[第1実施形態]
本開示におけるカラーチャートの表示方法、カラーチャートの表示装置、及び、カラーチャートの表示プログラムの各々を具体化した第1実施形態を以下に説明する。まず、前提となるカラーチャートの構成について図1を参照して説明する。なお、図1では、説明の便宜上、カラーチャートに含まれる色表示単位領域の一部を省略して示す。
[カラーチャートの構成]
図1に示されるように、表示面に表示されるカラーチャート10は、マトリクス状に配列される矩形の領域である複数の色表示単位領域11と、相互に隣接する色表示単位領域11の間の隙間を埋める格子状をなす区画領域12とから構成される。なお、相互に隣接する色表示単位領域11の境界で輝度の変化等が強調される現象であるマッハ効果を抑えるうえでは、区画領域12が黒色であることが好ましい。
[色表示単位領域11の構成]
カラーチャート10には、表示面を定めるための直交軸が定められ、カラーチャート10における四隅のうち一点、例えば、図1に示される左隅の点が原点Oとして設定される。直交軸を構成する2つの軸のうち、図1にて原点Oから右に延びる軸がc軸として設定され、また、図1にて原点Oから上に延びる軸がr軸として設定されている。マトリクス状に配列された色表示単位領域11のうち、図1にてc軸方向にi番目であって、r軸方向にj番目に配置された色表示単位領域11の位置は、配列座標D(i,j)として表される(1≦i≦M、1≦j≦N)。なお、c軸表示数Mは、c軸方向に沿って並ぶ色表示単位領域11の数であり、r軸表示数Nは、r軸方向に沿って並ぶ色表示単位領域11の数である。
複数の色表示単位領域11の各々には、相互に異なる表示色が表示されている。各色表示単位領域11に表示される表示色は、CIExy色度図における2つの属性である色度座標xと色度座標yとによって定められた色平面内に含まれる。各色表示単位領域11に表示される表示色は、2つの色度以外の属性である輝度Yに関し、共通する所定の値を有している。そして、各色表示単位領域11に表示される表示色は、2つの属性に対応する色彩値としての色度座標(x,y)によって特定される。
配列座標D(i,j)に配置された色表示単位領域11での表示色は、xyY表色系において色度座標(xi,yj)として表される。各色表示単位領域11では、色表示単位領域11の配置がc軸方向に進むに従って、表示色における色度座標xが大きくなる。また、色表示単位領域11の配置がr軸方向に進むに従って、表示色における色度座標yが大きくなる。
カラーチャート10では、c軸方向の長さがチャート幅Wvとして設定され、r軸方向の長さがチャート高さHvとして設定される。各色表示単位領域11では、c軸方向の長さが表示幅Wpとして設定され、r軸方向の長さが表示高さHpとして設定される。
また、相互に隣接する色表示単位領域11の間の隙間におけるc軸方向の長さが区画幅Wsとして設定され、相互に隣接する色表示単位領域11の間の隙間におけるr軸方向の長さが区画高さHsとして設定される。そして、c軸に沿って並ぶ色表示単位領域11の数である上記c軸表示数Mが下記式(1)で与えられ、r軸に沿って並ぶ色表示単位領域11の数である上記r軸表示数Nが下記式(2)で与えられる。
表示面であるcr平面では、配列座標D(i,j)に配置された色表示単位領域11の四隅の点の各々の位置座標は、(ci,rj)、(ci+Wp,rj)、(ci,rj+Hp)、(ci+Wp,rj+Hp)として表される。なお、各色表示単位領域11における四隅の点の各々の位置座標は、カラーチャート10の表示に際して、まず、予め設定された初期座標に定められ、この初期座標では、カラーチャート10が表示面の中央に表示される。
c軸に沿って配置された色表示単位領域11のうち、両端に配置された色表示単位領域11の各々と、c軸方向におけるカラーチャート10の両端辺のうち、当該色表示単位領域11に近い端辺との間の距離は、チャート端部幅C0として設定される。また、r軸に沿って配置された色表示単位領域11のうち、両端に配置された色表示単位領域11の各々と、r軸方向におけるカラーチャート10の両端辺のうち、当該色表示単位領域11に近い端辺との間の距離は、チャート端部高さR0として設定される。そして、チャート端部幅C0が下記式(3)で与えられ、チャート端部高さR0が下記式(4)で与えられる。また、配列座標D(i,j)に配置された色表示単位領域11の左下頂点(ci,rj)の初期座標が下記式(5)で与えられる。
[表示色]
カラーチャート10では、c軸方向にて相互に隣接する色表示単位領域11での表示色間の色度差は、固定値である隣接色度差Δxとして設定される。また、r軸方向にて相互に隣接する色表示単位領域11での表示色間の色度差は、これもまた固定値である隣接色度差Δyとして設定される。隣接色度差Δxや隣接色度差Δyが大きくなるほど、相互に隣接する色表示単位領域11の表示色間での色の違いは大きくなる。
カラーチャート10では、カラーチャート10の中央に配置された色表示単位領域11が特定の色表示単位領域11として設定される。c軸表示数Mが2m+1(mは1以上の整数)として設定され、r軸表示数Nが2n+1(nは1以上の整数)として設定され、特定の色表示単位領域11の色度座標が(xc,yc)として設定されると、配列座標D(i,j)の色表示単位領域11における色度座標(xi,yj)は、下記式(6)で与えられる。
[カラーチャートの表示装置の構成]
次に、上述のカラーチャート10を表示するカラーチャートの表示装置の構成について図2を参照して説明する。表示装置は、例えば、タブレット端末として具体化される。なお、表示装置20の備える機能は、CPU、GPU、メモリ等の各種のハードウェアによって具体化することが可能であり、共通する1つのハードウェアに複数の機能を与えるカラーチャートの表示プログラム等のソフトウェアによって具体化することも可能である。本実施形態では、ハードウェアとソフトウェアとの連携によって実現される形態が機能ブロック図として示されている。
表示装置20では、色表示単位領域11における表示色の更新に関し、各色表示単位領域11での表示色が有する色彩値と所定の色彩値との差が色表示単位領域11ごとの色彩値差として設定される。なお、第1実施形態では、色度座標xiと色度座標yjとが色彩値として設定され、更新前のカラーチャート10における特定の色表示単位領域11の色度座標(xc,yc)が所定の色彩値として設定される。そして、更新後に表示されるべき色度座標(xi,yj)と更新前の色度座標(xc,yc)との差が色彩値差として設定される。第1実施形態では、表示面での操作量に基づいて上記色彩値差が新たに設定されることによって、色度座標(xi,yj)が更新される。
入力部21は、ディスプレイに備えられたマルチタッチ機能を備えるタッチパネルであって、ユーザの操作に基づく表示面での任意の点の移動量を操作量に関する情報として出力する。入力部21は、タッチパネルの他、マウス、トラックボール、タッチパッドであってもよく、表示面での操作量に関する情報を出力することの可能なヒューマンインターフェースデバイスであればよい。
また、入力部21は、ユーザによる数値の入力や目盛り位置の設定等を受けて、各色表示単位領域11での表示色の輝度Yに関する情報を出力する。
入力処理部22は、入力部21から各種情報を取得する取得部として機能する入力デバイスである。入力処理部22は、表示面での任意の点の移動量を所定の制御周期であるフレーム周期で入力部21から取得する。入力処理部22は、所定のフレーム周期ごとに取得された上記移動量を変更量蓄積部23に出力する。
また、入力処理部22は、各色表示単位領域11での表示色の輝度Yに関する情報をカラーチャート10の表示に先駆けて入力部21から取得する。入力処理部22は、取得された輝度Yに関する情報を輝度設定部25に出力する。
変更量蓄積部23は、入力部21に対するドラッグ操作が行われると、今回のドラッグ操作が終了するまで、上記移動量の累積値である累積移動量(dC,dR)を上記フレーム周期ごとに算出する。
そして、変更量蓄積部23は、下記式(7)に従い、c軸属性やx軸属性の属性値を変更するパラメータである第1変更パラメータaを用いて、c軸方向に沿った累積値である累積移動量dCから差分移動量dC’を算出する。また、変更量蓄積部23は、下記式(8)に従い、r軸属性やy軸属性の属性値を変更するパラメータである第2変更パラメータbを用いて、r軸方向に沿った累積値である累積移動量dRから差分移動量dR’を算出する。すなわち、変更量蓄積部23は、今回の累積移動量dCから、表示幅Wpと区画幅Wsとの加算値の整数倍の値を差引いて、その差分値を差分移動量dC’として算出する。また、変更量蓄積部23は、今回の累積移動量dRから、表示高さHpと区画高さHsとの加算値の整数倍の値を差引いて、その差分値を差分移動量dR’として算出する。
変更量蓄積部23は、算出された差分移動量(dC’,dR’)を色表示単位領域算出部27に出力する。また、変更量蓄積部23は、算出結果である第1変更パラメータaと第2変更パラメータbとを色度算出部24に出力する。
なお、第1変更パラメータaは、累積移動量dCがdC>0を満たすとき、下記式(9)を満たす最大の整数として算出され、累積移動量dCがdC<0を満たすとき、下記式(10)を満たす最小の整数として算出される。
また、第2変更パラメータbは、累積移動量dRがdR>0を満たすとき、下記式(11)を満たす最大の整数として算出され、累積移動量dRがdR<0を満たすとき、下記式(12)を満たす最小の整数として算出される。なお、a,bの初期値はa=0,b=0とされている。
色度算出部24は、変更量蓄積部23から入力される第1変更パラメータaと第2変更パラメータbとを用い、色彩値差を新たに設定して各色表示単位領域11に表示される新たな表示色の色度座標(xi,yj)を算出する。色度算出部24は、算出結果である色度座標(xi,yj)を表色系変換部26に出力する。
この際に、色度算出部24は、特定の色表示単位領域11における前回(更新前)の色度座標xcを用い、色彩値差をaΔxに設定して、下記式(13)に従って、特定の色表示単位領域11における新たな色度座標x’cを算出する。また、色度算出部24は、特定の色表示単位領域11における前回(更新前)の色度座標ycを用い、色彩値差をbΔyに設定して、下記式(14)に従って、特定の色表示単位領域11における新たな色度座標y’cを算出する。さらに、色度算出部24は、下記式(13),(14)による新たな色度座標(x’c,y’c)の算出結果を用い、上式(6)に従って、特定の色表示単位領域11以外の全ての色表示単位領域11の色度座標(xi,yj)を算出する。
