JP6129148B2 - 調理容器検知装置 - Google Patents

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Description

本発明は、コンロの五徳上に調理容器が置かれていることを検知する調理容器検知装置に関する。
ガスコンロでは、五徳上に鍋などの調理容器が置かれていない状態での燃焼を回避するために、調理容器の有無を検知する調理容器検知装置を搭載することが一般的になっている。調理容器検知装置としては、五徳の中心から上方に突出する当接部が調理容器の底部で押し下げられることによって、五徳上に調理容器が置かれたことを検知するものが知られている。また、当接部が押し下げられたことを検知するために、次のような構造が広く採用されている。
先ず、環状のコンロバーナーの内側に立設された金属(ステンレス鋼など)製の支持パイプの上端に当接部が上下方向に移動可能な態様で取り付けられており、当接部に接続されたケーブルが支持パイプ内を通って支持パイプの開放端から引き出されている。このケーブルの途中には磁性体が取り付けられており、当接部の上下動に連動して磁性体が支持パイプ内を移動可能になっている。そして、当接部が押し下げられていない状態で、支持パイプの外側から磁性体を間に挟むようにして、永久磁石と、永久磁石の磁気を受けてON状態になるリードスイッチとが設けられている。これにより、五徳上に調理容器が置かれていなければ、永久磁石とリードスイッチとの間に介在する磁性体によって磁気が遮断されるので、リードスイッチはOFF状態になっている。一方、五徳上に置かれた調理容器の底部で当接部が押し下げられると、ケーブルが支持パイプ内を移動すると共に、永久磁石とリードスイッチとの間から磁性体が移動するので、永久磁石の磁気を受けてリードスイッチがON状態となる。このようにリードスイッチのON/OFFによって五徳上の調理容器の有無を判断することができる(特許文献1)。
特開2010−25420号公報
しかし、上述のような構造を有する調理容器検知装置では、次のような理由から製造に非常に手間がかかるという問題があった。先ず、磁性体はケーブルに取り付けられており、支持パイプ内でのケーブルの曲がり具合やよじれ具合で磁性体の位置にばらつきが生じる。また、リードスイッチには個体差があり、永久磁石とリードスイッチとの間を磁性体が移動する過程で実際にリードスイッチのON/OFFが切り換わる位置が同じであるとは限らない。さらに、リードスイッチには、永久磁石からステンレス鋼製の支持パイプを介して届く磁気の微妙な変化でON/OFFが切り換わるように精度の高い(感動値と開放値との差が小さい)ものが用いられるものの、永久磁石とリードスイッチとの位置関係の僅かなずれによってON/OFFが切り換わらないことがある。従って、調理容器検知装置の製造時には、支持パイプの外側で永久磁石およびリードスイッチの位置をそれぞれ少しずつ移動させながら当接部を上下動させてリードスイッチのON/OFFが切り換わる適切な位置を見つけ出し、その位置で永久磁石およびリードスイッチを支持パイプに固定するという非常に手間のかかる作業が必要となる。
この発明は従来の技術における上述した課題に対応してなされたものであり、磁性体に対する永久磁石およびリードスイッチの位置合わせ作業を簡素化して容易に製造することが可能な調理容器検知装置の提供を目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明の調理容器検知装置は次の構成を採用した。すなわち、
コンロの五徳上に調理容器が置かれていることを検知する調理容器検知装置において、
前記五徳上に置かれた前記調理容器の底部に当接して押し下げられる当接部と、
前記当接部を上方に付勢する付勢バネと、
前記当接部に一端が接続されたケーブルと、
前記当接部が上下方向に移動可能な態様で上端側に取り付けられて、前記ケーブルが挿通される金属製の支持パイプと、
前記支持パイプの前記当接部とは反対側の端部に接続されて、前記ケーブルが挿通される挿通パイプと、
前記ケーブルに取り付けられ、前記当接部の動きに連動して前記挿通パイプ内を移動する磁性体と、
前記挿通パイプの側面に取り付けられる永久磁石と、
前記挿通パイプを挟んで前記永久磁石の向かい側に取り付けられ、該永久磁石の磁気によってオフ状態とオン状態とが切り換わるリードスイッチと
を備え、
