JP6127641B2 - 膜電極接合体およびそれを用いた燃料電池、膜電極接合体の製造方法 - Google Patents

膜電極接合体およびそれを用いた燃料電池、膜電極接合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高分子形燃料電池の膜電極接合体およびそれを用いた燃料電池に関する。
近年、環境問題やエネルギー問題の一対策として、燃料電池(以下、燃料電池セルともいう)が注目されている。燃料電池とは、水素やメタンなどの還元性ガスを、酸素や空気等の酸化性ガスにより酸化する反応において、これに伴う化学エネルギーを電気エネルギーに変換し、電気を得るものである。この燃料電池は、燃料となりうる物質が豊富に存在することや、発電による排出物が水のみであることから、クリーンなエネルギー源とされる。
また、燃料電池は、電解質の種類によって、アルカリ形、リン酸形、高分子形、溶融炭酸塩形、固体酸化物形などに分類される。このように分類されたなかで、高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell;PEFC)は、低温作動、高出力密度であり、小型・軽量化が可能であることから、携帯用電源、家庭用電源、車載用動力源としての利用が期待されている。
高分子形燃料電池は、高分子電解質膜の一方の面に設けられた燃料極(アノード触媒層)と、他方の面に設けられた空気極(カソード触媒層)とを備えている。膜電極接合体は、これらアノード触媒層と、カソード触媒層とが、対向するように配置された構造を有する。この高分子形燃料電池が発電する時、一方の燃料極側には水素を含む燃料ガスが供給され、他方の空気極側には酸素を含む酸化剤ガスが供給される。供給された燃料ガスは、アノード触媒層において、プロトン(proton;陽子)および電子になる。なお、プロトンとは、化学の領域において、水素イオン(H)、すなわち、イオン化した水素を意味する。このプロトンはアノード触媒層内の高分子電解質および高分子電解質膜を通り、カソード触媒層側へ移動する。また、電子は、外部回路を通り、上述したプロトンと同様に、カソード触媒層へ移動する。カソード触媒層において、プロトン、電子および外部から供給される酸化剤ガスが反応し、水が生成される。以上のように、高分子形燃料電池は、その燃料極および空気極において、それぞれ連続的に化学反応が生じるため、電荷の継続的発生が可能となり電池として機能する。
膜電極接合体の製造には、一般に、湿式または乾式塗工や転写法が用いられる。なかでも、触媒層の密着性に優れ、発電性能および耐久性に有利な膜電極接合体を、複雑な装置を必要とせずに得られる優れた製造方法が知られている。その膜電極接合体の製造方法は、触媒層を構成する材料と、適当な溶媒または分散媒から成るスラリーとを、電解質膜に直接塗布する湿式塗工による方法である。
しかし、この湿式塗工による方法では、電解質膜のスラリー溶媒による膨潤、および、その後の乾燥による収縮が避けられない。したがって、触媒層を所望の形状につくることが非常に難しい。
また、膜電極接合体では、電解質膜において触媒層が形成された領域と、触媒層が形成されない領域の厚みの差によるガスの漏洩、および電解質における触媒層が形成されない領域の集中的な劣化を防ぐため、少なくとも電解質膜上、または触媒層の外側に、ガスケット部材(以下、単にガスケットともいう)を設けた構成がよく見られる。
また、触媒層を概ね設計どおりの形に形成し、かつ簡便にガスケット部材付き膜電極接合体の製造方法が知られている。例えば、特許文献1に記載の電解質とマスキング部材とからなる電解質膜複合体の製造方法が知られている。この特許文献1には、開口部を有するマスキング部材を電解質膜上に配置して、触媒層用スラリーを電解質膜に直接塗布する方法が開示されている。すなわち、マスキング部材とガスケット部材とを積層することにより、ガスケット部材付き膜電極接合体を簡易的に得ることができるという方法である。
特許第4737924号公報