つまり、上式(6)における色度座標(xc,yc)に、下記式(13),(14)によって算出される色度座標(x’c,y’c)が代入される。すなわち、新たな色度座標xiの算出に際して、色彩値差は、aΔxと(i−1−m)Δxとの加算値に設定される。また、新たな色度座標yjの算出に際して、色彩値差は、bΔyと(j−1−n)Δyとの加算値に設定される。
例えば、ドラッグ操作が開始されてから1周期目のフレーム周期において、第1変更パラメータaと第2変更パラメータbとがそれぞれ0である場合には、色度算出部24は、特定の色表示単位領域11での新たな色度座標(x’c,y’c)としてドラッグ操作前の色度座標(xc,yc)を算出する。次いで、ドラッグ操作による操作点の移動量が増えると、2周期目のフレーム周期において、第1変更パラメータaと第2変更パラメータbとがそれぞれ1になり、色度算出部24は、特定の色表示単位領域11での新たな色度座標(x’c,y’c)として色度座標(xc+Δx,yc+Δy)を算出する。
輝度設定部25は、入力処理部22から入力される情報に基づいて、各色表示単位領域11に表示される表示色に関し、輝度Yの値を調整するための係数である輝度調整係数fを設定する。そして、輝度設定部25は、設定された輝度調整係数fを表色系変換部26に出力する。
表色系変換部26は、色度算出部24の算出結果である色度座標(xi,yj)と、輝度設定部25によって設定される輝度調整係数fとを用いて、xyY表色系によって表されるデータをRGB表色系のデータに変換する。表色系変換部26は、変換結果であるRGB表色系のデータを表示処理部としての表示処理部28に出力する。
この際に、表色系変換部26は、色度座標(xi,yj)と輝度調整係数fを用い、Y=f×1として、下記式(15)に基づいて、色度座標(xi,yj)と輝度YとをCIEXYZ表色系における三刺激値(X,Y,Z)に変換する。次いで、表色系変換部26は、RGB三原色のXYZ成分からなる行列とTRC(トーンリプロダクションカーブ)とを用い、下記式(16)及び下記式(17)に基づいて、三刺激値(X,Y,Z)をRGB値に変換する。なお、表色系変換部26が実行するRGB値への変換は、上述のTRC−matrixモデルを用いる方法に限らず、公知の方法を用いて行うことができる。
色表示単位領域算出部27は、差分移動量(dC’,dR’)を入力するごとに、全ての色表示単位領域11の各々における四隅の点の位置座標を算出する。例えば、色表示単位領域算出部27は、各色表示単位領域11の左下頂点座標(ci,rj)を下記式(18)に従って算出する。そして、色表示単位領域算出部27は、全ての色表示単位領域11の各々における四隅の点の位置座標(ci,rj)、(ci+Wp,rj)、(ci,rj+Hp)、(ci+Wp,rj+Hp)の各々を算出し、算出結果を表示処理部28に出力する。
例えば、ドラッグ操作が開始されてから1周期目のフレーム周期において、第1変更パラメータaと第2変更パラメータbとがそれぞれ0である場合には、色表示単位領域算出部27は、各色表示単位領域11での新たな位置座標(ci,rj)として位置座標(ci+dC,rj+dR)を算出する。次いで、ドラッグ操作による操作点の移動量が増えると、2周期目のフレーム周期において、第1変更パラメータaと第2変更パラメータbとがそれぞれ1になり、色表示単位領域算出部27は、各色表示単位領域11での新たな位置座標(ci,rj)として位置座標(ci+(dC−(Wp+Ws)),rj+(dR−(Hp+Hs)))を算出する。
表示処理部28は、全ての色表示単位領域11の各々における四隅の点の位置座標と、全ての色表示単位領域11の各々の表示色を示すRGB値とを用い、上記フレーム周期ごとに表示データを生成する。表示データは、全ての色表示単位領域11の各々の位置座標にそれに対応するRGB値が関連づけられたデータである。そして、表示処理部28は、生成された表示データを出力部29に出力する。
出力部29は、タッチパネルを備えたディスプレイであって、表示処理部28からの表示データを用い、カラーチャート10をディスプレイに表示する。
なお、本実施形態では、入力処理部22、変更量蓄積部23、色度算出部24、輝度設定部25、表色系変換部26、色表示単位領域算出部27、及び、表示処理部28が、制御部として機能し、変更量蓄積部23、色度算出部24、及び、表色系変換部26が設定部として機能する。
[カラーチャートの表示装置の作用]
上記カラーチャートの表示装置20で行われる表示方法の一つであるドラッグ操作について図3を参照して説明する。また、ドラッグ操作によるカラーチャート10の変更の態様を図4と図5とを参照して説明する。なお、図3に示される処理フローは、所定のフレーム周期ごとに繰り返して行われる。また、図4と図5とでは、説明の便宜上、特定の色表示単位領域11である配列座標D(2,2)の色表示単位領域11にドットを付し、それ以外の色表示単位領域11にドットを付すことなく示す。
まず、入力処理部22は、各色表示単位領域11での表示色の輝度Yに関する情報を入力部21から取得する。入力処理部22は、取得された輝度Yに関する情報を輝度設定部25に出力する。次いで、入力処理部22は、cr平面にてドラッグ操作が実行されているか否かを判断する(ステップS10)。
ドラッグ操作が実行されていない場合、入力処理部22は、累積移動量(dC,dR)を初期値(0,0)に再設定するためのリセット信号を出力し、変更量蓄積部23は、累積移動量(dC,dR)をリセットする(ステップS21)。変更量蓄積部23は、色表示単位領域算出部27に対し、累積移動量(dC,dR)として初期値(0,0)を出力し、色表示単位領域算出部27は、全ての色表示単位領域11の各々における四隅の点の位置座標を初期座標に戻して当該初期座標を表示処理部28に出力する。これによって、カラーチャート10における全ての色表示単位領域11の位置が初期位置にリセットされる(ステップS22)。
一方、ドラッグ操作が実行されている場合、入力処理部22は、操作点の移動量を入力部21から取得し、取得された移動量に関する情報を変更量蓄積部23に出力する。変更量蓄積部23は、今回のドラッグ操作が終了するまで、cr平面上での移動量の累積値である累積移動量(dC,dR)から、上記式(7)及び上記式(8)に基づいて差分移動量(dC’,dR’)を上記フレーム周期ごとに算出すると共に、算出結果である差分移動量(dC’,dR’)を色表示単位領域算出部27に出力する(ステップS11)。そして、色表示単位領域算出部27は、差分移動量(dC’,dR’)が算出されるごとに、全ての色表示単位領域11の各々における四隅の点の位置座標を算出する(ステップS12)。
また、変更量蓄積部23は、差分移動量(dC’,dR’)を算出するごとに、あるいは、累積移動量(dC,dR)をリセットするごとに、新たな第1変更パラメータaと新たな第2変更パラメータbとを色度算出部24に出力する。色度算出部24は、変更量蓄積部23から入力される第1変更パラメータaと第2変更パラメータbとを用いて色彩値差を設定し、上記式(13)及び上記式(14)及び上記式(6)に基づいて、各色表示単位領域11に表示される新たな表示色の色度座標(xi,yj)を算出する(ステップS13)。
そして、第1変更パラメータaの絶対値が変わるたびに、例えば、特定の色表示単位領域11における新たな色度座標xcは、上記式(13)に従って隣接色度差Δxずつ変わる。同様に、第2変更パラメータbの絶対値が変わるたびに、例えば、特定の色表示単位領域11における新たな色度座標ycは、上記式(14)に従って隣接色度差Δyずつ変わる。
なお、第1変更パラメータaの絶対値が今回のフレーム周期で0である場合、例えば、特定の色表示単位領域11における新たな色度座標xcは、上記式(13)に従って前回の色度座標xcに保たれる。同様に、第2変更パラメータbの絶対値が今回のフレーム周期で0である場合、例えば、特定の色表示単位領域11における新たな色度座標ycは、上記式(14)に従って前回の色度座標ycに保たれる。
続いて、表色系変換部26は、新たな表示色の色度座標(xi,yj)と輝度設定部25で設定された輝度調整係数fとを用い、上記式(15)から式(17)に基づいて、新たなRGB値を算出する(ステップS14)。そして、表示処理部28は、新たな色表示単位領域11の位置座標に新たなRGB値を対応付けた表示データを生成してその表示データを出力部29に出力する(ステップS15)。
図4に示されるように、例えば、操作点が始点A1から終点A2へ移動するとする。この際に、始点A1からの移動量は、所定のフレーム周期ごとに徐々に増え、ドラッグ操作が終了する際には、始点A1と終点A2とを結ぶ直線の長さとなる。
なお、始点A1と終点A2との間のc軸方向の長さは、色表示単位領域11のc軸方向の幅と隣接する色表示単位領域11におけるc軸方向の間隔との和であるc軸間隔(Wp+Ws)の1つ分よりも大きく、且つ、2つ分よりも小さいとする。また、始点A1と終点A2との間のr軸方向の長さは、色表示単位領域11のr軸方向の高さと隣接する色表示単位領域11のr軸方向の間隔との和であるr軸間隔(Hp+Hs)の1つ分よりも大きく、且つ、2つ分よりも小さいとする。
まず、始点A1からの移動量が0から徐々に増えはじめると、第1変更パラメータaと第2変更パラメータbのいずれか一方の絶対値が変わるまで、全ての色表示単位領域11の各々における四隅の点の位置座標は、矩形の破線で示されるように、移動量に応じて変位する。一方で、全ての色表示単位領域11の各々における新たな表示色の色度座標(xi,yj)は、色表示単位領域11の変位に関わらず、変位前の色度座標(xi,yj)を保つ。
図5に示されるように、始点A1からの移動量がさらに増えて、第1変更パラメータaの絶対値と第2変更パラメータbの絶対値とがそれぞれ1つ変わると、全ての色表示単位領域11の各々における四隅の点の位置座標は、差分移動量(dC’,dR’)の更新に伴い、実線で示される初期位置に戻る。一方で、全ての色表示単位領域11の各々における新たな表示色の色度座標(xi,yj)は、各色表示単位領域11の色度座標xiにΔxが加算され、また、各色表示単位領域11の色度座標yjにΔyが加算される。結果として、カラーチャート10の表示される表示面では、色表示単位領域11の表示色がc軸方向とr軸方向とに1つずつずれることとなる。例えば、配列座標D(2,2)の色表示単位領域11での表示色は、今回のドラッグ操作によって配列座標D(3,3)の色表示単位領域11に表示される。
