以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明が適用された物体判定装置100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す物体判定装置100は、車両に搭載されるものであり、センサユニットRR、センサユニットRRC、センサユニットRLC、センサユニットRL、送信制御部14、時間差算出部15、物体種類判定部16、及びメモリ17を備えている。
例えば、車両のリヤバンパに右から順番に、センサユニットRR、センサユニットRRC、センサユニットRLC、センサユニットRLが設けられる構成とすればよい。なお、本実施形態では、センサユニットを車両の後部に設ける場合を例に挙げて説明を行うが、必ずしもこれに限らない。例えば、車両の前部にセンサユニットを設ける構成としてもよいし、車両の側部にセンサユニットを設ける構成としてもよい。
センサユニットRRは、送受波部11a、送信回路部12a、及び受信回路部13aからなっている。センサユニットRRCは、送受波部11b、送信回路部12b、及び受信回路部13bからなっている。センサユニットRLCは、送受波部11c、送信回路部12c、及び受信回路部13cからなっている。センサユニットRLは、送受波部11d、送信回路部12d、及び受信回路部13dからなっている。
送信回路部12aは、送信制御部14の指示に従って、送受波部11aを介して探査波を送信する。よって、送信回路部12aが請求項の送信部に相当する。受信回路部13aは、送受波部11aを介して、送受波部11a〜11dから送信した探査波の反射波を受信し、時間差算出部15に出力する。よって、受信回路部13aが請求項の受信部に相当する。探査波は、電波であっても、音波であってもよい。
また、送受波部11b〜11dについては、送受波部11aと同様であり、送信回路部12b〜12dについては、送信回路部12aと同様であり、受信回路部13b〜13dについては、受信回路部13aと同様である。よって、送信回路部12b〜12dについても請求項の送信部に相当し、受信回路部13b〜13dについても請求項の受信部に相当する。以降では、便宜上、センサユニットRR、センサユニットRRC、センサユニットRLC、及びセンサユニットRLで共通の内容を説明する場合には、部材番号にaやbやcやdを付さないものとする。
例えば、センサユニットRR、センサユニットRRC、センサユニットRLC、センサユニットRLは、送信される探査波の指向性の中心線が自車後方に向けて水平となるように設けられるものとする。なお、探査波の指向性の中心線が路面側に傾くようにセンサユニットが設けられる構成としてもよい。
送信制御部14は、送信回路部12が所定の送信時間差をおいて順番に探査波を送信するように制御する。ここで言うところの所定の送信時間差とは、送信時間差をおいて送信した探査波の各反射波の受信順が探査波の送信順と逆転しないように考慮して設定される値であって、例えば1ミリ秒(以下、1ms)とすればよい。以降では、所定の送信時間差を1msとして説明を行う。
物体判定装置100では、探査波を送信させる送信回路部12は少なくとも2つあればよい。本実施形態では、一例として、送信制御部14は、4つの送信回路部12のうち、センサユニットRRCの送信回路部12bとセンサユニットRLCの送信回路部12cとの2つについて送信を行うように制御する。
また、送信制御部14は、送信回路部12cが送受波部11cを介して探査波の送信を行ってから1msの送信時間差を空けて送信回路部12bが送受波部11bを介して探査波の送信を行うように制御する。これにより、センサユニットRLCからの探査波とセンサユニットRRCからの探査波との2波が、センサユニットRLCからの探査波、センサユニットRRCからの探査波の順に、1msの送信時間差を空けて送信される。
なお、4つの送信回路部12のうち、探査波を送信させる送信回路部12の組み合わせは、送信回路部12bと送信回路部12cとの組み合わせに限らないのは言うまでもない。
センサユニットRR、センサユニットRRC、センサユニットRLC、センサユニットRLの各受信回路部13は、順番に受信される、センサユニットRLCからの探査波の反射波(以下、第1反射波)、センサユニットRRCからの探査波の反射波(以下、第2反射波)を時間差算出部15に順次出力する。つまり、受信回路部13a〜13dの各々で、第1反射波及び第2反射波を受信し、時間差算出部15に出力する。
時間差算出部15は、各受信回路部13で受信した第1反射波と第2反射波とが出力されてくる時間差から第1反射波と第2反射波との受信時間差を算出し、物体種類判定部16に出力する。時間差算出部15は、受信回路部13a〜13dの各々についての第1反射波と第2反射波との受信時間差を算出し、物体種類判定部16に出力する。
