JP6124367B2 - 低温用比較校正装置 - Google Patents

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Description

本発明は、約120Kから約225Kの低温域での任意の温度において、基準温度計を基準として低温用温度計の比較校正を行うための装置に関するものである。
工業用の温度計の校正は一般に、校正装置内に校正温度の領域を作り、ここに被校正温度計の感温部と、公的機関で校正された温度計である基準温度計の感温部を挿入して2つの出力温度の差から、その校正温度での校正が行われる。例えば、200Kの温度領域を作り、ここに、200Kで誤差がプラス2Kである基準温度計と被校正温度計を挿入し、被校正温度計の出力が基準温度計より3K高かったとすると、被校正温度計の200Kにおける出力はプラス5Kと校正される。このような方法の校正は比較校正とよばれている。
任意の氷点下温度を校正温度とする従来の主な比較校正装置として、特許文献1乃至3に示されるものがある。
これら従来の比較校正装置の校正温度の領域としては、銅などの高熱伝導率の材質のブロックが用いられ、これに設けた挿入孔に基準温度計の感温部と被校正温度計の感温部を挿入して比較校正が行われている。高熱伝導率の材質を用いるのは、ブロック内の温度を均一にして校正精度を上げるためである。以下このブロックを温度校正ブロックと呼ぶ。
また、これら従来の比較校正装置では、加熱機構と冷却機構の熱バランスにより、温度校正ブロックの温度が校正温度に保たれる。加熱機構としては電気ヒータが、冷却機構としては冷凍機または液化ガスが用いられる。なお、特許文献1および特許文献3の加熱機構は、当該文献にはヒータと記載されているが、図示された形状から電気ヒータを指すものと理解できる。
特許文献1乃至3に示される比較校正装置の概略構成を以下に説明する。括弧内は該文献の明細書に示される符号である。
特許文献1の装置は、該文献の第1図乃至第3図に示されるように、加熱機構として電気ヒータ(14)が、冷却機構として冷凍機(4)が用いられ、温度校正ブロック(11)、電気ヒータ(14)および基準温度計と被校正温度計(12)は、真空(8)中に設置されている。
特許文献2の装置では、該文献の第1図乃至第3図に示されるように、加熱機構として電気ヒータ(24)が、冷却機構として液体ヘリウムなどの熱媒体(11)が用いられ、温度校正ブロック(22)、サーマルアンカ用ブロック(25)、電気ヒータ(24)、基準温度計(20)および被校正温度計(21)が、熱媒体(11)の液面下に設けられた真空容器(16)内に設置されている。
また、特許文献3の装置は、該文献の図1に示されるように、加熱機構として電気ヒータ(26,27,28)が、冷却機構として冷凍機(8)が用いられ、温度校正ブロック(1)、電気ヒータ(26,27,28)の一部、2つの温度可変ブロック(12、13)、基準温度計(2)および被校正温度計(3)が真空中に設けられた熱交換ガス領域内に設置されている。
シース熱電対およびシース測温抵抗体のように金属シース内に無機絶縁材粉末を介在させて熱電対線、測温抵抗体素子を収容した長尺の温度計を比較校正する場合は、特許文献3の図1における被校正温度計(3)に示されるように、感温部のある先端が温度校正ブロック(1)の挿入孔(102)に挿入される。このような場合において、温度校正ブロックの高さが十分でないと、電気ヒータで加熱している温度校正ブロックの熱が、温度校正ブロックの上部の低温気体または低温構造物に、被校正温度計を経由して伝わり、この熱移動が同ブロックの温度均一性を乱すことによる校正誤差が生じることが従来から知られている。
特許文献2のサーマルアンカ用ブロック、および特許文献3の温度可変ブロックはともに、被校正温度計または基準温度計が長尺である場合に、この熱移動を抑えるために温度校正ブロックの上部の温度を電気ヒータで加熱して昇温することを役割として設けられている。
実願昭62−34490号(実開昭63−142731号)のマイクロフィルム 実願平2−59046号(実開平4−18329号)のマイクロフィルム 特開2007−232651号公報
従来の任意の氷点下温度を校正温度とする比較校正装置では、冷凍機、真空ポンプなどの動的機器を使用しているために、静的機器で構成される装置に較べて故障が生じ易く、かつ装置が大型化する問題があった。また、基準温度計、被校正温度計の取替えが簡単でない問題もあった。
具体的には、先の特許文献1の第1図乃至第3図に示される装置は、動的機器として冷凍機(4)と真空を作るための真空ポンプを必要とし、基準温度計および被校正温度計(12)の取替えの際には、真空容器(7)とシールド板(15)の取外しと再取り付け、および真空排気を行わなければならず、特許文献2の第1図、第2図に示される装置でも真空を作るための真空ポンプを必要とし、基準温度計(20)および被校正温度計(21)の取替えの際には、容器蓋(13)の取外し、真空容器(16)の液体ガス(11)中からの取り出し、封止接着剤(28)の除去、真空容器蓋(17)の取外し等の作業とこれらの再組立て作業を必要とする。また、特許文献3の図1に示される装置では、冷凍機(8)を必要とし、温度制御のために真空ポンプを用いることも記載されている。基準温度計(2)および被校正温度計(3)の取替えの際には、チャンバー(7)の取外しと取り付け、および熱交換ガスの注入が必要である。
