以下、本発明に係るナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムの実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(本実施の形態の基本的概念)
最初に、本実施の形態の基本的概念について説明する。本実施の形態は、概略的に、案内対象となるトンネルである案内対象トンネルに関する案内を車両のユーザに行うためのナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムに関する。
ここで、「トンネル」とは、側壁又は天井によって少なくとも一部分の領域が覆われた一部閉鎖空間であって、代表的には、山間トンネルや海底トンネルが該当するが、この他にも、例えば、地下道や地下駐車場等の空間を含む。本実施の形態では、トンネルは、側壁及び天井によって側面の全面及び上面の全面が覆われた山間トンネルであるものとして説明する。なお、このように側壁及び天井によって覆われた内部空間のことを、以下では「トンネル内部」と称して説明する。このトンネル内部は、少なくとも車両が進入することが可能な程度の広さの領域があれば足り、地下駐車場のように車道が設けられていない領域であってもよいが、本実施の形態では、片側一車線の車道が設けられているものとして説明する。このような各種のトンネルの中で、ユーザに対して案内を行うものとして特定されたトンネルを「案内対象トンネル」と称する。この案内対象トンネルを特定するための方法等については後述する。
本実施の形態において、案内対象トンネルに関する案内は、トンネル情報に基づいて行う。ここで、「トンネル情報」とは、トンネルに関する情報である。このトンネル情報は、車両が進入するトンネルを特定するために使用される情報であると共に、トンネルを走行する車両のユーザが当該トンネルを走行する際に抱く不安を低減するために、当該ユーザに対する案内を行うために使用される情報である。例えば、このトンネル情報に含まれる具体的な情報については後述する。なお、「ユーザ」とは、ナビゲーションシステムのユーザであり、代表的には、車両の運転者であるが、車両の助手席や後部座席に同乗する同乗者であってもよい。
また、本実施の形態では、車載用ナビゲーション装置(以下、車載ナビと称する)にナビゲーションプログラムをインストールすることにより、車載用ナビゲーションがナビゲーションシステムとして機能する場合について説明するが、この他にも、スマートフォンや携帯用ナビゲーション装置を含む任意の装置によってナビゲーションシステムを構成してもよい。また、ナビゲーションシステムにおける車載ナビとしての一般的な機能については、公知の車載ナビと同様の構成により得ることができるので、その説明は省略する事とし、特にトンネルに関するトンネル情報を案内する機能を達成するための構成について説明する。なお、このナビゲーションシステムを搭載した車両を、以下では「自車両」と称して説明する。
(本実施の形態の具体的内容)
次に、本実施の形態の具体的内容について説明する。
(構成)
まず、本実施の形態に係る車載ナビ1としてのナビゲーションシステムの構成を説明する。図1は、本実施の形態に係る車載ナビ1を例示するブロック図である。図1に示すように、車載ナビ1は、現在位置取得部2、タッチパネル3、ディスプレイ4、制御部5、及び、データ記録部6を備えている。
(構成−現在位置取得部)
現在位置取得部2は、自車両の現在位置を取得する現在位置取得手段である。例えば、現在位置取得部2は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、又はジャイロセンサ(いずれも図示省略)の少なくとも一つにより検出した現在の車載ナビ1の位置(座標)及び方位等を、公知の方法にて取得する。なお、本実施の形態では、現在位置取得部2は、GPSに加えて、ジャイロセンサにより検出した現在位置を取得するためのものである事として説明し、車両がトンネルの内部に位置する場合であっても車両の現在位置を取得することが可能である。
(構成−タッチパネル)
タッチパネル3は、ユーザの指等で押圧されることにより、当該ユーザから各種手動入力を受け付けるものである。このタッチパネル3は、透明又は半透明状に形成され、ディスプレイ4の前面において当該ディスプレイ4の表示面と重畳するように設けられている。このタッチパネル3としては、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等による操作位置検出手段を備えた公知のタッチパネルを使用することができる。なお、本実施の形態ではこのようにタッチパネル3によりユーザから各手動入力を受け付けるものとして説明したが、タッチパネル3に代えて又はタッチパネル3と共に、その他の任意の操作手段を使用することができ、例えば公知のリモートコントローラーによりユーザからの入力を受け付けても良い。
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ4は、後述する制御部5の案内部5eによって案内された画像を表示する表示手段であり、特に、後述する地図データベース(以下、データベースを「DB」と称する)6aにて格納された地図情報に基づいて地図を表示し、また、後述する地図DB6aにて格納されたトンネル情報に基づいてトンネル情報を表示する表示手段である。このディスプレイ4の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
(構成−制御部)
制御部5は、車載ナビ1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態に係るナビゲーションプログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して車載ナビ1にインストールされることで、制御部5の各部を実質的に構成する。
