以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、各実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。
(第1実施形態)
本実施形態では、本発明に係る異常検出装置を、車載主機としてのモータジェネレータの電源を構成する高電圧バッテリを監視する電池監視ユニット20に適用している。
図1に示すように、高電圧バッテリである組電池10は、その端子間電圧が、例えば100V以上となるように、リチウムイオン電池等の二次電池からなる電池セルを複数直列に接続した直列接続体で構成されている。なお、本実施形態の組電池10は、モータジェネレータへ給電する電源としての機能に加えて、モータジェネレータの回生制御によって生成される電力を蓄える蓄電池としても機能する。
因みに、本実施形態では、組電池10として、複数個の電池セルの直列接続体である第1セルグループCG1および第2セルグループCG2を直列に接続したものを例示している。各セルグループCG1、CG2は、電池セルが積層された電池スタックとして構成されている。
各セルグループCG1、CG2は、「導電部材」であるスタック間ワイヤSPを介して直列に接続されている。このスタック間ワイヤSPは、低電位側の第1セルグループCG1の正極端子と高電位側の第2セルグループCG2の負極端子とを接続するものである。なお、スタック間ワイヤSPは、組電池10のメンテナンス作業時等に、各セルグループCG1、CG2の導通を遮断するサービスプラグとしても機能する。
各セルグループCG1、CG2は、1つまたは隣接する2つの電池セルのいずれかで定義される単位電池により構成されている。因みに、本実施形態では、第1セルグループCG1を単位電池BC1〜BC3等で構成し、第2セルグループCG2を単位電池BC4〜BC6等で構成したものを例示している。以降、第1セルグループCG1を構成する単位電池を第1〜第3単位電池BC1〜BC3と呼び、第2セルグループCGを構成する単位電池を第4〜第6単位電池BC4〜BC6と呼ぶ。なお、本実施形態では、組電池10を構成する各電池セルそれぞれの充電容量、開放電圧、内部抵抗等が同一であるものとして説明する。
電池監視ユニット20は、組電池10の状態を単位電池BC1〜BC6毎に監視する監視装置として機能すると共に、スタック間ワイヤSPのオープン異常を検出する異常検出装置としても機能する。
本実施形態の電池監視ユニット20は、各単位電池BC1〜BC6それぞれの両端に接続された複数の電気経路L1〜L10、第1〜第3監視IC30a〜30c、電圧検出ユニット40、制御装置50等を備えている。
各監視IC30a〜30cは、複数(本例では2つ)の単位電池を直列に接続した監視ブロック毎に設けられ、監視ブロックを構成する各単位電池それぞれの端子間電圧を検出して、各単位電池の電圧が適正電圧範囲内であるかを監視する集積回路である。
本実施形態では、第1監視IC30aが第1、第2単位電池BC1、BC2に対応して設けられ、第2監視IC30bが第3、第4単位電池BC3、BC4に対応して設けられ、第3監視IC30cが第5、第6単位電池BC5、BC6に対応して設けられたものを例示している。
具体的には、第1監視IC30aは、第1単位電池BC1の両端に接続された第1、第2電気経路L1、L2、および第2単位電池BC2の正極端子に接続された第3電気経路L3を介して、第1、第2単位電池BC1、BC2に接続されている。第1監視IC30aは、自身に接続された第1〜第3電気経路L1〜L3を介して、第1、第2単位電池BC1、BC2の端子間電圧を検出する。
第2監視IC30bは、第3単位電池BC3の両端に接続された第4、第5電気経路L4、L5、および第4単位電池BC4の両端に接続された第6、第7電気経路L6、L7を介して、第3、第4単位電池BC3、BC4に接続されている。第2監視IC30bは、自身に接続された第4〜第7電気経路L4〜L7を介して、第3、第4単位電池BC3、BC4の端子間電圧を検出する。
第3監視IC30cは、第5単位電池BC5の両端に接続された第8、第9電気経路L8、L9、および第6単位電池BC6の正極端子に接続された第10電気経路L10を介して、第5、第6単位電池BC5、BC6に接続されている。第3監視IC30cは、自身に接続された第8〜第10電気経路L8〜L10を介して、第5、第6単位電池BC5、BC6の端子間電圧を検出する。
各監視IC30a〜30cは、制御装置50からの制御信号に応じて、監視ブロックを構成する単位電池それぞれの端子間電圧を監視する。本実施形態の監視IC30a〜30cは、制御装置50からの制御信号が高電位側の監視ICから低電位側の監視ICへと順次伝達されるようにシリアルラインSLによって接続(ディジーチェーン接続)されている。
本実施形態では、各監視IC30a〜30cのうち、最も高電位側の監視IC30c、および最も低電位側の監視IC30aが、フォトカプラ等で構成される絶縁素子51、52を介して制御装置50に接続されている。
このように、各監視IC30a〜30cと制御装置50をディジチェーン方式により接続する構成とすることで、各監視IC30a〜30cと制御装置50との間の絶縁性を確保する絶縁素子51、52の数を極力抑えることが可能となる。
ここで、第1セルグループCG1を構成する第3単位電池BC3、および第2セルグループCG2を構成する第4単位電池BC4は、スタック間ワイヤSPを介して直列に接続されている。そして、第2監視IC30bは、第5、第6電気経路L5、L6を介して、スタック間ワイヤSPの両端に接続される。
本実施形態の第2監視IC30bは、第5、第6電気経路L5、L6を介して、後述のバイパス経路70の両端の電位差(スタック間ワイヤSPの端子間電圧)を検出可能に構成されている。なお、以下では、バイパス経路70の両端の電位差が、スタック間ワイヤSPの端子間電圧と一致する場合には、バイパス経路70の両端の電位差をスタック間ワイヤSPの端子間電圧と呼ぶことがある。
また、本実施形態の第2監視IC30bは、後述する電圧検出ユニット40よりも短時間で電圧を検出可能に構成されている。なお、本実施形態では、第2監視IC30bが後述のバイパス経路70の両端における電位差を検出する「電位差検出手段」を構成している。
また、第2監視IC30bには、スタック間ワイヤSPの両端に接続された一対の電気経路L5、L6を介して過電流が流入することを回避するために、電流保護素子として保護ダイオード32が内蔵されている。この保護ダイオード32は、スタック間ワイヤSPの両端に接続された一対の電気経路L5、L6における低電位側の第5電気経路L5から高電位側の第6電気経路L6への電流の流れだけを許容し、その逆の電流の流れを禁止するものである。
本実施形態では、スタック間ワイヤSPの高電位側の端子と同電位となる第6電気経路L6、およびスタック間ワイヤSPの低電位側の端子と同電位となる第5電気経路L5との間に、各電気経路L5、L6を短絡させるバイパス経路70が設けられている。
このバイパス経路70は、スタック間ワイヤSPが開状態(オープン状態)となった際に、過電圧が監視IC側へ印加されることを回避するために設けられている。なお、本実施形態では、第6電気経路L6がスタック間ワイヤSPの高電位側以上の電位となる「第1の電気経路」を構成し、第5電気経路L5が、スタック間ワイヤSPの低電位側以下の電位となる「第2の電気経路」を構成している。
また、本実施形態では、バイパス経路70に一対のツェナダイオード70a、70bが設けられている。各ツェナダイオード70a、70bは、スタック間ワイヤSPが開状態(オープン状態)となった際、バイパス経路70の両端(スタック間ワイヤSPの両端)に接続される一対の電気経路L5、L6の電位差を一定電圧に保持するものである。
第1ツェナダイオード70aは、カソードが第6電気経路L6に接続され、アノードが第2ツェナダイオード70bを介して第5電気経路L5に接続されている。また、第2ツェナダイオード70bは、アノードが第5電気経路L5に接続され、カソードが第1ツェナダイオード70aを介して第6電気経路L6に接続されている。
なお、本実施形態の各ツェナダイオード70a、70bは、その降伏電圧(ツェナ電圧)が、例えば、スタック間ワイヤSPの端子間電圧よりも大きい値であって、各監視ICの耐電圧(例えば、10V)よりも低い値(例えば、8.2V程度)に設定されている。
続いて、電圧検出ユニット40は、各セルグループCG1、CG2それぞれの端子間電圧を検出するもので、いわゆるフライングキャパシタ方式の電圧検出回路で構成されている。
電圧検出ユニット40は、入力側スイッチ群42、フライングキャパシタ44、一対の出力スイッチSWa、SWb、差動増幅回路46、AD変換器48を有する。なお、本実施形態では、電圧検出ユニット40が「キャパシタ電圧検出手段」を構成している。
入力側スイッチ群42は、各電気経路L1〜L10等を介して、フライングキャパシタ44に対して1つ以上の単位電池の端子間電圧を充電するための回路である。本実施形態の入力側スイッチ群42は、フライングキャパシタ44の一端部A(正極端子)に接続された第1入力ラインLα、およびフライングキャパシタ44の他端部B(負極端子)に接続された第2入力ラインLβを介して、フライングキャパシタ44にセルグループCG1、CG2の端子間電圧を充電する。
より具体的には、入力側スイッチ群42は、第1〜第5入力スイッチSW1〜SW5(例えば、SSR:Solid State Relay)で構成されている。
第1入力スイッチSW1は、一端側が抵抗体R1を介して第1セルグループCG1の負極端子と同電位となる第1電気経路L1に接続され、他端側が第1入力ラインLαに接続されている。また、第2入力スイッチSW2は、一端側が抵抗体R2を介して第1電気経路L1に接続され、他端側が第2入力ラインLβに接続されている。
第3入力スイッチSW3は、一端側が抵抗体R3を介して第1セルグループCG1の正極端子と同電位となる第5電気経路L5に接続され、他端側が第1入力ラインLαに接続されている。また、第4入力スイッチSW4は、一端側が抵抗体R4を介して第2セルグループCG2の負極端子と同電位となる第6電気経路L6に接続され、他端側が第2入力ラインLβに接続されている。そして、第5入力スイッチSW5は、一端側が抵抗体R5を介して第2セルグループCG2の正極端子と同電位となる第10電気経路L10に接続され、他端側が第1入力ラインLαに接続されている。
本実施形態の入力側スイッチ群42を構成する各スイッチSW1〜SW5は、後述する制御装置50からの制御信号に応じて、開状態(オン)または閉状態(オフ)に切り替えられる。
本実施形態の入力側スイッチ群42は、フライングキャパシタ44に所定電圧(逆極性の電圧)が充電された状態で、各入力スイッチSW1〜SW5の開閉操作により、フライングキャパシタ44の放電電流を、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路から低電位側に接続された電気経路へ流す放電経路を形成可能となっている。
例えば、フライングキャパシタ44に対して、正極端子Aが「−」、負極端子Bが「+」となる電圧が充電された状態で、入力スイッチSW3、SW4をオンすることで、フライングキャパシタ44の放電電流を、スタック間ワイヤSPまたはバイパス経路70を介して、第6電気経路L6側から第5電気経路L5側へ流す放電経路を形成できる。なお、以降、フライングキャパシタ44の正極端子Aが「−」、負極端子Bが「+」となる関係を「逆極性」と呼び、フライングキャパシタ44の正極端子Aが「+」、負極端子Bが「−」となる関係を「正極性」と呼ぶ。
続いて、一対の出力スイッチSWa、SWb(例えば、SSR)は、フライングキャパシタ44の両端部A、B、および差動増幅回路46の入力側に接続されており、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcを差動増幅回路46の入力側へ出力するものである。
差動増幅回路46は、フライングキャパシタ44の両端部A、Bの電位差(端子間電圧)を増幅して出力する回路である。また、AD変換器(A/D)48は、差動増幅回路46から出力された出力電圧(アナログ信号)をデジタル信号に変換して、制御装置50へ出力する回路である。なお、本実施形態では、差動増幅回路46、およびAD変換器48が、フライングキャパシタ44の端子間電圧を検出する「検出回路」を構成している。
制御装置50は、CPU、記憶手段を構成するメモリ等からなるマイクロコンピュータであって、メモリに記憶されたプログラムに従って各種処理を実行する制御手段である。
本実施形態の制御装置50は、各監視IC30a〜30cを制御して単位電池毎の端子間電圧、およびバイパス経路70の両端の電位差を取得可能となっている。
また、本実施形態の制御装置50は、電圧検出ユニット40を制御して各セルグループCG1、CG2の端子間電圧を取得可能となっている。以下、制御装置50が電圧検出ユニット40を用いて各セルグループCG1、CG2の端子間電圧を取得する際の処理について説明する。
例えば、第1セルグループCG1の端子間電圧を取得する場合、制御装置50が、入力スイッチSW2、SW3をオンして、フライングキャパシタ44へ第1セルグループCG1の端子間電圧(正極性の電圧)を充電する。フライングキャパシタ44への充電が完了すると、制御装置50は、入力スイッチSW2、SW3をオフし、各出力スイッチSWa、SWbをオンする。これにより、フライングキャパシタ44の端子間電圧が差動増幅回路46にて増幅され、AD変換器48にてデジタル信号に変換されて制御装置50へ出力される。そして、制御装置50では、電圧検出ユニット40の検出電圧を電池電圧に換算して、第1セルグループCG1の端子間電圧を取得する。
一方、第2セルグループCG2の端子間電圧を取得する場合、制御装置50が、入力スイッチSW4、SW5をオンして、フライングキャパシタ44へ第2セルグループCG2の端子間電圧(正極性の電圧)を充電する。フライングキャパシタ44への充電が完了すると、制御装置50は、入力スイッチSW4、SW5をオフし、各出力スイッチSWa、SWbをオンする。これにより、フライングキャパシタ44の端子間電圧が差動増幅回路46にて増幅され、AD変換器48にてデジタル信号に変換されて制御装置50へ出力される。そして、制御装置50では、電圧検出ユニット40の検出電圧を電池電圧に換算して、第2セルグループCG2の端子間電圧を取得する。
また、本実施形態の制御装置50は、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定する異常判定処理を実行可能となっている。なお、本実施形態では、制御装置50における異常判定処理を実行する構成(ソフトウェアおよびハードウェア)が、異常判定手段50aを構成している。
以下、本実施形態に係るスタック間ワイヤSPのオープン異常の検出手法について説明する。まず、フライングキャパシタ44に所定の基準電圧以上の電圧が充電された状態で、入力側スイッチ群42の開閉操作により、フライングキャパシタ44の放電電流が、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路L6〜L10から低電位側に接続された電気経路L1〜L5へ流れる放電経路を形成する。