しかしながら、文献1に記載の方法では、ガスケット部材と触媒層との間の隙間を完全になくすことができなかった。このように電解質膜が露出した領域があると、その電解質膜の露出した領域は、発電に伴う劣化が加速され、耐久性が低下するという問題があった。本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、電解質膜の露出がなく、耐久性に優れ、かつ平坦で扱いやすい膜電極接合体およびそれを用いた燃料電池を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、高分子電解質膜(10)の両面に触媒層(6,7)を対向して配置し、それぞれの触媒層(6,7)の周囲にガスケット部材(8,9)を隙間なく配置した膜電極接合体(1)であって、前記触媒層(6,7)は表面粗さ(SRa)が異なる二領域(61,71)(62,72)に分けられ、該二領域(61,71)(62,72)は、中央部を占める第一の触媒層(61,71)と、該第一の触媒層(61,71)の周囲を所定の幅(W)で縁取るように取り囲む第二の触媒層(62,72)とから構成され、前記第一の触媒層(61,71)の表面粗さ(SRa)は、0.01μm〜0.80μmであり、前記第二の触媒層(62,72)の表面粗さ(SRa)は、前記第一の触媒層(61,71)の表面粗さ(SRa)よりも大きく、前記第二の触媒層(62,72)の前記幅(W)は、0.1mm〜1mmであり、該第二の触媒層(62、72)の厚さは、均一であることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第一の触媒層(61,71)と前記第二の触媒層(62,72)との間には、界面が存在することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記第二の触媒層(62,72)の表面粗さ(SRa)は、1.0μm以下であることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1〜の何れか1項に記載の発明において、前記第一の触媒層(61)の厚さは、燃料極と空気極とで異なり、前記第二の触媒層(62)の前記幅(W)は、前記燃料極において0.1mm〜0.7mm、前記空気極において0.3mm〜1mmであることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1〜の何れか1項に記載の膜電極接合体(1)を用いた燃料電池である
また、請求項に記載の発明は、高分子電解質膜(10)の両面に触媒層(6,7)を対向して配置し、それぞれの触媒層の周囲(6,7)にガスケット部材(8,9)を隙間なく配置した膜電極接合体(1)を製造する方法であって、前記触媒層(6,7)は表面粗さ(SRa)が異なる二領域(61,71)(62,72)に分けられ、該二領域(61,71)(62,72)は、中央部を占める第一の触媒層(61,71)を形成した後に、該第一の触媒層(61,71)の周囲を0.1mm〜1mmの幅(W)で縁取るように取り囲む第二の触媒層(62,72)を形成し、前記第一の触媒層(61,71)を形成する工程では、前記第一の触媒層(61,71)の表面粗さ(SRa)を0.01μm〜0.80μmとし、前記第二の触媒層(62,72)を形成する工程では、前記第二の触媒層(62,72)の表面粗さ(SRa)を前記第一の触媒層(61,71)の表面粗さ(SRa)よりも大きくするとともに、前記第二の触媒層(62,72)の厚さを均一にすることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記第一の触媒層(61,71)を形成する工程では、前記第一の触媒層(61,71)を形成する塗液を塗工して前記第一の触媒層(61,71)を形成し、前記第二の触媒層(62,72)を形成する工程では、前記第二の触媒層(62,72)を形成する塗液を塗工して前記第二の触媒層(62,72)を形成し、前記第二の触媒層(62,72)を形成する前に、前記ガスケット部材(8,9)を配置することを特徴とする。
本発明によれば、電解質膜の露出がなく、耐久性に優れ、かつ平坦で扱いやすい膜電極接合体およびそれを用いた燃料電池を提供できる。より詳細には、下記1)〜3)の効果が得られる。
1)第二の触媒層形成により、電解質膜の露出に起因する耐久性低下を抑止する。
2)第二の触媒層は、第一の触媒層の周囲である縁部を所定の幅で縁取るものであり、その縁部における触媒層表面の粗さが異なる構成とすることにより、長時間または繰り返し運転を行った際の縁部の局所的な劣化を妨げることが可能である。
3)第一の触媒層の縁部を縁取る第二の触媒層の幅を、四辺全てにわたって0.1mm〜1mmとすることにより、その第二の触媒層形成に伴う電解質膜の膨潤や収縮に起因する膜電極接合体の歪みを回避できる。