すなわち、c軸方向とr軸方向とにそれぞれα個分とβ個分とに相当するドラッグ操作が行われた場合には、D(i,j)の色表示単位領域11での色度座標(xi,yj)は、下記式(19)によって与えられる。
以上説明したように、第1実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)各色表示単位領域11に表示される更新後の表示色の色度座標(xi,yj)と更新前の特定の色表示単位領域11の色度座標(xc,yc)との差である色彩値差が、累積移動量(dC,dR)に応じて設定される。これによって、カラーチャート10に表示される表示色が変更されるため、カラーチャート10を用いた色の選択に際しての自由度が高められる。
(2)表示幅Wpと区画幅Wsとの加算値に相当する量だけ累積移動量dCが変わるたびに、すなわち、第1変更パラメータaの絶対値が変わるたびに、色度座標(xi,yj)が隣接色度差Δxだけ変わる。これに合わせて、第1変更パラメータaの絶対値が変わるたびに、色表示単位領域11の位置座標(ci,rj)は、初期位置に戻される。
それゆえに、第1変更パラメータaの絶対値が変わるたびに、色表示単位領域11の位置と当該色表示単位領域11に表示された表示色とが、c軸方向に1つずつずれるかたちに表示される。結果として、色表示単位領域11に表示される表示色の変更の態様と区画領域12の変更の態様とが関連付けられるため、これらが相互に関連付けられない場合に比べて、選択候補となる色の表示を利用者に対して直感的に把握させることが可能にもなる。
(3)各色表示単位領域11に表示される表示色は、相互に異なる2つの色度によって特定される色平面内の色であり、色度座標xと色度座標yとによって特定される。色補正用の色や彩色用の色が含まれる色空間は、3つ以上の属性で構成される3次元以上の空間であることが少なくない。この点、上記実施形態によれば、各色表示単位領域11で表示される表示色が2次元の色平面内の色であるから、各表示色が3次元以上の色空間内の色である場合に比べて、新たな色彩値の算出に要する負荷を軽減することが可能となる。
(4)色度以外の属性である輝度に関する情報が、差分移動量(dC’,dR’)の算出に先駆けて入力処理部22に入力されるため、差分移動量(dC’,dR’)の算出に先駆けて、各表示色の含まれる色平面が特定される。それゆえに、相互に異なる無数の色平面の中から、カラーチャート10用の色平面が別途設定されるため、カラーチャート10の使用の用途に応じた色平面で、色の選択に際しての自由度を向上させることができる。
(5)色度以外の属性である輝度が、色度とは別に設定され、変更可能とされる。したがって、輝度の変更により、カラーチャート10用に設定される色平面を、色空間内の広い範囲から選択することが可能となる。その結果、色の選択に際しての自由度を向上させることができる。
(6)相互に隣接する色表示単位領域11の間の隙間には、黒色の区画領域12が表示される。それゆえに、相互に隣接する色表示単位領域11の境界での色彩の変化が強調されるマッハ効果や色の対比による錯覚が抑えられるため、相互に隣接する色表示単位領域11の間に隙間が形成されない場合に比べて、各色表示単位領域11での表示色が正確に知覚されやすくなる。
[第2実施形態]
本開示のカラーチャートの表示方法、カラーチャートの表示装置、及び、カラーチャートの表示プログラムを具体化した第2実施形態を以下に説明する。なお、第2実施形態は、各色表示単位領域11の位置が表示面にて固定されていること、表示面での操作量に関する情報がピンチイン操作による操作点間の距離の変化量の関数、あるいは、ピンチアウト操作による操作点間の変化量の関数であること、これらが第1実施形態とは異なる。それゆえに、以下では第1実施形態と異なる点に関して詳細に説明すると共に、第1実施形態で説明された構成と同様の構成に関して同じ符号を付してその説明を省略する。
表示装置20では、色表示単位領域11における表示色の更新に関し、各色表示単位領域11での表示色が有する色彩値と所定の色彩値との差が色彩値差として設定される。なお、第2実施形態では、色度座標xiと色度座標yjとが色彩値として設定され、カラーチャート10における中央の色表示単位領域11である特定の色表示単位領域11での表示色の色度座標(xc,yc)が所定の色彩値として設定される。そして、更新後に表示されるべき色度座標(xi,yj)と更新前の色度座標(xc,yc)との差が色彩値差として設定される。第2実施形態では、表示面での操作量に基づいて上記色彩値差が新たに設定されることによって、色度座標(xi,yj)が更新される。
図6に示されるように、入力部31は、マルチタッチ機能を備えるタッチパネルであって、表示面での任意の2点である操作点の位置座標を出力する。入力処理部32は、2つの操作点の位置座標を所定の制御周期であるフレーム周期で入力部31から取得する取得部として機能する。入力処理部32は、所定のフレーム周期ごとに取得された操作点の位置座標を調整係数算出部33に出力する。
調整係数算出部33は、入力部31に対するピンチイン操作、あるいは、ピンチアウト操作が行われると、今回の操作が終了するまで、上記フレーム周期ごとに、2つの操作点間の距離の変化量から色度差調整係数gを算出する。
この際に、調整係数算出部33は、操作開始時の操作点を第1始点P1,0(c1,0,r1,0)、第1終点P2,0(c2,0,r2,0)として設定する。また、今回のフレーム周期(q回目のフレーム周期)での操作点を第2始点P1,q(c1,q,r1,q)、第2終点P2,q(c2,q,r2,q)として設定する。そして、調整係数算出部33は、下記式(20)に従って、色度差調整係数gを算出し、算出結果である色度差調整係数gを色度算出部34に出力する。
色度算出部34は、特定の色表示単位領域11での表示色の色度座標(xc,yc)を用い、色彩値差を((i−1−m)gΔx,(j−1−n)gΔy)に設定して、下記式(21)に従って、各色表示単位領域11での表示色の色度座標(x’i,y’j)を算出する。すなわち、色度算出部34は、2つの操作点間の距離の変化量が大きいときほど、色度座標(xi,yj)の変化量を大きく設定し、また、2つの操作点間の距離の変化量が小さいときほど、色度座標(xi,yj)の変化量を小さく設定する。
表色系変換部26は、色度算出部34の算出結果である色度座標(xi,yj)と、輝度設定部25によって設定される輝度調整係数fとを用いて、xyY表色系によって表されるデータをRGB表色系のデータに変換する。表色系変換部26は、変換結果であるRGB表色系のデータを表示処理部28に出力する。
色表示単位領域設定部37は、全ての色表示単位領域11の各々における四隅の点の位置座標を予め格納する。そして、色表示単位領域設定部37は、全ての色表示単位領域11の各々における四隅の点の位置座標を表示処理部28に出力する。
表示処理部28は、全ての色表示単位領域11の各々における四隅の点の位置座標と、全ての色表示単位領域11の各々の表示色を示すRGB値とを用い、全ての色表示単位領域11の各々にそれに対応するRGB値とを関連づけた表示データを上記フレーム周期で生成する。そして、表示処理部28は、生成された表示データを出力部29に出力する。
なお、本実施形態では、入力処理部32、調整係数算出部33、色度算出部34、輝度設定部25、表色系変換部26、色表示単位領域設定部37、及び、表示処理部28が、制御部として機能し、調整係数算出部33、色度算出部34、及び、表色系変換部26が設定部として機能する。
[カラーチャートの表示装置の作用]
上記カラーチャートの表示装置20で行われる表示方法の一つであるピンチアウト操作について図7を参照して説明する。また、ピンチアウト操作によるカラーチャート10の変更の態様を図8と図9とを参照して説明する。なお、図7に示される処理フローは、所定のフレーム周期ごとに繰り返して行われる。また、図8と図9とでは、説明の便宜上、色表示単位領域11での表示色における色度差がドットの濃さによって示されている。
まず、入力処理部32は、cr平面にてピンチアウト操作が実行されているか否かを判断する(ステップS30)。ピンチアウト操作が実行されていない場合、入力処理部32は、調整係数算出部33に対して色度差調整係数gを前回の値に保つ旨の信号を出力し、調整係数算出部33は、色度差調整係数gを前回の値に保つ(ステップS41)。なお、色度差調整係数gの初期値は1とされる。
一方、ピンチアウト操作が実行されている場合、入力処理部32は、操作開始時における2つの操作点の位置座標と、今回のフレーム周期における2つの操作点の位置座標とを調整係数算出部33に出力する。調整係数算出部33は、今回のピンチアウト操作が終了するまで、上記フレーム周期ごとに、cr平面上での2つの操作点間の距離の変化量から色度差調整係数gを算出し、算出結果である色度差調整係数gを色度算出部34に出力する(ステップS31)。そして、色度算出部34は、色度差調整係数gが入力されるごとに、色彩値差を新たに設定して、全ての色表示単位領域11の各々における表示色の色度座標を算出する(ステップS32)。
次いで、表色系変換部26は、新たな表示色の色度座標(xi,yj)と輝度設定部25で設定された輝度調整係数fとを用い、上記式(15)から式(17)に基づいて、新たなRGB値を算出する(ステップS33)。そして、表示処理部28は、固定された色表示単位領域11の位置座標に新たなRGB値を対応付けた表示データを生成してその表示データを出力部29に出力する(ステップS34)。
図8に示されるように、例えば、第1始点P1,0と第1終点P2,0が第2始点P1,qと第2終点P2,qへピンチアウトされるとする。この際に、第2始点P1,qと第2終点P2,qとの間の距離は、第1始点P1,0と第1終点P2,0との間の距離の2倍であるとする。
第1始点P1,0と第1終点P2,0とが第2始点P1,qと第2終点P2,qに向けて徐々にピンチアウトされると、色度差調整係数gは、上記式(20)に基づいてフレーム周期ごとに徐々に小さくなる。この間、c軸方向に隣接する色表示単位領域11間での色度差が徐々に小さくなり、また、r軸方向に隣接する色表示単位領域11間での色度差も徐々に小さくなる。
