JP6133691B2 - 太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池に関し、好適にはグレーデッドバンドギャップ構造を有する太陽電池に関する。
CIGS太陽電池またはCZTS太陽電池に代表される化合物薄膜太陽電池には、光吸収層となる化合物半導体層の材料特性による高性能化および化合物半導体層の数μmオーダーへの薄膜化による低コスト化が見込める。そのため、近年、化合物薄膜太陽電池の開発が活発に進められている。現在流通している化合物薄膜太陽電池の主な構造は、裏面電極と、p型光電変換層と、バッファ層と、高抵抗バッファ層と、透明導電膜とがこの順に積層されることにより構成されている。
図1は、CIGSにおけるGa/(In+Ga)とその禁制帯幅Egとの関係を示すグラフである。図1に示すようにCIGSにおけるGa/(In+Ga)を変更すると、そのバンドギャップエネルギーを約1.0eV〜1.7eVの範囲で変更することができる。これを利用して、光電変換層においてGa/(In+Ga)の組成が傾斜したバンドギャップ構造(グレーデッドバンドギャップ構造の一種、たとえば図3(a)に示す構造)が採用されている。光電変換層のバッファ層側にGa/(In+Ga)の大きい領域を形成することにより、空乏層近傍のバンドギャップが拡大し、開放端電圧を高くすることができる。また、光電変換層のバッファ層側から裏面電極側へ向かってGa/(In+Ga)を徐々に増加させることで、光電変換層内部に電界が生じ、キャリアが空乏層へ流れやすい方向に電界がかかり、実効的なキャリアの拡散長が増大し、短絡電流が増大する(特許文献1、非特許文献1など)。
特開2004−158556号公報
Miguel A. Contreras, et. al ‘High efficiency graded bandgap thin-film polycrystalline Cu(In,Ga)Se2-based solar cells’ Solar Energy Materials and Solar Cells Volumes 41-42, June 1996, Pages 231-246
しかしながら、従来のCIGS太陽電池のグレーデッドバンドギャップ構造では、CIGSの価電子帯上端がCu−Seのd−p混成軌道で構成されるので、価電子帯エネルギーは一定のまま伝導帯エネルギーのみが変化したバンドギャップ構造となる。そのため、従来のCIGS太陽電池のグレーデッドバンドギャップ構造では、伝導帯下端エネルギーが極小となる領域においてキャリア再結合が起こりやすい。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、グレーデッドバンドギャップ構造を有する太陽電池であって伝導帯下端エネルギーの極小点を含む極小領域においてキャリア再結合の発生が抑制された太陽電池を提供することである。
本発明に係る太陽電池は、基板と、基板上に順に設けられた第一電極、光電変換層および第二電極とを備える。光電変換層は、伝導帯下端エネルギーの極小点を含む極小領域を有する。極小領域の価電子帯上端エネルギーの少なくとも一部は、極小領域に接する領域の価電子帯上端エネルギーの最小値よりも小さい。好ましくは、光電変換層と第二電極との間にバッファ層および透明導電膜が設けられていることである。
極小領域は、たとえば、光電変換層において1つのみ形成されていることが好ましい。
極小領域のAg/(Ag+Cu)の最大値は、極小領域に接する領域のAg/(Ag+Cu)の最大値よりも大きいことが好ましい。極小領域は、AgまたはAgおよびCuと、GaおよびInの少なくとも1つと、SおよびSeの少なくとも1つとからなるカルコパイライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料を含むことが好ましい。
光電変換層は、CuおよびAgの少なくとも1つと、Al、GaおよびInの少なくとも1つと、S、SeおよびTeの少なくとも1つとからなるカルコパイライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料を含んでも良いし、Znと、Snと、CuおよびAgの少なくとも1つと、S、SeおよびTeの少なくとも1つとからなるスタナイト型結晶構造もしくはケステライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料を含んでも良い。
本発明に係る太陽電池は、基板と、前記基板上に順に設けられた第一電極、光電変換層および第二電極とを備える。光電変換層は、第1の光電変換層と、第2の光電変換層と、第3の光電変換層とを有する。第2の光電変換層は、第1の光電変換層と第3の光電変換層とに挟まれる。第2の光電変換層のGa/(In+Ga)の最小値は、第1の光電変換層および第3の光電変換層のそれぞれのGa/(In+Ga)の最小値よりも小さい。第2の光電変換層のAg/(Ag+Cu)の最大値は、第1の光電変換層および第3の光電変換層のそれぞれのAg/(Ag+Cu)の最大値よりも大きい。
本発明に係る太陽電池では、伝導帯下端エネルギーの極小点を含む極小領域におけるキャリア再結合の発生を防止することができる。
CIGSにおけるGa/(In+Ga)とその禁制帯幅Egとの関係を示すグラフである。 本発明の太陽電池の構成の一例を示す断面図である。 (a)は従来の太陽電池のグレーデッドバンドギャップ構造の一例を示すエネルギーバンド図であり、(b)は図2に示す太陽電池のグレーデッドバンドギャップ構造の一例を示すエネルギーバンド図である。 実験1の太陽電池の積層方向における再結合速度の計算結果を示す。 実験1の太陽電池の電流−電圧特性の計算結果を示す。 比較実験1の太陽電池の積層方向における再結合速度の計算結果を示す。 比較実験1の太陽電池の電流−電圧特性の計算結果を示す。 実験2の太陽電池の積層方向における再結合速度の計算結果を示す。 実験2の太陽電池の電流−電圧特性の計算結果を示す。 比較実験2の太陽電池の積層方向における再結合速度の計算結果を示す。 比較実験2の太陽電池の電流−電圧特性の計算結果を示す。 実験3の太陽電池の積層方向における再結合速度の計算結果を示す。 実験3の太陽電池の電流−電圧特性の計算結果を示す。 実験4の太陽電池の積層方向における再結合速度の計算結果を示す。 実験4の太陽電池の電流−電圧特性の計算結果を示す。 比較実験4の太陽電池の積層方向における再結合速度の計算結果を示す。 比較実験4の太陽電池の電流−電圧特性の計算結果を示す。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
