻ってくる。この際に、ドレンパン7内のドレン水8が攪拌される。図15に示すように、攪拌を実施した場合の殺菌効果は、攪拌を実施しない場合と比較して7.5倍に上昇した。このことから、銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2でのドレンパン7殺菌を実施する場合、ドレンポンプ4によるドレン水8の攪拌を実施することで、さらに殺菌効果が向上することがわかる。
以下に、本実施の形態に係る空気調和機を用いてドレン水8の殺菌処理を行った実施例を説明する。
〔実施例1〕
実施例1では、ドレンパン7上の微生物に対する殺菌効果を確認するため、ドレンパン7のドレン水8にシュードモナス菌を入れ、各条件(実験条件1、2、比較条件1〜4)での殺菌処理の効果を調べた。図16は、実施例1における実験条件1、2及び比較条件1〜4を示す図である。図16では、各条件でのドレン水8の電気伝導度と、銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2の設置の有無(「○」は設置、「×」は非設置)とを示している。実験条件1、2は、本実施の形態に係る空気調和機に対応する条件であり、比較条件1〜4は、本実施の形態に係る空気調和機と比較するための条件である。図16に示す実験条件1、2及び比較条件1〜4に関して、次の方法で殺菌処理を行った。
図16に示す条件に従って、銀イオン発生部1及び/又は銀イオン殺菌効果促進部2を各ドレンパン7に設置し、電気伝導度を調節した500mLのドレン水8(シュードモナス菌が10CFU/mLとなるよう調節済み)を投入し、シュードモナス菌に対する殺菌効果を検証した。銀イオン発生部1として、ホウケイ酸ガラス抗菌剤を2.5g(5.0g/L相当)設置し、銀イオン溶出量としては24時間で0.25mg/Lとなるように調節した。銀イオン殺菌効果促進部2として、表面積にして175cm(35cm/100mL相当)の銅板を設置した。
図17は、実施例1における実験結果を示すグラフである。グラフの横軸は浸漬時間(時間)を表しており、縦軸は微生物数(CFU/mL)を表している。図17には、本実施の形態に係る空調調和機による殺菌処理の効果を示す実験条件1、2の実験結果と共に、比較条件1〜4の実験結果も示している。図17に示すように、実験条件1及び2では、浸漬時間の経過と共に微生物数が低下し、8時間後には3桁以上減少した。その一方で、比較条件1〜4のうち比較条件2では、浸漬時間の経過と共に微生物数が低下し、8時間後には3桁程度減少したが、その他の比較条件1、3、4では微生物数の減少は確認されなかった。
以上の結果から、実験条件1、2のように銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部2の両者が存在する場合には、ドレン水8の電気伝導度に関わらず、ドレン水8の微生物の殺菌が効果的に行われていることがわかる。その一方で、比較条件においては、銀イオン発生部1のみが存在する場合には、ドレン水8の電気伝導度が低い場合には殺菌効果が得られたが、高くなると殺菌効果が得られないことがわかる。また、銀イオン殺菌効果促進部2のみが存在する場合には、ドレン水8の電気伝導度に関わらず殺菌効果が得られないことがわかる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る空気調和機について説明する。本実施の形態では、実施の形態1との差異点を中心に説明するものとし、実施の形態1と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図18は、本実施の形態に係る空気調和機のドレンパン7近傍の構成を示す概略の断面図である。本実施の形態に係る空気調和機の構成は、一部を除いて、図2に示した実施の形態1に係る空気調和機と同様である。本実施の形態では、銀イオン殺菌効果促進部が、平板状の電圧電極13及び接地電極14を対とする電極対9と、電圧電極13と接地電極14との間に電圧を印加する電源10と、を備えている点で実施の形態1と異なる。電源10は、ドレンパン7に設置されている水位センサー5と接続されており、水位センサー5からの検出信号は、電源10の備える不図示の制御部(マイコン)に出力される。電圧電極13は、銀以外の少なくとも1種類の金属を含む電極である。電圧電極13及び接地電極14は、所定の間隔を設けてドレンパン7内に配置されている。電圧電極13及び接地電極14は、共に下端が下限水位17と同じ又はそれより下側に位置するように設置されている。