そして、2つの操作点が第2始点P1,qと第2終点P2,qとに到達すると、色度差調整係数gは、上記式(20)に基づいて1/2になる。結果として、c軸方向に隣接する色表示単位領域11間での色度差が1/2・Δxとなり、r軸方向に隣接する色表示単位領域11間での色度差が1/2・Δyとなる。
図9に示されるように、こうしたピンチアウト操作が行われると、表示面では、特定の色表示単位領域11での表示色が保たれ、特定の色表示単位領域11を中心として、それに隣接する色表示単位領域11との間での表示色の違いが小さくなる。
なお、ピンチイン操作が行われる場合には、上記ピンチアウト操作とは反対に、色度差調整係数gが大きくなる。そのため、表示面では、特定の色表示単位領域11を中心として、それに隣接する色表示単位領域11との間での色の違いが大きくなる。
以上説明したように、第2実施形態によれば、上記(1)、(3)〜(6)に準じた効果に加えて以下に列挙する効果が得られる。
(7)カラーチャート10の表示される表示面での任意の2点間の距離の変化量に応じて色度差調整係数gが変更され、色度差調整係数gに応じて、更新後に表示されるべき表示色の色度座標(xi,yj)と更新前の特定の色表示単位領域11における色度座標(xc,yc)との差である色彩値差が設定されるため、表示色の分解能の調節を表示面に対して直感的に行うことが可能になる。
(8)色度差調整係数gが算出されるごとに各色表示単位領域11での表示色が変更される。それゆえに、各色表示単位領域11での表示色の変更が、ピンチアウト操作の途中、あるいは、ピンチイン操作の途中にも行われる。結果として、ピンチアウト操作の終了時やピンチイン操作の終了時を現在の表示色に合わせて定めることが容易にもなる。
[第3実施形態]
本開示のカラーチャートの表示方法、カラーチャートの表示装置、及び、カラーチャートの表示プログラムを具体化した第3実施形態を以下に説明する。なお、第3実施形態では、第1実施形態で説明された構成と同様の構成に関して同じ符号を付してその説明を省略する。
[色表示単位領域11の構成]
第3実施形態は、第1実施形態と配列座標D(i,j)の設定が異なる。図10を参照して、色表示単位領域11における配列座標D(i,j)について説明する。
図10に示されるように、カラーチャート10には、表示面を定めるための直交軸が定められ、図10に示される左隅の点が原点Oとして設定される。直交軸を構成する2つの軸のうち、図10にて原点Oから右に延びる軸がc軸として設定され、また、図10にて原点Oから上に延びる軸がr軸として設定されている。また、c軸表示数Mは2m+1(mは1以上の整数)として設定され、r軸表示数Nは2n+1(nは1以上の整数)として設定されている。
マトリクス状に配列された色表示単位領域11のうち、中央に配置された色表示単位領域11の配列座標が、配列座標D(0,0)に設定される。すなわち、配列座標D(0,0)として表される色表示単位領域11は、原点Oに対してc軸方向にm+1番目であって、r軸方向にn+1番目に配置されている。配列座標D(0,0)である中央の色表示単位領域11に対して、c軸方向にi番目であって、r軸方向にj番目に配置された色表示単位領域11の位置は、配列座標D(i,j)として表される(−m≦i≦m、−n≦j≦n)。
なお、チャート幅Wv、チャート高さHv、表示幅Wp、表示高さHp、区画幅Ws、区画高さHs、チャート端部幅C0、及び、チャート端部高さR0は、第1実施形態と同様に設定されている。
各色表示単位領域11に表示される表示色は、CIExy色度図における2つの属性である色度座標xと色度座標yとによって定められた色平面内に含まれる。各色表示単位領域11に表示される表示色は、2つの色度以外の属性である輝度Yに関し、共通する所定の値を有している。各色表示単位領域11に含まれる点Pでの表示色は、2つの属性に対応する色彩値としての色度座標(x,y)によって特定される。色度座標(x,y)は色表示単位領域11ごとに設定されており、同一の色表示単位領域11に含まれる各点Pでは、色度座標(x,y)は相互に等しい。各色表示単位領域11では、色表示単位領域11の配置がc軸方向に進むに従って、表示色における色度座標xが大きくなる。また、色表示単位領域11の配置がr軸方向に進むに従って、表示色における色度座標yが大きくなる。
また、色表示単位領域11の間を埋める区画領域12に含まれる点Pの表示色は黒色に設定されている。なお、第3実施形態では、色表示単位領域11の位置座標は、色表示単位領域11に表示される表示色の変更に関わらず固定値として設定されている。
[表示色]
図11を参照して、色表示単位領域11の表示色を定める色度の算出の原理について説明する。なお、図11は、M=3,N=3である場合について例示している。
図11に示されるように、第3実施形態では、c軸とr軸とからなる直交座標系にて表示面上の点Pが定められた二次元空間が、表示面空間Aとして設定される。また、配列座標D(0,0)が原点として設定され、i軸とj軸とからなる直交座標系にて配列座標D(i,j)が定められた二次元空間が、配列空間Bとして設定される。また、x軸とy軸とからなる直交座標系にて色度座標(x,y)が定められた二次元空間が、カラーチャート色空間Cとして設定される。
表示面空間Aは、下記式(22)によって定義される。下記式(22)において、c,r,W,Hは、実数とする。配列空間Bは、下記式(23)によって定義される。下記式(23)において、i,j,n,mは、整数とする。
カラーチャート色空間Cは、下記式(24)によって定義される三次元の色空間C0の部分空間とする。下記式(24)において、x,y,Yは、実数とする。第3実施形態では、一例として、色空間C0は、CIEXYZ表色系に基づくxyY空間であって、カラーチャート色空間Cは、特定の輝度Yconstにおけるxy色度の空間とする。カラーチャート色空間Cは、下記式(25)によって定義される。下記式(25)において、x,y,は実数であり、すべての色度座標(x,y)に対して、同一の実数値の輝度Yconstが設定されているものとする。
第3実施形態では、表示面空間Aに含まれる点Pの座標(c,r)と配列空間Bに含まれる配列座標D(i,j)とが、写像F1によって対応付けられる。さらに、配列座標D(i,j)とカラーチャート色空間Cに含まれる色度座標(x,y)とが、写像F2によって対応付けられる。そして、配列座標D(i,j)に対応付けられる色度座標(x,y)が、表示面での操作量に応じて変更される。配列座標D(i,j)と色度座標(x,y)との対応付けには、表示面での操作量に応じて変更されるパラメータが用いられる。
まず、表示面での操作量に応じて変更されるパラメータである中央色度(tx,ty)、間隔調整係数a、及び、回転量θについて説明する。
中央色度(tx,ty)は、配列空間Bにおける中央の色表示単位領域11にて表示される表示色の色度座標である。中央色度(tx,ty)の初期値は、中央色度(tx0,ty0)であり、中央色度(tx0,ty0)は、例えば、D65光源下におけるモニタ基準での白色点に相当するxy色度(0.3127,0.3290)に設定される。
間隔調整係数aは、配列空間Bにおける距離をカラーチャート色空間Cにおける距離に変換する際に用いられる係数であって、これらの距離の比に相当する。すなわち、配列空間Bにおける中央の配列座標D(0,0)と、配列座標D(0,0)とは異なる他の配列座標D(i,j)との間の距離が、配列座標間距離として設定され、カラーチャート色空間Cにて配列座標D(0,0)の表示色に対応する点と、他の配列座標D(i,j)の表示色に対応する点との間の距離が、色度座標間距離として設定される。間隔調整係数aは、配列座標間距離と色度座標間距離との比として定められる。間隔調整係数aの初期値は間隔調整係数a0であり、間隔調整係数a0は、1/Mと1/Nとの小さい方の値以下に設定される。
回転量θは、中央色度(tx,ty)と色度座標(x,y)とを結ぶ直線と、中央色度(tx,ty)と変換後の色度座標(x’,y’)とを結ぶ直線とのなす角度である。回転量θの初期値は、例えば、0度に設定される。
次に、表示面空間Aに含まれる点Pの座標(c,r)と、配列空間Bに含まれる配列座標D(i,j)とを対応付ける写像F1について説明する。写像F1において、点Pの座標(c,r)は、床関数を用いて表される下記式(26)によって、配列座標D(i,j)に対応付けられる。下記式(26)において、(i,j)は下記式(27)を満たす。すなわち、下記式(26)及び下記式(27)によって、色表示単位領域11に含まれる点Pの座標(c,r)と配列座標D(i,j)とが対応付けられる。
したがって、配列座標D(i,j)の色表示単位領域11に含まれる点Pからなる集合が表示領域集合Aijとして設定されると、表示領域集合Aijは、下記式(28)として表される。
いかなる表示領域集合Aijにも属さない表示面空間A内の点、すなわち区画領域12に含まれる点の集合が区画領域集合Asとして設定されると、表示面空間Aに含まれる要素は、すべての表示領域集合Aijに含まれる要素と区画領域集合Asに含まれる要素との和集合であり、任意の表示領域集合Aijと区画領域集合Asとは互いに素である。また、互いに異なる表示領域集合Aij、表示領域集合Ai’j’(i≠i’またはj≠j’)は互いに素であり、表示面空間Aは、表示領域集合Aijと区画領域集合Asとによって領域に分割される。
次に、配列空間Bに含まれる配列座標D(i,j)を、カラーチャート色空間Cに含まれる色度座標(x,y)に対応付ける写像F2について説明する。
まず、表示面での操作が行われる前の初期状態における配列座標D(i,j)と色度座標(x,y)との対応付けについて説明する。初期状態では、上述のパラメータの初期値を用いて、配列座標D(i,j)は、下記式(29)によって色度座標(x,y)に対応付けられる。下記式(29)に用いられる行列M1は、上述の中央色度(tx0,ty0)、及び、間隔調整係数a0を用いて、下記式(30)で表される。
次に、表示面での操作量に応じて、初期状態の色度座標(x,y)を、同一のカラーチャート色空間Cに含まれる色度座標(x’,y’)に変換する演算について説明する。色度座標(x,y)は、下記式(31)によって、色度座標(x’,y’)に変換される。下記式(31)に用いられる行列M2は、下記式(32)で表される。また、下記式(32)に用いられる行列Mt−、行列M1/S、行列Mr、行列Ms、行列Mt+の各々は、上述のパラメータを用いて、下記式(33)から下記式(37)で表される。すなわち、行列M2は、下記式(38)で表される。