スタック間ワイヤSPのオープン異常が生じていない場合、フライングキャパシタ44の放電電流がスタック間ワイヤSP側へ流れる放電経路となる。この場合、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdが殆ど変動しない。そして、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、時間経過と共にゼロに収束する。
これに対して、スタック間ワイヤSPのオープン異常が生じている場合、フライングキャパシタ44の放電電流が、バイパス経路70側へ流れる放電経路となる。この場合、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdが第1ツェナダイオード70aにより降伏電圧Vz付近の値に保持される。そして、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、時間経過と共に第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vz付近の値に収束する。なお、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路から低電位側に接続された電気経路へフライングキャパシタ44の放電電流を流す場合、監視IC30bに内蔵された保護ダイオード32には電流が流れない。
このように、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路から低電位側に接続された電気経路へフライングキャパシタ44の放電電流が流れる場合、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無により、スタック間ワイヤSPおよびフライングキャパシタ44の端子間電圧が大きく乖離する。
このため、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路から低電位側に接続された電気経路へフライングキャパシタ44の放電電流が流れる場合のスタック間ワイヤSPの端子間電圧(バイパス経路70の両端の電位差)およびフライングキャパシタ44の端子間電圧に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定することができる。
続いて、本実施形態の制御装置50が実行する異常判定処理の具体例を、図2〜図4を用いて説明する。この異常判定処理は、車両の起動時や外部指令等に応じて実行される。
制御装置50は、図2の一段目に示すように、まず、フライングキャパシタ44に対して、第1セルグループCG1の端子間電圧が逆極性(正極端子Aが「−」、負極端子Bが「+」)で充電されるように、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンする(時刻t1)。
これにより、例えば、図3の破線矢印に示すように、第1セルグループCG1から第5電気経路L5→保護ダイオード32→第2入力ラインLβ→フライングキャパシタ44→第1入力ラインLα→第1電気経路L1へ電流が流れる充電経路(閉回路)が形成される。なお、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じていない場合、保護ダイオード32ではなく、スタック間ワイヤSPへ電流が流れる充電経路が形成される。
この際、フライングキャパシタ44には、第1セルグループCG1の放電電流が負極端子B側から正極端子A側へ流れることから、フライングキャパシタ44に対して逆極性の電圧が充電される。これにより、フライングキャパシタ44の端子間電圧は、図2の4段目の太実線に示すように徐々に低下する。
また、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じている場合、保護ダイオード32へ組電池10の放電電流が流れることから、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdは、図2の5段目の太実線に示すように、保護ダイオード32の順方向電圧Vfだけ低下する。
本実施形態の制御装置50は、第1セルグループCG1の端子間電圧における実効値Vτを「基準電圧」として、当該基準電圧以上となる逆極性の電圧が充電されるまで、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンに保持する。
具体的には、制御装置50は、各入力スイッチSW1、SW4をオンしたタイミング(時刻t1)からの経過時間が、上記充電経路の時定数τ(時刻t1〜時刻t2)よりも長い時間を越えるまで、各入力スイッチSW1、SW4をオンに保持する(時刻t1〜時刻t3)。
そして、制御装置50は、フライングキャパシタ44に対して第1セルグループCG1の端子間電圧Vdにおける実効値Vτ以上の電圧が充電された状態で、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオフし、第3、第4入力スイッチSW3、SW4をオンする(時刻t3)。
そして、制御装置50は、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧が充分に放電されるまで、第3、第4入力スイッチSW3、SW4をオンに保持する(時刻t3〜時刻t4)。具体的には、制御装置50は、各入力スイッチSW3、SW4をオンしたタイミング(時刻t3)からの経過時間が、後述する放電経路の時定数よりも長い時間(フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧を放電するのに必要となされる時間)を越えるまで、各入力スイッチSW3、SW4をオンに保持する(時刻t3〜時刻t4)。
この際、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じていない正常時には、フライングキャパシタ44から第2入力ラインLβ→第6電気経路L6→スタック間ワイヤSP→第5電気経路L5→第1入力ラインLαへ電流が流れる放電経路(閉回路)が形成される。
これにより、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧は、上述のスタック間ワイヤSPを含む放電経路内で放電される。この際、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdは、図2の5段目の太破線に示すように殆ど変動しない。また、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、図2の4段目の太破線に示すように、時間が経過するに伴ってゼロに収束する(時刻t4)。
一方、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じている場合には、図4の破線矢印に示すように、フライングキャパシタ44から第2入力ラインLβ→第6電気経路L6→バイパス経路70→第5電気経路L5→第1入力ラインLαへ電流が流れる放電経路(閉回路)が形成される。なお、フライングキャパシタ44からの放電電流は、スタック間ワイヤSPにおける高電位側の端子と同電位となる第6電気経路L6側から低電位側の端子と同電位となる第5電気経路L5へ流れることから、当該放電電流が保護ダイオード32に流れることはない。
これにより、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧は、上述のバイパス経路70を含む放電経路内で放電される。この際、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdは、図2の5段目の太実線に示すように、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzの絶対値から保護ダイオード32の順方向電圧Vfを減算した値(=−|Vz−Vf|)に保持される(|Vz|>>|Vf|)。
そして、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、図2の4段目の太実線に示すように、時間が経過するに伴って、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzから保護ダイオード32の順方向電圧Vfを減算した電圧に収束する(時刻t4)。
続いて、制御装置50は、第6電気経路L6側から第5電気経路L5側へフライングキャパシタ44の放電電流が流れるように入力側スイッチ群42が操作された後、フライングキャパシタ44の放電電流が流れる放電経路の時定数より長い時間が経過した際に、電圧検出ユニット40の検出値を取得する。なお、「フライングキャパシタ44の放電電流が流れる放電経路の時定数より長い時間が経過した際」とは、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧がその実効値以上放電されたタイミングを意味する。
具体的には、制御装置50は、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧が充分に放電された後、各スイッチSW3、SW4をオフし、各出力スイッチSWa、SWbをオンしてフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcを示すデジタル信号を取得する。
そして、制御装置50は、電圧検出ユニット40から取得したデジタル信号を、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcに換算する。なお、制御装置50は、電圧検出ユニット40からデジタル信号を取得した後、出力スイッチSWa、SWbをオフする(時刻t5)。
続いて、制御装置50は、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcと予め設定された判定閾値Vth1との大小関係を比較し、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定する。なお、本実施形態の判定閾値Vth1は、図2の4段目に示すように、「−|Vz−Vf|」より大きく、「ゼロ」より小さい範囲内の値(例えば、Vth1=−|Vz/2|)に設定されている。
具体的には、制御装置50は、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcが判定閾値Vth1より大きい場合に、オープン異常が生じていないと判定し、異常判定処理を終了する。
一方、制御装置50は、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcが判定閾値Vth1以下となる場合に、スタック間ワイヤSPのオープン異常が生じていると判定し、異常判定処理を終了する。なお、オープン異常が生じていると判定した場合、その旨を、車両制御を統括する上位の制御装置等への通知する処理や、ユーザ等へ報知する処理を実行することが望ましい。
因みに、本実施形態の異常判定処理に要する時間T1は、フライングキャパシタ44の充電時間(時刻t1〜時刻t3)、フライングキャパシタ44の放電時間(時刻t3〜時刻t4)、電圧検出ユニット40からの電圧の取得時間(時刻t4〜時刻t5)までを合算した時間となる。なお、異常判定処理に要する時間T1は、異常判定処理にて電圧検出ユニット40の制御を開始してから終了するまでの期間である。
以上説明した本実施形態では、スタック間ワイヤSPのオープン異常を検出する異常検出処理にて、フライングキャパシタ44の放電電流を、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路L6から低電位側に接続された電気経路L5へ流すようにしている。
これによれば、フライングキャパシタ44の放電電流を、第2監視IC30bに内蔵された保護ダイオード32ではなく、スタック間ワイヤSP、および第1ツェナダイオード70aが設けられたバイパス経路70のいずれかを介して流すことができる。
そして、フライングキャパシタ44の放電電流は、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じている異常時に、バイパス経路70側へ流れ、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じていない正常時に、スタック間ワイヤSP側へ流れる。
フライングキャパシタ44の放電電流がバイパス経路70側へ流れる場合、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzの影響により、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vd、および放電完了時のフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcが、スタック間ワイヤSPの正常時に対して大きく乖離する。
このため、スタック間ワイヤSPの両端に接続された一対の電気経路L5、L6に保護ダイオード32が設けられていたとしても、フライングキャパシタ44の端子間電圧に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を適切に判定することができる。
また、本実施形態では、第3、第4入力スイッチSW3、SW4がオン操作された後、フライングキャパシタ44の放電電流が流れる放電経路の時定数より長い時間が経過した際の電圧検出ユニット40の検出値に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定する構成としている。
これによると、各監視IC30a〜30cを利用することなく、電圧検出ユニット40だけを利用して、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を適切に判定することができる。つまり、スタック間ワイヤSPの両端に接続された一対の電気経路L5、L6に保護ダイオード32に相当する電流保護素子が設けられた構成であれば、各監視IC30a〜30cがなくても、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を適切に判定することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態における異常判定処理の一部を変更した例について説明する。なお、本実施形態の組電池10および電池監視ユニット20の構成は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
以下、本実施形態の制御装置50が実行する異常判定処理について、図5を用いて説明する。まず、図5の一段目に示すように、制御装置50が、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンする(時刻t1)。
その後、本実施形態の制御装置50は、第1セルグループCG1の端子間電圧の実効値よりも小さい第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzを「基準電圧」として、当該基準電圧以上の電圧が逆極性で充電されるまで、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンに保持する。
