JP6386875B2 - タイヤ用粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ用粘着シートに関し、特にラベリング装置を用いてラベリングを行うためのタイヤ用粘着シートに関する。
従来、タイヤ表示ラベルと呼ばれるタイヤ用粘着シートが知られている。タイヤ用粘着シートは、顧客に対して、タイヤ情報を伝達するための目的で、タイヤのメーカー名やブランド名、サイズ(幅、偏平率、リム率)、価格、使用上の注意事項等が記載され、タイヤのトレッド面を含む周囲に貼り付けられるものである。
タイヤ用粘着シートは、一般的にフィルム支持体上に、ゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤による粘着剤層を積層した構成となっている。
例えば、特許文献1には、支持体と、粘着剤層とを含むタイヤ用粘着シートであって、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体を含む粘着剤層からなるタイヤ用粘着シートが開示されている。
特許第4915920号公報
このようなタイヤ用粘着シートを、タイヤに貼り付ける場合、従来は手貼りによる貼付が行われていたが、近年はラベリング装置を用いて自動的にタイヤに貼り付ける事が行われている。
しかしながら、特許文献1には、ラベリング装置を用いて粘着シートを貼付するために必要な長尺状のラベル連続体については記載されておらず、当該ラベル連続体として用いるのに適したタイヤ用粘着シートについての検討はなされていない。
実際に、特許文献1に記載の粘着シートを用いてラベル連続体を作製し、ラベリング装置を用いてラベルのタイヤへの貼付を試みたところ、ラベリング装置(ラベラー)から粘着シートが繰り出されず、ラベルがタイヤにうまく貼付できない場合があった。
また、タイヤ用粘着シートは、タイヤ表示ラベルとして、タイヤ表面という凹凸の多い非平面に対して貼付するものであることから、タイヤ表面への粘着剤の埋め込み性を向上させる目的から、軟らかい粘着剤組成物を使用し、かつ粘着剤の塗布厚を厚くしている。
そのため、タイヤ用粘着シートへの表面印刷、抜き加工、カス上げ、ロール状に巻き取るといった一連のラベル加工を行ってラベル連続体を作製する過程で、ラベル表面に圧力や熱がかかると、粘着剤組成物がラベルの縁からはみ出してしまい、はみ出した粘着剤組成物がタイヤ用粘着シートの剥離シートの表面に付着してしまうという問題が発生する。
その結果、ラベリング装置を用いた貼付時に、ラベル連続体の繰り出し不良が発生したり、ラベリング装置に粘着剤組成物が付着してしまいラベリング作業時の不良発生原因となる。また、ラベリング装置では、10m/min以上の高速領域で剥離シートを剥離することから、高速剥離時の剥離力が大きくなり過ぎると、良好なラベリングを行うことができなくなる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、ラベリング装置を用いてタイヤに連続的に効率よくラベルを貼付することができるタイヤ用粘着シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、タイヤ用粘着シートが、剥離シート用基材(A)の一方の面上に剥離剤層(B1)を、他方の面上に剥離剤層(B2)を有する両面剥離シート(I)と、該両面剥離シート(I)の剥離剤層(B1)面上に、粘着剤層(C)と支持体(D)とをこの順で有するタイヤ用粘着シートであって、両面剥離シート(I)が特定範囲のMD剛軟度値を有し、剥離剤層(B2)が特定範囲の動摩擦係数を有し、かつタイヤ用粘着シートの両面剥離シート(I)を粘着剤層(C)から剥離する際の初期剥離力と高速剥離力とが特定の数値範囲を満たすことで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記〔1〕〜〔5〕を提供するものである。
〔1〕 剥離シート用基材(A)の一方の面上に剥離剤層(B1)を有し、他方の面上に剥離剤層(B2)を有する両面剥離シート(I)と、
両面剥離シート(I)の剥離剤層(B1)面上に、粘着剤層(C)と支持体(D)とをこの順で有するタイヤ用粘着シートであって、
下記(a)〜(d)を満たす、タイヤ用粘着シート。
(a)JIS L 1085に準拠するガーレ法で測定される両面剥離シート(I)のMD剛軟度が0.80mN以下
(b)JIS K 7125に準拠する方法で測定される剥離剤層(B2)の動摩擦係数が0.62以上
(c)両面剥離シート(I)を粘着剤層(C)から剥離する際の初期剥離力が、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下において、剥離速度0.3m/min、剥離角度180°の測定条件で250mN/50mm以下
(d)両面剥離シート(I)を粘着剤層(C)から剥離する際の高速剥離力が、23℃、50%RHの環境下において、剥離速度12m/min、剥離角度180°の測定条件で1000mN/50mm以下
〔2〕 剥離剤層(B1)及び/又は剥離剤層(B2)が、無溶剤型シリコーン樹脂(S)を含み、25℃における粘度が120〜600mPa・sである剥離剤組成物の硬化皮膜からなる、上記〔1〕に記載のタイヤ用粘着シート。
〔3〕 剥離剤層(B1)の11Hzにおける動的粘弾性スペクトルの貯蔵弾性率が、23.5℃において、0.30〜2.0MPaである、上記〔1〕又は〔2〕に記載のタイヤ用粘着シート。
〔4〕 粘着剤層(C)が、ホットメルトタイプ粘着剤組成物からなる、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のタイヤ用粘着シート。
〔5〕 前記ホットメルトタイプ粘着剤組成物が、ブロック共重合体15〜40質量%、粘着付与剤30〜70質量%及び可塑剤10〜40質量%を配合したものである、上記〔4〕に記載のタイヤ用粘着シート。
本発明によれば、ラベリング装置を用いてタイヤに連続的に効率よくラベルを貼付することができるタイヤ用粘着シートを提供することが可能である。
本発明のタイヤ用粘着シートの構成の一例を示す断面図である。 ラベル連続体を作製する際に発生する耳部とラベル部を説明するための抜き加工後のタイヤ用粘着シートの斜視図である。 本発明のタイヤ用粘着シートから作製されたラベルが、タイヤにラベリングされる様子の一例を示す模式図である。 本発明のタイヤ用粘着シートから作製されたラベルが、タイヤにラベリングされる際に発生する不具合の一例を示す模式図である。
[タイヤ用粘着シート]