物体種類判定部16は、時間差算出部15から出力されてくる、受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差をメモリ17に一時的に記憶する。そして、受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差をもとに、検出対象の物体の種類を判定する物体種類判定処理を行う。
物体種類判定処理では、例えば、受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差を比較し、受信時間差同士が第1の所定の範囲内におさまっているか否かに応じて、検出対象の物体が横長物体か縦長物体かを判定する。第1の所定の範囲は、略等しいと言える誤差程度の範囲であって、任意に設定可能な値とする。一例としては、±0.05msの範囲などとすればよい。
物体種類判定処理では、受信回路部13a〜13dの各受信時間差同士が第1の所定の範囲内におさまっており、略等しい場合には、検出対象の物体が縦長物体であると判定する。一方、受信回路部13a〜13dの各受信時間差同士が第1の所定の範囲内におさまっておらず、略等しいと言えない差異が生じている場合には、検出対象の物体が横長物体であると判定する。
ここで言うところの横長物体とは、路面上の物体であって、探査波の送信側から見て垂直方向と水平方向とのうちの水平方向の方が長い横長形状の物体を指している。横長物体の一例としては、路面付近の段差等が挙げられる。横長物体は、自車の車体裏に接触しない程度の低さの物体と言い換えることもできる。また、縦長物体とは、路面上の物体であって、探査波の送信側から見て垂直方向と水平方向とのうちの垂直方向の方が長い縦長形状の物体を指している。縦長物体の一例としては、路面上に設けられたポール等が挙げられる。縦長物体は、自車の車体裏に接触する程度の高さの物体と言い換えることもできる。
例えば、物体種類判定部16での判定結果は、運転支援を行う運転支援ECUに送り、運転支援ECUでの運転支援に利用する構成とすればよい。運転支援の一例としては、判定結果が縦長物体である場合には、車両周辺に障害物が存在することを音声や表示で報知したり、縦長物体の存在する方向への自車の移動に対して自動で制動をかけたりすることなどが挙げられる。一方、判定結果が横長物体である場合には、上記報知や上記制動を行わないようにすることなどが挙げられる。
ここで、図2のフローチャートを用いて、物体判定装置100での物体の種類の判定に関連する処理(以下、物体種類判定関連処理)の流れの一例についての説明を行う。図2のフローチャートは、例えば車両のシフト位置が後退位置となった場合に開始する構成とすればよい。車両のシフト位置は、シフトポジションセンサの信号をもとに検出する構成とすればよい。他にも、物体判定装置100の電源がオンになった場合に開始するなどの構成としてもよい。
まず、ステップS1では、送信制御部14の指示に従って、センサユニットRLC、センサユニットRRCの順に、1msの送信時間差を空けて探査波の送信を順次行い、ステップS2に移る。
ステップS2では、所定時間内に受信回路部13で反射波を受信した場合(ステップS2でYES)には、ステップS3に移る。一方、所定時間内に受信回路部13で反射波を受信しなかった場合(ステップS2でNO)には、ステップS9に移る。ここで言うところの所定時間とは、探査波の照射範囲内に物体があった場合に返ってくる反射波の遅延時間として考えられる最も長い時間とすればよい。また、所定時間内に受信回路部13で反射波を受信しなかった場合には、物体種類判定部16が検出対象とする物体が存在しないものと判定する構成とすればよい。
ステップS3では、受信回路部13a〜13dの各々で、第1反射波及び第2反射波を受信して時間差算出部15に出力し、ステップS4に移る。ステップS4では、受信回路部13a〜13dの各々についての第1反射波と第2反射波との受信時間差を算出して物体種類判定部16に出力し、ステップS5に移る。
ステップS5では、物体種類判定部16が、受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差を比較し、ステップS6に移る。ステップS6では、受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差同士が第1の所定の範囲内におさまっており、略等しい場合(ステップS6でYES)には、ステップS7に移る。一方、受信回路部13a〜13dの各受信時間差同士が第1の所定の範囲内におさまっておらず、略等しいと言えない差異が生じている場合(ステップS6でNO)には、ステップS8に移る。
