JP6135922B2 - 抵抗溶接装置、および抵抗溶接の溶接制御方法 - Google Patents

抵抗溶接装置、および抵抗溶接の溶接制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、抵抗溶接中の溶接電流や加圧力を自動で調整可能な抵抗溶接装置、および抵抗溶接の溶接制御方法に関する。
抵抗溶接では、重ね合わせた被溶接部材に圧力を加え、電流を流すことにより、被溶接部材の接触部にジュール熱を発生させて溶接する。
抵抗溶接は、被溶接部材の接触部に過大な溶接電流を付与すると、溶接部が温度上昇し過ぎて、溶融金属が飛散する散り現象が発生してしまう。
抵抗溶接において散り現象が発生すると、溶融金属が外部に流出し、ナゲット径が不十分になる場合がある。散り現象が発生しないときに比べて、散り現象が発生したときのナゲット成長は縮小する。
特に、引張強度の高い高張力鋼を被溶接部材として採用する場合、被溶接部材の板間に隙間が生じやすい。被溶接部材の板合いが悪くなると、散り現象が発生した場合のリスクも増大する。
従来、抵抗溶接の制御に関する技術が種々開発されている。たとえば、可動電極の移動開始からワークを溶接完了するまでの可動電極の移動速度および/または移動距離をセンサで監視し、当該センサの検出値が可動電極の移動中に異物を挟み込んだときの安全を確保するための基準値と溶接品質を確保するための基準値との設定可能な閾値を超えたときに、可動電極の動作を停止および/または開放動作に切り換える抵抗溶接機の電極加圧制御方法がある(特許文献1参照)。
特開2006−205197号公報 溶接学会「スポット溶接・上」1982年8月発行 8章「散りの発生現象と電極の溶着現象」
ところで、特許文献1の技術では、被溶接部材の板合いの悪さを解消することはできなかった。
通電中、特に溶接初期段階で散り現象が発生すると、溶融金属が流出し、溶融部分に発熱を妨げる板合いの悪い部分が発生する。したがって、このまま通電を続けても、適切なナゲット成長が期待できない。
従来、散り現象の発生によるナゲット成長の低下を抑制するため、散り現象を発生させないように様々な対策をしている。しかし、現状においては、完全な散り現象の防止対策は見出されていない。
また、散り現象の発生によりナゲット径が不十分になることに対しては、実質的に何も対策されていないのが現状である。
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、抵抗溶接中に散り現象が発生したときに、自動で溶接電流や加圧力を調整制御して、良好にナゲット成長を行わせることができる抵抗溶接装置、および抵抗溶接の溶接制御方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る抵抗溶接装置は、一対の電極と、少なくとも一方の電極に加圧力を付与する加圧装置と、両電極に溶接電流を通電する通電装置とを備え、被溶接部材に加圧力を付与して通電することにより溶接する。
本発明に係る抵抗溶接装置は、上記一対の電極の電極間抵抗もしくは電極間電圧を検出する検出器と、上記検出器の検出値に基づいて、上記通電装置もしくは上記加圧装置を制御する制御装置と、を有する。
上記制御装置は、上記検出器の検出値が閾値以下になったときに、散り現象が発生したと判定し、上記被溶接部材の板合いの悪さを解消すべく、上記通電装置もしくは上記加圧装置を制御して馴染ませ通電を実施する。
また、本発明に係る抵抗溶接の溶接制御方法は、電極間抵抗もしくは電極間電圧を検出する手順と、上記検出値が閾値以下となったか否かを判定する手順と、上記検出値が閾値以下になったときに、散り現象が発生したと判定し、被溶接部材の板合いの悪さを解消すべく、馴染ませ通電を実施する手順と、上記馴染ませ通電前の溶接電流で再通電して溶接を継続する手順と、を有する。