本発明のタイヤ用粘着シートは、剥離シート用基材(A)の一方の面上に剥離剤層(B1)を有し、他方の面上に剥離剤層(B2)を有する両面剥離シート(I)と、両面剥離シート(I)の剥離剤層(B1)面上に、粘着剤層(C)と支持体(D)とをこの順で有するタイヤ用粘着シートであって、下記(a)〜(d)を満たす、タイヤ用粘着シートである。
(a)JIS L 1085に準拠するガーレ法で測定される両面剥離シート(I)のMD剛軟度が0.80mN以下
(b)JIS K 7125に準拠する方法で測定される剥離剤層(B2)の動摩擦係数が0.62以上
(c)両面剥離シート(I)を粘着剤層(C)から剥離する際の初期剥離力が、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下において、剥離速度0.3m/min、剥離角度180°の測定条件で250mN/50mm以下
(d)両面剥離シート(I)を粘着剤層(C)から剥離する際の高速剥離力が、23℃、50%RHの環境下において、剥離速度12m/min、剥離角度180°の測定条件で1000mN/50mm以下
本発明の実施態様に係るタイヤ用粘着シートの一例を、図1を用いて説明するが、本発明のタイヤ用粘着シートは、本発明の効果が発現する限り、以下の例に限定されるものではない。
図1に示すように、タイヤ用粘着シート10は、剥離シート用基材(A)の一方の面上に剥離剤層(B1)を、他方の面上に剥離剤層(B2)を有する両面剥離シート(I)1を有する。そして、両面剥離シート(I)1の剥離剤層(B1)面上に、粘着剤層(C)と支持体(D)とをこの順で有する。なお、粘着剤層(C)と支持体(D)とからなる層はラベル層2である。
なお、以下、単に「ラベル層」という場合は、本発明のタイヤ用粘着シートのうち、両面剥離シート(I)1を除く部分、すなわち、粘着剤層(C)と支持体(D)とからなる積層体のことをいう。
なお、以下、単に「ラベル」という場合は、本発明のタイヤ用粘着シートを用いて作製されたラベル連続体のうち、例えば、図2に示す、抜き加工後のタイヤ用粘着シート11の両面剥離シート(I)1と耳部3とを除く部分、すなわち、ラベル部4のことをいう。
なお、以下、単に、「タイヤ用粘着シートの初期剥離力」いう場合は、上記(c)で示される初期剥離力のことをいう。
なお、以下、単に、「タイヤ用粘着シートの高速剥離力」という場合は、上記(d)で示される高速剥離力のことをいう。
以下、タイヤ用粘着シートの各部材について説明する。
<両面剥離シート(I)>
本発明のタイヤ用粘着シートが有する両面剥離シート(I)は、剥離シート用基材(A)の一方の面上に剥離剤層(B1)を、他方の面上に剥離剤層(B2)を有する両面剥離シート(I)である。
両面剥離シート(I)が、剥離剤層(B2)を有していない場合、タイヤ用粘着シートへの表面印刷、抜き加工、カス上げ、ロール状に巻き取るといった一連のラベル加工を行ってラベル連続体を作製する過程で、ラベルの縁からはみ出した粘着剤組成物がタイヤ用粘着シートの剥離シートの表面に付着してしまうという問題が発生する。
その結果、ラベリング装置を用いた貼付時に、タイヤ用粘着シートの剥離シートと基材とが、剥離シートの表面に付着した粘着剤組成物により粘着してしまいラベリング作業時の不良発生原因となる。
本発明のタイヤ用粘着シートは、剥離剤層(B2)を有しているため、ラベルの縁からはみ出した粘着剤組成物がタイヤ用粘着シートの剥離シートの表面に付着してしまうことを防止でき、当該問題の発生を効果的に防止することができる。
両面剥離シート(I)の厚さは、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されないが、本発明のタイヤ用粘着シートを用いて作製されたラベルを、ラベリング装置を用いてタイヤに連続的に効率よく貼付する際の作業性を良好とする観点から、好ましくは20〜200μmであり、より好ましくは30〜150μmである。
前記両面剥離シート(I)は、下記(a)を満たす。
(a)JIS L 1085に準拠するガーレ法で測定される両面剥離シート(I)のMD剛軟度が0.80mN以下
両面剥離シート(I)のMD剛軟度が0.80mNを超えると、タイヤ用粘着シートを用いて作製されたラベル連続体をラベリング装置にて繰り出す際、ピールプレート部で両面剥離シート(I)を折り曲げた際に、両面剥離シート(I)の折り曲げ部が鋭角とならず、丸みを帯び易く、両面剥離シート(I)から一部剥離したラベルを剥離開始部(剥離のきっかけ)として、両面剥離シート(I)からラベルを剥離すること(以下、「頭出し」ともいう)がしにくくなる。また、ラベリング装置から繰り出されたラベルが、折り曲げ前の両面剥離シート(I)の搬送方向の延長方向に沿って繰り出されることが好ましいが、折り曲げ後の両面剥離シート(I)に追従しやすくなり、結果として、タイヤ表面にラベルを貼付することができないばかりでなく、ラベリング装置の運転を停止せざるを得ず、歩留まりや作業性の低下が起きるなどの不具合が生じる。
このような観点から、両面剥離シート(I)のMD剛軟度は、好ましくは0.78mN以下であり、より好ましくは0.76mN以下である。
また、その下限は、本発明の効果を損なわない範囲において、特に制限されないが、好ましくは0.10mN以上である。
なお、両面剥離シート(I)のMD剛軟度は、JIS L 1085のガーレ法に準ずる方法で測定される値であり、より具体的には、後述する実施例に記載した方法に基づいて測定、算出される値である。
(剥離シート用基材(A))
剥離シート用基材(A)としては、両面剥離シート(I)のMD剛軟度が上記範囲であれば特に制限されないが、剥離シートの基材として知られている公知の基材から適宜選択して使用することができる。具体的には、上質紙、グラシン紙、コート紙、キャストコート紙、無塵紙等の紙;これらの紙にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ナイロン等の熱可塑性樹脂等によって形成された樹脂フィルム;合成樹脂と充填剤及び添加剤を溶融混合後、押出しして成膜された、内部にボイドを有する1層又は2層以上の合成紙;紙、金属箔及びこれらの複合体;等を好適に用いることができる。
剥離シート用基材(A)の厚さは、両面剥離シート(I)のMD剛軟度が上記範囲であれば特に制限されないが、好ましくは20〜150μmであり、より好ましくは30〜100μmである。
また、両面剥離シート(I)の坪量(単位面積あたりの質量)は、両面剥離シート(I)のMD剛軟度が上記範囲であれば特に制限されないが、好ましくは20〜500g/mであり、より好ましくは30〜300g/mであり、さらに好ましくは35〜200g/mであり、よりさらに好ましくは40〜100g/mである。
(剥離剤層(B1))
剥離剤層(B1)は、剥離シート用基材(A)の一方の面上に設けられる。