本発明の実施形態に係る燃料電池(セル)を説明するための分解斜視図である。 本発明の実施形態に係る膜電極接合体の上面、側面および下面である。 膜電極接合体の触媒層表面の粗さ曲面を、レーザー顕微鏡によって観測した画像の一例である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池(セル)を説明するための分解斜視図である。図1に例示するように、高分子形燃料電池(以下、単に燃料電池ともいう)は、膜電極接合体1と、拡散層2,3と、セパレータ4,5とを有して構成されている。膜電極接合体1は、拡散層2,3に挟持されている。さらに拡散層2,3は、それらの外面をセパレータ4,5で挟持されている。このセパレータ4,5の表面は、空気極および燃料極の拡散層2,3にそれぞれ沿うように対面して、それぞれの反応ガス(以下、原料ガスともいう)が流通するためのガス流路41,51となる櫛型構造を有している。この櫛型構造とは、拡散層2,3にそれぞれ沿って対向する面に、凸条が等間隔に設けられて複数の平行な溝が形成されている構造である。このような溝によって冷却水流路を構成することも多い。セパレータ4,5は、導電性を有し、かつガスを透過しない材料より成る。そのセパレータ4,5の材料として、例えば、耐食処理が施された金属板または焼成カーボン等のカーボン系材料等が用いられる。
燃料電池の、すなわち、酸化剤ガスおよび燃料ガスは、まず、セパレータ4,5のガス流路41,51を通る。反応ガスは、これらの流路41,51を通るうちに、拡散層2,3を介して、膜電極接合体1へ供給される。拡散層2,3は、導電性が高く、原料ガスの拡散性が高い材料から成る。例えば、金属フイルム、導電性高分子、カーボン材料等が挙げられる。これらの材料のなかでも、カーボンペーパ等の多孔質導電体材料が好ましい。また、拡散層2,3の厚みは、50um〜1000um程度が好ましい。
図2は、本発明の実施形態に係る膜電極接合体の上面、側面および下面である。図2に示されるように、電解質膜10の上面に燃料極の触媒層6が形成され、電解質膜10の下面に空気極の触媒層7が形成されている。すなわち、電解質膜10の両面を、触媒層6,7で挟持されている。これら各触媒層6,7の外縁と隙間を空けずに、各触媒層6,7の外縁を縁取るように、ガスケット部材8,9が配設されている。このような、第二の触媒層62,72を形成することに、電解質膜10の露出に起因する耐久性低下を抑止することが可能である。
電解質膜10の材料は、イオン伝導性の高い材用であれば、特に限定されないが、多くはパーフルオロスルホン酸系や炭化水素系の固体高分子電解質膜が用いられる。具体的には、デュポン社(Du Pont社)のナフィオン(Nafion、登録商標)、ジャパンゴアテックス(株)のゴアセレクト(Goreselect、登録商標)、旭硝子(株)のフレミオン(Flemion、登録商標)等が挙げられる。また、電解質膜10の厚みは、特に限定されないが、10um〜200umが好ましく、これより薄いと破損しやすいため扱い難くなり、厚いと膜抵抗が大きくなり性能に問題を生じる。
なお、本実施形態に係る燃料極の触媒層6は、触媒と電解質とから成り、本発明に係る第一の触媒層61と第二の触媒層62とを有する。同様に、本実施形態に係る燃料極の触媒層7は、触媒と電解質とから成り、本発明に係る第一の触媒層71と第二の触媒層72とを有する。触媒粒子には、白金やパラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムの白金族元素の他、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属またはこれらの合金、酸化物や複酸化物等が使用できる。
触媒粒子は単体で用いても良いが、導電性担体に担持させて用いる方が好ましい。導電性担体には、微粒子状で、導電性および化学的耐性を有するものであれば特に限定されない。この導電性担体として、一般的にはカーボン粒子が用いられ、例えば、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛、活性炭、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン等が挙げられる。これらカーボン粒子の粒径は、10nm〜1000nm程度が好ましい。カーボン粒子の粒径が、10nmよりも小さい場合は、電子伝導パスが形成され難くなり、逆に、1000nmより大きい場合は、電極触媒層6,7の厚みが増して電気抵抗が増加してしまう。
また、触媒層6,7に用いる電解質は、イオン伝導性を有するものであれば良い。また、触媒層6,7に用いる電解質と、電解質膜10とに、同質の材料を用いることが好ましい。その場合、触媒層6,7と電解質膜10との密着性が高められるので、燃料電池の性能を向上させることができる。そして、第一の触媒層61,71の形成手段は、特に限定されず、例えば、上述の触媒粒子、担体および電解質の混合物が分散されたスラリーを、電解質膜10に直接湿式塗布する方法と、転写基材または拡散層2,3に塗工した後で、転写により形成する転写法とのいずれでも構わない。
