JP6126929B2 - 微差圧発信器及び空調システム - Google Patents
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Description
空調システムによって室内の気圧を管理する場合、クリーンルーム内の気圧をクリーンルームの外部の気圧(外気圧)と同一に管理するため、微差圧発信器によって、クリーンルーム内の気圧と基準圧とする外気圧との差を検出している。
微差圧発信器には、クリーンルーム内の気圧と外気圧とが導入され、それらの気圧差が電気信号として検出される。
例えば、非特許文献1には、シリコンダイアフラムを用いた静電容量型の微差圧発信器が記載されている。
上記した非特許文献1に記載されている微差圧発信器によれば、クリーンルームの内部と外部との気圧差を定量的に検出することができる。検出された気圧差を示す検出信号を、例えば送風機の制御信号に利用すれば、外部との気圧差に応じて、クリーンルーム内への送付量を調整することができる。
このように、従来の微差圧発信器においては、室圧を制御するための基準圧を適切に検出する上で改善の余地があった。
本発明の課題は、室圧を制御するための基準圧をより適切に検出することである。
基準とする圧力と測定対象の圧力との差分を検出する差圧検出部(110)と、前記基準とする圧力を前記差圧検出部に導入する第1導圧部と、前記測定対象の圧力を前記差圧検出部に導入する第2導圧部(101b)と、を備え、前記第1導圧部は、少なくとも基準とする圧力が導入される開口部(e,300a)と、前記開口部を密封して覆う袋体(103,303)と、前記袋体を囲い、内部と外部とを連通する連通部を有する箱体(102,302)と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る微差圧発信器は、
前記第1導圧部は、第1導圧配管(101a,301a)を備え、前記第1導圧配管の一方の端部は、前記差圧検出部に連通し、他方の端部(e)は、前記開口部となること、を特徴とする。
また、本発明の一態様に係る微差圧発信器は、
前記袋体(303)は、蛇腹状であること、を特徴とする。
また、本発明の一態様に係る微差圧発信器は、
予め設定した気温の上限における前記袋体内の空気の量が前記袋体の容積より小さく、予め設定した気温の下限において前記袋体内に空気が残存すること、を特徴とする。
本発明の一態様に係る空調システムは、
基準とする圧力と測定対象の圧力との差分を検出する差圧検出部(110)と、前記基準とする圧力を前記差圧検出部に導入する第1導圧部と、前記測定対象の圧力を前記差圧検出部に導入する第2導圧部(101b)と、前記差圧検出部の検出結果に基づいて、送風の制御を行う送風制御部(200)と、を備え、前記第1導圧部は、少なくとも基準とする圧力が導入される開口部(e,300a)と、前記開口部を密封して覆う袋体(102,302)と、前記袋体を囲い、内部と外部とを連通する連通部を有する箱体(103,303)と、を備えること、を特徴とする。
(空調システム1の全体構成)
図1は、本実施形態に係る空調システム1の全体構成を示す模式図である。
図1において、空調システム1は、微差圧発信器100と、送風機制御部200とを備えている。
なお、以下、本実施形態に係る空調システム1を、密閉された室環境を有するクリーンルームに適用した場合を例に挙げて説明する。
即ち、本実施形態の空調システム1は、クリーンルーム内の室圧(測定圧)がクリーンルーム外部の気圧(基準圧=0[Pa])と等しくなるように、クリーンルームに設けられた図示しないファン(送風機)の出力を調整するシステムである。
微差圧発信器100は、導圧配管101a,101bと差圧検出部110とを備えている。導圧配管101a,101bは、樹脂製のチューブや銅管等によって構成される。
導圧配管101aは、一端を微差圧発信器100内に設置され、他端をクリーンルーム外部の基準圧とする空間に設置されている。導圧配管101aのクリーンルーム外部側の端部には、後述する基準圧アダプターAが設置され、微差圧発信器100側の端部は、差圧検出部110の図示しないダイアフラム111における一方の圧力室に連通している。導圧配管101aの基準圧アダプターAが設置されている側の端部には、後述するように、基準圧アダプターAの構造によって、クリーンルーム外部の静的な気圧が導入されている。
なお、本実施形態では、微差圧発信器100が、クリーンルーム外部の気圧(基準圧)とクリーンルーム内の気圧(測定圧である室圧)との差分(差圧)を測定することから、適宜、外部を「基準側」、クリーンルーム内を「測定側」と称するものとする。
