JP6129840B2 - 石灰窒素含有粒状肥料およびその生産方法 - Google Patents

石灰窒素含有粒状肥料およびその生産方法 Download PDF

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Description

本発明は、石灰窒素含有粒状肥料およびその生産方法に関する。
石灰窒素肥料は、カルシウムシアナミドを主成分とする緩効性肥料であり、農薬効果をも有することから、長年にわたって賞用されている。石灰窒素は工業的にはカルシウムカーバイドを窒化して製造され、通常約13重量%〜20重量%程度のCaOを含有している。粉状の石灰窒素を原料に用いて粒状肥料を製造する場合には、造粒後においてもなおCaOが残存している場合があり、このときには造粒時に使用するバインダーの水分や石灰窒素以外の肥料が含む水分、長期的には空気中の水分と反応して体積膨張を起こし、最終的には造粒した肥料を崩壊させたり、風化粉が発生したりするという不都合が生じることがある。
このため、賦型時にCaOを消和するか、または賦型前の原料の段階で石灰窒素中のCaOを消和することが重要であり、粉状石灰窒素のみを原料に用いて粒状石灰窒素を製造する場合では、石灰窒素に対しCaO含量を低減することが好ましい。
CaOを消和するに当たっては、消和反応時の温度条件は高温である方が効率的ではあるが、反面、石灰窒素の主成分であるカルシウムシアナミド自体の加水分解反応も進みアンモニアとして揮散したり、肥料成分として肥料取締法上、含有量に制限のあるジシアンジアミドといった副生物の産生が無視できなくなったりする問題がある。逆に、副生物の生成が少ない低温では、消和反応が進みにくいという問題点を抱えている。
消和に必要とされる水分量は、理論的にはCaOとモル等量であるが、理論量では消和に伴う発熱で蒸発する損失が生じるため充分に消和ができず、多すぎるときにはカルシウムシアナミドからアンモニアの揮散が生じて窒素を減ずるほか、余剰の付着水分を乾燥しなければ一層の窒素の損失を招き、消和工程でシアナミド態窒素などの有効窒素成分量の損失率が上昇するという問題があった。
上記事情のために、石灰窒素の消和方法に関して、消和温度、水の添加量、水添加のタイミング、及びこれらを組み合わせて各種の提案がなされている。
また、特許文献1には、石灰窒素中の生石灰を80℃以上の温度を保ちながら水蒸気で消和する石灰窒素質肥料の製造方法が開示されている。特許文献2には、石灰窒素の加水分解速度を遅延させる物質を含有する石灰窒素用改質剤が開示されている。特許文献3には、石灰窒素中の生石灰が水和処理された粉状の石灰窒素にリグニンスルホン酸を混合した後、他の成分をさらに混合し、さらに硝酸カルシウムを溶解した造粒水を加えて造粒することが開示されている。
特開2001−31485号公報 特開平10−297985号公報 特開2002−12488号公報
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
第一に、特許文献1の方法では、石灰窒素中の生石灰を消和する際に、例えば実施例1に示すように石灰窒素40kgに水4.0kgを添加するような実際のプラントサイズに近い反応では急激に温度が上昇するため、後述するように肥料成分として肥料取締法上、含有量に制限のあるジシアンジアミドといった副生物の産生が無視できず、シアナミドの含有率が低下する問題がある。また、水和造粒乾燥後、アンモニアが発生することがあり、使用時にパッケージを開封するとき、アンモニア臭が強いために使用者が不快を感じて顔を背けることがある。
第二に、特許文献2の方法では、すでに消和処理済みの石灰窒素に対して石灰窒素の加水分解速度を遅延させる物質を添加して粒状肥料を製造している。そのため、未消和の石灰窒素を水溶液で消和処理する時点では発熱が抑制されることがなく、後述するように肥料成分として肥料取締法上、含有量に制限のあるジシアンジアミドといった副生物の産生が無視できず、シアナミドの含有率が低下する問題がある。また、この石灰窒素の加水分解速度を遅延させる物質を含む粒状肥料は、後述するように圧壊強度が低下するために、取扱性および散布性に問題があった。
第三に、特許文献3の方法では、110℃で乾燥を行なっているため、後述するように肥料成分として肥料取締法上、含有量に制限のあるジシアンジアミドといった副生物の産生が無視できず、シアナミドの含有率が低下する問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、生石灰の含有率が少なく、シアナミドの含有率が多くジシアンジアミドの含有率が少なく、アンモニアの発生が抑制された石灰窒素含有粒状肥料を提供することを目的とする。
本発明によれば、生石灰の水和反応を抑制する有機添加剤又は無機添加剤と、造粒助材として硝酸塩又は塩酸塩と、消和処理済みの石灰窒素と、を含み、その消和処理済みの石灰窒素のうちジシアンジアミドの含有率が2.0質量%以下である、石灰窒素含有粒状肥料が提供される。