下記式(33)によって、配列空間Bにおける中央の色表示単位領域11と対応する色度座標が、カラーチャート色空間Cの原点に移される。下記式(34)によって、配列座標間距離と色度座標間距離との比が1にされる。初期状態において、回転量θの初期値は、0度に設定されているため、初期状態における座標の回転については考慮されない。そして、下記式(35)によって、表示面での操作量に応じてカラーチャート色空間Cにおける座標が回転される。また、下記式(36)によって、配列座標間距離と色度座標間距離との比が表示面での操作量に応じた値に設定される。また、下記式(37)によって、配列空間Bにおける中央の色表示単位領域11と対応する色度座標が、表示面での操作量に応じた値に移動される。すなわち、下記式(31)では、更新前の色度座標(x,y)を算出するパラメータがリセットされて、更新後のパラメータによって新たな色度座標(x’,y’)が算出される。
そして、下記式(39)に示されるように、上記式(29)と上記式(31)とを用いて、配列座標D(i,j)が色度座標(x’,y’)に対応付けられる。下記式(39)にて、行列M12は、アフィン変換を行う行列である。
さらに、下記式(40)に示されるように、上記式(26)と上記式(39)とを用いて、点Pにおける色度座標(x’,y’)が算出される。
[パラメータの更新]
図12、図13を参照して、表示面での操作量に応じて変更されるパラメータである中央色度(tx,ty)、間隔調整係数a、及び、回転量θの更新方法について説明する。なお、中央色度(tx,ty)、間隔調整係数a、及び、回転量θの更新方法は、各色表示単位領域11に対して共通する内容であるため、図12、図13では、その説明の便宜上、D(−1,1)で示される色表示単位領域11内の点Pに対する対応関係のみを示している。
図12に示されるように、点Pにおける色度座標(x’,y’)を算出する上記式(40)は、表示面空間Aにおける1つの色表示単位領域11に含まれる点Pのすべてを、配列空間Bにおける1つの点に対応付け、配列空間Bにおける1つの点を、カラーチャート色空間Cにおける1つの点に対応付けている。すなわち、上記式(40)は、表示面空間Aにて連続する複数の点をカラーチャート色空間Cの1つの点に対応付ける離散的な変換を示し、上記式(40)に従って点Pの色度座標(x’,y’)が算出されることによって、1つの色表示単位領域11に1つの表示色が割り当てられる。
図13に示されるように、パラメータの更新に際しては、表示面での操作量が、カラーチャート色空間Cにおける点の移動量、すなわち、色彩値の変化量に対応付けられる。この際に、表示面空間Aにて連続する複数の点の座標の各々が、カラーチャート色空間Cにて連続する複数の点の座標に各別に対応付けられる式を用いる。この式の誘導について説明する。
上記式(23)によって定義される配列空間Bは、離散的な整数二次元の集合あるいは順序対であったが、これを実数に拡張した連続な空間Eを導入する。配列空間Bとは異なり、表示面空間Aにて連続して変化する座標値は、空間Eにて連続して変化する座標値として取り扱われ、こうした空間Eは、下記式(41)によって定義される。下記式(41)において、u,vは実数とする。
表示面空間Aに含まれる点Pの座標(c,r)を空間Eに含まれる点の座標(u,v)に対応付ける写像が写像F3として設定される。写像F3において、点Pの座標(c,r)は、下記式(42)によって、座標(u,v)に対応付けられる。下記式(42)に用いられる行列M3は、下記式(43)で表される。下記式(42)では、上記式(26)と比較して、床関数が用いられることなく、表示面空間Aに含まれる連続する複数の点Pの座標(c,r)は、空間Eに含まれる連続する複数の点の座標(u,v)に対応付けられる。
上記式(26)に代えて上記式(42)が用いられることにより、上記式(42)と上記式(39)とによって、下記式(44)が誘導される。下記式(44)は、上記式(40)とは異なり、表示面空間Aにて連続する複数の点をカラーチャート色空間Cにて連続する点に対応付ける連続的な変換を示す。
ここで、表示面空間Aに含まれる点と、カラーチャート色空間Cに含まれる点との対応付けについてまとめる。表示面空間Aの点と連続的に対応付けられたカラーチャート色空間Cの点は、下記式(45)によって表される。また、表示面空間Aの点と離散的に対応付けられたカラーチャート色空間Cの点は、下記式(46)によって表される。なお、下記式(46)にて、下記式(47)として示す2つの式のうちの少なくとも一方を満たす点Pは、区画領域12に属する。
続いて、上記式(44)を用いて行われるパラメータの更新方法について説明する。
まず、中央色度(tx,ty)の更新について説明する。中央色度(tx,ty)は、表示面にてドラッグ操作が実行され、1つの操作点の移動が検出された場合に更新される。このとき、表示面空間Aでは、点P1(c1,r1)から点P2(c2,r2)への操作点の移動が検出される。この場合、下記式(48)及び下記式(49)に示されるように、上記式(44)に点P1(c1,r1)と点P2(c2,r2)との座標が代入される。これにより、点P1及び点P2に対応付けられるカラーチャート色空間Cにおける点の座標(x’1,y’1)、(x’2,y’2)が、連続的な写像によって算出される。
そして、下記式(50)によって中央色度(tx,ty)が更新される。すなわち、カラーチャート色空間Cの2点(x’1,y’1)、(x’2,y’2)のx色度の差とy色度の差とが、更新前の中央色度(tx,ty)のx色度とy色度とにそれぞれ加算される。これにより、表示面空間Aにおける点P1から点P2への移動量に応じて中央色度(tx,ty)が更新される。
次に、間隔調整係数aの更新について説明する。間隔調整係数aは、表示面にてピンチアウト操作やピンチイン操作が実行され、2つの操作点の移動が検出された場合に更新される。このとき、表示面空間Aでは、移動前の2点P11(c11,r11)、P12(c12,r12)から、移動後の2点P21(c21,r21)、P22(c22,r22)への操作点の移動が検出される。この場合、下記式(51)から下記式(54)に示されるように、上記式(44)に点P11、P12、P21、P22の座標がそれぞれ代入される。これにより、点P11、P12、P21、P22に対応付けられるカラーチャート色空間Cにおける点の座標(x’11,y’11)、(x’12,y’12)、(x’21,y’21)、(x’22,y’22)が、連続的な写像によって算出される。
そして、下記式(55)及び下記式(56)によって間隔調整係数aが更新される。すなわち、移動前の点P11、P12に対応付けられる2点(x’11,y’11)、(x’12,y’12)の距離と移動後の点P21、P22に対応付けられる2点(x’21,y’21)、(x’22,y’22)の距離との比kと、更新前の間隔調整係数aとの乗算値が、新たな間隔調整係数aとして設定される。これにより、表示面空間Aにおける点P11、P12から点P21、P22への移動量に応じて間隔調整係数aが更新される。
次に、回転量θの更新について説明する。回転量θは、表示面にて2つの操作点の移動が検出された場合に更新される。このとき、表示面空間Aでは、移動前の2点P11(c11,r11)、P12(c12,r12)から、移動後の2点P21(c21,r21)、P22(c22,r22)への操作点の移動が検出される。この場合、間隔調整係数aの更新の場合と同様に、上記式(51)から上記式(54)に示されるように、上記式(44)に点P11、P12、P21、P22の座標が適用される。これにより、点P11、P12、P21、P22にそれぞれ対応付けられるカラーチャート色空間Cにおける点の座標(x’11,y’11)、(x’12,y’12)、(x’21,y’21)、(x’22,y’22)が、連続的な写像によって算出される。
そして、下記式(57)及び下記式(58)によって回転量θが更新される。すなわち、移動前の点P11、P12に対応付けられる2点(x’11,y’11)、(x’12,y’12)を結ぶ直線と、移動後の点P21、P22に対応付けられる2点(x’21,y’21)、(x’22,y’22)を結ぶ直線とのなす角度が、更新前の回転量θに加算される。これにより、表示面空間Aにおける点P11、P12から点P21、P22への移動量に応じて回転量θが更新される。
このように、第3実施形態では、表示面空間Aの点をカラーチャート色空間Cの点に連続的に対応付けた上記式(44)が用いられ、表示面空間Aでの操作点の移動量に対応するカラーチャート色空間Cの点の移動量が算出されて、算出された移動量に基づいて各パラメータの更新が行われる。そして、上記式(40)に更新されたパラメータが適用されて、表示面空間Aにおける各点Pでの色度座標(x’,y’)が算出される。
[カラーチャートの表示装置の構成]
第3実施形態におけるカラーチャートの表示装置20の構成について、図14を参照して説明する。
図14に示されるように、入力部41は、マルチタッチ機能を備えるタッチパネルであって、表示面での任意の1点もしくは2点である操作点の位置座標を出力する。入力処理部42は、操作点の位置座標を所定の制御周期であるフレーム周期で入力部41から取得する取得部として機能する。入力処理部42は、所定のフレーム周期ごとに取得された操作点の位置座標を、パラメータ更新部43に出力する。
パラメータ更新部43は、入力処理部42にて操作点の移動が検出されると、フレーム周期ごとに、中央色度(tx,ty)、間隔調整係数a、及び、回転量θを更新する。
この際に、パラメータ更新部43は、入力処理部42にて1つの操作点の移動が検出された場合、上記式(48)及び上記式(49)に示されるように、入力処理部42から入力される移動前と、移動後の操作点の位置座標とを上記式(44)に代入する。そして、パラメータ更新部43は、連続的な写像を用いて、表示面空間Aの操作点をカラーチャート色空間Cの点に変換する。次いで、パラメータ更新部43は、変換された座標を用いて、上記式(50)に従って中央色度(tx,ty)を更新し、更新された中央色度(tx’,ty’)を、色度算出部44に出力する。この場合、パラメータ更新部43は、間隔調整係数aと回転量θとについては、前回の値を色度算出部44に出力する。また、パラメータ更新部43は、更新された中央色度(tx’,ty’)を上記式(44)に適用して、上記式(44)における各パラメータを変更する。