また、第二の触媒層62,72の形成手段は、直接湿式塗布する方法がよい。直接湿式塗布する方法のなかでも、所定位置への塗布がより容易であるディスペンサ印刷法やインクジェット印刷法が適している。
そして、第一の触媒層61,71の形成と、第二の触媒層62,72の形成とにおいて、必要に応じた乾燥工程を設ける。その乾燥工程における乾燥方法は特に限定されず、例えば、温風乾燥、赤外乾燥、減圧乾燥が挙げられる。
また、第二の触媒層62,72を形成するためのスラリーの溶媒または分散媒は、特に限定されないが、電解質を溶解または分散できるものが良い。一般的には、水、アルコール類、ケトン類、アミン類、エステル類、エーテル類、グリコールエーテル類が、好適である。そして、これらの溶媒または分散媒を種々の割合で混合したものもよく用いられる。
ガスケット部材8,9には、厚みが均一であること、および圧力を加えられた際の変形が小さいことが求められ、フイルムから構成されるものが好適である。フイルムから成るガスケット部材8,9とは、フイルムの少なくとも一方面に粘着層または接着層を備えるものであり、他方面に離型層を備えていても良い。粘着層または接着層は、フイルムと電解質膜10の間に具備され、界面のガスシール性を向上させる。離形層は、第二の触媒層62,72を形成する時に、ガスケット部材8,9表面に塗布された触媒スラリーの除去を容易にする。ガスケット部材8,9の材料としては、圧力を加えられても変形し難いものがよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド等の高分子材料が挙げられる。これらを単独で用いてもよく、また組み合わせて用いても良い。
膜電極接合体1は、例えば、電解質膜10に、第一の触媒層61,71を形成した後に、ガスケット部材8,9を貼り合わせ、その後で、触媒層61,71とガスケット部材8,9との隙間に、第二の触媒層62,72を形成するという順番で製造される。また、電解質膜10にガスケット部材8,9を貼り合せた後に、第一の触媒層61,71、つぎに第二の触媒層62,72を形成するという順番で製造しても良い。このように、膜電極接合体1の製造方法の一例として、第一の触媒層61を形成した後に、第二の触媒層62を形成することが好ましい。
本実施形態に係る膜電極接合体1は、高分子電解質膜10の両面に燃料極の触媒層6と空気極の触媒層7とを対向して配置し、それぞれの触媒層6,7の周囲にガスケット部材8,9を配置したものである。そして、触媒層6,7は表面粗さが異なる二領域61,71,62,72に分けられている。その二領域61,71,62,72は、中央部を占める第一の触媒層61,71と、その第一の触媒層61,71の周囲を所定の幅Wで縁取るように取り囲む第二の触媒層62,72とから構成されている。その第二の触媒層62,72の幅Wは、0.1mm〜1mmである。このように、第一の触媒層の縁部を縁取る第二の触媒層の幅Wを、四辺全てにわたって0.1mm〜1mmとすることにより、その第二の触媒層形成に伴う電解質膜の膨潤や収縮に起因する膜電極接合体の歪みを回避できる。
第一の触媒層61,71は、電解質膜10上の、触媒層が形成されるべき平面の領域よりWmmだけ内側の小さい平面の領域に形成される。また、第二の触媒層62,72は、第一の触媒層61,71の外縁よりもWmmだけ外側の広い平面の領域に形成される。Wの範囲は、0.1mm〜1mmである。Wの値が0.1mmより小さい場合、所定の位置にのみ精度よく触媒層スラリーを塗布することが難しくなる。逆に、Wの値が1mmより大きい場合、塗布スラリー量が多くなるため、電解質膜10が乾燥に伴う寸法変化や膨潤による寸法変化が無視できない程に大きくなる。その結果、膜電極接合体1に歪みを生じる。
また、空気極は燃料極より過電圧が大きいため、空気極により多量の触媒層7を形成する構成であることも知られている。この場合、Wの値は、燃料極において0.1mm〜0.7mm、空気極において0.3mm〜1mmに設定することが好ましい。燃料極では固形分濃度の低いスラリーを用いる必要があるため、0.7mmを超える範囲に塗布した場合、溶媒による膨潤が起こりやすい。また、燃料極と同じ機構を用いて、より濃いスラリーを、0.3mmを下回る幅Wに塗布することは難しいが、0.3mmであれば、特別な工夫を施さなくても、容易に形成することができる。また、第一の触媒層61の厚さは、燃料極と空気極とで異なり、第二の触媒層62の幅Wは、燃料極において0.1mm〜0.7mm、空気極において0.3mm〜1mmである。
