JP6133662B2 - 鞍乗型車両のユニットスイングエンジンの懸架構造 - Google Patents

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本発明は、自動二輪車などの鞍乗り型車両のユニットスイングエンジンの懸架構造に関する。
従来より、車体フレームと、車体フレームに設けられる左右に一対のピボット部と、車体フレームに揺動自在に設けられるユニットスイングエンジンと、一対のピボット部に回動可能に軸支されると共にユニットスイングエンジンに回動可能に軸支されるリンク部材と、を備えるユニットスイングエンジンの懸架構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のユニットスイングエンジンの懸架構造においては、リンク部材は、一対の腕部と、一対の腕部同士を車幅方向に連結する連結部と、を有する。一対の腕部の車体フレーム側は、リンク部材における車体フレーム側の軸支部であり、一対のピボット部に軸支されている。一対の腕部のユニットスイングエンジン側は、連結部により車幅方向に連結されている。連結部は、エンジン側の軸支部に接続されており、エンジン側の軸支部を介して、ユニットスイングエンジンのボス部に軸支されている。
特開2004−276643号公報
特許文献1に記載の技術においては、リンク部材の連結部は、エンジン側の軸支部を介して、ボス部の車幅方向の外側において軸支されている。連結部は、ユニットスイングエンジンの下方側において、車幅方向に亘っており、車幅方向において一対のボス部の外側まで延びている。そのため、ユニットスイングエンジンの下方側において、部材等を配置スペースが減少して、車両のコンパクト化が困難となる。
本発明は、車両のコンパクト化が可能なユニットスイングエンジンの懸架構造を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、車体フレームと、前記車体フレームに設けられる左右に一対のピボット部と、前記車体フレームに揺動自在に設けられるユニットスイングエンジンと、前記ユニットスイングエンジンの下部に設けられる左右に一対のボス部と、前記ピボット部に回動可能に軸支されると共に前記ボス部に回動可能に軸支されるリンク部材と、を備える鞍乗型車両のユニットスイングエンジンの懸架構造において、前記リンク部材は、前記一対のボス部の間に配置される揺動軸部材と、前記揺動軸部材から前記ピボット部側に延出する左右に一対の腕部材と、を有し、前記腕部材は、前端側に前記ピボット部の軸支部であるピボット側軸支部を有し、前記揺動軸部材の前記ピボット部側の面の少なくとも一部は、外方に露出されることを特徴とする。
請求項2に記載の発明においては、前記ユニットスイングエンジンは、シリンダヘッドを有し、前記懸架構造は、前記シリンダヘッドの下部に接続される排気管を更に備え、前記排気管は、平面視で前記揺動軸部材と前記一対の腕部材との間の領域に設けられることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記リンク部材の揺動を規制する規制部を備え、前記ボス部は、前記リンク部材に対して前記ユニットスイングエンジンの主な揺動中心として機能し、前記排気管は、前記リンク部材における前記ピボット部側の回転軸の軸線上に設けられることを特徴とする。
請求項4に記載の発明においては、前記車体フレームは、前部に設けられると共に前輪を操舵可能に軸支するヘッドパイプと、前記ヘッドパイプから後方かつ下方に延出する下方延出部と、前記下方延出部の下部から後方に延出するフロア部と、前記フロア部の後部から上方かつ後方に延出するシートレール部と、前記フロア部と前記シートレール部との境界に設けられる屈曲部と、前記屈曲部の前方に設けられると共に後方かつ下方に延出するU字状のクロスメンバと、を有し、前記ピボット部は、前記屈曲部から下方に延出するピボットプレートを構成し、前記クロスメンバは、前記ピボット側軸支部の内側から前記リンク部材を支持することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、前記リンク部材の揺動を規制する規制部を備え、前記規制部は、前記一対のピボット部の一方側に形成されることを特徴とする。
請求項6に記載の発明においては、前記規制部は、前記リンク部材の前記ピボット側軸支部の前方に向けて延びる延出部と、前記延出部に設けられる弾性部材と、前記ピボット部に設けられる筒状部と、を有し、前記弾性部材が前記筒状部に挿入されることにより構成されることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、前記一対のピボット部を連結するクロスメンバを備え、前記筒状部は、前記クロスメンバと前記ピボット部とに連結されることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、リンク部材は、一対のボス部の車幅方向の内側に配置される。これにより、リンク部材を一対のボス部の車幅方向の外側に配置しなくてもよい。従って、ユニットスイングエンジンの懸架構造のコンパクト化を図ることができる。また、揺動軸部材のピボット部側の面の少なくとも一部は、外方に露出される。そのため、リンク部材のピボット部側の面側に空間を創出することができ、部材の配置の自由度を向上させることができる。従って、車両のコンパクト化を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、揺動軸部材と一対の腕部材との間の領域に排気管を通すことができるため、排気管の屈曲率を小さくすることができる。これにより、エンジンの出力や運動特性を向上させつつ、車両のコンパクト化を図ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、リンク部材の揺動が規制部により規制されるため、リンク部材における揺動軸部材と一対の腕部材との間の領域を確保することができる。また、ピボット部の回動中心となるピボット部側の回転軸の軸線上に排気管が設けられるため、リンク部材から排気管までの距離(リンク部材と排気管との間の空間)を大きくすることができる。
