JP6132524B2 - 緑化保護装置及び緑化保護装置を備えたのり面 - Google Patents
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Description
特許文献1では、それぞれ矩形状を呈する複数の踏み面金網枠と蹴込み金網枠とが折り畳み可能に且つ階段状に展開可能に上下方向の端縁において順次連結されている。蹴込み金網枠には土留シートがポケットを形成するように取り付けられると共に、蹴込み金網枠の内面には断熱シートが吊り下げられている。
加えて、踏み面金網枠の金網の目を粗く、蹴込み面金網枠の金網の目を細かくすることにより、のり面に取り付けた後に、植生基盤材の投入を容易にすると共に、投入された植生基盤材の流失を有効に防止することができる。
ところが、これらの構造体は、イノシシ、シカ、ニホンカモシカ等の侵入を防止する機能を備えていないため、発芽したばかりの緑化植物や、過去に施工した場所で生育した緑化植物が、イノシシ、シカ、ニホンカモシカ等による食害に遭う事例が多発している。
シカやニホンカモシカは、播種又は植栽した緑化植物や緑化後に遷移した植物の芽、葉、茎、樹皮を食したり、食する際に植物を引っ張ることで根を含めて引き抜いたりするので、緑化植物や遷移植物の成長を阻害し、緑化が成立しなくなるといった問題が多発していた。特に、施工直後の発芽時に、食害を受けると植生基盤の流失を招き緑化そのものが成立しなくなる。
この囲い2を構成する柵やネットに電線を張り、侵入する動物等にショックを与える電圧の電気を流し、驚かせ立ち入らせないにする対策も取られている。
また、別の方法では、例えば、図11(a)に示すように、対象となるのり面の周辺又はのり面全体4を網5で覆う方法もある。この方法ならば、多少網5を破られても、面的な効果があり、外周柵のように1ヶ所破られただけでは、柵内ののり面を蹂躙される虞はない。
また、対象となる防獣地帯に、動物を誘き寄せる匂いの出る装置を設置し、この装置に電気を流し触れさせ感電させることで、動物にとって危険地帯であることを示す対策も講じられている。
また、対象となる地面全面に金網を敷設し、金網にバネを付けることで動物が足を入れないようにする対策、動物が食さない毒や棘のある植物を播種、植栽することにより、害を為す動物の侵入を防ぐ対策等が知られている。
また、囲い2を構成する柵やネットに電線を張り電気を流す場合、人里から離れたのり面では人間が感電する虞やメンテナンス上の監視が必要となるという問題がある。
また、誘き寄せて感電させる方法では、広大なのり面では設置台数が多くなりコストが掛かるという問題がある。
また、バネ付の金網の敷設の場合、のり面全面に敷設する必要があり、コストが掛かるという問題がある。
また、忌諱植物を植栽、播種する場合、地域によっては植生が適さない場合がある。
また、柵の代わりにポールを建てて、鉄砲の音を出して脅かす対策も知られているが、直に慣れてしまい役に立たなくなる。
また、フラッシュライトで脅かす対策もあるが、ファラッシュライトが交通の障害になるケースがあり、また、電気の供給等の問題もある。
請求項4に係る発明は、請求項2記載の緑化保護装置において、前記第二網ユニットは、前記緑化のり面又は緑化済のり面側辺縁部の中心位置から外れた位置を前記第二アンカーピンで固定されることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項2又は請求項4記載の緑化保護装置において、前記網ユニット群と前記第二網ユニットとは、ワイヤで弛緩状態でそれぞれ連結され、前記ワイヤには、鐘、鈴、カウベル又は鳴子が取り付けられていることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項7記載の緑化保護装置を備えたのり面において、前記緑化保護ゾーンは、前記緑化保護装置を前記緑化のり面又は緑化済のり面の縁部の内周又は外周に沿って設けられていることを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項7乃至請求項9の何れか記載の緑化保護装置を備えたのり面において、前記緑化保護ゾーンは、前記緑化保護装置を前記緑化のり面又は緑化済のり面の内周又は外周にそって連続的に設置する第一ゾーンと、前記第一ゾーンより前記緑化のり面又は緑化済のり面側で前記緑化保護装置を千鳥状に配置する第二ゾーンとを備えていることを特徴とする。