<太陽電池の構成>
図2は、本発明の太陽電池の構成の一例を示す断面図である。図2に示す太陽電池10では、基板11上に、裏面電極12、光電変換層13、バッファ層14、高抵抗バッファ層15、透明導電膜16および表面電極17が順に設けられている。なお、「裏面電極12」および「表面電極17」は、それぞれ、特許請求の範囲における「第一電極」および「第二電極」に相当する。以下、太陽電池10の各構成を説明する。
<基板>
基板11は、その上に裏面電極12などを積層するための基板であり、たとえば、青板ガラスなどのガラス基板、ステンレス板などの金属基板またはポリイミド膜などの樹脂基板であることが好ましい。基板11の厚さは特に限定されない。
<裏面電極>
裏面電極12は、基板11上に設けられ、MoまたはTiなどの高耐蝕性且つ高融点の金属からなることが好ましい。裏面電極12の厚さは、200〜2000nm程度であることが好ましい。裏面電極12は、たとえば、高耐蝕性且つ高融点の金属をターゲットとしてスパッタ法などにより形成されることが好ましい。
<光電変換層>
光電変換層13は、裏面電極12上に設けられ、光吸収により電荷を生じる層である。光電変換層13は、伝導帯下端エネルギーの極小点を含む極小領域を有する。極小領域の価電子帯上端エネルギーの少なくとも一部は、極小領域に接する領域の価電子帯上端エネルギーの最小値よりも小さい。ここで、「最小値」は、最も小さい値を示す。「伝導帯下端エネルギーの極小点」は、光電変換層13の伝導帯下端エネルギーをその光電変換層13の厚さ方向に走査したとき、そのエネルギーが減少から増加に変化する点を意味する。「極小領域に接する領域」は、極小領域に接するすべての領域を意味する。「極小領域の価電子帯上端エネルギーの少なくとも一部は、極小領域に接する領域の価電子帯上端エネルギーの最小値よりも小さい」は、極小領域の価電子帯上端エネルギーの少なくとも一部が極小領域に接する領域の価電子帯上端エネルギーの最小値よりも小さければ特に制限されず、たとえば、極小領域の価電子帯上端エネルギーの少なくとも一部が極小領域に接する領域の価電子帯上端エネルギーの最小値よりも少なくとも50meV小さいことを意味する。ここで、極小領域に接する領域の価電子帯上端エネルギーは一定である。光電子分光法にしたがって、光電変換層13の価電子帯上端エネルギーを測定することができる。光吸収スペクトルにより測定したバンドギャップと上記価電子帯上端エネルギーとから、伝導帯下端エネルギーを求めることができる。
図3(a)は従来の太陽電池のグレーデッドバンドギャップ構造の一例を示すエネルギーバンド図であり、図3(b)は図2に示す太陽電池10のグレーデッドバンドギャップ構造の一例を示すエネルギーバンド図である。図3(a)において、L31は価電子帯上端エネルギーを示し、L32は伝導帯下端エネルギーを示す。図3(b)において、L33は価電子帯上端エネルギーを示し、L34は伝導帯下端エネルギーを示す。従来の太陽電池のグレーデッドバンドギャップ構造では、伝導帯下端エネルギーは極小点を有するのに対し、価電子帯上端エネルギーは表面電極側から裏面電極側にわたって一定である。そのため、価電子帯上端エネルギーと伝導帯下端エネルギーとの差は伝導帯下端エネルギーの極小点において最小となる。また、伝導帯下端エネルギーの極小点では電子密度が高い。これらのことから、伝導帯下端エネルギーの極小点においてキャリア再結合が起こり易くなる。
一方、図2に示す太陽電池10のグレーデッドバンドギャップ構造では、価電子帯上端エネルギーは表面電極17側から裏面電極12側にわたって一定ではなく、極小領域の価電子帯上端エネルギー最小値は極小領域に接する領域の価電子帯上端エネルギーの最小値よりも小さい。よって、極小領域には、ホールにとって障壁となるバンド構造が形成されている。したがって、極小領域では、電子とホールとが分離されるので、キャリア再結合の発生が抑制される。これにより、太陽電池10の光電変換効率が高くなる。極小領域は、たとえば、光電変換層13において1つのみ形成されることが好ましい。これにより、図2に示す太陽電池を容易に製造することができる。
好ましくは、極小領域のAg/(Ag+Cu)の最大値は、極小領域に接する領域のAg/(Ag+Cu)の最大値よりも大きいことである。価電子帯は、Agの4d軌道、およびCuの3d軌道により構成される。ここで、Agの4d軌道は、Cuの3d軌道よりも低エネルギー側に存在する。そのため、価電子帯のエネルギーは、極小領域の方が極小領域に接する領域よりも低くなる。よって、極小領域のAg/(Ag+Cu)の最大値が極小領域に接する領域のAg/(Ag+Cu)の最大値よりも大きければ、極小領域におけるキャリア再結合の発生をさらに防止することができる。
より好ましくは、極小領域が、AgまたはAgおよびCuと、GaおよびInの少なくとも1つと、SおよびSeの少なくとも1つとからなるカルコパイライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料を含み、極小領域に接する領域が、CuまたはCuおよびAgと、GaおよびInの少なくとも1つと、SおよびSeの少なくとも1つとからなるカルコパイライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料を含むことである。たとえば、極小領域はAgInSe2からなることが好ましく、極小領域に接する領域はCu(In1-xGax)Se2(0≦x≦1)からなることが好ましい。