ステップS7では、物体種類判定部16が、検出対象の物体が縦長物体であると判定し、ステップS9に移る。一方、ステップS8では、物体種類判定部16が、検出対象の物体が横長物体であると判定し、ステップS9に移る。
ステップS9では、物体種類判定関連処理の終了タイミングであった場合(ステップS9でYES)には、フローを終了する。一方、物体種類判定関連処理の終了タイミングでなかった場合(ステップS9でNO)には、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。物体種類判定関連処理の終了タイミングの一例としては、シフト位置が後退位置以外となったときや物体判定装置100の電源がオフになったときなどがある。
なお、図2のフローチャートでは、受信回路部13a〜13dの4つの受信回路部13についての受信時間差を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らず、少なくとも2つの受信回路部13についての受信時間差を用いる構成であればよい。
実施形態1の構成によれば、時間差算出部15で算出した受信回路部13ごとの受信時間差から、検出対象の物体の種類を判定することが可能になる。ここで、本発明における作用効果について、具体的に図3A〜図5Bを用いて説明を行う。
図3A及び図3Bに示すように、センサユニットRLC、センサユニットRRCの順に送信時間差を空けて探査波の送信を順次行った場合、検出対象がポールといった縦長物体であるか、路面付近の段差といった横長物体であるかによって、受信時間差に差異が生じる(図3A、図3B参照)。
一例として、センサユニットRR、センサユニットRRC、センサユニットRLC、センサユニットRLの設置間隔を0.5m、送信時間差を1ms、物体までの距離を3mとした場合での各センサユニットにおける受信時間差の理論計算値を図4A及び図4Bに示す。図4Aは検出対象の物体が縦長物体のポールであり、このポールが、車幅中心線の延長線上の位置に存在する場合の例である。図4Bは、検出対象の物体が横長物体の路面付近の段差であった場合の例である。
図4Aに示すように、検出対象の物体が縦長物体のポールである場合には、各センサユニットにおける受信時間差は略等しくなると理論上計算された。なお、ポールが異なる位置に複数存在する場合、ポールごとで受信時間差は異なることなる。また、図4Bに示すように、検出対象の物体が横長物体の路面付近の段差である場合には、受信時間差は各センサユニットで異なると理論上計算された。
ここで、図4A及び図4Bと同様の条件で実際に受信時間差を算出したところ、図5A及び図5Bに示すように、検出対象がポールの場合も路面付近の段差の場合も、理論値通りの実験値が得られた。なお、図5A、図5Bでは、理論値を実線、実験値を白抜きの四角で示している。よって、実施形態1の構成によれば、ポールといった縦長物体と路面付近の段差といった横長物体とを判定することができる。
また、実施形態1の構成によれば、探査波の照射範囲内に物体があれば、その物体から反射波が返ってくるので、検出対象物に近接しなくても、物体の種類を判定することが可能になる。さらに、受信回路部13ごとの受信時間差が得られれば、検出対象の物体の種類を判定することができるので、自車を移動させなくても、検出対象の物体の種類を判定することができる。その結果、自車を移動させなくても探査波の照射範囲に存在する物体の種類を判定することが可能になる。
なお、送信制御部14は、車両から検出対象の物体までの距離が所定の距離以下になった場合に、車両から検出対象の物体までの距離が所定の距離よりも長い場合よりも送信時間差が長くなるように制御する構成(以下、変形例1)としてもよい。所定の距離は任意に設定可能な値であって、例えば3m等とすればよい。また、送信時間差が長くなるように制御する場合には、車両から検出対象の物体までの距離が所定の距離以下になった場合であっても、送信時間差をおいて送信した探査波の各反射波の受信順が探査波の送信順と逆転しない長さの送信時間差となるように制御する。
車両から検出対象の物体までの距離は、センサユニットから探査波を送信してから、そのセンサユニットや他のセンサニットでその探査波の反射波を受信するまでの遅延時間をもとに公知の方法で物体判定装置100が検出する構成とすればよい。
変形例1の構成によれば、車両から検出対象の物体までの距離が所定の距離以下となり、それまでの送信時間差では、送信時間差をおいて送信した探査波の各反射波の受信順が探査波の送信順と逆転してしまう場合に、この逆転が生じない長さの送信時間差に切り替え、この逆転が生じないようにすることができる。
また、送信制御部14は、複数の送信回路部12から所定の送信時間差をおいて順番に探査波を送信させるように制御するモード(以下、第1探査モード)と、複数の送信回路部12から所定の送信時間差をおいた探査波の送信を行わせずに1つの送信回路部12から探査波を送信させるように制御するモード(以下、第2探査モード)とを切り替える構成(以下、変形例2)としてもよい。