請求項12に係る発明は、請求項10又は請求項11記載の緑化保護装置を備えたのり面において、前記第一ゾーンは、前記緑化保護装置を前記緑化のり面又は緑化済のり面の内周又は外周に沿って連続的に設置する第一域と、前記第一域の内周又は外周に沿って前記緑化保護装置を連続的に設置する第二域とを備えることを特徴とする。
また、本発明の緑化保護装置は、網ユニット群の網目が大きめに(ラス張工のラスは5cm×5cm程度)造られているので、植物の成長を阻害することもない。従って、外観上、柵工のように網が目立つことはないので、景観を保つことができる。
また、本発明の緑化保護装置は、被覆網工のような面的なのり面保護領域を形成するように、網ユニット群を構成する第一網ユニットをそれぞれの重心位置をずらして辺縁部を緑化のり面又は緑化済のり面に第一アンカーピンによって揺動自在に固定するので、メンテナンスが容易でメンテナンス時の通路を確保しつつ、柵工のように景観を損なうことがないという利点を有する。
そして、網ユニット群は、網目を10cm×10cmとしたので、シカやニホンカモシカが足を入れようか入れまいかと迷う程度の目の大きさとなり、シカやニホンカモシカの侵入を防止しやすい機能を発揮することができる。
また、網ユニット群は、第一網ユニット間を10cm程度あけて設置すると共にのり面の設置部分1ヶ所のみを重心位置をずらして固定としたので、動物が触れると網ユニット群が揺れるようになり、足に触れる不快感を増し、動物の侵入を防止しやすい機能を発揮することができる。
また、網ユニット群は、各第一網ユニット間が若干動く程度にワイヤで連結してあるので、第一網ユニット単体は不安定であっても、網ユニット群全体では落下しないようにのり面上に固定することができる。
また、網ユニット群によって形成される緑化保護ゾーンを、網ユニット群の内周側を千鳥状(市松模様状)としたので、見かけ上三列〜四列すなわち3m〜4m程度のユニット幅があるように見せかけることが可能となり、シカやニホンカモシカの飛び越えるを確実に阻止することができる。
図1は、本発明に係る緑化保護装置30を備えたのり面10の一実施形態を示す。
本実施形態に係る緑化保護装置30を備えたのり面10は、図2に示すように、緑化のり面又は緑化済のり面11の縁部12に沿って緑化のり面又は緑化済のり面11の中心方向に向かって網掛けで示すように緑化保護装置30を設置して緑化保護ゾーン20を設けている。
ここで、緑化保護ゾーン20を緑化のり面又は緑化済のり面11の縁部12から緑化のり面又は緑化済のり面11の中心側に向かって3m以上の幅Bで全域に亘って設けた理由は、シカやニホンカモシカは平地で3m程度の帯状の障害を飛び越えるといわれているので、シカやニホンカモシカの飛び込みを防止できる帯域を形成するためである。
網ユニット群31は、例えば、径が5mmで、10cm×10cmの升目から成る溶接金網32を階段状に折り曲げて二つの踏み面33a,33bを形成して成る第一網ユニット33を、図2、図4に示すように、例えば、10cm程度の間隔Lを隔てて平面状に配置すると共に、第一網ユニット33間の横方向を鐘36を取り付けた、例えば、20cmmのワイヤ35で相互に可動自在に連結することによって構成されている。
第一網ユニット33間のワイヤ35による連結は、少なくとも網ユニット群31の両端では上部平面部と下部垂直部と連結するものとする。これは、シカやニホンカモシカの不用意な侵入と蹴り上げを防ぐためである。
ここで、溶接金網32の網目を10cm×10cmとしたのは、シカやニホンカモシカが足を入れようか入れまいかと迷う程度の網目の大きさとした。網目が細か過ぎればシカやニホンカモシカが溶接金網32に乗ってジャンプする可能性があり、網目が大き過ぎればシカやニホンカモシカが網目に足を入れてジャンプする可能性がある。シカやニホンカモシカは足が傷付くことを極度に恐れる動物であることから、10cm×10cmの網目では足に触れるか触れないかの不快な大きさとなる。
網ユニット群31は、例えば、図2、図4、図5に示すように、各第一網ユニット33の踏み面33aの重心位置をずらして辺縁部33cの一カ所を、例えば、径16mm、長さ40cm〜90cmの第一アンカーピン37によって緑化のり面又は緑化済のり面11に揺動自在に固定される。なお、第一アンカーピン37による固定は、豪雪地帯のように一カ所では第一網ユニット33の落下の虞がある箇所では、一カ所以上とする。
各第一網ユニット33の固定箇所を重心部ではなく辺縁部33cとすることで、シカやニホンカモシカが触れると各第一網ユニット33が揺れるようになり、足に触れる不快感を増すことになる。しかし、各第一網ユニット33を蹴落とされては困るので、各第一網ユニット33間は、各第一網ユニット33が若干動く程度にワイヤ35で連結しあうものとする。ワイヤ35の連結により各第一網ユニット33単体は不安定であっても、緑化保護装置30全体では落下しないように緑化のり面又は緑化済のり面11上に固定されるものとする。