この制御部5は、機能概念的に、トンネル情報取得部5a、避難経路情報取得部5b、トンネル特定部5c、判定部5d、及び案内部5eを備える。トンネル情報取得部5aは、トンネルに関するトンネル情報を取得するトンネル情報取得手段である。避難経路情報取得部5bは、トンネル内の避難経路に関する避難経路情報を取得する避難経路情報取得手段である。ここで、「避難経路」とは、トンネルから人が外部に避難するための経路であって、非常口、避難通路、火災消火設備や排煙設備等の防災設備に至る経路等を含む。以下では、避難経路として、非常口を案内する例について説明する。トンネル特定部5cは、現在位置取得部2にて取得された現在位置と、トンネル情報取得部5aにて取得されたトンネル情報とに基づいて、自車両が進入するトンネルを特定するトンネル特定手段である。判定部5dは、トンネル特定部5cにて特定されたトンネルが案内対象とすべき案内対象トンネルであるか否かを判定する判定手段である。案内部5eは、トンネル情報取得部5aにて取得されたトンネル情報に基づいて、案内対象トンネルに関する案内をユーザに行う案内手段である。これら制御部5の各部により行われる具体的な処理については後述する。
(構成−データ記録部)
データ記録部6は、車載ナビ1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
このデータ記録部6は、地図DB6aを備えている。この地図DB6aは、「地図情報」を格納する地図情報格納手段であると共に、「トンネル情報」を格納するトンネル情報格納手段である。「地図情報」とは、地図に関する情報であって、例えば道路リンクデータ(道路リンク番号、接続ノード番号、道路座標、道路種別(道路が一般道路であるか高速道路を特定するための情報を含む)、車線数、走行規制、ノードデータ(ノード番号、座標)、地物データ(信号機、道路標識、ガードレール、建物等)、対象地物データ(交差点、一時停止線、踏切、カーブ、ETC料金所、高速出口等)、施設データ(各施設の位置、各施設の種別等)、地形データ、地図をディスプレイ4に表示するための地図表示データ等を含んで構成されている。また、「トンネル情報」とは、上述したようにトンネルに関する情報である。このトンネル情報は、具体的には、トンネルの位置データ(トンネル入口の座標、トンネル出口の座標等)、形状(全長(トンネルの入口から出口までの道なりの距離)、トンネル内部の幅、トンネル内部の高さ、トンネルの水平断面データ、トンネルの鉛直断面データ)、トンネル内に存在する非常口の位置座標等を含んで構成されている。ここで、「トンネルの入口」及び「トンネルの出口」は、いずれもトンネルの開口面を示す概念であり、車両の進入方向から見て手前側の開口面が「トンネルの入口」、車両の進入方向から見て奥側の開口面が「トンネルの出口」である。ただし、これらトンネルの入口とトンネルの出口とは、相互に特に区別する必要の無いときは、単に「トンネルの出入口」と称して説明する。「トンネルの水平断面データ」とは、水平断面によるトンネルの断面図の画像データであり、トンネルの高さ方向の各位置における複数の断面データである。「トンネルの鉛直断面データ」とは、鉛直断面によるトンネルの断面図の画像データであり、トンネルの幅方向の各位置における複数の断面データである。これら水平断面データと鉛直断面データは、後述する入口領域から出口領域の視認の可否を判断するためのデータであるが、このような判断を行うことが可能なものであれば、他のデータを格納してもよく、例えば、トンネルの3DのCADデータを格納してもよい。
(案内処理)
次に、このように構成される車載ナビ1によって実行される案内処理について説明する。この案内処理は、概略的に、車両が進入するトンネルが案内対象とすべき案内対象トンネルであるか否かを判定して、案内対象トンネルである場合にはユーザに対して各種案内を行うための処理である。図2は、案内処理のフローチャートである。なお、この案内処理の実行タイミングは任意であり、例えば、車載ナビ1が起動している限り継続して実行される。すなわち、車載ナビ1が起動している限りにおいて、案内処理が終了し次第、再度初めから案内処理が実行される。なお、以下の処理の説明において、制御主体を特記しない処理については、車載ナビ1の制御部5にて実行されるものとし、情報の取得元や取得経路を特記しない場合については、公知のタイミング及び公知の方法にて、車載ナビ1のデータ記録部6に予め格納されており、あるいは、車載ナビ1のタッチパネル3を介してユーザによって入力されるものとする。また、ステップを「S」と略記する。
初めに、トンネル特定部5cは、車両が進入するトンネルを特定する(SA1)。ここで、「車両が進入するトンネル」とは、自車両の進行方向の前方に存在するトンネルであり、自車両が走行を続けることにより当該自車両が進入すると推定されるトンネルである。例えば、車両の出発地から目的地までの走行経路が公知の経路探索方法によって探索されている場合には、当該走行経路上において自車両の現在位置と目的地との相互間に位置するトンネルであって、自車両の現在位置から所定距離以内に位置するトンネルを、自車両が進入するトンネルとしてもよい。より具体的には、トンネル特定部5cは、現在位置取得部2にて取得された自車両の現在位置の位置座標に基づいて、当該走行経路上に位置するトンネルの中から、自車両の現在位置と目的地との相互間に位置するトンネルを抽出する。また、トンネル情報取得部5aは、当該抽出したトンネルの出入口の位置座標を地図DB6aから取得する。そして、トンネル特定部5cは、トンネル情報取得部5aにて取得されたトンネルの出入口の位置座標と、現在位置取得部2にて取得された自車両の現在位置の位置座標とを比較し、これらが所定距離以内に存在するかを判定する。そして、所定距離以内に存在しないと判定した場合には、自車両が進入するトンネルが特定できないため(SA1、No)、自車両が進入するトンネルが特定できるまで、SA1の処理を繰り返し実行する。一方、所定距離以内に存在すると判定した場合には、当該トンネルを自車両が進入するトンネルであると特定できると判定する(SA1、Yes)。
そして、自車両が進入するトンネルを特定した場合(SA1、Yes)、判定部5dは、当該特定されたトンネルが、ユーザへの案内対象とすべき案内対象トンネルであるか否かを判定するために、以下に示すSA2、及びSA3の判定を順次行う。ここでは、ユーザに不安を抱かせる可能性の有るトンネルを案内対象トンネルとして特定するため、当該特定されたトンネルが、トンネルの入口領域から当該トンネル内部を介して当該トンネルの出口領域が視認不可能なトンネルであるか否かを判定する。そして、視認不可能なトンネルである場合には、当該トンネルを案内対象トンネルであるとして特定し、視認不可能なトンネルでない場合には、当該トンネルを案内対象トンネルではないと特定する。