本発明に係る抵抗溶接装置の制御装置は、検出器の検出値が閾値以下になったときに、散り現象が発生したと判定する。制御装置は、散り現象が発生したと判定すると、散り現象の発生による被溶接部材の板合いの悪さを解消すべく、通電装置もしくは加圧装置を制御して馴染ませ通電を実施する。
したがって、本発明に係る抵抗溶接装置によれば、抵抗溶接中に散り現象が発生した場合に、馴染ませ通電を実施するので、散り現象の発生による被溶接部材の板合いの悪さを解消したうえで、再溶接を実施することになり、良好にナゲット成長を行わせることができる。
第1実施形態に係る抵抗溶接装置のブロック図である。 第1実施形態に係る抵抗溶接の溶接制御方法の電流制御の説明に供する図である。 第1実施形態に係る抵抗溶接の溶接制御方法のフローチャートである。 第2実施形態に係る抵抗溶接の溶接制御方法の加圧制御の説明に供する図である。 第2実施形態に係る抵抗溶接の溶接制御方法のフローチャートである。
以下、図面を参照して、第1および第2実施形態に係る抵抗溶接装置、および抵抗溶接の溶接制御方法について説明する。
第1および第2実施形態は、抵抗溶接中に散り現象が発生した場合に、当該散り現象の発生による被溶接部材の板合いの悪さを解消するため、馴染ませ通電を実施したうえで、再溶接を実施することにより、良好なナゲット成長が可能な抵抗溶接装置、および抵抗溶接の溶接制御方法を実現できるようになる。
〔第1実施形態〕
[抵抗溶接装置の構成]
まず図1を参照して、第1実施形態に係る抵抗溶接装置の構成について説明する。図1は抵抗溶接装置のブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る抵抗溶接装置100は、一対の電極21、22と、突き合わせた被溶接部材1、2に加圧力を付与する加圧装置30と、両電極21、22に溶接電流を通電する通電装置40と、備える。
一対の電極21、22は、それぞれ下部ステージ11と上部ステージ12に設けられている。両電極21、22は、被溶接部材1、2への通電面が相対向するように配置されている。下部ステージ11および上部ステージ12は、抵抗溶接装置100の筐体10の外部に露出している。
本実施形態の被溶接部材1、2は、たとえば、高張力鋼板やステンレス鋼板等の金属製板材である。本実施形態に係る抵抗溶接装置100の電極21、22で突き合わせた被溶接部材1、2に加圧力を付与し、通電することにより接触部を溶融させて、当該被溶接部材1、2同士を溶接する。
再び図1を参照すると、加圧装置30は、電極21、22を介して、突き合わせた被溶接部材1、2に加圧力を付与する。本実施形態では、上部ステージ12のみが可動であって、下部ステージ11は固定となっている。したがって、加圧装置30は、上部ステージ12のみを昇降移動させる。これに限定されず、双方のステージ11、12を可動として、加圧装置30が当該双方のステージ11、12を昇降移動させるように構成してもよい。
加圧装置30としては、たとえば、エアシリンダや油圧シリンダ等のシリンダ装置、ボールねじ機構やラック・アンド・ピニオン等のリニア機構などが挙げられるが、例示の装置や機構に限定されない。
通電装置40は、トランス41を備えている。トランス41は、抵抗溶接装置100の筐体10内に設けられる。通電装置40は、トランス41を介して電極21、22と電気的に接続されるとともに、不図示の電源と電気的に接続されている。通電装置40に電力を供給する電源としては、たとえば、直流電源もしくは単相交流電源が挙げられるが、例示の電源に限定されず、三相交流電源等であっても構わない。
また、通電装置40は、不図示のインバータ回路を備えていてもよい。ここで、インバータ回路とは、交流と直流を変換するとともに、交流電流の周波数を設定可能な回路である。通電装置40にインバータ回路を備えることにより、直流インバータ式抵抗溶接装置もしくは交流インバータ式抵抗溶接装置を構成することができる。直流インバータの場合は、トランス41の2次側に不図示の整流器(整流ダイオード)を付設して、直流に変換される。
