以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
まず、本実施形態に係る情報通知装置1の構成について説明をする。
図1は、情報通知装置1の構成の一例を示すブロック図である。
情報通知装置1は、自車両100と自車両100の周辺に存在する他車両200との車車間通信に基づき、自車両100に接近する他車両200の存在する方向を通知する運転支援を実行する。
情報通知装置1は、自車両100に搭載される車車間通信用無線機10、GPS(Global Positioning System)受信機20、ECU(Electric Control Unit)30、ディスプレイ40、スピーカ50、各種センサ60、ナビゲーション装置70等を含む。
なお、自車両100と車車間通信を行う他車両200についても自車両100と同様の構成を備える前提で以下の説明を行う。
車車間通信用無線機10は、所定の無線通信により、自車両100の周辺に存在する他車両200と双方向で情報の送受信を行う通信手段である。車車間通信用無線機10は、他車両200から送信される他車両200の位置及び進行方向(他車両200の車首方位)等を含む他車両位置情報を受信する。また、車車間通信用無線機10は、他車両200から送信される他車両位置情報の精度に関する情報(他車両位置精度情報)を受信する。車車間通信用無線機10は、車載LAN等を介してECU30と通信可能に接続され、受信する他車両位置情報、他車両位置精度情報等をECU30に送信する。また、車車間通信用無線機10は、ECU30から送信される自車両100の位置及び進行方向(自車両100の車首方位)等を含む自車両位置情報、及び、自車両位置情報の精度に関する情報(自車両位置精度情報)等を他車両200に送信する。なお、他車両位置精度情報、及び、自車両位置精度情報の詳細は、後述する。
GPS受信機20は、自車両100の上空に存在する複数のGPS衛星(例えば、4個)からのGPS信号を受信する通信手段である。GPS受信機20は、これらのGPS信号に基づき、自車両100の位置(緯度、経度)を算出する。GPS受信機20は、車載LAN等を介してECU30と通信可能に接続され、算出する自車両100の位置に関する情報をECU30に送信する。
また、GPS受信機20は、GPS信号を受信可能なGPS衛星の個数、その配置(方位)、各GPS信号の強度(S/N比)等、算出する自車両100の位置の精度に関連する情報をECU30に送信する。
ECU30は、情報通知装置1における主たる制御処理を実行する電子制御ユニットである。ECU30は、例えば、マイクロコンピュータにより構成され、ROMに格納される各種プログラムをCPU上で実行することにより、後述する各種制御処理を実行してよい。ECU30は、機能部として、自車両情報取得部31、他車両情報取得部32、相対位置算出部33、接近判定部34、位置精度判定部35、存在エリア決定部36、通知制御部37等を含む。なお、自車両情報取得部31、他車両情報取得部32、相対位置算出部33、接近判定部34、位置精度判定部35、存在エリア決定部36、通知制御部37等の各機能は、ROMに格納される対応するプログラムをCPU上で実行することにより実現されてよい。
自車両情報取得部31は、自車両100の位置及び進行方向(自車両100の車首方位)等を含む自車両位置情報を取得する。なお、自車両100の位置及び進行方向の「取得」は、受信、算出、生成、補正等の任意の行為により自車両100の位置及び進行方向を取得することを意味する。
具体的に説明すると、自車両情報取得部31は、GPS受信機20から自車両100の位置(緯度、経度)を受信する。また、自車両情報取得部31は、各種センサ60に含まれる車速センサ、操舵角センサ、ヨーレートセンサ等から受信する自車両100の運動状態に関する検出信号(車速信号、操舵角信号、ヨーレート信号等)により算出される走行軌跡に基づき、GPS受信機20から受信する自車両100の位置を補正してよい。また、自車両情報取得部31は、ナビゲーション装置70から受信する地図情報に基づき、GPS受信機20から受信する自車両100の位置を補正してよい。また、自車両情報取得部31は、天候やトンネル等の影響によりGPS受信機20がGPS信号を受信することができず、自車両100の位置を算出できない場合、直近で取得した自車両100の位置を基準にして、各種センサ60に含まれる車速センサ、操舵角センサ、ヨーレートセンサ等から受信する検出信号やナビゲーション装置70から受信する地図情報等に基づき、自車両100の位置を算出(推定)してよい。また、自車両情報取得部31は、取得する自車両100の位置の時系列(例えば、今回取得した自車両100の位置と前回取得した自車両100の位置)に基づき、自車両100の進行方向を算出する。また、自車両情報取得部31は、各種センサ60に含まれる方位センサから受信する方位信号やナビゲーション装置70から受信する地図情報等に基づき、自車両100の進行方向を補正してよい。
なお、以下において、自車両情報取得部31が取得する自車両100の位置、及び、自車両100の進行方向を「自車両100の推定位置」、及び、「自車両100の推定進行方向」と称する。
また、自車両情報取得部31は、取得する自車両位置情報(自車両100の推定位置、推定進行方向)の精度に関する情報(自車両位置精度情報)を取得する。自車両位置精度情報は、自車両100の推定位置に関する精度情報(自車両推定位置精度情報)と自車両100の推定進行方向に関する精度情報(自車両推定進行方向精度情報)を含む。なお、自車両位置精度情報の「取得」は、受信、算出、生成、補正等の任意の行為により自車両位置精度情報を取得することを意味する。
なお、自車両位置精度情報は、例えば、取得する自車両位置情報(自車両100の推定位置、推定進行方向)に想定される誤差そのものであってもよいし、当該誤差に対応して複数設定される段階的な精度レベルを表すものであってもよい。また、以下において、「位置の誤差」は、真の位置に対する誤差円で表されるような水平面における360°全方向に一様な値で表される誤差であってもよいし、真の位置に対する誤差楕円で表されるような水平面における方向によって値が変化する誤差であってもよい。