以上の問題点に鑑みて本発明はなされたものであり、目的とするところは、少なくとも123K(約−150℃)から223K(約−50℃)の範囲の任意の温度において、基準温度計を基準にした比較校正を行うための装置であって、動的機器を使用せず、小型でかつ基準温度計と被校正温度計の取替えが簡単にできる装置を提供することにある。
上述の課題を解決するために、以下の低温用比較校正装置とした。
(第1の態様)
第1の態様は、基準温度計を基準として被校正温度計を比較校正する低温用比較校正装置であって、
内部が真空断熱または断熱材により外部と断熱され、上部開口が設けられた断熱容器と、
金属を材質とし、底部が密閉された有底筒形状で、底部外面が断熱容器の内側底面に接し、上部は断熱容器の上部開口内面と密接しない状態で略接して、断熱容器に略鉛直に載置された断熱材設置筒と、
筒形状で、外側面が断熱材設置筒の内側面と接する状態で、断熱材設置筒の底部から少なくとも断熱容器の上部開口上端近傍の高さ範囲に取り付けられた筒状断熱材と、
熱伝導率の高い金属を材質とし、筒状断熱材の内側の下部に設けられ、略鉛直方向に形成された複数の有底挿入孔を有する温度校正ブロックと、
温度校正ブロックの外側面に、少なくとも温度校正ブロックに一部が接触した状態で設置された電気ヒータと、
温度校正ブロックの有底挿入孔の1つに挿入された電気ヒータ制御温度計と、
断熱材設置筒の内側底面と温度校正ブロックの底面との間に設けられた底部断熱材と、
通気性のある断熱材を材質とし、筒状断熱材の上端開口を塞ぎ、かつ断熱容器の上部開口より上部に露出した断熱材設置筒の側面を覆って設置された上部断熱材と、
断熱容器の上部開口から注入された液体窒素または液体酸素であって、断熱容器内面と断熱材設置筒の外面との間の空間に、温度校正ブロックの上端以上の高さまで満たされた液化ガスと、を有し、
比較校正時は、基準温度計および被校正温度計の其々が、温度校正ブロックの別々の有底挿入孔の底まで挿入され、かつ、電気ヒータのリード線と電気ヒータ制御温度計のリード線が繋がれた外部の温度校正ブロック用温度制御器によって、電気ヒータの熱出力が、電気ヒータ制御温度計の出力が温度校正ブロック用温度制御器により設定された校正温度になるように制御され、かつ、上部断熱材には、電気ヒータ、電気ヒータ制御温度計、基準温度計および被校正温度計の本体の一部またはこれらの本体からのリード線が挿通された状態で、基準温度計および被校正温度計の出力を測定することにより比較校正を行うことを特徴とするものである。
本態様の低温用比較校正装置では、冷凍機や真空ポンプなどの動的機器を用いていないために故障が生じ難い。また、液体窒素または液体酸素用の上部開口付き断熱容器は、いろいろな大きさのものが市販されているが、この装置では、これらのうち、後述の実施形態に示すように、少なくとも、外径が260mm程度で上部開口を含めた高さが530mm程度の大きさの市販の断熱容器であれば適用可能であり、従来の比較校正装置に較べて著しく小型化し、かつ安価である。
さらに、基準温度計と被校正温度計の取替えは、上部断熱材を外し、温度校正ブロックとともに基準温度計、被校正温度計および電気ヒータ制御温度計を同ブロックに繋がる把手等により断熱材設置筒から引き出して、基準温度計と被校正温度計を取替えた後、再び断熱材設置筒内に挿入し、上部断熱材を再設置することにより可能である。従来の装置のように、容器、蓋もしくはチャンバー等の取外しならびに再取り付け、および、取替え後の真空引きや熱交換ガスの再注入は不要で、この装置では、従来の装置に較べて簡単な作業で基準温度計と被校正温度計を取替えることができる。
本発明による低温用比較校正装置では、冷却源として液化ガスである液体酸素または液体窒素を用い、加熱機構として電気ヒータを用いている。液体酸素の温度は90K、液体窒素の温度は77Kであるが、温度校正ブロックは液化ガスとは筒状断熱材と底部断熱材で隔てられた空気中に設置されているので、温度校正ブロック外側面の電気ヒータが発熱していない場合でも同ブロックは液化ガスの温度より高い温度となる。しかし、同ブロックが配置されている空間は上部断熱材の存在により外部雰囲気には直接に晒されていないので、この温度上昇は小さい範囲に留まる。後述する実施形態に測定データを示すように、電気ヒータ出力を零とし、液化ガスを液体酸素とした場合、温度校正ブロックの位置する場所の温度は約100Kであった。比較校正時には電気ヒータを発熱させ、その熱出力を温度校正ブロックの温度が校正温度となるよう制御する。この温度制御性を良くするために上記液体酸素冷却における100Kに余裕を取ったとしても、123K以上の温度での校正が可能であり、液化ガスに液体窒素を用いた場合には、液体窒素は液体酸素より温度が低いので、さらに低い温度での校正が可能となる。