さらに、本実施形態の抵抗溶接装置100は、電極間抵抗もしくは電極間電圧を検出する検出器50と、当該検出器50の検出値に基づいて、散り現象が発生したことを判断し、通電装置40を制御する制御装置60とを備える。
検出器50は、制御装置60内に備えられ、電極21、22から電極間抵抗もしくは電極間電圧を取得して検出する。検出器50は、制御装置60と電気的に接続され、検出値を制御装置60に出力する。
制御装置60は、本実施形態の抵抗溶接装置100の筐体10内に設けられる。制御装置60は、加圧装置30および通電装置40と電気的に接続されている。
また、制御装置60は、種々の溶接条件を設定するための入力部70を備える。制御装置60には、入力部70を介して、電極21、22の電極間抵抗もしくは電極間電圧の閾値が設定可能である。
入力部70としては、たとえば、キーボードやタッチパネル等の入力装置が挙げられるが、例示の入力装置に限定されない。
制御装置60は、検出器50の検出値に基づいて、散り現象が発生したか否かを判定する。制御装置は、検出器50の検出値が閾値以下になったときに、散り現象が発生したと判定する。制御装置60が散り現象が発生したと判定した場合は、被溶接部材1、2の板合いの悪さを解消すべく、通電装置40の溶接電流を制御して馴染ませ通電を実施する。
第1実施形態の制御装置60による馴染ませ通電は、加圧装置30の加圧力を一定に保った状態で、通電装置40の溶接電流を一時的に上昇させた後、馴染ませ通電前の溶接電流以下に降下させて維持する。
制御装置60は、時間を計測するための不図示のカウンタを備えている。制御装置60としては、たとえば、マイクロコンピュータ等の中央処理装置が挙げられるが、例示の制御装置に限定されない。
[抵抗溶接の溶接制御方法]
次に、図1から図3を参照して、第1実施形態に係る抵抗溶接装置100の作用とともに、当該抵抗溶接装置100を用いて実施する第1実施形態に係る抵抗溶接の溶接制御方法について説明する。
本実施形態に係る抵抗溶接装置100は、図1に示すように、電極21、22で重ね合わせた被溶接部材1、2に加圧力を付与し、通電することによりジュール熱を発生させ、被溶接部材1、2の接触部を溶融させて当該被溶接部材1、2を溶接する。
第1実施形態に係る抵抗溶接装置100を用いて、第1実施形態に係る溶接制御方法を行うに際して、入力部70から制御装置60に種々の溶接条件が設定される。本実施形態では、少なくとも、散り現象が発生したことを示す電極間抵抗もしくは電極間電圧の閾値が設定される。
第1実施形態に係る溶接制御方法は、電極間抵抗もしくは電極間電圧を検出する手順と、電極間抵抗もしくは電極間電圧の検出値が閾値以下となったか否かを判断する手順と、検出値が閾値以下になったときに、散り現象が発生したと判定し、被溶接部材の板合いの悪さを解消すべく、馴染ませ通電を実施する手順と、馴染ませ通電前の溶接電流で再通電して溶接を継続する手順と、を有する。
また、馴染ませ通電を実施する手順の前に、通電休止して散り現象を誘発した過熱を放熱する手順を実施する。
さらに、馴染ませ通電を実施する手順の後に、通電休止して溶接部材の板合いの悪さを解消した熱を放熱する手順を実施する。
以下、図1から図3を参照して、第1実施形態に係る抵抗溶接の溶接制御方法を具体的に説明する。図2は第1実施形態に係る抵抗溶接の溶接制御方法の電流制御の説明に供する図である。図3は第1実施形態に係る抵抗溶接の溶接制御方法のフローチャートである。
抵抗溶接に際して、下部ステージ11の電極21上には、被溶接部材1、2が溶接面側を重ね合わせた状態で配置される。すなわち、被溶接部材1の上面には、被溶接部材2が当接させた状態で配置される(図1参照)。
