JP6128370B2 - 温度センサ - Google Patents
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Description
従来の非接触温度センサでは、導光路部103の内面に輻射率の高い(反射率の低い)材料を用い、内面での赤外線の反射を低減することで、感熱素子2の周辺と同じ温度となるようにし、対象物からの赤外線が導光路に反射してセンサに届かないようにして、導光路部103の開口部の大きさにより視野角を決めている。なお、非接触温度センサでは、導光路部103の内面の反射率が高い(輻射率が低い)と、図9の(a)に示すように、開口部から入射した赤外線が内面で多数反射することで、測定に誤差が生じてしまう。このため、内面の反射率が高い場合、例えば図9の(b)に示すように、導光路部104の開口部を底部側より広げたホーン状にすることで多数反射を抑制し、視野角を制限する方法も知られている。この場合、導光路部104の開口部側が大径化してしまい、全体の小型化が困難であった。
さらに、特許文献1に記載された技術のように、導光路部の内面全体に反射防止用の凹凸形状を形成すると、赤外線が内面全体で乱反射又は吸収されて感度が低下してしまう不都合があった。
すなわち、浅い角度で導光路部に入射した赤外線は、凸部の開口部側反射面で上方に反射されて再び開口部から外部に出射され、視野部分内の角度で入射した赤外線は、直接感熱素子に到達するか、下部領域の内面で反射されて感熱素子に到達する。これにより視野角が広がり、導光路部を長く設定しても視野角が小さくならず、感度低下を抑制することができる。また、感熱素子自身から輻射される赤外線の一部は、上部領域の凸部の素子側反射面で下方に向けて反射され、再び感熱素子に戻るため、測定対象以外の温度(導光路温度)が加算され難く、高精度に計測可能である。
すなわち、この温度センサでは、導光路部の内面が反射率0.8以上(輻射率0.2以下)であるので、輻射率の低い導光路部で赤外線が反射されることで、導光路温度がほとんど加算されず、より高精度な計測が可能になる。なお、上記反射率が0.8未満であると、十分に赤外線が導光路部の内面で反射されず、導光路温度が加算されてしまうおそれがある。
すなわち、本発明に係る温度センサによれば、導光路部の内面の上部領域に、開口部側に向いた開口部側反射面と感熱素子側に向いた素子側反射面とを有する断面三角形状の凸部が複数形成されているので、導光路部を長く設定しても視野角が小さくならず、感度低下を抑制することができ、高精度な計測が可能になる。したがって、見かけの視野角を広くすることができ、温度検出度合いを向上させることができる。
特に、本発明の温度センサは、測定対象物とセンサとの温度差が小さい製氷機などの温度計測用のセンサとして好適である。
上記導光路部3の内面は、開口部3a側の上部領域3Aと感熱素子2側の下部領域3Bとに分かれ、上部領域3Aに、開口部3a側に向いた開口部側反射面4aと感熱素子2側に向いた素子側反射面4bとを有する断面三角形状の凸部4が複数形成されている。
なお、サーミスタ素体としては、NTC型、PTC型、CTR型等のサーミスタ材料があるが、本実施形態では、例えばNTC型サーミスタを採用している。このサーミスタ材料は、Mn−Co−Cu系材料、Mn−Co−Fe系材料等のサーミスタ材料で形成されている。
この導光路部3は、感熱素子2が実装された回路基板等の基板5上に固定されている。なお、導光路部3の固定は、例えば下部に設けられた弾性を有する突起部を基板5に形成された固定用孔に嵌め込んで固定する方法等が採用される。
凸部4の開口部側反射面4aと素子側反射面4bとは、互いに上下対称に形成され、導光路部3の軸線に直交する面に対して絶対値で同じ角度に設定されている。なお、所望の視野角に応じて開口部側反射面4aと素子側反射面4bとの角度を、互いに異なるものとしても構わない。また、凸部4の突出量は、全て同じに設定しているが、所望の視野角に応じて導光路部3の上部側と下部側とで異なるものとしても構わない。
上記上部領域3Aは、導光路部3の上部半分に設定しているが、所望の視野角に応じて範囲が設定される。
また、導光路部3の内面が反射率0.8以上(輻射率0.2以下)であるので、輻射率の低い導光路部3で赤外線が反射されることで、導光路温度がほとんど加算されず、より高精度な計測が可能になる。
この解析結果では、検出側(グラフ横軸の正の領域:0〜6mm)に対して黒体各部が与える赤外線量を示している。すなわち、この解析は、立体角(全周)ではなく2次元の簡易解析であって、二次元状黒体の有る位置(x)から、感熱素子(検出部)全体が受ける赤外線量(y)を解析したものである。より具体的には、任意の黒体の位置(x)から、180度の範囲で直接当たる場合の赤外線量は1,一回反射では0.8、2回反射では、0.64とし、2回反射までで感熱素子に当たる赤外線量を積分している。なお、グラフの縦軸は、任意単位(ARB:arbitrary unit)としている。
・導光路部(円筒状)の半径:6mm
・黒体−導光路部の距離:5mm
・導光路部の高さ:10mm
・導光路部の上端から上部領域の下端までの高さ:3mm
なお、この解析では、開口部が小さく、2回反射までの解析であるため、凸部の突出量の影響はほとんど無いと考えられる。
したがって、上部領域に凸部が形成される本発明では、開口部側反射面の効果により参考例のように感度分布が中心寄りに変化すると共に、素子側反射面の効果により赤外線の最大受光量の減少を抑制可能である。
例えば、上記実施形態の他の例として、図4及び図5に示すように、検出用と補償用との2つの感熱素子を有したセンサ本体21を採用しても構わない。このセンサ本体21は、温度センサの導光路部を除いた主に基板と感熱素子とから構成される部分である。
上記第1の感熱素子23A及び第2の感熱素子23Bは、両端部に端子電極23aが形成されたチップサーミスタである。
なお、これら第1の感熱素子23A及び第2の感熱素子23Bは、各端子電極23aを配線膜24上に接合させて絶縁性フィルム22に実装されている。
また、この薄膜サーミスタである第1の感熱素子33A及び第2の感熱素子33Bは、それぞれ対向する赤外線吸収膜25及び赤外線反射膜26に対応させた大きさ及び形状に設定されている。
また、上記第1の収納部37a及び第2の収納部37bは、第1の感熱素子33A及び第2の感熱素子33Bの位置にそれぞれ対応して形成された断面矩形状の孔部であり、内部に空気を密封した状態で開口部が絶縁性フィルム22で閉塞されている。
Claims (2)
- 感熱素子と、
該感熱素子の上方に開口部を有して前記感熱素子の感熱面の周囲を覆う筒状の導光路部とを備え、
該導光路部の内面が、前記開口部側の上部領域と前記感熱素子側の下部領域とに分かれ、
前記上部領域に、前記開口部側に向いた開口部側反射面と前記感熱素子側に向いた素子側反射面とを有する断面三角形状の凸部が複数形成され、
複数の前記凸部が、前記導光路部の軸線方向に互いに隣接して並んで設けられ、
前記下部領域が、前記凸部が無く前記軸線方向に平行な内面であることを特徴とする温度センサ。 - 請求項1に記載の温度センサにおいて、
前記導光路部の内面が、反射率0.8以上であることを特徴とする温度センサ。
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