ここで、「視認不可能」とは、トンネルの側壁や天井等によってユーザの視線が遮られるために、トンネルの入口領域から当該トンネル内部を介して当該トンネルの出口領域を視認することができない状態を意味している。つまり、このように視認することができない状態の場合、トンネル内部を走行する自車両のユーザは、トンネルの出口領域を視認することができず、トンネルの内部における自車両の位置を把握すること等ができないため、不安を抱く可能性が高いと考える。なお、「トンネル内部を介して」としたのは、例えば、トンネルが大きく湾曲している場合であっても、トンネルの入口から、トンネルの外部のみを介して、トンネルの出口を直接的に視認することができる状態があり得ることを想定したためである。このように、トンネルの外部のみを介してトンネルの出口を視認できる場合であっても、トンネル内部を介してユーザがトンネルの出口を視認することができない場合には、車両のユーザに不安を抱かせる可能性が高い。そこで、トンネル内部を介してトンネルの出口領域を視認することができない場合には、トンネルの外部のみを介して出口領域を視認することができる場合であっても、視認不可能と判定することで、当該トンネルを案内対象トンネルに含めることとしている。
また、「入口領域」とは、車両が進入するトンネルの入口側の所定領域であって、トンネルの入口(進入方向から見て手前側の開口面)と、当該トンネルの入口よりもトンネルの出口側に位置する断面であってトンネル内部における車両の走行方向に対して直交する断面(以下、入口領域断面)と、の相互間に位置するトンネル内部の全領域である。なお、トンネルの入口から入口領域断面に至る長さであってトンネル内部における車両の走行方向に沿った長さを、「入口領域長」と称する。また、「出口領域」とは、車両が進入するトンネルの出口側の所定領域であって、トンネルの出口(進入方向から見て奥側の開口面)と、当該トンネルの出口よりもトンネルの入口側に位置する断面であってトンネル内部における車両の走行方向に対して直交する断面(以下、出口領域断面)と、の相互間に位置するトンネル内部の全領域である。なお、トンネルの出口から出口領域断面に至る長さであってトンネル内部における車両の走行方向に沿った長さを、「出口領域長」と称する。
このように、案内対象トンネルを、入口領域からトンネル内部を介して出口領域が視認不可能なトンネルとするのは、以下の理由による。例えば、トンネルの入口から出口が視認不可能な場合であっても、トンネルの入口からトンネル内部に向けて日光が入っているために、この日光に照らされたトンネル内部の領域を車両が走行している間には、ユーザは不安を感じることが少ないと考えられることを考慮して、このような領域を入口領域として設定する。あるいは、トンネルの入口から出口が視認不可能な場合であっても、トンネルの出口からトンネル内部に向けて日光が入っているために、この日光に照らされたトンネル内部の領域をユーザが視認できる場合には、ユーザは出口の大まかな位置を認識することが出来ると考えられることを考慮して、このような領域を出口領域として設定する。
ただし、このようにユーザが不安を感じる可能性が低い入口領域や出口領域の具体的な形状や寸法は、時刻に応じた環境変化(例えば日照角度)に応じて変化し得るため、本実施の形態においては、時刻に基づいて、入口領域の範囲又は前記出口領域の範囲を決定する。
例えば、入口領域に関しては、上述した例のように、トンネルの入口からトンネルの内部に向けて日光が入る場合、日光に照らされた領域においてユーザは不安を感じることが少ないと考えられるため、このような日光が入ると推定される日中においては、入口領域をその日光に照らされた領域である比較的広範囲の領域に設定する。また、トンネルの入口からトンネルの内部に向けて日光が入らない場合、例えばトンネルの入口付近であってもユーザは不安を感じる可能性があると考えられるため、このように日光が入らないと推定される夜中においては、入口領域を入口付近のみの比較的狭い範囲の領域に設定する。
また、例えば、出口領域に関しては、上述した例のように、トンネルの出口からトンネルの内部に向けて日光が入る場合、ユーザは当該日光によって照らされた領域を視認することにより出口の存在を認識することが出来ると考えられるため、このような日光が入ると推定される日中においては、出口領域をその日光に照らされた領域である比較的広範囲の領域に設定する。また、トンネルの出口からトンネルの内部に向けて日光が入らない場合、ユーザは出口の開口部を実際に視認するまで出口の存在を認識することが出来ないと考えられるため、このように日光が入らないと推定される夜中においては、出口領域を出口付近のみの比較的狭い範囲の領域に設定する。
これらの点に鑑みて、地図DB6aのトンネル情報には、入口領域及び出口領域を特定するための情報が、トンネル毎かつ時刻毎に予め格納されている。そして、以下に示すSA2及びSA3において、入口領域及び出口領域を特定するための情報が、トンネル情報取得部5aにて必要に応じて取得されて用いられる。なお、入口領域及び出口領域を特定するための情報は、例えば、トンネルの入口領域断面の形状、出口領域断面の形状、入口領域長、及び出口領域長を含む。例えば、地図DB6aのトンネル情報には、トンネルXに関して、午前6時から午前10時までは入口領域長=5m、午前10時から午後3時までは入口領域長=7m、午後3時から午後6時までは入口領域長=5m、午後6時から午前6時までは入口領域長=2mのように設定されている。このようなトンネル情報の設定は、例えば、既知の地図情報に含まれるトンネルの形状や、トンネルの周囲環境(日光を遮る地形や構造物の有無等)を考慮して、任意の方法により算定等して、予め地図DB6aに設定することができる。そして、判定部5dは、SA2及びSA3を実行する際の時刻を公知の方法により取得し、当該取得した時刻と、SA1で特定したトンネルに対応するトンネル情報を、地図DB6aから取得する。そして、当該取得したトンネル情報に基づいて、入口領域の範囲又は前記出口領域の範囲を設定する。そして、このように設定された入口領域及び出口領域に関して、SA2及びSA3の処理を実行する。
まず、判定部5dは、SA1において特定したトンネルが、水平平面視上において所定曲率以上湾曲しているか否かを判定する(SA2)。図3は、トンネル(以降、トンネル11)の水平平面図であり、図3(a)は、案内対象トンネルではないトンネルを示す図、図3(b)は、案内対象トンネルを示す図である。ここで、図3におけるトンネル11の入口側に位置する網掛け部分が入口領域(以降、入口領域12)である。そして、当該入口領域12における車両(以降、車両10)の進入方向から見て手前側の点線がトンネルの入口(以降、トンネルの入口13)であり、当該入口領域12における車両10の進入方向から見て奥側の点線が入口領域断面(以降、入口領域断面14)である。また、図3におけるトンネル11の出口側に位置する網掛け部分が出口領域(以降、出口領域15)である。そして、当該出口領域15における車両10の進入方向から見て奥側の点線がトンネルの出口(以降、トンネルの出口16)であり、当該出口領域15における車両10の進入方向から見て手前側の点線が出口領域断面(以降、出口領域断面17)である。