具体的には、制御装置50は、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vz分の電圧をフライングキャパシタ44へ充電する際に必要となる時間(時刻t1〜時刻tα)以上の時間、各入力スイッチSW1、SW4をオンに保持する(時刻t1〜時刻t3´)。
これにより、フライングキャパシタ44の端子間電圧は、図5の4段目の太実線に示すように徐々に低下する。なお、本実施形態では、各入力スイッチSW1、SW4をオンに保持する時間を、充電経路の時定数τ以下としている。
続いて、制御装置50は、フライングキャパシタ44に対して第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vz以上の電圧が充電された状態で、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオフし、第3、第4入力スイッチSW3、SW4をオンする(時刻t3´)。
そして、制御装置50は、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧が充分に放電されるまで、第3、第4入力スイッチSW3、SW4をオンに保持する(時刻t3´〜時刻t4´)。
これにより、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じていない正常時には、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcが、図5の4段目の太破線に示すように、時間が経過するに伴ってゼロに収束する(時刻t4´)。
一方、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じた異常時には、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcが、図5の4段目の太実線に示すように、時間が経過するに伴って、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzから保護ダイオード32の順方向電圧Vfを減算した電圧に収束する(時刻t4´)。
フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧が充分に放電された後、制御装置50は、各スイッチSW3、SW4をオフし、各出力スイッチSWa、SWbをオンして、電圧検出ユニット40からフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcを取得する。そして、制御装置50は、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcと予め設定された判定閾値Vth1との大小関係を比較し、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定する。
因みに、本実施形態の異常判定処理に要する時間T2は、フライングキャパシタ44の充電時間(時刻t1〜時刻t3´)、フライングキャパシタ44の放電時間(時刻t3´〜時刻t4´)、電圧検出ユニット40からの電圧の取得時間(時刻t4´〜時刻t5´)までを合算した時間となる。
以上説明した本実施形態では、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無により、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路L6から低電位側に接続された電気経路L5へフライングキャパシタ44の放電電流が流れる際のフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcが大きく乖離する。
従って、スタック間ワイヤSPの両端に接続された一対の電気経路L5、L6に保護ダイオード32が設けられていたとしても、フライングキャパシタ44の端子間電圧に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を適切に判定することができる。
特に、本実施形態では、第1セルグループCG1の端子間電圧の実効値よりも小さい第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzを「基準電圧」として、当該基準電圧以上の電圧が充電されるまで、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンに保持するようにしている。
このため、フライングキャパシタ44の充電時間(時刻t1〜時刻t3´)が短縮された分、第1実施形態に比べて、異常判定処理に要する時間T2(時刻t1〜時刻t5´)を短くすることができる(T1>T2)。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態における異常判定処理の一部を変更した例について説明する。なお、本実施形態の組電池10および電池監視ユニット20の構成は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
本実施形態の異常判定処理では、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路から低電位側に接続された電気経路へフライングキャパシタ44の放電電流が流れる際のスタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdに基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定する。
以下、本実施形態の制御装置50が実行する異常判定処理について、図6を用いて説明する。まず、図6の一段目に示すように、制御装置50が、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンする(時刻t1)。
その後、本実施形態の制御装置50は、第1セルグループCG1の端子間電圧の実効値Vτを「基準電圧」として、当該基準電圧以上の電圧が充電されるまで、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンに保持する。これにより、フライングキャパシタ44の端子間電圧は、図6の4段目の太実線に示すように徐々に低下する。
続いて、制御装置50は、フライングキャパシタ44に対して第1セルグループCG1の端子間電圧の実効値Vτ以上となる電圧が充電された状態で、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオフし、第3、第4入力スイッチSW3、SW4をオンする(時刻t3)。
この際、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じていない正常時には、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdが、図6の5段目の太破線に示すように、殆ど変動しない。
一方、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じた異常時には、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdが、図6の5段目の太実線に示すように、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzから保護ダイオード32の順方向電圧Vfを減算した値(=|Vz−Vf|)となる。
第3、第4入力スイッチSW3、SW4がオンされた後、制御装置50は、フライングキャパシタ44の放電電流が流れる放電経路の時定数より長い時間が経過する前に、第2監視IC30bからスタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdの検出値を取得する。
具体的には、制御装置50は、第2監視IC30bに対してスタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdの検出を指示する制御信号を出力し、第2監視IC30bからスタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdの検出結果を取得する。なお、制御装置50は、第2監視IC30bからデジタル信号を取得した後、出力スイッチSW3、SW4をオフする(時刻tβ)。
そして、制御装置50は、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdと予め設定された判定閾値Vth2との大小関係を比較し、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定する。なお、本実施形態の判定閾値Vth2は、図6の5段目に示すように、「ゼロ」より大きく、「|Vz−Vf|」より小さい範囲内の値(例えば、Vth2=|Vz/2|)に設定されている。
具体的には、制御装置50は、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdが判定閾値Vth2以下となる場合に、オープン異常が生じていないと判定し、異常判定処理を終了する。
一方、制御装置50は、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdが判定閾値Vth1より大きくなる場合に、スタック間ワイヤSPのオープン異常が生じていると判定し、異常判定処理を終了する。
因みに、本実施形態の異常判定処理に要する時間T3は、フライングキャパシタ44の充電時間(時刻t1〜時刻t3)、第2監視IC30bからの電圧の取得時間(時刻t3〜時刻tβ)までを合算した時間となる。
以上説明した本実施形態では、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無により、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路L6から低電位側に接続された電気経路L5へフライングキャパシタ44の放電電流が流れる際のスタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdが大きく乖離する。
従って、スタック間ワイヤSPの両端に接続された一対の電気経路L5、L6に保護ダイオード32が設けられていたとしても、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vd(バイパス経路70の両端の電位差)に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を適切に判定することができる。
特に、本実施形態では、フライングキャパシタ44の放電電流が流れる放電経路の時定数より長い時間が経過する前に、第2監視IC30bからスタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdの検出値を取得するようにしている。
このため、フライングキャパシタ44が充分に放電されるまで待つ必要がなく、第1実施形態に比べて、異常判定処理に要する時間T3(時刻t1〜時刻tβ)を短くすることができる(T1>T3)。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態における異常判定処理の一部を変更した例について説明する。なお、本実施形態の組電池10および電池監視ユニット20の構成は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
以下、本実施形態の制御装置50が実行する異常判定処理について、図7を用いて説明する。まず、図7の一段目に示すように、制御装置50が、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンする(時刻t1)。
その後、本実施形態の制御装置50は、第1セルグループCG1の端子間電圧の実効値よりも小さい第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzを「基準電圧」として、当該基準電圧以上の電圧が充電されるまで、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンに保持する。なお、制御装置50は、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vz分の電圧をフライングキャパシタ44へ充電する際に必要となる時間(時刻t1〜時刻tα)以上の時間、各入力スイッチSW1、SW4をオンに保持する(時刻t1〜時刻t3´)。
これにより、フライングキャパシタ44の端子間電圧は、図7の4段目の太実線に示すように徐々に低下する。なお、本実施形態では、各入力スイッチSW1、SW4をオンに保持する時間を、充電経路の時定数τ以下としている。
続いて、制御装置50は、フライングキャパシタ44に対して第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vz以上の電圧が充電された状態で、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオフし、第3、第4入力スイッチSW3、SW4をオンする(時刻t3´)。
この際、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じていない正常時には、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdが、図7の5段目の太破線に示すように、殆ど変動しない。
一方、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じた異常時には、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdが、図7の5段目の太実線に示すように、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzから保護ダイオード32の順方向電圧Vfを減算した値となる。
第3、第4入力スイッチSW3、SW4がオンされた後、制御装置50は、フライングキャパシタ44の放電電流が流れる放電経路の時定数より長い時間が経過する前に、第2監視IC30bからスタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdの検出値を取得する。なお、制御装置50は、第2監視IC30bからデジタル信号を取得した後、出力スイッチSWa、SWbをオフする(時刻tβ´)。
そして、制御装置50は、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdと予め設定された判定閾値Vth2との大小関係を比較し、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定する。