また、パラメータ更新部43は、入力処理部42にて2つの操作点の移動が検出された場合、上記式(51)から上記式(54)に示されるように、入力処理部42から入力される移動前と、移動後の操作点の位置座標を上記式(44)に代入する。そして、パラメータ更新部43は、連続的な写像を用いて、表示面空間Aの操作点をカラーチャート色空間Cの点に変換する。次いで、パラメータ更新部43は、変換された座標を用いて、上記式(55)及び上記式(56)に従って間隔調整係数aを更新し、上記式(57)及び上記式(58)に従って回転量θを更新する。パラメータ更新部43は、更新された間隔調整係数a’と回転量θ’とを色度算出部44に出力する。この場合、パラメータ更新部43は、中央色度(tx,ty)については、前回の値を色度算出部44に出力する。また、パラメータ更新部43は、更新された間隔調整係数a’と回転量θ’を上記式(44)に適用して、上記式(44)における各パラメータを変更する。
色度算出部44は、上記式(40)における各パラメータを、入力された中央色度(tx,ty)、間隔調整係数a、及び、回転量θに変更する。そして、色度算出部44は、パラメータが変更された上記式(40)に従って、表示面空間Aにおける各点Pでの色度座標(x’,y’)をそれぞれ算出し、算出結果である各点Pでの色度座標(x’,y’)を、表色系変換部46に出力する。
すなわち、更新前の各パラメータが適用された上記式(44)を用いて新たなパラメータが算出され、新たなパラメータが適用された上記式(40)を用いて各点Pの新たな色度座標が算出される。そして、新たなパラメータが適用された上記式(44)が次回のパラメータの更新に用いられる。
輝度設定部45は、入力処理部42から入力される情報に基づいて、各色表示単位領域11に表示される表示色に関し、輝度Yの値を調整するための係数である輝度調整係数fを設定する。そして、輝度設定部45は、設定された輝度調整係数fを表色系変換部46に出力する。
表色系変換部46は、色度算出部44の算出結果である各点Pでの色度座標(x’,y’)と、輝度設定部45によって設定される輝度調整係数fとを用いて、上記式(15)から式(17)に基づき、xyY表色系によって表されるデータをRGB表色系のデータに変換する。表色系変換部46は、変換結果であるRGB表色系のデータを表示処理部48に出力する。
表示処理部48は、各点Pの座標(c,r)と、各点Pの表示色を示すRGB値とを用い、表示面空間Aの点Pの全てについて、点Pの位置とRGB値とを関連づけた表示データを上記フレーム周期で生成する。このとき、表示処理部48は、区画領域12に含まれる点Pについては、表示色が黒色となるRGB値を設定する。そして、表示処理部48は、生成された表示データを出力部49に出力する。
出力部49は、タッチパネルを備えたディスプレイであって、表示処理部48からの表示データを用い、カラーチャート10をディスプレイに表示する。
なお、本実施形態では、入力処理部42、パラメータ更新部43、色度算出部44、輝度設定部45、表色系変換部46、及び、表示処理部48が、制御部として機能し、パラメータ更新部43、色度算出部44、及び、表色系変換部46が設定部として機能する。
[カラーチャートの表示装置の作用]
第3実施形態のカラーチャートの表示装置20で行われるカラーチャートの表示の手順について図15を参照して説明する。
まず、入力処理部42は、各色表示単位領域11での表示色の輝度Yに関する情報を入力部41から取得する。入力処理部42は、取得された輝度Yに関する情報を輝度設定部45に出力する。そして、入力処理部42は、表示面にて操作点が移動したか否かを判断する(ステップS40)。操作点の移動がないと判断される場合、入力処理部42は、パラメータ更新部43に対して各パラメータを前回の値に保つ旨の信号を出力する。パラメータ更新部43は、中央色度(tx,ty)、間隔調整係数a、回転量θを前回の値に保って、色度算出部44に出力する。(ステップS41)。
一方、操作点の移動があると判断される場合、入力処理部42は操作点が1つであるか2つであるか、すなわち、ドラッグ操作が行われたか否かを判断する(ステップS42)。ドラッグ操作が行われたと判断される場合、入力処理部42は、前回のフレーム周期における1つの操作点の位置座標と、今回のフレーム周期における1つの操作点の位置座標とをパラメータ更新部43に出力する。パラメータ更新部43は、操作点の位置座標を用いて今回の中央色度(tx’,ty’)を算出する。また、パラメータ更新部43は、間隔調整係数a、回転量θを前回の値に保つ。そして、パラメータ更新部43は、上記式(44)における各パラメータを変更し、各パラメータを色度算出部44に出力する(ステップS43)。
先のステップS42にて、ドラッグ操作が行われていないと判断される場合、入力処理部42は、前回のフレーム周期における2つの操作点の位置座標と、今回のフレーム周期における2つの操作点の位置座標とをパラメータ更新部43に出力する。パラメータ更新部43は、操作点の位置座標を用いて今回の間隔調整係数a’と回転量θ’とを算出する。また、パラメータ更新部43は、中央色度(tx,ty)を前回の値に保つ。そして、パラメータ更新部43は、上記式(44)における各パラメータを変更し、各パラメータを色度算出部44に出力する(ステップS44)。
次いで、色度算出部44は、パラメータ更新部43から入力された中央色度(tx,ty)、間隔調整係数a、及び、回転量θを用いて、上記式(40)における各パラメータを変更し、各点Pでの色度座標(x’,y’)を算出する(ステップS45)。
次いで、表色系変換部46は、色度算出部44で算出された各点Pでの色度座標(x’,y’)と輝度設定部45で設定された輝度調整係数fとを用いて、各点Pでの新たなRGB値を算出する(ステップS46)。そして、表示処理部48は、表示面空間Aのすべての点Pの座標(c,r)に新たなRGB値を対応付けた表示データを生成してその表示データを出力部49に出力する(ステップS47)。
これにより、表示面での操作量、すなわち、任意の1点の移動量、または、任意の2点間の距離と方向の変化量に応じて、カラーチャート10に表示される表示色が変更される。このとき、第3実施形態では、表示面空間Aの点をカラーチャート色空間Cの点に連続的に対応付けて、表示面での操作量に対応するカラーチャート色空間Cでの点の移動量を算出する。そして、カラーチャート色空間Cでの点の移動量に基づいて、各パラメータの変更量が算出される。そして、算出された変更量に基づいて各パラメータが更新され、各点Pにおける新たな色度座標(x’,y’)が算出される。
したがって、ドラッグ操作によって色表示単位領域11に表示される色を表示面内で平行に移動させていく場合には、第1実施形態の場合と比較して、より滑らかに色表示単位領域11の色が変更される。さらに、色表示単位領域11に表示される色を表示面内で回転により移動させることが可能になる。その結果、カラーチャート10に表示される色の変更方式が多様化されて、カラーチャート10を用いた色の選択に際しての自由度が高められる。
一般に、表示装置の表示面に画像が表示される場合、表示面内の点の座標には、CIEXYZ表色系やRGB表色系等の色空間内の点の座標が直接対応付けられている。そして、表示面にて画像の移動や拡大縮小や回転が行われる場合、表示面内における移動元の座標が、表示面内における移動先の座標に変換され、移動元の座標に対応付けられていた色空間内の点の座標は、移動先の座標に対応付けられる。
一方、第3実施形態のカラーチャートの表示装置では、表示面内の点の座標が、色表示単位領域11の配列順が尺度となる配列空間の座標に対応付けられ、かつ、配列空間の座標が、xyY表色系の色空間内の座標に対応付けられる。そして、xyY表色系のデータがRGB表色系のデータに変換される。表示面にてカラーチャートの表示色の変更が行われる場合、配列空間内の座標と対応付けられた色空間内の座標が、色空間内の他の座標に変換されることにより、表示面内の点と色空間内の点との対応付けが変更される。
このように、画像の表示方法とカラーチャートの表示方法とでは、表示面内の点と色空間内の点との対応付けの態様と、表示内容の変更に際して点の変換が行われる空間とが異なる。
なお、第3実施形態では、表示面での操作量に関する情報として、表示面内における移動前後の操作点の位置座標が用いられる。
以上説明したように、第3実施形態によれば、上記(3)〜(6)に準じた効果に加えて以下に列挙する効果が得られる。
(9)色表示単位領域ごとの色彩値が、表示面での操作量に関する情報に基づいて設定され、これによって、カラーチャートに表示される各表示色が変更される。したがって、カラーチャートを用いた色の選択に際しての自由度が高められる。
(10)表示面空間Aの点とカラーチャート色空間Cの点とが連続的に対応付けられて、表示面での操作量に対応するカラーチャート色空間Cの点の移動量が算出される。そして、算出された移動量に基づいて表示面空間Aの点における色彩値が設定される。そのため、表示面での操作量が的確にカラーチャート10に表示される色の変更に反映される。結果として、カラーチャート10内での表示色の回転も可能となり、カラーチャート10に表示される色の変更方式が多様化される。
(11)表示面空間Aの点とカラーチャート色空間Cの点とが配列空間Bを介して対応付けられる。したがって、色表示単位領域11の配列からなるカラーチャート10に特有の表示面での表示態様が適切に反映されて、表示面内の点と色空間内の点が対応付けられる。
[第4実施形態]
本開示のカラーチャートの表示方法、カラーチャートの表示装置、及び、カラーチャートの表示プログラムを具体化した第4実施形態を以下に説明する。なお、第4実施形態は、第3実施形態とは、写像F1にて示した表示面空間Aに含まれる点Pの座標(c,r)と配列空間Bに含まれる配列座標D(i,j)との対応付けの態様が異なる。したがって、以下では、上記空間の対応付けについて説明し、第3実施形態で説明された構成と同様の構成はその説明を省略する。
第4実施形態では、表示面空間Aに含まれる点Pの座標(c,r)と、配列空間Bに含まれる配列座標D(i,j)との対応付けが、表示面での操作量に応じて変更される。すなわち、表示面における色表示単位領域11と区画領域12との位置が、表示面での操作量に応じて移動する。具体的には、第4実施形態では、表示面にてドラッグ操作が実行された場合に、第1実施形態と同様に、色表示単位領域11と区画領域12との位置が移動する。