剥離剤層(B1)の塗布量(単位面積あたりの質量)は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されないが、好ましくは0.05〜5g/mであり、より好ましくは0.1〜4.0g/mであり、さらに好ましくは0.3〜3.0g/mであり、よりさらに好ましくは0.5〜2.5g/mである。
剥離剤層(B1)としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されないが、一般的な剥離剤層用の原料として知られている公知の剥離剤組成物からなる剥離剤層を適宜選択して使用することができる。それらの中でも、好ましくは、無溶剤型シリコーン樹脂(S)(以下、単に「(S)成分」ともいう)を含み、25℃における粘度が120〜600mPa・sである剥離剤組成物の硬化皮膜である。
(S)成分を含み、25℃における粘度が120〜600mPa・sである剥離剤組成物には、(S)成分を硬化させるため、架橋剤(以下、単に「(L)成分」ともいう)及び白金族金属系触媒(以下、単に「(P)成分」ともいう)を用いるのが好ましい。
(S)成分としては、実質的に有機溶剤を含有しない、いわゆる無溶剤型のシリコーン樹脂であれば特に制限されない。なかでも、付加反応型の無溶剤型シリコーン樹脂が好ましく、アルケニル基を有するポリオルガノシロキサンであるのがより好ましい。
アルケニル基を有するポリオルガノシロキサンは、アルケニル基と加水分解性官能基を有するシラン化合物、又は当該シラン化合物を含有するシラン化合物混合物を(共)重縮合して得られる化合物である。得られるポリオルガノシロキサンの主鎖構造は特に制限されず、直鎖状、ラダー状、籠状のいずれであってもよい。
アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、ブテニル基、ペンチル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。これらの中でも2〜6のアルケニル基が好ましく、ビニル基がより好ましい。
アルケニル基と加水分解性官能基を有するシラン化合物としては、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アルケニル基を有するポリオルガノシロキサンの質量平均分子量は、特に制限されないが、通常2000〜25000、好ましくは5000〜20000である。
(S)成分中のアルケニル基の含有量は、通常、0.1〜2質量%であるのが好ましく、0.2〜1.5質量%であるのがより好ましい。なお、(S)成分としては、市販品をそのまま用いてもよい。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
(S)成分の25℃における粘度は、好ましくは100〜600mPa・sであり、より好ましくは200〜500mPa・sである。このような値とすることで、得られる剥離剤層(B1)の、前記剥離シート用基材(A)への塗工性と、剥離力をより優れたものとすることができる。
(L)成分としては、ジメチルハイドロジェンシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリ(ハイドロジェンシルセスキオキサン)等のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。(L)成分のヒドロシリル基と、(S)成分のアルケニル基との付加反応により硬化被膜が形成される。なお、(L)成分は、(S)成分100質量部に対して0.5〜2質量部添加することが好ましく、0.8〜1.5質量部添加することがより好ましい。
(P)成分としては、微粒子状白金、炭素粉末担体上に吸着された微粒子状白金、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体;パラジウム;ロジウム触媒;等が挙げられる。
(S)成分を含み、25℃における粘度が120〜600mPa・sである剥離剤組成物の硬化前の25℃における粘度は、好ましくは150〜550mPa・sである。当該剥離剤組成物の硬化前の25℃における粘度が120mPa・s以上では、剥離シート用基材(A)が紙である場合、当該剥離剤組成物が剥離シート用基材(A)へ過剰に含浸してしまうことを防止することができる。当該剥離剤組成物の硬化前の25℃における粘度が600mPa・s以下であると高粘度による塗工時の作業性低下を防止できる。また、当該粘度を上記範囲内に調整することによって、当該剥離剤組成物の塗工性を良好なものとすることができる。
当該剥離剤組成物は、実質的に溶剤を含有しておらず、そのままの状態で塗布が可能で、溶媒を乾燥して除去する必要もなく、操作が簡便で経済的であるばかりか、環境に優しいものである。
また、当該剥離剤組成物には、上記(S)、(L)、(P)成分の他、所望により、反応抑制剤、密着向上剤、液状α−オレフィン成分等の粘度調整剤、剥離コントロール剤等の添加剤が加えられていてもよい。
反応抑制剤は、触媒の活性を抑制し、室温における保存安定性を付与する目的で添加される。反応抑制剤としては、アセチレン系化合物、オキシム化合物、有機窒素化合物、有機燐化合物、有機塩素化合物等が挙げられる。
また、剥離剤層(B1)の11Hzにおける動的粘弾性スペクトルの貯蔵弾性率が、23.5℃において、0.30〜2.0MPaであることが好ましい。当該貯蔵弾性率の値が上記範囲内であることで、後述する条件(c)及び(d)(特定条件下において測定される両面剥離シート(I)を粘着剤層(C)から剥離する際の初期剥離力及び高速剥離力の範囲)を満たすことが、より容易となる。
このような観点から、剥離剤層(B1)の11Hzにおける動的粘弾性スペクトルの貯蔵弾性率は、23.5℃において、好ましくは0.45〜1.0MPaである。
なお、剥離剤層(B1)の11Hzにおける動的粘弾性スペクトルの貯蔵弾性率は、具体的には、後述する実施例に記載した方法に基づいて測定される値である。
(剥離剤層(B2))
剥離剤層(B2)は、剥離シート用基材(A)に対して、剥離剤層(B1)とは反対の面上に設けられる層であって、下記(b)を満たす。
(b)JIS K 7125に準拠する方法で測定される剥離剤層(B2)の動摩擦係数が0.62以上
剥離剤層(B2)のJIS K 7125に準拠する方法で測定される動摩擦係数(以下、単に「動摩擦係数」ともいう)が0.62以下であると、作製されたラベル連続体をラベリング装置でタイヤに貼付する際に、滑りの発生により十分に張力をかけられないため、ラベリングの際にたるみが発生しやすくなり、頭出しが困難になる。
