JP6127399B2 - ステレオカメラ装置及びプログラム - Google Patents
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Description
このステレオカメラ装置は、例えば、特許文献1(特開2005−215908号公報)に記載されているように、三角法により撮像した対象物の画像をもとに三次元位置を検出する画像処理手段を備えている。
このため、特許文献1のステレオカメラ装置においては、上述の距離に依存する誤差を低減する処理を用いて精度の低下を防いでいる。
ただ、この誤差を低減する処理は、検出対象が床面に対して垂直方向に長い棒状の物体であると仮定する前提条件の下に、人物表面上の点を床面に投影しその点の個数のヒストグラムを作成する、といった処理を含む複雑な処理を必要とする問題が生じる。
したがって従来技術に比べより簡単な手法で検出精度を高精度に保つことができる。
本発明のステレオカメラ装置は、予め定めた共通のベースライン上に複数のカメラを配置して、これらの複数カメラの中から異なるベースライン長を有するステレオカメラ対(以下、単に「カメラ対」ともいう)を構成してマルチベースラインステレオカメラ法(以下「ステレオカメラ法」という)の動作を行わせることができるものである。
図1に示すようにステレオカメラ装置のカメラ部を構成するカメラA31,B32,・・・E35は、例えば、床2上に存在する検出対象(ここでは人間3や犬4)の上方の支持部1の支持面にほぼ等間隔に配列して設置される。
したがって、ベースラインを共通に構成するステレオカメラ(図4、参照)の一方のカメラを例えばカメラA31に特定すると、他方をカメラB32,カメラC33,カメラD34,カメラE35・・・と切り替えていくことで、ベースライン長の異なるカメラ対A−B,A−C,A−D,A−Eを構成することができる。
図2は、近距離の検出対象をステレオカメラ対によって撮像した画像を示す図である。また、図3は、遠距離の検出対象をステレオカメラ対によって撮像した画像を示す図である。両図は、各図Aに示すように、カメラ対A−Bの撮像領域のカメラA31の直下において、床2上に軸を垂直にしておかれた円柱51,52を検出対象にしたときの撮像状態を示している。
他方、遠距離の円柱52を撮像したときにカメラA31により撮像された画像52aが図3Bに、また、その時にカメラB32により撮像された画像52bが図3C示される。画像52bは、図2Bの場合に比較して円柱52の距離が遠いために視差が小さくなり、円柱頂面はほぼ円形を保ち、円柱側面も現れていない。
図4において、ステレオカメラ対を構成する、同一の焦点距離fを持つカメラ1とカメラ2はベースライン長bを隔てて配置されて、それぞれ検出対象である物体A(位置座標X,Y,Z)を撮像する。
ここで、カメラ1とカメラ2の画像面上における物体Aの検出位置をそれぞれ(x1、y1)、(x2、y2)とし、y1=y2すると、カメラ画像から検出対象の物体Aまでの距離、即ち位置座標Zは、
Z=b×f/(x1−x2)=b×f/d 但し、d:視差(x1−x2)、b:ベースライン長、f:カメラ撮像面焦点距離
と表すことができる。
また、位置座標(X,Y)は、
X=b(x1+x2)/2d
Y=b×y/d(y:y1又はy2)
と表すことができる。
よって、本ステレオカメラ装置による位置検出において、使用を予定しているカメラ対によると視差dが小さく、検出精度が低下する状態である場合、この状態で使用することを避け、ベースライン長bを長くとって視差dを大きくできる状態にあるカメラ対の使用へ切り替えることで、検出精度を高精度に保つことができるようにする。
また、検出対象を捉えるカメラ対は、基本的に一つであるから、現行の使用カメラ対において検出対象との距離を検出し、検出される距離が許容できる上述の距離範囲にあるか否かを判定し、判定結果によって現行のカメラ対を使用するか、他のカメラ対へ使用を切り替える手順を行う。
このとき、特定のカメラ対が検出対象を撮像した画像をもとに、上記した検出対象との距離を算出する。距離の算出は、上記式、Z=b×f/d(距離:Z、視差:d)に示す関係があるので、視差を得ることにより求めることができる。なお、カメラ対の切替動作のために行う、視差を得、距離を算出する過程は、3次元位置検出本来の処理と基本的に同じであるから、共通の手段としてもよいが、データ量を少なくして処理を簡略化する手法を採用してもよい。
