JP6135464B2 - 内燃機関の排出ガス浄化装置 - Google Patents

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本発明は、内燃機関の排出ガスを浄化する触媒コンバータと、この触媒コンバータの下流側に配置された排出ガスセンサとを備えた内燃機関の排出ガス浄化装置に関する発明である。
近年、内燃機関を搭載した車両においては、排気管に排出ガス浄化用の触媒コンバータを設置すると共に、この触媒コンバータの上流側と下流側に排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ(空燃比センサ又は酸素センサ等)を設置するようにしたものがある。このようなシステムでは、排出ガスセンサの出力に基づいて空燃比F/B制御(メインF/B制御やサブF/B制御)を実行して触媒コンバータの排出ガス浄化率を高めるようにしている。ここで、「F/B」は「フィードバック」を意味する。
また、触媒コンバータとしては、例えば、特許文献1(特開2002−177794号公報)に記載されているように、多数のセルが形成されたセラミック担体に触媒成分を担持したセラミック触媒体を用いたものがある。このものは、ガス流れの多い担体中心部に担持される触媒量を外周部の1.1倍以上にするようにしている。
特開2002−177794号公報
ところで、触媒体のセル密度が均一の場合、触媒コンバータ内の排出ガスの流速は、外周側よりも中心側の方が速くなる傾向がある。このため、内燃機関の空燃比が変化したときに、触媒コンバータの下流側近傍では、排出ガスの流速が速い中心側から空燃比が変化し始める。一方、触媒コンバータの下流側の排出ガスセンサは、排気通路の内壁面近傍(つまり外周側)に配置される。
このため、触媒コンバータの下流側の排出ガスセンサを触媒コンバータの下流側近傍に配置すると、下流側の排出ガスセンサの出力に基づいた空燃比制御(例えばサブF/B制御)を精度良く行うことが困難になる可能性がある。これを回避するには、触媒コンバータの下流側の排出ガスセンサを、触媒コンバータから十分に離れた位置(排出ガスが十分に混合されて空燃比の分布がほぼ均一になる位置)に配置する必要がある。
しかし、触媒コンバータから下流側の排出ガスセンサまでの距離が長いと、下流側の排出ガスセンサの出力に基づいたサブF/B制御の応答性が低下する可能性があると共に、車両への搭載が困難になる可能性もある。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、触媒コンバータの下流側の排出ガスセンサの出力に基づいた空燃比制御の精度を確保しながら該排出ガスセンサを触媒コンバータの下流側近傍に配置することができる内燃機関の排出ガス浄化装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、内燃機関(11)の排出ガスを浄化する触媒コンバータ(24)と、該触媒コンバータ(24)の下流側の排気通路(23b)に配置された排出ガスセンサ(26)とを備えた内燃機関の排出ガス浄化装置において、触媒コンバータ(24)は、多数のセルを有する担体に触媒成分を担持した触媒体(32)を備え、排出ガスの流れ方向から見て触媒体(32)の中心側の部分である触媒体中心部(33)のセル密度よりも触媒体(32)の外周側の部分である触媒体外周部(34)のセル密度の方が低く、触媒体(32)は、触媒体中心部(33)と触媒体外周部(34)との二段階でセル密度が切り替えられており、触媒体中心部(33)の直径Aと、触媒体外周部(34)の直径Bと、排気通路(23b)内への排出ガスセンサ(26)の突き出し長さLと、排気通路(23b)の内径bとが、A/B≦(b−2×L)/bの関係を満たすように構成されているものである。
触媒体のセル密度が均一の場合、触媒コンバータ内の外周側よりも中心側の方が排出ガスの流速が速くなる傾向があるが、本発明では、触媒体中心部のセル密度よりも触媒体外周部のセル密度の方を低くするようにしている。これにより、触媒体のセル密度が均一の場合に比べて、触媒コンバータ内の外周側の排出ガスの流速を速くして、触媒コンバータ内の排出ガスの流速を中心側と外周側でほぼ均一にする(中心側の流速と外周側の流速との差を小さくする)ことができる。このため、内燃機関の空燃比が変化したときに、触媒コンバータから流出する排出ガスの空燃比を中心側と外周側でほぼ均一に変化させることができる。
更に、本発明では、触媒体中心部の直径Aと、触媒体外周部の直径Bと、排気通路内への排出ガスセンサの突き出し長さLと、排気通路の内径bとが、A/B≦(b−2×L)/bの関係を満たすようにしている。このようにすれば、触媒体の断面において触媒体外周部の直径B(つまり触媒体の直径)に対する触媒体外周部の幅寸法Xの比率(X/B)を、排気通路の断面において排気通路の内径bに対する排出ガスセンサの突き出し長さLの比率(L/b)以上にすることができる(図3及び図4参照)。これにより、触媒コンバータ下流側の排気通路の断面のうち触媒体外周部に対応する領域(つまりセル密度を低くして排出ガスの流速を速くした領域)に排出ガスセンサの検出部を確実に配置することができる。