具体的に説明すると、GPS受信機20により算出される自車両100の位置は、GPS受信機20がGPS信号を受信可能なGPS衛星の個数、その配置、及び、各GPS信号の強度(S/N比)に応じて、その精度が変化する。従って、自車両情報取得部31は、GPS受信機20から受信するGPS信号を受信可能なGPS衛星の個数、その配置(方位)、各GPS信号の強度(S/N比)等に基づき、自車両推定位置精度情報を生成、取得してよい。例えば、GPS信号を受信可能なGPS衛星の個数、その配置、GPS信号の強度等の精度パラメータと、GPS受信機20により算出される自車両100の位置の誤差との対応関係を予め定めるマップ等をECU30の内部メモリ等に格納する。これにより、自車両情報取得部31は、当該マップに基づき、自車両推定位置精度情報を生成することができる。
また、GPS受信機20により算出される自車両100の位置を、各種センサ60に含まれる車速センサ、操舵角センサ、ヨーレートセンサ等の検出信号に基づき算出される自車両100の走行軌跡上に位置するように補正すると、自車両100の推定位置の精度は向上する。また、GPS受信機20により算出される自車両100の位置を、ナビゲーション装置70から送信される地図情報における対応する道路上に位置するように補正すると、自車両100の推定位置の精度は向上する。従って、自車両情報取得部31は、GPS受信機20から受信する自車両100の位置に対する補正の有無やその補正内容等に応じて、自車両推定位置精度情報を生成し、取得してよい。例えば、補正内容(車速センサ、操舵角センサ、ヨーレートセンサ等の検出信号に基づく補正、地図情報等に基づく補正等)と、自車両100の推定位置の精度向上の程度(誤差縮小幅)との対応関係を予め定めるマップ等をECU30の内部メモリ等に格納する。これにより、自車両情報取得部31は、当該マップに基づき、自車両推定位置精度情報を生成することができる。
また、上述したようにGPS受信機20が自車両100の位置を算出できない場合、自車両情報取得部31は、直近の自車両100の推定位置を基準にして、車速センサ、操舵角センサ、ヨーレートセンサ等から受信する検出信号やナビゲーション装置70から受信する地図情報等に基づき、自車両100の推定位置を算出してよい。この場合、車速センサ、操舵角センサ、ヨーレートセンサ等の検出誤差に応じて、算出される自車両100の推定位置の精度が悪化する。特に、GPS受信機20がGPS信号を受信できない期間が継続すると、重畳的に自車両100の推定位置の精度が悪化する。従って、自車両情報取得部31は、車速センサ、操舵角センサ、ヨーレートセンサ等の検出誤差やGPS受信機20がGPS信号を受信できない期間等に応じて、自車両推定位置精度情報を生成し、取得してよい。例えば、車速センサ、操舵角センサ、ヨーレートセンサ等の検出誤差により想定される自車両100の推定位置の精度悪化の程度(誤差拡大幅)と、GPS信号を受信できない期間との対応関係を予め定めるマップ等をECU30の内部メモリ等に格納する。これにより、自車両情報取得部31は、当該マップに基づき、自車両推定位置精度情報を生成することができる。
また、自車両情報取得部31は、上述したとおり、自車両100の推定位置の時系列に基づき、自車両100の推定進行方向を算出するので、自車両推定位置精度情報に応じて、自車両推定進行方向精度情報を生成する。
また、自車両100の推定位置の時系列に基づき算出される自車両100の進行方向を、方位センサからの方位信号やナビゲーション装置70からの地図情報等に基づき補正すると、自車両100の推定進行方向の精度は向上する。従って、自車両情報取得部31は、補正の有無やその補正内容等に応じて、自車両推定進行方向精度情報を生成し、取得してよい。例えば、補正内容(方位センサからの方位信号に基づく補正、地図情報に基づく補正等)と、自車両100の推定進行方向の精度向上の程度(誤差縮小幅)との対応関係を予め定めるマップ等をECU30の内部メモリ等に格納する。これにより、自車両情報取得部31は、当該マップに基づき、自車両推定進行方向精度情報を生成することができる。
他車両情報取得部32は、自車両100の周辺に存在する他車両200の位置及び進行方向(他車両200の車首方位)等を含む他車両位置情報を取得する。他車両情報取得部32は、車車間通信用無線機10から他車両200の位置(緯度、経度)及び進行方向(他車両200の車首方位)を取得する。
なお、以下において、自車両100の場合と同様に、他車両情報取得部32が取得する他車両200の位置、及び、他車両200の進行方向を「他車両200の推定位置」、及び、「他車両200の推定進行方向」と称する。
また、他車両情報取得部32は、取得する他車両位置情報(他車両200の推定位置、推定進行方向)の精度に関する情報(他車両位置精度情報)を取得する。他車両位置精度情報は、他車両200の推定位置に関する精度情報(他車両推定位置精度情報)と他車両200の推定進行方向に関する精度情報(他車両推定進行方向精度情報)を含む。
なお、他車両位置精度情報は、その対象が自車両100から他車両200に置換される以外は、自車両位置精度情報と同様であり、上述した自車両位置精度情報を生成する手法を用いて、他車両200が生成したものであってよい。
相対位置算出部33は、自車両情報取得部31が取得する自車両位置情報及び他車両情報取得部32が取得する他車両位置情報に基づき、自車両100から見た他車両200の相対位置(例えば、自車両100と他車両200の距離D、及び、自車両100から見た他車両200の方位等)を算出する。
なお、以下において、自車両100から見た他車両200の相対位置を単に「他車両200の相対位置」と称する共に、相対位置算出部33により算出される他車両200の相対位置を「他車両200の推定相対位置」と称する。
接近判定部34は、他車両200が自車両100に接近中の車両か否かを判定する。具体的には、相対位置算出部33により算出される自車両100と他車両200の距離Dが第1閾値Dth1以内であり、かつ、他車両200が自車両100に向かって進行している場合、他車両200が自車両100に接近中であると判定する。