この構成によれば、後述する実施例で示すように、生石灰の含有率が少なく、シアナミドの含有率が多くジシアンジアミドの含有率が少なく、アンモニアの発生が抑制された石灰窒素含有粒状肥料が得られる。
また、本発明によれば、未消和処理の石灰窒素含有組成物に消和に用いる水または水溶液を添加し、発熱ピーク温度が110℃未満となる条件で石灰窒素を消和処理する工程と、消和処理済みの前記石灰窒素含有組成物を造粒する工程と、を含む、石灰窒素含有粒状肥料の生産方法が提供される。
この方法によれば、後述する実施例で示すように、生石灰の含有率が少なく、シアナミドの含有率が多くジシアンジアミドの含有率が少なく、アンモニアの発生が抑制された石灰窒素含有粒状肥料が得られる。
本発明によれば、生石灰の含有率が少なく、シアナミドの含有率が多くジシアンジアミドの含有率が少なく、アンモニアの発生が抑制された石灰窒素含有粒状肥料が得られる。
環境温度50℃の条件における消和に用いる水の量の違いによる発熱挙動について説明するためのグラフである。 環境温度が50℃の条件で水または各種有機添加剤を含む消和に用いる水溶液を石灰窒素に添加した場合の発熱挙動について説明するためのグラフである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書でA〜Bと記載した場合には、A以上B以下を意味するものとする。
<石灰窒素の消和のメカニズム>
下記の化学反応で示すとおり、石灰窒素に含まれる未消和石灰(CaO)は、主に空気中の水分と反応して加水分解する際、カルシウム化合物の形態変化や発熱を伴うために体積膨張を引き起こし粒状から粉状への崩壊などが起こり、肥料としての保管や取り扱いに注意を要する。このため、あらかじめ未消和石灰(CaO)を水で消和した消和処理品が流通している。
CaO+HO→Ca(OH) ΔH=15.3Kcal
CaCN+2HO→Ca(OH)+HCN ΔH=3.4Kcal
上記反応式からわかる様に、水は生石灰、石灰窒素の両者に作用するが、ΔHの大きいCaOに優先的に使用される。しかし、一部の水はCaCNにも接触し加水分解がおこり、以下の反応にまで至って肥料の有効成分が低下する問題がある。
CN+2HO→CO+2NH
また、生石灰を水で消和させるときに、その反応温度が80℃以上の温度を保つ場合には、後述する実施例で示すようにジシアンジアミドなどを副生し、有効な肥料成分であるシアナミドが失われ易いという問題もある。また、水和造粒乾燥後、アンモニアが発生することがあり、使用時にパッケージを開封するとき、アンモニア臭が強いので使用者が不快を感じて顔を背けることがある。
本発明者らは、上記事情に鑑みて、後述する実施例に示すように、いろいろ実験を重ねた結果、石灰窒素中の生石灰の消和による発熱ピーク温度を110℃未満に抑制することにより、驚くべきことに生石灰の含有率が少なく、シアナミドの含有率が多くジシアンジアミドの含有率が少なく、アンモニアの発生が抑制された石灰窒素含有粒状肥料が得られることを見いだした。
また、本発明者らは、この消和に用いる水溶液が、生石灰の水和反応を抑制する有機添加剤又は無機添加剤を含む場合には、図2に示すように、石灰窒素中の生石灰の消和による発熱ピーク温度を110℃未満に抑制することが容易になるため、より一層シアナミドの含有率が多くジシアンジアミドの含有率が少なく、アンモニアの発生が抑制された石灰窒素含有粒状肥料が得られることを見いだした。しかしながら、本発明者らは、消和に用いる水溶液が生石灰の水和反応を抑制する有機添加剤又は無機添加剤を含む場合には、石灰窒素含有粒状肥料の圧壊強度が低下しやすいことに気づいた。そこで、本発明者らは、いろいろ実験を重ねた結果、石灰窒素含有粒状肥料の造粒に用いる水溶液が硝酸塩又は塩酸塩のいずれかの造粒助材を含む場合には、石灰窒素含有粒状肥料の圧壊強度が向上するためにこの弱点を克服できることに気づいた。
<石灰窒素含有粒状肥料>
本実施形態の石灰窒素含有粒状肥料は、生石灰の水和反応を抑制する有機添加剤又は無機添加剤と、硝酸塩又は塩酸塩と、消和処理済みの石灰窒素と、を含む。石灰窒素には、石灰石を原料とするカーバイドに高温で窒素を吸収化合させて製造する窒素質肥料が含まれる。石灰窒素の主成分のカルシウムシアナミドは加水分解によりシアナミドに変化し農薬効果(殺虫、除草、殺菌)を発揮した後、土壌中で肥料成分に分解される。
本実施形態に用いる消和処理済みの石灰窒素には、未消和の石灰窒素を水溶液または水蒸気などで消和して得られた石灰窒素が含まれる。本実施形態に用いる消和処理済みの石灰窒素においては、
CaO+HO→Ca(OH)
の化学反応によって大部分の生石灰(未消和石灰(CaO))が消石灰(消和石灰(Ca(OH)))に変化してしまっていることが好ましい。