因みに、本実施形態の異常判定処理に要する時間T4は、フライングキャパシタ44の充電時間(時刻t1〜時刻t3´)、第2監視IC30bからの電圧の取得時間(時刻t3´〜時刻tβ´)までを合算した時間となる。
以上説明した本実施形態では、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無により、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路から低電位側に接続された電気経路へフライングキャパシタ44の放電電流が流れる際のスタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdが大きく乖離する。
従って、スタック間ワイヤSPの両端に接続された一対の電気経路L5、L6に保護ダイオード32が設けられていたとしても、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vd(バイパス経路70の両端の電位差)に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を適切に判定することができる。
特に、本実施形態では、第1セルグループCG1の端子間電圧の実効値よりも小さい第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzを「基準電圧」として、当該基準電圧以上の電圧が充電されるまで、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンに保持するようにしている。
さらに、本実施形態では、フライングキャパシタ44の放電電流が流れる放電経路の時定数より長い時間が経過する前に、第2監視IC30bからスタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdの検出値を取得するようにしている。
このため、フライングキャパシタ44が充分に放電されるまで待つ必要がなく、さらに、フライングキャパシタ44の充電時間(時刻t1〜時刻t3´)が短縮された分、第1〜第3実施形態に比べて、異常判定処理に要する時間T4(時刻t1〜時刻tβ´)を短くすることができる(T1>T2、T3>T4)。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態における電池監視ユニット20の構成の一部(電圧検出ユニット40の入力側スイッチ群42)を変更した例について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
本実施形態の入力側スイッチ群42は、フライングキャパシタ44に「正極性の電圧」が充電された状態で、入力側スイッチ群42の開閉操作により、フライングキャパシタ44の放電電流を、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路から低電位側に接続された電気経路へ流す放電経路を形成可能となっている。
具体的には、図8に示すように、本実施形態の入力側スイッチ群42は、第2〜第5入力スイッチSW2〜SW5、および第6、第7入力スイッチSW11、SW12といった6つのスイッチで構成されている。
第6入力スイッチSW11は、一端側が抵抗体R11を介して第1セルグループCG1の正極端子と同電位となる第5電気経路L5に接続され、他端側が第2入力ラインLβに接続されている。
また、第7入力スイッチSW12は、一端側が抵抗体R12を介して第2セルグループCG2の負極端子と同電位となる第6電気経路L6に接続され、他端側が第1入力ラインLαに接続されている。
なお、本実施形態にて追加された第6、第7入力スイッチSW11、SW12は、フライングキャパシタ44に正極性の電圧が充電された状態で、フライングキャパシタ44の放電電流を、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路から低電位側に接続された電気経路へ流すための専用のスイッチである。
その他の構成は、第1実施形態と同様であり、以下、本実施形態の異常判定処理について図9、図10を用いて説明する。
まず、制御装置50は、フライングキャパシタ44に対して、第1セルグループCG1の端子間電圧が正極性で充電されるように、第2、第3入力スイッチSW2、SW3をオンする。
これにより、図9の破線矢印に示すように、第1セルグループCG1から第5電気経路L5→第1入力ラインLα→フライングキャパシタ44→第2入力ラインLβ→第1電気経路L1へ電流が流れる充電経路(閉回路)が形成される。この際、フライングキャパシタ44には、組電池10の放電電流が正極端子A側から負極端子B側へ流れることから、フライングキャパシタ44に対して正極性の電圧が充電される。
続いて、制御装置50は、第1セルグループCG1の端子間電圧における実効値Vτを「基準電圧」として、当該基準電圧以上の電圧が充電されるまで、第2、第3入力スイッチSW2、SW3をオンに保持する。なお、「基準電圧」は、第2実施形態と同様に、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzとしてもよい。
続いて、制御装置50は、フライングキャパシタ44に対して基準電圧以上の電圧が充電された状態で、第2、第3入力スイッチSW2、SW3をオフし、第6、第7入力スイッチSW11、SW12をオンする。そして、制御装置50は、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧が充分に放電されるまで、第6、第7入力スイッチSW11、SW12をオンに保持する。
この際、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じていない正常時には、フライングキャパシタ44から第1入力ラインLα→第6電気経路L6→スタック間ワイヤSP→第5電気経路L5→第2入力ラインLβへ電流が流れる放電経路(閉回路)が形成される。
これにより、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧は、上述のスタック間ワイヤSPを含む放電経路内で放電される。この際、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdは殆ど変動しない。また、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、時間が経過するに伴ってゼロに収束する。
一方、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じている場合には、図10の破線矢印に示すように、フライングキャパシタ44から第1入力ラインLα→第6電気経路L6→バイパス経路70→第5電気経路L5→第2入力ラインLβへ電流が流れる放電経路(閉回路)が形成される。なお、フライングキャパシタ44からの放電電流は、スタック間ワイヤSPにおける高電位側の端子と同電位となる第6電気経路L6側から低電位側の端子と同電位となる第5電気経路L5へ流れることから、当該放電電流が保護ダイオード32に流れることはない。
これにより、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧は、上述のバイパス経路70を含む放電経路内で放電される。この際、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdは、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzに保持される。また、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、時間が経過するに伴って、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzに収束する。
続いて、制御装置50は、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧が充分に放電された後、第6、第7スイッチSW11、SW12をオフし、各出力スイッチSWa、SWbをオンして、電圧検出ユニット40からフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcを取得する。
そして、制御装置50は、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcと予め設定された判定閾値との大小関係を比較し、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定する。なお、第3実施形態の如く、第6、第7入力スイッチSW11、SW12がオンされた際のスタック間ワイヤSPの端子間電圧Vd(バイパス経路70の両端の電位差)に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定するようにしてもよい。
以上説明した本実施形態においても、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無により、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路L6から低電位側に接続された電気経路L5へフライングキャパシタ44の放電電流が流れる際のフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcが大きく乖離する。
従って、スタック間ワイヤSPの両端に接続された一対の電気経路L5、L6に保護ダイオード32が設けられていたとしても、フライングキャパシタ44の端子間電圧に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を適切に判定することができる。
ここで、第1実施形態の異常検出処理では、フライングキャパシタ44に逆極性で充電された電圧を検出する構成となっているため、制御装置50が電圧を取得する際のダイナミックレンジを拡大する必要がある(負の電圧〜正の電圧)。
これに対して、本実施形態では、異常検出処理にてフライングキャパシタ44に正極性で充電された電圧を検出する構成となっており、フライングキャパシタ44に逆極性で充電された電圧を検出する必要がない。
このように、本実施形態の制御装置50は、異常検出処理のために、電圧を取得する際のダイナミックレンジを拡大する必要がないことから、第1実施形態に比べて、電圧検出ユニット40の検出電圧を高精度に取得可能となる。
但し、本実施形態では、入力側スイッチ群42を構成するスイッチの数が、第1実施形態の構成よりも増加してしまう。このため、本実施形態の構成は、電池監視ユニット20の簡素化よりも、スタック間ワイヤSPのオープン異常の検出精度を優先させる場合に好適である。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態における電池監視ユニット20の構成の一部(電圧検出ユニット40の入力側スイッチ群42)を変更した例について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
本実施形態の入力側スイッチ群42は、フライングキャパシタ44に正極性の電圧が充電された状態で、入力側スイッチ群42の開閉操作により、フライングキャパシタ44の放電電流を、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路L6から低電位側に接続された電気経路L5へ流す放電経路を形成可能となっている。
具体的には、図11に示すように、本実施形態の入力側スイッチ群42は、第2、第3、第5入力スイッチSW2、SW3、SW5、および第8、第9入力スイッチSW21、SW22といった5つのスイッチで構成されている。
第8入力スイッチSW21は、一端側が抵抗体R21を介して第1セルグループCG1の正極端子と同電位となる第5電気経路L5に接続され、他端側が第2入力ラインLβに接続されている。
また、第9入力スイッチSW22は、一端側が抵抗体R22を介して第2セルグループCG2の負極端子と同電位となる第6電気経路L6に接続され、他端側が第1入力ラインLαに接続されている。
なお、本実施形態にて追加された第8、第9入力スイッチSW21、SW22は、フライングキャパシタ44に正極性の電圧が充電された状態で、フライングキャパシタ44の放電電流を、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路から低電位側に接続された電気経路へ流すためのスイッチである。
その他の構成は、第1実施形態と同様であり、以下、本実施形態の異常判定処理について図12、図13を用いて説明する。
まず、制御装置50は、フライングキャパシタ44に対して、第1セルグループCG1の端子間電圧が正極性で充電されるように、第2、第3入力スイッチSW2、SW3をオンする。
これにより、図12の破線矢印に示すように、第1セルグループCG1から第5電気経路L5→第1入力ラインLα→フライングキャパシタ44→第2入力ラインLβ→第1電気経路L1へ電流が流れる充電経路(閉回路)が形成される。この際、フライングキャパシタ44には、組電池10の放電電流が正極端子A側から負極端子B側へ流れることから、フライングキャパシタ44に対して正極性の電圧(正の電圧)が充電される。
続いて、制御装置50は、第1セルグループCG1の端子間電圧における実効値Vτを「基準電圧」として、当該基準電圧以上の電圧が充電されるまで、第2、第3入力スイッチSW2、SW3をオンに保持する。なお、「基準電圧」は、第2実施形態と同様に、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzとしてもよい。
続いて、制御装置50は、フライングキャパシタ44に対して基準電圧以上の電圧が充電された状態で、第2、第3入力スイッチSW2、SW3をオフし、第8、第9入力スイッチSW21、SW22をオンする。そして、制御装置50は、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧が充分に放電されるまで、第8、第9入力スイッチSW21、SW22をオンに保持する。
この際、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じていない正常時には、フライングキャパシタ44から第1入力ラインLα→第6電気経路L6→スタック間ワイヤSP→第5電気経路L5→第2入力ラインLβへ電流が流れる放電経路(閉回路)が形成される。
これにより、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧は、上述のスタック間ワイヤSPを含む放電経路内で放電される。この際、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdは殆ど変動しない。また、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、時間が経過するに伴ってゼロに収束する。