接近判定部34は、自車両情報取得部31及び他車両情報取得部32により取得される自車両位置情報及び他車両位置情報に基づき、他車両200が自車両100に向かってい進行しているか否かを判断してよい。例えば、接近判定部34は、自車両100の推定位置からその推定進行方向に延出する半直線と、他車両100の推定位置からその推定進行方向に延出する半直線とが、自車両100の推定位置から第1閾値Dth1以内の範囲で交差する場合、他車両200が自車両100に接近していると判断してよい。また、接近判定部34は、他車両200の推定位置から見て他車両200の推定進行方向を基準とする所定の方向角の範囲内に自車両100の推定位置が含まれる場合、他車両200が自車両100に向かって進行していると判断してよい。
また、接近判定部34は、所定期間内の他車両200の推定相対位置の履歴に基づき、他車両200が自車両100に向かって進行しているか否かを判断してよい。例えば、接近判定部34は、他車両200の推定相対位置の履歴を用いて、自車両100から見た他車両200の相対軌跡を算出し、当該相対軌跡から他車両200が自車両100に向かって進行しているか否かを判断してよい。
また、接近判定部34は、ナビゲーション装置70から受信する地図情報等に基づき、他車両200が自車両100に向かって進行しているか否かを判断してよい。例えば、地図情報に基づき、自車両100と他車両200の走行する道路を特定し、自車両100と他車両200がそれぞれ推定進行方向に進行し続けると仮定して、各道路が自車両100の推定位置から第1閾値Dth1以内の範囲で交差する(接続する)場合、他車両200が自車両100向かって進行していると判断してよい。
なお、以下において、相対位置算出部33により算出される自車両100と他車両200の距離Dを「自車両100と他車両200の推定距離D」と称する。
位置精度判定部35は、自車両100の推定位置の精度(自車両推定位置精度)、他車両200の推定位置の精度(他車両推定位置精度)、及び、他車両200の推定相対位置の精度(推定相対位置精度)が所定の基準以上であるかを判定する。
なお、位置精度判定部35は、自車両情報取得部31が取得する自車両位置精度情報、及び、他車両情報取得部32が取得する他車両位置精度情報に基づき、推定相対位置精度を算出してよい。例えば、自車両位置精度情報に基づく自車両100の推定位置の誤差と他車両位置精度情報に基づく他車両200の推定位置の誤差との二乗平均誤差として、推定相対位置精度を算出してよい。また、自車両100の推定位置の誤差、及び、他車両200の推定位置の誤差の少なくとも一方が、真の位置に対する誤差楕円で表されるような水平面における方向によって値が変化するものである場合、推定相対位置精度に含まれる他車両200の推定相対位置の誤差は、他車両200の存在する方向に応じて値が変化するものであってよい。
存在エリア決定部36は、相対位置算出部33により算出される他車両200の相対位置に基づき、自車両100から見た他車両200の存在する方向(以下、簡単のため、単に「他車両200の存在する方向」と称する)を表す複数の存在エリアのうち、対象となる他車両200の存在する方向がいずれの存在エリアに含まれるかを決定する。自車両100から見た方向を表す複数の存在エリアについて、図2を用いて説明する。
図2は、他車両200の存在する方向を表す複数の存在エリアの一例を示す図である。
本例では、自車両100から見た水平面における360°全方位を8つの存在エリア(「前方エリア」、「右前方エリア」、「右方エリア」「右後方エリア」、「後方エリア」、「左後方エリア」、「左方エリア」、及び、「左前方エリア」)に分割している。
前方エリアは、自車両100の前方向を基準にして、所定の方向角の範囲(例えば、自車両100の前方向に対応する方向角を中心とする45°の角度範囲)で設定される。
右前方エリアは、自車両100の右前方向(前方向と右方向の間の斜め45°方向)を基準にして、所定の方向角の範囲(例えば、自車両100の右前方向に対応する方向角を中心とする45°の角度範囲)で設定される。
右方エリアは、自車両100の右方向を基準にして、所定の方向角の範囲(例えば、自車両100の右方向に対応する方向角を中心とする45°の角度範囲)で設定される。
右後方エリアは、自車両100の右後方向(後方向と右方向の間の斜め45°方向)を基準にして、所定の方向角の範囲(例えば、自車両100の右後方向に対応する方向角を中心とする45°の角度範囲)で設定される。
後方エリアは、自車両100の後方向を基準にして、所定の方向角の範囲(例えば、自車両100の後方向に対応する方向角を中心とする45°の角度範囲)で設定される。
左後方エリアは、自車両100の左後方向(後方向と左方向の間の斜め45°方向)を基準にして、所定の方向角の範囲(例えば、自車両100の左後方向に対応する方向角を中心とする45°の角度範囲)で設定される。
左方エリアは、自車両100の左方向を基準にして、所定の方向角の範囲(例えば、自車両100の左方向に対応する方向角を中心とする45°の角度範囲)で設定される。
左前方エリアは、自車両100の左前方向(前方向と左方向の間の斜め45°方向)を基準にして、所定の方向角の範囲(例えば、自車両100の左前方向に対応する方向角を中心とする45°の角度範囲)で設定される。
存在エリア決定部36は、相対位置算出部33により算出される他車両200の相対位置に基づき、他車両200の存在する方向が上記8つの存在エリアの何れに含まれるか(何れに対応するか)を決定する。
通知制御部37は、自車両100の運転者等への通知対象である他車両200が存在する方向に対応する存在エリア(存在エリア決定部36により決定される存在エリア)を通知するための各種制御処理を実行する。通知制御部37は、車載LANやじか線等を介して通信可能に接続されるディスプレイ40、スピーカ50を制御し、他車両200が存在する方向、即ち、存在エリア決定部36により決定される存在エリアを自車両100の運転者等に通知する。具体的には、他車両200の存在する方向に対応する存在エリアを通知するための表示画像に対応する信号(表示画像信号)を生成し、ディスプレイ40に送信すると共に、他車両200が存在する方向に対応する存在エリアを通知する音声信号を生成し、スピーカ50に送信する。以下、他車両200が存在する方向に対応する存在エリアを、単に、「他車両200の存在エリア」と称する。