図3に示すように、まず、抵抗溶接装置100の起動スイッチをオンすると、当該抵抗溶接装置100が起動する(ステップ110;以下、「S110」のように表記する)。
次に、加圧装置30が駆動し、電極加圧を行う(S120)。すなわち、加圧装置30は電極22を下降させ、電極21、22を介して、重ね合わせた被溶接部材1、2を加圧する。
制御装置60は、カウンタを備えているので、スクイズ時間を計測する(S130)。スクイズ時間が経過するまでの間(S130/No)、電極加圧状態が保持される。ここで、スクイズ時間とは、電極加圧後、電極21、22に溶接電流を流し始めるまでの時間をいう。
図2および図3に示すように、制御装置60は、スクイズ時間が経過したら(S130/Yes)、予め設定した溶接電流値で通電装置40の通電を開始する(S140)。
制御装置60は、通電を開始して抵抗溶接を行う間、連続して検出器50の検出値を観測している。そして、制御装置60は、検出器50の検出値が予め設定した閾値以下になったか否かを判定する(S150)。検出器50の検出値が閾値以下となるまでの間(S150/No)は、引き続き検出器50の検出値を観測する。
検出器50の検出値が閾値以下になると(S150/Yes)、制御装置60は、通電装置40の通電を休止する(S160)。この通電休止は、馴染ませ通電を実施する前に、散り現象を誘発した過熱を放熱させるためのものである。
散り現象の発生後に、直ぐに被溶接部材1、2の板合いの悪さを解消するための、馴染ませ通電を実施してもよいが、通電を休止し、散り現象が発生する程の過度な熱量を放出する方が、その後の板合いの悪さを解消する通電に安定度をもたせることができる。
通電休止時間は、散り現象の発生前に過熱を行った時間、もしくは散り現象の発生前に投入したエネルギー量に応じて算出される。散り現象の発生前に過熱を行った時間は、溶接電流を流し始めてから散り現象の発生が検出されるまでの時間である。また、投入したエネルギー量は、溶接電流を流し始めてから散りの発生が検出されるまでの溶接電流(I)の自乗と電極間抵抗(R)の積が該当する。時間やエネルギー量が多ければ、より多くの時間を通電休止時間とし、板材が冷めるように設定する。
散り現象の発生前に過熱を行った時間、もしくは散り現象の発生前に投入したエネルギー量に応じた通電休止時間を設けることで、板合いの悪さを解消する通電の更なる安定度向上に繋がる。
制御装置60は、カウンタを備えているので、算出された通電休止時間をカウントする。
当該通電休止時間の経過後、制御装置60は、馴染ませ通電を行うが、当該馴染ませ通電の初期段階で一時的に通電装置40の溶接電流を上昇させるイニシャルハイ通電を実施してもよい(S170)。制御装置60は、イニシャルハイ通電の後、通電装置40の溶接電流を初期の溶接電流値以下に降下させて馴染ませ通電に移行する(S170)。
当該馴染ませ通電の初期に多少高めの熱量を投入するイニシャルハイ通電を行うことにより、馴染ませ時間を短縮することができる。
馴染ませ通電の終了後、制御装置60は、再度、通電装置40の通電を休止する(S180)。この通電休止は、馴染ませ通電を実施した後に、溶接部材の板合いの悪さを解消した熱を放熱するためのものである。なお、通電休止時間は、S160の通電休止と同様にして算出される。
被溶接部材1、2の板合いの悪さを解消するために投入した熱を通電休止して放熱してから後述の再溶接を実施すると、再溶接時のナゲット成長に与える余分な熱量による悪影響を緩和することができる。
制御装置60は、カウンタを備えているので、算出された通電休止時間をカウントする。
当該通電休止時間の経過後、制御装置60は、再度、初期設定した溶接電流で通電装置40の通電を開始し、再溶接を行う(S190)。
再溶接の終了後、制御装置60は、通電装置40の通電を停止するとともに、加圧装置30を通じて、電極22を上昇させる。