変形例2の一例としては、第1探査モードでは、送信回路部12cによるセンサユニットRLC、送信回路部12bによるセンサユニットRRCの順に、1msの送信時間差を空けて探査波の送信を行う構成とすればよい。また、第2探査モードでは、送信回路部12cによるセンサユニットRLCからの探査波の送信のみを行う構成とすればよい。
また、変形例2では、物体種類判定部16が、第1探査モードで探査波を送信させた際に、1つの受信回路部13で受信した反射波の数が、探査波を送信させた送信回路部12の数よりも多かった場合に、第2探査モードで探査波を送信した場合の受信回路部13での受信結果から、検出対象の物体の種類を判定するための反射波の組を特定する構成としてもよい。
一例としては、以下のようにすればよい。まず、送信制御部14は、第1探査モードで探査波を送信させるだけでなく、第2探査モードでも探査波を送信させる。例えば、一方のモードに続いて他方のモードでの探査波の送信を行わせる。そして、物体種類判定部16が、第1探査モードで探査波を送信させた際に1つの受信回路部13で受信した反射波の数が、第1探査モードで探査波を送信させた送信回路部12の数よりも多かった場合に、以下の処理を行う。
第2探査モードで1つのセンサユニットから探査波を送信してから、そのセンサユニットや他のセンサニットでその探査波の反射波を受信するまでの遅延時間をもとに、公知の方法によって車両から対象物までの距離を検出する。対象物が複数存在する場合は、対象物の数に応じた種類数の距離が検出される。第2探査モードで検出されるこの複数種類の距離を、以下では第2探査距離と呼ぶ。
また、第1探査モードで2つのセンサユニットから送信時間差をおいて探査波を送信してから、そのセンサユニットや他のセンサニットでその探査波の反射波を受信するまでの遅延時間をもとに、各反射波が得られた対象物までの距離を検出する。ここで検出される距離を、上述の第2探査距離のうち、どの距離に近いかによって分類することで、反射波を組み分けする。反射波を組み分けした後は、組み分けした反射波ごとに、実施形態1で説明したのと同様にして、検出対象の物体の種類を判定する。
なお、第1探査モードで探査波を送信させた際に1つの受信回路部13で受信した反射波の数が、第1探査モードで探査波を送信させた送信回路部12の数と同じであった場合には、実施形態1で説明したのと同様にして、検出対象の物体の種類を判定する。
例えば、センサユニットRLC、センサユニットRRCの順に送信時間差をおいて探査波を送信する実施形態1の構成によれば、1つの対象物につき2つの反射波が得られる。よって、実施形態1の構成によれば、検出対象物が複数存在する場合には、反射波の数は対象物の数×2となる。このように、検出対象物が複数存在する場合には、得られた反射波のうち、どの2波の組を用いて検出対象の物体の種類を判定するかを特定する必要がある。
これに対して、変形例2の構成によれば、1つのセンサユニットのみから探査波の送信を行わせる第2探査モードで探査波を送信した場合の受信回路部13での受信結果を利用することによって、同一の対象物からの反射波同士の組を特定することが可能になる。
(実施形態2)
以上、本発明の実施形態1を説明したが、本発明は上述の実施形態1に限定されるものではなく、次の実施形態2も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この次の実施形態2について図面を用いて説明を行う。なお、説明の便宜上、前述の実施形態1の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施形態2の物体判定装置200は、平均値算出部18を備える点と、物体種類判定部16での処理の一部が異なる点を除けば、実施形態1の物体判定装置100と同様である。
図6に示すように、物体判定装置200は、センサユニットRR、センサユニットRRC、センサユニットRLC、センサユニットRL、送信制御部14、時間差算出部15、物体種類判定部16、メモリ17、及び平均値算出部18を備えている。
平均値算出部18は、時間差算出部15から出力されてくる、受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差の平均値を算出する第1平均値算出処理を行う。一例として第1平均値算出処理では、受信回路部13aについての受信時間差と、受信回路部13bについての受信時間差と、受信回路部13cについての受信時間差と、受信回路部13dについての受信時間差とを足し合わせた値を4で割った相加平均値を算出する。そして、算出した平均値を物体種類判定部16に出力する。
