JP6130768B2 - 液面レベルセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、液面レベルセンサに関する。
従来より、液面レベル、例えば車両に搭載される燃料タンクの燃料レベル(燃料残量)を検出する液面レベルセンサが知られている。液面レベルセンサとしては、液面レベルの変化によって上下動するフロートの挙動に応じて当該液面レベルを検出する構成が周知である。具体的には、液面レベルセンサは、フロートと、これに連結されたアームとを備えている。アームはフロートの挙動に応じて回動することができる。アームの他端にはコンタクトが設けられている。コンタクトは、抵抗線が巻回された巻板に接触配置されており、アームが回動することで巻板に巻回された抵抗線上を摺動する。この液面レベルセンサでは、抵抗線の長さ(巻き数)に応じて抵抗値が異なることから、抵抗線に対するコンタクトの接触位置(すなわち、コンタクトの接触位置における抵抗線のターン数)に応じた電気信号が出力される。これにより、当該電気信号を通じて液面レベルを検出することができる(例えば特許文献1参照)。
この類の液面レベルセンサでは、巻板に導体からなるショート板を重ねて配置し、ショート板を含む巻板に抵抗線を巻回することが行われている。このショート板により、当該ショート板と対応する一定範囲の巻線領域について、抵抗値を一定とすることができる。すなわち、ショート板が存する領域、すなわち、抵抗値が一定となる巻線領域と、ショート板が存しない領域、すなわち、抵抗値が変化して液面レベルを検出可能な巻線領域とを設定することができる。そのため、ショート板の有無・長さを適宜選択することで、同一構成の液面レベルセンサを、コンタクトの回動範囲(例えば燃料タンクの容量や形状)が異なる複数種の車両に対して適用することができる。
実公平5−32968号公報
しかしながら、使用環境によっては巻板に反りが生じる場合があり、ショート板と抵抗線との間に浮きが発生してしまうという問題がある。この場合においては、ショート板と抵抗線との間の圧接力が弱まり接触抵抗が増加してしまう。このため、コンタクトの接触位置に基づく抵抗値が予め定めた抵抗値と異なってしまい、液面レベルを正確に検出することができない可能性がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、巻板に反りが発生しても、ショート板と抵抗線との間の浮きを抑制することができる液面レベルセンサを提供することである。
かかる課題を解決するために、本発明は、互いに対向して所定の板厚をなす第1の主面と第2の主面とを備える巻板と、第1の主面よりも小さな外形寸法に設定されて、第1の主面に重ねて配置されるショート板と、ショート板を含む状態で巻板に巻回される抵抗線と、を有する液面レベルセンサを提供する。この場合、巻板は、第1の主面において当該巻板の長手方向と平行する一対の辺縁部を切り欠いた切欠部を有し、前記第1の主面のエッジと、その側方に段違いとなる第2のエッジとが形成されており、ショート板のエッジ上の点と第2のエッジ上の点とを結ぶ線である基準線に対して、第1の主面のエッジが内側に収まる関係に設定されている。
ここで、本発明において、切欠部は、切り欠き後の残留形状が直角となるように設定されており、巻板の切欠面とショート板の側面とが面一となる関係を有していることが好ましい。
また、本発明において、第2のエッジとショート板のエッジとの間の板厚方向におけるエッジ間距離は、第2のエッジとショート板のエッジとの間の平面方向におけるエッジ間距離よりも大きく設定されていることが好ましい。
また、本発明において、ショート板は、Sn又はSn合金からなるメッキ層が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、抵抗線を巻回する際の張力を変更することなく、ショート板と抵抗線との圧接力を向上させることができる。その結果、巻板の反りが発生するようなシーンでも、ショート板と抵抗線との間の浮きの発生を抑制することができる。
本実施形態にかかる液面レベルセンサが適用された燃料タンクを模式的に示す説明図 本実施形態に係る液面レベルセンサの構成を模式的に示す説明図 巻板を中心とする液面レベルセンサの要部の構成を模式的に示す説明図 巻板を中心とする液面レベルセンサの要部の構成を模式的に示す断面図 従来の巻板構造を示す説明図 ショート板及び抵抗線の圧接力と接触抵抗との関係を示す説明図 接触抵抗の測定手法を示す説明図 変形例としての液面レベルセンサの要部の構成を模式的に示す説明図 変形例としての液面レベルセンサの要部の構成を模式的に示す説明図
図1は、本実施形態にかかる液面レベルセンサ10が適用された燃料タンク1を模式的に示す説明図である。液面レベルセンサ10は、自動車の燃料タンク1内に貯留される燃料の液面レベル(燃料残量)を検出するセンサである。この液面レベルセンサ10は、燃料タンク1の上壁に取り付けられている。液面レベルセンサ10には、回動自在にアーム30が設けられ、アーム30の先端にはフロート40が固定されている。