電圧電極13の材料としては、例えば、銅、ニッケル又は亜鉛などを用いることができるが、特に銅イオンによる促進効果が高いことから、銅を用いるのが好ましい。電圧電極13の形状は、平板状の他に、円盤状、棒状又は線状等、種々の形状とすることが可能である。電圧電極13の側面を絶縁体で被覆してもよい。また、電圧電極13の大きさも、特に制限はない。メッシュ形状のように表面積が大きいものを使用すれば、小さな印加電圧で、金属イオンを効率的に溶出させることができるという利点がある。電源10は直流電源であり、電圧電極13を陽極とし、接地電極14を陰極として直流電圧を連続的に印加する。
接地電極14に関して以下に説明する。
接地電極14では、電気分解が生じ、次式4による水酸化物イオン(OH)が発生する。このため、接地電極14付近のpHは11付近まで上昇する。
2HO+4e→H+4OH ・・・(式4)
このため、接地電極14の材料としては、pHが13前後における耐性がある白金(Pt)や金(Au)等の金属を用いるのが好ましい。ただし白金や金は高価なため、接地電極14として、チタン(Ti)に白金等をメッキしたものを用いてもよい。
また、接地電極14の材料として、電圧電極13で用いた金属と同じ材質のものを用い、両電極間に電圧パルスを交互に印加しながら、両電極から積極的に金属を溶解させる構成としてもよい。電圧電極13及び接地電極14の両方から、金属イオンを溶出できるため、それぞれの電極の寿命を長くすることができるという利点がある。
接地電極14の形状は、平板状の他に、円盤状、棒状又は線状等、種々の形状とすることが可能である。また、電圧電極13と同様に、接地電極14の側面を絶縁体で被覆してもよい。また、接地電極14の大きさも、特に制限されない。また、接地電極14にチタン等を用いる場合は、メッシュ形状のように表面積が大きくなるものを用いるのが望ましい。
ここで、接地電極14は、その名のとおり接地されている電極である。このため、本実施の形態及び以下の実施の形態で示す電圧電極13と接地電極14に印加する電圧の極性は、接地電極14に対する極性を示す。
電圧電極13と接地電極14との間隙は、1〜50mmであれば良く、望ましくは5〜20mmであれば良い。
ドレン水8への金属イオンの溶解量は、次式5に示す理論式(ファラデーの法則)から算出できる。例えば、0.5Lのドレン水8に0.1mg/Lの銅イオンを溶解させたい場合、電圧電極13に電流1mA、約160秒程度流れるように、電圧電極13を陽極とし接地電極14を陰極として電圧を印加すればよいことが分かる。
A=Q/Z/U/X=I×M×t/Z/U/X ・・・(式5)
A:溶出する金属イオン濃度(mg/L)、Q:電気量(C)、I:電極間に流れる電流(mA)、Z:ファラデー定数(9.65×10C/mol)、M:原子量(銅:63.5)、t:電流を通電する時間(s)、U:ドレン水8の水量(L)、X:イオン価数
つまり、電極間に流れる電流や電流を通電する時間の他に、ドレン水8の水量がわかっていれば、ドレン水8への銅イオンの溶解量を0.1〜2mg/Lの範囲にすることができることを意味する。
水位センサー5について説明する。水位センサー5としては、水位レベルを電流に変換し出力するセンサーが好ましい。例えば、フロート式水位レベルセンサーで、フロート(浮き)が浮力の原理によって水位と共に上下し、フロート内のマグネットによりリードスイッチが作動して水位レベルを電流に変換し出力する。具体的には、フロート式水位レベルセンサーは、フロート(浮き)と、このフロートを設置するステム(軸)内部にリードスイッチと抵抗を備えている。フロート内の磁石か水位変動で動く位置のリードスイッチの接点が閉じていくことにより、水位変化を抵抗変化として検出し、さらに抵抗−電流変換器で直流電流信号として、水位レベルを出力する。水位センサー5としては、他に例えば電流式水位センサーを使用してもよい。電流式水位センサーは、コモン電極と、このコモン電極に対向する水位に応じた検知電極とを備えている。コモン電極と検知電極との間には、それぞれ電圧が印加され、電極間にドレン水8があるときは、ドレン水8を介して所定の電流(例えば、50mA)が流れるため、その電流を検知してその水位では水有りと判定される。一方、所定の電流が流れないときは水無しと判定される。各水位で水の有無の判定を実施することで、現状の水位を推測できる。あらかじめドレンパン7形状からドレン水8の水位とドレン水8の量の関係式を算出しておけば、水位センサー5から出力された電流値を水位に変換することで、ドレン水8の量を算出できる。