請求項4に記載の発明によれば、ピボット部を薄肉の板状に形成しても、クロスメンバによりピボット部の剛性を向上できる。また、一対のピボット部を、車幅方向の外側に、より離間させることができる。そのため、リンク部材のねじりに対する剛性を向上できる。
請求項5に記載の発明によれば、規制部を配置するスペースを一方側のピボット部にのみ設けることができるため、ユニットスイングエンジンの懸架構造のコンパクト化を図ることができる。
請求項6に記載の発明によれば、規制部の剛性を向上させつつ、ユニットスイングエンジンの懸架構造のコンパクト化を図ることができる。
請求項7に記載の発明によれば、筒状部の剛性を向上できるため、規制部の剛性を向上できる。
本発明の実施形態に係る鞍乗り型車両としての自動二輪車1を示す左側面図である。 自動二輪車1のユニットスイングエンジン40の懸架構造4を示す図である。 自動二輪車1のユニットスイングエンジン40の懸架構造4について車両の下方側から視た斜視図である。 自動二輪車1のユニットスイングエンジン40の懸架構造4について車両の下方側から視た平面図である。 自動二輪車1のユニットスイングエンジン40の懸架構造4についてリンク機構5を示す斜視図である。 自動二輪車1のユニットスイングエンジン40の懸架構造4についてリンク部材51を示す斜視図である。 自動二輪車1のユニットスイングエンジン40の懸架構造4について規制部57を前方側から視た斜視図である。 自動二輪車1のユニットスイングエンジン40の懸架構造4について規制部57の構造を示す縦断面図である。
以下、本発明に係る鞍乗型車両を、スクータ型の自動二輪車に適用した場合の実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、図1を参照しながら、本実施形態の自動二輪車1の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る鞍乗型車両としての自動二輪車を示す左側面図である。
以下の説明において、前後、左右及び上下の方向の記載は、特に明記がない限り、自動二輪車に乗車する乗員(運転者)から見た方向に従う。また、図中、矢印FRは車両の前方(進行方向)を示し、矢印UPは車両の上方を示し、矢印LHは車両の進行方向から見て左方を示す。
図1に示すように、本実施形態の自動二輪車1は、車体フレーム10等の車体と、前輪WFと、前輪WFの上方に配置されるフロントフェンダ29と、後輪WRと、後輪WRを後端側で軸支するユニットスイングエンジン40と、ユニットスイングエンジン40と車体フレーム10との間に介在するリンク機構5と、車両の後方でユニットスイングエンジン40と車体フレーム10との間に介在するリアクッション26と、乗員が着座するシート27と、車両の各部を覆うカバー部材6と、燃料タンク28と、を主体として構成される。
車体フレーム10は、複数種の鋼材が溶接により一体的に結合されて構成される。車体フレーム10は、ヘッドパイプ11と、下方延出部としてのダウンフレーム12と、フロア部としてのフロアフレーム13と、シートレール部としてのシートレール14と、複数のクロスメンバ(前側クロスパイプ16及び後側クロスパイプ17等)と、を含んで構成される。
ヘッドパイプ11は、車体フレーム10の前部に設けられると共に、前輪WFを操舵可能に軸支する。
ダウンフレーム12は、ヘッドパイプ11から後方かつ下方に延出する。ダウンフレーム12は、前端部においてヘッドパイプ11に連結されている。ダウンフレーム12の後端部側は、斜め下後方に向けて延びている。
フロアフレーム13は、左右に一対設けられている。一対のフロアフレーム13は、ダウンフレームの下部から後方に延出する。一対のフロアフレーム13の前端部は、ダウンフレーム12の下部に連結されている。一対のフロアフレーム13は、一対のダウンフレーム12から後方に向けて延びている。
シートレール14は、左右に一対設けられている。一対のシートレール14は、シート27の下方に設けられる。一対のシートレール14は、一対のフロアフレーム13の後部から上方かつ後方に延出する。一対のシートレール14の前端部は、一対のフロアフレーム13に連結されている。一対のシートレール14の後端部は、斜め上後方に向けて延びている。
フロアフレーム13とシートレール14との境界には、屈曲部18が設けられる。屈曲部18には、屈曲部18から下方に延出するピボット部としてのピボットプレート19が設けられている。ピボットプレート19は、左右に一対設けられる。ピボットプレート19は、屈曲部18に接合されている。
クロスメンバは、左右方向に延びるパイプ部材からなり、一対のフロアフレーム13、一対のシートレール14を左右方向に連結する。クロスメンバは、前側クロスパイプ16と、後側クロスパイプ17と、を含む。
前側クロスパイプ16及び後側クロスパイプ17は、一対のフロアフレーム13を左右方向に連結する。前側クロスパイプ16及び後側クロスパイプ17は、車両の左右方向に延びている。前側クロスパイプ16及び後側クロスパイプ17は、車両の前後に所定距離離間して設けられる。前側クロスパイプ16は、一対のフロアフレーム13の前側の前部同士を連結する。後側クロスパイプ17は、一対のフロアフレーム13の後側の後部同士を連結する。
前輪WFは、左右一対のフロントフォーク22により、軸支されている。一対のフロントフォーク22の上部において、ヘッドパイプ11には、ステアリングステム21が挿通されている。ステアリングステム21は、トップブリッジ24及びボトムブリッジ23に連結されている。ステアリングステム21は、一対のフロントフォーク22を、ボトムブリッジ23を介してヘッドパイプ11に対して左右に回動自在に支持する。トップブリッジ24上に設けられたハンドル25は、前輪WFを操舵可能である。