以上により、触媒コンバータの下流側の排出ガスセンサを触媒コンバータの下流側近傍に配置しても、下流側の排出ガスセンサの出力に基づいた空燃比制御(例えばサブF/B制御)を精度良く行うことが可能となる。このため、触媒コンバータの下流側の排出ガスセンサの出力に基づいた空燃比制御の精度を確保しながら下流側の排出ガスセンサを触媒コンバータの下流側近傍に配置することができる。更に、下流側の排出ガスセンサを触媒コンバータの下流側近傍に配置することで、下流側の排出ガスセンサの出力に基づいた空燃比制御の応答性や車両への搭載性を向上させることができる。
図1は本発明の一実施例におけるエンジン制御システムの概略構成を示す図である。 図2は触媒体の外観図である。 図3は触媒体の断面図である。 図4は排気通路の断面図である。 図5は本実施例の効果を説明する図である。
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システムの概略構成を説明する。
内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ15によって開度調節されるスロットルバルブ16と、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。
更に、スロットルバルブ16の下流側には、サージタンク18が設けられ、このサージタンク18に、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ19が設けられている。また、サージタンク18には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド20が設けられ、各気筒の吸気マニホールド20に接続された吸気ポート又はその近傍に、それぞれ吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁21が取り付けられている。或は、エンジン11の各気筒に、それぞれ筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁が取り付けられているようにしても良い。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ22が取り付けられ、各気筒の点火プラグ22の火花放電によって各気筒内の混合気に着火される。
一方、エンジン11の排気管23には、排出ガスを浄化する触媒コンバータ24が設けられている。更に、排気管23のうちの触媒コンバータ24の上流側の排気通路23aと下流側の排気通路23bに、それぞれ排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ25,26(空燃比センサ又は酸素センサ等)が設けられている。
また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ27や、ノッキングを検出するノックセンサ28が取り付けられている。また、クランク軸29の外周側には、クランク軸29が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ30が取り付けられ、このクランク角センサ30の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。
これら各種センサの出力は、電子制御ユニット(以下「ECU」と表記する)31に入力される。このECU31は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御用のプログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて、燃料噴射量、点火時期、スロットル開度(吸入空気量)等を制御する。
その際、ECU31は、所定の空燃比F/B制御実行条件が成立したときに、上流側の排出ガスセンサ25の出力に基づい触媒コンバータ24の上流側の排出ガスの空燃比を目標空燃比付近に制御するように燃料噴射量をF/B補正するメインF/B制御を実行する。更に、下流側の排出ガスセンサ26の出力に基づいて触媒コンバータ24の下流側の排出ガスの空燃比を制御目標値(例えば理論空燃比)付近に制御するようにメインF/B制御を修正するサブF/B制御を実行する。このサブF/B制御では、例えば、メインF/B制御の制御中心(目標空燃比)又はメインF/B制御のF/B補正量等を修正する。ここで、「F/B」は「フィードバック」を意味する(以下、同様)。
図2及び図3に示すように、触媒コンバータ24内には、円柱状の触媒体32が設けられている。この触媒体32は、多数のセルが形成された担体(例えばセラミック担体)に触媒成分(例えば、Pt、Pd、Rh等)を担持したものである。この触媒体32は、排出ガスの流れ方向から見て触媒体32の中心側の部分(以下「触媒体中心部」という)33と触媒体32の外周側の部分(以下「触媒体外周部」という)34との二段階でセル密度が切り替えられている。本実施例では、触媒体32は、触媒体中心部33のセル密度よりも触媒体外周部34のセル密度の方が低くなるように形成されている。