光電変換層13の主成分は、高い光電変換効率が得られるという観点から、CuおよびAgの少なくとも1つと、Al、GaおよびInの少なくとも1つと、S、SeおよびTeの少なくとも1つとからなるカルコパイライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料であっても良いし、Znと、Snと、CuおよびAgの少なくとも1つと、S、SeおよびTeの少なくとも1つとからなるスタナイト型結晶構造またはケステライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料であっても良い。光電変換層13の主成分として上記カルコパイライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料、上記スタナイト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料または上記ケステライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料を用いれば、薄膜で高い光電変換効率を有する太陽電池を得ることができる。ここで、光電変換層13の主成分は、光電変換層13における含有率が50質量%以上である材料を意味する。光電変換層13における光電変換層13の主成分の含有率は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%である。これらのことを考慮して、極小領域、極小領域に接する領域およびそれら以外の領域のそれぞれの材料を選択することが好ましい。
カルコパイライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料は、たとえば、CuAlS2、CuGaS2、CuInS2、CuAlSe2、CuGaSe2、AgAlS2、AgGaS2、AgInS2、AgAlSe2、AgGaSe2、AgInSe2、AgAlTe2、AgGaTe2、AgInTe2、Cu(In,Al)Se2、Cu(In,Ga)(S,Se)2、Cu1-zIn1-xGaxSe2-yy(式中、0≦x≦1、0≦y≦2、0≦z≦1)(CIGS)、Ag(In,Ga)Se2またはAg(In,Ga)(S,Se)2などであることが好ましい。
スタナイト型結晶構造またはケステライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料は、たとえば、Cu2ZnSnS4、Cu2ZnSnSe4またはCu2ZnSn(S,Se)4などであることが好ましい。
光電変換層13の全体の厚さは特に制限されず、1〜3μm程度であることが好ましい。光電変換層13は、多元蒸着法、セレン化法またはスパッタ法などといった真空プロセスを用いて成膜するという真空成膜法により形成されても良いし、ナノ粒子塗布法、電着法または溶液法などといった真空プロセスを用いて成膜するという非真空成膜法により形成されても良い。
光電変換層13の構成の一例を以下に示す。光電変換層13は、裏面電極12上に順に設けられた第1の光電変換層、第2の光電変換層および第3の光電変換層を有している。第1および第3の光電変換層のそれぞれは、CuまたはCuおよびAgを含むことが好ましい。第1および第3の光電変換層のそれぞれは、たとえば、CuとGaおよびInの少なくとも1つとSおよびSeの少なくとも1つとからなるカルコパイライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料からなっても良いし、ZnとSnとCuとS、SeおよびTeの少なくとも1つとからなるスタナイト型結晶構造もしくはケステライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料からなっても良い。第1の光電変換層の厚さは光電変換層13の全体の厚さの50%以上であることが好ましい。
第2の光電変換層は、第1の光電変換層と第3の光電変換層とに挟まれている。第2の光電変換層のGa/(In+Ga)の最小値は、第1の光電変換層および第3の光電変換層のそれぞれのGa/(In+Ga)の最小値よりも小さい。これにより、光電変換層13のバンドギャップ構造はダブルグレーデッドバンドギャップ構造となり、よって、短絡電流および開放電圧増大という効果を得ることができる。また、第2の光電変換層のAg/(Ag+Cu)の最大値は、第1の光電変換層および第3の光電変換層のそれぞれのAg/(Ag+Cu)の最大値よりも大きい。ここで、第1の光電変換層および第3の光電変換層のそれぞれにおいて、Ag/(Ag+Cu)は一定である。これにより、キャリア再結合の発生が抑制されるので、太陽電池の光電変換効率が高くなる。ここで、「第2の光電変換層のGa/(In+Ga)の最小値が第1の光電変換層および第3の光電変換層のそれぞれのGa/(In+Ga)の最小値よりも小さい」は、第2の光電変換層のGa/(In+Ga)の最小値が第1の光電変換層および第3の光電変換層のそれぞれのGa/(In+Ga)の最小値よりも小さいことを満たしていれば特に制限されない。たとえば、第2の光電変換層のGa/(In+Ga)の最小値は、第1の光電変換層および第3の光電変換層のそれぞれのGa/(In+Ga)の最小値よりも少なくとも0.05小さいことが好ましい。また、「第2の光電変換層のAg/(Ag+Cu)の最大値が第1の光電変換層および第3の光電変換層のそれぞれのAg/(Ag+Cu)の最大値よりも大きい」は、第2の光電変換層のAg/(Ag+Cu)の最大値が第1の光電変換層および第3の光電変換層のそれぞれのAg/(Ag+Cu)の最大値よりも大きいことを満たしていれば特に制限されない。たとえば、第2の光電変換層のAg/(Ag+Cu)の最大値は、第1の光電変換層および第3の光電変換層のそれぞれのAg/(Ag+Cu)の最大値よりも少なくとも0.4大きいことが好ましい。Ga/(In+Ga)およびAg/(Ag+Cu)の測定方法としては、特に限定されないが、たとえば、二次イオン質量分析法、オージェ電子分光法またはエネルギー分散型X線分光法などが挙げられる。
第2の光電変換層は、AgまたはAgおよびCuを含むことが好ましく、より好ましくは、第2の光電変換層は、Agと、GaおよびInの少なくとも1つと、SおよびSeの少なくとも1つとを含むカルコパイライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料からなることである。第2の光電変換層のAg/(Ag+Cu)の最大値が第1の光電変換層および第3の光電変換層のそれぞれのAg/(Ag+Cu)の最大値よりも大きければ、第2の光電変換層でホールにとって障壁となるバンド構造が形成され、よって、第2の光電変換層におけるキャリア再結合の発生を防止することができる。つまり、第2の光電変換層が極小領域に相当し、第1および第3の光電変換層が極小領域に接する領域に相当する。