ユニットスイングエンジン40は、車体フレーム10に揺動可能に支持されている。ユニットスイングエンジン40は、前部側において、後述するリンク機構5を介して車体フレーム10に揺動自在に支持され、後端部において、リアクッション26を介して車体フレーム10に揺動自在に支持される。また、ユニットスイングエンジン40は、後方側において後輪WRを回転自在に保持する。
ユニットスイングエンジン40は、エンジン本体41と、動力伝達機構42とが一体的に設けられることにより構成される。
エンジン本体41は、自動二輪車1の駆動力を発生するパワーユニット(原動機)であり、車体における前後方向の略中央部に搭載される。エンジン本体41は、後部側にクランクケース411を有しており、クランクケース411の前部のボス部412において、リンク機構5に連結されている。
動力伝達機構42は、エンジン本体41の駆動力を後輪WRに伝達するものである。動力伝達機構42は、エンジン本体41の後部側に配置され、エンジン本体41に取り付けられることで、エンジン本体41と共に、ユニットスイングエンジン40を構成する。動力伝達機構42は、車幅方向における左方側に配置される。
リンク機構5は、ユニットスイングエンジン40の上下方向及び前後方向の揺動を許容して、路面から後輪WRに入力された衝撃加重を吸収する。リンク機構5は、ピボットプレート19に回転可能に軸支されると共に、ユニットスイングエンジン40に回転可能に軸支される。
リアクッション26は、路面から後輪WRに入力された衝撃加重を、その緩衝作用により吸収する。リアクッション26の上端部は、上端支持ブラケット141を介して、シートレール14に連結されている。リアクッション26の下端部は、ユニットスイングエンジン40の後端部に連結されている。
リアクッション26は、上端支持ブラケット141とユニットスイングエンジン40の後端部とをつなぐ直線状に延びている。リアクッション26は、斜め下後方に延びている。リアクッション26は、圧縮される範囲(ストローク)を確保した状態で設けられる。リアクッション26は、上端が下端よりも前方に位置するように傾斜している。
カバー部材6は、フロントカバー61、レッグ側シールドカバー62、フロアカバー63、フロアサイドカバー64、アンダーカバー65、インナーフェンダーカバー66、リアサイドカバー67、シート下センターカバー68等により構成される。
フロントカバー61は、自動二輪車1の前部に配置され、車体フレーム10の前部等を覆っている。
レッグ側シールドカバー62は、乗員の乗車位置の前側において、ヘッドパイプ11の一部及びダウンフレーム12の一部を、自動二輪車1の後部側から覆っている。レッグ側シールドカバー62の上部には、グローブを収容可能なグローブボックスを開閉可能なボックスリッド621が取り付けられている。
フロアカバー63は、乗員の乗車位置の下方において、一対のフロアフレーム13の上方側及び燃料タンク28の上方側を、自動二輪車1の上方側から覆っている。フロアカバー63の前端部及び後端部は、上方側に向けて延びている。
フロアカバー63の上面は、平坦な足載せ面を形成し、フロアカバー63は、フロアステップとして機能する。フロアカバー63は、一対のフロアフレーム13の上方に配置され、上面側において、乗員が足を載置する。フロアカバー63は、自動二輪車1の前後方向において、ヘッドパイプ11とシート27との間に形成される。
フロアカバー63の下方側には、補強部材72が設けられている。補強部材72は、一対のフロアフレーム13に架け渡されるように形成される。補強部材72は、フロアカバー63の下方側に固定される。
フロアサイドカバー64は、乗員の乗車位置の下方において、自動二輪車1の側部に配置され、後述する燃料タンク28等を自動二輪車1の下方の側部から覆っている。
アンダーカバー65は、乗員の乗車位置の下方において、自動二輪車1の下部に配置され、少なくとも一対のフロアフレーム13の下方を下方側から覆っている。アンダーカバー65は、前側クロスパイプ16及び後側クロスパイプ17に固定される。
インナーフェンダーカバー66は、アンダーカバー65の前方において、前輪WFの後方に配置される。インナーフェンダーカバー66は、自動二輪車1の前部側から自動二輪車1の前部の下方を覆っている。インナーフェンダーカバー66は、アンダーカバー65と係合する。
リアサイドカバー67は、自動二輪車1の後部の側部に配置され、シート27の下部の両側面を覆っている。
シート下センターカバー68は、シート27の前部の下方の部分を覆っている。
燃料タンク28は、フロアカバー63の下方に設けられている。燃料タンク28は、上下方向において、フロアカバー63とアンダーカバー65との間に配置されている。また、燃料タンク28は、車幅方向において一対のフロアフレーム13の間に配置され、かつ、前後方向において前側クロスパイプ16及び後側クロスパイプ17の間に配置されている。
次に、本実施形態の自動二輪車1のユニットスイングエンジン40の懸架構造4の詳細について、図2〜図8を参照しながら説明する。図2は、自動二輪車1のユニットスイングエンジン40の懸架構造4を示す図である。図3は、自動二輪車1のユニットスイングエンジン40の懸架構造4について車両の下方側から視た斜視図である。図4は、自動二輪車1のユニットスイングエンジン40の懸架構造4について車両の下方側から視た平面図である。図5は、自動二輪車1のユニットスイングエンジン40の懸架構造4についてリンク機構5を示す斜視図である。図6は、自動二輪車1のユニットスイングエンジン40の懸架構造4についてリンク部材51を示す斜視図である。図7は、自動二輪車1のユニットスイングエンジン40の懸架構造4について規制部57を前方側から視た斜視図である。図8は、自動二輪車1のユニットスイングエンジン40の懸架構造4について規制部57の構造を示す縦断面図である。
図2〜図5に示すように、ユニットスイングエンジン40の懸架構造4は、前述のユニットスイングエンジン40と、前述の一対のピボットプレート19と、前述の後側クロスパイプ17(クロスメンバ)と、前述のリンク機構5と、を備える。
