JP6137491B2 - タイヤ用粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤを販売する際に販売用ラベルとしてタイヤに貼着されるタイヤ用粘着シートに関する。
タイヤを店頭にて販売する際には、タイヤの商品説明や価格等を表示するための販売用のラベルをタイヤに貼着する。タイヤに貼着する販売用ラベルとしては、表面基材および粘着剤層を備える粘着シートが使用されるが、タイヤ特有の事情があるため、汎用の粘着シートの使用は困難である。
すなわち、タイヤは、溝を有するため、粘着剤層の全面を接触させることができない。とりわけ、スタッドレスタイヤは、より複雑に溝が形成されているため、粘着剤層の接触面積がより小さい。また、タイヤ表面は、タイヤ成型の際にゴム成分が金型の空気抜き孔に入り込むことにより形成されたスピューと称されるヒゲ状突起物を有している。このスピューによっても粘着シートを貼着する面が凹凸になる。さらに、タイヤの表面には、タイヤ成型の際に金型に塗布した離型剤が転写されて付着しているため、粘着剤層の粘着性が低く、しかもタイヤには、粘着剤に対する粘着性が低い添加剤が含まれることがある。
したがって、タイヤ表面は粘着シートを充分な粘着力で貼着することが難しい被着面である。そのため、タイヤに貼着する販売用ラベルとしては汎用の粘着シートは使用されておらず、粘着力を高めたタイヤ用の粘着シートが使用されている。
タイヤ用の粘着シートとしては、例えば、特許文献1に、粘着剤層が、トリブロック共重合体と粘着付与剤と鉱油とを含有するホットメルト系粘着剤からなるものが開示されている。特許文献1に記載の粘着剤では、粘着付与剤として、ロジン系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤、クマロン−インデン系粘着付与剤、脂肪族系粘着付与剤、芳香族系粘着付与剤、脂肪族芳香族系粘着付与剤等が使用されている。
再公表WO2005/037945号公報
通常、販売用ラベルを作製する際には粘着シートを打ち抜き加工するが、粘着力を高めた特許文献1に記載の粘着シートでは、所定形状に打ち抜き加工した際に打ち抜き刃に粘着剤が付着しやすかった。そのため、繰り返し打ち抜き加工した際に打ち抜き加工性が低下しやすいため、高い頻度で打ち抜き刃を清掃あるいは交換しなければならず、打ち抜き加工の生産性低下を招いていた。そこで、打ち抜き刃への粘着剤の付着を抑止するために、粘着剤層の粘着力を小さくすると、タイヤ表面に対する粘着性が不足するという問題を生じた。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、タイヤに対する充分な粘着性を有すると共に打ち抜き加工時に打ち抜き刃への付着量が少なく、しかも臭気が少ないタイヤ用粘着シートを提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 表面基材と、該表面基材の片面に設けられた粘着剤層とを備え、前記粘着剤層がトリブロック共重合体と粘着付与剤と鉱油とを含有するホットメルト型粘着剤から形成されているタイヤ用粘着シートであって、
前記粘着剤層は、トリブロック共重合体の含有量が25〜45質量%、粘着付与剤の含有量が15〜65質量%、鉱油の含有量が5〜40質量%であり、
前記トリブロック共重合体は、イソブチレンの重合体からなる軟質重合体ブロックの両末端にスチレンの重合体からなる硬質重合体ブロックが結合されたブロック共重合体であり、
前記粘着付与剤は、脂肪族化合物単位および芳香族化合物単位を有する脂肪族芳香族系粘着付与剤と、クマロン−インデン系粘着付与剤とからなり、該粘着付与剤における脂肪族芳香族系粘着付与剤の含有比率が55〜95質量%であることを特徴とするタイヤ用粘着シート。
[2] 前記トリブロック共重合体が、引張強度18MPa以下である[1]に記載のタイヤ用粘着シート。
[3] 前記鉱油が、ナフテン系プロセスオイルである[1]または[2]に記載のタイヤ用粘着シート。
本発明のタイヤ用粘着シートは、タイヤに対する充分な粘着性を有すると共に打ち抜き加工時に打ち抜き刃への付着量が少ない。
本発明のタイヤ用粘着シート(以下、「粘着シート」と略す。)の一実施形態について説明する。
(表面基材)
表面基材としては、例えば、紙類、フィルム類等を適宜使用できる。紙類としては、キャストコート紙、アート紙、コート紙、上質紙等の紙類、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル等の各種高分子フィルム、金属蒸着フィルム、金属蒸着紙、合成紙、布、不織布等から適宜選択される。さらに、これらの積層体を使用することもできる。これらの中でも、タイヤから移行してくるアミン系老化防止剤、芳香族系オイル等による粘着シート表面の黒色化を防止できる点から、金属蒸着を施したフィルム類が好ましい。