第一の触媒層61,71の表面は、第二の触媒層62,72のそれよりも表面粗さ(SRa)が小さい。この表面の粗さの差は、塗布方法、またはスラリーの組成、あるいは乾燥条件等に起因する。触媒層縁部の表面が比較的粗いことは、縁部の局所的な劣化を防ぎ、耐久性において有利に働く。また、第一の触媒層61,71の表面粗さSRaは、0.01um〜0.80umであり、第二の触媒層62,72の表面粗さSRaは、第一の触媒層62の表面粗さSRaよりも大きい。この第二の触媒層62,72は、第一の触媒層の周囲である縁部を所定の幅Wで縁取るものである。その縁部における触媒層6,7の表面の粗さを異なる構成とすることにより、長時間または繰り返し運転を行った際にも、この縁部の局所的な劣化を妨げることが可能である。
第一の触媒層の表面粗さ(SRa)は、0.01〜0.8umである。0.01umより小さいと、ガスや水の拡散性が悪く、0.8umより大きいと触媒層と拡散層との接合面における接触抵抗が大きくなり、電池性能の低下を招く。また、第二の触媒層62,72の表面粗さSRaは、1.0um以下である。
第二の触媒層はその面積が小さく、前記接触抵抗の影響が小さいため、0.8umを超えてもかまわないが、1.0umを超えると電池性能の低下が見られる。
図3は、本発明の実施形態に係る膜電極接合体の触媒層表面の粗さ曲面を、走査型レーザー顕微鏡(Confocal laser scanning microscopy)によって観測した画像の一例である。なお、走査型レーザー顕微鏡を、以下、単にレーザー顕微鏡(laser microscope)ともいう。図3に示すような、本実施形態の触媒層表面の表面粗さ(SRa)は、レーザー顕微鏡を用いて得られる粗さ曲面から下式(1)に基づいて算出される。
SRa=(1/LM)∬f(x,y)dxdy・・・(1)
なお、図3に示すx,y,z座標軸は、z軸が上を向くz−up座標系である。そして、粗さ曲面のx方向長さをL、y方向長さをM、粗さ曲面をz=f(x,y)とする。つまり、図3の上方に矢印で示す粗さ曲面の標高の絶対値の平均値を示す。
本実施形態において、触媒層表面の表面粗さ(SRa)は、レーザー顕微鏡を用いて測定される。図3にレーザー顕微鏡によって得られる触媒層表面の粗さ曲面の一例を示した。レーザー顕微鏡は、発振波長488nmのアルゴンイオンレーザー(Argon ion laser)を使用している。走査方式は、ガルバノメータスキャナ(Galvanometer Scanners)2個による光偏向であり、走査範囲は視野数16の円に内接する4:3の長方形領域である。ピンホールは、円形ピンホール、zレボルバ(revolver)上下方式、イメージローテータ(Image Rotator)は画像回転角±90°である。
走査型レーザー顕微鏡は、レーザービームを対物レンズで微小なスポットに絞り、試料上をx−y方向に走査する。そして、試料表面からの光を検出器で捉えてモニタ上に試料像を表示出力する。共焦点光学系では、合焦位置と光学的に共役可能な位置にピンホールを配置することにより、合焦位置以外からの光を排除している。したがって、これらの光は画像中において暗黒になり段差のある試料を光学的にスライスすることができ、触媒層表面の粗さ曲面を求めることができる。
以上、本実施形態に係る膜電極接合体1およびこれを備えた燃料電池セルについて説明したが、膜電極接合体1は燃料電池セルのみに適用されるものではない。以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されない。
触媒層用スラリーとして、白金担持カーボン(TEC10E50E、田中貴金属)と水とを混合した後、これに2−プロパノール(2−propanol)と電解質(Nafion(登録商標)分散液、和光純薬工業)を加えて撹拌して得たものを用いた。
開口部(サイズ50mm×50mm)を有する粘着層付きPETフイルム(二軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート))を、ガスケット部材8,9として、電解質膜(Nafion(登録商標)211CS、デュポン)の両面に貼り付けたものを、ガスケット部材8,9付きの電解質膜とした。
ガスケット部材8,9が貼り付けられた電解質膜10に、触媒層用スラリーをドクタープレートで塗工し、さらに100℃の炉内で乾燥することで、膜電極接合体1を製造した。この段階で、ガスケット部材8,9と触媒層6,7との間の隙間をなくすことはできず、最も狭い隙間は0.08mmであった。さらに、ガスケット部材8,9の縁部から隙間を0.5mm、あるいは2mm空けた内側の範囲に、第一の触媒層61,71を有する膜電極接合体1を得た。これらを比較例1,2および3とする。