一対のピボットプレート19は、図2及び図3に示すように、フロアフレーム13とシートレール14との境界に設けられる屈曲部18から下方に延出する。一対のピボットプレート19は、上下方向及び前後方向に略平行な板部材により形成される。一対のピボットプレート19は、屈曲部18に沿って溶接により接合される。一対のピボットプレート19には、後述するリンク機構5のリンク部材51が軸支される。
シートレール14の上方側において、一対のシートレール14の間には、ラゲッジボックス30が設けられている。ラゲッジボックス30は、前部側の底部において、ラゲッジボックス支持用クロスパイプ15により支持されている。ラゲッジボックス支持用クロスパイプ15は、フロアフレーム13とシートレール14との境界に設けられる屈曲部18の上方に設けられ、シートレール14の内側の面に溶接により固定されると共に、一対のシートレール14を左右方向に連結する。
後側クロスパイプ17は、図3に示すように、フロアフレーム13とシートレール14との境界に設けられる屈曲部18の前方に設けられ、フロアフレーム13の下面に溶接により固定されると共に、一対のフロアフレーム13を左右方向に連結する。後側クロスパイプ17は、車幅方向(左右方向)に延びており、後方かつ下方に延出するU字状に形成される。
後側クロスパイプ17は、図3に示すように、水平部分171と、一対の傾斜部分172,172とを有する。一対の傾斜部分172,172は、一対のフロアフレーム13における一対の屈曲部18の前方の部分から、一対のフロアフレーム13よりも下方に向けて、車両の後方かつ下方に延びている。水平部分171は、車両の左右方向の略中央に設けられる。水平部分171は、一対の傾斜部分172,172の下部を左右方向に連結して、左右方向に略水平に延びる。水平部分171は、側面視でフロアフレーム13よりも下方に配置される。
後側クロスパイプ17は、図3及び図4に示すように、一対のピボットプレート19を連結する。具体的には、後側クロスパイプ17の一対の傾斜部分172,172の後部側の部分は、一対のピボットプレート19の前部側の下部に接合される。後側クロスパイプ17における一対の傾斜部分172,172が接合された部分の後部側の近傍の部分は、一対の第1ブラケット191を介して、一対のピボットプレート19の下部に連結される。
ユニットスイングエンジン40は、図2に示すように、エンジン本体41と、動力伝達機構42と、を備える。エンジン本体41は、クランクケース411と、シリンダヘッド415と、を有する。
クランクケース411は、図2〜図4に示すように、エンジン本体41の後部に配置される。クランクケース411の前部の下部には、左右に一対のボス部412,412が設けられている。一対のボス部412,412は、それぞれ、車両の下部側に前方かつ下方に向けて突出する。一対のボス部412,412は、左右方向に離間して配置され、互いに対向している。一対のボス部412,412は、左右方向に貫通するボス孔部(不図示)を有する。
シリンダヘッド415は、エンジン本体41の前部に配置される。シリンダヘッド415の下部には、図2〜図4に示すように、排気管416が接続される。排気管416は、図3に示すように、シリンダヘッド415の下部から下方側に延出する下方延出部416aと、下方延出部416aの下部から屈曲して後方側に向けて延びる後方延出部416bと、を有する。
リンク機構5は、図3〜図6に示すように、リンク部材51と、規制部57と、を備える。
リンク部材51は、ピボットプレート19に回動可能に軸支されると共に、エンジン本体41の一対のボス部412に回動可能に軸支される。リンク部材51は、揺動軸部材52と、左右に一対の腕部材53と、を有する。
揺動軸部材52は、図3〜図6に示すように、一対のボス部412,412の間に配置される。揺動軸部材52のピボットプレート19側の面の少なくとも一部は、外方に露出される。具体的には、揺動軸部材52における前後方向におけるピボットプレート19側(前方側)には、左右方向に亘って形成される部材は配置されていない。そのため、揺動軸部材52のピボットプレート19側の面の一部は、車両の前方(外方)に向けて露出されている。
揺動軸部材52は、図3〜図6に示すように、管状部材520と、内側ガセット526と、一対の外側ガセット525,525と、を有する。
管状部材520は、図3〜図6に示すように、パイプ状の部材であり、車幅方向に直線状に延びる。管状部材520は、左右に一対のエンジン側軸支部521を有する。一対のエンジン側軸支部521は、管状部材520の両端部に設けられる。エンジン側軸支部521は、図3に示すように、エンジン本体41の一対のボス部412に形成されたボス孔部に、円筒状のゴム製のブッシュ521aを介して、ボルト222により支持されている。
一対のボス部412のブッシュ521a及び管状部材520の内管には、車幅方向の左側から、ボルト522が挿通される。車幅方向の右側において、ボルト522の先端には、ナット523が締結される。
管状部材520の一対のエンジン側軸支部521は、一対のボス部412の車幅方向の内側において、左右方向に貫通するボルト552の軸と同軸のエンジン側軸P2を中心に回動可能に、一対のボス部412に軸支されている。エンジン側軸P2は、一対のボス部412及び一対のエンジン側軸支部521を左右方向に貫いて延びる。一対のボス部412は、リンク部材51に対して、ユニットスイングエンジン40の主な揺動中心として機能する。詳細には、ユニットスイングエンジン40の揺動においては、一対のボス部412におけるエンジン側軸P2を中心とする揺動が主であり、ユニットスイングエンジン40は、路面から後輪WRに衝撃荷重が入力されたときに、一対のボス部412におけるエンジン側軸P2を中心に揺動する。リンク部材51の揺動においては、一対のボス部412を介してリンク部材51に入力された衝撃荷重を吸収するために、リンク部材51は、後述する一対のピボット側軸支部55におけるピボット軸P1を中心に揺動する。
一対の腕部材53は、図3〜図6に示すように、管状部材520からピボットプレート19側に向かって延出する。一対の腕部材53は、左右に一対の湾曲部材54と、左右に一対のピボット側軸支部55と、左側の接続部材541と、右側の接続部材542と、を有する。