次に、視差の取得結果から算出する距離画像の概念及び許容できる距離範囲内の距離画像とそれ以外の距離画像の概念を説明する。
距離画像Aは円柱が遠距離にある場合、距離画像Bは中距離にある場合、また、距離画像Cは近距離にある場合を示している。
距離画像Aは、検出対象の円柱や背景(床等)を含めて画像全体に視差が僅かしか生じていないので、遠い距離を表すデータ値を持つ画素が全体に分布する画像(例えば、距離を近い程濃い濃度で表すと、全体が薄くフラットな画像で円柱部分がやや濃い画像)となる。よって、距離画像Aは、所定検出精度が得られる許容できる距離範囲内の距離画像ではなく、カメラ対の切替を必要とする。
距離画像Cは、検出対象の円柱が近すぎるために撮像した画像データから適正な視差が安定して得られず、円柱部分において利用できないデータ値を持つ画素が随所に分布する画像となる。よって、距離画像Cは、所定検出精度が得られる許容できる距離範囲内の距離画像ではなく、カメラ対の切替を必要とする。
つまり、図5Aの場合、視差を大きくする、即ちベースライン長を長くする方向にカメラ対を切り替える。また、図5Cの場合、安定した検出を可能とする、ベースライン長を短くする方向にカメラ対を切り替える。
本ステレオカメラ装置は、図6に示すように、カメラ部30、撮像処理部20及び制御部10からなる。
カメラ部30は、図1に配置を示したカメラA31,カメラB32,カメラC33,カメラD34,カメラE35からなる。
撮像処理部20は、カメラ部30の各カメラにそれぞれ対応するカメラモジュールA21,カメラモジュールB22,カメラモジュールC23,カメラモジュールD24,カメラモジュールE25と、FPGA(Field Programmable Gate Array)26等を有する。上記各カメラモジュールは、対応するカメラの撮像制御部、カメラからの撮像信号を処理する撮像信号処理部、FPGA26との間のI/F(インターフェース)等を備える。FPGA26は各カメラモジュールから入力される撮像(画像)データの処理要素である(ここでは、図7で示す距離計算を行う)。
制御部10を構成するコンピュータは、検出対象の距離画像をもとに適用するカメラ対の切替を行うための後述する処理及び制御手順(図8、図9)を実行するプログラムを駆動することにより所期の機能を実現する。
また、ここでは、画像処理等のデータ処理手段として機能するコンピュータは、CPU11にFPGA26を組み合わせた構成を含む。
図7の撮像処理部20は、図6に示した各カメラモジュールが動作信号として用いる同期信号を生成する同期信号生成回路27、同じく各カメラモジュールのリセット動作に用いる信号を発生するリセット回路28を備える。また、撮像処理部20は、検出対象の距離画像をもとに適用するカメラ対の切替を行う本ステレオカメラ装置に特有の構成要素として、CPU11の指示に従い、各カメラ対の撮像フレームの中で利用するカメラ対の撮像フレームへ出力を切り替えてCPU11に出力する切替回路29と、FPGA26を備える。FPGA26には視差を求め距離の計算を行う処理モジュールを備える。
なお、上記のように、現行の使用カメラ対として動作させるのは、一つであるから、選択されるカメラ対への切替指示は、CPU11からFPGA26に対しても切替回路29と同様に行う。
この距離計算処理は、基本的には、図4等を参照して説明したように、カメラ対の撮像画面において視差d=x1−x2を求め、距離Z=b×f/d(b:ベースライン長、f:カメラ撮像面焦点距離)を計算する処理である。
FPGA26が行う距離計算の処理は、検出対象を捉えるために現在作動しているカメラ対に対応するA−B,A−C,A−D,A−Eのいずれかに対応する処理モジュールで行うだけでよいが、視差dを求める処理そのものは、どのカメラ対でも同じである。
ここで、カメラ対によって検出対象を撮像し、得られるそれぞれの画像間に生じる視差dを求めて距離を算出し距離画像を得る処理の手順を説明する。
図8の処理手順によると、制御部10の制御下でFPGA26の距離計算の処理モジュールが本処理フローを起動すると、先ず、制御対象のカメラ対(ここでは、カメラ1とカメラ2からなる)の各カメラモジュールから入力される撮像データ(撮像フレーム)に対し、Sovel(ソーベル)フィルタ処理によりエッジを検出して輪郭画像を生成する(ステップS101)。