そして、判定部5dは、この入口領域12内のいずれかの部分(例えば、図3の左側に示す黒丸部分)と、出口領域15内のいずれかの部分(例えば、図3の右側に示す黒丸部分)とを、水平平面視上においてトンネル11上のみを通る直線によって相互に接続することができるか否かを判定する。ここで、「水平平面視上」とは、水平断面による切断面上の意味である。すなわち、本実施の形態においては、このような直線が少なくとも1本存在し得る場合には、トンネル11の入口領域12から当該トンネル11の内部を介して当該トンネル11の出口領域15が視認可能であると考える。なお、水平断面による切断面は、トンネル11の高さ方向に沿って複数存在し得るが、これらいずれか一つの切断面において、このような直線による接続が可能である場合には、視認可能であると考える。ただし、実際には、このような直線が存在し得る場合であっても、ユーザの走行位置や着座位置等によっては、当該直線とユーザがとり得る視線とが一致し得ない可能性も考えられるため、これら着座位置等を考慮して、切断面の高さを制限したり、入口領域12や出口領域15において直線で接続する範囲を制限したりしてもよい。
このような直線が存在し得るか否かの具合的な判定方法は任意であり、以下にはその一例を示す。まず、トンネル情報取得部5aは、トンネル11の水平断面データをデータ記録部6から取得し、車載ナビ1の制御部5は、当該取得された水平断面データにおける入口領域12と出口領域15とを、水平断面に沿って配置される複数のメッシュ領域に細分化する。ここで、当該入口領域12における細分化された各領域を以下では入口細分領域と称し、当該出口領域15における細分化された各領域を以下では出口細分領域と称する。そして、車載ナビ1の制御部5は、この入口細分領域のいずれかと、出口細分領域のいずれかとを接続する直線の組み合わせを全通り想定し、この全通りの組み合わせの直線のうち、トンネル11の内部のみを通る直線が存在するか否かを判定する。
なお、このような判定方法において、トンネル11の形状が単純曲線の場合、上述した直線がトンネル11の内部のみを通る可能性が最も高いのは、曲線の最も外側に位置する入口細分領域と、曲線の最も外側に位置する出口細分領域と、を接続する場合である。したがって、このようにトンネル11の形状が単純曲線の場合、入口細分領域のいずれかと、出口細分領域のいずれかと、を接続する直線の組み合わせを全通り想定する必要はなく、曲線の最も外側に位置する入口細分領域と曲線の最も外側に位置する出口細分領域とを接続する直線のみを想定してもよい。
また、このような判定方法において、ユーザの視界をより考慮に入れた判定を行っても良い。すなわち、入口細分領域と出口細分領域とを接続する直線が存在する場合であっても、実際には、車両10のユーザの視界には出口領域15のうち極めて狭い範囲しか写らない場合、例えばユーザが出口からトンネル11内部に向けて入る日光をトンネル11の照明と誤認する事が考えられ、出口の大まかな位置の存在を把握できない可能性がある。そこで、入口領域12から出口領域15における所定範囲以上の領域を視認することが可能である場合に、当該トンネル11は入口領域12から出口領域15が視認可能であると判定しても良い。具体的には、上述した判定方法において、入口細分領域のいずれかと、出口細分領域のいずれかとを接続する直線が一定の外径を有する直線であるものとする。そして、この一定の外径を有する直線によって入口細分領域のいずれかと、出口細分領域のいずれかとを接続する組み合わせを全通り想定し、直線の全体がトンネル11の内部のみを通る直線が存在するか否かを判定することにより、当該判定を行うようにしてもよい。
そして、図3(a)に示すように、相互に接続することが出来ると判定した場合、当該トンネル11は水平平面視上において所定曲率以上湾曲しておらず(SA2、No)、入口領域12から出口領域15が視認可能であると判断し、SA3に移行する。一方、図3(b)に示すように、相互に接続することが出来ないと判定した場合、当該トンネル11は水平平面視上において所定曲率以上湾曲しており(SA2、Yes)、入口領域12から出口領域15が視認不可能であると判断し、当該トンネル11を案内対象トンネルであると特定して、SA6に移行する。
また、時刻に基づいて入口領域12の範囲又は出口領域15の範囲を決定することにより、時刻に応じてSA2の処理結果が異なり得る原理について、図4を参照しつつ説明する。図4は、トンネル11の水平平面図であり、図3(b)とは異なる入口領域12(入口領域長が異なる入口領域)及び異なる出口領域15(出口領域長が異なる出口領域)が設定されたトンネル11を示す図である。なお、図4に示すトンネル11は、図3(b)に示すトンネル11と同一のトンネル11であり、各図は入口領域12の範囲、及び、出口領域15の範囲のみが異なる。ここで、図4に示すように、入口領域12の範囲、及び、出口領域15の範囲を広げることによって、図3(b)に示すトンネル11と同一のトンネル11であっても、入口領域12内のいずれかの部分と、出口領域15内のいずれかの部分とを、水平平面視上においてトンネル11上のみを通る直線によって相互に接続することができる。したがって、この場合、判定部5dは、当該トンネル11は水平平面視上において所定曲率以上湾曲しておらず(SA2、No)、入口領域12から出口領域15が視認可能であると判断する。
次いで、図2に戻り、SA3について説明する。水平平面視上において所定曲率以上湾曲していないと判断した場合(SA2、No)、判定部5dは、SA1において特定したトンネル11が、鉛直平面視上において所定曲率以上湾曲しているか否かを判定する(SA3)。図5は、トンネル11の鉛直平面図であり、図5(a)は、案内対象トンネルではないトンネル、図5(b)は、案内対象トンネルを示す図である。ここで、図5における入口側に位置する網掛け部分が入口領域12である。そして、当該入口領域12における車両10の進入方向から見て手前側の点線がトンネルの入口13であり、当該入口領域12における車両10の進入方向から見て奥側の点線が入口領域断面14である。また、図5におけるトンネル11の出口側に位置する網掛け部分が出口領域15である。そして、当該出口領域15における車両10の進入方向から見て奥側の点線がトンネルの出口16であり、当該出口領域15における車両10の進入方向から見て手前側の点線が出口領域断面17である。