表面基材の露出面には、タイヤの商品説明(例えば、メーカー名、タイヤ名、タイヤ幅、扁平率、タイヤ溝構造、リム径、使用上の注意等)や価格が印刷される。そのため、表面基材の露出面は印刷をし易くするための処理が施されていることが好ましい。印刷をし易くするための処理としては、例えば、記録層を設ける処理が挙げられる。また、表面基材が高分子フィルムである場合には、コロナ放電処理を適用することができる。
表面基材の厚みは10〜150μmであることが好ましい。さらに、表面基材が金属蒸着を施したシートの場合には10〜100μmであることがより好ましく、金属蒸着を施していないシートの場合には60〜100μmであることがより好ましい。
表面基材の厚みが150μm以下であれば、充分に高い柔軟性を確保でき、曲面追随性に優れるため、タイヤ用粘着シートがタイヤから剥がれにくくなり、10μm以上であれば、打ち抜き加工時の作業性が向上する。金属蒸着を施していないシートの場合、60μm以上であれば、タイヤ中のアミン系老化防止剤、芳香族系オイル等の表面移行による粘着シートの黒色化を防止できる。
(粘着剤層)
粘着剤層は、トリブロック共重合体と粘着付与剤と鉱油とを含有するホットメルト型粘着剤から形成されている。
[トリブロック共重合体]
トリブロック共重合体は、軟質重合体ブロックの両末端に硬質重合体ブロックが結合されたブロック共重合体である。このようなトリブロック共重合体を含有することによって粘着剤層が粘着性を発揮する。
本発明において、トリブロック共重合体を構成する軟質重合体ブロックとしては、イソブチレンの重合体である必要がある。硬質重合体ブロックとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン、tert−ブチルスチレン、p−エチルスチレン、ジビニルベンゼンなどの重合体が挙げられる。
トリブロック共重合体の具体例としては、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、α−メチルスチレン−イソブチレン−α−メチルスチレンブロック共重合体、p−メチルスチレン−イソブチレン−p−メチルスチレンブロック共重合体、p−クロロスチレン−イソブチレン−p−クロロスチレンブロック共重合体、クロロメチルスチレン−イソブチレン−クロロメチルスチレンブロック共重合体、tert−ブチルスチレン−イソブチレン−tert−ブチルスチレンブロック共重合体などが挙げられる。これらの中でも、タイヤに対する粘着性がより高いことから、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。
トリブロック共重合体における硬質重合体ブロックの含有量は14〜30質量%であることが好ましく、15〜20質量%であることがより好ましい。トリブロック共重合体における硬質重合体ブロックの含有量が14質量%以上であれば、打ち抜き刃への粘着剤の付着量をより少なくでき、30質量%以下であれば、粘着剤層のタイヤに対する粘着性がより高くなる
粘着剤層におけるトリブロック共重合体の含有量は25〜45質量%であることが好ましく、30〜40質量%であることがより好ましい。トリブロック共重合体の含有量が25質量%以上であれば、粘着剤層のタイヤに対する粘着性がより高くなり、45質量%以下であれば、打ち抜き刃への粘着剤の付着量をより少なくできる。
トリブロック共重合体の引張強度は18MPa以下であることが好ましく、15MPa以下であることがより好ましい。ここで、引張強度は、JIS K 6251に従って測定された値である。トリブロック共重合体の引張強度が18MPa以下であれば、粘着剤層のタイヤに対する粘着性がより高くなる。
また、トリブロック共重合体の引張強度は、打ち抜き加工時に打ち抜き刃への粘着剤付着量を少なくできることから、8MPa以上であることが好ましく、10MPa以上であることがより好ましい。
[粘着付与剤]
本発明で使用される粘着付与剤は、脂肪族芳香族系粘着付与剤とクマロン−インデン系粘着付与剤とからなる。
脂肪族芳香族系粘着付与剤は、脂肪族化合物単位および芳香族化合物単位を有し、数平均分子量が2000以下のものである。脂肪族芳香族系粘着付与剤の数平均分子量が2000を超えると、粘着性が低下する。このような脂肪族芳香族系粘着付与剤は、C5留分C9留分を精製した後、カチオン重合により重合して得られる。
脂肪族芳香族系粘着付与剤の軟化点は50〜150℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。この軟化点は、JIS K 2207(環球式)に従って測定した値である。脂肪族芳香族系粘着付与剤の軟化点が50℃以上であれば、打ち抜き刃への粘着剤の付着量をより少なくでき、150℃以下であれば、粘着剤層のタイヤに対する粘着性をより高くできる。