本実施形態に用いる消和処理済みの石灰窒素は、例えば生石灰の含有率が5質量%以下であることが好ましい。石灰窒素に含まれる生石灰が主に空気中の水分と反応して加水分解する際に、カルシウム化合物の形態変化を起こし、発熱と体積膨張を伴うため粒状から粉状への崩壊などが起こることを抑制するためである。あるいは、本実施形態に用いる消和処理済みの石灰窒素に含まれる生石灰の含有率は、5.0質量%、4.5質量%、4.0質量%、3.5質量%、3.0質量%、2.5質量%、2.0質量%、1.5質量%、1.0質量%、0.5質量%、0.1質量%のいずれかの値以下、またはこれらの任意の2つの値の範囲内であってもよい。
本実施形態に用いる消和処理済みの石灰窒素は、シアナミド態窒素の含有率が10質量%以上であることが好ましい。有効な農薬成分や肥料成分であるシアナミドが多いほど土壌に対する肥料効果が高くなるためである。あるいは、本実施形態に用いる消和処理済みの石灰窒素に含まれるシアナミド態窒素の含有率は10質量%、12質量%、14質量%、16質量%、18質量%、20質量%、22質量%、24質量%、26質量%、28質量%のいずれかの値以上、またはこれらの任意の2つの値の範囲内であってもよい。
本実施形態に用いる消和処理済みの石灰窒素は、ジシアンジアミドの含有率が2.0質量%以下であることが好ましい。ジシアンジアミドの含有率が増えると、その分だけシアナミドの含有率が少なくなるためである。あるいは、本実施形態に用いる消和処理済みの石灰窒素に含まれるジシアンジアミドの含有率は2.0質量%、1.5質量%、1.0質量%、0.5質量%、0.1質量%のいずれかの値以下、またはこれらの任意の2つの値の範囲内であってもよい。
本実施形態に用いる消和処理済みの石灰窒素は、不純物としてのメラミンの含有率が0.4質量%以下であることが好ましく、更に0.2%質量%以下であることが好ましい。メラミンの含有率が増えると、その分だけシアナミドの含有率が少なくなるためである。あるいは、本実施形態に用いる消和処理済みの石灰窒素に含まれるメラミンの含有率は0.4質量%、0.35質量%、0.30質量%、0.25質量%、0.20質量%、0.15質量%、0.10質量%、0.05質量%、0.025質量%、0.020質量%、0.015質量%、0.010質量%のいずれかの値以下、またはこれらの任意の2つの値の範囲内であってもよい。
本実施形態で用いる生石灰の水和反応を抑制する有機添加剤又は無機添加剤は、後述する実施例で示すように、生石灰の水和反応を抑制することによって、石灰窒素中の生石灰の消和による発熱ピーク温度をより低く抑えることが可能となり消和中の石灰窒素の温度を110℃未満になるように保つこと、および水和反応の平坦化を容易にする。あるいは、消和中の石灰窒素の温度は100℃、110℃、120℃のいずれの温度未満であってもよい。そのため、生石灰の水和反応を抑制する有機添加剤又は無機添加剤を用いれば、シアナミド態窒素の含有率が多くジシアンジアミドおよびメラミンの含有率が少なく、アンモニアの発生が抑制された石灰窒素含有粒状肥料が得られる。
本実施形態で用いる生石灰の水和反応を抑制する有機添加剤は、例えば、グルコヘプトン酸、グルコン酸、ガラクトン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などのオキシカルボン酸類又はその塩、ピルビン酸などのケトカルボン酸類又はその塩、イタコン酸又はその塩、ソルビトール、マンニトールなどの糖アルコール類、グルコース、マンノース、ガラクトース、フラクトース、アラビノース、スクロース(サッカロース)、ラクトース、マルトース、ラフィノース、デキストリン、キシロースなどの糖類、でんぷん、芳香族スルホン酸又はその塩、リグニンスルホン酸又はその塩、イノシトールからなる群から選ばれる1種以上の有機物を含むことが好ましい。これらの有機物は、後述する実施例で示すように、実際に生石灰の水和反応を抑制する機能を有することを本発明者らは確認しているからである。また、これらの有機物は農薬または肥料の原料として用いる場合に安全性が確認されている面でも好ましい。
また、本実施形態で用いる生石灰の水和反応を抑制する有機添加剤は、廃糖蜜、コーンシロップ、パルプ廃液からなる群から選ばれる1種であってもよい。これらの有機物は、後述する実施例で示すように、実際に生石灰の水和反応を抑制する機能を有することを本発明者らは確認しているからである。また、これらの有機物は農薬または肥料の原料として用いる場合に安全性が確認されており、さらに入手が容易で購入コストが低い面でも好ましい。なお、本明細書において、「廃糖蜜」とは、砂糖を精製する時に発生する、糖分以外の成分も含んだ粘状で黒褐色の液体を含む。すなわち、廃糖蜜には、モラセス(Molasses)が含まれる。また、廃糖蜜は、サトウキビを精製した時に得られるものであってもよく、テンサイを精製した時に得られるものであってもよく、その他の原料を精製した時に得られるものであってもよい。