上述のように、電気ヒータが外側面に設けられた温度校正ブロックと液化ガスは筒状断熱材と底部断熱材で隔てられているので、電気ヒータおよび電気ヒータで加熱された温度校正ブロックから液化ガスに伝わる熱量が制限され、液化ガスの蒸発量は抑制される。液化ガスを液体窒素とし、これを断熱容器に満たした状態で、電気ヒータの熱出力により温度校正ブロック温度を223Kに制御した比較校正を開始してから、液体窒素の蒸発により冷却能力が低下して温度223Kが維持できなくなるまでの時間は、後述する実施形態で説明するように5時間程度を得ることができ、この時間は比較校正時間として十分な時間である。校正温度を高くすると校正温度に維持できる時間は短くなるので、223Kより過度に高くすると校正温度に維持できる時間が比較校正に要する時間より短くなる。なお、上部断熱材は通気性があり、かつ断熱材設置筒は断熱容器の上部開口内面と密接していないので、蒸発した液化ガスはこの上部開口から外部に出る。
液化ガスを液体酸素とした場合には、液体酸素は液体窒素より気化熱が大きいこと、および、液体酸素の温度は液体窒素より高いので223Kとの温度差が液体窒素より小さいために筒状断熱材を通して液体酸素に伝わる熱が液体窒素の場合より少ないことから、上記の5時間より長く温度校正ブロックの温度を223Kに維持することができる。
液化ガスの蒸発が進んで校正温度の維持が難しくなり、液化ガスの補充が必要となった場合は、上部断熱材を取り外すとともに、断熱材設置筒とその内包物を一体として断熱容器の上部開口より抜き出し、当上部開口から液化ガスを補充した後、断熱材設置筒とその内包物の再挿入と上部断熱材の再取り付けを行う。このように、簡単な作業で液化ガスの補充が可能である。
なお、温度校正ブロックは熱伝導率の高い金属を材質としているので温度校正ブロック内の温度の均一性が高いために良い校正精度が得られるのは、従来の比較校正装置と同じである。比較校正時は、電気ヒータ出力が、温度校正ブロック用温度制御器により、温度校正ブロックに挿入された電気ヒータ制御温度計の出力が当温度制御器に設定された温度なるように制御される。温度校正ブロックは温度の均一性が高いため、温度校正ブロック用温度制御器の設定温度を望む校正温度とすることにより、温度校正ブロックおよびそれに挿入された基準温度計と被校正温度計の温度は、電気ヒータ制御温度計の温度つまり校正温度となり、当温度での比較校正が実施できる。
以上のように、冷却源として液化ガスである液体酸素または液体窒素を、加熱機構として電気ヒータを用い、電気ヒータが外側面に設けられた温度校正ブロックと液化ガスとを断熱材で隔てた低温用比較校正装置とすることによって、動的機器を使用することなく、従来のものに比べて小型で、かつ基準温度計と被校正温度計の取替えが簡単な、少なくとも123Kから223Kの範囲の任意の温度において比較校正ができる比較校正装置を実現した。また、この比較校正装置では、簡単な作業で液化ガスの補充も可能である。
(第2の態様)
第2の態様は、第1の態様の低温用比較校正装置において、
温度校正ブロック直上にあって、温度校正ブロックに挿入される基準温度計、被校正温度計および電気ヒータ制御温度計と干渉しない領域に設けられた気相用電気ヒータと、
温度校正ブロック直上の空間の温度を測定する位置に設けられた気相用電気ヒータ制御温度計とを、さらに有し、
比較校正時は、基準温度計および被校正温度計の其々が、温度校正ブロックの別々の有底挿入孔の底まで挿入され、かつ、電気ヒータのリード線と電気ヒータ制御温度計のリード線が繋がれた外部の温度校正ブロック用温度制御器によって、電気ヒータの熱出力が、電気ヒータ制御温度計の出力が温度校正ブロック用温度制御器により設定された校正温度になるように制御され、また、気相用電気ヒータのリード線と気相用電気ヒータ制御温度計のリード線が繋がれた外部の気相用温度制御器によって、気相用電気ヒータの熱出力が、気相用電気ヒータ制御温度計の出力が気相用温度制御器により設定された校正温度と略同一の温度になるように制御され、かつ、上部断熱材には、電気ヒータ、気相用電気ヒータ、電気ヒータ制御温度計、気相用電気ヒータ制御温度計、基準温度計および被校正温度計の本体の一部またはこれらの本体からのリード線が挿通された状態で、基準温度計および被校正温度計の出力を測定することにより比較校正を行うことを特徴とするものである。
第1の態様の低温用比較校正装置において、基準温度計もしくは被校正温度計、またはその両方が、シース熱電対およびシース測温抵抗体のような長尺の温度計である場合、温度校正ブロックの高さが十分でないと、電気ヒータで加熱している温度校正ブロックの熱が、温度校正ブロックの上部の低温気体または低温構造物にこれら温度計を経由して伝わり、この熱移動が同ブロックの温度均一性を乱すことによる校正誤差が生じる。
第2の様態の低温用比較校正装置は、このような長尺の温度計を扱う場合に、温度校正ブロックの高さが十分でなくとも校正誤差が加わらないようにしたものである。つまり、温度校正ブロックの上部空間を気相用電気ヒータで加熱することにより、長尺温度計の温度校正ブロックの直上部の温度を温度校正ブロックと略同一温度とし、温度校正ブロックの熱がこれら温度計を経由して上部に伝わることを防止して同ブロックの温度の均一性を保つようにしたものである。このように、気相用電気ヒータの役割は、従来の比較校正装置における前述したサーマルアンカ用ブロックおよび温度可変ブロックと同様である。
(第3の態様)
第1および第2の態様の低温用比較校正装置では、金属製の有底筒である断熱材設置筒と、外側面が断熱材設置筒の内側面に接した筒状断熱材が設けられている。