さらに、ディスペンサ印刷法および100℃の炉内乾燥により、それぞれの幅Wを2mm,0.5mm、あるいは0.08mmの第二の触媒層62,72を形成し、第一の触媒層61,62および第二の触媒層62,72を有する膜電極接合体1を製造した。これらをそれぞれ比較例4、実施例1および比較例5とする。加えて、比較例1〜3と同様に、ガスケット部材8,9と第一の触媒層61,71との間の隙間を、0.1mmまたは1mm空けて膜電極接合体1を製造した。これらに実施例1と同様にそれぞれ幅W0.1mmおよび1mmの第二の触媒層を形成したものを、実施例2および実施例3とした。
比較例4,5および実施例1〜3の触媒層表面の表面粗さ(SRa)を算出したところ、第一の触媒層のSRaは0.3umであり、第二の触媒層のSRaは0.5umであった。これら膜電極接合体1の両面に、拡散層(SIGRACET 35BC,SGL)を配置して、市販のJARI標準セルを用いてOCV耐久試験を実施した。セル温度は100℃として、燃料極に加湿水素、カソードに加湿酸素を供給した。耐久時間が25時間を超えるものを適格(○)、超えないものを不適格(×)として、試験結果を表1に示す。
Figure 0006127641
表1に示すとおり、比較例1〜5はいずれも耐久性の点で不適格であり、実施例1〜3は適格であった。
この試験結果から、本発明による膜電極接合体は、耐久性に優れることが確認できた。
1 膜電極接合体
2,3 拡散層
4,5 セパレータ
6 燃料極の触媒層
7 空気極の触媒層
8,9 ガスケット部材
10 電解質膜
41,51 ガス流路
61 燃料極の第一の触媒層
62 燃料極の第二の触媒層
71 空気極の第一の触媒層
72 空気極の第二の触媒層
W 第二の触媒層の幅

Claims (7)

  1. 高分子電解質膜の両面に触媒層を対向して配置し、それぞれの触媒層の周囲にガスケット部材を隙間なく配置した膜電極接合体であって、
    前記触媒層は表面粗さ(SRa)が異なる二領域に分けられ、
    該二領域は、中央部を占める第一の触媒層と、該第一の触媒層の周囲を所定の幅で縁取るように取り囲む第二の触媒層とから構成され、
    前記第一の触媒層の表面粗さ(SRa)は、0.01μm〜0.80μmであり、
    前記第二の触媒層の表面粗さ(SRa)は、前記第一の触媒層の表面粗さ(SRa)よりも大きく、
    前記第二の触媒層の前記幅は、0.1mm〜1mmであり、
    該第二の触媒層の厚さは、均一であることを特徴とする膜電極接合体。
  2. 前記第一の触媒層と前記第二の触媒層との間には、界面が存在することを特徴とする請求項1に記載の膜電極接合体。
  3. 前記第二の触媒層の表面粗さ(SRa)は、1.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の膜電極接合体。
  4. 前記第一の触媒層の厚さは、燃料極と空気極とで異なり、
    前記第二の触媒層の前記幅は、前記燃料極において0.1mm〜0.7mm、前記空気極において0.3mm〜1mmであることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の膜電極接合体。
  5. 請求項1〜の何れか1項に記載の膜電極接合体を用いた燃料電池。
  6. 高分子電解質膜の両面に触媒層を対向して配置し、それぞれの触媒層の周囲にガスケット部材を隙間なく配置した膜電極接合体を製造する方法であって、
    前記触媒層は表面粗さ(SRa)が異なる二領域に分けられ、
    該二領域は、中央部を占める第一の触媒層を形成した後に、
    該第一の触媒層の周囲を0.1mm〜1mmの幅で縁取るように取り囲む第二の触媒層を形成し、
    前記第一の触媒層を形成する工程では、前記第一の触媒層の表面粗さ(SRa)を0.01μm〜0.80μmとし、
    前記第二の触媒層を形成する工程では、前記第二の触媒層の表面粗さ(SRa)を前記第一の触媒層の表面粗さ(SRa)よりも大きくするとともに、前記第二の触媒層の厚さを均一にすることを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
  7. 前記第一の触媒層を形成する工程では、前記第一の触媒層を形成する塗液を塗工して前記第一の触媒層を形成し、
    前記第二の触媒層を形成する工程では、前記第二の触媒層を形成する塗液を塗工して前記第二の触媒層を形成し、
    前記第二の触媒層を形成する前に、前記ガスケット部材を配置することを特徴とする請求項6に記載の膜電極接合体の製造方法。
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