光電変換層13は、第1〜第3の光電変換層とは異なる光電変換層を含んでも良いし、例えば極小領域を複数含んでも良い。この場合、各極小領域のAg/(Ag+Cu)の最大値は、当該極小領域に接する領域のAg/(Ag+Cu)の最大値よりも大きいことが好ましい。
<バッファ層>
バッファ層14は、光電変換層13上に設けられ、光電変換層13と高抵抗バッファ層15との間の接合を緩衝する役割を担う。バッファ層14が形成されていれば、pnホモ接合が形成され、シャントパスの形成を防止することができる。このような効果を得るためには、光電変換層13または高抵抗バッファ層15とバッファ層14とのバンドラインナップなどを考慮してバッファ層14の材料を選択することが好ましい。たとえば、バッファ層14の材料としては、Zn(S,O,OH)系、In(S,O,OH)系、CdS、ZnMgO、ZnO、ZnSe、In23またはZnInSe2などが挙げられる。バッファ層14の厚さは、特に限定されず、たとえば20nm以上200nm以下であることが好ましい。バッファ層14は、たとえば、溶液成長法、真空蒸着法、スパッタ法、原子層堆積法、イオン層ガス反応法または有機金属気相成長法などといった方法により形成されることが好ましい。
<高抵抗バッファ層>
高抵抗バッファ層15は、バッファ層14上に設けられ、バッファ層14よりも高抵抗であり、光電変換層13とバッファ層14との界面におけるシャントパスの形成を防止する役割がある。これは、バッファ層14を溶液成長法により形成した場合、形成されたバッファ層14には厚さが局所的に薄い部分が存在し、その部分においてシャントパスが形成されるおそれがあるからである。高抵抗バッファ層15の材料としては、たとえば、ZnOなどが挙げられる。高抵抗バッファ層15の厚さは、特に限定されず、たとえば10nm以上200nm以下であることが好ましい。高抵抗バッファ層15は、たとえば、溶液成長法、真空蒸着法、スパッタ法、原子層堆積法、イオン層ガス反応法または有機金属気相成長法などといった方法により形成されることが好ましい。
<透明導電膜>
透明導電膜16は、高抵抗バッファ層15上に設けられ、光を取り込むと共に、裏面電極12と対になって光電変換層13で生成されたキャリアが流れる電極として機能する。そのため、透明導電膜16を構成する材料は、光透過性且つ導電性を有していれば特に制限されない。たとえば、透明導電膜16は、III族元素がドーパントとして添加された酸化亜鉛膜であることが好ましく、より好ましくは、Al23−ZnOなどのターゲットを用いてスパッタ法により形成されたものである。ここで、ドーパントとしてのIII族元素としては、たとえば、B、Al、GaまたはInなどを用いることができる。
<表面電極>
表面電極17は透明導電膜16上に設けられ、その構成は特に限定されない。表面電極17の材料は、導電性を有する材料であれば特に限定されず、たとえばAlまたはAgからなることが好ましい。表面電極17は、たとえば、Al金属またはAg金属をターゲットとする抵抗加熱もしくは電子ビームなどの真空蒸着法、スパッタリング法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、または、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などにより形成されても良いし、アルミニウム粉末または銀粉末などを含んだ導電性ペーストを塗布(スクリーン印刷)してから焼成することにより形成されても良い。表面電極17のパターニングには、たとえば、フォトプロセスを用いたエッチング法、リフトオフ法、または、メタルマスクを用いて堆積させる方法などの既存の手法を用いることができる。
表面電極17は、Ti/Pd/Agの順に積層されてなる電極であって真空蒸着法などにより形成されたものであっても良い。表面電極17は、III族元素がドーパントとして添加された酸化亜鉛膜であっても良く、好ましくは、Al23−ZnOなどのターゲットを用いてスパッタ法により形成されたものである。ドーパントとしてのIII族元素としては、たとえば、B、Al、GaまたはInなどを用いることができる。透明導電膜16もIII族元素がドーパントとして添加された酸化亜鉛膜である場合には、表面電極17側の酸化亜鉛膜のキャリア密度は相対的に高い方が好ましい。
表面電極17は、キャリア濃度の高い高抵抗バッファ層15の上面全体に形成されたITOからなる透明電極であっても良い。このような構成の表面電極17は、In23−SnO2をターゲットとするスパッタ法により形成されることが好ましい。
表面電極17は、透明電極と金属電極とが積層されてなる電極であっても良い。表面電極17は設けられていなくても良く、別の言い方をすると本発明の太陽電池は受光面に電極を持たない裏面電極型構造(バックコンタクト構造)からなっても良い。
以上、本発明の太陽電池の一例として図2に示す太陽電池10を例に挙げて示したが、本発明の太陽電池は図2に示す構成に限定されない。たとえば、本発明の太陽電池は、表面電極17を備えていなくても良い。また、本発明の太陽電池は、必要に応じて、カバーガラス、保護フィルム、反射防止膜および封止膜などの少なくとも1つを備えていても良い。ここで、反射防止膜はMgF2またはAl23などからなることが好ましく、封止膜はEVA(Ethylene-Vinyl Acetate、エチレンビニルアセテート)樹脂またはエポキシ樹脂などからなることが好ましい。
また、図2に示す太陽電池10において、基板11、裏面電極12、バッファ層14、高抵抗バッファ層15、透明導電膜16および表面電極17の各材料は上記材料に限定されない。
また、本発明の光電変換層は、単接合セルだけでなく多接合型太陽電池にも適用可能である。単接合セルとは、図2に示す太陽電池10などのように光電変換層を1層備えた太陽電池である。多接合型太陽電池とは、光電変換層を2層以上備えた太陽電池である。