一対の湾曲部材54は、管状部材520の前部側の面からピボットプレート19側に向かって左右方向の外側に延出する。一対の湾曲部材54は、パイプ状の部材であり、前方に向かうにしたがって、車幅方向において、管状部材520の両端部よりも内側の部分から外側に向かって、互いが離れるように湾曲しながら延びる。
一対の湾曲部材54の内側の端部は、管状部材520のピボットプレート19側の外方に露出された面において、車幅方向における管状部材520の端部よりも内側の部分に接合される。一対の湾曲部材54の外側は、左右方向の外側に設けられるピボットプレート19側に向かって延出する。
一対の湾曲部材54と管状部材520とが接合される部分の車幅方向の内側には、内側ガセット526が設けられている。内側ガセット526は、一対の湾曲部材54と管状部材520とが接合される部分の車幅方向の内側において、一対の湾曲部材54と管状部材520とを接合する。内側ガセット526は、管状部材520に対して車両の前側に配置されている。内側ガセット526は、平面視において略台形に形成され、前後方向の断面が略コの字形状に形成される。内側ガセット526は、後部側において、管状部材520の前部に接合される。内側ガセット526は、側部において、湾曲部材54の前方側の傾斜面に接合される。
一対の湾曲部材54と管状部材520とが接合される部分の外側の近傍には、一対の外側ガセット525が設けられている。一対の外側ガセット525は、車幅方向に離間して配置される。一対の外側ガセット525は、一対の湾曲部材54と管状部材520とが接合される部分の外側において、一対の湾曲部材54と管状部材520とを接合する。一対の外側ガセット525は、平面視において略三角形状に形成され、左右方向の断面が略コの字形状に形成される。一対の外側ガセット525は、後部側において、管状部材520の前部に接合される。一対の外側ガセット525は、前部側において、湾曲部材54の後方側の傾斜面に接合される。
一対のピボット側軸支部55は、一対の湾曲部材54の左右方向の外側の部分における前端側に設けられる。一対のピボット側軸支部55は、一対の腕部材53におけるピボットプレート19の軸支部である。左側のピボット側軸支部55Lは、左側の接続部材541を介して、左側の湾曲部材54Lの左右方向の外側の部分の前端に連結されている。右側のピボット側軸支部55Rは、右側の接続部材542を介して、右側の湾曲部材54Rの左右方向の外側の部分の前端に連結されている。
左側の接続部材541は、図4及び図5に示すように、左側の湾曲部材54Lと左側のピボット側軸支部55Lとを連結する。左側の接続部材541は、左右方向に離間する2枚の板部材により構成される。左側の接続部材541における2枚の板部材は、上下方向及び前後方向に略平行な板部材であり、互いに対向して配置される。左側の接続部材541における2つの板部材には、左右方向に貫通する一対の湾曲部材側孔部541a及び一対のピボット側孔部541bが形成される。一対の湾曲部材側孔部541aは、左側の接続部材541における車両の前側に形成される。一対のピボット側孔部541bは、左側の接続部材541における車両の後側に形成される。
左側の湾曲部材54Lの外側の部分は、左側の接続部材541の一対の湾曲部材側孔部541aに貫通されており、一対の湾曲部材側孔部541aの外縁に接続される。左側のピボット側軸支部55Lは、左側の接続部材541の一対のピボット側孔部541bに貫通されており、一対のピボット側孔部541bの外縁に接続される。これにより、左側の接続部材541は、左側のピボット側軸支部55Lと左側の湾曲部材54Lとを連結する。
右側の接続部材542は、図4及び図5に示すように、右側の湾曲部材54Rと右側のピボット側軸支部55Rとを連結する。右側の接続部材542は、上下方向に離間する2つの部材により構成される。右側の接続部材542の2つの部材は、右側のピボット側軸支部55Rの一部と右側の湾曲部材54Rの外側の部分の一部とを、上下方向から挟み込んで接合する。これにより、右側の接続部材542は、右側のピボット側軸支部55Rと右側の湾曲部材54Rとを連結する。
一対のピボット側軸支部55は、図6に示すように、円筒状に形成される。一対のピボット側軸支部55の円筒部材55aの内部には、円筒状のゴム製のブッシュ551が設けられている。ブッシュ551は、内管551aと、外管551bと、を有する。ブッシュ551の外管551bの外径は、ピボット側軸支部55の円筒部材55aの内径と略同じ大きさに形成される。ブッシュ551の内管551aの内部には、後述するボルト552が挿通される。
一対のピボット側軸支部55は、図3〜図5に示すように、車幅方向の内側において、一対の支持ステー175,175を介して、後側クロスパイプ17により支持される。言い換えると、後側クロスパイプ17は、一対の支持ステー175,175を介して、ピボット側軸支部55の内側から、リンク部材51を支持する。
一対の支持ステー175,175は、図3及び図4に示すように、後側クロスパイプ17の水平部分171の後部に接合される。一対の支持ステー175,175は、後側クロスパイプ17の水平部分171の後部において、左右方向に離間して設けられる。一対の支持ステー175,175は、一対のピボット側軸支部55よりも車幅方向の内側に設けられる。
支持ステー175は、左右方向の鉛直断面が略L字形状に形成されている。一対の支持ステー175,175のうちの左側の支持ステー175Lは、後述する筒状部58の一部を構成している。
支持ステー175は、支持板175aと、下面板175bと、を有する。支持板175a及び下面板175b、一枚の板部材により構成されており、互いの接続部において、屈曲されている。
下面板175bは、左右方向及び前後方向に略平行な板状に形成される。下面板175bは、平面視で略三角形状に形成され、支持板175aの下部から車幅方向の内側に延びる。下面板175bの前部は、後側クロスパイプ17の水平部分171の外側において、水平部分171が延びる方向に沿って接合される。なお、下面板175bは、後述する規制部57の筒状部58の一部(後述する第3下側板部582c)を構成する。