図2は、本実施形態に係る液面レベルセンサ10の構成を模式的に示す説明図であり、図3は、巻板11を中心とする液面レベルセンサ10の要部の構成を模式的に示す説明図である。液面レベルセンサ10は、巻板11と、ショート板12と、抵抗線13と、コンタクト14を主体に構成されており、巻板11、ショート板12、抵抗線13及びコンタクト14は、カバー15内に収容されている。
巻板11は、板状部材であり、互いに対向して所定の板厚をなす一対の主面110、111を備えている。巻板11は、例えば略矩形となる外形形状を有している。この巻板11には、抵抗線13が螺旋状に巻回されており、巻板11の主面110、111上には個々のターン部(1ターン相当の巻線)に対応する抵抗線13がその長手方向にかけて略等ピッチで配列されている。巻板11は、同一の板厚及び同一の幅(短手方向の長さ(以下同じ))に設定され、抵抗線13を巻回する外周長さは一定となっている。このため、抵抗線13の1ターン毎の抵抗値は一定の割合(例えば2Ω程度)で変化することとなる。
ショート板12は、板状部材であり、巻板11よりも薄い板厚に設定されている。ショート板12は、巻板11における一方の主面(第1の主面)110に重ねて配置されている。抵抗線13は、ショート板12を含む状態で巻板11に巻回されている。なお、ショート板12が重ね合わされる巻板11の主面(第1の主面)110は、コンタクト14が接触する巻板11の主面(第2の主面)111とは逆側となっている。ショート板12及びこれに伴う巻板11の詳細形状については、後述する。
コンタクト14は、抵抗線13が巻回された巻板11に対して接触配置されている。また、コンタクト14は、巻板11に対して回動可能に配置されており、回動動作に応じて巻板11に巻回された抵抗線13上を摺動する。コンタクト14は、アーム30の回動と連動して回動するように当該アーム30と接続されている。これにより、フロート40が液面レベルの上下動に応じて移動すると、アーム30を介してコンタクト14も回動し、コンタクト14は巻板11に巻回した抵抗線13の各ターン部を横断するように巻板11上を摺動する。
この液面レベルセンサ10では、100%に相当する量の燃料が存在している場合、コンタクト14が所定のターン部に相当する抵抗線13と接触し、液面レベルセンサ10は所定の抵抗値に応じた電気信号を出力する。一方、燃料が減少するに従って、コンタクト14はそれとは異なるターン部に相当する抵抗線13と接触することとなり、液面レベルセンサ10は異なる抵抗値に応じた電気信号を出力することなる。このような抵抗値の相違に応じた電気信号により、液面レベルを検出することとなる。
本実施形態の特徴の一つとして、図3に示すように、液面レベルセンサ10に係る巻板11の第1の主面110には、ショート板12が重ねて配置されている。
ショート板12は、巻板11の主面110,111よりも小さな外形寸法を有している。具体的には、巻板11の短手方向については、ショート板12は巻板11の主面110,111よりも小さな寸法に設定され、第1の主面110の中央位置に配置されている。同様に、巻板11の長手方向についても、ショート板12は巻板11の主面110,111より小さな外形寸法に設定され、第1の主面110の端部側に配置されている。また、ショート板12の表面には、Sn又はSn合金からなるメッキ層が形成されている。
抵抗線13は、ショート板12を含む状態で巻板11に巻回されており、当該抵抗線13が巻回される巻線領域のうちその端部側に位置づけられる所定の巻線領域に、ショート板12が含まれるようになっている。ショート板12が存する巻線領域は、ショート板12の存在(短絡作用)により抵抗値が一定となる巻線領域であり、ショート板12が存しない巻線領域は、抵抗値が変化して液面レベルを検出することができる巻線領域である。そのため、ショート板12が存する領域を適宜選択(移動)することで、同一構成の液面レベルセンサ10であっても、コンタクトの回動範囲(例えば燃料タンクの容量や形状)が異なる複数種の車両に対して適用することができる。
図4は、巻板11を中心とする液面レベルセンサ10の要部の構成を模式的に示す断面図である。ここで、同図(b)は、同図(a)の破線内の領域を拡大して示す図である。巻板11は、その長手方向と平行するように、第1の主面110の辺縁部を凹状に切り欠いた切欠部112を有している。この切欠部112の存在により、巻板11には、第1の主面110のエッジ110aと、その側方に段違いとなる第2のエッジ11aとが形成されることとなる。本実施形態では、切欠部112は、長手方向の全域に設定されている。