差圧検出部110は、基準圧と室圧との差分(差圧)に応じた電気信号である検出信号Sを送風機制御部200に送信する。送風機制御部200は、検出信号Sに基づいて図示しないファン(送風機)の出力を制御し、クリーンルーム内の室圧を制御する。
次に、導圧配管101aの基準側の端部に設置される基準圧アダプターAの構成について説明する。
図2は、基準圧アダプターAの構成を示す模式図である。
基準圧アダプターAは、導圧配管101aの基準側の端部(以下、「基準側端部e」と称する。)に設置されており、箱体102と、袋体103とを備えている。なお、図2においては、基準圧アダプターA内部の構成を説明するために、箱体102を破線で示し、透視した状態を表している。本実施形態では、導圧配管101aの基準側端部eが、基準とする圧力が導入される開口部である。
そして、箱体102は、後述するように基準側端部eを覆う袋体103を、容積に余裕を持たせて囲う構造となっている。即ち、箱体102と袋体103との間には、袋体103が最大に膨張した場合にも空間が形成され、袋体103内の圧力が箱体102の容積によって影響されない構造となっている。
袋体103は、導圧配管101aの基準側端部eを密封して覆う袋状の部材であり、袋体103の内外の圧力が平衡するような柔軟性を有する材料(例えば、ビニル等)によって構成されている。この袋体103は、金属管からなるコネクタ103aを介して基準側端部eに取り付けられている。コネクタ103aは、袋体103が基準側端部eを密封した状態とするために、導圧配管101aとは溶接等によって連結され、袋体103とは接着等によって連結されている。
次に、微差圧発信器100の差圧検出部110の構成について説明する。
図3は、差圧検出部110の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、差圧検出部110は、ダイアフラム111と、増幅回路112と、出力回路113とを備えている。
ダイアフラム111は、例えば、単結晶シリコンウェハをエッチングして製造された拡散型の半導体歪ゲージを備えている。この半導体歪ゲージは、ホイートストンブリッジ回路を構成している。
増幅回路112は、ダイアフラムによって検出された抵抗値の変化を増幅する。
出力回路113は、増幅回路112によって増幅された抵抗値の変化を検出信号Sとして送風機制御部200に送信する。
すると、送風機制御部200は、検出信号Sに応じて、図示しないファン(送風機)の出力を制御する。このようにファン(送風機)の出力が制御されることにより、クリーンルーム内の気圧が基準圧と一致するように制御される。
次に、動作を説明する。
本実施形態に係る空調システム1は、導圧配管101aの基準側端部eに基準圧アダプターAを有しており、基準側端部eはクリーンルーム外部に設置されている。また、空調システム1は、導圧配管101bの測定側の端部をクリーンルーム内に設置されている。
そして、空調システム1においては、導圧配管101aの基準側端部eに導入される気圧が、差圧検出部110のダイアフラム111における一方の圧力室に基準圧として入力される。
このとき、基準側端部eには、基準圧アダプターAが設置されているため、箱体102によって、風等の外乱の影響を抑制できる。
また、袋体103によって、温度変化による空気の膨張あるいは収縮に対しても安定して静的な基準圧を得ることができる。
そして、空調システム1が稼動すると、差圧検出部110において、基準圧と測定圧との差圧Pが生じている場合、ダイアフラム111の半導体歪ゲージに歪みが生じ、ホイートストンブリッジ回路によって検出される歪みに応じた検出信号Sが出力される。この検出信号Sは、測定圧と基準圧との差圧Pの値を示している。
具体的には、送風機制御部200は、検出信号Sが基準圧よりも測定圧が高いことを示している場合、ファン(送風機)の出力を低下させる制御を行う。一方、送風機制御部200は、検出信号Sが基準圧よりも測定圧が低いことを示している場合、ファン(送風機)の出力を上昇させる制御を行う。
このような動作の結果、クリーンルーム内の室圧を基準圧と一致させる制御を行う際に、安定した静的な基準圧を用いることが可能となる。
基準圧アダプターAは、基準圧を導入する導圧配管101aの基準側端部eを袋体103が密封し、袋体103を箱体102が囲う構造を有している。
そのため、箱体102が風圧等の外力を遮るため、箱体102内部の圧力は箱体102外部の圧力における動的な影響(外乱)を受けることなく、箱体102外部の静的な圧力が基準圧として内部に導入される。さらに、袋体103が基準側端部eを密封して覆っているため、基準側端部eに導入される基準圧がより安定して静的な圧力となる。