そして、判定部5dは、この入口領域12内のいずれかの部分(例えば、図5の左側に示す黒丸部分)と、出口領域15内のいずれかの部分(例えば、図5の左側に示す黒丸部分)とを、鉛直平面視上においてトンネル11上のみを通る直線によって相互に接続することができるか否かを判定する。ここで、「鉛直平面視上」とは、鉛直断面による切断面上の意味である。なお、SA3の具体的な内容については、SA2の具体的な内容において「水平」を「鉛直」と読み替えることにより説明することができるため、その説明を省略する。
そして、図5(a)に示すように、相互に接続することが出来ると判定した場合、当該トンネル11は鉛直平面視上において所定曲率以上湾曲しておらず(SA3、No)、入口領域12から出口領域15が視認可能であると判断して、SA4に移行する。一方、図5(b)に示すように、相互に接続することが出来ないと判定した場合、当該トンネル11は鉛直平面視上において所定曲率以上湾曲しており(SA3、Yes)、入口領域12から出口領域15が視認不可能であると判断し、当該トンネル11を案内対象トンネルであると特定して、SA6に移行する。
その後、当該トンネル11が水平平面視上において所定曲率以上湾曲しておらず(SA2、No)、かつ、鉛直平面視上においても所定曲率以上湾曲いない場合(SA3、No)、すなわち、当該トンネル11が案内対象トンネルではないと判定した場合、判定部5dは、避難経路情報取得部5bにて地図DB6aから取得されたトンネル情報に基づいて、当該トンネル11内に非常口が存在するか否かを判定する(SA4)。そして、トンネル11内に非常口が存在しないと判定した場合(SA4、No)、SA5に移行する。一方、トンネル11内に非常口が存在すると判定した場合(SA4、Yes)、当該トンネル11は案内対象トンネルではないが、SA6に移行して、SA6の判定を経てSA8に移行する可能性を残し、SA8において非常口の情報をディスプレイ4に表示する可能性を残すことで、ユーザのトンネル11の運転時における不安の低減を図る。
次いで、当該トンネル11が水平平面視上において所定曲率以上湾曲しておらず(SA2、No)、かつ、当該トンネル11が鉛直平面視上において所定曲率以上湾曲しておらず(SA3、No)、また、トンネル11内に非常口が存在しない場合(SA4、No)、判定部5dは、当該トンネル11の長さが所定の長さ(以下、基準上限長)以上であるか否かを判定する(SA5)。すなわち、当該トンネル11が案内対象トンネルであるか否か、又は、当該トンネル11に非常口が存在するか否かに関らず、トンネル11の長さが基準上限長以上である場合には、当該トンネル11を走行する車両10のユーザはトンネル11運転時に不安を抱く可能性がある。そこで、判定部5dは、当該トンネル11の長さが基準上限長以上であるか否かを判定し(SA5)、基準上限長以上であると判定した場合(SA5、Yes)、当該トンネル11は案内対象トンネルではないが、SA6に移行して、SA6の判定を経てSA8に移行する可能性を残し、SA8においてトンネル11に関する情報を表示する可能性を残すことで、ユーザのトンネル11の運転時における不安の低減を図る。なお、当該トンネル11の長さが基準上限長以上でない場合(SA5、No)、当該トンネル11に関する情報を案内する必要はないと判断し、再度SA1の処理を実行する。
この基準上限長の具体的な長さは任意であるが、例えば、5kmに設定する。あるいは、この基準上限長を、SA6の判定を行った時刻によって異なる長さとしても良い。例えば、日中にはトンネル11が多少長くても不安を抱く可能性が低い事を考慮して、日中は基準上限長を6kmに設定し、反対に、夜間にはトンネル11が短くても不安を抱く可能性が高い事を考慮して、夜間は基準上限長を4kmに設定しても良い。
また、当該トンネル11の長さが基準上限長以上であると判定した場合(SA5、Yes)、次に、判定部5dは、当該トンネル11の長さが所定の長さ(以下、基準下限長)以下であるか否かを判定する(SA6)。そして、基準下限長以下であると判定した場合(SA6、Yes)、当該トンネル11を案内すべきでないと判断し、再度SA1の処理を実行する。このように、当該トンネル11が案内対象トンネルであるか否か、又は、当該トンネル11に非常口が存在するか否かに関らず、当該トンネル11が基準下限長以下の短いトンネル11である場合には当該トンネル11に関する案内を行わない。何故ならば、短いトンネル11については、当該トンネル11を走行する上でユーザが不安を抱く可能性が低く、当該トンネル11に関するトンネル情報を案内する必要性は小さい。寧ろ、短いトンネル11が連続して配置されているような道路を走行中において、トンネル11に差し掛かる度にトンネル情報を案内することは、ユーザにとって煩わしく、また、車載ナビ1の処理負荷を増大させてしまうためである。そこで、このようにトンネル11の長さが短い場合については当該トンネル11に関するトンネル情報の案内を行わないことで、ユーザにとっての車載ナビ1の利便性を向上させ、また、車載ナビ1の処理負荷の低減を図ることが可能となる。
この基準下限長の具体的な長さは任意であるが、例えば、1kmに設定する。あるいは、この基準下限長を、SA6の判定を行った時刻によって異なる長さとしても良い。例えば、日中にはトンネル11が多少長くても不安を抱く可能性が低い事を考慮して、日中は基準下限長を1.5kmに設定し、反対に、夜間にはトンネル11が短くても不安を抱く可能性が高い事を考慮して、夜間は基準下限長を0.5kmに設定しても良い。
そして、トンネル11の長さが基準下限長以下でないと判定した場合(SA6、No)、判定部5dは、表示タイミングが到来したか否かの判定を行う(SA7)。ここで、表示タイミングとは、トンネル情報をディスプレイ4に表示するのに適したタイミングであって、任意のタイミングとして設定することが可能である。なお、本実施の形態では、判定部5dが、現在位置取得部2により取得した車両10の現在位置の位置座標と、トンネル情報取得部5aにより取得したトンネルの入口13の位置座標とを比較し、これらが一致した際(すなわち、車両10がトンネル11の内部に進入した際)に、表示タイミングが到来したものと判定する。なお、当該表示タイミングは、車両10がトンネル11の内部に進入する前や、トンネル11の内部に進入した後であっても構わない。