このような観点から、剥離剤層(B2)の動摩擦係数は、好ましくは0.70以上であり、より好ましくは0.80以上であり、さらに好ましくは0.85以上である。
また、その上限は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されないが、好ましくは1.00以下であり、より好ましくは0.95以下であり、さらに好ましくは0.90以下である。
なお、剥離剤層(B2)の動摩擦係数は、JIS K 7125に準ずる方法で測定される値であり、より具体的には、後述する実施例に記載した方法に基づいて測定、算出される値である。
剥離剤層(B2)の塗布量(単位面積あたりの質量)は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されないが、好ましくは0.05〜5g/mであり、より好ましくは0.1〜4.0g/mであり、さらに好ましくは0.3〜3.0g/mであり、よりさらに好ましくは0.5〜2.0g/mである。
剥離剤層(B2)としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されないが、一般的な剥離剤層の原料として知られている公知の剥離剤組成物からなる剥離剤層を適宜選択して使用することができる。それらの中でも、好ましくは、無溶剤型シリコーン樹脂(S)を含み、25℃における粘度が120〜600mPa・sである剥離剤組成物の硬化皮膜である。
当該、無溶剤型シリコーン樹脂(S)を含み、25℃における粘度が120〜600mPa・sである剥離剤組成物には、上述した剥離剤層(B1)で用いられる剥離剤組成物として例示したものと同様のものが挙げられる。
〔両面剥離シート(I)の製造方法〕
両面剥離シート(I)の製造方法としては、特に制限されない。例えば、図1を用いて説明すると、剥離剤層(B1)及び剥離剤層(B2)を形成するための剥離剤層組成物を事前に調整した後、当該剥離剤組成物を剥離シート用基材(A)の両面上に塗布し、加熱処理して硬化させて剥離剤層(B1)及び剥離剤層(B2)を形成することによって作製する方法が挙げられる。
これらの剥離剤層を形成する順番は、特に制限されない。例えば、先に剥離剤層(B1)又は剥離剤層(B2)のいずれかを剥離シート用基材(A)の一方の面上に形成し、続けて、当該先に形成した剥離剤層が形成されていない方の剥離シート用基材(A)面上に、先に形成していない剥離剤層(B1)又は剥離剤層(B2)のいずれかを形成してもよい。
剥離剤層(B1)及び剥離剤層(B2)を形成する剥離剤組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法等の既存の方法が挙げられる。
上記の加熱処理は、用いる剥離剤組成物の種類等にもよるが、例えば、好ましくは80〜200℃であり、より好ましくは120〜160℃であり、加熱時間は、例えば、好ましくは数秒から数10分、より好ましくは10秒から1分加熱する。
<粘着剤層(C)>
粘着剤層(C)は、両面剥離シート(I)の剥離剤層(B1)面上に設けられる。
粘着剤層(C)の塗布量(単位面積あたりの質量)は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されないが、好ましくは5〜100g/mであり、より好ましくは10〜60g/mである。当該塗布量が上記範囲であると、タイヤへのラベルの粘着性が十分となり、タイヤ用粘着シートの印刷や抜き加工時の不具合を引き起こす可能性を低くできる。
粘着剤層(C)としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されないが、一般的な粘着剤層用の原料として知られている公知の粘着剤組成物からなる粘着剤層を適宜選択して使用することができる。それらの中でも、ホットメルトタイプ粘着剤組成物から形成されたものが好ましい。ここで、ホットメルトタイプ粘着剤とは、加熱することにより溶融して展延塗布可能となり、冷却することにより粘着性と凝集力とを発現するタイプの粘着剤をいう。
ホットメルトタイプ粘着剤組成物としては、ブロック共重合体、粘着付与剤、及び可塑剤を所定の割合で配合したものを用いることができる。
(ブロック共重合体)
ブロック共重合体としては、スチレン・イソブチレンブロック共重合体(SIB)、スチレン・ブタジエンブロック共重合体(SB)、スチレン・イソプレンブロック共重合体
(SI)等のAB型ジブロック共重合体;スチレン・イソブチレン・スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)等のABA型トリブロック共重合体;等が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、タック性付与が容易であることから、ABA型トリブロック共重合体を用いるのが好ましく、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)を用いるのがより好ましい。
ブロック共重合体の使用量は、粘着剤組成物の全体量100質量%に対して、好ましくは15〜40質量%であり、より好ましくは18〜30質量%である。
ブロック共重合体の添加量が15質量%以上の値であれば、粘着剤全体の凝集力が向上し、外気温の高い夏場であれば、特性低下が著しくなったり、粘着シート断面からのしみ出し(以下、「ウーズ」ともいう)が生じたり、さらには、打ち抜き加工時の糊切れが悪化したりすることを抑制することができる。一方、ブロック共重合体の添加量が40質量%以下であると、被着体に対する粘着力が向上して、強固に接着でき、特に低温環境下での貼付けが良好となる。また、粘着剤全体の溶融粘度が上昇し、ホットメルトコーティング適性が低下することを抑制できる。
また、ブロック共重合体には、ABA型のトリブロック共重合体を用いるとともに、AB型のジブロック共重合体を併用することが好ましい。ジブロック共重合体の添加量は、トリブロック共重合体に対して、30〜80質量%であるのが好ましい。ジブロック共重合体の添加量が30質量%以上であると、添加効果が得られ、ジブロック共重合体の添加量が80質量%以下であると、凝集力が低下して、ウーズやラベル剥離後の糊残りの発生を抑制することができる。
なお、ABA型トリブロック共重合体がスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)である場合には、併用するAB型ジブロック共重合体としては、同種のスチレン・イソプレンブロック共重合体(SI)を使用するのが好ましい。
ブロック共重合体としてポリスチレン領域(スチレン由来の繰り返し単位に相当する部分)を有するものを用いる場合、ポリスチレン領域の含有量は、接着性、ホットメルトコーティング適性等の観点から、ブロック共重合体中の10〜20質量%であるのが好ましい。