水位センサー5で検知した水位による銅イオンの溶出の制御方法について説明する。
ドレン水8の銅イオン濃度を0.1mg/Lに制御したい場合、水位センサー5によりドレン水8の量が把握できれば、そのドレン水8の量に応じた必要な銅イオン量は、式6で表すことができる。
B=C×V ・・・(式6)
B:必要な銅イオン量(mg)、C:求めるドレン水8中の銅イオン濃度(mg/L、0.1)、V:ドレン水8の量(L)
銅イオン量Bを溶解させるのに必要な電気量は、上記の式5から算出できる。水位センサー5から出力される電流値からドレン水8の量を決定し、さらに電極に流れる電流Iと電流を通電する時間tとを決めることで、電極対9で適当な銅イオンを発生させることが可能である。
本実施の形態に係る空気調和機の動作について、図19を用いて説明する。図19は、本実施の形態に係る空気調和機の動作(状況)の例を示す説明図である。図19の左列は空気調和機の運転状況を示しており、中列はドレン水8の水位状況を示しており、右列はドレンパン殺菌機構(銀イオン発生部1及び銀イオン殺菌効果促進部(電極対9及び電源10))の状況を示している。
冷房運転が開始されると、熱交換器6の表面で空気中の水分の凝縮が起こり、ドレン水8がドレンパン7に流れ出す。ドレン水8は、ドレンポンプ4の吸込口4aの高さに達するまで、ドレンパン7に溜まったままの状態となっている。ドレンポンプ4の吸込口4aの高さ(下限水位17)まで水位が上昇すると、ドレンポンプ4によるドレン水8の排出が始まり、一定量のドレン水8が排出され続ける(図19の「冷房運転・ドレンポンプ運転開始」)。このときのドレン水8の水位は、下限水位17に維持される。したがって、銀イオン発生部1はドレン水8に浸漬せず、銀イオンは溶出されない。また、電極対9には電圧が印加されないため、銅イオンも溶出されない。
冷房運転が停止し、ドレンポンプ4が停止すると(図19の「冷房運転・ドレンポンプ運転停止」)、戻り水量分だけドレンパン7上のドレン水8の水位が上昇する。そのときの水位は上限水位18となっている。その際の水位を水位センサー5で検出し、電源10を制御する制御部の制御により、水位に応じて必要量の銅イオンを電極対9の電圧電極13から発生させる(電気作用による溶解)。その一方で、銀イオン発生部1は、戻り水により水位が上昇したときにドレン水8に浸漬する。銅イオンが溶出したドレン水8には、速やかに銀イオン発生部1からの銀イオンの溶出が起こる。その結果、銅イオン存在下での銀イオンの溶出、及び銀イオンと銅イオンの共存での殺菌により、ドレン水8の電気伝導度に関わらず、ドレン水8の微生物に対する殺菌効果が得られる。
このような構成によれば、最小限のドレン水8の量に対し、即座に銅イオンを溶解し、その後、銀イオンが速やかに溶解するため、銅イオンの発生量を極力抑えたうえで、ドレン水8の殺菌効果を高く維持することができる、という従来にない顕著な効果が得られる。
なお、本実施の形態では、水位センサー5として、水位を定量的に測定するレベルセンサーを用いた。しかしながら、日々の使用条件に変化が少ない場合は、定量的に水位を測定するレベルセンサーではなく、水の有無を検知して出力するスイッチを用いてドレン水8の有無を検知し、電極対9を動作させてもよい。また、水位センサー5自体を使用せずに、例えば、運転状況とドレン水8の水位とを対比させたテーブルを作成して制御部に記憶させておくことで、運転状況から水位を判断して電極対9を運転してもよい。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る空気調和機について説明する。本実施の形態では、実施の形態2との差異点を中心に説明するものとし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図20は、本実施の形態に係る空気調和機のドレンパン7近傍の構成を示す概略の断面図である。本実施の形態に係る空気調和機の構成は、一部を除いて、図18に示した実施の形態2の空気調和機と同様である。本実施の形態では、銀イオン発生部が、電圧電極19及び接地電極20を対とする電極対11と、電圧電極19と接地電極20との間に電圧を印加する電源12と、を備えている点で実施の形態2と異なる。電圧電極19は、銀製又は銀を含む金属製の電極(金属部材)である。電圧電極19及び接地電極20は、所定の間隔を設けてドレンパン7内に配置されている。同様に、電極対9の電圧電極13及び接地電極14は、所定の間隔を設けてドレンパン7内に配置されている。実施の形態2と同様に、電圧電極13及び接地電極14は、共に下端が下限水位17と同じ又はそれよりも下側に位置するように設置されている。一方、電圧電極19及び接地電極20は、共に下端が下限水位17よりも上側でかつ上限水位18と同じ又はそれよりも下側に位置するように設置されている。