すなわち、第1実施形態に係る抵抗溶接装置100、および溶接制御方法によれば、被溶接部材1、2の板合いの悪さを解消するための、馴染ませ通電を実施したうえで、再溶接を実施することにより、良好なナゲット成長を促進することができる。
従来の抵抗溶接方法によりスポット溶接を行うと、散り現象が発生した溶接部のうちの何割かに溶接不良が生じていた。これに対し、第1実施形態に係る抵抗溶接装置100、および溶接制御方法を用いてスポット溶接を行ったところ、従来のスポット溶接に比して、溶接不良の割合が減少し、スポット溶接の歩留まりを向上させることができた。
〔第2実施形態〕
次に、図1、図4および図5を参照して、第2実施形態に係る抵抗溶接装置、および抵抗溶接の溶接制御方法について説明する。
第2実施形態に係る溶接制御方法は、第1実施形態と同様の構成の抵抗溶接装置100を用いて実施するが(図1参照)、第2実施形態の抵抗溶接装置100は制御装置60の制御内容が異なる。
制御装置60は、第1実施形態と同様に、検出器50の検出値に基づいて、散り現象が発生したか否かを判定する。制御装置は、検出器50の検出値が閾値以下になったときに、散り現象が発生したと判定する。制御装置60が散り現象が発生したと判定した場合は、被溶接部材1、2の板合いの悪さを解消すべく、加圧装置30の加圧力を制御して馴染ませ通電を実施する。
すなわち、第2実施形態の制御装置60による馴染ませ通電は、加圧装置30の加圧力を上昇させて通電装置40の通電を行う。
第2実施形態に係る溶接制御方法は、第1実施形態と同様に、電極間抵抗もしくは電極間電圧を検出する手順と、電極間抵抗もしくは電極間電圧の検出値が閾値以下となったか否かを判断する手順と、検出値が閾値以下になったときに、散り現象が発生したと判定し、被溶接部材の板合いの悪さを解消すべく、馴染ませ通電を実施する手順と、馴染ませ通電前の溶接電流で再通電して溶接を継続する手順と、を有する。
また、馴染ませ通電を実施する手順の前に、通電休止して散り現象を誘発した過熱を放熱する手順を実施する。
さらに、馴染ませ通電を実施する手順の後に、通電休止して溶接部材の板合いの悪さを解消した熱を放熱する手順を実施する。
以下、図4および図5を参照して、第2実施形態に係る抵抗溶接の溶接制御方法を具体的に説明する。図4は第2実施形態に係る抵抗溶接の溶接制御方法の加圧制御の説明に供する図である。図5は第2実施形態に係る抵抗溶接の溶接制御方法のフローチャートである。
抵抗溶接装置100を用いて、第2実施形態に係る溶接制御方法を行うに際して、入力部70から制御装置60に種々の溶接条件が設定される(図1参照)。本実施形態では、少なくとも、散り現象が発生したことを示す電極間抵抗もしくは電極間電圧の閾値が設定される。
図4および図5に示すように、第2実施形態に係る溶接制御方法は、S270の手順が異なる以外は、第1実施形態と同様の手順で実施される。
すなわち、第2実施形態に係る溶接制御方法は、S110からS160までの手順を実施すると、散り現象を検知した後に通電休止を行った状態である。この通電休止は、馴染ませ通電を実施する前に、散り現象を誘発した過熱を放熱させるためのものである。なお、通電休止時間は、第1実施形態と同様にして算出される。
制御装置60は、カウンタを備えているので、算出された通電休止時間をカウントする。
当該通電休止時間の後、制御装置60は、加圧装置30の加圧力を初期の加圧力よりも上昇させて馴染ませ通電を行う(S270)。
馴染ませ通電の終了後、制御装置60は、再度、通電装置40の通電を休止する(S180)。この通電休止は、馴染ませ通電を実施した後に、溶接部材の板合いの悪さを解消した熱を放熱するためのものである。なお、通電休止時間は、S160の通電休止と同様にして算出される。
制御装置60は、カウンタを備えているので、算出された通電休止時間をカウントする。