物体種類判定部16は、第1平均値算出処理で算出した平均値が第2の所定の範囲内におさまっているか否かに応じて、検出対象の物体が横長物体か縦長物体かを判定する。第2の所定の範囲は、送信時間差として設定している時間差と略等しい範囲である。つまり、本実施形態では、略1msと言える誤差程度の範囲である。
物体種類判定部16は、第1平均値算出処理で算出した平均値が第2の所定の範囲内におさまっており、略1msと言える場合には、検出対象の物体が横長物体であると判定する。一方、第1平均値算出処理で算出した平均値が第2の所定の範囲内におさまっておらず、略1msと言えない場合には、検出対象の物体が縦長物体であると判定する。
ここで、図7のフローチャートを用いて、物体判定装置200での物体種類判定関連処理の流れの一例についての説明を行う。図7のフローチャートも、図2のフローチャートと同様に、例えば車両のシフト位置が後退位置となった場合に開始する構成としてもよいし、物体判定装置100の電源がオンになった場合に開始するなどの構成としてもよい。
ステップS31〜ステップS34までの処理は、前述のステップS1〜ステップS4までの処理と同様である。なお、ステップS32では、所定時間内に受信回路部13で反射波を受信した場合(ステップS32でYES)には、ステップS33に移り、所定時間内に受信回路部13で反射波を受信しなかった場合(ステップS32でNO)には、ステップS39に移る。
ステップS35では、平均値算出部18が前述の第1平均値算出処理を行って、ステップS36に移る。ステップS36では、第1平均値算出処理で算出した平均値が第2の所定の範囲内におさまっており、略1msと言える場合(ステップS36でYES)には、ステップS37に移る。一方、第1平均値算出処理で算出した平均値が第2の所定の範囲内におさまっておらず、略1msと言えない場合(ステップS36でNO)には、ステップS38に移る。
ステップS37では、物体種類判定部16が、検出対象の物体が横長物体であると判定し、ステップS39に移る。一方、ステップS38では、物体種類判定部16が、検出対象の物体が縦長物体であると判定し、ステップS39に移る。
ステップS9では、物体種類判定関連処理の終了タイミングであった場合(ステップS39でYES)には、フローを終了し、物体種類判定関連処理の終了タイミングでなかった場合(ステップS39でNO)には、ステップS31に戻ってフローを繰り返す。
なお、図7のフローチャートでは、受信回路部13a〜13dの4つの受信回路部13についての受信時間差を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らず、少なくとも2つの受信回路部13についての受信時間差を用いる構成であればよい。
図5Bに示したように、検出対象が路面付近の段差等の横長物体の場合には、受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差の平均値が送信時間差と略等しくなる傾向がある。一方、図5Aに示したように、検出対象がポール等の縦長物体の場合には、受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差の平均値が送信時間差と略等しい値とならない傾向がある。よって、実施形態2の構成によっても、自車を移動させなくても探査波の照射範囲に存在する物体の種類を判定することが可能になる。
また、実施形態2の構成によれば、複数の受信回路部13についての受信時間差を平均した平均値をもとに検出対象の物体の種類を判定するので、個々の受信回路部13による誤差の影響を抑えて、より精度の高い判定を行うことが可能になる。なお、実施形態2と変形例1や変形例2とを組み合わせた構成としてもよい。
(実施形態3)
また、本発明は上述の実施形態1に限定されるものではなく、次の実施形態3も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この次の実施形態3について図面を用いて説明を行う。なお、説明の便宜上、前述の実施形態1の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施形態3の物体判定装置100は、物体種類判定部16での処理の一部が異なる点を除けば、実施形態1の物体判定装置100と同様である。
物体種類判定部16は、時間差算出部15から出力されてくる受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差をもとに、検出対象の物体の種類を仮判定する仮判定処理を行い、仮判定結果をメモリ17に蓄積する。仮判定処理では、受信時間差同士が前述した第1の所定の範囲内におさまっている場合に検出対象の物体が縦長物体と判定する一方、第1の所定の範囲内におさまっていない場合に横長物体と判定する。