(粘着付与剤)
粘着付与剤としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものが使用できる。例えば、重合ロジン、重合ロジンエステル、ロジン誘導体等のロジン系樹脂;ポリテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂及びその水素化物、テルペンフェノール樹脂等のテルペン系樹脂;クマロン・インデン樹脂;脂肪族石油系樹脂、芳香族系石油樹脂及びその水素化物、脂肪族/芳香族共重合体石油樹脂等の石油樹脂;スチレン又は置換スチレンの低分子量重合体;等が挙げられる。
これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、粘着付与剤として、軟化点が異なる複数の粘着付与剤を含むことが好ましく、異なる軟化点を有する二種以上の粘着付与剤を用いることで、ブロック共重合体中のゴム成分及び樹脂成分にそれぞれ選択的に相溶させることができる。
さらに、JIS K 2207に準拠して測定される軟化点が60〜100℃である粘着付与剤を少なくとも一種と、軟化点が120℃以上である粘着付与剤を少なくとも一種と、を含むことがより好ましい。
軟化点が120℃以上である粘着付与剤は、高温時での粘着性を発現するのに有効であるが、低温時での粘着性が損なわれる。そこで、軟化点が60〜100℃である粘着付与剤と併用することにより、低温領域から常温領域までの粘着性が特異的に向上し、低温領域から高温領域までの広い温度に対応して粘着力や凝集力の調整が容易となる。
軟化点が120℃以上である粘着付与剤としては、重合ロジンエステルであるのが好ましく、軟化点が60〜100℃である粘着付与剤としては、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂、脂肪族/芳香族共重合体石油樹脂が好ましい。前者は、ゴム成分に選択的に相溶しやすく、後者はブロック共重合体中の樹脂成分に選択的に相溶し易いことから、粘着付与剤として好適な組合せとなる。
また、重合ロジンエステルの添加量を、例えば、0〜18質量%の範囲で変化させることにより、各温度における被着体に対する粘着力や、曲面貼付性及び保持力を変化させることができる。
このように、軟化点が120℃以上である粘着付与剤と、軟化点が60〜100℃である粘着付与剤とを組み合わせて用いる場合、粘着付与剤の全体量100質量%に対する、重合ロジンエステルの使用量は、好ましくは5〜25質量%であり、より好ましくは10〜25質量%である。重合ロジンエステルの使用量をこのように調整すると、各温度による曲面貼付性、粘着力が著しく低下することがない。
粘着付与剤の添加量は、粘着剤組成物の全体量100質量%に対し、好ましくは30〜70質量%であり、より好ましくは40〜65質量%である。粘着付与剤の添加量が30質量%以上であると、十分な粘着力が得られ、タイヤ等に貼付けた際に強固に接着することができる。
一方、粘着付与剤の添加量が70質量%以下であると、ウーズやラベル打ち抜き加工時の糊切れの悪化を抑制することができる。
(可塑剤)
可塑剤としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、あるいは芳香族系プロセルスオイル等の石油系プロセスオイル;ひまし油あるいはトール油等の天然油;フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルあるいはアジピン酸ジブチル等の二塩基酸ジアルキル;液状ポリブテンあるいは液状ポリイソプレン等の低分子量液状ポリマー;等が挙げられる。
これらの中でも、熱や紫外線に対し特に安定であり、色相の優れた粘着剤組成物を得ることができることから、パラフィン系プロセスオイルが好ましい。
また、パラフィン系プロセスオイルと、他の可塑剤との併用も可能である。この場合、パラフィン系プロセスオイルを、可塑剤の全体量100質量%に対して、60質量%以上用いるのが好ましい。
可塑剤の添加量は、粘着剤組成物の全体量100質量%に対して、好ましくは10〜40質量%であり、より好ましくは15〜30質量%である。可塑剤の添加量が10質量%以上であると、十分に可塑化でき、十分に粘着力が得られ、タイヤ等に貼付けした際に強固に接着できる。
一方、可塑剤の添加量が40質量%以下であると、ウーズやラベル打ち抜き加工時の糊切れの悪化を抑制することができる。
上記のような、ブロック共重合体、粘着付与剤及び可塑剤を配合した粘着剤組成物を用いた場合、複数温度における被着体に対する粘着力の調整が容易になる。タイヤ用粘着シートに使用した場合に、外気温の低い冬場に、スタッドレスタイヤを被着体とした場合であっても、浮きや剥がれが少なく、精度良く貼り付けることができる。また、外気温の高い夏場であっても、貼付後の浮き剥がれの問題がなく、さらに、粘着剤層を積層する際に、溶剤を使用したり、乾燥させることが不要で、製造装置を小型化したり、製造時間を短縮することができる。
なお、粘着剤組成物には、必要に応じて、各種添加剤、例えば充填剤、無機粒子、有機粒子、軽量化剤、流動化剤、顔料、染料、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等従来公知の添加剤を添加することも好ましい。
粘着剤層(C)を形成する粘着剤組成物を塗布する方法としては、例えば、上述した剥離剤層(B1)及び(B2)を形成する方法と同様の方法が挙げられる。
<支持体(D)>
支持体(D)は、両面剥離シート(I)とは反対側の粘着剤(C)面上に設けられる。
支持体(D)の坪量(単位面積あたりの質量)は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されないが、好ましくは20〜500g/mであり、より好ましくは50〜300g/mである。
また、支持体(D)の厚さは、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されないが、好ましくは10〜150μmであり、より好ましくは10〜120μmである。支持体の厚さが10μm以上であれば、タイヤ用粘着シートの取り扱いが容易になり、ラベル貼付時にシワが発生しにくくなり、ラベル剥離時に支持体(D)が破壊されにくくなる。
一方、支持体の厚さが150μm以下であれば、ラベルの柔軟性が向上して、被着体としてのタイヤへの追従性が向上して、ラベルが剥がれにくくなる。