<製造方法>
以下に示す方法にしたがって図2に示す太陽電池10を製造することができる。まず、たとえばスパッタ法などにより、基板11上に裏面電極12を形成する。次に、裏面電極12上に光電変換層13を形成する。光電変換層13は、たとえば、多元蒸着法、セレン化法またはスパッタ法などといった真空プロセスを用いて成膜するという真空成膜法により形成されても良いし、ナノ粒子塗布法、電着法または溶液法などといった真空プロセスを用いて成膜するという非真空成膜法により形成されても良い。
真空成膜法により光電変換層13を形成する場合、たとえばCu、Ag、In、GaまたはSeなどの材料源を用いる。裏面電極12が形成された基板11を500℃程度以上に加熱し、その基板に上記材料源を適当に組合せて同時に蒸着させる。これにより、光電変換層13が形成される。ここで、極小領域は、その価電子帯上端エネルギーの少なくとも一部が極小領域に接する領域の価電子帯上端エネルギーの最小値よりも小さくなるように形成されることが好ましい。たとえば、Agを含むように材料源を適当に組み合わせ、それらの材料源を同時に蒸着させることにより、極小領域を形成することが好ましい。
非真空成膜法により光電変換層13を形成する場合、たとえば、異なる組成のナノ粒子を含む溶液の塗布工程と焼結工程とを繰り返し行えば良い。
続いて、光電変換層13上に、バッファ層14、高抵抗バッファ層15および透明導電膜16を順次形成する。バッファ層14は、たとえば溶液成長法などにより形成されることが好ましい。また、高抵抗バッファ層15および透明導電膜16のそれぞれは、たとえばスパッタ法などにより形成されることが好ましい。透明導電膜16を形成した後、たとえば真空蒸着法などにより透明導電膜16上に表面電極17を形成する。このようにして、図2に示す太陽電池10が製造される。
なお、裏面電極12、光電変換層13、バッファ層14、高抵抗バッファ層15、透明導電膜16および表面電極17の各形成方法は、上記方法に限定されず、液相での形成方法であっても良いし、気相での形成方法であっても良い。各形成方法は、各層の形成に適する方法であれば、いかなる方法であっても良い。
図2に示す太陽電池10は、基板11と、基板11上に順に設けられた第一電極12、光電変換層13および第二電極17とを備える。光電変換層13は、伝導帯下端エネルギーの極小点を含む極小領域を有する。極小領域の価電子帯上端エネルギーの少なくとも一部は、極小領域に接する領域の価電子帯上端エネルギーの最小値よりも小さい。これにより、極小領域には、ホールにとって障壁となるバンド構造が形成されている。よって、極小領域では、電子とホールとが分離されるので、キャリア再結合の発生が抑制される。したがって、太陽電池10の光電変換効率が高くなる。
極小領域は、たとえば、光電変換層において1つのみ形成されていることが好ましい。これにより、本発明に係る太陽電池を容易に製造することができる。
極小領域は、AgまたはAgおよびCuを含むことが好ましく、たとえば、Agと、GaおよびInの少なくとも1つと、SおよびSeの少なくとも1つとからなるカルコパイライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料を含むことが好ましい。一方、極小領域に接する領域は、CuまたはCuおよびAgを含むことが好ましい。極小領域のAg/(Ag+Cu)の最大値が極小領域に接する領域のAg/(Ag+Cu)の最大値よりも大きい場合には、極小領域の価電子帯上端エネルギーの少なくとも一部が極小領域に接する領域の価電子帯上端エネルギーの最小値よりもさらに小さくなり、よって、極小領域におけるキャリア再結合の発生をさらに防止することができる。
光電変換層13は、CuおよびAgの少なくとも1つと、Al、GaおよびInの少なくとも1つと、S、SeおよびTeの少なくとも1つとからなるカルコパイライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料を含んでも良いし、Znと、Snと、CuおよびAgの少なくとも1つと、S、SeおよびTeの少なくとも1つとからなるスタナイト型結晶構造もしくはケステライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料を含んでも良い。
光電変換層13と第二電極17との間には、バッファ層14および透明導電膜16が設けられていることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下に示す実施例では、1次元デバイスシミュレータを用いて、太陽電池の特性評価を行った。具体的には、デバイスにAM1.5の基準太陽光を照射させて、キャリアの再結合速度を計算した。太陽電池の性能を評価するため、電流−電圧曲線を描き、電流−電圧曲線から短絡電流密度、開放電圧、曲線因子および光電変換効率を計算した。裏面電極上に順に設けられた第1の光電変換層、第2の光電変換層および第3の光電変換層からなる光電変換層を考えた場合、光電変換層のバンドギャップ構造であるグレーデッドバンドギャップ構造が奏する効果は、第1の光電変換層、第2の光電変換層および第3の光電変換層のそれぞれの伝導帯下端エネルギーの極小点に大きく影響される。よって、以下に示す実験では、各層の材料組成を一定と仮定し、各層の伝導帯下端エネルギーが極小点となるときの組成を用いて計算を行った。
[実験1]
実験1では、光電変換層と、CdSからなるバッファ層と、ZnOからなる透明導電膜との積層構造に対して、1次元デバイスシミュレータを用いてシミュレーションを行った。光電変換層とバッファ層との間にCu欠損層(OVC:Ordered Vacancy Compound)が形成されていることを考慮してシミュレーションを行った。光電変換層は、ZnOからなる透明導電膜側から、厚さが400nmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.15)膜と、厚さが40nmのAgInSe2膜と、厚さが2.8μmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.20)膜とが積層されてなる構造であるとした。電子親和力は、CuIn1-xGaxSe2(x=0.15)を4.28eVとし、AgInSe2を4.35eVとし、CuIn1-xGaxSe2(x=0.20)を4.26eVとした。バンドギャップエネルギーは、CuIn1-xGaxSe2(x=0.15)を1.08eV、AgInSe2を1.24eVとし、CuIn1-xGaxSe2(x=0.20)を1.10eVとした。