第4実施形態にて、表示面空間Aに含まれる点Pの座標(c,r)と配列空間Bに含まれる配列座標D(i,j)とを対応付ける写像には、表示面での操作量に応じて変更されるパラメータとして、表示面移動量(dC,dR)が用いられる。まず、表示面移動量(dC,dR)について説明する。
表示面にてドラッグ操作が実行されると、表示面空間Aで、点P1の座標(c1,r1)から点P2の座標(c2,r2)への操作点の移動が検出される。この場合、下記式(59)によって、表示面移動量(dC,dR)が定義される。
したがって、下記式(60)によって、表示面空間Aの点Pの座標(c,r)が、表示面でのドラッグ操作による操作量に応じて、表示面空間Aに含まれる他の点P(c’,r’)に変換される。下記式(60)において、行列Mdは、表示面空間Aに含まれる点を表示面空間Aに含まれる点へ投影するアフィン変換を行う行列である。下記式(60)より、下記式(61)が得られる。
上記式(61)を、第3実施形態にて説明した表示面空間Aに含まれる点Pの座標(c,r)を、配列空間Bに含まれる配列座標D(i,j)に対応付ける式である下記式(26)に代入することにより、下記式(62)が得られる。下記式(62)により、表示面空間Aに含まれる点Pの座標(c,r)と配列空間Bに含まれる配列座標D(i,j)との対応付けが、表示面でのドラッグ操作による操作量に応じて変更される。下記式(62)を第3実施形態における写像F2,F3と合成することによって、表示面空間Aの点と配列空間Bの点の対応付けの変更が加味された状態で、表示面空間Aの点とカラーチャート色空間Cでの点の対応付けがなされる。
上記構成によれば、ドラッグ操作に従って、表示面内で色表示単位領域11と区画領域12との位置が移動する。そして、色表示単位領域11の表示色が、ドラッグ操作が開始される前の当該色表示単位領域11に隣接する色表示単位領域11の色となったとき、すなわち、色表示単位領域11の表示色が1つ分ずれたときに、色表示単位領域11と区画領域12との位置が初期位置に戻る。したがって、色表示単位領域11の表示色の変化を、利用者に対して直感的に把握させることが可能になる。
すなわち、第3実施形態及び第4実施形態では、表示面内の点の座標が、配列空間の点の座標と対応付けられ、かつ、配列空間の点の座標が、色空間内の点の座標と対応付けられる。そして、第3実施形態では、配列空間の点の座標と色空間内の点の座標との対応付けが、表示面での操作量に応じて変更される。第4実施形態では、表示面内の点の座標と配列空間の点の座標との対応付け、及び、配列空間の点の座標と色空間内の点の座標との対応付けが、表示面での操作量に応じて変更される。
以上説明したように、第4実施形態によれば、上記(3)〜(6),(9)〜(11)に準じた効果に加えて以下に列挙する効果が得られる。
(12)ドラッグ操作に従って、表示面内で色表示単位領域11と区画領域12との位置が移動し、色表示単位領域11の表示色が1つ分ずれたときに、色表示単位領域11と区画領域12との位置が初期位置に戻る。したがって、色表示単位領域11の表示色の変化を、利用者に対して直感的に把握させることが可能になる。
[第3,4実施形態と第1,2実施形態との関係]
第1,2実施形態は、第3,4実施形態に特定の条件が設定された例である。以下では、第3,4実施形態と第1,2実施形態との関係について説明する。
[条件の設定]
第1,2実施形態では、カラーチャート内での表示色の回転は行われない。すなわち、第1,2実施形態とは、第3,4実施形態にて、回転量θが0°に設定された一例である。この場合の写像F2について説明する。
上記式(39)において、回転量θが0°に設定されると、下記式(63)、(64)が得られる。また、上記式(45)において、回転量θが0°に設定されると、下記式(65)が得られる。
[表示色の算出]
第1,2実施形態では、カラーチャートの中央に配置された色表示単位領域11が特定の色表示単位領域11として設定され、隣接色度差Δx,Δyを用いて、特定の色表示単位領域11の表示色から各色表示単位領域11の表示色が算出される(上記式(6)参照)。この表示色の算出方法は、第3,4実施形態における配列座標D(i,j)と色度座標(x,y)とを対応付ける式である上記式(39)から誘導される。
上述のように、回転量θが0°であるとき、上記式(39)から上記式(64)が得られる。上記式(64)に基づき、隣接色度差Δx,Δyは、下記式(66)によって表される。すなわち、第1,2実施形態における隣接色度差Δx,Δyは、第3,4実施形態における間隔調整係数aと等しいことが示される。
ここで、配列座標D(i0,j0)で示される特定の色表示単位領域11に対応する色度座標(x0、y0)から配列座標D(i,j)で示される任意の色表示単位領域11に対応する色度座標(x、y)を算出する式を、上記式(64)を用いて表し、間隔調整係数aを隣接色度差Δx,Δyにて置換すると、下記式(67)が得られる。したがって、下記式(67)から、下記式(68)が得られる。
第1,2実施形態と第3,4実施形態では、配列座標D(i,j)の原点の設定が異なる。これを考慮した上で、下記式(68)にて、配列座標D(i0,j0)で示される特定の色表示単位領域11に対応する色度座標(x0、y0)を、第1,2実施形態における中央の色表示単位領域11に対応する色度座標(xc,yc)とすると、下記式(68)は第1,2実施形態の上記式(6)と一致する。
これにより、第3,4実施形態における上記式(39)を用いて、第1,2実施形態の上記式(6)が誘導されることが示された。すなわち、配列座標D(i,j)と色度座標(x,y)とを対応付ける式を用いて、特定の色表示単位領域11の表示色から各色表示単位領域11の表示色を算出する式が導き出せることが示された。
[ピンチイン操作/ピンチアウト操作による表示色の変更]
第2実施形態では、表示面でのピンチイン操作、あるいは、ピンチアウト操作による操作量に応じて色表示単位領域11の表示色を変更するためのパラメータとして、色度差調整係数gを用いた。一方、第3,4実施形態では、ピンチイン操作、あるいは、ピンチアウト操作による操作量に応じて色表示単位領域11の表示色を変更する際には、上記式(55),(56)によって示されるように、係数kを用いて間隔調整係数aが更新される。以下では、色度差調整係数gと係数kとの関係について説明する。
上記式(66)により、第1,2実施形態における隣接色度差Δx,Δyは、第3,4実施形態における間隔調整係数aと等しいことが示された。また、上記式(56)により,a’=kaであるため、上記式(68)は、下記式(69)のように変形できる。したがって、下記式(69)から、下記式(70)が得られる。下記式(70)は、第2実施形態の上記式(21)に相当する。
第3,4実施形態にて、上記式(55)に示されるように、係数kは、表示面での操作量に対応するカラーチャート色空間Cでの点の移動量から定められる。一方、第2実施形態にて、上記式(20)に示されるように、色度差調整係数gは、表示面空間Aでの点の移動量から定められる。
ここで、上記式(55)に、上記式(65)を代入して、係数kを表示面空間Aでの点の移動量で表す式に変形すると、下記式(71)が得られる。また、表示面でのカラーチャートの形状について、下記式(72)が成り立つとする。すなわち、表示幅Wpと区画幅Wsとの加算値と、表示高さHpと区画高さHsとの加算値とが等しいとする。この場合、下記式(71)と下記式(72)から、下記式(73)が得られる。下記式(73)は、第2実施形態における色度差調整係数gを定める式である上記式(20)と一致する。
このように、カラーチャートの幾何学的形状について下記式(72)が満たされる条件下、すなわち、表示面空間Aにおける2成分のアスペクト比とカラーチャート色空間Cにおける2成分のアスペクト比とが一致する条件下において、第3,4実施形態における係数kの算出は、第2実施形態における色度差調整係数gの算出に一致することが示された。
[ドラッグ操作による表示色の変更]
第1実施形態では、ドラッグ操作によって、表示面にて表示幅Wpと区画幅Wsとの加算値に相当する量だけ操作点が移動するたびに、色度座標(xi,yj)のx色度が隣接色度差Δxだけ変わる。また、ドラッグ操作によって、表示面にて表示高さHpと区画高さHsとの加算値に相当する量だけ操作点が移動するたびに、色度座標(xi,yj)のy色度が隣接色度差Δyだけ変わる。以下では、第4実施形態の一例として、第1実施形態と同様にドラッグ操作に従って色表示単位領域11の表示色が隣接色度差Δx,Δyずつ変更される例を説明し、その実施例と第1実施形態における表示色の変更との関係を説明する。
第4実施形態において、ドラッグ操作が完了し、各色表示単位領域11に対応する色度座標(xi,yj)がc軸方向にα個分、r軸方向にβ個分移動したときの表示面移動量(dC,dR)は、下記式(74)によって表される。下記式(74)において、床関数で表される部分は、整数値となるため、下記式(74)は、下記式(75)で表される。下記式(75)において、α及びβは整数である。
上記式(75)を第4実施形態の上記式(61)に代入することにより、下記式(76)が得られる。さらに、下記式(76)を上記式(65)に代入することにより、下記式(77)が得られる。すなわち、下記式(77)は、上記式(65)にて中央色度(tx,ty)を、(tx+αΔx,ty+βΔy)に変更した式に相当する。
また、下記式(77)は、下記式(78)に変形される。下記式(78)は、第1実施形態の上記式(13),(14)に相当する。したがって、第4実施形態において表示面移動量(dC,dR)が用いられる実施例は、第1実施形態に相当する。
以上説明したように、第3,4実施形態にて特定の条件が設定された一例が、第1,2実施形態に相当する。
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・第1実施形態と第2実施形態を組み合わせて実施してもよい。すなわち、第1実施形態において、制御部が第2実施形態における調整係数算出部33と色表示単位領域設定部37としても機能するようにしてもよい。この場合、ドラッグ操作であるかピンチイン操作またはピンチアウト操作であるかによって、すなわち入力部からの入力信号によって、変更量蓄積部23と調整係数算出部33とが切り替えられ、色表示単位領域算出部27と色表示単位領域設定部37とが切り替えられる。こうした構成によれば、色の選択にあたり、まず、ドラッグ操作によって所望の色と近い色を中央の色表示単位領域11に表示させ、ついで、ピンチイン操作またはピンチアウト操作によって表示色の分解能の調節を行って所望の色を探すことが可能となる。したがって、より正確で詳細な色の選択を行うことが可能となる。