前記挿通パイプと、前記永久磁石の取付部と、前記リードスイッチの取付部とを一体にした検知ユニットが非磁性材料を用いて形成されており、
前記永久磁石と前記リードスイッチとの間に前記支持パイプを介在させることなく、前記当接部が押し下げられていない状態の前記磁性体に対する前記検知ユニットの固定位置を調整可能な調整部が設けられている
ことを特徴とする。
ここで、検知ユニットに用いられる非磁性材料としては、永久磁石の磁気の影響を受けないものであればよく、例えば、樹脂材料であってもよいし、銅やアルミニウムや亜鉛などの比透磁率が1.0前後の金属、あるいはこれらの合金であってもよい。
このような本発明の調理容器検知装置では、永久磁石とリードスイッチとの間に介在する挿通パイプを非磁性材料で形成すると共に金属製の支持パイプを間に介在させないことによって、永久磁石の磁気が直接的にリードスイッチに届き得るので、永久磁石とリードスイッチとの間で磁性体が移動すると、永久磁石からリードスイッチに届く磁気が大きく変化する。そのため、本発明におけるリードスイッチとしては、特別に精度の高い(感動値と開放値との差が小さい)ものを必要とせず、汎用のものを用いることができる。また、汎用のリードスイッチの精度でよいのであれば、永久磁石とリードスイッチとの位置関係についても、厳密に調整する必要がなく予め固定しておけるので、永久磁石の取付部およびリードスイッチの取付部を検知ユニットに一体に設けることが可能となる。そして、磁性体に対する永久磁石およびリードスイッチの位置合わせは、調整部によって検知ユニットの固定位置を調整するだけでよいので、位置合わせ作業を大幅に簡素化して、調理容器検知装置を容易に製造することが可能となる。


上述した本発明の調理容器検知装置では、検知ユニットを透明な樹脂材料を用いて形成してもよい。
このようにすれば、永久磁石およびリードスイッチと磁性体との大まかな位置関係を目視で確認しながら検知ユニットの固定位置を調整できるので、位置合わせの作業性を向上させることが可能となる。
また、こうした本発明の調理容器検知装置では、検知ユニットに永久磁石およびリードスイッチの上方を覆う被覆部を設けておいてもよい。
このようにすれば、五徳上に置かれた調理容器から煮こぼれた場合でも、永久磁石やリードスイッチを煮こぼれ汁から保護することができる。
また、こうした本発明の調理容器検知装置では、挿通パイプの両端に、挿通パイプの径方向外側に突き出したフランジ部を設けてもよい。
検知ユニットが設置されるコンロ内には、様々な金属製部材が搭載されているのが一般的であり、これら金属製部材が永久磁石の磁気を受けて着磁すると、リードスイッチが影響を受けてオフ状態とオン状態とが正しく切り換わらなくなることがある。そこで、挿通パイプの両端にフランジ部を設けておけば、フランジ部が周囲の金属製部材に接触することにより、永久磁石やリードスイッチと金属製部材との離隔を確保することができる。その結果、金属製部材の着磁によるリードスイッチへの影響を抑制することができる。
本実施例の調理容器検知装置100を搭載したガスコンロ1の構造を示した断面図である。 本実施例の当接部110の断面を取ることによって内部構造を示した説明図である。 本実施例の移動検知部150の断面を取ることによって内部構造を示した説明図である。 移動検知部150が当接部110の上下動を検知する動作を示した説明図である。 永久磁石153およびリードスイッチ154の位置合わせに手間のかかる従来例の調理容器検知装置100を示した説明図である。 本実施例の調理容器検知装置100で磁性体152に対して永久磁石153およびリードスイッチ154を簡単に位置合わせできる理由を示した説明図である。
図1は、本実施例の調理容器検知装置100を搭載したガスコンロ1の構造を示した断面図である。ガスコンロ1は、図示しないコンロ本体の上面を覆って設けられた天板2と、天板2に形成された貫通孔3から上部を突出させてコンロ本体内に設置されたコンロバーナー10と、コンロバーナー10の上方に鍋などの調理容器を置くために天板2の上面に設置された五徳4と、五徳4に調理容器が置かれていることを検知する調理容器検知装置100などを備えている。
コンロバーナー10は、円環形状の混合室11aが内部に形成されたバーナーボディー11と、混合室11aと連通してバーナーボディー11から延設された混合管12と、混合室11aの上部開口を覆うようにバーナーボディー11に載置された円環形状のバーナーヘッド13と、バーナーヘッド13の上方に取り付けられた円環形状のバーナーカバー14などを備えている。