第3の態様は、第1および第2の態様の低温用比較校正装置おいて、金属を材質とし、筒状断熱材と長手方向の長さが略同一の筒形状で、外側面が筒状断熱材の内側面と接し、下端は断熱材設置筒の内側底面と接し、長手方向軸が断熱材設置筒の長手方向軸と略一致する角度で断熱材設置筒に固定されている断熱材設置内筒を、さらに有し、
温度校正ブロックは、断熱材設置内筒の内側の下部に載置されているものである。
第1および第2の態様では、筒状断熱材と断熱材設置筒は、前者の外側面と後者の内側面のみが接しているので、ビスや接着剤で筒状断熱材を断熱材設置筒に取り付けたとしても、少なくとも自重で変形しない硬さを持つ固形の筒状断熱材を使用する必要がある。これに対し、第3の態様の低温用比較校正装置では、筒状断熱材は、断熱材設置筒の内面と断熱材設置内筒の外面との間の空間に取付けられるので、綿状の断熱材をこの空間に詰めることによっても筒状断熱材とすることができる。
また、断熱材は一般に脆いものであるので、断熱材設置内筒のない場合は、基準温度計および被校正温度計の取替えの際に、温度校正ブロック等の引き抜き、挿入によって筒状断熱材に剥落等の欠損が生じる可能性があるが、金属製の断熱材設置内筒を設けることにより、この欠損は防止できる。
(第4の態様)
第4の態様は、第3の態様において、基準温度計と被校正温度計を挿入する温度校正ブロックの有底挿入孔の底面を同一高さ位置としたことを特徴とするものである。
温度校正ブロックは熱伝導率の高い金属を材質としているので、温度校正ブロック内の温度は均一性が高いものの、同ブロックの水平方向および鉛直方向に少しの温度分布が生じるのは避けられない。基準温度計と被校正温度計の位置する温度校正ブロックの温度が異なると、その温度差が校正誤差に加わる。本態様のように、基準温度計と被校正温度計を挿入するための有底挿入孔の底面を同じ高さ位置としてこれらの温度計の測温点を同じ高さ位置とすることにより、温度校正ブロックの鉛直方向の温度分布に起因する校正誤差を抑制することができる。
本発明による低温用比較校正装置は、少なくとも123Kから223Kの範囲の任意の温度における比較校正が可能な装置で、従来の装置と比較して、動的機器を使用していないために故障が生じ難く、小型化が可能で、かつ基準温度計と被校正温度計の取替えが簡単であるという効果を持つ。
本発明の実施形態における低温用比較校正装置の鉛直方向断面図である。 (a)本発明の実施形態における温度校正ブロックの平面図である。 (b)本発明の実施形態における温度校正ブロックの正面図である。 (a)本発明の実施形態における支柱およびディスクの正面図である。 (b)本発明の実施形態における中間ディスクの平面図である。 (c)本発明の実施形態における底部ディスクの平面図である。 (d)図3(a)のA−A矢視図である。 (a)本発明の実施形態における断熱材設置筒および断熱材設置内筒の鉛直方向断面図である。 (b)本発明の実施形態における断熱材設置筒および断熱材設置内筒の平面図である。 本発明の実施形態における断熱材設置内筒の内側空間の鉛直方向温度分布である。
本発明による低温用比較校正装置の1つの実施形態を図1乃至図5に沿って説明する。図1は、本発明の実施形態における低温用比較校正装置の鉛直方向断面図で、比較校正時の状態を示している。見易くするために、電気ヒータ制御温度計8、気相用電気ヒータ制御温度計10、基準温度計14および被校正温度計15は鎖線で外形を図示し、断熱容器2の壁内の真空部または断熱材部は図示を省略している。また、温度計のリード線(熱電対の補償導線を含む)も同様に図示していない。
本実施形態の低温用比較校正装置1は、図1に示すように、断熱容器2、断熱材設置筒3、断熱材設置内筒4、筒状断熱材5、温度校正ブロック6、電気ヒータ7、電気ヒータ制御温度計8、気相用電気ヒータ9、気相用電気ヒータ制御温度計10、底部断熱材11、上部断熱材12、液化ガス13、支柱16、中間ディスク17および底部ディスク18より構成される。
断熱容器2は、液化ガス13を注入する断熱容器の上部開口21を有し、外壁は、図示を省略した2重壁となっていて、2重壁に挟まれた空間が、真空にされていることにより、当容器2の内部は外部と断熱されている。2重壁に挟まれた空間を真空にする替りに断熱材を設けてもよい。
断熱材設置筒3は、金属製の底が密閉された有底筒で、その底面は断熱容器2の内面の底に接し、その上部は断熱容器の上部開口21に当上部開口21内面と密接しない状態で略接して、断熱容器2内に略鉛直に置かれている。断熱材設置内筒4は、筒状断熱材5と略同長の金属製の筒であって、下端は断熱材設置筒3の内側底面に接し、長手方向軸が断熱材設置筒3の長手方向軸と一致する角度で断熱材設置筒3に固定されている。
筒状断熱材5は、筒状の断熱材であって、その外側面が断熱材設置筒3の内側面に接し、内側面が断熱材設置内筒4の外側面に接する状態で、断熱材設置筒3の底面から少なくとも断熱容器の上部開口21の上端近傍の高さ範囲に取り付けられている。ここで、「少なくとも断熱容器の上部開口21の上端近傍の高さ範囲に取り付けられている」とは、上部開口21の上端近傍の高さまで、もしくはそれ以上の高さまで取り付けられていることを意味する。
温度校正ブロック6は、熱伝導率の高い金属を材質とし、断熱材設置内筒4の内側の下部に置かれ、基準温度計14、被校正温度計15および電気ヒータ制御温度計8を其々上から挿入するための、複数の有底挿入孔61が略鉛直に空けられていて、基準温度計14、被校正温度計15および電気ヒータ制御温度計8が其々、温度校正ブロック6の各挿入孔61の底まで挿入されている。