また、物体種類判定部16は、前述の仮判定処理を、センサユニットRLC及びセンサユニットRRCからの探査波の送信と、この探査波の反射波の各センサユニットでの受信とを1回分とする送受信のたびに行う。なお、4つのセンサユニットのうち、探査波を送信するセンサユニットの組み合わせは、センサユニットRLCとセンサユニットRRCとの組み合わせに限らないのは言うまでもない。
さらに、物体種類判定部16は、メモリ17に蓄積した所定回数分の仮判定結果について多数決判定を行うことにより、検出対象の物体が横長物体か縦長物体かの判定を行う。具体的には、横長物体の方が多かった場合には横長物体と判定し、縦長物体の方が多かった場合には縦長物体と判定する。ここで言うところの所定回数とは、奇数の複数回数であって、任意に設定可能である。
ここで、図8のフローチャートを用いて、実施形態3の物体判定装置100での物体種類判定関連処理の流れの一例についての説明を行う。図8のフローチャートも、図2のフローチャートと同様に、例えば車両のシフト位置が後退位置となった場合に開始する構成としてもよいし、物体判定装置100の電源がオンになった場合に開始するなどの構成としてもよい。
ステップS51〜ステップS55までの処理は、前述のステップS1〜ステップS5までの処理と同様である。なお、ステップS52では、所定時間内に受信回路部13で反射波を受信した場合(ステップS52でYES)には、ステップS53に移り、所定時間内に受信回路部13で反射波を受信しなかった場合(ステップS52でNO)には、ステップS62に移る。
ステップS56では、物体種類判定部16が前述の仮判定処理を行って、仮判定結果を履歴としてメモリ17に蓄積し、ステップS57に移る。ステップS57では、メモリ17に蓄積された仮判定結果が前述の所定回数分に達した場合(ステップS57でYES)には、ステップS58に移る。一方、メモリ17に蓄積された仮判定結果が前述の所定回数分に達していない場合(ステップS57でNO)には、ステップS51に戻ってフローを繰り返す。
ステップS58では、物体種類判定部16が、メモリ17に蓄積した所定回数分の仮判定結果について多数決判定し、ステップS59に移る。ステップS59では、多数決判定の結果、縦長物体の方が多かった場合(ステップS59でYES)には、ステップS60に移る。一方、多数決判定の結果、横長物体の方が多かった場合(ステップS59でNO)には、ステップS61に移る。
ステップS60〜ステップS62までの処理は、ステップS7〜ステップS9までの処理と同様である。なお、ステップS62では、物体種類判定関連処理の終了タイミングであった場合(ステップS62でYES)には、フローを終了し、物体種類判定関連処理の終了タイミングでなかった場合(ステップS62でNO)には、メモリ17に蓄積された仮判定結果の履歴を消去し、ステップS51に戻ってフローを繰り返す。
なお、図7のフローチャートでは、受信回路部13a〜13dの4つの受信回路部13についての受信時間差を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らず、少なくとも2つの受信回路部13についての受信時間差を用いる構成であればよい。
実施形態3の構成によっても、実施形態1と同様の効果を奏する。また、実施形態3の構成によれば、複数回分の仮判定結果について多数決判定を行って、検出対象の物体の種類を判定するので、個々の受信回路部13による誤差や各仮判定処理での誤差の影響を抑えて、より精度の高い判定を行うことが可能になる。
また、実施形態3の構成と実施形態2の構成とを組み合わせる構成としてもよい。この場合には、複数の受信回路部13についての受信時間差を平均した平均値をもとに検出対象の物体の種類を仮判定した結果を所定回数分蓄積し、検出対象の物体の種類を判定することになる。なお、実施形態3と変形例1や変形例2とを組み合わせた構成としてもよい。
(実施形態4)
また、本発明は上述の実施形態1に限定されるものではなく、次の実施形態2も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この次の実施形態4について図面を用いて説明を行う。なお、説明の便宜上、前述の実施形態1の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施形態4の物体判定装置100は、物体種類判定部16での処理の一部が異なる点を除けば、実施形態1の物体判定装置100と同様である。
物体種類判定部16は、時間差算出部15から出力されてくる、受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差を履歴としてメモリ17に蓄積する受信時間差蓄積処理を行う。物体種類判定部16は、前述の受信時間差蓄積処理を、センサユニットRLC及びセンサユニットRRCからの探査波の送信と、この探査波の反射波の各センサユニットでの受信とを1回分とする送受信のたびに行う。