また、第二網ユニット38は、第一網ユニット33と同様に、図5に示すように、例えば、径が5mmで、10cm×10cmの升目から成る溶接金網32を、横幅Wが90cm、高さHが30cm〜40cm、奥行きDが30cm〜40cmとし、一つの踏み面38aを形成するように一段に折り曲げて形成されている。踏み面38aの突起部38bは、第一網ユニット33の二つの踏み面33a,33bの突出部33d,33eと同様に、シカやニホンカモシカに当たり、不快感を増すことになる。
本実施形態において、第一網ユニット33を2段式としたのは、ライトバンでも輸送できるようにするためである。また、のり面上での扱いでも二段式のほうが軽量で扱いやすいこと、のり面の地形や現地性の障害物(石、木等)に合わせて一段にカットしやすいことも二段式とした理由である。
また、第二網ユニット38と第一網ユニット33との間には、鐘36を取り付けたワイヤ35によって連結されている。
なお、シカやニホンカモシカは、網ユニット群31の側面を潜って侵入することはないので、開放していても問題はない。
先ず、緑化のり面又は緑化済のり面11の縁部12に沿って緑化のり面又は緑化済のり面11の中心方向に向かって網掛けで示すように緑化保護装置30を設置して緑化保護ゾーン20を設けるに当たり、緑化のり面又は緑化済のり面11の縁部12に沿って緑化保護装置30を帯状に配置する。
次に、緑化のり面又は緑化済のり面11の縁部12に沿って緑化保護装置30を帯状に配置した第一ゾーン21の内周に沿って、緑化保護装置30を二列の千鳥状に配置して第二ゾーン22を形成する。
そして、万一、シカやニホンカモシカが緑化保護装置30の各第一網ユニット33及び第二網ユニット38上に乗ると、第一網ユニット33は、例えば、図5に示すように、奥行きDを30cm〜40cmとする二つの踏み面33a,33bを形成した階段状としてあるので、網目の不快効果の他にシカやニホンカモシカの踵(人間の目には膝に見える箇所)が二つの踏み面33a,33bの突出部33d,33eに当たり、不快感を増し、シカやニホンカモシカの侵入を防止することができる。
しかも、本実施形態では、緑化保護装置30の配置を外周側の列をフルにし、内周側二列を千鳥状とし、見掛け上三列〜四列すなわち3m〜4m程度のユニット幅があるように見せかける効果を発揮するように設置したので、たとえシカやニホンカモシカが平地で3m程度の帯状の障害を飛び越える能力を発揮としても飛び越える気を殺ぐ効果が期待できる。
なお、仮に大型のシカやニホンカモシカにより三列配置を凌駕するジャンプが観察された場合には、例えば、図8に示すように、第一網ユニット33を増設することも可能である。
例えば、第一ゾーン21を、緑化保護装置30を緑化のり面又は緑化済のり面11の内周に沿って連続的に設置する第一域と、その第一域の内周に沿って緑化保護装置30を連続的に設置する第二域とを備えるように構成する。
また、上記実施形態では、図1に示すように、緑化のり面又は緑化済のり面11の縁部12に沿って緑化のり面又は緑化済のり面11の中心方向に向かって網掛けで示すように緑化保護装置30を設置して緑化保護ゾーン20を設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、図9に示すように、緑化のり面又は緑化済のり面11の縁部12の外側から緑化のり面又は緑化済のり面11の中心方向に向かって網掛けで示すように緑化保護装置30を設置して緑化保護ゾーン20を設けても良い。
また、上記実施形態では、対象動物をシカやニホンカモシカについて説明したが、本発明は、これに限らずイノシシについても有効である。イノシシは、鼻や前足を使って植生基盤を掘り起こし基盤中の植根や昆虫類の幼虫などを食するため、植生基盤が破壊され緑化が成立しなくなる。
本発明では、網ユニット群31の周縁部がイノシシの鼻や前足によって捲り上がらないように、ワイヤ35によって連結してあるので、イノシシの侵入を防止することが可能である。
11 緑化のり面又は緑化済のり面
12 緑化のり面又は緑化済のり面11の縁部
20 緑化保護ゾーン
21 第一ゾーン
22 第二ゾーン
30 緑化保護装置
31 網ユニット群
32 溶接金網
33 第一網ユニット
33a,33b,33f 踏み面
35 ワイヤ
36 鐘
37 第一アンカーピン
38 第二網ユニット
39 第二アンカーピン