粘着付与剤における脂肪族芳香族系粘着付与剤の割合は55〜95質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましい。粘着付与剤における脂肪族芳香族系粘着付与剤の割合が55質量%以上であれば、粘着剤層のタイヤに対する粘着性をより高くでき、95質量%以下であれば、打ち抜き刃への粘着剤の付着量をより少なくできる。
クマロン−インデン系粘着付与剤は、コークスやコールガス製造時の副生物を重合して得るコールタール系の樹脂で、成分としてスチレン、ジシクロペンタジエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クマロン、インデンを含有するものである。
クマロン−インデン系粘着付与剤は、数平均分子量が500〜5000程度であり、数平均分子量が500未満であると打ち抜き刃への粘着剤の付着量が多くなるおそれがある。逆に、数平均分子量が5000を超えると粘着性が低下するおそれがある。
クマロン−インデン系粘着付与剤の軟化点は80〜170℃であることが好ましく、90〜150℃であることがより好ましい。この軟化点は、JIS K 2207(環球式)に従って測定した値である。クマロン−インデン系粘着付与剤の軟化点が80℃以上であれば、打ち抜き刃への粘着剤の付着量をより少なくでき、170℃以下であれば、粘着剤層の粘着性をより高くできる。
粘着剤層における粘着付与剤の含有量は15〜65質量%であることが好ましく、40〜55質量%であることがより好ましい。粘着付与剤の含有量が15質量%以上であれば、粘着剤層のタイヤに対する粘着性をより高くでき、65質量%以下であれば、打ち抜き刃への粘着剤の付着量を充分に少なくできる。
[鉱油]
鉱油は、石油由来または石炭由来の天然の油である。
鉱油としては、例えば、ナフテン系プロセスオイル、パラフィン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどが挙げられる。これらの中でも、打ち抜き加工の際の打ち抜き刃への粘着剤の付着量をより少なくできることから、ナフテン系プロセスオイルが好ましい。
粘着剤層における鉱油の含有量は5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。鉱油の含有量が5質量%以上であれば、タイヤに対する追従性を向上させることができ、40質量%以下であれば、打ち抜き加工時に打ち抜き刃への粘着剤付着量を少なくできる。
[添加剤]
粘着剤層には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、着色剤などが含まれていてもよい。
(剥離シート)
剥離シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムを用いることができる。プラスチックフィルムは、シリコーン樹脂による剥離層が設けられていることが好ましい。
また、剥離シートとしては、キャストコート紙、アート紙、コート紙、上質紙、クラフト紙、グラシン紙等の紙の片面に、必要に応じて目止め層を形成した上で、シリコーン系等の剥離剤を塗布した剥離シートを使用することもできる。
(粘着シートの製造方法)
粘着シートを製造する方法としては、剥離シートに上記ホットメルト系粘着剤を溶融状態で塗工して粘着剤層を形成し、その粘着剤層に表面基材を貼り合せる方法、表面基材の片面に上記ホットメルト系粘着剤を溶融状態で塗工して粘着剤層を形成し、その粘着剤層に剥離シートを貼り合せる方法が挙げられる。
溶融状態のホットメルト型粘着剤の塗工方法としては、公知のホットメルト型粘着剤の塗工方法が使用でき、例えば、Tダイ、ファウンテンダイ、ギヤインダイ、スロットダイ、ロールコーター等から任意に選択することができる。
また、剥離シートに粘着剤を塗工して粘着剤層を形成した後、この粘着剤層に表面基材を積層する転写塗工と、表面基材に粘着剤を塗工して粘着剤層を形成した後、この粘着剤層に剥離シートを積層する直接塗工のどちらも適用でき、任意に選択することができる。
溶融状態のホットメルト系粘着剤の塗工量としては、20〜60g/mであることが好ましく、25〜45g/mであることがより好ましい。塗工量が20g/m以上であれば、粘着剤層のタイヤに対する粘着性をより高くでき、60g/m以下であれば、打ち抜き刃への粘着剤の付着量を充分に少なくできる。
(作用効果)
本発明者らが調べた結果、粘着剤層に含まれるトリブロック共重合体をスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体とし、粘着付与剤が脂肪族芳香族系粘着付与剤およびクマロン−インデン系粘着付与剤からなる粘着シートでは、タイヤに対する充分な粘着性を有すると共に打ち抜き加工時に打ち抜き刃への付着量が少ないことが判明した。