したがって、本実施形態に係る空調システム1によれば、クリーンルーム等の室圧を制御するための基準圧をより適切に検出することが可能となる。
したがって、基準側の温度が変動した場合であっても、適切な基準圧を得ることが可能となる。
本実施形態に係る基準圧アダプターAにおける各種設定値や材料は、空調システム1の設置環境等を加味した実験あるいはシミュレーションによって具体的に決定することができる。
例えば、基準圧アダプターAは、箱体102の外形を1辺数センチメートル程度とすることで、設置スペースの観点から有利となる。
例えば、箱体102の材料としてプラスチックを例に挙げて説明したが、このような構成に限定されるものではない。即ち、箱体102は、風等の外乱の影響を抑制できるものであれば良い。
また、袋体103の材料としてビニルを例に挙げて説明したが、このような構成に限定されるものではない。即ち、袋体103は、袋体103外部の圧力が内部に伝わる材料であれば良い。
以下に説明する本発明の他の実施形態の空調システム2は、基準圧アダプターA2及び導圧配管301aの形態等が前述の一実施形態の基準圧アダプターA及び導圧配管101aとは異なる以外は、前述の一実施形態の空調システム1と同様である。
従って、前述の一実施形態の空調システム1と同様の機能を果たす部分には、共通する符号又は末尾に共通する符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
微差圧発信器300は、導圧配管301a,101bと差圧検出部110とを備えている。
導圧配管301aは、ポリエチレンやナイロン、フッ素樹脂等の樹脂製のチューブ状の部材である。この導圧配管301aの一端は、汎用のワンタッチ式ユニオン等の継手部材304により、微差圧発信器300の端部に設けられた開口孔300aに接続されている。また、導圧配管301aの他端には、後述する基準圧アダプターA2が配置されている。前述の一実施形態と同様に、導圧配管301aは、開口孔300aを介して、差圧検出部110のダイアフラム111(図3参照)における一方の圧力室に連通している。
導圧配管301aの基準圧アダプターA2が設置されている側の端部には、基準圧アダプターA2の構造によって、クリーンルーム外部の静的な気圧が導入されている。
この導圧配管301aとしては、例えば、外径8mm(内径6mm)の樹脂製チューブを用いることができるが、この限りではない。また、導圧配管301aは、銅管等の金属製を用いてもよい。
なお、基準圧アダプターA2内部の構成を説明するために、図4(a)では、箱体302の内部を透視した状態で示し、図4(b)では、箱体302を破線で示し、内部を透視した状態を表している。
また、箱体302は、箱体302の内外を連通する連通孔302aを備えており、連通孔302aによって、箱体302内部の圧力は箱体302外部の圧力と一致した状態となる。なお、連通孔302aは、外部からの風等の影響が内部に及ばない小面積の開口部であり、本実施形態では、箱体302の長手方向の上端部と下端部に、対向するようにスリット状に形成されている。
さらにまた、箱体302は、前述のように、風圧等の外力を遮る硬さの材料からなるため、箱体302内部の圧力は箱体302外部の圧力における動的な影響を受けることなく、箱体302外部の静的な圧力が内部に導入されている。
この袋体303は、その内外の圧力が平衡するような柔軟性を有する材料(ビニル等)によって構成されている。
この袋体303は、金属管からなるコネクタ303aを介して基準側端部eに取り付けられている。コネクタ303aは、袋体303が基準側端部eを密封した状態とするために、導圧配管301aとは溶接等によって連結され、袋体303とは接着等によって連結されている。なお、導圧配管301aと袋体303とは、タケノコ接続等により、接続してもよい。
袋体303が導圧配管301aの基準側端部eを密封して覆っていることによっても、基準側端部eに導入される基準圧をより安定した静的な圧力とすることができる。
本実施形態によれば、前述の一実施形態に比べて、基準圧アダプターA2の配置スペースを小さくすることができる。
また、本実施形態によれば、箱体102を取付け用枠を介して壁等に固定する等の作業も不要であり、基準圧アダプターA2の設置作業が短時間で容易に行える。さらに、箱体302を固定しなくとも、基準圧アダプターA2自体を安定して配置できる。