なお、通知制御部37は、存在エリア決定部36により決定される存在エリアが後方エリアの場合、ディスプレイ40、スピーカ50による運転者等への他車両200の存在エリアの通知を行わない。後方エリアに存在する他車両200は、自車両100の後続車両と考えられるからである。より具体的には、自車両100の運転者は、ドアミラーや車室内のバックミラー等で、後続車両を前もって確認することが可能であるため、後続車両としての他車両200の存在する方向をわざわざ通知すると運転者にとって煩わしいからである。
ディスプレイ40は、通知制御部37から送信される表示画像信号に応じて、他車両200の存在する方向(存在エリア決定部36により決定される存在エリア)を表示する。ディスプレイ40に表示される表示画像(他車両200の存在エリアを通知する表示画像)について、図3を用いて説明をする。
図3は、他車両200の存在エリアの通知方法の一例を示す図であり、具体的には、ディスプレイ40に他車両200の存在する方向としての存在エリアを表示する形態の一例を示す。なお、本例に示すディスプレイ40の表示は、他車両200の存在エリアが「右前方エリア」である場合のものである。
図3に示すように、ディスプレイ40における表示領域の中央部に自車両100を表す図形VHが表示される。そして、ディスプレイ40の中央部に表示される図形VHの周囲に各存在エリアを表す図形(前方エリアを表す図形F、右前方エリアを表す図形FR、右方エリアを表す図形R、右後方エリアを表す図形RR、左後方エリアを表す図形RL、左方エリアを表す図形L、左前方エリアを表す図形FL)が表示される。
なお、図中の各図形のうち、点線で示される図形(図形F、図形R、図形RR、図形RL、図形L、及び、図形FL)は、他車両200の存在エリアが当該図形に対応する存在エリアである場合に、各図形が表示されることを表している。即ち、本例では、他車両200の存在エリアが右前方エリアであるため、右前方エリアに対応する図形FRが表示され、他の図形は表示されない。
また、上述したように、他車両200の存在エリアが後方エリアの場合、自車両100の後続車両としてその存在する方向(存在エリア)を表示しないため、後方エリアに対応する図形は表示されない。
図1に戻り、スピーカ50は、通知制御部37から送信される音声信号に応じて、他車両200の存在する方向(存在エリア決定部36により決定される存在エリア)を通知する音声を出力する。
各種センサ60は、自車両100の運動状態を検出する検出手段であり、既知の車速センサ、操舵角センサ、ヨーレートセンサ、(自車両100の車首方向を検出する)方位センサ等が含まれる。各種センサ60は、車載LAN等を介してECU30と通信可能に接続され、検出信号(車速信号、操舵角信号、ヨーレート信号、方位信号等)をECU30に送信する。
ナビゲーション装置70は、自車両100の位置、地図情報、通信手段を介して受信する交通情報(プローブ情報、VICS(登録商標))等に基づいて、目的地までの経路案内を行う経路案内手段である。ナビゲーション装置70は、GPS受信機20から送信される自車両100の位置及び自車両100の位置に対応する地図情報等に基づいて、地図画像(経路案内画像)を生成し、車室内の表示手段に表示させる。また、ナビゲーション装置70は、道路に関する情報(道路情報)を含む地図情報を内部の記憶装置に格納している。ナビゲーション装置70は、ECU30と車載LAN等により通信可能に接続され、自車両100の位置に対応する地図情報(道路情報)等をECU30に送信する。
次に、本実施形態に係る情報通知装置1(ECU30)による他車両200の存在する方向を通知する処理(情報通知処理)の詳細について説明する。
まず、図4を用いて、ECU30による通知対象判定処理(他車両200が自車両100の運転者等に存在する方向(存在エリア)を通知する対象であるか否かを判定する処理)について説明する。
図4は、本実施形態に係る情報通知装置1(ECU30)による通知対象判定処理の一例を示すフローチャートである。当該フローチャートは、車車間通信可能な他車両200が自車両100により検出される(車車間通信用無線機10による他車両200との情報の送受信が可能になる)度に実行される。
ステップS101にて、他車両情報取得部32は、他車両情報(他車両位置情報、他車両位置精度情報、識別情報等)を取得する。
ステップS102にて、自車両情報取得部31は、自車両情報(自車両位置情報、自車両位置精度情報等)を取得する。
ステップS103にて、相対位置算出部33は、他車両200の相対位置(自車両100と他車両200の距離D、自車両100から見た他車両200の方位等)を算出する。
ステップS104にて、接近判定部34は、他車両200が自車両100に接近中であるか否かを判定する。接近判定部34は、他車両200が自車両100に接近中である場合、ステップS105に進み、他車両200が自車両100に接近中でない場合、今回の処理を終了する。
ステップS105にて、通知制御部37は、他車両200が継続通知対象であるか、即ち、当該フローチャートにおける後述するステップS110による存在エリアの通知が行われた(開始された)他車両200であるか否かを判定する。通知制御部37は、他車両200が継続通知対象でない場合、ステップS106に進み、継続通知対象である場合、ステップS112に進む。
なお、車車間通信用無線機10により受信される他車両情報には、他車両200に固有の識別情報(ID)が含まれるため、通知制御部37は、当該識別情報を確認することで、特定の他車両200が継続通知対象であるか否かを判断することができる。