電気ヒータ7は、温度校正ブロック6の外側面に設置されており、また、気相用電気ヒータ9は、温度校正ブロック6の直上にあって、比較校正時に温度校正ブロック6へ挿入される基準温度計14、被校正温度計15および電気ヒータ制御温度計8と干渉しない領域、つまりこれらと干渉しない内孔を持つ円筒状領域に設けられていて、気相用電気ヒータ制御温度計10は、温度校正ブロック6の直上の空間温度を測定する位置に設けられている。気相用電気ヒータ制御温度計10は、後述する支柱16の温度校正ブロック6の直上部に取り付けてもよいし、基準温度計14、被校正温度計15または電気ヒータ制御温度計8の温度校正ブロック6の直上部に取り付けてもよい。
上部断熱材12は、通気性のある断熱材で、電気ヒータ7、気相用電気ヒータ9、電気ヒータ制御温度計8、気相用電気ヒータ制御温度計10ならびに基準温度計14のリード線、および被校正温度計15の本体の一部が挿通された状態で、断熱材設置内筒4の上端開口を塞ぎ、かつ断熱容器の上部開口21より上部に露出した断熱材設置筒3の側面を覆っている。なおリード線は熱電対の補償導線を含む意味で用いている。また、電気ヒータ7、気相用電気ヒータ9、電気ヒータ制御温度計8、気相用電気ヒータ制御温度計10、基準温度計14および被校正温度計15について、本体の一部またはこれらの本体からのリード線のいずれが上部断熱材12を挿通するかは、これら各本体の長さにより、本体の上端が上部断熱材12より下方にある場合リード線が挿通し、そうでない場合は本体の一部が挿通する。
底部断熱材11は、断熱材設置筒3の内側底面と温度校正ブロック6の底面との間に設けられている。
液化ガス13は、液体窒素または液体酸素で、断熱容器2の内面と断熱材設置筒3の外面との間の空間に、温度校正ブロックの上端以上の高さまで満たされている。
この液化ガス13の注入は、断熱材設置筒3が設置される前に、断熱容器の上部開口21より行われる。また、比較校正の実施により液化ガス13の蒸発が進んで校正温度の維持が難しくなり、同ガス13の補充が必要となった場合は、上部断熱材12を取り外すとともに、断熱材設置筒3とその内包物を一体として断熱容器の上部開口21より抜き出し、当上部開口21から液化ガス13を補充した後、断熱材設置筒3とその内包物の再挿入と上部断熱材12の再取り付けを行うことにより補充することができる。簡単な作業で液化ガス13の注入、補充が可能であるが、これらのための蓋つき注入口を断熱容器2に設けると、作業はさらに簡単になる。
比較校正は、電気ヒータ7のリード線と電気ヒータ制御温度計8のリード線が繋がれた外部の図示していない温度校正ブロック用温度制御器によって、電気ヒータ7の熱出力が、電気ヒータ制御温度計8の出力が当温度制御器に設定された校正温度になるように制御され、また、気相用電気ヒータ9のリード線と気相用電気ヒータ制御温度計10のリード線が繋がれた外部の図示していない気相用温度制御器によって、気相用電気ヒータ9の熱出力が、気相用電気ヒータ制御温度計10の出力が当温度制御器に設定された校正温度と略同じ温度になるように制御された状態で、基準温度計14および被校正温度計15の出力を測定することにより行われる。温度校正ブロック6は熱伝導率の高い金属を材質としているので同ブロック6内の温度の均一性が高いために良い校正精度が得られるのは、従来の比較校正装置と同じであり、電気ヒータ制御温度計8の温度は温度校正ブロック6の温度であるので、温度校正ブロック用温度制御器の設定温度を望む校正温度とすることにより、温度校正ブロック6に挿入された基準温度計14と被校正温度計15が校正温度となって、その温度での比較校正が実施できる。
以上のように、本低温用比較校正装置では、冷凍機や真空ポンプなどの動的機器を用いていないために故障が生じ難い長所を持っている。
図2は、図1の温度校正ブロック6の形状を示す図で、図2(a)は本発明の実施形態における温度校正ブロック6の平面図、図2(b)は本発明の実施形態における温度校正ブロック6の正面図である。
温度校正ブロック6には、基準温度計14、被校正温度計15および電気ヒータ制御温度計8を挿入するための有底挿入孔61を4孔設けており、各孔の底面は同じ高さ位置である。4孔あるので同時に2本まで被校正温度計15を比較校正できる。また、各有底挿入孔61の径を変えているのは、基準温度計14、被校正温度計15および電気ヒータ制御温度計8の外径が異なっていることを考慮したものであり、これらの温度計が同径であれば4孔の有底挿入孔61も同径でよい。各温度計と温度校正ブロック6との温度差を無くして校正誤差を少なくするために、有底挿入孔61の径とそれに挿入される温度計の外径の差は少ないことが望ましく、挿入される温度計の外径に応じて有底挿入孔61の径を決めるのが良策である。
温度校正ブロック6は熱伝導率の高い金属を材質としているので、同ブロック6内の温度は均一性が高いものの、水平方向および鉛直方向に少しの温度分布が生じるのは避けられない。基準温度計14と被校正温度計15の位置する温度校正ブロック6の温度が異なると、その温度差が校正誤差に加わるが、基準温度計14と被校正温度計15を挿入するための有底挿入孔61の底面を同じ高さ位置としてこれらの温度計の測温点を同じ高さ位置とすることにより、温度校正ブロック6の鉛直方向の温度分布に起因する校正誤差を抑制した。温度校正ブロック6の鉛直方向の温度分布が許容できる範囲内であれば底面を同じ高さ位置とする必要はない。