・第1実施形態では、表示面にて選択された任意の2点において、一方の操作点に対する他方の操作点の相対的な移動量が、表示面での操作量に関する情報として取り扱われてもよい。こうした構成であっても、上記(1)から(6)に準じた効果を得ることは可能である。
・第1実施形態において、色彩値差を定めるための所定の色彩値は、特定の色表示単位領域11の色度座標(xc,yc)に限らず、例えば、任意に選択された色表示単位領域11における前回の表示色の色度座標であってもよい。あるいは、色彩値差を定めるための所定の色彩値は、色度座標における原点(0,0)であってもよい。すなわち、色彩値差を定めるための所定の色彩値は、カラーチャートの中に含まれる特定の色表示単位領域11に表示された表示色の色彩値であってもよく、隣接する色表示単位領域11の間の色彩値であってもよく、カラーチャートの中に含まれない色の色彩値であってもよい。また、上記所定の色彩値は、各表示色の含まれる色平面内であってもよく、あるいは、その色平面外であってもよい。
・第1実施形態において、第1変更パラメータaと第2変更パラメータbとは、整数に限らず、例えば、少数部分を含む実数であってもよく、1未満の実数であってもよい。こうした構成であれば、上述のドラッグ操作によって、相互に隣接する色表示単位領域11の色度座標間の中間値を表示することが可能にもなる。
・第1実施形態において、各色表示単位領域11の色度座標(xi,yj)の算出態様は、上述の場合に限らず、累積移動量(dC,dR)に応じて設定される色彩値差に対応した新たな色度座標(xi,yj)が各色表示単位領域ごとに算出される態様であれば、適宜採用できる。例えば、予め定められた基準色度座標(x0,y0)を用いて、各色表示単位領域11の色度座標(xi,yj)が下記式(79)によって算出されてもよい。この場合、所定の色彩値は、基準色度座標(x0,y0)と設定される。
・第1実施形態では、第2実施形態と同様に、各色表示単位領域11の位置座標が固定値であってもよい。すなわち、表示面での操作量に関する情報に応じて各色表示単位領域11での表示色の色度座標のみが変更されてもよい。
・第2実施形態において、操作点間の距離の変化量は、前回の操作点間の距離に対する今回の操作点間の距離の比率に限らず、例えば、前回の操作点間の距離に対する今回の操作点間の距離の差分値であってもよい。要するに、操作点間の距離の変化量は、操作点間の距離の変化を示す量であればよい。
・第2実施形態において、色彩値差を定めるための所定の色彩値は、特定の色表示単位領域11における色度座標(xc,yc)に限らず、例えば、任意に選択される色表示単位領域11の色度座標(xi,yj)であってもよく、色度座標の原点(0,0)であってもよい。すなわち、色彩値差を定めるための所定の色彩値は、カラーチャートの中に含まれる特定の色表示単位領域11に表示された表示色の色彩値であってもよく、隣接する色表示単位領域11の間の色彩値であってもよく、カラーチャートの中に含まれない色の色彩値であってもよい。また、上記所定の色彩値は、各表示色の含まれる色平面内であってもよく、あるいは、その色平面外であってもよい。
・第2実施形態において、色度差調整係数gは、操作点間の距離の変化量を変数とした一次関数の出力値に限らず、例えば、操作点間の距離の変化量を変数とした二次以上の高次関数の出力値や指数関数の出力値であってもよい。要するに、色度差調整係数gは、操作点間の距離の変化量に応じて変わる係数であればよい。なお、選択候補となる色の表示を利用者に対して直感的に把握させるうえでは、色度差調整係数gは単調に増加もしくは単調に減少する関数の出力値であることが好ましい。
・第2実施形態において、各色表示単位領域11の色度座標(xi,yj)は、色度差調整係数gを変数とした一次関数の出力値に限らず、例えば、色度差調整係数gを変数とした二次以上の高次関数の出力値や指数関数の出力値であってもよい。また、各色表示単位領域11の色度座標(xi,yj)の算出態様は、上述の場合に限らず、任意の2点間の距離の変化量に応じて設定される色彩値差に対応した新たな色度座標(xi,yj)が各色表示単位領域ごとに算出される態様であれば、適宜採用できる。
・第2実施形態において、色度差調整係数gは、色度座標xiを変更するための色度差調整係数と、色度座標yjを変更するための色度差調整係数とに各別に設定されてもよい。例えば、2つの始点の位置座標と2つの終点の位置座標とが用いられ、c軸方向の距離の比率から色度座標xiを変更する色度差調整係数が算出され、また、r軸方向の距離の比率から色度座標yjを変更するための色度差調整係数が算出されてもよい。
・第1実施形態及び第2実施形態では、表示面に配列される色表示単位領域11のc軸方向の数とr軸方向の数とをそれぞれ奇数としたが、いずれか一方、もしくは、両方が偶数であってもよい。この場合、表示面の中央に近い色表示単位領域11が特定の色表示単位領域11として設定される。
・第3,4実施形態において、中央色度(tx,ty)、間隔調整係数a、及び、回転量θのうちのいずれか1つ、もしくはいずれか2つが固定値とされ、2つあるいは1つのパラメータの更新のみが行われてもよい。
・第3,4実施形態において、点Pにおける色度座標(x’,y’)の算出に用いられる式は、表示面空間Aの点がカラーチャート色空間Cの点に離散的に対応付けられる式であれば、上記式(40)と異なってもよい。
・第3,4実施形態において、各パラメータの更新に利用される色度座標(x、y)を算出する式は、表示面空間Aの点をカラーチャート色空間Cの点に連続的に対応付ける式であれば、上記式(44)と異なってもよい。
・第3,4実施形態において、写像F1,F2,F3、行列Md(式60)は、アフィン変換に限らず、配列空間の2つの成分である配列座標(i,j)の変化を変換先の空間に連続に対応させるものであればよく、座標値の変化をパラメータによって記述できるものであればよい。
・各色表示単位領域11には、当該色表示単位領域11に表示される表示色の色度座標(x,y)が表示されてもよい。また、各色表示単位領域11には、当該色表示単位領域11に表示される表示色のRGB値が表示されてもよい。これらによれば、色表示単位領域11に表示されている色を定量的に認識させることが容易となる。
・表示色を表現する表色系は、xyY表色系に限らず、他の表色系であってもよい。例えば、CIELAB色空間に任意の色平面が設定され、その色平面内において表示色が変更されてもよい。すなわち、3次元以上の次元を有する色空間において、任意に選択される2次元の色平面内が表示色の色平面として設定されればよい。この場合、任意に選択される2つの次元の各々が表示色の属性として用いられ、当該属性以外の他の次元の値が、別に設定される。また、3次元以上の次元を有する色空間において、任意に選択される1つの次元が表示色の属性として用いられ、当該属性以外の他の次元の値が、別に設定される態様であってもよい。また、色表示単位領域11に表示される表示色の範囲として設定される面は、平面に限らず、3次元以上の次元を有する色空間内の曲面であってもよい。
・表色系変換部26,46によって変換される表色系は、RGB形式に限らず、例えば、CMYK形式等、他の表色系であってもよい。また、表示色の色彩値によっては、表色系の変換を割愛することも可能である。
・カラーチャート10が表示される表示面は、平面に限らず、曲面であってもよい。
・色表示単位領域11の形状は、矩形に限らず円形や多角形であってもよい。また、色表示単位領域11の配列の状態は、マトリクス状に限らず、直線状や曲線状、螺旋状等の1次元の配列や、同心円状や放射状等の2次元の配列であってもよい。要は、配列空間における成分の変化に対して、色空間内の点を連続して一意に対応付けることが可能な配列であればよい。さらに、色表示単位領域11の形状や大きさは、隣接する色表示単位領域11間で異なっていてもよい。
・区画領域12に表示される色は、黒色に限らず、白色や灰色であってもよく、それ以外の色であってもよい。また、区画領域12が任意の色のグラデーションで表示されてもよい。
・カラーチャート10では、区画領域12が割愛されて、相互に隣り合う色表示単位領域11が接していてもよい。なお、上述のように、黒色の区画領域12が設けられると、相互に隣接する色表示単位領域11の境界にて色彩の変化が強調されて見えるマッハ効果や色の対比による錯覚が抑えられるため、各色表示単位領域11での表示色が正確に知覚されやすくなる。すなわち、各色表示単位領域11での表示色を正確に知覚させるうえでは、区画領域12を設けることが有効的である。なお、この際、区画領域12の色は、黒色でなくとも、マッハ効果を抑えられる色であればよい。そして、本開示の技術によれば、こうした区画領域12のサイズを固定し、且つ、表示面での操作量に関する情報に基づき表示色のみを変更することが可能である。
・さらに、色表示単位領域11の形状が円形である場合には、相互に隣接する色表示単位領域11同士が接する配置であっても、色表示単位領域11の接する部分が1点となるため、これによってもマッハ効果や色の対比による錯覚が抑えられる。それゆえに、色表示単位領域11の形状が円形であれば、マッハ効果や色の対比による錯覚を抑えつつ、限られた面積のカラーチャート10内により多くの色表示単位領域11を配置することが可能となる。
・表示色が有する色彩値は、表示色を特定することの可能な色彩値であればよい。
・表示面での操作量に関する情報は、ドラッグ操作、ピンチイン操作、ピンチアウト操作の他、例えば、タップ操作や回転操作によって生成されてもよい。
・表示面を備える表示装置は、タブレット端末の他、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等の各種の表示装置に具体化される。例えば、パーソナルコンピュータに具体化される場合には、キーボード、マウス、あるいは、タッチパッド等が入力部として構成される。
・カラーチャートが更新される周期は、表示装置のフレーム周期に限らず、フレーム周期の整数倍の周期であってもよく、要するに、表示面での操作量に関する情報を取得して色表示単位領域の色彩値を新たに設定することの可能な周期であればよい。