さらに、粘着剤層が、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体を含むホットメルト系粘着剤であるため、耐候性に優れている。さらに、本発明のホットメルト系粘着剤は溶剤への溶解が不要であり、環境への負荷を低減できる。
(他の実施形態)
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。
例えば、本発明の粘着シートは表面基材および粘着剤層から構成されていてもよい。
(実施例1)
クレイトンD1170(クレイトン株式会社製、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、引張強度16MPa)35質量%と、クイントンN180(日本ゼオン株式会社製、脂肪族芳香族系粘着付与剤、軟化点80℃)35質量%と、クマロンV−120(日塗化学株式会社製、クマロン−インデン系粘着付与剤、軟化点120℃)10質量%と、サンピュアNX90(日本サン石油株式会社製、ナフテン系プロセスオイル)20質量%とを混合して、ホットメルト系粘着剤を調製した。
次いで、上記ホットメルト系粘着剤を140℃に加熱して溶融させ、溶融状態のホットメルト系粘着剤をロールコーターによって、王子タック(株)製G7B(グラシン系剥離紙)に35g/m塗工して、粘着剤層を形成した。
次いで、上記粘着剤層に、表面基材としてアジヤアルミ(株)製PET#12白(金属蒸着を施し、且つ金属蒸着面の反対面に印刷記録層を設けたポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ12μm)の蒸着面側を貼り合せて、粘着シートを得た。
(実施例2)
実施例1において、クイントンN180の代わりにエスコレッツ2101(トーネックス株式会社製、脂肪族芳香族系粘着付与剤、軟化点92℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
(比較例1)
実施例1において、クイントンN180の代わりにアルコンM135(荒川化学工業株式会社製、芳香族系粘着付与剤、軟化点135℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
(実施例3)
実施例1において、クイントンN180の代わりにペトロタック70(東ソー株式会社製、脂肪族芳香族系粘着付与剤、軟化点70℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
(比較例2)
実施例1において、クレイトンD1170の代わりにクインタック3433N(日本ゼオン株式会社製、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン含有量16質量%、引張強度11MPa)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
(実施例4)
実施例1において、サンピュアNX90の代わりにサンパー110(日本サン石油株式会社製、パラフィン系プロセスオイル)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
(比較例3)
実施例1において、クマロンV−120の配合を省略し、クイントンN180の配合量を45質量%にしたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
(比較例4)
実施例1において、クイントンN180の配合を省略し、クマロンV−120の配合量を45質量%にしたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
(比較例5)
実施例1において、クイントンN180の配合量を25質量%にし、エスコレッツ1310(トーネックス株式会社製、脂肪族系粘着付与剤、軟化点93℃)を10質量%配合したこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
(比較例6)
実施例1において、クマロンV−120の代わりに、エステルガムAAL(荒川化学工業株式会社製、ロジン系粘着付与剤、軟化点82℃以上)を配合したこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
(比較例7)
実施例1において、クイントンN180の代わりに、エステルガムAAL(荒川化学工業株式会社製、ロジン系粘着付与剤、軟化点82℃以上)を配合したこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