そして、判定部5dは、表示タイミングが到来するまで待機し(SA7、No)、表示タイミングが到来したと判定した場合(SA7、Yes)、案内部5eは、トンネル情報取得部5aにて取得された当該トンネル11に関するトンネル情報に基づいて、案内を行う(SA8)。ここで、具体的にどのような案内を行うかは、ユーザが当該トンネル11を走行する上で抱く不安を低減させる事が可能な案内である限りにおいて任意である。ここで、図6は、ディスプレイ4の表示例を示す図である。このように、本実施の形態では、当該トンネルの名称18、当該トンネルの全長19、車両10の現在位置から入口までの距離と出口までの距離とを表す表示20、及び、車両10の現在位置から進行方向の前後の各々において最も近い非常口までの距離を表す表示21、の4点をディスプレイ4に表示することにより案内を行う。
ここで、図6における、車両の現在位置から入口までの距離と出口までの距離とを表す表示20は、トンネルの入口を示すマーク20a、トンネルの出口を示すマーク20b、及び、車両10の現在位置を示すマーク20cを備えて構成される。ここで、車両の現在位置を示すマーク20cからトンネルの入口を示すマーク20aまでの長さ、及び、車両の現在位置を示すマーク20cからトンネルの出口を示すマーク20bまでの長さを実際の距離と対応する長さとすることで、ユーザは、出口までの距離を感覚的に把握することが可能となる。
また、図6における、車両の現在位置から進行方向の前後の各々において最も近い非常口までの距離を表す表示21は、車両の進行方向前方の非常口を示すマーク21a、車両の進行方向後方の非常口を示すマーク21b、及び、車両の現在位置を示すマーク21cを備えて構成される。なお、上述した車両の現在位置から入口までの距離と出口までの距離とを表す表示20と同様に、車両の現在位置を示すマーク21cから車両の進行方向前方の非常口を示すマーク21aまでの長さ、及び、車両の現在位置を示すマーク21cから車両の進行方向後方の非常口を示すマーク21bまでの長さ、を実際の距離と対応する長さとすることで、ユーザは、出口までの距離を感覚的に把握することが可能となる。
なお、上述したSA2からSA6における処置の判定結果に応じて異なるトンネル情報を表示しても良い。例えば、SA2又はSA3において当該トンネル11が案内対象トンネルではないと判定した場合、当該表示のうち車両の現在位置から入口までの距離と出口までの距離とを表す表示20を表示しなくても良いし、また、SA4において当該トンネル11に非常口が存在しないと判定した場合、当該表示のうち車両10の現在位置から進行方向の前後の各々において最も近い非常口までの距離を表す表示21を表示しなくても良い。また、トンネル情報の表示と併せて、車載ナビ1に設けられたスピーカ(図示省略)から表示内容に対応する音声を出力しても良い。
続いて、判定部5dは、表示情報の更新を行う(SA9)。具体的には、現在位置取得部2により改めて取得した現在位置に基づいて、ディスプレイ4の表示内容を変更する。例えば、車両10が移動することによって、現在位置取得部2により改めて取得した現在位置が、最初の表示時(SA8)、あるいは、前回の更新時(SA9)と異なっている場合、当該改めて取得した現在位置に基づいて、車両の現在位置から入口までの距離と出口までの距離とを表す表示20、及び、車両の現在位置から進行方向の前後の各々において最も近い非常口までの距離を表す表示21を更新する。そして、判定部5dは、当該車両10が出口に到達したか否かを判定し(SA10)、出口に到達していない場合、出口に到達するまでSA9及びSA10の処理を繰り返し実行する(SA10、No)。なお、出口に到達したか否かの判定は、現在位置取得部2により取得した車両10の現在位置の位置座標と、トンネル情報取得部5aにより取得したトンネルの出口16の位置座標とを比較し、これらが一致したか否かを判定することにより行う。そして、出口に到達したと判定した場合(SA10、Yes)、案内処理を終了する。そして、再度案内処理が初めから実行され、判定部5dにて前方にトンネル11が有るか否かの判定が行われる(SA1)。
(本実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、車両10が進入するトンネル11が、トンネル11の入口領域12から出口領域15を視認不可能な案内対象トンネルである場合には当該案内対象トンネルに関する案内を行うので、車両10のユーザが入口領域12から出口領域15を視認することが出来ず当該ユーザに対して不安を抱かせる可能性の高いトンネル11に進入した際に、当該車両10のユーザが抱く不安の低減を図ることが可能となり、ユーザの安全性、及び快適性の確保を図ることが可能となる。
また、トンネル11における入口領域12のいずれかの位置と当該トンネル11における出口領域15のいずれかの位置とを、水平平面視上において当該トンネル11上のみを通る直線によって相互に接続することができない場合、当該トンネル11が案内対象トンネルであると判定するので、トンネル11が案内対象トンネルであるか否かを、トンネル11の水平平面内の形状の観点から容易に特定することが可能となる。
また、トンネル11における入口領域12のいずれかの位置と当該トンネル11における出口領域15のいずれかの位置とを、鉛直平面視上において当該トンネル11上のみを通る直線によって相互に接続することができない場合、トンネル11が案内対象トンネルであると判定するので、トンネル11が案内対象トンネルであるか否かを、トンネル11の鉛直平面内の形状の観点から容易に特定することが可能となる。
また、時刻に基づいて入口領域12の範囲又は出口領域15の範囲を決定するので、例えば夜間等のようにトンネル11内に入る光量が少なく入口領域12から出口領域15が視認し難い可能性の高い時刻においては、案内対象トンネルとして判定されるトンネル11の範囲を広げることが可能となり、時刻に応じた環境変化を考慮して、トンネル情報を案内するか否かの判定を行うことが可能となる。
また、車両10が進入するトンネル11が案内対象トンネルであるか否かに関らず当該トンネル11の長さが所定の長さ以上である場合には当該トンネル11に関する案内をユーザに出力するので、長さが長いために不安を抱かせる可能性の高いトンネル11に進入した際にトンネル11に関する案内がユーザに出力されない事態を防止することが可能となり、当該車両10のユーザが抱く不安のさらなる低減を図ることが可能となる。