また、本実施形態で用いる生石灰の水和反応を抑制する無機添加剤は、珪フッ化マグネシウム、リン酸、リン酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、リン酸2水素カリウム、リン酸2水素アンモニウム、リン酸2水素塩、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの無機塩類であることが好ましい。なお、これらの中でもホウ酸、リン酸2水素カリウム、珪フッ化マグネシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムが特に好ましい。
有機添加剤又は無機添加剤の石灰窒素に対する配合量の下限については、用いる有機添加剤又は無機添加剤の種類、組み合わせにより異なるが、消和時に石灰窒素100質量部に対して0.1質量部以上の適当量を配合することで、生石灰の水和反応を抑制することができ、上記の要請に対応することができる。
また、有機添加剤又は無機添加剤の石灰窒素に対する配合量の上限については、特に定める必要はないが、有機添加剤又は無機添加剤の多量の添加は、結果的に窒素含有率の低下をもたらす。また、有機添加剤又は無機添加剤の多量の添加は、有機添加剤又は無機添加剤の副次的な効果として石灰窒素の加水分解速度の遅延効果が現れるため、肥料等に用いた時に、石灰窒素の加水分解速度が予想よりも遅くなり、通常の石灰窒素として用いる場合は具合が悪い。そのため、有機添加剤又は無機添加剤による分解遅延効果が顕著に現れない消和処理済みの石灰窒素100質量部に対して0.1〜5質量部の範囲で添加するのが望ましい。あるいは、本実施形態に用いる消和処理済みの石灰窒素に対する有機添加剤又は無機添加剤の配合量は、石灰窒素100質量部に対して0.1質量部、0.2質量部、0.3質量部、0.4質量部、0.5質量部、1.0質量部、1.5質量部、2.0質量部、2.5質量部、3.0質量部、3.5質量部、4.0質量部、4.5質量部、5.0質量部の任意の2つの値の範囲内であってもよい。
本実施形態で用いる硝酸あるいはその塩又は塩酸あるいはその塩は、後述する実施例で示すように石灰窒素含有粒状肥料の圧壊強度を向上させる。そのため、硝酸あるいはその塩又は塩酸あるいはその塩を用いることによって、上述する有機添加剤又は無機添加剤の石灰窒素含有粒状肥料の圧壊強度を低下させやすいという弱点を補って、取扱性および散布性に優れた石灰窒素含有粒状肥料を得ることができる。さらに、本発明者らはジシアンジアミドおよびメラミンの生成抑制にも効果があることを見いだしている。
本実施形態で用いる硝酸塩又は塩酸塩は、例えば、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムからなる群から選ばれる1種以上の塩を含むことが好ましい。これらの硝酸塩又は塩酸塩は、後述する実施例で示すように、実際に石灰窒素含有粒状肥料の圧壊強度を向上させること、さらにはジシアンジアミドおよびメラミンの生成抑制にも効果があることを本発明者らは確認しているからである。また、これらの硝酸塩又は塩酸塩は農薬または肥料の原料として用いる場合に安全性が確認されている面でも好ましい。
硝酸塩又は塩酸塩の石灰窒素に対する配合量の下限については、用いる硝酸塩又は塩酸塩の種類、組み合わせにより異なるが、造粒時に石灰窒素100質量部に対して3質量部以上の適当量を配合することで、石灰窒素含有粒状肥料の圧壊強度を向上させることができ、上記の要請に対応することができる。また、硝酸塩又は塩酸塩の石灰窒素に対する配合量の上限については、特に定める必要はないが、硝酸塩又は塩酸塩の多量の添加は、結果的にシアナミド含有率の低下をもたらす。そのため、硝酸塩又は塩酸塩は、消和処理済みの石灰窒素100質量部に対して3〜20質量部の範囲で添加するのが望ましい。あるいは、本実施形態に用いる消和処理済みの石灰窒素に対する硝酸塩又は塩酸塩の配合量は、石灰窒素100質量部に対して3質量部、4質量部、5質量部、6質量部、7質量部、8質量部、9質量部、10質量部、12質量部、14質量部、16質量部、18質量部、20質量部の任意の2つの値の範囲内であってもよい。
石灰窒素含有肥料は、粉末の場合には作業時に飛散しやすいという理由から、粒状であることが望まれている。本実施形態の方法の一つは、消和操作において、生石灰の水和反応を抑制する有機添加剤又は無機添加剤を含有する消和に用いる水溶液を用いる。そして、造粒時に用いる液体として、石灰窒素含有粒状肥料の圧壊強度を高める硝酸塩又は塩酸塩を含有する造粒に用いる水溶液を用いる。そのために、本実施形態の方法の一つによれば、容易に生石灰の含有率が少なく圧壊強度に優れ、シアナミドの含有率が多くジシアンジアミドおよびメラミンの含有率が少なく、アンモニアの発生が抑制された石灰窒素含有粒状肥料が得られることにある。