一方、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じている場合には、図13の破線矢印に示すように、フライングキャパシタ44から第1入力ラインLα→第6電気経路L6→バイパス経路70→第5電気経路L5→第2入力ラインLβへ電流が流れる放電経路(閉回路)が形成される。なお、フライングキャパシタ44からの放電電流は、スタック間ワイヤSPにおける高電位側の端子と同電位となる第6電気経路L6側から低電位側の端子と同電位となる第5電気経路L5へ流れることから、当該放電電流が保護ダイオード32に流れることはない。
これにより、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧は、上述のバイパス経路70を含む放電経路内で放電される。この際、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdは、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzに保持される。また、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、時間が経過するに伴って、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzに収束する。
続いて、制御装置50は、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧が充分に放電された後、第8、第9スイッチSW21、SW22をオフし、各出力スイッチSWa、SWbをオンして、電圧検出ユニット40からフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcを取得する。
そして、制御装置50は、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcと予め設定された判定閾値との大小関係を比較し、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定する。なお、第3実施形態の如く、第8、第9入力スイッチSW21、SW22がオンされた際のスタック間ワイヤSPの端子間電圧Vd(バイパス経路70の両端の電位差)に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定するようにしてもよい。
以上説明した本実施形態においても、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無により、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路L6から低電位側に接続された電気経路L5へフライングキャパシタ44の放電電流が流れる際のフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcが大きく乖離する。
従って、スタック間ワイヤSPの両端に接続された一対の電気経路L5、L6に保護ダイオード32が設けられていたとしても、フライングキャパシタ44の端子間電圧に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を適切に判定することができる。
本実施形態では、第5実施形態と同様に、異常検出処理にてフライングキャパシタ44に正極性で充電された電圧を検出する構成となっており、フライングキャパシタ44に逆極性で充電された電圧を検出する必要がない。
そして、本実施形態の制御装置50は、異常検出処理のために、電圧を取得する際のダイナミックレンジを拡大する必要がないことから、第1実施形態に比べて、異常判定処理の実行時における電圧検出ユニット40の検出電圧を高精度に取得可能となる。
また、本実施形態では、第5実施形態に比べて、入力側スイッチ群42を構成するスイッチの数が少ない構成で、正極性の電圧が充電されたフライングキャパシタ44の放電電流を、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路から低電位側に接続された電気経路へ流すことが可能となる。
但し、本実施形態では、電圧検出ユニット40で第2セルグループCG2の端子間電圧を検出する場合、第5、第8入力スイッチSW5、SW21をオンして、第2セルグループCG2の端子間電圧をフライングキャパシタ44に充電することになる。第5、第8入力スイッチSW5、SW21をオンして形成される閉回路には、第2セルグループCG2に加えて、スタック間ワイヤSPが含まれる。このため、本実施形態の構成では、第1、第5実施形態に比べて、第2セルグループCG2の端子間電圧を検出する際の電圧の検出精度が低下する虞がある。
このため、本実施形態の構成は、第2セルグループCG2間の電池電圧の検出精度よりも、スタック間ワイヤSPのオープン異常の検出精度、および電池監視ユニット20の簡素化を優先させる場合に好適である。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態における電池監視ユニット20の構成の一部(電圧検出ユニット40の入力側スイッチ群42)を変更した例について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
本実施形態の入力側スイッチ群42は、フライングキャパシタ44に逆極性の電圧が充電された状態で、入力側スイッチ群42の開閉操作により、フライングキャパシタ44の放電電流を、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路から低電位側に接続された電気経路へ流す放電経路を形成可能となっている。
具体的には、図14に示すように、本実施形態の入力側スイッチ群42は、第1、第3〜第5入力スイッチSW1、SW3〜SW5といった4つのスイッチで構成されている。その他の構成は、第1実施形態と同様であり、以下、本実施形態の異常判定処理について図15、図16を用いて説明する。
まず、制御装置50は、フライングキャパシタ44に対して、第1セルグループCG1の端子間電圧が逆極性で充電されるように、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンする。
これにより、図15の破線矢印に示すように、第1セルグループCG1から第5電気経路L5→第2入力ラインLβ→フライングキャパシタ44→第1入力ラインLα→第1電気経路L1へ電流が流れる充電経路(閉回路)が形成される。この際、フライングキャパシタ44には、組電池10の放電電流が負極端子B側から正極端子A側へ流れることから、フライングキャパシタ44に対して逆極性の電圧(負の電圧)が充電される。
続いて、制御装置50は、第1セルグループCG1の端子間電圧における実効値Vτを「基準電圧」として、当該基準電圧以上の電圧が充電されるまで、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンに保持する。なお、「基準電圧」は、第2実施形態と同様に、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzとしてもよい。
続いて、制御装置50は、フライングキャパシタ44に対して基準電圧以上の電圧が充電された状態で、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオフし、第3、第4入力スイッチSW3、SW4をオンする。そして、制御装置50は、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧が充分に放電されるまで、第3、第4入力スイッチSW3、SW4をオンに保持する。
この際、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じていない正常時には、フライングキャパシタ44から第2入力ラインLβ→第6電気経路L6→スタック間ワイヤSP→第5電気経路L5→第1入力ラインLαへ電流が流れる放電経路(閉回路)が形成される。
これにより、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧は、上述のスタック間ワイヤSPを含む放電経路内で放電される。この際、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdは殆ど変動しない。また、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、時間が経過するに伴ってゼロに収束する。
一方、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じている場合には、図16の破線矢印に示すように、フライングキャパシタ44から第2入力ラインLβ→第6電気経路L6→バイパス経路70→第5電気経路L5→第1入力ラインLαへ電流が流れる放電経路(閉回路)が形成される。なお、フライングキャパシタ44からの放電電流は、スタック間ワイヤSPにおける高電位側の端子と同電位となる第6電気経路L6側から低電位側の端子と同電位となる第5電気経路L5へ流れることから、当該放電電流が保護ダイオード32に流れることはない。
これにより、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧は、上述のバイパス経路70を含む放電経路内で放電される。この際、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdは、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzから保護ダイオード32の順方向電圧Vfを減算した値に保持される。また、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、時間が経過するに伴って、第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzから保護ダイオード32の順方向電圧Vfを減算した電圧に収束する。
続いて、制御装置50は、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧が充分に放電された後、第3、第4スイッチSW3、SW4をオフし、各出力スイッチSWa、SWbをオンして、電圧検出ユニット40からフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcを取得する。
そして、制御装置50は、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcと予め設定された判定閾値Vth1との大小関係を比較し、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定する。なお、第3実施形態の如く、第3、第4入力スイッチSW3、SW4がオンされた際のスタック間ワイヤSPの端子間電圧Vd(バイパス経路70の両端の電位差)に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定するようにしてもよい。
以上説明した本実施形態においても、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無により、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路L6から低電位側に接続された電気経路L5へフライングキャパシタ44の放電電流が流れる際のフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcが大きく乖離する。
従って、スタック間ワイヤSPの両端に接続された一対の電気経路L5、L6に保護ダイオード32が設けられていたとしても、フライングキャパシタ44の端子間電圧に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を適切に判定することができる。
本実施形態では、第1、第5、第6実施形態に比べて、入力側スイッチ群42を構成するスイッチの数が少ない構成で、フライングキャパシタ44の放電電流を、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路から低電位側に接続された電気経路へ流すことが可能となる。
但し、本実施形態では、第1実施形態と同様に、異常検出処理にてフライングキャパシタ44に逆極性で充電された電圧を検出する構成となっており、第5、第6実施形態に比べて、異常判定処理の実行時におけるフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcの検出電圧を精度が低下する。
また、本実施形態では、電圧検出ユニット40で第1セルグループCG1の端子間電圧を検出する場合、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンして、第1セルグループCG1の端子間電圧をフライングキャパシタ44に充電することになる。第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンして形成される閉回路には、第1セルグループCG1に加えて、スタック間ワイヤSPが含まれる。このため、本実施形態の構成では、第1、第5、第6実施形態に比べて、第1セルグループCG1の端子間電圧を検出する際の電圧の検出精度が低下する虞がある。
このため、本実施形態の構成は、各セルグループCG1、CG2間の電池電圧の検出精度や、スタック間ワイヤSPのオープン異常の検出精度よりも、電池監視ユニット20の簡素化を優先させる場合に好適である。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態における電池監視ユニット20の構成の一部を変更した例について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
本実施形態では、図17に示すように、バイパス経路70にバイパスキャパシタ72を設ける構成としている。このバイパスキャパシタ72は、スタック間ワイヤSPが開状態(オープン状態)となった際、バイパス経路70の両端(スタック間ワイヤSPの両端)に接続される一対の電気経路L5、L6に生ずる電圧を吸収するためのキャパシタである。
その他の構成は、第1実施形態と同様であり、以下、本実施形態の異常判定処理について図18、図19を用いて説明する。
まず、制御装置50は、フライングキャパシタ44に対して、第1セルグループCG1の端子間電圧が逆極性で充電されるように、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンする。
これにより、図18の破線矢印に示すように、第1セルグループCG1から第5電気経路L5→第2入力ラインLβ→フライングキャパシタ44→第1入力ラインLα→第1電気経路L1へ電流が流れる充電経路(閉回路)が形成される。この際、フライングキャパシタ44には、組電池10の放電電流が負極端子B側から正極端子A側へ流れることから、フライングキャパシタ44に対して逆極性の電圧(負の電圧)が充電される。