バーナーボディー11から延設された混合管12の上流側開口12aに向けて燃料ガスが噴射されると、燃焼用の一次空気を巻き込みながら混合管12に流入する。そして、混合管12を通過する燃料ガスと一次空気とが混合されて、混合室11aに混合ガスが供給される。
バーナーヘッド13の外周壁の下面(バーナーボディー11に載置される面)には、複数の溝(炎口溝)がバーナーヘッド13の中央に対して放射状に形成されており、バーナーヘッド13をバーナーボディー11に載置すると、複数の炎口溝とバーナーボディー11の上面とによって、混合室11aに連通する複数の炎口13aが形成される。混合室11aに供給された混合ガスは、複数の炎口13aから噴出し、図示しない点火プラグで火花を飛ばすと混合ガスの燃焼が開始される。また、バーナーヘッド13の中央には、混合ガスの燃焼に必要な二次空気の供給通路13hが形成されている。バーナーカバー14は、五徳4上に置かれた調理容器から煮こぼれた場合に、煮こぼれ汁がバーナーヘッド13にかかるのを抑制する役割を果たしている。
バーナーヘッド13の供給通路13h内には、調理容器検知装置100が設置されている。本実施例の調理容器検知装置100は、調理容器を検知するだけでなく、調理容器の温度を検出する機能を備えており、温度センサーを内蔵した当接部110がバーナーカバー14の中央開口14aから上方に突出している。当接部110の構造については別図を用いて後述するが、五徳4上に調理容器が置かれると、調理容器の底面に当接部110が当接して押し下げられる。この当接部110は、供給通路13h内に立設された支持パイプ130の上部に、上下方向に移動可能な態様で取り付けられている。
また、支持パイプ130は、L字状に屈曲しており、当接部110とは反対側の端部(開放端)には、当接部110の上下動を検知するための移動検知部150が接続されている。移動検知部150の構造については後ほど別図を用いて説明するが、本実施例の調理容器検知装置100は、当接部110の上下動に基づいて、五徳4上の調理容器の有無を検知する。さらに、支持パイプ130および移動検知部150に挿通されたケーブル120を介して、当接部110の温度センサーは、制御部170と電気的に接続されている。
図2は、当接部110の断面を取ることによって内部構造を示した説明図である。当接部110は、略円筒形状のホルダー111と、ホルダー111の上端に取り付けられた略円板形状の集熱部材112と、ホルダー111よりも大径の略円筒形状に形成されてホルダー111の外周を覆うカバー113などを備えている。集熱部材112の下面には温度センサー115が取り付けられており、温度センサー115からは2本のリード線116が引き出されている。本実施例の温度センサー115には、温度の変化によって電気抵抗が変わるサーミスターが用いられており、調理容器に当接した集熱部材112の下面に伝わる温度を温度センサー115によって検出することができる。
前述したように当接部110は、支持パイプ130の上部に取り付けられており、支持パイプ130の上端には、ホルダー111よりも小径である円環形状の座金132が図示しないカシメ止めで接合されている。この支持パイプ130がホルダー111に挿入されており、ホルダー111の下端側には座金132よりも小径に縮径された細径部111aが形成されているため、ホルダー111が支持パイプの軸方向(図中の上下方向)に移動しても、ホルダー111から座金132が抜けることはない。
また、ホルダー111の内部には、集熱部材112と座金132との間にコイルバネ114が圧縮された状態で収容されており、このコイルバネ114が当接部110を上方に付勢している。そして、調理容器が五徳4上に置かれると、コイルバネ114の付勢力に抗して当接部110が押し下げられる。さらに、温度センサー115から延びる2本のリード線116を被覆したケーブル120が、コイルバネ114の内側および支持パイプ130の内側に挿通されている。尚、本実施例のコイルバネ114は、本発明の「付勢バネ」に相当している。
尚、ホルダー111、カバー113、および支持パイプ130は、コンロバーナー10の熱で高温になったり、強度が求められたりすることから、ステンレス鋼板などの金属材料を用いて形成されている。また、集熱部材112は、温度センサー115による調理容器の検出温度の精度を高めるために、真鍮などの熱伝導性の高い材料で形成されている。