図4には、実験1の太陽電池の積層方向における再結合速度の計算結果を示す。図4のグラフの横軸にはZnO膜の入射面側からの距離をとり、その縦軸には再結合速度をとっている。実験1の光電変換層では、厚さが400nmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.15)膜と厚さが2.8μmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.20)膜との境界近傍が極小領域となるが、その極小領域では極小領域に接する領域よりも再結合速度が遅かった。このことは、極小領域付近がホールにとって障壁となっていることを示している。なお、図4などにおける「OVC」はCu欠陥層を意味する。
図5には、実験1の太陽電池の電流−電圧特性の計算結果を示す。短絡電流密度は38.26mA/cm2であり、開放電圧は643.5mVであり、曲線因子は74.94%であり、光電変換効率は18.45%であった。
[比較実験1]
比較実験1では、実験1における厚さが40nmのAgInSe2膜を厚さが40nmのCuInSe2膜に置き換えたこと以外は実験1と同じとした。光電変換層は、ZnOからなる透明導電膜側から、厚さが400nmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.15)膜と、厚さが40nmのCuInSe2膜と、厚さが2.8μmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.20)膜とが積層されてなる構造であるとした。電子親和力は、CuIn1-xGaxSe2(x=0.15)を4.28eVとし、CuInSe2を4.35eVとし、CuIn1-xGaxSe2(x=0.20)を4.26eVとした。バンドギャップエネルギーは、CuIn1-xGaxSe2(x=0.15)を1.08eVとし、CuInSe2を1.01eVとし、CuIn1-xGaxSe2(x=0.20)を1.10eVとした。
図6には、比較実験1の太陽電池の積層方向における再結合速度の計算結果を示す。図6のグラフの横軸にはZnO膜の入射面側からの距離をとし、その縦軸には再結合速度をとっている。比較実験1の光電変換層では、厚さが400nmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.15)膜と厚さが2.8μmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.20)膜との境界近傍が極小領域となるが、その極小領域では再結合速度が著しく速かった。
図7には、比較実験1の太陽電池の電流−電圧特性の計算結果を示す。短絡電流密度は37.98mA/cm2であり、開放電圧は636.9mVであり、曲線因子は74.87%であり、光電変換効率は18.11%であった。
[実験2]
実験2では、光電変換層を構成する、材料組成の異なる各層の厚さを変更したことを除いては実験1と同様の方法にしたがって、シミュレーションを行った。実験1と同様、光電変換層とバッファ層との間にCu欠損層が形成されていることを考慮してシミュレーションを行った。光電変換層は、ZnOからなる透明導電膜側から、厚さが400nmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.15)膜と、厚さが240nmのAgInSe2膜と、厚さが2.6μmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.20)膜とが積層されてなる構造とした。光電変換層のトータルの厚さは実験1と同じとした。電子親和力は、CuIn1-xGaxSe2(x=0.15)を4.28eVとし、AgInSe2を4.35eVとし、CuIn1-xGaxSe2(x=0.20)を4.26eVとした。バンドギャップエネルギーは、CuIn1-xGaxSe2(x=0.15)を1.08eVとし、AgInSe2を1.24eVとし、CuIn1-xGaxSe2(x=0.20)を1.10eVとした。
図8には、実験2の太陽電池の積層方向における再結合速度の計算結果を示す。図8のグラフの横軸にはZnO膜の入射面側からの距離を示し、その縦軸には再結合速度をとっている。実験2の光電変換層では、厚さが400nmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.15)膜と厚さが2.6μmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.20)膜との境界近傍が極小領域となるが、その極小領域では極小領域に接する領域よりも再結合速度が遅かった。このことは、極小領域付近がホールにとって障壁となっていることを示している。
図9には、実験2の太陽電池の電流−電圧特性の計算結果を示す。短絡電流密度は37.01mA/cm2であり、開放電圧は653.4mVであり、曲線因子は74.82%であり、光電変換効率は18.09%であった。
[比較実験2]
比較実験2では、実験2における厚さが240nmのAgInSe2膜を厚さが240nmのCuInSe2膜に置き換えたこと以外は実験2と同じとした。光電変換層は、ZnOからなる透明導電膜側から、厚さが400nmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.15)膜と、厚さが240nmのCuInSe2膜と、厚さが2.6μmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.20)膜とが積層されてなる構造とした。電子親和力は、CuIn1-xGaxSe2(x=0.15)を4.28eVとし、CuInSe2を4.35eVとし、CuIn1-xGaxSe2(x=0.20)を4.26eVとした。バンドギャップエネルギーは、CuIn1-xGaxSe2(x=0.15)を1.08eV、CuInSe2を1.01eVとし、CuIn1-xGaxSe2(x=0.20)を1.10eVとした。