本発明の粘着シートに用いる支持体としては、粘着剤層を担持できるものであれば特に制限されず、従来公知のものを使用できる。具体的には、剥離シート用基材(A)で例示したものと同様のものが挙げられる。それらの中でも、機械的強度に優れ、ラベル剥離時における支持体の破壊を有効に防止できることから、樹脂フィルム又は合成紙を用いるのが好ましい。
また、支持体(D)は、さらに、アルミニウム蒸着層等の金属層(E)を備えたものがより好ましい。このような構成を有する支持体を用いることで、粘着剤層(C)側に、金属層が対向するように積層することで、タイヤの構成成分の移行に起因する、支持体(D)表面における黒色化を有効に防止することができる。より具体的には、タイヤを構成するゴム材料の構成成分であるアミン系老化防止剤や芳香族系オイル等が、支持体(D)まで移行し、それが原因となって、支持体(D)表面が黒色化する場合があるが、金属層(E)を備えることによって、このような移行をブロックすることができる。
さらに、支持体(D)としては、後述するラベルの印刷を容易にするための易接着層や、熱転写記録やインキジェット記録等の記録を可能にするための記録層を設けたものや、それらの表面を保護するためにオーバーコートフィルムもしくはオーバーラミネートフィルムを有するものであることが好ましい。さらに、磁気記録、バーコード、及びマイクロ半導体素子等の情報領域を支持体の一部に設けた支持体(D)を用いることもできる。
<タイヤ用粘着シートの初期剥離力及び高速剥離力>
また、本発明のタイヤ用粘着シートは、下記(c)及び(d)を満たす、タイヤ用粘着シートである。
(c)両面剥離シート(I)を粘着剤層(C)から剥離する際の初期剥離力が、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下において、剥離速度0.3m/min、剥離角度180°の測定条件で250mN/50mm以下
(d)両面剥離シート(I)を粘着剤層(C)から剥離する際の高速剥離力が、23℃、50%RHの環境下において、剥離速度12m/min、剥離角度180°の測定条件で1000mN/50mm以下
本発明のタイヤ用粘着シートの初期剥離力が、250mN/50mmを超えると、ラベリング装置からの繰り出し時にラベルの頭出しが困難になる。このような観点から、タイヤ用粘着シートの初期剥離力は、好ましくは170mN/50mm以下であり、より好ましくは160mN/50mm以下である。
また、本発明のタイヤ用粘着シートの高速剥離力が、1000mN/50mmを超えると、高速剥離時の剥離が重剥離となって、ラベリング装置を用いたラベリングが困難になる。このような観点から、タイヤ用粘着シートの高速剥離力は、好ましくは900mN/50mm以下であり、より好ましくは750mN/50mm以下である。
タイヤ用粘着シートの初期剥離力及びタイヤ用粘着シートの高速剥離力を上記のようなものにするためには、上述したタイヤ用粘着シートの各構成部材の種類、構成(例えば、坪量、厚さ、剛性等)、並びに剥離剤組成物、粘着剤組成物等を適宜選択し、タイヤ用粘着シートを作製すればよい。
<タイヤ用粘着シートの製造方法>
本発明のタイヤ用粘着シートの製造方法は、特に制限されず、公知の方法により製造することができる。例えば、図1を用いて説明すると、次のようにして製造することができる。前述のように、(i)両面剥離シート(I)1を形成後、剥離剤層(B1)上に粘着剤組成物を塗布して粘着剤層(C)を形成し、その後、支持体(D)と貼り合せる方法、又は、(ii)支持体(D)に粘着剤組成物を塗布して粘着剤層(C)を形成し、その後、ラベル層2の粘着剤層(C)側と、両面剥離シート(I)1の剥離剤層(B1)側とを貼り合わせる方法で、タイヤ用粘着シート10を形成することができる。
さらに、図1及び図2を用いて説明すると、本発明のタイヤ用粘着シート10のラベル層2の支持体(D)側の表面側から、所定の部分を囲むように、切り込み6を入れて抜き加工を施すことにより、ラベル部4を有するラベル連続体5を製造することができる。なお、図2においては、抜き加工後のタイヤ用粘着シート11として示している。この抜き加工によりラベル層2には、切り込み6に囲まれたラベル部4と、ラベル部4以外の、幅方向における両端部を有する耳部3とが形成される。後に、耳部3は、両面剥離シート(I)1から剥離されて取り除かれ、両面剥離シート(I)1の上には、ラベル部4が残され、ラベル部4が残されたラベル連続体5は商品名等を印刷したラベルとして使用される。なお、上記抜き加工の前工程若しくは後工程で、印刷機を用いてラベル部4の支持体(D)の上面に印刷が施される。
<タイヤ用粘着シートの使用方法>
本発明のタイヤ用粘着シートは、上述のとおり、ラベル連続体に加工された後、ラベリング装置等を用いて、タイヤ表面に貼付して使用されるものである。
ラベル貼付用のラベリング装置の一例を図3に示す。印刷が施されたラベル部4を有する長尺状のラベル連続体5は、長手方向に、すなわち、図3中の右方向に運ばれる。被着体であるタイヤ7の手前で、両面剥離シート(I)1は下方に巻き込まれるが、ラベル部4はその際、両面剥離シート(I)1から剥がれて前方(図3の右方向)に押し出され、タイヤ7に貼付される。タイヤ7が図3の矢印方向に回転することで、押出されたラベル部4は、タイヤ7に貼付される。この動作が連続的に行われ、次々に移動してくるタイヤ(図示を省略)にラベルが貼付される。
両面剥離シート(I)1が下方に巻き取られる際に、ラベル部4が両面剥離シート(I)1からスムーズに剥離されないと、図4に示すように、ラベル部4は図4の下方に両面剥離シート(I)1と共に巻き込まれ、ラベル部4をタイヤ7に貼付することができないばかりでなく、装置の運転を停止せざるを得ず、歩留まりや作業性の低下が起きる。
よって、両面剥離シート(I)1が下方に巻き取られる際に、ラベル部4が両面剥離シート(I)1からスムーズに剥離され、前方に押し出される必要がある。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって制限されるものではない。
本発明における測定方法及び評価方法は以下のとおりである。
[測定方法]
<原料の質量平均分子量(Mw)>
ゲル浸透クロマトグラフ装置を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
測定装置:製品名「HLC−8220GPC」、東ソー社製
カラム:製品名「TSKGel SuperHZM-M」、東ソー社製
展開溶媒:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/min
<両面剥離シート(I)のMD剛軟度>