図3は、本実施例の移動検知部150の断面を取ることによって内部構造を示した説明図である。移動検知部150は、磁性材料(例えばSUS430)で形成された略円筒形状の磁性体152と、略直方体形状の永久磁石153と、リードスイッチ154を内蔵したスイッチモジュール155などを備えており、これらは樹脂材料(ポリフェニレンサルファイド(PPS),シンジオタクチックポリスチレン(SPS)など)を用いて形成された検知ユニット151内に収容されている。尚、本実施例の検知ユニット151には、透明な樹脂材料が用いられている。
検知ユニット151は、ケーブル120が挿通される挿通パイプ151aと、永久磁石153が嵌め込まれる磁石取付部151bと、スイッチモジュール155が嵌め込まれるスイッチ取付部151cとが一体に形成されており、挿通パイプ151aを挟んで磁石取付部151bとスイッチ取付部151cとが向い合せに配置されている。また、挿通パイプ151aの両端には、挿通パイプ151aの径方向外側に突き出したフランジ部151dが設けられている。前述したように移動検知部150は、支持パイプ130の開放端(当接部110とは反対側の端部)に接続され、挿通パイプ151aの支持パイプ130側の端部には、径方向外側から内側に向けて固定ネジ157が貫通して設けられている。この固定ネジ157が設けられた端部の内側に支持パイプ130の開放端を挿入した状態で、固定ネジ157を締め付けることで、支持パイプ130に対して検知ユニット151が固定される。尚、本実施例の固定ネジ157は、本発明の「調整部」に相当している。
磁性体152は、当接部110の温度センサー115に接続されたケーブル120の外周に取り付けられており、当接部110の上下動に連動して磁性体152が挿通パイプ151a内を移動するようになっている。当接部110が押し下げられていない状態では、図3に示されるように、磁石取付部151bに嵌め込まれた永久磁石153と、スイッチ取付部151cに嵌め込まれたスイッチモジュール155内のリードスイッチ154との間に磁性体152が位置している。こうした永久磁石153およびリードスイッチ154と磁性体152との位置関係は、挿通パイプ151aへの支持パイプ130の挿入量を変更することで調整することができる。また、スイッチモジュール155のリードスイッチ154からは2本のリード線156が引き出されて、制御部170(図1参照)に接続されている。
図4は、移動検知部150が当接部110の上下動を検知する動作を示した説明図である。尚、図4では、説明を容易とするために、検知ユニット151やスイッチモジュール155の外装についての図示を省略している。まず、図4(a)には、当接部110が押し下げられていない状態が示されている。スイッチモジュール155に内蔵されたリードスイッチ154は、周知のリードスイッチと同様に、2本の強磁性体のリード片154aが、所定の重なりと間隔とを持たせた接点部154bを介して相対している。前述したように当接部110が押し下げられていない状態では、磁性体152が永久磁石153とリードスイッチ154との間に位置しており、永久磁石153の磁気が磁性体152によって遮断されてリードスイッチ154に届き難くなっている。その結果、リード片154aが磁化されることなく、接点部154bは開いたままであるので、リードスイッチ154はOFFになっている。
一方、図4(b)には、当接部110が押し下げられた状態が示されている。五徳4上に調理容器が置かれて当接部110が押し下げられると、図中に白抜きの矢印で示したようにケーブル120が挿通パイプ151a内を移動するのに連動して、磁性体152が永久磁石153とリードスイッチ154との間から移動する。これにより、永久磁石153の磁気がリードスイッチ154に届き易くなるので、リード片154aが磁化されて磁気吸引力で接点部154bが閉じ、リードスイッチ154はONになる。
また、五徳4上から調理容器を外すと、コイルバネ114の付勢力で当接部110が押し上げられるのに伴って、磁性体152が永久磁石153とリードスイッチ154との間に戻るので、再び永久磁石153の磁気が遮断されてリードスイッチ154に届き難くなる。すると、リード片154aの磁化が失われてリード片154aの弾性力で接点部154bが開き、リードスイッチ154はOFFになる。このように当接部110の上下動に連動してリードスイッチ154のONとOFFとが切り換わるので、リードスイッチ154の状態(ONかOFFか)を検出することで、五徳4上の調理容器の有無を検知することができる。