支持板175aは、下面板175bの車幅方向の外側の端部から略直角で上方側に屈曲する。支持板175aは、上下方向及び前後方向に略平行な板状に形成される。支持板175aは、後側クロスパイプ17の水平部分171において後側クロスパイプ17の径方向に延びる。
支持板175aの前部は、後側クロスパイプ17の水平部分171の車幅方向の外側において、水平部分171の周面に沿って接合される。なお、支持板175aは、後述する規制部57の筒状部58の一部(後述する第2下側板部582b)を構成する。
支持板175aは、ピボットプレート19の内側に、ピボットプレート19に対して平行に配置される。支持板175aとピボットプレート19との間には、ピボット側軸支部55が挟み込まれる。支持板175aは、ピボットプレート19とともに、後述するボルト552を介して、ピボット側軸支部55を支持する。
ピボットプレート19の取付孔部(不図示)、支持板175aの取付孔部(不図示)、及び一対のピボット側軸支部55のブッシュ551の内管551aには、ピボットプレート19における車幅方向の外側から、ボルト552が挿通される。支持板175aにおける車幅方向の内側において、ボルト552の先端には、ナット553が締結される。
一対のピボット側軸支部55は、左右方向に貫通するボルト552の軸と同軸のピボット軸P1を中心に回動可能に、一対のピボットプレート19に軸支される。ピボット軸P1は、左右方向に延びる。
以上のように構成されるリンク部材51において、平面視で揺動軸部材52と一対の腕部材53との間の領域には、図4に示すように、排気管416が設けられている。平面視で揺動軸部材52と一対の腕部材53との間の領域とは、平面視で、揺動軸部材52における車両の前方(外方)に向けて露出されているピボットプレート19側の面側の領域であって、一対の腕部材53(前後方向における一対の湾曲部材から一対のピボット側軸支部55までの範囲)の間の領域を意味する。このように構成することで、揺動軸部材52と一対の腕部材53との間の空間は、別の部材等を配置できるように、露出されている。本実施形態においては、排気管416は、揺動軸部材52と一対の腕部材53との間の領域において、ピボットプレート19のピボット軸P1(回転軸)の軸線上に設けられる。
規制部57は、図5〜図8に示すように、車両の左側のみに設けられる。規制部57は、リンク部材51の揺動を規制する。規制部57は、一対のピボットプレート19のうちの左側(一方側)のピボットプレート19Lに形成される。規制部57は、左側のピボットプレート19Lの内側に配置される。
規制部57は、図5〜図8に示すように、筒状部58と、延出部56と、弾性部材561と、を有する。規制部57は、弾性部材561が筒状部58に挿入されることにより構成される。
延出部56は、図6に示すように、リンク部材51の左側のピボット側軸支部55Lから、リンク部材51のピボット側軸支部55の前方に向けて延びる。延出部56は、リンク部材51の左側のピボット側軸支部55Lに接合される。延出部56は、リンク部材51と一体的に揺動する。
弾性部材561は、延出部56に設けられる。弾性部材561は、ゴム製の部材により形成される。弾性部材561は、延出部56に係合されている。
弾性部材561は、基部561aと、突起部561bと、を有する。突起部561bは、弾性部材561の先端側において、基部561aから、延出部56が延出する方向に交差する方向に突出する。本実施形態においては、突起部561bは、基部561aから筒状部58の内面に向けて突出する。本実施形態においては、弾性部材561の大きさは、筒状部58に挿入された場合に、筒状部58の内面に突起部561bが当接する大きさか、又は、それよりもやや小さく形成される。
筒状部58は、図5に示すように、左側のピボットプレート19Lのみに設けられる。筒状部58は、後側クロスパイプ17と、左側のピボットプレート19Lと、に連結される。
筒状部58は、図5及び図7に示すように、板部材が組み合わされて構成されており、上側板部材581と、下側板部材582と、を有する。
上側板部材581は、筒状部58の上方側の部分を構成する。上側板部材581は、第1上側板部581aと、第2上側板部581bと、を有する。第1上側板部581a及び第2上側板部581bは、一枚の板部材により構成されており、互いの接続部において、屈曲されている。
第1上側板部581aは、筒状部58の上方側の傾斜板を構成し、斜め下後方に傾斜する。第2上側板部581bは、第1上側板部581aの後端部から鈍角で上方側に屈曲する。第1上側板部581a及び第2上側板部581bの左方側の端部は、左側のピボットプレート19Lの内側の面に接合されている。
下側板部材582は、筒状部58の車幅方向の内側の側面と、筒状部58の下方側の部分と、を構成する。下側板部材582は、第1下側板部582aと、第2下側板部582b(前述の左側の支持ステー175Lの支持板175a)と、第3下側板部582c(前述の左側の支持ステー175Lの下面板175b)と、を有する。第1下側板部582a、第2下側板部582b及び第3下側板部582cは、一枚の板部材により構成されており、互いの接続部において、屈曲されている。
第1下側板部582aは、筒状部58の下方側の傾斜板を構成し、上側板部材581の第1上側板部581aに対して平行に配置される。第1下側板部582aの左方側の端部は、左側のピボットプレート19Lの内側の面に接合されている。
第2下側板部582bは、筒状部58の側板を構成すると共に、前述した左側の支持ステー175Lの支持板175aを構成する。第2下側板部582bは、左側のピボットプレート19Lに対して平行に配置される。
第2下側板部582bの上方側の上部構成部は、第1下側板部582aに対して略直交に配置される。第2下側板部582bの上部構成部は、第1下側板部582aの右方側(車幅方向の内側)の傾斜端部から、屈曲部を介して、上方側に延びる。第2下側板部582b及び第1下側板部582aは、左右方向における鉛直断面が略L字形状に形成される。第2下側板部582bの上部構成部の上方側の傾斜端部は、第1上側板部581aの下方側の面に接合されている。