なお、図1の基準温度計14、被校正温度計15および電気ヒータ制御温度計8は、金属シース内に無機絶縁材粉末を介在させて熱電対線または測温抵抗体素子を収容した長尺で先端部に測温点のあるシース型温度計を図示しているが、シース型でない短尺の温度計であってもよい。これは気相用電気ヒータ制御温度計10についても同様である。
図3は、図1の支柱16、中間ディスク17および底部ディスク18の構造を示す図で、図3(a)は本発明の実施形態における支柱16およびディスク17、18の正面図、図3(b)は本発明の実施形態における中間ディスク17の平面図、図3(c)は、本発明の実施形態における底部ディスク18の平面図、図3(d)は図3(a)のA−A矢視図である。電気ヒータ7、気相用電気ヒータ9および温度校正ブロック6との位置関係を示すために、これらを鎖線で描いている。
2本の支柱16が2枚の中間ディスク17と1枚の底部ディスク18の支柱貫通孔171、181に挿通されていて、各貫通孔171、181で支柱16とディスク17、18は溶接されている。各ディスク17、18には、各4個のヒータ貫通孔172、182が設けられていて、電気ヒータ7および気相用電気ヒータ9の図示していないリード線がこの貫通孔172、182を適宜通して配置されている。電気ヒータ7および気相用電気ヒータ9は、金属シース内に無機絶縁材粉末を介在させてジュール熱を発する発熱線を収容した一般にマイクロヒータと呼ばれるケーブル状ヒータが使用されている。電気ヒータ7は、一部が温度校正ブロック6の側面に接した状態で2本の支柱16に巻きつけられており、気相用電気ヒータ9は、基準温度計14、被校正温度計15および電気ヒータ制御温度計8と干渉しない円筒状領域に位置するように支柱16に巻きつけられている。
温度校正ブロック6は、底部ディスク18の上面に置かれており、電気ヒータ制御温度計8、基準温度計14および被校正温度計15は、中間ディスク17の中央貫通孔173を通して温度校正ブロック6に設けられている有底挿入孔61に挿入される。
基準温度計14と被校正温度計15の取替えは、上部断熱材12を外し、支柱16の上端部を把手代わりとしてこれを掴んで上方に引き上げて、支柱16、ディスク17、18、電気ヒータ7、気相用電気ヒータ9、温度校正ブロック6、被校正温度計15、基準温度計14および電気ヒータ制御温度計8を一体として断熱材設置内筒4から引き抜き、被校正温度計15と基準温度計14を取り替えた後、再び一体で断熱材設置内筒4に挿入し、上部断熱材12を再設置することにより行われる。従来の比較校正装置に較べて取替えは簡単である。
なお、気相用電気ヒータ9を設けない場合、基準温度計14もしくは被校正温度計15、またはその両方が、シース熱電対およびシース測温抵抗体のような長尺の温度計で、かつ温度校正ブロック6の高さが十分でないと、電気ヒータ7で加熱している温度校正ブロック6の熱が、同ブロック6の上部の低温気体または中間ディスク17などの低温構造物にこれら温度計を経由して伝わり、この熱移動が同ブロック6の温度均一性を乱すことによる校正誤差が生じる。これを防ぐために、気相用電気ヒータ9によって温度校正ブロック6の直上の空気を温度校正ブロック6とほぼ同一温度に加熱し、熱の逃げを防いでいる。温度校正ブロック6の高さが十分あり熱の逃げが有底挿入孔61の底部にまで影響しない場合は、気相用電気ヒータ9は必要でない。
気相用電気ヒータ9を設けない場合の比較校正時は、基準温度計14および被校正温度計15が温度校正ブロック6の有底挿入孔61の底まで挿入され、かつ、電気ヒータ7のリード線と電気ヒータ制御温度計8のリード線が繋がれた外部の図示していない温度校正ブロック用温度制御器によって、電気ヒータ7の熱出力が、電気ヒータ制御温度計8の出力が温度校正ブロック用温度制御器により設定された校正温度になるように制御され、かつ、上部断熱材12には、電気ヒータ7、電気ヒータ制御温度計8、基準温度計14および被校正温度計15の本体の一部またはこれらの本体からのリード線が挿通された状態で、基準温度計14および被校正温度計15の出力を測定することにより比較校正が行われる。
図4は、図1の断熱材設置筒3と断熱材設置内筒4の構造を示す図で、図4(a)は本発明の実施形態における断熱材設置筒3および断熱材設置内筒4の鉛直方向断面図、図4(b)はこれらの平面図である。
断熱材設置内筒4の下端と断熱材設置筒3の内側底面は溶接されており、断熱材設置内筒4の上端には断熱材設置筒3との間に4個のスペーサ31が設けられていて、各スペーサ31の両端は、断熱材設置内筒4および断熱材設置筒3と溶接されている。
なお、筒状断熱材5が少なくとも自重で変形しない硬さに固化された断熱材である場合には、断熱材設置内筒4とスペーサ31は必ずしも必要でなく、これらを設けずにビスや接着剤で筒状断熱材5を断熱材設置筒3に取り付けてもよい。但し、断熱材は一般に脆いものであるので、断熱材設置内筒4がないと、前述した基準温度計14と被校正温度計15の取替え時の引き抜きおよび挿入時に、ディスク17、18により筒状断熱材5に剥落等の欠損が生じる恐れがあるため、取替えは慎重に行う必要がある。