ステップS106〜S109は、まだ、存在エリアの通知が開始されていない他車両200が通知対象であるか否かを判定する処理フローである。
ステップS106にて、位置精度判定部35は、自車両推定位置精度、他車両推定位置精度、及び、推定相対位置精度が第1所定レベル以上であるかを判断する。
なお、位置精度の基準である第1所定レベルは、例えば、「誤差が第1所定距離以内に相当するレベル」のように規定されてよい。また、段階的な位置精度レベルが誤差に対応して複数設定される場合は、第1所定レベルは、当該位置精度レベルの何れかに相当するものであってよい。
ステップS107にて、位置精度判定部35は、ステップS106の判断結果に基づき、自車両推定位置精度が第1所定レベル以上であるか否かを判定する。位置精度判定部35は、自車両推定位置精度が第1所定レベル以上である場合、ステップS108に進み、自車両推定位置精度が第1所定レベル以上でない場合、ステップS111に進む。
ステップS108にて、位置精度判定部35は、ステップS106の判断結果に基づき、他車両推定位置精度が第1所定レベル以上であるか否かを判定する。位置精度判定部35は、他車両推定位置精度が第1所定レベル以上である場合、ステップS109に進み、他車両推定位置精度が第1所定レベル以上でない場合、ステップS111に進む。
ステップS109にて、位置精度判定部35は、ステップS106の判断結果に基づき、推定相対位置精度が第1所定レベル以上であるか否かを判定する。位置精度判定部35は、推定相対位置精度が第1所定レベル以上である場合、ステップS110に進み、推定相対位置精度が第1所定レベル以上でない場合、ステップS111に進む。
なお、ステップS106〜S109では、具体的に、自車両推定位置精度、他車両推定位置精度、及び、推定相対位置精度に対応する各誤差が、第1所定レベルに対応する第1所定距離以内であるか否かを判定してもよい。また、ステップS107〜S109では、推定相対位置精度が第1所定レベルをクリアしているか否かを判定するため、他車両200の推定相対位置の元となる自車両100及び他車両200の推定位置の精度についても第1所定レベルをクリアしているか否かを判定するが、ステップS107〜S108を省略し、ステップS109のみを実行してもよい。
ステップS110にて、通知制御部37は、ディスプレイ40、スピーカ50を通じて、他車両200の存在エリアの通知を行う。即ち、通知制御部37は、他車両200の存在エリアの通知を開始する。
一方、ステップS111にて、通知制御部37は、他車両200の存在エリアの通知を行わない。即ち、通知制御部37は、他車両200の存在エリアの通知を開始しない。
まとめると、ECU30は、推定相対位置精度が第1所定レベル以上である(位置精度の基準である第1所定レベルをクリアしている)場合、他車両200の通知を開始する。一方、ECU30は、推定相対位置精度が第1所定レベル以上でない場合、他車両200の通知を開始しない。
また、ステップS112〜S115は、存在エリアの通知が既に開始された他車両200が通知対象であるか否かを判定する処理フローである。
ステップS112にて、位置精度判定部35は、自車両推定位置精度、他車両推定位置精度、及び、推定相対位置精度が第2所定レベル以上であるかを判断する。
なお、位置精度の基準である第2所定レベルは、上述した第1所定レベルより低く設定される基準である。例えば、第1所定レベルが「誤差が第1所定距離以内」に相当する位置精度の基準であるとして、第2所定レベルは、「誤差が第2所定距離(>第1所定距離)以内」に相当する位置精度の基準であり、第1所定レベルより大きな誤差を許容する位置精度の基準である。
ステップS113にて、位置精度判定部35は、ステップS112の判断結果に基づき、自車両推定位置精度が第2所定レベル以上であるか否かを判定する。位置精度判定部35は、自車両推定位置精度が第2所定レベル以上である場合、ステップS113に進み、自車両推定位置精度が第2所定レベル以上でない場合、ステップS117に進む。
ステップS114にて、位置精度判定部35は、ステップS112の判断結果に基づき、他車両推定位置精度が第2所定レベル以上であるか否かを判定する。位置精度判定部35は、他車両推定位置精度が第2所定レベル以上である場合、ステップS115に進み、他車両推定位置精度が第2所定レベル以上でない場合、ステップS117に進む。
ステップS115にて、位置精度判定部35は、ステップS112の判断結果に基づき、推定相対位置精度が第2所定レベル以上であるか否かを判定する。位置精度判定部35は、推定相対位置精度が第2所定レベル以上である場合、ステップS116に進み、推定相対位置精度が第2所定レベル以上でない場合、ステップS117に進む。
なお、ステップS112〜S115では、具体的に、自車両推定位置精度、他車両推定位置精度、及び、推定相対位置精度に対応する各誤差が、第2所定レベルに対応する第2所定距離以内であるか否かを判定してもよい。また、ステップS113〜S115では、推定相対位置精度が第2所定レベルをクリアしているか否かを判定するため、他車両200の推定相対位置の元となる自車両100及び他車両200の推定位置の精度についても第2所定レベルをクリアしているか否かを判定するが、ステップS113〜S114を省略し、ステップS115のみを実行してもよい。
ステップS116にて、通知制御部37は、ディスプレイ40、スピーカ50を通じて、他車両200の存在エリアの通知を行う。即ち、通知制御部37は、他車両200の存在エリアの通知を継続する。
一方、ステップS117にて、通知制御部37は、他車両200の存在エリアの通知を行わない。即ち、通知制御部37は、他車両200の存在エリアの通知を途中終了する。
まとめると、ECU30は、推定相対位置精度が第2所定レベル以上である(位置精度の基準である第2所定レベルをクリアしている)場合、他車両200の通知を継続する。一方、ECU30は、推定相対位置精度が第2所定レベル以上でない場合、他車両200の通知を途中終了する。
なお、「途中終了」とは、他車両200が自車両100に接近中の段階で、推定相対位置精度の悪化に応じて、他車両200の存在エリアの通知を終了することを意味する。