電極対11に関して以下に説明する。電圧電極19の材料は、銀又は銀を含む合金であれば特に規定することはない。電圧電極19の形状も、平板状、円盤状、棒状又は線状等、種々の形状とすることが可能である。電圧電極19の側面を絶縁体で被覆してもよい。また、電圧電極19の大きさも、特に制限されない。メッシュ形状のように表面積が大きいものを使用すれば、小さな印加電圧で銀イオンを溶出させることができるという利点がある。
また、接地電極20の材料として、電圧電極19で用いた銀を用い、両電極間に電圧パルスを交互に印加しながら、両電極から積極的に金属を溶解させる構成としてもよい。電圧電極19及び接地電極20の両方から、銀イオンを溶出できるため、それぞれの電極の寿命を長くすることができるという利点がある。
接地電極20の形状は、平板状の他に、円盤状、棒状又は線状等、種々の形状とすることが可能である。また、電圧電極19と同様に、接地電極20の側面を絶縁体で被覆してもよい。また、接地電極20の大きさも、特に制限されない。また、接地電極20にチタン等を用いる場合は、メッシュ形状のように表面積が大きくなるものを用いるのが望ましい。
電圧電極19と接地電極20との間隙は、1〜50mmであれば良く、望ましくは5〜20mmであれば良い。
ドレン水8への銀イオンの溶解量は、上記の式5に示した理論式(ファラデーの法則)から算出できる。例えば、0.5Lのドレン水8に1mg/Lの銀イオンを溶解させたい場合、電圧電極19に流れる電流値を1mAとすると、電圧電極19に約800秒程度電流が流れるように、電圧電極19を陽極とし接地電極20を陰極として直流電圧を印加すればよいことが分かる。
本実施の形態に係る空気調和機の動作について、図21を用いて説明する。図21は、本実施の形態に係る空気調和機の動作(状況)の例を示す説明図である。図21の左列は空気調和機の運転状況を示しており、中列はドレン水8の水位状況を示しており、右列はドレンパン殺菌機構(銀イオン発生部(電極対11及び電源12)及び銀イオン殺菌効果促進部(電極対9及び電源10))の状況を示している。
冷房運転が開始されると、熱交換器6の表面で空気中の水分の凝縮が起こり、ドレン水8がドレンパン7に流れ出す。ドレン水8は、ドレンポンプ4の吸込口4aの高さに達するまで、ドレンパン7に溜まったままの状態となっている。ドレンポンプ4の吸込口4aの高さ(下限水位17)まで水位が上昇すると、ドレンポンプ4によるドレン水8の排出が始まり、ドレン水8が排出され続ける(図21の「冷房運転・ドレンポンプ運転開始」)。このときのドレン水8の水位は、下限水位17に維持される。本例では、ドレン水の水位が下限水位17にあるとき、電極対9及び電極対11のいずれにも電圧が印加されない。したがって、ドレン水8には、銅イオン及び銀イオンがいずれも溶出しない。
冷房運転が停止し、ドレンポンプ4が停止すると(図21の「冷房運転・ドレンポンプ運転停止」)、ドレンポンプ4の内部に溜まっていた戻り水がドレンパン7に落下し、戻り水の水量分だけドレンパン7上のドレン水8の水位が上昇する。そのときの水位は上限水位18となっている。その際の水位を水位センサー5で検出し、水位に応じて必要量の銅イオンを電極対11の電圧電極13から発生させる(電気作用による溶解)。その一方で、電極対11は、戻り水により水位が上昇したときにドレン水8に浸漬する。銅イオンが溶出したドレン水8には、その後、速やかに電圧電極19から銀イオンの溶出が起こる(電気作用による溶解)。その結果、銅イオン存在下での銀イオンの溶出、及び銀イオンと銅イオンの共存での殺菌により、ドレン水8の電気伝導度に関わらず、ドレン水8の微生物に対する殺菌効果が得られる。
このような構成によれば、ドレン水8に銅イオンを溶解した後に、殺菌対象とする戻り水に対してのみ、銀イオンが速やかに溶解するため、銅イオン及び銀イオン両者の発生量を極力抑えたうえで、ドレン水8の殺菌効果を高くすることができる、という従来にない顕著な効果が得られる。
図22(a)〜(d)は、本実施の形態における電極対9、11の構成の例を模式的に示す図である。図20に示した空気調和機では、図22(a)に示すように、銅イオンを発生させる電極対9と、銀イオンを発生させる電極対11とが互いに独立して設けられている。しかしながら、図22(b)〜(d)に示すように、少なくとも一部の電極を共通化することもできる。