本実施形態の制御装置50は、第1セルグループCG1の端子間電圧における実効値Vτを「基準電圧」として、当該基準電圧以上の電圧が充電されるまで、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンに保持する。
続いて、制御装置50は、フライングキャパシタ44に対して基準電圧以上の電圧が充電された状態で、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオフし、第3、第4入力スイッチSW3、SW4をオンする。そして、制御装置50は、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧が充分に放電されるまで、第3、第4入力スイッチSW3、SW4をオンに保持する。
この際、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じていない正常時には、フライングキャパシタ44から第2入力ラインLβ→第6電気経路L6→スタック間ワイヤSP→第5電気経路L5→第1入力ラインLαへ電流が流れる放電経路(閉回路)が形成される。
これにより、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧は、上述のスタック間ワイヤSPを含む放電経路内で放電される。この際、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdは殆ど変動しない。また、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、時間が経過するに伴ってゼロに収束する。
一方、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じている場合には、図19の破線矢印に示すように、フライングキャパシタ44から第2入力ラインLβ→第6電気経路L6→バイパス経路70→第5電気経路L5→第1入力ラインLαへ電流が流れる放電経路(閉回路)が形成される。なお、フライングキャパシタ44からの放電電流は、スタック間ワイヤSPにおける高電位側の端子と同電位となる第6電気経路L6側から低電位側の端子と同電位となる第5電気経路L5へ流れることから、当該放電電流が保護ダイオード32に流れることはない。
これにより、フライングキャパシタ44に蓄えられた電荷がバイパスキャパシタ72へ移動して、バイパスキャパシタ72が充電される。この際、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdは、フライングキャパシタ44の容量C1とバイパスキャパシタ72の容量C2の容量比で決まる値(=Vc´×C1/(C1+C2))となる。なお、「Vc´」は、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンしてフライングキャパシタ44へ充電した際のフライングキャパシタ44の端子間電圧である。
また、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、フライングキャパシタ44の容量C1とバイパスキャパシタ72の容量C2の容量比で決まる値(=Vc´×C2/(C1+C2))となる。なお、バイパスキャパシタ72の端子間電圧についても、フライングキャパシタ44の容量C1とバイパスキャパシタ72の容量C2の容量比で決まる値(=Vc´×C1/(C1+C2))となる。
続いて、制御装置50は、フライングキャパシタ44を放電させるのに必要とされる時間が経過した後、第3、第4スイッチSW3、SW4をオフし、各出力スイッチSWa、SWbをオンして、電圧検出ユニット40からフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcを取得する。
そして、制御装置50は、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcと予め設定された判定閾値Vthとの大小関係を比較し、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定する。なお、判定閾値Vthは、フライングキャパシタ44に充電する際の基準電圧に対して、フライングキャパシタ44の容量C1とバイパスキャパシタ72の容量C2の容量比を乗じた値(=基準電圧×C2/(C1+C2))に設定すればよい。
以上説明した本実施形態においても、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無により、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路L6から低電位側に接続された電気経路L5へフライングキャパシタ44の放電電流が流れる際のフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcが大きく乖離する。
従って、スタック間ワイヤSPの両端に接続された一対の電気経路L5、L6に保護ダイオード32が設けられていたとしても、フライングキャパシタ44の端子間電圧に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を適切に判定することができる。
なお、本実施形態では、フライングキャパシタ44に充電する「基準電圧」を第1セルグループCG1の端子間電圧における実効値Vτとした例について説明したが、「基準電圧」は、「0V」でなければ、前述の実効値Vτ以下の電圧としてもよい。
また、本実施形態では、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcと予め設定された判定閾値Vthとを比較して、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定する例について説明したが、これに限定されない。
例えば、第3、第4入力スイッチSW3、SW4がオンされた際のスタック間ワイヤSPの端子間電圧Vd(バイパスキャパシタ72の両端の電位差)と、予め設定された判定閾値Vthとを比較して、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定するようにしてもよい。この場合、判定閾値Vthは、フライングキャパシタ44に充電する際の基準電圧に対して、フライングキャパシタ44の容量C1とバイパスキャパシタ72の容量C2の容量比を乗じた値(=基準電圧×C1/(C1+C2))に設定すればよい。
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について説明する。本実施形態では、第6実施形態における電池監視ユニット20の構成の一部を変更した例について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
本実施形態では、図20に示すように、バイパス経路70にバイパスキャパシタ72を設ける共に、第2監視IC30bに、バイパスキャパシタ72を放電するための放電スイッチ34を内蔵している。
放電スイッチ34は、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じた際に、バイパスキャパシタ72に蓄えられた電荷を放出するために設けられている。本実施形態の放電スイッチ34は、バイパスキャパシタ72を放電するオン状態およびバイパスキャパシタ72の放電を停止するオフ状態に切り替える放電切替手段を構成している。なお、本実施形態の放電スイッチ34は、制御装置50からの制御信号に応じてオン状態とオフ状態に切替可能となっている。
その他の構成は、第6実施形態と同様であり、以下、本実施形態の異常判定処理について図21、図22を用いて説明する。
まず、制御装置50は、フライングキャパシタ44に対して、第1セルグループCG1の端子間電圧が正極性で充電されるように、第2、第3入力スイッチSW2、SW3をオンする。
これにより、図21の破線矢印に示すように、第1セルグループCG1から第5電気経路L5→第1入力ラインLα→フライングキャパシタ44→第2入力ラインLβ→第1電気経路L1へ電流が流れる充電経路(閉回路)が形成される。この際、フライングキャパシタ44には、組電池10の放電電流が正極端子A側から負極端子B側へ流れることから、フライングキャパシタ44に対して正極性の電圧(正の電圧)が充電される。
また、制御装置50は、フライングキャパシタ44に第1セルグループCG1の端子間電圧を充電している際に、放電スイッチ34をオン状態に設定する。これにより、バイパスキャパシタ72が放電される。
続いて、制御装置50は、第1セルグループCG1の端子間電圧における実効値Vτを「基準電圧」として、当該基準電圧以上の電圧が充電されるまで、第2、第3入力スイッチSW2、SW3をオンに保持する。
その後、第2、第3入力スイッチSW2、SW3をオフし、第8、第9入力スイッチSW21、SW22をオンする。そして、制御装置50は、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧が充分に放電されるまで、第8、第9入力スイッチSW21、SW22をオンに保持する。
また、制御装置50は、フライングキャパシタ44を放電する際に、放電スイッチ34をオフ状態に設定する。これにより、バイパスキャパシタ72は、放電が停止されて充電可能な状態となる。
この際、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じていない正常時には、フライングキャパシタ44から第1入力ラインLα→第6電気経路L6→スタック間ワイヤSP→第5電気経路L5→第2入力ラインLβへ電流が流れる放電経路(閉回路)が形成される。
これにより、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧は、上述のスタック間ワイヤSPを含む放電経路内で放電される。この際、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdは殆ど変動しない。また、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、時間が経過するに伴ってゼロに収束する。
一方、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じている場合には、図22の破線矢印に示すように、フライングキャパシタ44から第1入力ラインLα→第6電気経路L6→バイパス経路70→第5電気経路L5→第2入力ラインLβへ電流が流れる放電経路(閉回路)が形成される。なお、フライングキャパシタ44からの放電電流は、スタック間ワイヤSPにおける高電位側の端子と同電位となる第6電気経路L6側から低電位側の端子と同電位となる第5電気経路L5へ流れることから、当該放電電流が保護ダイオード32に流れることはない。
これにより、フライングキャパシタ44に蓄えられた電荷がバイパスキャパシタ72へ移動して、バイパスキャパシタ72が充電される。この際、スタック間ワイヤSPの端子間電圧Vdは、第8実施形態と同様に、フライングキャパシタ44の容量C1とバイパスキャパシタ72の容量C2の容量比で決まる値(=Vc´×C1/(C1+C2))となる。なお、バイパスキャパシタ72の端子間電圧についても、フライングキャパシタ44の容量C1とバイパスキャパシタ72の容量C2の容量比で決まる値(=Vc´×C1/(C1+C2))となる。
続いて、制御装置50は、フライングキャパシタ44を放電させるのに必要とされる時間が経過した後、第3、第4スイッチSW3、SW4をオフし、各出力スイッチSWa、SWbをオンして、電圧検出ユニット40からフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcを取得する。
そして、制御装置50は、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcと予め設定された判定閾値Vthとの大小関係を比較し、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定する。なお、判定閾値Vthは、フライングキャパシタ44に充電する際の基準電圧に対して、フライングキャパシタ44の容量C1とバイパスキャパシタ72の容量C2の容量比を乗じた値(=基準電圧×C2/(C1+C2))に設定すればよい。
以上説明した本実施形態においても、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無により、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された電気経路L6から低電位側に接続された電気経路L5へフライングキャパシタ44の放電電流が流れる際のフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcが大きく乖離する。
従って、スタック間ワイヤSPの両端に接続された一対の電気経路L5、L6に保護ダイオード32が設けられていたとしても、フライングキャパシタ44の端子間電圧に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を適切に判定することができる。
また、本実施形態では、フライングキャパシタ44を放電させる前に、放電スイッチ34をオン状態に設定して、バイパスキャパシタ72を放電する構成としている。これによれば、異常検出処理の実行前に、何らかの要因によってバイパスキャパシタ72に電荷が蓄えられたとしても、バイパスキャパシタ72を放電することができるので、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を適切に判定することができる。
ここで、第8実施形態の如く、バイパスキャパシタ72と保護ダイオード32により閉回路が形成される構成では、保護ダイオード32に電流が流れる際に、バイパスキャパシタ72を放電可能となる。このため、放電スイッチ34は、バイパスキャパシタ72と保護ダイオード32により閉回路が形成されない構成に対して好適である。
なお、本実施形態では、フライングキャパシタ44に充電する「基準電圧」を第1セルグループCG1の端子間電圧における実効値Vτとした例について説明したが、「基準電圧」は、「0V」でなければ、前述の実効値Vτ以下の電圧としてもよい。
また、本実施形態では、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcと予め設定された判定閾値Vthとを比較して、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、第8、第9入力スイッチSW21、SW22がオンされた際のスタック間ワイヤSPの端子間電圧Vd(バイパスキャパシタ72の両端の電位差)と、予め設定された判定閾値Vthとを比較して、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定するようにしてもよい。この場合、判定閾値Vthは、フライングキャパシタ44に充電する際の基準電圧に対して、フライングキャパシタ44の容量C1とバイパスキャパシタ72の容量C2の容量比を乗じた値(=基準電圧×C1/(C1+C2))に設定すればよい。