このように、本実施形態に係る情報通知装置1は、推定相対位置精度が位置精度に関する所定基準(第1所定レベル、第2所定レベル)をクリアしないと、他車両200の存在エリアの通知を行わない。これにより、自車両100の運転者等に通知される他車両200の存在エリアについて、一定基準以上の精度が保障されるため、誤った他車両200の存在エリア(実際に他車両200の存在エリアと異なる存在エリア)が通知される等の問題の発生を抑制することができる。
また、本実施形態に係る情報通知装置1は、他車両200の存在する方向(存在エリア)の通知を開始するための位置精度の基準(第1所定レベル)より通知を継続するための位置精度の基準(第2所定レベル)を低く(緩和して)設定する。これにより、通知される他車両の存在する方向について、ある程度高い位置精度の基準(第1所定レベル)を保障しつつ、通知開始後に、通知と非通知(途中終了)とが繰り返されるハンチングを防止することができる。
なお、通知対象判定処理において、自車両推定進行方向精度情報、及び、他車両推定進行方向精度情報に基づく、自車両100、及び、他車両200の推定進行方向の精度(自車両推定進行方向精度、及び、他車両推定進行方向精度)が所定のレベル以上であるか否かを考慮してもよい。即ち、ステップS104において、他車両200が自車両100に接近中か否かを判定する際、自車両100、他車両200の推定進行方向を用いるため、自車両100、他車両200の推定進行方向の精度が悪いと、誤って他車両200が自車両100に接近中であると判定してしまうおそれがある。そのため、例えば、自車両推定進行方向精度、及び、他車両推定進行方向精度の少なくとも一方が所定レベル以上でない場合は、他車両200を通知対象としない判定をしたり、他車両200を参考情報として通知する対象としたりしてよい。
また、ECU30(通知制御部37)は、本フローチャートのステップS107にて、自車両推定位置精度が第1所定レベル以上でないと判定する場合、同時に検出されている全ての継続通知対象でない他車両200との関係においても、存在エリアの通知を開始しない。また、ECU30(通知制御部37)は、本フローチャートのステップS113にて、自車両推定位置精度が第2所定レベル以上でないと判定する場合、同時に検出されている全ての継続通知対象である他車両200との関係においても、存在エリアの通知を途中終了する。
続いて、図5を用いて、ECU30による存在エリア通知処理(図4のステップS110、S116に対応する処理)について説明をする。
図5は、本実施形態に係る情報通知装置1(ECU30)による存在エリア通知処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS201にて、存在エリア決定部36は、相対位置算出部33により算出される他車両200の相対位置(他車両200の推定相対位置)に基づき、他車両200の存在する方向が上述した8つの存在エリア(「前方エリア」、「右前方エリア」、「右方エリア」「右後方エリア」、「後方エリア」、「左後方エリア」、「左方エリア」、及び、「左前方エリア」)の何れに対応するかを決定する。
ステップS202にて、通知制御部37は、他車両200が継続通知対象であるか、即ち、当該フローチャートにおける後述するステップS203による存在エリアの通知が行われた(開始された)他車両200であるか否かを判定する。通知制御部37は、他車両200が継続通知対象でない場合、ステップS203に進み、継続通知対象である場合、ステップS204に進む。
以下、ステップS203は、図4のステップS110に対応する処理であり、ステップS204〜S207は、図4のステップS116に対応する処理である。
ステップS203にて、通知制御部37は、ディスプレイ40、スピーカ50を通じて、ステップS201にて決定された存在エリアの通知を行い(通知を開始し)、今回の処理を終了する。
また、ステップS204にて、通知制御部37は、ステップS201で決定された存在エリアが前回の本フローチャートによる処理により通知されている存在エリアから変化したか否かを判定する。通知制御部37は、存在エリアが変化した場合、ステップS205に進み、存在エリアが変化していない場合、ステップS207に進む。
ステップS205にて、通知制御部37は、自車両100と他車両200の推定距離Dが第2閾値Dth2以下か否かを判定する。通知制御部37は、自車両100と他車両200の推定距離Dが第2閾値Dth2以下でない場合、ステップS206に進み、自車両100と他車両200の推定距離Dが第2閾値Dth2以下である場合、ステップS207に進む。
ステップS206にて、通知制御部37は、ディスプレイ40、スピーカ50を通じて、今回の本フローチャートにおけるステップS201で決定された存在エリアを通知する。即ち、通知制御部37は、前回の本フローチャートによる処理により通知されている存在エリアを今回の本フローチャートにおけるステップS201で決定された存在エリアに変更して通知する。
一方、ステップS207にて、通知制御部37は、ディスプレイ40、スピーカ50を通じて、前回の本フローチャートによる処理により通知されている存在エリアを継続して通知する。即ち、通知制御部37は、前回の本フローチャートによる処理により通知されている存在エリアを変更せず通知する。
このように、本実施形態に係る情報通知装置1は、自車両100と他車両200の推定距離Dが第1閾値Dth1より小さく設定される第2閾値Dth2以下である場合、他車両200の存在エリアが変化しても、通知する存在エリアを変更しない。
ここで、図6を用いて、図5に示した情報通知装置1(ECU30)による存在エリア通知処理が有効に機能する場面について説明をする。
図6は、本実施形態に係る情報通知装置1(ECU30)の作用を説明する図であり、具体的には、交差点で停車する自車両100に対して、当該交差点に自車両100の前方から交差する道路を走行して他車両200が接近する場面を表している。