また、車両10が進入するトンネル11が案内対象トンネルであるか否かに関らず当該トンネル11に避難経路が存在する場合には避難経路に関する避難経路情報をユーザに出力するので、ユーザは避難経路に関する情報を確実に取得することが可能となり、車両10のユーザがトンネル11に進入した際に当該ユーザに与えられる不安のさらなる低減を図ることが可能となる。
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。例えば、ユーザのトンネル11の走行時における不安を確実に低減させることができない場合であっても、従来より僅かに不安を低減させる可能性が有る場合や、従来と同程度に不安を低減させることが従来とは異なる技術により達成できている場合には、本願発明の課題が解決されている。
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散や統合して構成できる。例えば、車載ナビ1の各構成要素を、分散配置した上でネットワークを介して相互に接続してもよい。
(案内処理について)
また、本実施の形態では、トンネル11が案内対象トンネルではなく(SA2、No)(SA3、No)、かつ、トンネル11内に非常口が無い場合(SA4、No)、当該トンネル11は案内を行う必要が無いと判断したが、このような場合であっても、トンネル11の全長が所定長さ以上である場合、案内を行っても良い。すなわち、トンネル11の全長が所定長さ以上である場合、トンネル11が水平平面視上や鉛直平面視上において湾曲していない場合であっても、出口領域15が小さく遠方にしか視認できないため、このようなトンネル11を走行するユーザは不安を抱く可能性が高い。したがって、このようなユーザの不安を低減させるために、トンネル情報の表示を行っても良い。
また、本実施の形態では、車両10の進行方向の前方にトンネル11が有ると判定した場合(SA1、Yes)、SA2以降の処理を実行したが、これに限らず、車両10がトンネル11の内部に進入したことが確定した後に、SA2以降の処理を実行しても良い。
また、各処理内容は適宜順序を入れ替えても良い。例えば、SA2の処理と、SA3の処理の順序を入れ替えて実行してもよい。
本実施の形態では、水平平面視上又は鉛直平面視上において入口領域12から出口領域15が視認できるか否かに基づいて案内対象トンネル11であるか否かの判定を行ったが、その他の平面視上において視認できるか否かに基づいて当該判定を行っても良い。例えば、斜め平面視上(水平断面及び鉛直断面に対して非平行な断面上)において視認できるか否かに基づいて当該判定を行っても良い。
(入口領域の範囲及び出口領域の範囲について)
本実施の形態では、時刻に応じて入口領域12の範囲又は出口領域15の範囲を決定したが、これに限らず、入口領域12の範囲や出口領域15の範囲は時刻に関らず一律であっても良い。また、本実施の形態では、車両10がトンネル11内に進入する時刻に基づいて上記範囲を決定したが、トンネル特定部5cによりトンネル11が特定されてから、当該トンネル11を車両10が退出するまでにおける、いずれかの時刻に基づいて、上記範囲を決定しても良い。なお、このように、「トンネル11を車両10が退出するまで」としたのは、トンネル11を車両10が退出するまでの間に時刻に応じた環境は変化し得るため、その環境変化に応じた入口領域12の範囲や出口領域15の範囲を設定しても良いためである。例えば、渋滞等によって、トンネル特定部5cによりトンネル11が特定されてから当該トンネル11を車両10が退出するまでの間に長時間を要することが有り、このような場合には、当該トンネル11を車両10が退出するまでの間にトンネルの出口16からトンネル11の内部に向けて入る日光の量等も変化するためである。
(ユーザの属性について)
また、ユーザの属性(年齢、資力、及び、座高等)に基づいて入口領域12の範囲又は出口領域15の範囲を決定してもよい。なお、当該ユーザの属性は、ユーザを一意に識別するためのIDとユーザの属性とを対応付けて格納したDBから取得しても良い。
(視認不可能について)
「視認不可能」とは、例えば絶対に視認できない場合だけでなく、視認が困難な場合も含めても良い。この視認が困難な場合とは、例えば、トンネル11内部の道路が渋滞しており、他の車両10によって視界が遮られてしまうことにより視認が困難な場合等が含まれる。
(付記)
付記1に記載のナビゲーションシステムは、車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、トンネルに関するトンネル情報を取得するトンネル情報取得手段と、前記現在位置取得手段にて取得された現在位置と、前記トンネル情報取得手段にて取得されたトンネル情報とに基づいて、当該車両が進入するトンネルを特定するトンネル特定手段と、前記トンネル特定手段により特定されたトンネルが案内対象とすべき案内対象トンネルであるか否かを判定する判定手段であって、当該特定されたトンネルの入口側の所定領域である入口領域から当該トンネル内部を介して当該トンネルの出口側の所定領域である出口領域が視認不可能であるか否かを判定し、視認不可能であると判定した場合には、当該特定したトンネルが前記案内対象トンネルであると判定する判定手段と、前記判定手段により前記特定されたトンネルが前記案内対象トンネルであると判定された場合、前記トンネル情報取得手段にて取得されたトンネル情報に基づいて、当該案内対象トンネルに関する案内をユーザに出力する案内手段と、を備える。
また、付記2に記載のナビゲーションシステムは、付記1に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記判定手段は、前記トンネル特定手段にて特定された前記トンネルが水平平面視上において湾曲していることによって、当該トンネルにおける前記入口領域のいずれかの位置と当該トンネルにおける前記出口領域のいずれかの位置とを、前記水平平面視上において前記トンネル上のみを通る直線によって相互に接続することができない場合に、当該トンネルにおける前記入口領域から前記出口領域が視認不可能であると判定する。