以上のように当接部110の上下動に連動して磁性体152が永久磁石153とリードスイッチ154との間を移動する方式を採用した調理容器検知装置100では、磁性体152と永久磁石153とリードスイッチ154との位置関係がずれていると、リードスイッチ154のONとOFFとが正しく切り換わらないことがある。そのため、製造時に磁性体152に対して永久磁石153およびリードスイッチ154を位置合わせする作業が必要となる。本実施例の調理容器検知装置100では、挿通パイプ151aと磁石取付部151bとスイッチ取付部151cとを一体にした検知ユニット151が樹脂材料を用いて形成されており、検知ユニット151の固定位置を調整するだけで、簡単に永久磁石153およびリードスイッチ154を位置合わせすることができる。以下では、この点について説明するが、まず準備として、永久磁石153およびリードスイッチ154の位置合わせに手間がかかる従来例の調理容器検知装置100について説明する。
図5は、永久磁石153およびリードスイッチ154の位置合わせに手間のかかる従来例の調理容器検知装置100を示した説明図である。尚、図5では、当接部110の図示を省略している。図示した従来例の調理容器検知装置100では、当接部110の上下動に連動して、ケーブル120に取り付けられた磁性体152が支持パイプ130内を移動するようになっている。永久磁石153およびリードスイッチ154は、当接部110が押し下げられていない状態で、支持パイプ130の外側から磁性体152を挟むように取り付けられる。
支持パイプ130の外周には、永久磁石153およびリードスイッチ154を載せるための台座190が取り付けられている。この台座190は、ステンレス鋼板などの金属材料で形成されており、支持パイプ130の磁性体152が移動する部分に固定されている。永久磁石153およびリードスイッチ154は、台座190に載せても位置決めされるわけではなく、支持パイプ130の軸方向(図中に破線の矢印で示した方向)に移動可能であり、磁性体152に対して位置合わせを行った上で、接着剤などで固定するようになっている。
このような従来例の調理容器検知装置100では、リードスイッチ154として精度の高い(感動値と開放値との差が小さい)ものが求められる。これは、永久磁石153とリードスイッチ154との間で磁性体152が移動しても、ステンレス鋼製の支持パイプ130や台座190の介在によって永久磁石153からリードスイッチ154に届く磁気の変化は微妙であり、その微妙な変化でリードスイッチ154のONとOFFとが切り換わらなければならないためである。ここで、感動値とは、標準コイルを用いた励磁でリードスイッチがONになるのに必要な電流値(A)とコイル巻き数(T)との積であり、開放値とは、標準コイルを用いた励磁でリードスイッチがOFFになる電流値(A)とコイル巻き数(T)との積である。この感動値と開放値との差は、小さいほど高精度であることを示し、3AT以下が望ましいとされている。
また、高精度なリードスイッチ154を用いても、永久磁石153とリードスイッチ154との位置関係がずれていると、リードスイッチ154のONとOFFとが切り換わらないことがある。さらに、磁性体152が永久磁石153とリードスイッチ154との間を移動する過程で実際にリードスイッチ154のONとOFFとが切り換わる位置は、リードスイッチ154の個体差によってばらつきがある。従って、従来例の調理容器検知装置100の製造時には、台座190に載せた永久磁石153およびリードスイッチ154の位置をそれぞれ支持パイプ130の軸方向に少しずつ移動させながら当接部110を上下動させてリードスイッチ154のONとOFFとが切り換わる適切な位置を見つけ出すという非常に手間のかかる作業が必要である。そして、接着剤などで台座190に永久磁石153およびリードスイッチ154を一度固定したら、移動させることはできない。