当該通電休止時間の経過後、制御装置60は、再度、初期設定した溶接電流で通電装置40の通電を開始し、再溶接を行う(S190)。
再溶接の終了後、制御装置60は、通電装置40の通電を停止するとともに、加圧装置30を通じて、電極22を上昇させる。
第2実施形態に係る溶接制御方法は、基本的に第1実施形態と同様の作用効果を奏する。特に第2実施形態に係る溶接制御方法によれば、加圧装置30の加圧力を上昇させるだけの簡単な操作で馴染ませ通電を行って、被溶接部材1、2の板合いの悪さを解消することができるという有利な効果を奏する。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。
1、2 被溶接部材、
21、22 電極、
30 加圧装置、
40 通電装置、
50 検出器、
60 制御装置、
70 入力部、
100 抵抗溶接装置。

Claims (8)

  1. 一対の電極と、少なくとも一方の電極に加圧力を付与する加圧装置と、両電極に溶接電流を通電する通電装置とを備え、被溶接部材に加圧力を付与して通電することにより溶接する抵抗溶接装置において、
    前記一対の電極の電極間抵抗もしくは電極間電圧を検出する検出器と、
    前記検出器の検出値に基づいて、前記通電装置もしくは前記加圧装置を制御する制御装置と、を有し、
    前記制御装置は、前記検出器の検出値が閾値以下になったときに、散り現象が発生したと判定し、前記被溶接部材の板合いの悪さを解消すべく、前記通電装置もしくは前記加圧装置を制御して馴染ませ通電を実施し、
    前記馴染ませ通電は、前記加圧装置の加圧力を一定に保った状態で、該馴染ませ通電の初期に前記通電装置の溶接電流を一時的に上昇させた後、前記馴染ませ通電前の溶接電流以下に降下させて維持することを特徴とする抵抗溶接装置。
  2. 前記馴染ませ通電は、前記加圧装置の加圧力を上昇させて前記通電装置の通電を行うことを特徴とする請求項1に記載の抵抗溶接装置。
  3. 前記制御装置は入力部を備えており、該入力部を介して、少なくとも、散り現象が発生したことを示す電極間抵抗もしくは電極間電圧の閾値が設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の抵抗溶接装置。
  4. 電極間抵抗もしくは電極間電圧を検出する手順と、
    前記検出値が閾値以下となったか否かを判定する手順と、
    前記検出値が閾値以下になったときに、散り現象が発生したと判定し、被溶接部材の板合いの悪さを解消すべく、馴染ませ通電を実施する手順と、
    前記馴染ませ通電前の溶接電流で再通電して溶接を継続する手順と、を有し、
    前記馴染ませ通電を実施する手順は、電極の加圧力を一定に保った状態で、該馴染ませ通電の初期に溶接電流を一時的に上昇させた後、前記馴染ませ通電前の溶接電流以下に降下させて維持することを特徴とする抵抗溶接の溶接制御方法。
  5. 前記馴染ませ通電を実施する手順は、電極の加圧力を上昇させて通電を行うことを特徴とする請求項に記載の抵抗溶接の溶接制御方法。
  6. 前記馴染ませ通電を実施する手順の前に、通電休止して散り現象を誘発した過熱を放熱する手順を有することを特徴とする請求項4または5に記載の抵抗溶接の溶接制御方法。
  7. 前記馴染ませ通電を実施する手順の後に、通電休止して溶接部材の板合いの悪さを解消した熱を放熱する手順を有することを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の抵抗溶接の溶接制御方法。
  8. 前記通電休止する手順の休止時間は、散り現象の発生する前に加熱を行った時間、もしくは散り現象の発生する前に投入したエネルギー量に基づいて算出することを特徴とする請求項またはに記載の抵抗溶接の溶接制御方法。
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