また、付記3に記載のナビゲーションシステムは、付記1又は2に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記判定手段は、前記トンネル特定手段にて特定された前記トンネルが鉛直平面視上において湾曲していることによって、当該トンネルにおける前記入口側の開口部のいずれかの位置と当該トンネルにおける前記出口側の開口部のいずれかの位置とを、前記鉛直平面視上において前記トンネル上のみを通る直線によって相互に接続することができない場合に、当該トンネルにおける前記入口領域から前記出口領域が視認不可能であると判定する。
また、付記4に記載のナビゲーションシステムは、付記1から3のいずれか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記判定手段は、時刻に基づいて、前記入口領域の範囲又は前記出口領域の範囲を決定する。
また、付記5に記載のナビゲーションシステムは、付記1から4のいずれか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記判定手段は、前記トンネル特定手段により特定されたトンネルの長さが所定の長さ以上であるか否かを判定し、前記案内手段は、前記判定手段にて前記トンネルの長さが所定の長さ以上であると判定された場合には、前記判定手段にて当該トンネルは前記案内対象トンネルではないと判定された場合であっても、当該トンネルに関する案内をユーザに出力する。
また、付記6に記載のナビゲーションシステムは、付記1から5のいずれか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて、トンネル内の避難経路に関する避難経路情報を取得する避難経路情報取得手段を備え、前記判定手段は、前記トンネル特定手段により特定された前記トンネルに避難経路が存在するか否かを、前記避難経路情報取得手段にて取得された前記避難経路情報に基づいて判定し、前記案内手段は、前記判定手段にて前記トンネルに避難経路が存在すると判定された場合には、前記判定手段にて当該トンネルは前記案内対象トンネルではないと判定された場合であっても、当該避難経路に関する避難経路情報をユーザに出力する。
また、付記7に記載のナビゲーション方法は、車両の現在位置を取得する現在位置取得ステップと、トンネルに関するトンネル情報を取得するトンネル情報取得ステップと、前記現在位置取得ステップにおいて取得された現在位置と、前記トンネル情報取得ステップにおいて取得されたトンネル情報とに基づいて、当該車両が進入するトンネルを特定するトンネル特定ステップと、前記トンネル特定ステップにおいて特定されたトンネルが案内対象とすべき案内対象トンネルであるか否かを判定する判定ステップであって、当該特定されたトンネルの入口側の所定領域である入口領域から当該トンネル内部を介して当該トンネルの出口側の所定領域である出口領域が視認不可能であるか否かを判定し、視認不可能であると判定した場合には、当該特定したトンネルが前記案内対象トンネルであると判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて前記特定されたトンネルが前記案内対象トンネルであると判定された場合、前記トンネル情報取得ステップにおいて取得されたトンネル情報に基づいて、当該案内対象トンネルに関する案内をユーザに出力する案内ステップと、を含む。
また、付記8に記載のナビゲーションプログラムは、付記7に記載の方法をコンピュータに実行させるナビゲーションプログラムである。
(付記の効果)
付記1に記載のナビゲーションシステム、付記7に記載のナビゲーション方法、及び付記8に記載のナビゲーションプログラムによれば、車両が進入するトンネルが、トンネルの入口領域から出口領域を視認不可能な案内対象トンネルである場合には当該案内対象トンネルに関する案内を出力するので、車両のユーザが入口領域から出口領域を視認することが出来ず当該ユーザに対して不安を抱かせる可能性の高いトンネルに進入した際に、車両のユーザが抱く不安を低減することが可能となり、ユーザの安全性及び快適性を向上させることが可能となる。
また、付記2に記載のナビゲーションシステムによれば、トンネルにおける入口領域のいずれかの位置と当該トンネルにおける出口領域のいずれかの位置とを、水平平面視上において当該トンネル上のみを通る直線によって相互に接続することができない場合、当該トンネルが案内対象トンネルであると判定するので、トンネルが案内対象トンネルであるか否かを、トンネルの水平平面内の形状の観点から容易かつ正確に特定することが可能となる。
また、付記3に記載のナビゲーションシステムによれば、トンネルにおける入口領域のいずれかの位置と当該トンネルにおける出口領域のいずれかの位置とを、鉛直平面視上において当該トンネル上のみを通る直線によって相互に接続することができない場合、トンネルが案内対象トンネルであると判定するので、トンネルが案内対象トンネルであるか否かを、トンネルの鉛直平面内の形状の観点から容易かつ正確に特定することが可能となる。
また、付記4に記載のナビゲーションシステムによれば、時刻に基づいて入口領域の範囲又は出口領域の範囲を決定するので、例えば夜間等のようにトンネル内に入る光量が少なく入口領域から出口領域が視認し難い可能性の高い時刻においては、案内対象トンネルとして判定されるトンネルの範囲を広げることが可能になる等、時刻に応じたトンネル周辺の環境変化を、トンネル情報の案内の有無の判定に反映させることが可能となる。
また、付記5に記載のナビゲーションシステムによれば、トンネルの長さが所定の長さ以上であると判定された場合には、トンネルは前記案内対象トンネルではないと判定された場合であっても、トンネルに関する案内をユーザに出力するので、トンネルの入口領域から出口領域が視認可能な場合であってもトンネルの長さが長いために車両のユーザに不安を抱かせる可能性が高い場合において、トンネルに関する案内がユーザに出力されない事態を防止することが可能となり、トンネルの長さに起因して車両のユーザが抱く不安を低減することが可能となる。
また、付記6に記載のナビゲーションシステムによれば、トンネルに避難経路が存在すると判定された場合には、トンネルは前記案内対象トンネルではないと判定された場合であっても、避難経路に関する避難経路情報をユーザに出力するので、トンネルの入口領域から出口領域が視認可能な場合であっても避難経路があるためにトンネルの安全性について車両のユーザに不安を抱かせる可能性が高い場合において、避難経路に関する情報をユーザに出力することができ、避難経路の存在に起因して車両のユーザが抱く不安を低減することが可能となる。