また、本実施形態では、放電スイッチ34を第2監視IC30bに内蔵する例について説明したが、これに限定されず、例えば、放電スイッチ34を第2監視IC30bと別体で構成するようにしてもよい。
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態における電池監視ユニット20の構成の一部を変更した例について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
本実施形態における組電池および電池監視ユニットの全体構成を図23、図24に示す。なお、図23と図24は、破線矢印で示した電流経路のみが異なる。すなわち、図23には、スタック間ワイヤSPが断線している場合のフライングキャパシタ44の充電経路が破線矢印で示されており、図24には、スタック間ワイヤSPが断線している場合のフライングキャパシタ44の放電経路が破線矢印で示されている点が異なる。
本実施形態における電池監視ユニット20は、第1実施形態に係る電池監視ユニットと比較して、更に、抵抗R31〜R36、コンデンサC31〜C33およびスイッチSW31〜SW33を備えた点が異なる。
スイッチSW31、SW33は、それぞれ各単位電池BC3、BC4の両端子を短絡させて放電する均等化スイッチとして設けられている。スイッチSW31〜SW33は、それぞれ制御装置50から監視IC30bを介して入力される制御信号に応じてオンまたはオフする。
本実施形態における電池監視ユニット20は、各単位電池BC3〜BC4それぞれの両端と電池監視ユニット20の間の複数の電気経路L5、L6の断線を検出する。
すなわち、本実施形態における電池監視ユニット20は、スタック間ワイヤSPのオープン異常と、複数の電気経路L5、L6の断線を区別して検出するようになっている。このように、スタック間ワイヤSPのオープン異常と、複数の電気経路L5、L6の断線を区別して検出することで、スタック間ワイヤSPで断線が生じているにもかかわらず複数の電気経路L1〜L10の配線を交換してしまったり、反対に、複数の電気経路L1〜L10の配線のいずれかが断線しているにもかかわらず、スタック間ワイヤSPを交換してしまうといったことを防止することが可能となる。
また、単位電池BC3と並列に、抵抗R32、コンデンサC31および抵抗R31を直列接続した回路が接続されている。また、コンデンサC31と並列にスイッチSW31が接続されている。
また、スタック間ワイヤSPと並列に、抵抗R34、コンデンサC32および抵抗R33を直列接続した回路が接続されている。また、コンデンサC32と並列にスイッチSW32が接続されている。
また、単位電池BC4と並列に、抵抗R36、コンデンサC33および抵抗R35を直列接続した回路が接続されている。また、コンデンサC33と並列にスイッチSW33が接続されている。
ここで、スタック間ワイヤSPのオープン異常の判定について説明する。なお、スタック間ワイヤSPのオープン異常の判定においては、スイッチSW31〜SW33は、オフしたままとする。また、ここでは、スタック間ワイヤSPが断線しているものとする。
まず、上記第1実施形態と同様に、図23の破線矢印に示すように、第1セルグループCG1から第5電気経路L5→保護ダイオード32→第2入力ラインLβ→フライングキャパシタ44→第1入力ラインLα→第1電気経路L1へ電流が流れる充電経路(閉回路)を形成し、フライングキャパシタ44に対して、正極端子Aが「−」、負極端子Bが「+」となる電圧を印加するようにして、フライングキャパシタ44を充電(負チャージ)する。
次に、図24の破線矢印に示すように、フライングキャパシタ44から第2入力ラインLβ→第6電気経路L6→バイパス経路70→第5電気経路L5→第1入力ラインLαへ電流が流れる放電経路(閉回路)を形成し、フライングキャパシタ44を放電(ディスチャージ)する。
そして、フライングキャパシタ44の放電電流が流れる放電経路の時定数より長い時間が経過した後、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcを取得し、このフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcと予め設定された判定閾値Vth1との大小関係を比較し、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定する。
次に、図25〜30を用いて、制御装置50による電気経路L5、L6の断線検出について説明する。図25、図27は、図23に示した領域Xを抽出したものである。
まず、図25、図26を参照して、スタック間ワイヤSPと電気経路L5、L6のいずれも断線していない場合の電気経路L5、L6の断線検出について説明する。
制御装置50は、図26の一段目に示すように、スイッチSW32を一定期間オンした後、スイッチSW32をオフし、それから一定期間経過した後(t30)のコンデンサC32の端子間電圧VAを第2監視IC30bより取得する。
ここで、スタック間ワイヤSPと電気経路L5、L6のいずれも断線していない場合、スタック間ワイヤSPによりコンデンサC32の端子間電圧は0Vとなるので、スイッチSW32を一定期間オンした後、スイッチSW32をオフして一定期間経過した後(t30)のコンデンサC32の端子間電圧VAは、図6の三段目に示すように0Vとなる。
そして、図26の二段目に示すように、スイッチSW31、SW33をそれぞれ一定期間オンした後、スイッチSW31、SW33をそれぞれオフして一定期間経過した後(t31)のコンデンサC32の端子間電圧VBを第2監視IC30bより取得する。
ここで、スタック間ワイヤSPと電気経路L5、L6のいずれも断線していない場合、t30におけるコンデンサC32の端子間電圧VAとt31におけるコンデンサC32の端子間電圧VBは、それぞれ0Vとなり、電気経路L5、L6は正常と判定される。
一方、電気経路L5、L6のいずれも断線していないが、スタック間ワイヤSPが断線している場合は、スイッチSW32を一定期間オンした後、スイッチSW32をオフして一定期間経過したとき(t30)のコンデンサC32の端子間電圧VAは、図26の三段目に示すように0Vとなる。
そして、図26の二段目に示すように、スイッチSW31、SW33をそれぞれオンした後、スイッチSW31、SW33をそれぞれオフして一定期間経過した場合、図25の点線矢印で示すような電流が流れる。すなわち、電気経路L7より、抵抗R36、コンデンサC33、抵抗R35、抵抗R34、コンデンサC32、抵抗R33、抵抗R32、コンデンサC31、抵抗R31、電流経路L4へと電流が流れる。このため、コンデンサC32の端子間電圧VBは十分小さく、コンデンサC32の端子間電圧VAとコンデンサC32の端子間電圧VBの差分の大きさは既定値α以下となり、電気経路L5、L6は正常と判定される。
上記したように、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無にかかわらず、電気経路L5、L6のいずれも断線していない場合には、t30におけるコンデンサC32の端子間電圧VAとt31におけるコンデンサC32の端子間電圧VBの差分の大きさは既定値α以下となり、電気経路L5、L6は正常と判定される。
次に、図27、図28を参照して、スタック間ワイヤSPは断線しておらず、電気経路L5が断線した場合について説明する。
この場合、図28の一段目に示すように、スイッチSW32をオンすると、コンデンサC32の端子間電圧VAは0Vとなる。そして、スイッチSW32を一定期間オンした後に、スイッチSW32をオフした後も、電気経路L5が断線しているのでコンデンサC32の端子間電圧VAは0Vとなる。すなわち、スイッチSW32を一定期間オンした後、スイッチSW32をオフして一定期間経過した後(t30)のコンデンサC32の端子間電圧VAは、図28の三段目に示すように0Vとなる。
次に、図28の二段目に示すように、スイッチSW31、SW33をそれぞれオンすると、図27中の点線矢印に示すような経路で電流が流れる。すなわち、電気経路L6より、抵抗R34、コンデンサC32、抵抗R32、スイッチSW31、抵抗R31、電流経路L4へと電流が流れる。このとき、コンデンサC32の端子間には、単位電池BC3の端子間電圧が印加される。すなわち、コンデンサC32の端子間電圧は、図28の三段目に示すように徐々に高くなる。したがって、t30におけるコンデンサC32の端子間電圧VAとt31におけるコンデンサC32の端子間電圧VBの差分の大きさは既定値αよりも大きくなり、電気経路L5、L6のいずれかが異常と判定される。
なお、スタック間ワイヤSPが断線しておらず、電気経路L6が断線した場合についても、コンデンサC32の端子間は、図28の三段目に示したような特性となる。したがって、電気経路L6が断線した場合についても、t30におけるコンデンサC32の端子間電圧VAとt31におけるコンデンサC32の端子間電圧VBの差分の大きさは既定値αよりも大きくなり、電気経路L5、L6のいずれかが異常と判定される。
上記したように、スイッチSW32をオンオフした後(t30)のコンデンサC32の端子間電圧VAと、スイッチSW31、SW33をそれぞれオンオフさせた後(t31)の、コンデンサC32の端子間電圧VBを取得し、t30におけるコンデンサC32の端子間電圧VAとt31におけるコンデンサC32の端子間電圧VBの差分の大きさが既定値αより大きいか否かに基づいて電気経路L5、L6の断線異常を判定することができる。
しかしながら、前述したように、本実施形態においては、スタック間ワイヤSPの断線時に、図24の破線矢印に示すように、フライングキャパシタ44から第2入力ラインLβ→第6電気経路L6→バイパス経路70→第5電気経路L5→第1入力ラインLαへ電流が流れる放電経路(閉回路)が形成され、フライングキャパシタ44を放電(ディスチャージ)する構成となっている。このため、フライングキャパシタ44の放電中に、電気経路L5、L6の断線検出を行うと、フライングキャパシタ44の放電電流によって、コンデンサC32の各端子の電圧が持ち上がってしまい、電気経路L5、L6の断線を誤検出してしまう場合がある。
そこで、本実施形態においては、フライングキャパシタ44の放電中には、電気経路L5、L6の断線検出をしないようにする。また、フライングキャパシタ44を放電すると、フライングキャパシタ44の放電電流によって、コンデンサC32が充電されてしまうので、フライングキャパシタ44の放電後は、スタック間ワイヤSPと並列に設けられたコンデンサC32を放電させた後、電気経路L5、L6の断線検出を行う。
ここで、図29を用いて、本実施形態の制御装置50が実行する異常判定処理の具体例を説明する。
制御装置50は、まず、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンする。すなわち、フライングキャパシタ44に対して、第1セルグループCG1の端子間電圧が逆極性(正極端子Aが「−」、負極端子Bが「+」)で充電されるように、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンする。
これにより、フライングキャパシタ44には、第1セルグループCG1の放電電流が負極端子B側から正極端子A側へ流れ、フライングキャパシタ44に対して逆極性の電圧が充電(負チャージ)される。
次に、制御装置50は、フライングキャパシタ44に対して第1セルグループCG1の端子間電圧Vdにおける実効値Vτ以上の電圧が充電され、フライングキャパシタ44の負チャージが完了した状態で、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオフする。
次に、図29の五段目に示すように、スイッチSW31、33を一定期間オンした後、スイッチSW31、33をオフし、それから一定期間経過した後(t40)のコンデンサC32の端子間電圧VAを第2監視IC30bより取得する。実際には、t40のコンデンサC32の端子間電圧VAを用いて電気経路L5、L6の断線判定を行うが、電気経路L5、L6の断線判定については後で説明するため、ここではその説明を省略する。
次に、制御装置50は、図29の二段目に示すように、第3、第4入力スイッチSW3、SW4をオンする。制御装置50は、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧が充分に放電(ディスチャージ)されるまで、第3、第4入力スイッチSW3、SW4をオンに保持する。
ここで、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じている場合には、図24の破線矢印に示すように、フライングキャパシタ44から第2入力ラインLβ→第6電気経路L6→バイパス経路70→第5電気経路L5→第1入力ラインLαへ電流が流れる放電経路(閉回路)が形成される。
なお、フライングキャパシタ44からの放電電流は、スタック間ワイヤSPにおける高電位側の端子と同電位となる第6電気経路L6側から低電位側の端子と同電位となる第5電気経路L5へ流れることから、当該放電電流が保護ダイオード32に流れることはない。
これにより、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧は、上述のバイパス経路70を含む放電経路内で放電(ディスチャージ)される。
なお、スタック間ワイヤSPにオープン異常が生じていない場合には、上述のバイパス経路70ではなくスタック間ワイヤSPを含む放電経路内で放電(ディスチャージ)される。
次に、制御装置50は、フライングキャパシタ44に蓄えられた電圧が充分に放電(ディスチャージ)された後、各スイッチSW3、SW4をオフし、各出力スイッチSWa、SWbをオンしてフライングキャパシタ44の端子間電圧Vcを示すデジタル信号を取得する。
そして、制御装置50は、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcと予め設定された判定閾値Vth1との大小関係を比較し、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定する。なお、このスタック間ワイヤSPのオープン異常の有無の判定は、第1実施形態と同様に行うことができる。
また、制御装置50は、各スイッチSW3、SW4をオフした後、図29の四段目に示すように、スイッチSW32を一定期間オンする。その後、スイッチSW32をオフし、それから一定期間経過した後(t41)のコンデンサC32の端子間電圧VBを第2監視IC30bより取得する。
なお、スイッチSW32を一定期間オンすることで、フライングキャパシタ44をディスチャージする際に蓄えられたコンデンサC32の電圧が放電される。このように、スイッチSW32を一定期間オンすることで、コンデンサC32は放電(リフレッシュ)され、コンデンサC32の端子間電圧は0Vに収束する。
このように、制御装置50は、コンデンサC32をリフレッシュした状態で、スイッチSW32をオフし、それから一定期間経過した後(t31)のコンデンサC32の端子間電圧VBを第2監視IC30bより取得する。このため、図24中に点線矢印で示した放電経路を流れる電流の影響を受けることなく、コンデンサC32の端子間電圧VBを第2監視IC30bより取得することができる。