ここで、同図(b)において、「A”」は、切欠部112により切り欠いた板厚(切欠板厚)であり、「A’」は第2のエッジ11aとショート板12のエッジ12aとの間の板厚方向におけるエッジ間距離である。「B’」は第2のエッジ11aとショート板12のエッジ12aとの間の平面方向(幅方向)におけるエッジ間距離である。「F’」は、ショート板12のエッジ12aにかかる力であり、「C’」は、抵抗線13に作用する張力である。「W1’」は巻板11の幅であり、「W2’」はショート板12の幅である。
本実施形態において、切欠部112による切欠幅は、第1の主面110の幅方向の寸法(第1の主面110のエッジ110a間の距離)がショート板12の幅方向の寸法と同一となるように設定されている。また、切欠部112は、切り欠き後の残留形状が直角となるように設定されている。このため、巻板11の切欠面と、ショート板12の側面とが面一となる関係となっている。このような形状を採ることにより、図4(b)に示すように、ショート板12のエッジ12a上の点Qと、第2のエッジ11a上の点Pとを結ぶ線(以下「基準線PQ」という)に対して、第1の主面110のエッジ110aが内側に収まる関係を実現している。この関係により、ショート板12と抵抗線13との圧接力の向上を図ることができる。
また、板厚方向のエッジ間距離A’は、幅方向のエッジ間距離B’よりも大きい関係に設定されている。この関係もまた、ショート板12と抵抗線13との圧接力の向上に寄与することとなる。
以下、本実施形態に係る巻板構造と、切欠部112を備えない従来の巻板構造との圧接力の相違について説明する。ここで、図5は、従来の巻板構造を示す説明図であり、同図(b)は、同図(a)の破線内の領域を拡大して示す図である。この従来の巻板構造は、切欠部を備えていない以外の点において本実施形態に係る巻板構造と同じであり、巻板211、ショート板212、抵抗線213で構成されている。
ここで、同図において、「A」は第1の主面のエッジ211aとショート板212のエッジ212aとの間の板厚方向におけるエッジ間距離であり、「B」は第1の主面のエッジ211aとショート板212のエッジ212aとの間の幅方向のエッジ間距離である。「F」は、ショート板212のエッジ212aにかかる力である。「C」は抵抗線213に作用する張力である。「W1」は巻板211の幅であり、「W2」はショート板212の幅である。
ここで、上記の各パラメータは、以下に示す表1の通りとする。ここで、「T1」は巻板211の板厚であり、「T2」はショート板212の板厚である。
Figure 0006130768
ショート板212のエッジ212aにかかる力Fは、下式で算出される。
Figure 0006130768
数式1における「θ」は、力Fと抵抗線213とのなす角であり、下式で示される。
Figure 0006130768
数式1及び数式2に基づき演算を行うと、ショート板212のエッジ212aに係る力Fは、概ね2.1Nとして算出される。
一方、本実施形態の巻板構造に係る各パラメータは、以下に示す表2の通りとする。ここで、「T1’」は巻板11の板厚であり、「T2’」はショート板12の板厚である。
Figure 0006130768
ショート板12のエッジ12aにかかる力は、数式1及び数式2に基づき同様に算出される。この場合、ショート板212のエッジに係る力は、概ね3.6Nとして算出される。
図6は、ショート板12と抵抗線13との圧接力と、接触抵抗との関係を示す説明図である。同図に示す圧接力と接触抵抗との関係は、図7に示すように、抵抗線13を巻回した巻板11にショート板12を圧接させて荷重を変化させながら、所定電流のもと電圧降下から接触抵抗を測定することにより取得したものである。図6を参照するに、本実施形態の巻線構造では、エッジ12aに作用する圧接力が3.6N(B)であるところ、この圧接力に対応する接触抵抗は概ね0.03Ω(C)となる。一方、従来の巻線構造では、エッジ212aに作用する圧接力が2.1N(A)であるところ、この圧接力に対応する接触抵抗は概ね0.07Ω(D)となる。
また、図6を参照するに、圧接力が3.6Nから1N低下した際の接触抵抗の増加量は、圧接力が2.6Nから1N低下した際の接触抵抗の増加量よりも小さくなっている。すなわち、本実施形態の巻線構造の方が、圧接力低下時の接触抵抗の増加が抑制されることが分かる。
このように本実施形態において、巻板11は、第1の主面110における長手方向の辺縁部を凹状に切り欠いた切欠部112を有しており、第1の主面110のエッジ110aと、その側方に段違いとなる第2のエッジ11aとが形成されている。また、基準線(PQに対して、第1の主面110のエッジ110aが内側に収まる関係に設定されている。