図6は、本実施例の調理容器検知装置100で磁性体152に対して永久磁石153およびリードスイッチ154を簡単に位置合わせできる理由を示した説明図である。本実施例の調理容器検知装置100では、樹脂材料で形成された検知ユニット151に挿通パイプ151aと磁石取付部151bとスイッチ取付部151cとが一体に設けられている。永久磁石153は、検知ユニット151の側方から磁石取付部151bに嵌め込まれることで位置決めされ、リードスイッチ154を内蔵したスイッチモジュール155は、検知ユニット151の下方からスイッチ取付部151cに嵌め込まれることで位置決めされる。尚、磁石取付部151bには永久磁石153に係合する図示しない係合爪が設けられており、永久磁石153の脱離を防止している。また、スイッチ取付部151cにはスイッチモジュール155に係合する図示しない係合爪が設けられており、スイッチモジュール155の脱離を防止している。
支持パイプ130を通ったケーブル120は検知ユニット151の挿通パイプ151aに挿通され、ケーブル120に取り付けられた磁性体152は、挿通パイプ151a内に収容される。挿通パイプ151aは、支持パイプ130側の端部に固定ネジ157が設けられており、この端部の内側に支持パイプ130の開放端を挿入した状態で固定ネジ157を締め付けると、支持パイプ130に対して検知ユニット151が固定される。
このような本実施例の調理容器検知装置100では、ステンレス鋼製の支持パイプ130を介すことなく永久磁石153の磁気が直接的にリードスイッチ154に届き得るので、永久磁石153とリードスイッチ154との間で磁性体152が移動すると、永久磁石153からリードスイッチ154に届く磁気が大きく変化する。そのため、本実施例のリードスイッチ154としては、従来例のような精度の高いものを必要とせず、モジュール化された汎用のもの(例えば、感動値と開放値との差が5AT以上のもの)を用いることができる。また、汎用のリードスイッチ154の精度でよいのであれば、永久磁石153とリードスイッチ154との位置関係についても、厳密に調整する必要がなく予め固定しておけるので、磁石取付部151bおよびスイッチ取付部151cを検知ユニット151に一体に形成することが可能となる。そして、磁性体152に対する永久磁石153およびリードスイッチ154の位置合わせは、固定ネジ157を緩めた状態で、検知ユニット151の固定位置を調整する(挿通パイプ151aへの支持パイプ130の挿入量を変更する)だけでよいので、位置合わせ作業を大幅に簡素化して、調理容器検知装置100を容易に製造することが可能となる。
また、本実施例の検知ユニット151は、透明な樹脂材料を用いて形成されている。これにより、永久磁石153およびリードスイッチ154(スイッチモジュール155)と磁性体152との大まかな位置関係を目視で確認しながら検知ユニット151の固定位置を調整できるので、位置合わせの作業性を向上させることが可能となる。
また、本実施例の調理容器検知装置100では、検知ユニット151が支持パイプ130に対して固定ネジ157で固定されている。そのため、リードスイッチ154が故障した場合でも、調理容器検知装置100の全体を交換する必要はなく、検知ユニット151あるいはスイッチモジュール155だけを交換して簡単に修理することができる。
また、本実施例の検知ユニット151では、挿通パイプ151aの両端にフランジ部151dが設けられている。これは次のような理由による。移動検知部150が設置されるガスコンロ1の内部には、ステンレス鋼板などの金属材料で形成された図示しない様々な金属製部材(例えば、燃料ガスの供給量を調節するバルブを煮こぼれ汁から保護するカバーなど)が搭載されており、これら金属製部材が永久磁石153の磁気を受けて着磁すると、リードスイッチ154が影響を受けてONとOFFとが正しく切り換わらなくなることがある。そこで、挿通パイプ151aの両端にフランジ部151dを設けておけば、フランジ部151dが周囲の金属製部材に接触することにより、永久磁石153やリードスイッチ154と金属製部材との離隔を確保することができる。その結果、金属製部材の着磁によるリードスイッチ154への影響を抑制することができる。
さらに、本実施例の検知ユニット151は、側方から磁石取付部151bに嵌め込まれた永久磁石153、および下方からスイッチ取付部151cに嵌め込まれたスイッチモジュール155(リードスイッチ154)の上方を覆うようになっている。このため、五徳4上に置かれた調理容器から煮こぼれた場合でも、永久磁石153やリードスイッチ154を煮こぼれ汁から保護することができる。尚、本実施例の磁石取付部151bの上面、およびスイッチ取付部151cの上面は、本発明の「被覆部」に相当している。