図22(b)に示す例では、銅製の電圧電極13と、銀製の電圧電極19と、共通の接地電極14とを備えた電極群11aが設けられている。この例では、電源12aも共通化されている。すなわち、電源12aは、電圧電極13と接地電極14との間に電圧を印加することもできるし、電圧電極19と接地電極14との間に電圧を印加することもできるようになっている。この場合、電源12aにより、まず銅製の電圧電極13を陽極とし接地電極14を陰極として電圧を印加し、必要量の銅イオンをドレン水8に溶解させた後、銀製の電圧電極19を陽極とし接地電極14を陰極として電圧を印加し、銀イオンをドレン水8に溶解させる。これにより、図22(a)に示す電極構成と同様の効果を得ることができる。
図22(c)に示す例では、図22(b)の構成からさらに接地電極14が省略されており、銅製の電圧電極13と銀製の電圧電極19とを備えた電極対11bが設けられている。この場合、電源12bにより、まず銅製の電圧電極13を陽極とし銀製の電圧電極19を陰極として電圧を印加し、必要量の銅イオンをドレン水8に溶解させる。その後、銀製の電圧電極19を陽極とし銅製の電圧電極13を陰極として電圧を印加し、銀イオンをドレン水8に溶解させる。これにより、図22(a)に示す電極構成と同様の効果を得ることができる。
図22(d)に示す例では、図22(b)の構成からさらに電圧電極13が省略されており、銀製の電圧電極19aと銅製の接地電極14とを備えた電極対11cが設けられている。この場合、電源12cにより、まず銅製の接地電極14を陽極とし銀製の電圧電極19aを陰極として電圧を印加し、必要量の銅イオンをドレン水8に溶解させる。その後、銀製の電圧電極19aを陽極とし銅製の接地電極14を陰極として電圧を印加し、銀イオンをドレン水に溶解させる。これにより、図22(a)に示す電極構成と同様の効果を得ることができる。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係る空気調和機について説明する。本実施の形態では、実施の形態2との差異点を中心に説明するものとし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図23は、本実施の形態に係る空気調和機のドレンパン7近傍の構成を示す概略の断面図である。本実施の形態に係る空気調和機の構成は、一部を除いて、図18に示した実施の形態2の空気調和機と同様である。本実施の形態は、ドレン水8の電気伝導度を検出する電気伝導度検出部16を備えている点で実施の形態2と異なる。電気伝導度検出部16からの検出信号は、電源12の制御部に出力される。なお、図23では、図22(b)に示した構成を有する電極群11a(電圧電極13、19及び接地電極14)を簡略化して示している。
電気伝導度検出部16に関して説明する。ドレン水8の水質は10〜数百μS/cmの範囲であるため、電気伝導度検出部16は、比較的低い電気伝導度の検出に適した交流2電極の構成とする。すなわち2枚の電極を対向させ、交流を印加したときの抵抗を測定する原理となっている。電極部の材質としては、電極上の汚れの付着を避けるため、ステンレススチール、白金又はカーボングラファイトなどが望ましい。
本実施の形態に係る空気調和機の動作について説明する。
冷房運転が開始されると、熱交換器6の表面で空気中の水分の凝縮が起こり、ドレン水8がドレンパン7に流れ出す。ドレン水8は、ドレンポンプ4の吸込口4aの高さに達するまで、ドレンパン7に溜まったままの状態となっている。ドレンポンプ4の吸込口4aの高さ(下限水位17)まで水位が上昇すると、ドレンポンプ4によるドレン水8の排出が始まり、一定量のドレン水8が排出され続ける。このときのドレン水8の水位は、下限水位17に維持される。ドレン水8の水位が下限水位17にあるとき、銀イオン殺菌効果促進部2(電極群11aの電圧電極13及び接地電極14)はドレン水8に浸漬する。冷房運転が停止し、ドレンポンプ4が停止すると、戻り水量分だけドレンパン7上のドレン水8の水位が上昇する。そのときの水位は上限水位18となっている。その際の水位を水位センサー5で検出し、銀イオン殺菌効果促進部2(電極群11aの電圧電極13)から必要量の銅イオンを発生させる。