実施例及び比較例で用いた両面剥離シート(I)を準備し、JIS L 1085のガーレ法に準ずる方法にて、両面剥離シート(I)のMD方向について測定を行った。また、測定に用いた試験片は、長さ38mm、幅25mmの大きさのものを準備した。なお、ここで、MD方向の試験片とは、試験片の長手方向が両面剥離シート(I)のMD方向であることを表す。
<剥離剤層(B2)の動摩擦係数>
JIS K 7125に準ずる方法にて、剥離剤層(B2)の動摩擦係数について測定を行った。
実施例及び比較例で用いた両面剥離シート(I)を準備し、両面剥離シート(I)の剥離剤層(B2)の表面上に、滑り片としてゴムロール(商品名「Drive Roller DR4」、ゴムロールの全質量:80g、ゴムロールの径:14mm、CAB社製)を置いたのち、速度100mm/min±10mm/minの速度で引っ張った際の荷重を測定し、動摩擦係数を算出した。
また、測定に用いた試験片は、長さ200mm、幅80mmの大きさのものを準備した。
<剥離剤層(B1)の貯蔵弾性率>
実施例及び比較例の剥離剤層(B1)層で用いた剥離剤組成物を、剥離シートの表面に塗工し、90℃で2分間乾燥し、剥離剤層を剥離シートから剥がして、膜厚20μmの試験用剥離剤層(B1)の層を作成した。得られた試験用剥離剤層(B1)を幅8mm、測定長さ20mmにカットしてサンプルとし、動的粘弾性測定装置(製品名「DMA Q800」、TAインスツルメンツ社製)を用いて、引張り測定法により、周波数11Hz、振幅5μm、昇温速度3℃/minの条件で、10℃〜30℃の貯蔵弾性率及び損失正接を測定し、23.5℃における貯蔵弾性率を読み取った。
<タイヤ用粘着シートの初期剥離力>
タイヤ用粘着シートを50mm×250mmの形状に裁断した後、JIS Z 0237に準拠して、タイヤ用粘着シートの両面剥離シート(I)の短辺の一方を剥がして折り曲げ、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、汎用の引張り試験機を用いて、引張速度0.3m/min、剥離角度180°の条件で、両面剥離シート(I)をラベル層の粘着剤層(C)から剥離した際の剥離力を測定して、タイヤ用粘着シートの初期剥離力とした。
<タイヤ用粘着シートの高速剥離力>
タイヤ用粘着シートを50mm×250mmの形状に裁断した後、JIS Z 0237に準拠して、タイヤ用粘着シートの両面剥離シート(I)の短辺の一方を剥がして折り曲げ、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、汎用の引張り試験機を用いて、引張速度12m/min、剥離角度180°の条件で、両面剥離シート(I)をラベル層の粘着剤層(C)から剥離した際の剥離力を測定して、タイヤ用粘着シートの高速剥離力とした。
[実使用試験]
タイヤ用粘着シートをラベル連続体に加工した後、ラベリング装置から12m/minの速度で100枚のラベリングをタイヤに対して行い、以下の項目を試験評価した。
<剥離剤層(B2)表面への粘着剤組成物の付着>
ラベリング時に剥離剤層(B2)表面への粘着剤組成物の付着の有無を目視で確認した。
A:剥離剤層(B2)表面への粘着剤組成物の付着は確認されなかった。
B:ごくわずかに剥離剤層(B2)表面への粘着剤組成物の付着が確認されたが、ラベリング作業に影響しない程度であった。
C:剥離剤層(B2)表面への粘着剤組成物の付着が多く発生し、ラベリング装置に粘着剤組成物が付着した。
<ラベル頭出し>
ラベリング時のラベル頭出しの可否を確認した。なお、以下の基準で評価した。
A:全ラベルで頭出しが可能であった。
B:1〜4枚のみ頭出しがされず、ラベルが剥離紙と一緒に巻き取られた。
C:5枚以上で頭出しがされず、ラベルが剥離紙と一緒に巻き取られた。
<ラベル剥離性>
ラベリング時のラベルの剥離状態について、以下の方法を用いて確認した。なお、以下の基準で評価した。
A:ラベルが剥離紙より容易に剥離した。
B:1〜10枚のみ重剥離による剥離不良が発生した。
C:11枚以上で重剥離による剥離不良が発生した。
[実施例1]
<両面剥離シート(I)の作製>
(S)成分としてのビニル基を有するポリオルガノシロキサン1(商品名「DMS−V22」、粘度200mPa・s、分子量:9400、ビニル基量:0.5質量%、Gelest社製)90質量部及びビニル基を有するポリオルガノシロキサン2(商品名「DMS−V25」、粘度:500mPa・s、分子量:17200、ビニル基量:0.4質量%、Gelest社製)10質量部と、(L)成分としてのオルガノハイドロジェンポリシロキサン(商品名「HMS−991」、粘度:22mPa・s、分子量:1600、Gelest社製)1.1質量部と、(P)成分としての白金錯体(商品名「SRX−212」、東レ・ダウコーニング社製)を(S)及び(L)成分の合計100質量部に対して0.5質量部とを混合して剥離剤組成物1(粘度250mPa・s)を調製した。
〔剥離剤層(B1)の形成〕
次に、剥離シート用基材(A)として坪量68g/mのグラシン紙に、前記剥離剤組成物1を、グラビアコーターを用いて均一に塗布し、140℃で30秒間加熱処理して硬化させ、塗布量2.0g/mの剥離剤層(B1)を有する片面剥離シートを作製した。
〔剥離剤層(B2)の形成〕
次に、片面剥離シートの前記剥離剤組成物1が塗布されていない面に、前記剥離剤組成物1を、グラビアコーターを用いて均一に塗布し、140℃で30秒間加熱処理して硬化させ、塗布量0.8g/mの剥離剤層(B2)を設け、両面剥離シート(I)を作製した。
<ラベル層及びタイヤ用粘着シートの作製>
ブロック共重合体としてSIS(商品名「クレイトンD−1112」、ジブロック量:40質量%、ポリスチレン領域の含有量:15質量%、クレイトンポリマージャパン社製)を21.2質量部と、粘着付与剤として「T−480X」(商品名、軟化点:80℃、脂肪族/芳香族共重合体石油樹脂、三井化学社製)を46.5質量部及び「ペンセルD−160」(商品名(「ペンセル」登録商標)、軟化点:160℃、重合ロジンエステル、荒川化学工業社製)を10.1質量部と、可塑剤として「ピュアフレックスSNH−100SP」(商品名、パラフィン系オイルプロセス、三共油化工業社製)を21.2質量部と、酸化防止剤として「Irganox1010」(商品名(「Irganox」登録商標)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、チバ・スペシャルティケミカルズ社製)を1質量部とを均一に混合して粘着剤組成物1を調製した。
〔粘着剤層(C)の形成〕
次いで、得られた粘着剤組成物1を、140℃の条件で溶融させ、両面剥離シート(I)の剥離剤層(B1)上に、ダイコーターを用いて、塗布量が50g/mになるように塗工して、粘着剤層(C)を形成した。