また、本実施例の磁石取付部151bの上面、およびスイッチ取付部151cの上面は、水平な平面ではなく、中央部分が上方に突出した断面山型の傾斜面になっている。このように傾斜させておくことで、磁石取付部151bの上面やスイッチ取付部151cの上面に煮こぼれ汁がかかった場合でも、傾斜に沿って流れ落ち易いので、煮こぼれ汁の固着を抑制することができる。
以上、本実施例の調理容器検知装置100について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
例えば、前述した実施例では、検知ユニット151が樹脂材料を用いて形成されているものとして説明したが、検知ユニット151の材質は、永久磁石153の磁気の影響を受けないもの(非磁性材料)であれば、樹脂材料に限られない。例えば、銅やアルミニウムや亜鉛などの比透磁率が1.0前後の金属、あるいはこれらの合金であってもよい。尚、金属材料を用いる場合は、表面にメッキや酸化処理を施すことにより、耐食性を向上させることができる。
1…ガスコンロ、 2…天板、 3…貫通孔、
4…五徳、 10…コンロバーナー、 11…バーナーボディー、
11a…混合室、 12…混合管、 13…バーナーヘッド、
13a…炎口、 13h…供給通路、 14…バーナーカバー、
100…調理容器検知装置、 110…当接部、 111…ホルダー、
112…集熱部材、 113…カバー、 114…コイルバネ、
115…温度センサー、 116…リード線、 120…ケーブル、
130…支持パイプ、 132…座金、 150…移動検知部、
151…検知ユニット、 151a…挿通パイプ、 151b…磁石取付部、
151c…スイッチ取付部、 151d…フランジ部、 152…磁性体、
153…永久磁石、 154…リードスイッチ、 154a…リード片、
155…スイッチモジュール、156…リード線、 157…固定ネジ、
170…制御部、 190…台座。

Claims (4)

  1. コンロの五徳上に調理容器が置かれていることを検知する調理容器検知装置において、
    前記五徳上に置かれた前記調理容器の底部に当接して押し下げられる当接部と、
    前記当接部を上方に付勢する付勢バネと、
    前記当接部に一端が接続されたケーブルと、
    前記当接部が上下方向に移動可能な態様で上端側に取り付けられて、前記ケーブルが挿通される金属製の支持パイプと、
    前記支持パイプの前記当接部とは反対側の端部に接続されて、前記ケーブルが挿通される挿通パイプと、
    前記ケーブルに取り付けられ、前記当接部の動きに連動して前記挿通パイプ内を移動する磁性体と、
    前記挿通パイプの側面に取り付けられる永久磁石と、
    前記挿通パイプを挟んで前記永久磁石の向かい側に取り付けられ、該永久磁石の磁気によってオフ状態とオン状態とが切り換わるリードスイッチと
    を備え、
    前記挿通パイプと、前記永久磁石の取付部と、前記リードスイッチの取付部とを一体にした検知ユニットが非磁性材料を用いて形成されており、
    前記永久磁石と前記リードスイッチとの間に前記支持パイプを介在させることなく、前記当接部が押し下げられていない状態の前記磁性体に対する前記検知ユニットの固定位置を調整可能な調整部が設けられている
    ことを特徴とする調理容器検知装置。
  2. 請求項1に記載の調理容器検知装置において、
    前記検知ユニットは透明な樹脂材料を用いて形成されている
    ことを特徴とする調理容器検知装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の調理容器検知装置において、
    前記検知ユニットには、前記永久磁石および前記リードスイッチの上方を覆う被覆部が設けられている
    ことを特徴とする調理容器検知装置。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の調理容器検知装置において、
    前記挿通パイプの両端には、該挿通パイプの径方向外側に突き出したフランジ部が設けられている
    ことを特徴とする調理容器検知装置。
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