なお、4つのセンサユニットのうち、探査波を送信するセンサユニットの組み合わせは、センサユニットRLCとセンサユニットRRCとの組み合わせに限らないのは言うまでもない。
また、物体種類判定部16は、メモリ17に蓄積した所定回数分の受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差の平均値を算出する第2平均値算出処理を行う。一例として第2平均値算出処理では、受信回路部13aについての所定回数分の受信時間差を足し合わせた値を、その所定回数で割った相加平均値を算出する。受信回路部13b〜13dについても同様である。ここで言うところの所定回数とは、複数回数であって、任意に設定可能である。
続いて、物体種類判定部16は、受信回路部13a〜13dの各々について第2平均値算出処理で算出した受信時間差の平均値を比較する。そして、受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差の平均値同士が前述した第1の所定の範囲内におさまっており、略等しい場合には、検出対象の物体が縦長物体であると判定する。一方、受信回路部13a〜13dの各受信時間差の平均値同士が第1の所定の範囲内におさまっておらず、略等しいと言えない差異が生じている場合には、検出対象の物体が横長物体であると判定する。
ここで、図9のフローチャートを用いて、実施形態4の物体判定装置100での物体種類判定関連処理の流れの一例についての説明を行う。図9のフローチャートも、図2のフローチャートと同様に、例えば車両のシフト位置が後退位置となった場合に開始する構成としてもよいし、物体判定装置100の電源がオンになった場合に開始するなどの構成としてもよい。
ステップS71〜ステップS74までの処理は、前述のステップS1〜ステップS4までの処理と同様である。なお、ステップS72では、所定時間内に受信回路部13で反射波を受信した場合(ステップS72でYES)には、ステップS73に移り、所定時間内に受信回路部13で反射波を受信しなかった場合(ステップS72でNO)には、ステップS82に移る。
ステップS75では、物体種類判定部16が、前述の受信時間差蓄積処理を行って、ステップS76に移る。ステップS76では、メモリ17に蓄積された受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差が前述の所定回数分に達した場合(ステップS76でYES)には、ステップS77に移る。一方、メモリ17に蓄積された受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差が前述の所定回数分に達していない場合(ステップS76でNO)には、ステップS71に戻ってフローを繰り返す。
ステップS77では、物体種類判定部16が、前述の第2平均値算出処理を行って、ステップS78に移る。ステップS78では、物体種類判定部16が、受信回路部13a〜13dの各々について第2平均値算出処理で算出した受信時間差の平均値を比較し、ステップS79に移る。
ステップS79では、受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差の平均値同士が前述した第1の所定の範囲内におさまっており、略等しい場合(ステップS79でYES)には、ステップS80に移る。一方、受信回路部13a〜13dの各受信時間差の平均値同士が第1の所定の範囲内におさまっておらず、略等しいと言えない差異が生じている場合(ステップS79でNO)には、ステップS81に移る。
ステップS80〜ステップS82までの処理は、ステップS7〜ステップS9までの処理と同様である。なお、ステップS82では、物体種類判定関連処理の終了タイミングであった場合(ステップS82でYES)には、フローを終了し、物体種類判定関連処理の終了タイミングでなかった場合(ステップS82でNO)には、メモリ17に蓄積された受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差の履歴を消去し、ステップS71に戻ってフローを繰り返す。
なお、図9のフローチャートでは、受信回路部13a〜13dの4つの受信回路部13についての受信時間差を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らず、少なくとも2つの受信回路部13についての受信時間差を用いる構成であればよい。