上記実施例1〜4および比較例1〜7の各粘着シートについて、スタッドレスタイヤに対する粘着力、打ち抜き加工時の打ち抜き刃への粘着剤付着量を以下の方法により評価した。評価結果を表1および表2に示す。
[スタッドレスタイヤに対する粘着力]
25mm幅に裁断した粘着シートにおいて剥離シートを剥がして粘着剤層を露出させ、露出した粘着剤層により、温度23℃、相対湿度50質量%の環境下、スタッドレスタイヤ(横浜ゴム株式会社製アイスガードiG20)のトレッド面に粘着シートを貼着した。貼着した後、粘着シートを2kgのロールまたは100gのロールで1往復押し付けて、圧着させた。圧着から30分後、JIS Z 0237に従い、インストロン型引張試験機を用い、引張速度0.3m/分で180°剥離強度を測定した。この剥離強度を粘着力とした。
[打ち抜き加工時の打ち抜き刃への粘着剤付着量]
上下動する上刃を備えるギロチン裁断機(三和技研株式会社製カッターDH型)に400mm幅の粘着シートを供給し、上刃によって300回裁断した。裁断後、上刃に付着した粘着剤をトルエンにより溶解し、アルミニウム皿に回収した。回収した粘着剤溶液を乾燥機中110℃で乾燥させて、粘着剤の質量を測定した。
Figure 0006137491
Figure 0006137491
粘着剤層がスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体と粘着付与剤と鉱油とを含有し、粘着付与剤が脂肪族芳香族系粘着付与剤およびクマロン−インデン系粘着剤からなる実施例1〜4の粘着シートでは、スタッドレスタイヤに対する粘着力が高く、打ち抜き加工時の打ち抜き刃への粘着剤付着量が少なかった。また、耐候性に優れ、タイヤ販売店で1ケ月間店頭展示されても粘着力の低下はなかった。
また、実施例1と実施例4との対比により、鉱油としてナフテン系プロセスオイルを用いた実施例1の粘着シートは、打ち抜き加工時の打ち抜き刃への粘着剤付着量がより少ないことが判明した。
芳香族系粘着付与剤であるアルコンM135を配合した比較例1の粘着シートでは、打ち抜き加工時の打ち抜き刃への粘着剤付着量が多かった。
スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体の代わりにスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を用いた比較例2の粘着シートでは、粘着力が小さかった。
クマロン−インデン系粘着付与剤であるクマロンV−120の配合を省略し、脂肪族芳香族系粘着付与剤であるクイントンN180を45質量%配合した比較例3の粘着シートでは、打ち抜き加工時の打ち抜き刃への粘着剤付着量が多かった。
脂肪族芳香族系粘着付与剤であるクイントンN180の配合を省略し、クマロン−インデン系粘着付与剤であるクマロンV−120を45質量%配合した比較例4の粘着シートでは、打ち抜き加工時の打ち抜き刃への粘着剤付着量が多かった。
脂肪族芳香族系粘着付与剤であるクイントンN180の配合量を25質量%にし、脂肪族系粘着付与剤であるエスコレッツ1310の配合量を10質量%とした比較例5の粘着シートでは、粘着力が小さかった。
クマロン−インデン系粘着付与剤であるクマロンV−120の代わりに、ロジン系粘着付与剤であるエステルガムAALを配合した比較例6の粘着シートでは、打ち抜き加工時の打ち抜き刃への粘着剤付着量が多かった。
脂肪族芳香族系粘着付与剤であるクイントンN180の代わりに、ロジン系粘着付与剤であるエステルガムAALを配合した比較例7の粘着シートでは、打ち抜き加工時の打ち抜き刃への粘着剤付着量が多かった。

Claims (3)

  1. 表面基材と、該表面基材の片面に設けられた粘着剤層とを備え、前記粘着剤層がトリブロック共重合体と粘着付与剤と鉱油とを含有するホットメルト型粘着剤から形成されているタイヤ用粘着シートであって、
    前記粘着剤層は、トリブロック共重合体の含有量が25〜45質量%、粘着付与剤の含有量が15〜65質量%、鉱油の含有量が5〜40質量%であり、
    前記トリブロック共重合体は、イソブチレンの重合体からなる軟質重合体ブロックの両末端にスチレンの重合体からなる硬質重合体ブロックが結合されたブロック共重合体であり、
    前記粘着付与剤は、脂肪族化合物単位および芳香族化合物単位を有する脂肪族芳香族系粘着付与剤と、クマロン−インデン系粘着付与剤とからなり、該粘着付与剤における脂肪族芳香族系粘着付与剤の含有比率が55〜95質量%であることを特徴とするタイヤ用粘着シート。
  2. 前記トリブロック共重合体が、引張強度18MPa以下である請求項1に記載のタイヤ用粘着シート。
  3. 前記鉱油が、ナフテン系プロセスオイルである請求項1または請求項2に記載のタイヤ用粘着シート。
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