この処理手順は、カメラ1とカメラ2の各撮像フレームから生成された輪郭画像において、所定のブロック、例えば、「9×240画素(ピクセル)」のブロック単位で切り出した画像同士を例えば1画素ずつシフト(ずらし)しながらマッチング処理を画面全体にわたって行い、高い一致度もしくは類似度が得られたときのシフト量(画素数で表される)を視差として求める。なお、上記のシフト動作は、処理を簡略化するために、1次元(図4に示すX方向のみ)となるように条件を定めておく。また、ブロックサイズは、撮像フレームの横・縦(X・Y方向)を9×240画素にしているが、この数値に限らず、データ処理能力や距離検出精度に適応する任意の数値を採用することができる。
この距離画像は、算出された距離データを、視差データを得た当該列に属する検出対象画素に付与する。即ち、視差データを得る上記手順において、処理対象となった輪郭画像における輪郭内部にありかつ当該列に属する画素に付与することにより作成する。ここで、距離データを画素に付与する際、例えば、遠いほど濃度を薄くするといった、距離に応じた濃度値を画素値として付与することで、上記図5に示した距離画像を作成することができる。
また、得た当該列の視差データをもとに、距離を算出し、算出した距離データを用いて、当該列における検出対象の距離画像を、上記左端の画素列と同様に、作成する(ステップS106)。
なお、これらのブロックマッチング処理における処理操作は、画面上の輪郭画像がある領域を対象に行い、輪郭画像の無いブロック同士のマッチングといった無意味な処理は行わないようにする。
このカメラ対の切替処理手順では、現在使用しているカメラ対が撮像した画像をもとに得た検出対象の距離画像を、図5を参照して説明した、距離画像の状態と対比して、当該カメラ対の適応性を判定する。
このために、距離画像の状態が、図5A〜Cの各画像状態のいずれに当たるかを評価できるように、距離画像を定量化する必要があり、ここでは、距離画像における検出対象に含まれる画素(画素値)のヒストグラムを用いる。なお、本実施形態では、距離画像の距離を濃度で表しているので、このヒストグラムは検出対象に含まれる画素の濃度分布を表すものとなる。
他方、図5Aの状態であると判定されれば、視差を大きくする、即ちベースライン長を長くする方向にカメラ対を切り替え、切替後に図5Bの状態になれば、本処理の手順を終了する。
また、図5Cの状態であると判定されれば、視差を小さくして安定した検出を可能とする、ベースライン長を短くする方向にカメラ対を切り替え、切替後に図5Bの状態になれば、本処理の手順を終了する。
図9は、検出対象の距離画像をもとに適応するカメラ対の切替を行う処理手順を示すフロー図である。
図9の処理手順によると、制御部10が本処理フローを起動すると、先ず、検出対象を捉えるカメラ対が既に検出対象を捉えているかを確認する(ステップS201)。この手順は、検出対象の存在を確認して、次のステップへ処理を進め、また、検出対象が存在しない場合、最も広い撮像領域で対象を捉えるために行う。なお、検出対象の存在を確認する方法は、既存の監視カメラ等において採用される手法を採用することができる。
他方、特定のカメラ対が検出対象を捉えているときには(ステップS201-YES)、手順を次に進め、このカメラ対の各カメラで撮像した画像をもとに、距離画像を作成する(ステップS203)。この距離画像の作成は、図8を参照して説明した上記の処理フローに従って行う。
ここで評価するカメラ対の適応性の評価は、図5A〜Cの各画像状態のいずれに当たるかを判断し、図5Bに当たれば適応可能であり、図5A又は図5Cに当たれば不適用と判定することである。
適応性評価の基準は、ヒストグラムから求めた濃度の平均値及び分散(標準偏差)値が許容できる距離範囲内として定めた所定範囲の値であり、かつ数フレームにおいて前記の判定が一定していることとして、これらの基準を満たす場合、図5Bに示す距離画像の状態に相当するとみなし、適応性があると評価する。