実施形態4の構成によっても、実施形態1と同様の効果を奏する。また、実施形態4の構成によれば、複数回分の受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差を平均した平均値を用いて、検出対象の物体の種類を判定するので、送受信1回分の受信時間差における誤差の影響を抑えて、より精度の高い判定を行うことが可能になる。
また、実施形態4の構成と実施形態2の構成とを組み合わせる以下のような構成(以下、変形例3)としてもよい。変形例3では、実施形態4と同様の受信時間差蓄積処理でメモリ17に蓄積した所定回数分の受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差の平均値を算出する。一例としては、受信回路部13aについての所定回数分の受信時間差と、受信回路部13bについての所定回数分の受信時間差と、受信回路部13cについての所定回数分の受信時間差と、受信回路部13dについての所定回数分の受信時間差とを足し合わせた値を4で割った相加平均値を算出する。そして、算出した平均値を物体種類判定部16に出力する。
変形例2の物体種類判定部16は、算出した平均値が前述した第2の所定の範囲内におさまっており、送信時間差と略等しいと言える場合には、検出対象の物体が横長物体であると判定する。一方、算出した平均値が前述した第2の所定の範囲内におさまっておらず、送信時間差と略等しいと言えない場合には、検出対象の物体が縦長物体であると判定する。なお、実施形態4と変形例1や変形例2とを組み合わせた構成としてもよい。
(実施形態5)
また、本発明は上述の実施形態1に限定されるものではなく、次の実施形態5も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この次の実施形態5について図面を用いて説明を行う。なお、説明の便宜上、前述の実施形態1の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施形態5の物体判定装置100は、送信制御部14が探査波を送信させるように制御する送信回路部12の組み合わせを切り替える点、及び物体種類判定部16での処理の一部が異なる点を除けば、実施形態1の物体判定装置100と同様である。
送信制御部14は、所定の送信時間差をおいて探査波を送信するように制御する送信回路部12の組み合わせを順番に切り替える。一例として、送信制御部14は、4つの送信回路部12のうち、送信を行うように制御する2つの送信回路部12の組み合わせを順番に切り替える。
物体種類判定部16は、探査波を送信する送信回路部12の各組み合わせについて、時間差算出部15から出力されてくる受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差をもとに、実施形態3と同様の仮判定処理を行う。そして、探査波を送信する送信回路部12の各組み合わせについての仮判定結果に対して多数決判定を行うことにより、検出対象の物体が横長物体か縦長物体かの判定を行う。具体的には、横長物体の方が多かった場合には横長物体と判定し、縦長物体の方が多かった場合には縦長物体と判定する。
実施形態5の構成によっても、実施形態1と同様の効果を奏する。また、実施形態5の構成によれば、個々の受信回路部13による誤差や探査波を送信する送信回路部12の組み合わせごとの誤差や各仮判定処理での誤差の影響を抑えて、より精度の高い判定を行うことが可能になる。
また、物体種類判定部16は、探査波を送信する送信回路部12の各組み合わせについて時間差算出部15から出力されてくる受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差の平均値を算出し、算出した平均値をもとに、検出対象の物体の種類を判定する構成(以下、変形例4)としてもよい。
変形例4では、一例として物体種類判定部16は、探査波を送信する送信回路部12の全組み合わせについて、受信回路部13a〜13dの各々についての受信時間差を全て足し合わせ、足し合わせた値を組み合わせの数×4で割った相加平均値を算出する。そして、算出した平均値が前述した第2の所定の範囲内におさまっており、送信時間差と略等しいと言える場合には、検出対象の物体が横長物体であると判定する。一方、算出した平均値が前述した第2の所定の範囲内におさまっておらず、送信時間差と略等しいと言えない場合には、検出対象の物体が縦長物体であると判定する。
変形例4の構成によっても、実施形態1と同様の効果を奏する。また、変形例4の構成によれば、個々の受信回路部13による誤差や探査波を送信する送信回路部12の組み合わせごとの誤差の影響を抑えて、より精度の高い判定を行うことが可能になる。また、実施形態5や変形例4と変形例1や変形例2とを組み合わせた構成としてもよい。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。