次いで、支持体(D)として、アルミニウム蒸着層を備えた白コートポリエチレンテレフタレートフィルム[白コート(エチレン酢酸ビニル樹脂及び酸化チタンを含む)1μm/ポリエチレンテレフタレートフィルム12μm/アルミニウム蒸着層]を用意し、支持体(D)のアルミニウム蒸着層面と、両面剥離シート(I)上の粘着剤層(C)とを貼り合わせ、タイヤ用粘着シート1を作製した。
[実施例2]
剥離シート用基材(A)として坪量50g/mのグラシン紙を用いた以外は、実施例1と同様にしてタイヤ用粘着シート2を作製した。
[実施例3]
剥離剤層(B1)の塗布量を0.8g/mとする以外は、実施例1と同様にしてタイヤ用粘着シート3を作製した。
[実施例4]
剥離剤層(B1)の塗布量を0.8g/mとする以外は、実施例2と同様にしてタイヤ用粘着シート4を作製した。
[比較例1]
剥離シート用基材(A)として坪量88g/mのグラシン紙を用い、ビニル基を有するポリオルガノシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含有する溶剤型シリコーン系剥離剤(商品名「KS−835」、固形分:30質量%、粘度:5000mPa・s、信越化学工業社製)100質量部に、白金触媒(商品名「PL50T」、信越化学工業社製)1.0質量部、及びトルエン200質量部を添加して調製した剥離剤組成物2を用いて剥離剤層(B1)を設け、剥離剤層(B2)を設けなかった点以外は、実施例1と同様にしてタイヤ用粘着シート5を作成した。
[比較例2]
剥離シート用基材(A)として坪量74g/mのグラシン紙を用い、ビニル基を有するポリオルガノシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含有する溶剤型シリコーン系剥離剤(商品名「KS−774」、固形分:30質量%、粘度:14000mPa・s、信越化学工業社製)100質量部に、白金触媒(商品名「PL50T」、信越化学工業社製)0.3質量部、及びトルエン200質量部を添加して調製した剥離剤組成物3を用いて剥離剤層(B1)を設け、(S)成分としてのビニル基を有するポリオルガノシロキサン3(商品名「VDT−123」、Gelest社製)80質量部とビニル基を有するポリオルガノシロキサン4(商品名「VDT−431」、Gelest社製)20質量部、(L)成分としての、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(商品名「HMS−991」、粘度:22mPa・s、分子量:1600、Gelest社製)2.0質量部、剥離コントロール剤として、非反応性ポリオルガノシロキサン(Gelest社製、商品名「DMS−T25」、分子量:17250)5質量部、(P)成分としての白金錯体(商品名「SRX−212」、東レ・ダウコーニング社製)を、(S)及び(L)成分の合計100質量部に対して0.5質量部添加して得た剥離剤組成物4(粘度:350mPa・s)を用いて剥離剤層(B2)を設けた点以外は、実施例3と同様にしてタイヤ用粘着シート6を作成した。
[比較例3]
剥離シート用基材(A)として坪量74g/mのグラシン紙を用い、剥離剤組成物3を用いて剥離剤層(B1)を設けた点以外は、実施例3と同様にしてタイヤ用粘着シート7を作成した。
Figure 0006386875
表1より、実施例1〜4で作製したタイヤ用粘着シートは、剥離剤層(B2)への粘着剤の付着、ラベル頭出し、ラベル剥離性のいずれの試験でも良好な結果が得られたことがわかる。
一方、比較例1で作製したタイヤ用粘着シートは、剥離剤層(B2)がないため、表面に粘着剤の転着が発生する結果となった。
また、比較例2で作製したタイヤ用粘着シートは、剥離剤層(B2)の動摩擦係数が低いため、ラベル頭出し試験において、滑りが発生し、頭出し不良となった。
また、比較例3で作製したタイヤ用粘着シートは、滑りは発生しなかったものの、両面剥離シート(I)のMD剛軟度が高いために、ピールプレートで鋭角に折り返すことができず、頭出しが不良となった。
本発明のタイヤ用粘着シートから作製されたラベル連続体は、ラベリング装置を用いた際のラベリング作業時の作業性に優れるため、ラベリング装置を用いてタイヤに連続的に効率よくラベルを貼付することができる。
1 両面剥離シート(I)
2 ラベル層
A 剥離シート用基材(A)
B1 剥離剤層(B1)
B2 剥離剤層(B2)
C 粘着剤層(C)
D 支持体(D)
3 耳部
4 ラベル部
5 ラベル連続体
6 切り込み
7 タイヤ
10 タイヤ用粘着シート
11 抜き加工後のタイヤ用粘着シート

Claims (5)

  1. 剥離シート用基材(A)の一方の面上に剥離剤層(B1)を有し、他方の面上に剥離剤層(B2)を有する両面剥離シート(I)と、
    両面剥離シート(I)の剥離剤層(B1)面上に、粘着剤層(C)と支持体(D)とをこの順で有するタイヤ用粘着シートであって、
    下記(a)〜(d)を満たす、タイヤ用粘着シート。
    (a)JIS L 1085に準拠するガーレ法で測定される両面剥離シート(I)のMD剛軟度が0.80mN以下
    (b)JIS K 7125に準拠する方法で測定される剥離剤層(B2)の動摩擦係数が0.62以上
    (c)両面剥離シート(I)を粘着剤層(C)から剥離する際の初期剥離力が、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下において、剥離速度0.3m/min、剥離角度180°の測定条件で250mN/50mm以下
    (d)両面剥離シート(I)を粘着剤層(C)から剥離する際の高速剥離力が、23℃、50%RHの環境下において、剥離速度12m/min、剥離角度180°の測定条件で1000mN/50mm以下
  2. 剥離剤層(B1)及び/又は剥離剤層(B2)が、無溶剤型シリコーン樹脂(S)を含み、25℃における粘度が120〜600mPa・sである剥離剤組成物の硬化皮膜からなる、請求項1に記載のタイヤ用粘着シート。
  3. 剥離剤層(B1)の11Hzにおける動的粘弾性スペクトルの貯蔵弾性率が、23.5℃において、0.30〜2.0MPaである、請求項1又は2に記載のタイヤ用粘着シート。
  4. 粘着剤層(C)が、ホットメルトタイプ粘着剤組成物からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ用粘着シート。
  5. 前記ホットメルトタイプ粘着剤組成物が、ブロック共重合体15〜40質量%、粘着付与剤30〜70質量%及び可塑剤10〜40質量%を配合したものである、請求項4に記載のタイヤ用粘着シート。
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