造粒品を得ようとする場合、未消和の石灰窒素含有肥料粉体に有機添加剤又は無機添加剤を含有する消和に用いる水溶液を加えて消和反応を行う。その後、消和処理済みの石灰窒素含有肥料粉体に硝酸塩又は塩酸塩を含有する造粒に用いる水溶液を加えて、一般に混練して均一度を高めた後、押し出し、型押し等の造粒方法で、或いはパン型造粒機、キルン型造粒機、ドラム型造粒機等を用いて粉末から造粒するなどの従来公知の方法で造粒し、加熱、送風などの手段で乾燥することにより、容易に造粒品とすることができる。又、粉状のリン酸肥料や加里肥料との混合物、粉状のリン酸肥料や加里肥料との混合後造粒物についても、本実施形態を利用して石灰窒素中の生石灰を消和して、その後造粒することができる。
本実施形態の石灰窒素含有粒状肥料は、このようにして消和および造粒して得られるため圧壊強度に優れているが、例えば、木屋式硬度計(Model Number 02040001)による圧壊強度(造粒物直径2〜4mmを20個測定した平均値)0.5Kgf以上であることが好ましい。石灰窒素含有粒状肥料の圧壊強度が高いほど取扱性および散布性に優れるからである。あるいは、本実施形態の石灰窒素含有粒状肥料の圧壊強度は、0.5Kgf、1.0Kg、1.5Kgf、2.0Kgf、2.5Kgf、3.0Kgf、3.5Kgf、4.0Kgf、5.0Kgf、5.5Kgf、6.0Kgf、6.5Kgf、7Kgfのいずれかの値以上、又は任意の2つの値の範囲内であってもよい。
本実施形態の石灰窒素含有粒状肥料は、防湿性能を有する合成樹脂製の袋に所定の量が密閉包装され最終製品となる。その後、包装袋が開封され肥料として使用されるまでには、様々な貯蔵環境に置かれる。貯蔵中の製品としての粒状肥料の貯蔵安定性を調べるために、「農薬の登録申請書等に添付する資料について」(平成14年1月10日付け13生産第3987号農林水産省生産局長通知)記載(経時安定性に関する検査では40℃1ヶ月の苛酷試験は室温での1か年の試験と同等として取り扱う)の条件に準拠し、貯蔵安定性を調べた。なお、後述の実施例では、貯蔵期間としては半年に相当する2週間を採用し、また貯蔵安定性能評価は粒の圧壊強度により調べている。
本実施形態の石灰窒素含有粒状肥料は、このようにして40℃、2週間後に測定した圧壊強度が0.5Kgf以上であることが好ましい。この圧壊強度が高いほど貯蔵安定性に優れるからである。あるいは、この圧壊強度は、0.5Kgf、1.0Kg、1.5Kgf、2.0Kgf、2.5Kgf、3.0Kgf、3.5Kgf、4.0Kgf、5.0Kgf、5.5Kgf、6.0Kgf、6.5Kgf、7Kgfのいずれかの値以上、又は任意の2つの値の範囲内であってもよい。
<石灰窒素含有粒状肥料の生産方法>
本実施形態の石灰窒素含有粒状肥料の生産方法は、未消和処理の石灰窒素含有組成物に消和に用いる水溶液を添加し、発熱ピーク温度が110℃未満となる条件で石灰窒素を消和処理する工程と、消和処理済みの前記石灰窒素含有組成物を造粒する工程と、を含む。なお、本実施形態の石灰窒素含有粒状肥料の生産方法は、造粒した石灰窒素含有粒状肥料を乾燥する工程をさらに含んでもよい。このように石灰窒素中の生石灰を発熱ピーク温度が110℃未満になるようにしながら消和すると、後述する実施例で示すように、生石灰の含有率が少なく、シアナミドの含有率が多くジシアンジアミドおよびメラミンの含有率が少なく、アンモニアの発生が抑制された石灰窒素含有粒状肥料が得られる。
なお、このとき、消和反応は消和に用いる水溶液そのものによって行われる必要はなく、消和に用いる水溶液から発生する水蒸気によって石灰窒素が消和処理されてもよい。例えば、ミキサー中に未消和の石灰窒素および消和に用いる水溶液を入れて、攪拌した後にミキサーを密閉してミキサー中で消和反応の熱によって蒸発した消和に用いる水溶液の水蒸気によって石灰窒素の消和反応を行なってもよい。
図1は、環境温度50℃の条件における消和に用いる水の量の違いによる発熱挙動について説明するためのグラフである。この図に示すように、消和に用いる水の量が多ければ多いほど消和反応時の発熱ピーク温度が上昇する。そのため、生石灰の含有率が少なくシアナミドの含有率が多くジシアンジアミドおよびメラミンの含有率が少なく、アンモニアの発生が抑制された石灰窒素含有粒状肥料を得るためには、消和に用いる水の量を減らせばよいことになる。
また、本発明者らは、生石灰の水和反応を抑制する有機添加剤又は無機添加剤を消和に用いる水溶液中に添加することによって、さらに効果的に消和時の発熱ピーク温度自体を低下させることができることを見出した。
図2は、環境温度が50℃の条件で各種有機添加剤を含む消和に用いる水溶液を石灰窒素に添加した場合の発熱挙動について説明するためのグラフである。この図に示すように、消和に用いる水に各種有機添加剤を加えて水溶液とすることによって、発熱ピーク温度を大幅に抑制することができる。特に、それぞれ10%(w/v)のグルコース、フラクトース、スクロース、キシロース、でんぷん、グルコン酸、廃糖蜜(主成分:グルコース、フラクトース、スクロースなど)、サンエキスC(リグニンスルホン酸塩)、リグニンスルホン酸Caの水溶液を加えた場合に、効果的に発熱ピーク温度を大幅に抑制することができている。なお、図2には示していないが、有機添加剤の代わりに無機添加剤を含む水溶液を添加しても同様の効果がある。