第2下側板部582bの下方側の下部構成部は、第2下側板部582bの上部構成部から下方側に同一平面上に延びており、左側のピボット側軸支部55Lの内側において、左側のピボットプレート19Lに対して平行に配置される。第2下側板部582bの下部構成部は、左側の支持ステー175Lの支持板175aを構成し、左側のピボット側軸支部55Lを、左側のピボット側軸支部55Lの車幅方向の内側からボルト552を介して支持する。第2下側板部582bの下部構成部の前側の部分は、後側クロスパイプ17の水平部分171の後方側の周面に接合されている。
第3下側板部582cは、筒状部58として一体的に構成されると共に、前述した左側の支持ステー175Lの下面板175bを構成する。第3下側板部582cは、左右方向及び前後方向に略平行な板状に形成される。第3下側板部582cは、第2下側板部582bに対して略直交に配置される。第3下側板部582cは、第2下側板部582bの下端部から、屈曲部を介して、車幅方向の内側(左側のピボットプレート19Lと反対側)に延びる。第3下側板部582cの前部側の端部は、後側クロスパイプ17の水平部分171の後部において、水平部分171が延びる方向に沿って接合される。
以上のように構成される本実施形態のユニットスイングエンジン40の懸架構造4においては、リンク部材51は、一対のピボット側軸支部55において一対のピボットプレート19に回動可能に軸支されると共に、一対のエンジン側軸支部521においてユニットスイングエンジン40の一対のボス部412の内側に回動可能に軸支される。そのため、リンク部材51は、ユニットスイングエンジン40の前後方向及び上下方向の移動を許容する。ユニットスイングエンジン40は、ピボット軸P1を中心に揺動可能であると共に、エンジン側軸P2を中心に揺動可能である。
リンク機構5は、更に、図5に示すように、規制部57を有する。筒状部58(上側板部材581及び下側板部材582)及び左側のピボットプレート19Lで囲まれた部分には、図8に示すように、延出部56に係合された弾性部材561が挿入される。延出部56は、リンク部材51の左側のピボット側軸支部55Lから延出している。
弾性部材561は、ユニットスイングエンジン40が上下方向及び前後方向に揺動した場合に、リンク部材51と一体的に、延出部56と共に揺動する。弾性部材561は、リンク部材51の揺動により、筒状部58の内面に当接した部分が弾性変形することで、上下方向及び前後方向への荷重を吸収する。筒状部58は、弾性部材561の弾性変形を許容しながら、弾性部材561の上下方向及び前後方向への移動を規制する。規制部57は、弾性部材561により上下方向及び前後方向への衝撃を吸収して緩衝させる機能を有しながら、リンク部材51の上下方向及び前後方向の移動を規制することにより、ユニットスイングエンジン40の上下方向及び前後方向の動きを規制する。
以上説明した本実施形態の自動二輪車1のユニットスイングエンジン40の懸架構造4によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
本実施形態においては、リンク部材51は、一対のボス部412の間に配置される揺動軸部材52と、揺動軸部材52からピボットプレート19側に延出する左右に一対の腕部材53と、を有する。腕部材53は、前端側にピボットプレート19の軸支部であるピボット側軸支部55を有する。そのため、リンク部材51は、一対のボス部412の車幅方向の内側に配置される。これにより、リンク部材51を一対のボス部412の車幅方向の外側に配置しなくてもよい。従って、ユニットスイングエンジン40の懸架構造4のコンパクト化を図ることができる。
また、揺動軸部材52のピボットプレート19側の面の少なくとも一部は、外方に露出される。そのため、リンク部材51のピボットプレート19側の面側に空間を創出することができ、部材の配置の自由度を向上させることができる。従って、車両のコンパクト化を図ることができる。
本実施形態においては、シリンダヘッド415の下部に接続される排気管416を更に備え、排気管416は、平面視で揺動軸部材52と一対の腕部材53との間の領域に設けられる。そのため、揺動軸部材52と一対の腕部材53との間の領域に排気管416を通すことができるため、排気管416の屈曲率を小さくすることができる。これにより、エンジンの出力や運動特性を向上させつつ、車両のコンパクト化を図ることができる。
本実施形態においては、リンク部材51の揺動を規制する規制部57を備える。リンク部材51の揺動が規制部57により規制されるため、リンク部材51における揺動軸部材52と一対の腕部材53との間の領域を確保することができる。また、ピボットプレート19の回動中心となるピボット軸P1の軸線上に排気管416が設けられるため、リンク部材51から排気管416までの距離(リンク部材51と排気管416との間の空間)を大きくすることができる。
本実施形態においては、後側クロスパイプ17は、ピボット側軸支部55の内側からリンク部材51を支持する。そのため、ピボットプレート19を薄肉の板状に形成しても、後側クロスパイプ17によりピボットプレート19の剛性を向上できる。また、一対のピボットプレート19を、車幅方向の外側に、より離間させることができる。そのため、リンク部材51のねじりに対する剛性を向上できる。
本実施形態においては、リンク部材51の揺動を規制する規制部57を備え、規制部57は、一対のピボットプレート19の一方側に形成される。そのため、規制部57を配置するスペースを左側のピボットプレート19Lにのみ設けることができるため、ユニットスイングエンジン40の懸架構造4のコンパクト化を図ることができる。