次に、本実施形態の主要部の材質について、断熱容器2は市販の液化ガス容器で、その2重壁の材質はアルミニュウム合金である。温度校正ブロック6は熱伝導率の高い金属である銅を材質とし、断熱材設置筒3、断熱材設置内筒4、支柱16およびディスク17、18はステンレス鋼とした。筒状断熱材5は、綿状のセラミックファイバー材質とし、これを断熱材設置筒3の内面と断熱材設置内筒4の外面との間の空間に充填した。上部断熱材12と底部断熱材11も綿状のセラミックファイバーを用い、これを手で押し固めて取付けた。
また、主要寸法については、用いた断熱容器2は外径260mm、高さ523mmで、従来のものに較べて装置の外形寸法は著しく小型である。温度校正ブロック6は、図2に示した横幅を18mm、奥行きを10mm、高さを100mm、有底挿入孔61の深さを95mmとし、断熱材設置筒3の外径は49mm、断熱材設置内筒4の内径は24mmとした。
続いて、本実施形態の低温用比較校正装置1の性能を測定した結果を説明する。
液化ガス13を液体酸素とし、温度校正ブロック6を設置せず、かつ電気ヒータ7と気相用電気ヒータ9を発熱させていない状態で、断熱材設置内筒4の内側空気の鉛直方向温度分布を測定した結果を図5に示す。本実施形態において温度校正ブロック6は断熱材設置筒3の内側底面からの高さ約30mmから約130mmの範囲に設置されるので、温度校正ブロック6の設置位置の温度は、図5のように約100Kであった。このことは、比較校正時の電気ヒータ7による温度校正ブロック6の温度制御性を良くするために上記100Kに余裕を取ったとしても、123K以上の温度での校正が可能であることを示している。液化ガス13に液化窒素を用いた場合には、液体窒素は液体酸素より温度が低いので、さらに低い温度での校正が可能となり、後述のように、100K近傍の温度での校正が可能であった。また、断熱容器2の高さが本実施形態で用いたものより高いものとし、温度校正ブロック6と断熱容器の上部開口21との距離を長くして上方への熱の逃げを抑えることによっても校正可能な温度を低くすることができる。
電気ヒータ7、気相用電気ヒータ9、温度校正ブロック6等が設けられている断熱材設置内筒4の内側は、筒状断熱材5と底部断熱材11で隔てられているので、これらの断熱材の存在により、電気ヒータ7と気相用電気ヒータ9で発生する熱の液化ガス13に伝わる量が制限され、液化ガス13の蒸発量は抑制される。液化ガス13を液体窒素とし、これを断熱容器2に満たした状態で、電気ヒータ7と気相用電気ヒータ9の熱出力により温度校正ブロック6温度を223Kに制御した比較校正を開始してから、液体窒素の蒸発によりその液レベルが温度校正ブロック6上端付近まで下降し、冷却能力が低下して温度223Kが維持できなくなるまでの時間は、比較校正に要する時間として十分な5時間程度であった。なお、上部断熱材12は通気性があり、かつ断熱材設置筒3は断熱容器の上部開口21内面と密接していないので、蒸発した液化ガス13はこの上部開口21から外部に出る。
液化ガス13を液体酸素とした場合には、液体酸素は液体窒素より気化熱が大きいこと、および液体酸素の温度は液体窒素より高いので223Kとの温度差が液体窒素より小さいために筒状断熱材5を通して液体酸素に伝わる熱が液体窒素の場合より少ないことから、上記の5時間より長く温度校正ブロック6の温度を223Kに維持することができる。また、本実施形態より径または高さの大きな断熱容器2を用い、液化ガス13の量を増すことによっても維持時間を増すことができる。
以上のとおり、本実施形態の低温用比較校正装置1は、少なくとも123Kから223Kの範囲の任意の温度において比較校正が可能である。
次に、液化ガス13を液体窒素とした本実施形態の低温用比較校正装置1について、校正温度106Kおよび223Kにおける、基準温度計14の有底挿入孔61の底と被校正温度計15の有底挿入孔61の底との温度差を測定した例を表1に示す。
Figure 0006124367
基準温度計14と被校正温度計15は有底挿入孔61の底まで挿入されるので、表1の温度差が0.2℃乃至0.6℃が温度校正誤差に含まれることになり、これが本実施形態の低温用比較校正装置1に由来する誤差である。また、表1に示すように、液化ガス13を液体窒素とした場合には、106Kの低温まで比較校正が可能であった。
以上、本発明を実施するための形態の1つを示したが、本発明は、もとより上記実施形態によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に包含される。
本発明による低温用比較校正装置は、液化ガスとして液体窒素を用いた場合には、少なくとも100K近くから約223Kの範囲の任意の温度おける比較校正に使用することができ、液化ガスとして液体酸素を用いた場合には、少なくとも約123Kから約223Kの範囲の任意の温度おける比較校正に使用することができる。
さらに、液化ガスとして温度が4Kと低い液体ヘリウムを用い、かつ、断熱材設置筒の上端開口を密閉構造として内部にヘリウムガスを封じ込む構造とすることなどによって断熱材設置筒内をヘリウムガス雰囲気とすれば、温度制御の余裕を取ったとしても数10Kまでの低温域での比較校正が可能である。