しかし、本発明者らは、単純に消和に用いる水に各種有機添加剤又は無機添加剤を添加して水溶液とした場合には、消和時の発熱ピーク温度自体は低下させることができるが、その代わりに石灰窒素含有粒状肥料の圧壊強度が低下しやすいことに気づいた。そこで、本発明者らは、いろいろ実験を重ねた結果、石灰窒素含有粒状肥料の造粒に用いる水溶液が硝酸塩又は塩酸塩のいずれかの造粒助材を含む場合には、石灰窒素含有粒状肥料の圧壊強度が向上するためにこの弱点を克服できることに気づいた。
また、本発明者らは、造粒した石灰窒素含有粒状肥料を乾燥する際に、乾燥温度が高すぎると、後述する実施例で示すように、乾燥工程においてもジシアンジアミドおよびメラミンなどが副生され、有効な肥料成分であるシアナミドが失われ易いという問題にも気づいた。
そこで、本発明者らは、本実施形態の石灰窒素含有粒状肥料の生産方法に、造粒した石灰窒素含有粒状肥料を100℃以下の条件で流動乾燥機を用いて乾燥する工程をさらに加えることが好ましいことを見出した。100℃以下の条件で流動乾燥機を用いて乾燥すれば、低温かつ短時間で効率良く乾燥ができるために、乾燥工程でジシアンジアミドなどが副生されにくく、有効な肥料成分であるシアナミドの含有量を高く維持できる。あるいは、この乾燥工程の温度は、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃のいずれかの値以下又は任意の2つの値の範囲内であってもよい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
また、上記実施の形態では乾燥工程を流動乾燥機で行うこととしたが、特に限定する趣旨ではなく、低温かつ短時間で乾燥できるのであれば他の乾燥機を用いても良い。例えば、振動乾燥機、キルン式乾燥機、送風乾燥機、減圧乾燥機などを好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実験例1>
表1に示すように、直径1m深さ40cmのコンクリート用ミキサーに石灰窒素40kgを入れ、次に水5.0kg(石灰窒素100質量部に対して12.5質量部)を如雨露で一括添加し、蒸気抜きとして頂部に直径5cmの穴を穿った円錐形の蓋をし、直ちに3分間攪拌を行い、そのまま放置した。頂部穴より温度計を差し込み品温を計測した結果、消和反応ピーク温度は124.1℃に達した。消和反応終了後に消和済みの石灰窒素を採取し、次のパン造粒工程に用いた。
消和処理済みの石灰窒素に水を造粒水量が34.5(v/w)%となるように添加して、一般的なパン型造粒機を用いて造粒時間23分間かけて造粒を行った。得られた粒状肥料のうち篩を用いて所望の直径2〜4mmのものだけを篩別したところ、所望の直径の造粒率は53.3%(w/w)であった。これらの所望の直径の粒状肥料だけを選び出して、次の乾燥工程に用いた。
次の乾燥工程では、サンプルを、流動乾燥機を用いて、(1)乾燥温度80℃、乾燥時間5分および10分で乾燥処理を行った。その結果、水分0.4%(w/w)、圧壊強度がともに1.0Kgf/mm以上(表1では++と表示)である乾燥処理済みの粒状肥料が得られた。なお、圧壊強度は、篩わけにより得た直径2〜4mmの造粒物について任意の20個を選び、木屋式硬度計(Model Number 02040001)により測定した。
また、乾燥処理済みの粒状肥料を分析したところ、表1に示すように、石灰窒素のうち生石灰の含有率は、0.14質量%および0.21質量%であった。この生石灰の含有率は、X線回折装置を用い、試薬のCaOにて作成した検量線と試料のピーク強度から測定値を求めた。また、乾燥処理済みの粒状肥料を分析したところ、石灰窒素のうちシアナミド態窒素の含有率は、15.59質量%および17.99質量%であった。このシアナミド態窒素の含有率は、農林水産省農業環境技術研究所「肥料分析法」1992年版、シアナミド性窒素、硝酸銀法により測定した。また、石灰窒素のうちジシアンジアミドの含有率は、4.52質量%および3.65質量%であった。このジシアンジアミドの含有率は、高速液体クロマトグラフ法、農林水産消費安全技術センター 肥料研究報告(2)、25−31、2009年により測定した。
また、訓練されたパネラーが、乾燥処理済みの粒状肥料のアンモニア臭について官能試験を行った。官能試験の結果は、以下のように評価した。
◎:アンモニア臭が全く無い
○:アンモニア臭がほとんど無い
△:アンモニア臭が少し有る
×:アンモニア臭がひどい
水和造粒品の圧壊強度
また、乾燥処理済みの粒状肥料の圧壊強度を、木屋式硬度計(Model Number 02040001)を用いて、造粒物直径2〜4mmを20個測定した平均値として算出した。これらの詳しい条件および評価結果を表1に示す。表1では、圧壊強度を以下のように表記している。
++:1.0Kgf/mm以上
+:0.5Kgf/mm以上 1.0Kgf/mm未満
+−:0.2Kgf/mm以上 0.5Kgf/mm未満