本実施形態においては、規制部57は、リンク部材51のピボット側軸支部55の前方に向けて延びる延出部56と、延出部56に設けられる弾性部材561と、ピボットプレート19に設けられる筒状部58と、を有し、弾性部材561が筒状部58に挿入されることにより構成される。そのため、規制部57の剛性を向上させつつ、ユニットスイングエンジン40の懸架構造4のコンパクト化を図ることができる。
本実施形態においては、一対のピボットプレート19を連結する後側クロスパイプ17を備え、筒状部58は、後側クロスパイプ17とピボットプレート19とに連結される。そのため、筒状部58の剛性を向上できるため、規制部57の剛性を向上できる。
以上、本発明の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、本発明を、エンジン(内燃機関)で発生する動力により後輪を回転駆動させて走行する自動二輪車に適用した例について説明したが、本発明の適用はこれに限定されない。すなわち、本発明を、電動モータで発生する動力のみにより後輪を回転駆動させて走行する電動二輪車に適用することもできる。また、エンジンで発生させた動力、及び電動モータで発生させた動力の2つの動力を組み合わせて後輪を回転駆動させて走行するハイブリッド型の鞍乗型車両に適用することもできる。
更に、本発明は、乗員が着座するシートを備えた車両であれば、スクータ型の鞍乗型車両に限らず、モータサイクル型、カブ型の鞍乗型車両に適用することもできる。また、乗員が着座するシートを備えた車両であれば、三輪又は四輪の鞍乗型車両に適用することもできる。すなわち、鞍乗型車両は、乗員が車体に跨って乗車する乗り物全般を含む。
1 自動二輪車(鞍乗型車両)
10 車体フレーム
11 ヘッドパイプ
12 ダウンフレーム(下方延出部)
13 フロアフレーム(フロア部)
14 シートレール(シートレール部)
17 前側クロスパイプ(クロスメンバ)
18 屈曲部
19 ピボットプレート(ピボット部)
40 ユニットスイングエンジン
51 リンク部材
52 揺動軸部材
53 腕部材
55 ピボット側軸支部
57 規制部
58 筒状部
412 ボス部
415 シリンダヘッド
416 排気管
561 弾性部材
P1 ピボット軸(ピボット部の回転軸)
WF 前輪

Claims (5)

  1. 車体フレーム(10)と、
    前記車体フレーム(10)に設けられる左右に一対のピボット部(19)と、
    前記車体フレーム(10)に揺動自在に設けられるユニットスイングエンジン(40)と、
    前記ユニットスイングエンジン(40)の下部に設けられる左右に一対のボス部(412)と、
    前記ピボット部(19)に回動可能に軸支されると共に前記ボス部(412)に回動可能に軸支されるリンク部材(51)と、
    前記リンク部材(51)の揺動を規制する規制部(57)と、を備える鞍乗型車両(1)のユニットスイングエンジン(40)の懸架構造(4)において、
    前記リンク部材(51)は、前記一対のボス部(412)の間に配置される揺動軸部材(52)と、前記揺動軸部材(52)から前記ピボット部(19)側に延出する左右に一対の腕部材(53)と、を有し、
    前記腕部材(53)は、前端側に前記ピボット部(19)の軸支部であるピボット側軸支部(55)を有し、
    前記揺動軸部材(52)の前記ピボット部(19)側の面の少なくとも一部は、外方に露出され
    前記ユニットスイングエンジン(40)は、シリンダヘッド(415)を有し、
    前記懸架構造(4)は、前記シリンダヘッド(415)の下部に接続される排気管(416)を更に備え、
    前記排気管(416)は、平面視で前記揺動軸部材(52)と前記一対の腕部材(53)との間の領域に設けられ、
    前記ボス部(412)は、前記リンク部材(51)に対して前記ユニットスイングエンジン(40)の主な揺動中心として機能し、
    前記排気管(416)は、前記リンク部材(51)における前記ピボット部(19)側の回転軸(P1)の軸線上に設けられる
    鞍乗型車両(1)のユニットスイングエンジン(40)の懸架構造(4)。
  2. 前記車体フレーム(10)は、前部に設けられると共に前輪(WF)を操舵可能に軸支するヘッドパイプ(11)と、前記ヘッドパイプ(11)から後方かつ下方に延出する下方延出部(12)と、前記下方延出部(12)の下部から後方に延出するフロア部(13)と、前記フロア部(13)の後部から上方かつ後方に延出するシートレール部(14)と、前記フロア部(13)と前記シートレール部(14)との境界に設けられる屈曲部(18)と、前記屈曲部(18)の前方に設けられると共に後方かつ下方に延出するU字状のクロスメンバ(17)と、を有し、
    前記ピボット部(19)は、前記屈曲部(18)から下方に延出するピボットプレート(19)を構成し、
    前記クロスメンバ(17)は、前記ピボット側軸支部(55)の内側から前記リンク部材(51)を支持する
    請求項1に記載の鞍乗型車両(1)のユニットスイングエンジン(40)の懸架構造(4)。
  3. 前記リンク部材(51)の揺動を規制する規制部(57)を備え、
    前記規制部(57)は、前記一対のピボット部(19)の一方側に形成される
    請求項1又は2に記載の鞍乗型車両(1)のユニットスイングエンジン(40)の懸架構造(4)。
  4. 前記規制部(57)は、前記リンク部材(51)の前記ピボット側軸支部(55)の前方に向けて延びる延出部(56)と、前記延出部(56)に設けられる弾性部材(561)と、前記ピボット部(19)に設けられる筒状部(58)と、を有し、前記弾性部材(561)が前記筒状部(58)に挿入されることにより構成される
    請求項に記載の鞍乗型車両(1)のユニットスイングエンジン(40)の懸架構造(4)。
  5. 前記一対のピボット部(19)を連結するクロスメンバ(17)を備え、
    前記筒状部(58)は、前記クロスメンバ(17)と前記ピボット部(19)とに連結される
    請求項に記載の鞍乗型車両(1)のユニットスイングエンジン(40)の懸架構造。
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