また、濃度の平均値が上記所定範囲の値よりも高いか、又は平均値が上記所定範囲の値でも高めでありかつ分散(標準偏差)値が所定範囲の値よりも大きい場合、図5Cに示す距離画像の状態、即ち近すぎる状態に相当するとみなし、適応性がないと評価する。なお、この評価がフレームの一つでも得られた場合に、その評価に従って適応性無しと判定すれば、安全サイドの処理が行える。
ここで、現行カメラ対が適応性を有するカメラ対である(図5Bに示す距離画像の状態に当たる)と判定される場合には(ステップS206-YES)、カメラ対の切替を必要としないので、直ちにこのフローの処理を終了する。
なお、この切替は、FPGA26が制御部10のCPU11からの切替指示を受けて、動作させる視差計算の処理モジュールを選択して行う。
上記の順でベースライン長bを広げる方向にカメラ対を切り替え、切替後に、再び距離画像を作成するステップS203から適応性を判定するステップS206の処理を、適応性を有するカメラ対に切り替わるまで(図5Bの状態になるまで)繰り返し、求めるカメラ対に切り替われば、本処理の手順を終了する。
上記の順でベースライン長bを狭める方向にカメラ対を切り替え、切替後に、再び距離画像を作成するステップS203から適応性を判定するステップS206の処理を、適応性を有するカメラ対に切り替わるまで(図5Bの状態になるまで)繰り返し、求めるカメラ対に切り替われば、本処理の手順を終了する。
データ処理系における回路動作としては、制御部10のCPU11が、検出対象に適応するカメラ対を選択するための切替指示を撮像処理部20の切替回路29に与えると、撮像処理部20の各カメラモジュールから撮像フレームの入力を受ける切替回路29は、検出対象に適応するカメラ対の撮像フレームを出力する動作に切り替わる。
Claims (4)
- 共通のベースライン上に配置する4台以上のカメラからなり、前記4台以上のカメラの中から異なるベースライン長を有する3対以上のステレオカメラ対を構成し、前記ステレオカメラ対の撮像信号をもとに検出対象の3次元位置を検出するステレオカメラ装置であって、
前記ステレオカメラ対の撮像信号から検出対象の視差を取得する視差取得手段と、
前記視差取得手段によって取得された視差が予め定めた所定範囲内の視差であるか否かを判定する視差判定手段と、
前記ステレオカメラ対における視差が、前記視差判定手段によって前記所定範囲内の視差ではないと判定されたときに、3次元位置の検出に用いる前記ステレオカメラ対の撮像信号を前記所定範囲内の視差が生じる他のステレオカメラ対の撮像信号に切り替える撮像信号切替手段と、
を有し、
前記視差判定手段は、前記視差取得手段によって取得された視差から、前記検出対象の距離画像を取得する距離画像取得手段と、前記距離画像の濃度の平均値及び分散値が所定範囲の値である、又は、前記平均値が上記所定範囲の値よりも低いか若しくは前記平均値が上記所定範囲の値でも低めでありかつ前記分散値が前記所定範囲の値よりも大きい、又は、前記平均値が上記所定範囲の値よりも高いか若しくは前記平均値が上記所定範囲の値でも高めでありかつ前記分散値が所定範囲の値よりも大きい、のいずれであるかを判定する評価手段と、を有し、
前記撮像信号切替手段は、前記平均値が上記所定範囲の値よりも低いか若しくは前記平均値が上記所定範囲の値でも低めでありかつ前記分散値が前記所定範囲の値よりも大きい場合は、ベースライン長がより長いステレオカメラ対の撮像信号に切り替え、前記平均値が上記所定範囲の値よりも高いか若しくは前記平均値が上記所定範囲の値でも高めでありかつ前記分散値が所定範囲の値よりも大きい場合は、ベースライン長がより短いステレオカメラ対の撮像信号に切り替えるステレオカメラ装置。 - 請求項1に記載されたステレオカメラ装置において、
前記視差取得手段は、各カメラが撮像した画像同士のブロックマッチング処理を用いて視差を画素数により得る手段である、
ステレオカメラ装置。 - 請求項1又は2に記載されたステレオカメラ装置において、
前記所定範囲は前記ベースラインからの距離の検出精度に基づき定める視差の範囲である、
ステレオカメラ装置。 - コンピュータを、請求項1ないし3のいずれかに記載されたステレオカメラ装置における前記視差取得手段、前記視差判定手段、前記撮像信号切替手段の各手段として機能させるためのプログラム。
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