−:0.05Kgf/mm以上 0.2Kgf/mm未満
/:測定していない
なお、後述する表2および表3についても同様である。
40℃、2週間貯蔵後の圧壊強度
さらに、乾燥処理済みの粒状肥料を、「農薬の登録申請書等に添付する資料について」(平成14年1月10日付け13生産第3987号農林水産省生産局長通知)記載(経時安定性に関する検査では40℃1ヶ月の苛酷試験は室温での1か年の試験と同等として取り扱う)の条件に準拠させ、恒温槽40℃、2週間後の貯蔵安定性の尺度である圧壊強度を測定した。これらの詳しい条件および評価結果を表1に示す。40℃、2週間貯蔵後の圧壊強度の測定方法および表記は、上記の水和造粒品の圧壊強度の測定方法および表記と同様である。なお、後述する表3についても同様である。
<実験例2>
消和に用いる水溶液として、10%(w/v)濃度の廃糖蜜水溶液を、石灰窒素100質量部に対して12.5質量部だけ一括添加した点を除いては、基本的には実験例1と同様にして石灰窒素含有粒状肥料を作製した。詳しい条件および評価結果を図2、表1に示す。
<実験例3>
消和に用いる水溶液として、5%(w/v)濃度のカルボキシルメチルセルロース(CMC)/M30000水溶液を、石灰窒素100質量部に対して12.5質量部だけ一括添加した点、および乾燥温度60℃、乾燥時間20分とした点を除いては、基本的には実験例1と同様にして石灰窒素含有粒状肥料を作製した。詳しい条件および評価結果を表2に示す。
<実験例4>
消和に用いる水溶液として、10%(w/v)濃度のリグニンスルホン酸Na水溶液を、石灰窒素100質量部に対して12.5質量部だけ一括添加した点、および乾燥温度60℃、乾燥時間20分とした点を除いては、基本的には実験例1と同様にして石灰窒素含有粒状肥料を作製した。詳しい条件および評価結果を図2、表2に示す。
<実験例5>
消和に用いる水溶液として、10%(w/v)濃度のでんぷん水溶液を、石灰窒素100質量部に対して12.5質量部だけ一括添加した点、および乾燥温度60℃、乾燥時間20分とした点を除いては、基本的には実験例1と同様にして石灰窒素含有粒状肥料を作製した。詳しい条件および評価結果を表2に示す。
<実験例6>
消和に用いる水溶液として、10%(w/v)濃度のスクロース水溶液を、石灰窒素100質量部に対して12.5質量部だけ一括添加した点、および乾燥温度60℃、乾燥時間60分とした点を除いては、基本的には実験例1と同様にして石灰窒素含有粒状肥料を作製した。詳しい条件および評価結果を表3に示す。
<実験例7>
消和に用いる水溶液として、10%(w/v)濃度の廃糖蜜水溶液を、石灰窒素100質量部に対して12.5質量部、硝酸カルシウムを石灰窒素100質量部に対して6質量部を一括添加した点および乾燥温度80℃、乾燥時間60分とした点を除いては、基本的には実験例1と同様にして石灰窒素含有粒状肥料を作製した。詳しい条件および評価結果を表3に示す。
<実験例8>
消和に用いる水溶液として、10%(w/v)濃度のスクロース水溶液を、石灰窒素100質量部に対して12.5質量部、および硝酸カルシウムを石灰窒素100質量部に対して3質量部添加した点、および造粒時に造粒水と共に硝酸カルシウムを石灰窒素100質量部に対して3質量部、添加した点および乾燥温度80℃、乾燥時間60分とした点を除いては、基本的には実験例1と同様にして石灰窒素含有粒状肥料を作製した。詳しい条件および評価結果を表3に示す。
<実験例9>
消和に用いる水溶液として、16%(w/v)濃度のグルコース水溶液を、石灰窒素100質量部に対して12.5質量部を添加した点、および硝酸カルシウムを石灰窒素100質量部に対して3質量部した点、および造粒時に造粒水と共に硝酸カルシウムを石灰窒素100質量部に対して3質量部、添加した点および乾燥温度80℃、乾燥時間60分とした点、を除いては、基本的には実験例1と同様にして石灰窒素含有粒状肥料を作製した。詳しい条件および評価結果を表3に示す。
<結果の考察>
上記の実験例1〜9の実験結果から、実験例2、4〜9の場合には、実験例1、3の場合に比べて、110℃未満に発熱ピーク温度が低く抑えられているために、シアナミド態窒素の含有率が多く、ジシアンジアミドおよびメラミンの含有率が少なく、アンモニア臭の抑制された石灰窒素含有粒状肥料が得られることがわかる。また、実験例7〜9の場合には、さらに圧壊強度および貯蔵安定性にも優れた石灰窒素含有粒状肥料が得られることがわかる。
また、貯蔵安定性については、表3の実験例6〜9に示すように、有機添加剤および硝酸塩あるいは塩酸塩の組み合わせを、添加量や添加時期などを変化させながら調べた。その結果、実験例7〜9のように、有機添加剤の中でも糖類であるスクロースあるいはグルコース(廃糖蜜はスクロースおよびグルコースを含む)へ硝酸カルシウムを組み合わせる系が貯蔵安定性に特に優れることを見いだした。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。

Claims (13)