図10には、比較実験2の太陽電池の積層方向における再結合速度の計算結果を示す。図10のグラフの横軸にはZnO膜の入射面側からの距離をとし、その縦軸には再結合速度をとっている。比較実験2の光電変換層では、厚さが400nmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.15)膜と厚さが2.6μmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.20)膜との境界近傍が極小領域となるが、その極小領域では再結合速度が著しく速かった。
図11には、比較実験2の太陽電池の電流−電圧特性の計算結果を示す。短絡電流密度は36.81mA/cm2であり、開放電圧は621.3mVであり、曲線因子は73.57%であり、光電変換効率は16.83%であった。
[実験3]
実験3では、光電変換層における極小領域の材料組成をAgCuInSe2(Cuの一部をAgに置換)に変更したこと以外は実験1と同様の方法にしたがって、シミュレーションを行った。実験1、2と同様、光電変換層とバッファ層との間にCu欠損層が形成されていることを考慮してシミュレーションを行った。光電変換層は、ZnOからなる透明導電膜側から、厚さが400nmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.15)膜と、厚さが40nmのAgyCu(1-y)InSe2膜(y=0.75)と、厚さが2.8μmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.20)膜とが積層されてなる構造とした。光電変換層のトータルの膜厚は実験1、2と同じとした。電子親和力は、CuIn1-xGaxSe2(x=0.15)を4.28eVとし、AgCuInSe2を4.35eVとし、CuIn1-xGaxSe2(x=0.20)を4.26eVとした。バンドギャップエネルギーは、CuIn1-xGaxSe2(x=0.15)を1.08eVとし、AgCuInSe2を1.15eVとし、CuIn1-xGaxSe2(x=0.20)を1.10eVとした。
図12には、実験3の太陽電池の積層方向における再結合速度の計算結果を示す。図12のグラフの横軸にはZnO膜の入射面側からの距離を示し、その縦軸には再結合速度をとっている。実験3の光電変換層では、厚さが400nmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.15)膜と厚さが2.8μmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.20)膜との境界近傍が極小領域となるが、その極小領域では極小領域に接する領域よりも再結合速度が遅かった。このことは、極小領域付近がホールにとって障壁となっていることを示している。
図13には、実験3の太陽電池の電流−電圧特性の計算結果を示す。短絡電流密度は38.06mA/cm2であり、開放電圧は643.5mVであり、曲線因子は74.89%であり、光電変換効率は18.34%であった。
[比較実験3]
比較実験3では、実験3における厚さが40nmのAgCuInSe2膜を厚さが40nmのCuInSe2膜に置き換えたこと以外は実験3と同じとした。太陽電池の積層方向における再結合速度の計算結果および太陽電池の電流−電圧特性の計算結果はそれぞれ比較実験1と同様であった。
[実験4]
実験4では、光電変換層における極小領域とCu欠損層との距離が異なったことを除いては実験1と同様の方法にしたがって、シミュレーションを行った。実験1〜3と同様、光電変換層とバッファ層との間にCu欠損層が形成されていることを考慮してシミュレーションを行った。光電変換層は、ZnOからなる透明導電膜側から、厚さが600nmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.15)膜と、厚さが40nmのAgInSe2膜と、厚さが2.6μmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.20)膜とが積層されてなる構造とした。光電変換層のトータルの厚さは実験1〜3と同じとした。電子親和力は、CuIn1-xGaxSe2(x=0.15)を4.28eVとし、AgInSe2を4.35eVとし、CuIn1-xGaxSe2(x=0.20)を4.26eVとした。バンドギャップエネルギーは、CuIn1-xGaxSe2(x=0.15)を1.08eVとし、AgInSe2を1.24eVとし、CuIn1-xGaxSe2(x=0.20)を1.10eVとした。
図14には、実験4の太陽電池の積層方向における再結合速度の計算結果を示す。図14のグラフの横軸にはZnO膜の入射面側からの距離を示し、その縦軸には再結合速度をとっている。実験4の光電変換層では、厚さが600nmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.15)膜と厚さが2.6μmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.20)膜との境界近傍が極小領域となるが、その極小領域では極小領域に接する領域よりも再結合速度が遅かった。このことは、極小領域付近がホールにとって障壁となっていることを示している。
図15には、実験4の太陽電池の電流−電圧特性の計算結果を示す。短絡電流密度は38.5mA/cm2であり、開放電圧は641mVであり、曲線因子は74.72%であり、光電変換効率は18.44%であった。
[比較実験4]