次に、制御装置50は、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンする。すなわち、フライングキャパシタ44に対して、第1セルグループCG1の端子間電圧が逆極性(正極端子Aが「−」、負極端子Bが「+」)で充電されるように、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオンする。
これにより、フライングキャパシタ44には、第1セルグループCG1の放電電流が負極端子B側から正極端子A側へ流れ、フライングキャパシタ44に対して逆極性の電圧が充電(負チャージ)される。
次に、制御装置50は、フライングキャパシタ44に対して第1セルグループCG1の端子間電圧Vdにおける実効値Vτ以上の電圧が充電され、フライングキャパシタ44の負チャージが完了した状態で、第1、第4入力スイッチSW1、SW4をオフする。
次に、図29の五段目に示すように、スイッチSW31、33を一定期間オンした後、スイッチSW31、33をオフし、それから一定期間経過した後(t42)のコンデンサC32の端子間電圧VAを第2監視IC30bより取得する。
次に、制御装置50は、図29の六段目に示すように、t41におけるコンデンサC32の端子間電圧VAとt42におけるコンデンサC32の端子間電圧VBの差分の大きさと既定値αの大小関係を比較し、電気経路L5、L6の断線の有無を判定する。
具体的には、t41におけるコンデンサC32の端子間電圧VAとt42におけるコンデンサC32の端子間電圧VBの差分の大きさが既定値α以下の場合、電気経路L5、L6は正常と判定する。
また、t41におけるコンデンサC32の端子間電圧VAとt42におけるコンデンサC32の端子間電圧VBの差分の大きさが既定値αよりも大きい場合、電気経路L5、L6は断線異常と判定する。
このように、フライングキャパシタ44の負チャージとディスチャージを繰り返し実施してスタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定するとともに、フライングキャパシタ44の負チャージの期間とディスチャージの期間の間に電気経路L5、L6の断線検出を繰り返し実施する。
上記したように、電池監視ユニット20は、複数の電気経路L1〜L10のうち、スタック間ワイヤSPの両端に接続される一対の電気経路L5、L6間に設けられたコンデンサC32と、複数の電気経路L1〜L10のうち、スタック間ワイヤSPより低電位側に直列に接続される単位電池BC3の両端に接続される一対の電気経路L4、L5間に設けられたコンデンサC31と、複数の電気経路L1〜L10のうち、スタック間ワイヤSPより高電位側に直列に接続される単位電池BC4の両端に接続される一対の電気経路L6、L7間に設けられたコンデンサC33を備えている。
電池監視ユニット20は、更に、第1コンデンサC32を放電させた後、第1コンデンサC32の放電を停止させた後に検出されるコンデンサC32の端子間電圧VAと、第2、第3のコンデンサC31、C33を放電させた後、第2、第3のコンデンサC31、C33の放電を停止させた後に検出される第1コンデンサC32の端子間電圧の差分の大きさに基づいて第1〜第3コンデンサに接続された複数の電気経路の断線の有無を判定するようになっている。
また、電池監視ユニット20は、フライングキャパシタ44に対して予め定めた基準電圧以上の電圧が充電された状態で、スタック間ワイヤSPおよびバイパス経路70のいずれかを介して、第1の電気経路L6側から第2の電気経路L5側へフライングキャパシタ44の放電電流が流れるように入力側スイッチ群が操作された後で、かつ、第1〜第3コンデンサC31〜C33に接続された複数の電気経路の断線の有無を判定する前に、第1のコンデンサC32を放電させるようになっているので、フライングキャパシタ44を放電する際に第1のコンデンサC32が充電されてしまっても、複数の電気経路の断線の有無の誤判定を防止することができる。すなわち、スタック間ワイヤSPのオープン異常と、複数の電気経路L5、L6の断線を区別して検出することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。例えば、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の各実施形態では、スタック間ワイヤSPの両端に接続された一対の電気経路L5、L6同士をバイパス経路70により短絡させる例について説明したが、これに限定されない。
バイパス経路は、スタック間ワイヤSPの高電位側の端子と同電位以上となる第1の電気経路L6〜L10、およびスタック間ワイヤSPの低電位側の端子と同電位以下となる第2の電気経路L1〜L5同士を短絡させる構成であってもよい。
以下、第1実施形態に示すバイパス経路70を、図30に示すように、スタック間ワイヤSPの高電位側の端子よりも電位の高い第7電気経路L7、および第5電気経路L5同士を短絡させるバイパス経路71に変更した例について説明する。
この場合、第1実施形態の第4入力スイッチSW4を、一端側が抵抗体R31を介して第7電気経路L7に接続される第10入力スイッチSW31に変更する。また、バイパス経路71には、第1実施形態の第1、第2ツェナダイオード70a、70bに相当する第3、第4ツェナダイオード71a、71bを設ける。なお、第3、第4ツェナダイオード71a、71bは、その降伏電圧が第4単位電池BC4の端子間電圧(例えば、3V)より大きい値(例えば、8.2V)となるものを用いる。
図30に例示した構成における異常判定処理では、まず、第2、第10入力スイッチSW2、SW31をオンして、フライングキャパシタ44に逆極性の電圧を充電する。なお、フライングキャパシタ44には、第1セルグループCG1および第4単位電池BC4の電圧が逆極性で充電される。
そして、フライングキャパシタ44に逆極性の電圧が充電された後、第3、第10入力スイッチSW3、SW31をオンする。これにより、フライングキャパシタ44の放電電流が、スタック間ワイヤSPおよびバイパス経路71のいずれかを介して、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された第7電気経路L7から低電位側に接続された第5電気経路L5へ流れる放電経路が形成される。
スタック間ワイヤSPのオープン異常が生じていない場合、フライングキャパシタ44の放電電流がスタック間ワイヤSP側へ流れる放電経路となり、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、時間経過と共に第4単位電池BCの端子間電圧に収束する。
これに対して、スタック間ワイヤSPのオープン異常が生じている場合、フライングキャパシタ44の放電電流が、図30の破線矢印に示すように、バイパス経路71側へ流れる放電経路となる。この場合、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、時間経過と共に第3ツェナダイオード71aの降伏電圧Vz付近の値(>第4単位電池BC4の端子間電圧)に収束する。
このように、図30に例示した構成では、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無により、フライングキャパシタ44の端子間電圧が大きく乖離するため、フライングキャパシタ44の端子間電圧に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定することができる。なお、図30の構成とする場合、オープン異常を判定する際の判定閾値を第4単位電池BC4の端子間電圧を加味した値に設定すればよい。
勿論、バイパス経路は、図30に例示した構成以外でもよい。例えば、第1実施形態に示すバイパス経路70が、第6電気経路L6、およびスタック間ワイヤSPの低電位側の端子よりも電位の低い第4電気経路L4を短絡させるバイパス経路に変更されていてもよい。この場合、第1実施形態の第3入力スイッチSW3を、第4電気経路L4に接続すれば、フライングキャパシタ44の放電電流が、スタック間ワイヤSPおよびバイパス経路71のいずれかを介して、スタック間ワイヤSPの高電位側に接続された第6電気経路L7から低電位側に接続された第4電気経路L4へ流れる放電経路を形成できる。
(2)上述の各実施形態では、フライングキャパシタ44の放電電流が流れる放電経路に単位電池が含まれないものを例示したが、これに限定されず、フライングキャパシタ44の放電電流が流れる放電経路に単位電池が含まれていてもよい。
ここで、図31は、第2実施形態の第6入力スイッチSW6を、一端側が抵抗体R41を介して第7電気経路L7に接続される第11入力スイッチSW41に変更した構成を示している。
図31に例示した構成では、フライングキャパシタ44に正極性の電圧が充電された後、第5、第11入力スイッチSW11、SW41をオンすると、フライングキャパシタ44の放電電流が、第4単位電池BC4を介して流れる放電経路が形成される。
スタック間ワイヤSPのオープン異常が生じていない場合、フライングキャパシタ44の放電電流が第4単位電池BC4およびスタック間ワイヤSPへ流れる放電経路となり、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、時間経過と共に第4単位電池BC4の端子間電圧に収束する。
これに対して、スタック間ワイヤSPのオープン異常が生じている場合、フライングキャパシタ44の放電電流が、図31の破線矢印に示すように、第4単位電池BC4およびバイパス経路70へ流れる放電経路となる。この場合、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、時間経過と共に第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzに第4単位電池BC4の端子間電圧を加算した値に収束する。
このように、図31に例示した構成では、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無により、フライングキャパシタ44の端子間電圧が大きく乖離するため、フライングキャパシタ44の端子間電圧に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定することができる。なお、図31の構成とする場合、オープン異常を判定する際の判定閾値を第4単位電池BC4の端子間電圧を加味した値に設定すればよい。
(3)また、図32は、第2実施形態の第5入力スイッチSW5を、一端側が抵抗体R51を介して第7電気経路L7に接続される第12入力スイッチSW51に変更した構成を示している。
図32に例示した構成では、フライングキャパシタ44に正極性の電圧が充電された後、第6、第12入力スイッチSW16、SW51をオンすると、フライングキャパシタ44の放電電流が、第3単位電池BC3を介して流れる放電経路が形成される。
スタック間ワイヤSPのオープン異常が生じていない場合、フライングキャパシタ44の放電電流がスタック間ワイヤSPおよび第3単位電池BC3へ流れる放電経路となり、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、時間経過と共に第3単位電池BC3の端子間電圧に収束する。
これに対して、スタック間ワイヤSPのオープン異常が生じている場合、フライングキャパシタ44の放電電流が、図32の破線矢印に示すように、バイパス経路70および第3単位電池BC3へ流れる放電経路となる。この場合、フライングキャパシタ44の端子間電圧Vcは、時間経過と共に第1ツェナダイオード70aの降伏電圧Vzに第3単位電池BC3の端子間電圧を加算した値に収束する。
このように、図32に例示した構成では、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無により、フライングキャパシタ44の端子間電圧が大きく乖離するため、フライングキャパシタ44の端子間電圧に基づいて、スタック間ワイヤSPのオープン異常の有無を判定することができる。なお、図32の構成とする場合、オープン異常を判定する際の判定閾値を第3単位電池BC3の端子間電圧を加味した値に設定すればよい。
(4)上述の各実施形態では、バイパス経路70に一対のツェナダイオード70a、70bを設ける例について説明したが、バイパス経路70に一対のツェナダイオード70a、70bのうち、第1ツェナダイオード70aだけを設ける構成としてもよい。
(5)上述の第8、第9実施形態では、第1、第6実施形態の電池監視ユニット20の各ツェナダイオード70a、70bをバイパスキャパシタ72に変更する例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1、第6実施形態以外の実施形態において、各ツェナダイオード70a、70bをバイパスキャパシタ72に変更するようにしてもよい。
(6)上述の各実施形態では、「導電部材」として、スタック間ワイヤSPを用いた例について説明したが、「導電部材」はワイヤに限らず、バスバー等で構成されていてもよい。
(7)上述の各実施形態では、2つのセルグループCG1、CG2で構成される組電池10を例示したが、隣接するセルグループの少なくとも一部が導電部材(スタック間ワイヤSP)で接続されていれば、3つ以上のセルグループで組電池10が構成されていてもよい。
(8)上述の各実施形態では、各単位電池BC1〜BC6の電池電圧を複数の監視IC30a〜30cで監視する例について説明したが、単一の監視ICにより各単位電池BC1〜BC6を監視する構成としてもよい。
(9)上述の各実施形態では、本発明に係る異常検出装置を、車載主機としてのモータジェネレータの電源を構成する高電圧バッテリを監視する電池監視ユニット20に適用した例について説明したが、これに限定されず、その他のバッテリシステム等に適用してもよい。
(10)上述の各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
(11)上述の各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
(12)上述の各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
(13)上述の第10実施形態において、フライングキャパシタ44に対して予め定めた基準電圧以上の電圧が充電された状態で、スタック間ワイヤSPおよびバイパス経路70のいずれかを介して、第1の電気経路側から第2の電気経路側へフライングキャパシタ44の放電電流が流れるように入力側スイッチ群が操作された後で、かつ、複数の電気経路の断線の有無を判定する前に、第1コンデンサと並列に設けられたスイッチSW32をオン制御してコンデンサC32を放電させるようにしたが、このように、スイッチSW32をオン制御しなくても、例えば、フライングキャパシタ44に対して予め定めた基準電圧以上の電圧を印加して充電(負チャージ)するようにしてもよい。
(14)上述の第10実施形態において、第1実施形態と同様に、バイパス経路70にツェナーダイオード70a、70bを設けた構成を示したが、ツェナーダイオード70a、70bに代えて、第2実施形態と同様に、バイパス経路70にバイパスコンデンサ72を備えた構成とすることもできる。