なお、図中において、時刻t1、t2、及び、t3における他車両200(図中の他車両200t1、200t2、及び200t3)が示され、各時刻t1、t2、及び、t3に対応する各他車両200を時系列で表している。また、自車両100を中心とする領域A1及び領域A2は、自車両100と他車両200の推定距離Dが、上述した第1閾値Dth1以下の領域、及び、上述した第2閾値Dth2以下の領域に対応している。また、時刻t1において、自車両推定位置精度、他車両推定位置精度、及び、推定相対位置精度は、第1所定レベル以上であることを前提とする。また、時刻t2、t3において、自車両推定位置精度、他車両推定位置精度、及び、推定相対位置精度は、第2所定レベル以上であることを前提とする。
図6を参照するに、時刻t1にて、他車両200は、自車両100に向かって走行している状態で、領域A1内に入っている(自車両100と他車両200の推定距離Dが第1閾値Dth1以下になっている)。よって、ECU30は、ディスプレイ40、スピーカ50を通じて、他車両200の存在エリアの通知を開始する。この際、他車両200が走行する道路(他車両走行路)が右前方から曲がりながら自車両100が停車する交差点に接続する構造であるため、自車両100から他車両200が視認不可能な状況であり、他車両200の存在エリアは、「右前方エリア」として通知される。
時刻t1から時刻t2の間で、他車両200は交差点に近づき、時刻t2にて、他車両200の存在エリアは、「右前方エリア」から「前方エリア」に変化し、自車両100から他車両200が視認可能な状況になっている。この際、他車両200が領域A2外にいる(自車両100と他車両200の推定距離Dが第2閾値Dth2以下になっていない)ので、ECU30は、他車両200の存在エリアを変更して(「右前方エリア」→「前方エリア」)通知する(図中の○印)。
時刻t2から時刻t3の間で、他車両200は更に交差点に近づき、時刻t3にて、他車両200は、交差点に到達している。ここで、時刻t3において、推定相対位置精度が悪化している(第1所定レベルより低下している)ため、ECU30は、他車両200の位置及び進行方向を誤って認識し、図中の他車両200Gに相当するものとして認識(算出)してしまっている。すると、ECU30が認識する他車両200Gの存在する方向は、「左前方エリア」となり、時刻t2における存在エリアである「前方エリア」から変化している。しかしながら、ECU30が認識する他車両200Gが領域A2内にいる(自車両100と他車両200Gの推定距離Dが第2閾値Dth2以下になっている)ので、ECU30は、他車両200の存在エリアを変更せず、「前方エリア」として継続通知する(図中の×印)。
このように、他車両走行路が曲路である場合、他車両200がある程度自車両100に接近しないと、自車両100の運転者等は、他車両200を視認することができない。従って、本実施形態に係る情報通知装置1は、他車両200が領域A2外にいる場合、存在エリアの変化に対応して通知する存在エリアを変更することにより、運転者が目視できた他車両200と今まで存在エリアが通知されていた他車両200とを対応づけて認識できるようにする。
また、他車両200が領域A2内にいる場合、自車両100の運転者等は、既に、他車両200を視認できている可能性が高く、他車両200の存在エリアが変化する可能性は低い。そのため、通知される存在エリアが変更されると、運転者に違和感を与えたり、視認可能な他車両200以外の車両が接近してきていると勘違いし、当該他車両200への注意が不十分になったりするおそれがある。従って、本実施形態に係る情報通知装置1は、他車両200が領域A2内にいる場合、他車両200の存在エリアが変化しても、通知する存在エリアを変更しないことにより、かかる問題を解消することができる。
また、図4で説明したように、本実施形態に係る情報通知装置1は、推定相対位置精度が第1所定レベル以上でないと他車両200の存在エリアの通知を開始しない。即ち、他車両200の存在エリアの通知が開始された後に、他車両200が領域A2内にいる状況で、他車両200の存在エリアが変化する場合、推定相対位置精度が悪化して、ECU30が他車両200の位置を誤って認識している可能性が高い。従って、本実施形態に係る情報通知装置1は、他車両200が領域A2内にいる場合に、通知する存在エリアを変更しないことにより、他車両200の通知開始後に、誤った他車両200の存在エリア(実際の他車両200の存在エリアとは異なる存在エリア)が自車両100の運転者等に通知されることを確実に防止することができる。
続いて、図7を用いて、本実施形態に係る情報通知装置1(ECU30)による存在エリア通知終了処理(他車両200の存在エリアの通知を終了させる処理)について説明する。
図7は、本実施形態に係る情報通知装置1(ECU30)による存在エリア通知終了処理の一例を示すフローチャートである。当該フローチャートは、車車間通信可能な他車両200が自車両100により検出される(車車間通信用無線機10による他車両200との情報の送受信が可能になる)度に実行される。即ち、当該フローチャートは、図4に示した存在エリア通知対象判定処理と並行して実行される。
ステップS301にて、他車両情報取得部32は、他車両情報(他車両位置情報、他車両位置精度情報、識別情報等)を取得する。
ステップS302にて、自車両情報取得部31は、自車両情報(自車両位置情報、自車両位置精度情報等)を取得する。
ステップS303にて、相対位置算出部33は、他車両200の相対位置(自車両100と他車両200の距離D、自車両100から見た他車両200の方位等)を算出する。
ステップS304にて、接近判定部34は、他車両200が自車両100に接近中であるか否かを判定する。接近判定部34は、他車両200が自車両100に接近中である場合、ステップS305に進み、他車両200が自車両100に接近中でない場合、今回の処理を終了する。
ステップS305にて、通知制御部37は、他車両200が継続通知対象であるか、即ち、上述した図4、図5の処理フローによる存在エリアの通知が行われた(開始された)他車両200であるか否かを判定する。通知制御部37は、他車両200が継続通知対象である場合、ステップS306に進み、継続通知対象でない場合、今回の処理を終了する。