比較実験4では、実験4における厚さが40nmのAgInSe2膜を厚さが40nmのCuInSe2膜に置き換えたこと以外は実験4と同じとした。光電変換層は、ZnOからなる透明導電膜側から、厚さが600nmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.15)膜と、厚さが40nmのCuInSe2膜と、厚さが2.6μmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.20)膜とが積層されてなる構造とした。電子親和力は、CuIn1-xGaxSe2(x=0.15)を4.28eVとし、CuInSe2を4.35eVとし、CuIn1-xGaxSe2(x=0.20)を4.26eVとした。バンドギャップエネルギーは、CuIn1-xGaxSe2(x=0.15)を1.08eVとし、CuInSe2を1.01eVとし、CuIn1-xGaxSe2(x=0.20)を1.10eVとした。
図16には、比較実験4の太陽電池の積層方向における再結合速度の計算結果を示す。図16のグラフの横軸にはZnO膜の入射面側からの距離をとし、その縦軸には再結合速度をとっている。比較実験4の光電変換層では、厚さが600nmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.15)膜と厚さが2.6μmのCuIn1-xGaxSe2(x=0.20)膜との境界近傍が極小領域となるが、その極小領域では再結合速度が著しく速かった。
図17には、比較実験4の太陽電池の電流−電圧特性の計算結果を示す。短絡電流密度は37.93mA/cm2であり、開放電圧は636.1mVであり、曲線因子は74.96%であり、光電変換効率は18.09%であった。
実験1〜4の太陽電池の光電変換効率は、それぞれ、比較実験1〜4の太陽電池の光電変換効率よりも高かった。その理由として次に示すことが考えられる。実験1〜4の太陽電池では、極小領域の価電子帯上端エネルギーの少なくとも一部は、極小領域に接する領域の価電子帯上端エネルギーの最小値よりも小さい。よって、極小領域がホールにとって障壁となり、その結果、キャリア再結合が抑制される。一方、比較実験1〜4の太陽電池では、光電変換層の価電子帯上端エネルギーは、その厚さ方向にわたって一定である。よって、極小領域においてキャリア再結合が抑制されない。その上、実験1〜4の太陽電池では、比較実験1〜4の太陽電池に比べて、極小領域に接する入射面側の領域におけるキャリア再結合も抑制されている。
実験2で示したように、極小領域の厚さに関係なく本発明の効果は発揮される。実験3で示したように、極小領域を構成する材料がCuを含むAgCuInSe2であっても本発明の効果は発揮される。実験4で示したように、光電変換層における極小領域とCu欠損層との距離に関係なく本発明の効果は発揮される。
実験1〜4の光電変換層を用いて光センサー(フォトダイオード)を提供することもできる。一般に、光センサーでは、光励起されたキャリアが高効率で取り出されることが望ましく、これにより、高い量子効率および高感度が可能となる。上記実験1〜4で述べたグレーデッドバンドギャップ構造を有する光電変換層を利用すれば、光励起されたキャリアを高効率で取り出すことが可能になる。つまり、光センサーに設けられる光電変換層においても、光電変換層は、伝導帯下端エネルギーの極小点を含む極小領域を有することが好ましく、極小領域の価電子帯上端エネルギーの少なくとも一部は、極小領域に接する領域の価電子帯上端エネルギーの最小値よりも小さいことが好ましい。
10 太陽電池、11 基板、12 裏面電極、13 光電変換層、14 バッファ層、15 高抵抗バッファ層、16 透明導電膜、17 表面電極。

Claims (3)

  1. 基板と、前記基板上に順に設けられた第一電極、光電変換層および第二電極とを備えた太陽電池であって、
    前記光電変換層は、伝導帯下端エネルギーの極小点を含む極小領域を有し、
    前記極小領域の価電子帯上端エネルギーの少なくとも一部は、前記極小領域に接する領域の価電子帯上端エネルギーの最小値よりも小さく、
    前記光電変換層は、CuおよびAgの少なくとも1つと、Al、GaおよびInの少なくとも1つと、S、SeおよびTeの少なくとも1つとからなるカルコパイライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料を含み、
    前記極小領域は、AgまたはAgおよびCuと、GaおよびInの少なくとも1つと、SおよびSeの少なくとも1つとからなるカルコパイライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料を含み、
    前記極小領域に接する領域は、CuまたはCuおよびAgと、GaおよびInの少なくとも1つと、SおよびSeの少なくとも1つとからなるカルコパイライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料を含む、太陽電池。
  2. 前記極小領域のAg/(Ag+Cu)の最大値は、前記極小領域に接する領域のAg/(Ag+Cu)の最大値よりも大きい請求項1に記載の太陽電池。
  3. 基板と、前記基板上に順に設けられた第一電極、光電変換層および第二電極とを備えた太陽電池であって、
    前記光電変換層は、第1の光電変換層と、第2の光電変換層と、第3の光電変換層とを有し、
    前記第2の光電変換層は、AgまたはAgおよびCuと、GaおよびInの少なくとも1つと、SおよびSeの少なくとも1つとからなるカルコパイライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料を含み、
    前記第1の光電変換層、および、前記第3の光電変換層は、CuまたはCuおよびAgと、GaおよびInの少なくとも1つと、SおよびSeの少なくとも1つとからなるカルコパイライト型結晶構造を有するp型化合物半導体材料を含み、
    前記第2の光電変換層は、前記第1の光電変換層と前記第3の光電変換層とに挟まれ、 前記第2の光電変換層のGa/(In+Ga)の最小値は、前記第1の光電変換層および前記第3の光電変換層のそれぞれのGa/(In+Ga)の最小値よりも小さく、
    前記第2の光電変換層のAg/(Ag+Cu)の最大値は、前記第1の光電変換層および前記第3の光電変換層のそれぞれのAg/(Ag+Cu)の最大値よりも大きい太陽電池。
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