その一方で、銀イオン発生部1(電極群11aの電圧電極19)は、戻り水により水位が上昇したときにドレン水8に浸漬する。銅イオンが溶出したドレン水8には、速やかに銀イオン発生部1(電圧電極19)からの銀イオンの溶出が起こる。その際に電気伝導度検出部16により、ドレン水8の電気伝導度を検出する。電極群11aの電圧電極19は、電源12による電圧印加により、電気伝導度に応じた適当な銀イオン濃度(図5参照)となるように銀イオンを発生させる。その結果、銅イオン存在下での銀イオンの溶出、及び銀イオンと銅イオンの共存での殺菌により、ドレン水8の電気伝導度に関わらず、ドレン水8の微生物に対する高い殺菌効果が得られる。
このような構成によれば、銀イオン発生部1からの銀イオン溶出量が少なく、殺菌効果が得られにくい電気伝導度が高い場合に限り、電極群11aから銀イオンを溶出させることができる。したがって、銀イオンの発生量を極力抑えたうえでドレン水8の殺菌効果を高く維持でき、各電極の長寿命化を図ることができる。
また、電気伝導度検出部16により検出した電気伝導度に応じて電源12及び電極群11a(電圧電極13及び接地電極14)を制御することで、ドレン水8の銅イオンを適当な濃度にしてもよい。
その他の実施の形態.
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、天井カセット形の4方向吹出式空気調和機を例に挙げたが、本発明は、天井カセット形の1方向又は2方向吹出式の空気調和機にも適用できるし、天井カセット形以外の天井埋込形、天吊形、壁掛形、床置形等の他の空気調和機にも適用できる。
また、上記の各実施の形態や変形例は、互いに組み合わせて実施することが可能である。
1 銀イオン発生部、2 銀イオン殺菌効果促進部、2a 銅板、3 ドレンパン殺菌機構、4 ドレンポンプ、4a 吸込口、5 水位センサー、6 熱交換器、7 ドレンパン、7a 底面、8 ドレン水、9、11、11b、11c 電極対、10、12、12a、12b、12c 電源、11a 電極群、13、19、19a 電圧電極、14、20 接地電極、15 ドレン水流路、16 電気伝導度検出部、17 下限水位、18 上限水位、21 本体ケーシング、22 電動送風機、24 風路、26 化粧パネル、27 空気吸込口、28 吸込グリル、29 吹出口、29a 風向板。

Claims (7)

  1. 熱交換器で発生するドレン水を受けるドレンパンを備えた空気調和機であって、
    前記ドレン水に銀イオンを溶出させる銀イオン発生部と、
    銀イオン以外の少なくとも1種類の金属イオンを前記ドレン水に溶出させる銀イオン殺菌効果促進部と、
    前記ドレン水を排出するドレンポンプと、を有し、
    前記銀イオン発生部は、前記ドレンポンプの吸込口の高さよりも上側に設置されており、
    前記銀イオン殺菌効果促進部の少なくとも一部は、前記高さと同じ又はそれよりも下側に設置されており、
    前記銀イオン発生部及び前記銀イオン殺菌効果促進部は、互いに接触せずに離間して設置されていることを特徴とする空気調和機。
  2. 前記金属イオンは、銅、亜鉛又はニッケルのイオンであることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  3. 前記ドレン水における前記金属イオンの濃度は、前記ドレン水における前記銀イオンの濃度を上回らない濃度であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
  4. 前記銀イオン発生部は、銀を含む無機系抗菌剤又は銀を含む金属部材を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の空気調和機。
  5. 前記銀イオン殺菌効果促進部は、銀以外の少なくとも1種類の金属を含む電圧電極と、接地電極と、これらの電極間に前記ドレン水の水位に応じて電圧を印加する電源と、を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の空気調和機。
  6. 前記銀イオン発生部は、銀を含む電圧電極と、接地電極と、これらの電極間に前記ドレン水の水位に応じて電圧を印加する電源と、を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の空気調和機。
  7. 前記銀イオン発生部の電源は、前記ドレン水の電気伝導度に応じて電極間に電圧を印加するものであることを特徴とする請求項に記載の空気調和機。
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