ステップS306にて、位置精度判定部35は、推定相対位置精度に基づき、自車両100と他車両200の推定距離Dに想定される誤差ε(第3閾値Dth3)を算出する。
なお、誤差εは、上述した第2閾値Dth2より小さい値である。即ち、他車両200の存在エリアの通知を継続するための条件に対応する上述した第2所定レベルは、誤差が第2閾値Dth2より小さい値になるような位置精度の基準として設定される。
ステップS307にて、通知制御部37は、自車両100と他車両200の推定距離Dが誤差ε(第3閾値Dth3)以下であるか否かを判定する。自車両100と他車両200の推定距離Dが誤差ε以下でない場合、ステップS308に進み、自車両100と他車両200の推定距離Dが誤差ε以下である場合、ステップS309に進む。
ステップS308にて、通知制御部37は、当該他車両200の存在エリアの通知を継続する。即ち、通知制御部37は、本フローチャートと並行して処理する図4、図5のフローチャートの処理による当該他車両200の存在エリアの通知を継続して実行する。
一方、ステップS309にて、通知制御部37は、当該他車両200の存在エリアの通知を終了(正常終了)する。即ち、通知制御部37は、本フローチャートと並行して処理する図4、図5のフローチャートの処理による当該他車両200の存在エリアの通知を終了して、行わないようにする。
なお、通知制御部37は、ステップS309に対応する具体的な処理として、当該他車両200に対する図4、図5のフローチャートによる処理自体を行わないようにしてもよいし、図4、図5のフローチャートによる処理に基づく当該他車両200の存在エリアの通知をブロックする処理を行うようにしてもよい。また、「正常終了」とは、上述した「途中終了」と差別化しても用いるものであり、本フローチャートによる処理に基づき他車両200の存在エリアの通知を終了することを意味する。
このように、本実施形態に係る情報通知装置1は、自車両100と他車両200の推定距離Dがその誤差ε以下の場合、当該他車両200の存在エリアの通知を終了する(当該他車両200に関する運転支援を終了する)。
ここで、図8を用いて、図7に示した情報通知装置1(ECU30)による存在エリア通知終了処理が有効に機能する場面について説明をする。
図8は、本実施形態に係る情報通知装置1(ECU30)の作用を説明する図であり、具体的には、T字路交差点で一時停車する自車両100に対して、自車両100の左方向から他車両200が走行して当該交差点を右方向に通過する場面を表している。
なお、図8において、自車両推定位置精度、他車両推定位置精度、及び、推定相対位置精度は、上述した第2所定レベル以上であることを前提とする。
図8を参照するに、実際の他車両200は、既に交差点に到達し、自車両100との距離が略ゼロの状態である。しかしながら、推定相対位置精度が悪化している(第1所定レベルよりも低下している)ため、ECU30は、他車両200の位置を誤って認識し、図中の他車両200Gに相当するものとして認識(算出)してしまっている。
他車両200Gの位置(他車両200の推定位置)と実際の他車両200の位置(自車両100の位置と同等)とのずれ量は、最大で、上述した自車両100と他車両200との誤差εに相当する。従って、本実施形態に係る情報通知装置1は、自車両100と他車両200の推定距離Dがその誤差ε以下になると、当該他車両200の存在エリアの通知を終了することにより、当該他車両200が自車両100近辺を通過する前に、当該他車両200の存在エリアの通知を終了することができる。
例えば、当該他車両200が既に自車両100の前を通過したのに、未だ当該他車両200が左方向から接近中である旨の通知(存在エリアとして「左方エリア」が通知)がされると、他車両200の通過を目視で確認した自車両100の運転者に違和感を与えるおそれがある。また、他車両200が既に自車両100の前を通過したのに、未だ当該他車両200が左方向から接近中である旨の通知(存在エリアとして「左方エリア」が通知)されると、停車中の自車両100の運転者は、自車両100をなかなか発進させることができないため、交通流の妨げになるおそれがある。
しかしながら、本実施形態に係る情報通知装置1は、自車両100と他車両200の推定距離Dがその誤差ε以下になると、当該他車両200の存在エリアの通知を終了することにより、かかる問題の発生を防止することができる。
なお、自車両100と他車両200の推定距離Dの誤差εの代わりに、推定相対位置精度に応じて適宜設定される他の値を用いてもよい。例えば、他車両200が自車両100近辺を通過する前に他車両200の存在エリアの通知が終了されればよいため、誤差εの代わりに、誤差εに余裕分を加えた他の値が用いられてよい。また、自車両100と他車両200の推定距離Dの誤差は、自車両100から見た他車両200の存在する方向によって異なる場合があるため、誤差εの代わりに、推定相対位置精度(に含まれる他車両200の存在する方向と誤差の関係)に応じて設定される他の値を用いてもよい。当該他の値は、上述した第2閾値Dth2より小さく設定される。
また、例えば、自車両100が交差点で停車しているような場合、自車両100近辺を通過することは、当該交差点を通過することを意味するため、自車両100と他車両200との推定距離Dの代わりに、他車両200と当該交差点との距離を用いてもよい。即ち、他車両200と当該交差点との距離がその誤差以下になると、当該他車両200の存在エリアの通知を終了するとよい。この場合、ECU30は、ナビゲーション装置70から送信される道路情報に基づき、当該交差点の位置を取得するとよい。また、他車両200と当該交差点との距離に想定される誤差は、ほとんど、他車両推定位置精度に依存するので、ECU30は、他車両推定位置精度に基づき、他車両200と当該交差点との距離に想定される誤差を算出してよい。これにより、同様の作用、効果を得ることができる。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。