Claims (12)
- 10cm×10cmの升目から成る溶接金網を階段状に折り曲げて少なくとも二つの踏み面を形成して成る第一網ユニットを、所定の間隔を隔てて配置すると共に前記第一網ユニット間の横方向及び/又は縦方向を相互に可動自在に連結して成る網ユニット群と、
前記網ユニット群の各前記第一網ユニットを、各前記第一網ユニットが有する前記少なくとも二つの踏み面のいずれかの踏み面の重心位置からずれた辺縁部において、緑化のり面又は緑化済のり面に揺動自在に固定する第一アンカーピンと、
を備えることを特徴とする緑化保護装置。 - 10cm×10cmの升目から成る溶接金網を階段状に折り曲げて少なくとも二つの踏み面を形成して成る第一網ユニットを、所定の間隔を隔てて配置すると共に前記第一網ユニット間の横方向及び/又は縦方向を相互に可動自在に連結して成る網ユニット群と、
前記網ユニット群の各前記第一網ユニットを、各前記第一網ユニットが有する前記少なくとも二つの踏み面のいずれかの踏み面の重心位置からずれた辺縁部において、緑化のり面又は緑化済のり面に揺動自在に固定する第一アンカーピンと、
10cm×10cmの升目から成る溶接金網を一つの踏み面を形成するように折り曲げ、前記網ユニット群に所定の間隔を隔てて可動自在に連結される第二網ユニットと、
前記第二網ユニットを、前記第二網ユニットが有する前記一つの踏み面の重心位置からずれた辺縁部において、前記緑化のり面又は緑化済のり面に揺動自在に固定する第二アンカーピンと、
を備えることを特徴とする緑化保護装置。 - 請求項1又は請求項2記載の緑化保護装置において、
前記網ユニット群の各前記第一網ユニットは、それぞれの前記緑化のり面又は緑化済のり面側辺縁部の中心位置から外れた位置を前記第一アンカーピンで固定される
ことを特徴とする緑化保護装置。 - 請求項2記載の緑化保護装置において、
前記第二網ユニットは、前記緑化のり面又は緑化済のり面側辺縁部の中心位置から外れた位置を前記第二アンカーピンで固定される
ことを特徴とする緑化保護装置。 - 請求項1乃至請求項4の何れか記載の緑化保護装置において、
前記網ユニット群は、前記第一網ユニットをワイヤで弛緩状態でそれぞれ連結し、前記ワイヤには、鐘、鈴、カウベル又は鳴子が取り付けられている
ことを特徴とする緑化保護装置。 - 請求項2又は請求項4記載の緑化保護装置において、
前記網ユニット群と前記第二網ユニットとは、ワイヤで弛緩状態でそれぞれ連結され、前記ワイヤには、鐘、鈴、カウベル又は鳴子が取り付けられている
ことを特徴とする緑化保護装置。 - 緑化のり面又は緑化済のり面の縁部に沿って請求項1乃至請求項6の何れか記載の緑化保護装置を設置して緑化保護ゾーンを設ける
ことを特徴とする緑化保護装置を備えたのり面。 - 請求項7記載の緑化保護装置を備えたのり面において、
前記緑化保護ゾーンは、前記緑化保護装置を前記緑化のり面又は緑化済のり面の縁部の内周又は外周に沿って設けられている
ことを特徴とする緑化保護装置を備えたのり面。 - 請求項7又は請求項8記載の緑化保護装置を備えたのり面において、
前記緑化保護ゾーンは、前記緑化保護装置を前記緑化のり面又は緑化済のり面の縁部の内周又は外周から前記緑化のり面又は緑化済のり面の内側に向かって3m以上の幅で設置されている
ことを特徴とする緑化保護装置を備えたのり面。 - 請求項7乃至請求項9の何れか記載の緑化保護装置を備えたのり面において、
前記緑化保護ゾーンは、
前記緑化保護装置を前記緑化のり面又は緑化済のり面の内周又は外周にそって連続的に設置する第一ゾーンと、
前記第一ゾーンより前記緑化のり面又は緑化済のり面側で前記緑化保護装置を千鳥状に配置する第二ゾーンと
を備えていることを特徴とする緑化保護装置を備えたのり面。 - 請求項10記載の緑化保護装置を備えたのり面において、
前記第一ゾーンは、
前記緑化保護装置が、10cm×10cmの升目から成る溶接金網を少なくとも三段以上折り曲げて成る第一網ユニットを、所定の間隔を隔てて配置すると共に前記第一網ユニット間の横方向及び/又は縦方向を相互に可動自在に連結して成る
ことを特徴とする緑化保護装置を備えたのり面。 - 請求項10又は請求項11記載の緑化保護装置を備えたのり面において、
前記第一ゾーンは、
前記緑化保護装置を前記緑化のり面又は緑化済のり面の内周又は外周に沿って連続的に設置する第一域と、
前記第一域の内周又は外周に沿って前記緑化保護装置を連続的に設置する第二域と
を備えることを特徴とする緑化保護装置を備えたのり面。
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