  1. 生石灰の水和反応を抑制する有機添加剤及び無機添加剤であって、
    前記有機添加剤が、グルコヘプトン酸、グルコン酸、ガラクトン酸、クエン酸、酒石酸、及びリンゴ酸からなる群から選ばれるオキシカルボン酸類又はその塩、ピルビン酸又はその塩、イタコン酸又はその塩、ソルビトール、マンニトール、グルコース、マンノース、ガラクトース、フラクトース、アラビノース、スクロース(サッカロース)、ラクトース、マルトース、ラフィノース、デキストリン、キシロース、でんぷん、芳香族スルホン酸又はその塩、リグニンスルホン酸又はその塩、イノシトールからなる群から選ばれる1種以上の有機物であり、
    前記無機添加剤が、ホウ酸、リン酸2水素カリウム、珪フッ化マグネシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムからなる群から選ばれる1種以上の無機物である、有機添加剤及び無機添加剤と、
    造粒助材として硝酸塩又は塩酸塩と、
    消和処理済みの石灰窒素と、
    を含み、
    前記消和処理済みの石灰窒素のうちジシアンジアミドの含有率が0.53質量%以下である、
    石灰窒素含有粒状肥料。
  2. 消和処理済みの石灰窒素のうち生石灰の含有率が5質量%以下である、
    請求項1に記載の石灰窒素含有粒状肥料。
  3. 前記造粒助材が、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムからなる群から選ばれる1種以上の塩を含む、
    請求項1〜のいずれかに記載の石灰窒素含有粒状肥料。
  4. 前記有機添加剤又は無機添加剤の配合量は、前記消和処理済みの石灰窒素100質量部に対して0.1〜5質量部である、
    請求項1〜のいずれかに記載の石灰窒素含有粒状肥料。
  5. 前記造粒助材の配合量は、前記消和処理済みの石灰窒素100質量部に対して3〜20質量部である、
    請求項1〜のいずれかに記載の石灰窒素含有粒状肥料。
  6. 消和処理済みの石灰窒素のうちシアナミド態窒素の含有率が10質量%以上である、
    請求項1〜のいずれかに記載の石灰窒素含有粒状肥料。
  7. 消和処理済みの石灰窒素のうちメラミンの含有率が0.4質量%以下である、請求項1〜のいずれかに記載の石灰窒素含有粒状肥料。
  8. 圧壊強度が0.5Kgf以上である、
    請求項1〜のいずれかに記載の石灰窒素含有粒状肥料。
  9. 前記有機添加剤が、グルコース、マンノース、ガラクトース、フラクトース、アラビノース、スクロース(サッカロース)、ラクトース、マルトース、ラフィノース、デキストリン、キシロース又はそれらの塩からなる群から選ばれる1種以上の糖類を含み、
    前記造粒助材が、硝酸カルシウムを含み、
    40℃、2週間後の圧壊強度が0.5Kgf以上である、
    請求項1〜8のいずれかに記載の消和済石灰窒素含有粒状肥料。
  10. 未消和処理の石灰窒素含有組成物に消和に用いる水溶液を添加し、発熱ピーク温度が110℃未満となる条件で石灰窒素を消和処理する工程と、
    消和処理済みの前記石灰窒素含有組成物を造粒する工程と、を含み、
    前記消和に用いる水溶液が、生石灰の水和反応を抑制する有機添加剤及び無機添加剤を含み、
    前記有機添加剤が、グルコヘプトン酸、グルコン酸、ガラクトン酸、クエン酸、酒石酸、及びリンゴ酸からなる群から選ばれるオキシカルボン酸類又はその塩、ピルビン酸又はその塩、イタコン酸又はその塩、ソルビトール、マンニトール、グルコース、マンノース、ガラクトース、フラクトース、アラビノース、スクロース(サッカロース)、ラクトース、マルトース、ラフィノース、デキストリン、キシロース、でんぷん、芳香族スルホン酸又はその塩、リグニンスルホン酸又はその塩、イノシトールからなる群から選ばれる1種以上の有機物であり、
    前記無機添加剤が、ホウ酸、リン酸2水素カリウム、珪フッ化マグネシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムからなる群から選ばれる1種以上の無機物である、
    石灰窒素含有粒状肥料の生産方法。
  11. 前記造粒する工程が、消和処理済みの前記石灰窒素含有組成物に水、硝酸塩水溶液又は塩酸塩水溶液のいずれかを添加して造粒する工程を含む、
    請求項10に記載の石灰窒素含有粒状肥料の生産方法。
  12. 前記消和処理する工程が、前記消和に用いる水溶液から発生する水蒸気によって前記石灰窒素を消和処理する工程を含む、
    請求項10又は11に記載の石灰窒素含有粒状肥料の生産方法。
  13. 前記造粒した石灰窒素含有粒状肥料を100℃以下の条件で流動乾燥機を用いて乾燥する工程をさらに含む、
    請求項1012のいずれかに記載の石灰窒素含有粒状肥料の生産方法。
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