触媒体のセル密度が均一の場合、触媒コンバータ24内の外周側よりも中心側の方が排出ガスの流速が速くなる傾向があるが、本実施例では、触媒体中心部33のセル密度よりも触媒体外周部34のセル密度の方を低くするようにしている。これにより、図5に示すように、触媒体のセル密度が均一の従来品に比べて、本実施例では、触媒コンバータ24内の外周側の排出ガスの流速を速くして、触媒コンバータ24内の排出ガスや触媒コンバータ24から流出する排出ガスの流速を中心側と外周側でほぼ均一にする(中心側の流速と外周側の流速との差を小さくする)ことができる。このため、エンジン11の空燃比が変化したときに、触媒コンバータ24から流出する排出ガスの空燃比を中心側と外周側でほぼ均一に変化させることができる。
更に、図3及び図4に示すように、本実施例では、触媒体中心部33の直径Aと、触媒体外周部34の直径Bと、排気通路23b内への排出ガスセンサ26の突き出し長さLと、排気通路23bの内径bとが、下記の関係式を満たすように触媒体中心部33の直径Aと触媒体外周部34の直径Bとの比が設定されている。
A/B≦(b−2×L)/b
このようにすれば、触媒体32の断面において触媒体外周部34の直径B(つまり触媒体32の直径)に対する触媒体外周部34の幅寸法Xの比率(X/B)を、排気通路23bの断面において排気通路23bの内径bに対する排出ガスセンサ26の突き出し長さLの比率(L/b)以上にすることができる。これにより、触媒コンバータ24の下流側の排気通路23bの断面のうち触媒体外周部34に対応する領域(つまりセル密度を低くして排出ガスの流速を速くした領域)に排出ガスセンサ26の検出部を確実に配置することができる。
以上説明した本実施例では、触媒体中心部33のセル密度よりも触媒体外周部34のセル密度の方が低く、且つ、触媒体中心部33の直径Aと、触媒体外周部34の直径Bと、排気通路23b内への排出ガスセンサ26の突き出し長さLと、排気通路23bの内径bとが、A/B≦(b−2×L)/bの関係を満たすようにしている。これにより、触媒コンバータ24の下流側の排出ガスセンサ26を触媒コンバータ24の下流側近傍に配置しても、下流側の排出ガスセンサ26の出力に基づいたサブF/B制御を精度良く行うことが可能となる。このため、触媒コンバータ24の下流側の排出ガスセンサ26の出力に基づいたサブF/B制御の精度を確保しながら下流側の排出ガスセンサ26を触媒コンバータ24の下流側近傍に配置することができる。更に、下流側の排出ガスセンサ26を触媒コンバータ24の下流側近傍に配置することで、下流側の排出ガスセンサ26の出力に基づいたサブF/B制御の応答性や車両への搭載性を向上させることができる。
また、本実施例では、触媒体中心部33と触媒体外周部34との二段階でセル密度を切り替えるようにしたので、触媒体32の構成をあまり複雑化することなく、触媒コンバータ24内の中心側と外周側で排出ガスの流速をほぼ均一にすることができる。
尚、上記実施例では、触媒体中心部33と触媒体外周部34との二段階でセル密度を切り替えるようにしたが、これに限定されず、触媒体32のセル密度を三段階以上で切り替えるようにしても良い。例えば、触媒体中心部33のセル密度を内周側から外周側に向かって複数段階で切り替えるようにしたり、触媒体外周部34のセル密度を内周側から外周側に向かって複数段階で切り替えるようにしても良い。
11…エンジン(内燃機関)、23…排気管、23b…排気通路、24…触媒コンバータ、25,26…排出ガスセンサ、32…触媒体、33…触媒体中心部、34…触媒体外周部

Claims (1)

  1. 内燃機関(11)の排出ガスを浄化する触媒コンバータ(24)と、該触媒コンバータ(24)の下流側の排気通路(23b)に配置された排出ガスセンサ(26)とを備えた内燃機関の排出ガス浄化装置において、
    前記触媒コンバータ(24)は、多数のセルを有する担体に触媒成分を担持した触媒体(32)を備え、前記排出ガスの流れ方向から見て前記触媒体(32)の中心側の部分である触媒体中心部(33)のセル密度よりも前記触媒体(32)の外周側の部分である触媒体外周部(34)のセル密度の方が低く、
    前記触媒体(32)は、前記触媒体中心部(33)と前記触媒体外周部(34)との二段階でセル密度が切り替えられており、
    前記触媒体中心部(33)の直径Aと、前記触媒体外周部(34)の直径Bと、前記排気通路(23b)内への前記排出ガスセンサ(26)の突き出し長さLと、前記排気通路(23b)の内径bとが、A/B≦(b−2×L)/bの関係を満たすように構成されていることを特徴とする内燃機関の排出ガス浄化装置。
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