さらにまた、基準圧アダプターA2は、蛇腹状の袋体303を備えることにより、前述の一実施形態の袋体103及び箱体102を用いた場合に比べて、小型化することができる。加えて、袋体303は、蛇腹形状により、その長手方向にのみ伸縮するので、箱体302の設計等が容易である。
以下に説明する本発明の他の基準圧アダプターA3は、微差圧発信器300との接続形態が、前述の基準圧アダプターA2等と異なる以外は、前述の他の実施形態の基準圧アダプターA2と同様である。
従って、前述の一実施形態の空調システム1や他の実施形態の空調システム2と同様の機能を果たす部分には、共通する符号又は末尾に共通する符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
本実施形態では、接続部材305は、例えば、その外周面にねじ山が切られており、一方の端部は、開口孔300aの内周面に形成された雌ネジと螺合する形態となっている。従って、本実施形態は、基準圧アダプターA3が直接開口孔300aに取り付けられた形態に等しい。この接続部材305は、例えば、金属製である。
接続部材305の一方の端部は、前述のように、開口孔300aに接続されている。また、接続部材305の他方の端部(基準側端部e側)は、袋体303とは樹脂により溶接されており、基準側端部eを袋体303で密封した形態となっている。なお、接続部材305の他方の端部に、袋体303を接着して配置してもよい。
本実施形態によれば、前述の一実施形態の基準圧アダプターAや他の実施形態の基準圧アダプターA2に比べて、さらに基準圧アダプターA3の配置スペースを小さくし、省スペース化することができる。
また、本実施形態によれば、取付け用枠を介して箱体102を壁等に固定する等の作業も不要であり、基準圧アダプターA3の設置作業が短時間で容易に行える。さらに、箱体302を固定しなくとも、基準圧アダプターA3自体を安定して配置できる。
さらにまた、基準圧アダプターA3は、蛇腹状の袋体303を備えることにより、前述の一実施形態の袋体103及び箱体102を用いた場合に比べて、小型化することができる。加えて、袋体303は、蛇腹形状により、その長手方向にのみ伸縮するので、箱体302の設計が容易である。
例えば、箱体302の材料としてプラスチックを例に挙げて説明したが、このような構成に限定されるものではない。即ち、箱体302は、風等の外乱の影響を抑制できる材料であれば良く、また、円筒形状に限らず、例えば、角柱形状等としてもよい。
また、袋体303の材料としてビニルを例に挙げて説明したが、このような構成に限定されるものではない。即ち、袋体303は、シリコン樹脂等、袋体303の外部の圧力がその内部に伝わる程度に柔軟な材料であればよい。
さらに、袋体303は、その周面部分が蛇腹状である例を示したが、これに限らず、内部の空気の容積に合わせて伸縮自在であれば、他の形状としてもよい。
Claims (5)
- 基準とする圧力と測定対象の圧力との差分を検出する差圧検出部と、
前記基準とする圧力を前記差圧検出部に導入する第1導圧部と、
前記測定対象の圧力を前記差圧検出部に導入する第2導圧部と、
を備え、
前記第1導圧部は、
少なくとも基準とする圧力が導入される開口部と、
前記開口部を密封して覆う袋体と、
前記袋体を囲い、内部と外部とを連通する連通部を有する箱体と、
を備えること、
を特徴とする微差圧発信器。 - 請求項1に記載の微差圧発信器において、
前記第1導圧部は、第1導圧配管を備え、
前記第1導圧配管の一方の端部は、前記差圧検出部に連通し、他方の端部は、前記開口部となること、
を特徴とする微差圧発信器。 - 請求項1又は請求項2に記載の微差圧発信器において、
前記袋体は、蛇腹状であること、
を特徴とする微差圧発信器。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の微差圧発信器において、
予め設定した気温の上限における前記袋体内の空気の量が前記袋体の容積より小さく、予め設定した気温の下限において前記袋体内に空気が残存すること、
を特徴とする微差圧発信器。 - 基準とする圧力と測定対象の圧力との差分を検出する差圧検出部と、
前記基準とする圧力を前記差圧検出部に導入する第1導圧部と、
前記測定対象の圧力を前記差圧検出部に導入する第2導圧部と、
前記差圧検出部の検出結果に基づいて、送風の制御を行う送風制御部と、
を備え、
前記第1導圧部は、
少なくとも基準とする圧力が導入される開口部と、
前記開口部を密封して覆う袋体と、
前記袋体を囲い、内部と外部とを連通する連通部を有する箱体と、
を備えること、
を特徴とする空調システム。
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