かかる構成によれば、抵抗線13が、第1の主面110のエッジ110aを経由せず、ショート板12のエッジ12a(点Q)から第2のエッジ11a(点P)へと至ることから、ショート板12のエッジ12aにおける抵抗線13の折り曲げ角度が急峻なものとなる。このため、力F’と抵抗線13とのなす角θ’を小さくことができ、抵抗線13を巻回する際の張力を変更することなく、ショート板12と抵抗線13との圧接力を向上させることができる。その結果、巻板11の反りが発生するようなシーンでも、ショート板12と抵抗線13との間の浮きの発生を抑制することができる。
また、本実施形態において、切欠部112は、切り欠き後の残留形状が直角となるように設定されており、巻板11の切欠面とショート板12の側面とが面一となる関係を有している。かかる構成によれば、ショート板12を第1の主面110に重ね合わす際には、互いのエッジ12a,110aが一致するように作業をすればよいので、その位置合わせを容易に行うことできる。これにより、ショート板12の組み付け精度及び生産性の向上を図ることができる。
なお、切欠部112を除いた第1の主面110の形状は、これに限定されず、図8に示すように、基準線PQに対してエッジ110aが内側に収まる関係であれば、第1の主面110の幅方向がショート板12の幅方向よりも大きく形成されてもよい。また、切欠部112の設定は、凹状であることに限られず、図9に示すようなくさび状であってもよく、第1の主面110のエッジ110は、第1の主面110として平面をなす領域の外縁として定義されることとなる。
また、本実施形態において、板厚方向におけるエッジ間距離A’は、平面方向におけるエッジ間距B’離よりも大きく設定されている。かかる構成によれば、力F’と抵抗線13とのなす角θ’が小となる関係を適切に形成することができる。これにより、抵抗線13を巻回する際の張力を変更することなく、ショート板12と抵抗線13との圧接力を向上させることができる。その結果、巻板11の反りが発生するようなシーンでも、ショート板12と抵抗線13との間の浮きの発生を抑制することができる。
また、本実施形態において、ショート板12は、Sn又はSn合金からなるメッキ層が形成されている。かかる構成によれば、抵抗線13がメッキ層に食い込むことで、接触面積を増やすことができる。
なお、上述した実施形態では、切欠部112を長手方向の全域にわたって形成しているが、これに限定されない。例えば、切欠部112は、少なくともショート板12と対応する範囲に設定さることでもよい。また、第1の主面110がショート板12の形状と一致するように、その中心部に至る範囲まで切欠部112を設定してもよい。
以上、本実施形態にかかる液面レベルセンサについて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されることなく、その発明の範囲において種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態では自動車用の燃料タンク内の燃料の液面レベルを検出するものについて説明をしたが、本発明は液面レベルを検出するものであれば他の用途に用いられてもよい。
10 液面レベルセンサ
11 巻板
11a 第2のエッジ
110 第1の主面
110a エッジ
111 第2の主面
112 切欠部
12 ショート板
12a エッジ
13 抵抗線
14 コンタクト
15 カバー
30 アーム
40 フロート

Claims (4)

  1. 互いに対向して所定の板厚をなす第1の主面と第2の主面とを備える巻板と、
    前記第1の主面よりも小さな外形寸法に設定されて、前記第1の主面に重ねて配置されるショート板と、
    前記ショート板を含む状態で前記巻板に巻回される抵抗線と、を有し、
    前記巻板は、前記第1の主面において当該巻板の長手方向と平行する一対の辺縁部を切り欠いた切欠部を有し、前記第1の主面のエッジと、その側方に段違いとなる第2のエッジとが形成されており、
    前記ショート板のエッジ上の点と前記第2のエッジ上の点とを結ぶ線である基準線に対して、前記第1の主面のエッジが内側に収まる関係に設定されていることを特徴とする液面レベルセンサ。
  2. 前記切欠部は、切り欠き後の残留形状が直角となるように設定されており、前記巻板の切欠面と前記ショート板の側面とが面一となる関係を有していることを特徴とする請求項1に記載された液面レベルセンサ。
  3. 前記第2のエッジと前記ショート板のエッジとの間の板厚方向におけるエッジ間距離は、前記第2のエッジと前記ショート板のエッジとの間の平面方向におけるエッジ間距離よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された液面レベルセンサ。
  4. 前記ショート板は、Sn又はSn合金からなるメッキ層が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された液面レベルセンサ。
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