液化ガスが液体ヘリウムの場合、断熱材設置筒内が空気であると、空気の大部分を占める窒素と酸素の液化温度は其々77K、90Kであるので、比較校正温度が77K以下の場合は断熱材設置筒内空気の窒素と酸素が液化し、比較校正温度が77K超えて90Kまでの範囲では断熱材設置筒内空気の酸素が液化する。これらの液化ガスは断熱材設置筒内に蓄積することになり、このため温度校正ブロックの温度を90K以下の比較校正温度に保つことが困難になる。したがって液化ガスを液体ヘリウムとし、比較校正温度を90K以下にする場合は、上述のように断熱材設置筒内をヘリウムガス雰囲気とする必要がある。
1 低温用比較校正装置
2 断熱容器
21 断熱容器の上部開口
3 断熱材設置筒
4 断熱材設置内筒
5 筒状断熱材
6 温度校正ブロック
7 電気ヒータ
8 電気ヒータ制御温度計
9 気相用電気ヒータ
10 気相用電気ヒータ制御温度計
11 底部断熱材
12 上部断熱材
13 液化ガス
14 基準温度計
15 被校正温度計
61 有底挿入孔

Claims (4)

  1. 基準温度計を基準として被校正温度計を比較校正する低温用比較校正装置であって、
    内部が真空断熱または断熱材により外部と断熱され、上部開口が設けられた断熱容器と、
    金属を材質とし、底部が密閉された有底筒形状で、底部外面が前記断熱容器の内側底面に接し、上部は該断熱容器の上部開口内面と密接しない状態で略接して、該断熱容器に略鉛直に載置された断熱材設置筒と、
    筒形状で、外側面が前記断熱材設置筒の内側面と接する状態で、前記断熱材設置筒の底部から少なくとも前記断熱容器の上部開口上端近傍の高さ範囲に取り付けられた筒状断熱材と、
    熱伝導率の高い金属を材質とし、前記筒状断熱材の内側の下部に設けられ、略鉛直方向に形成された複数の有底挿入孔を有する温度校正ブロックと、
    該温度校正ブロックの外側面に、少なくとも前記温度校正ブロックに一部が接触した状態で設置された電気ヒータと、
    前記温度校正ブロックの前記有底挿入孔の1つに挿入された電気ヒータ制御温度計と、
    前記断熱材設置筒の内側底面と前記温度校正ブロックの底面との間に設けられた底部断熱材と、
    通気性のある断熱材を材質とし、前記筒状断熱材の上端開口を塞ぎ、かつ前記断熱容器の上部開口より上部に露出した前記断熱材設置筒の側面を覆って設置された上部断熱材と、
    前記断熱容器の上部開口から注入された液体窒素または液体酸素であって、前記断熱容器内面と前記断熱材設置筒の外面との間の空間に、前記温度校正ブロックの上端以上の高さまで満たされた液化ガスと、を有し、
    比較校正時は、前記基準温度計および前記被校正温度計の其々が、前記温度校正ブロックの別々の前記有底挿入孔の底まで挿入され、かつ、前記電気ヒータのリード線と前記電気ヒータ制御温度計のリード線が繋がれた外部の温度校正ブロック用温度制御器によって、前記電気ヒータの熱出力が、該電気ヒータ制御温度計の出力が前記温度校正ブロック用温度制御器により設定された校正温度になるように制御され、かつ、前記上部断熱材には、前記電気ヒータ、前記電気ヒータ制御温度計、前記基準温度計および前記被校正温度計の本体の一部またはこれらの本体からのリード線が挿通された状態で、前記基準温度計および前記被校正温度計の出力を測定することにより比較校正を行うことを特徴とする低温用比較校正装置。
  2. 前記温度校正ブロック直上にあって、前記温度校正ブロックに挿入される前記基準温度計、前記被校正温度計および前記電気ヒータ制御温度計と干渉しない領域に設けられた気相用電気ヒータと、
    前記温度校正ブロック直上の空間の温度を測定する位置に設けられた気相用電気ヒータ制御温度計とを、さらに有し、
    比較校正時は、前記基準温度計および前記被校正温度計の其々が、前記温度校正ブロックの別々の前記有底挿入孔の底まで挿入され、かつ、前記電気ヒータのリード線と前記電気ヒータ制御温度計のリード線が繋がれた外部の前記温度校正ブロック用温度制御器によって、前記電気ヒータの熱出力が、前記電気ヒータ制御温度計の出力が該温度校正ブロック用温度制御器により設定された校正温度になるように制御され、また、前記気相用電気ヒータのリード線と前記気相用電気ヒータ制御温度計のリード線が繋がれた外部の気相用温度制御器によって、前記気相用電気ヒータの熱出力が、前記気相用電気ヒータ制御温度計の出力が該気相用温度制御器により設定された校正温度と略同一の温度になるように制御され、かつ、前記上部断熱材には、前記電気ヒータ、前記気相用電気ヒータ、前記電気ヒータ制御温度計、前記気相用電気ヒータ制御温度計、前記基準温度計および前記被校正温度計の本体の一部またはこれらの本体からのリード線が挿通された状態で、前記基準温度計および前記被校正温度計の出力を測定することにより比較校正を行うことを特徴とする請求項1記載の低温用比較校正装置。
  3. 金属を材質とし、前記筒状断熱材と長手方向の長さが略同一の筒形状で、外側面が前記筒状断熱材の内側面と接し、下端は前記断熱材設置筒の内側底面と接し、長手方向軸が前記断熱材設置筒の長手方向軸と略一致する角度で前記断熱材設置筒に固定されている断熱材設置内筒を、さらに有し、
    前記温度校正ブロックは、前記断熱材設置内筒の内側の下部に載置されている請求項1または請求項2記載の低温用比較校正装置。
  4. 前記基準温度計と前記被校正温度計を挿入する前記温度校正ブロックの前記有底挿入孔の底面を同一高さ位置としたことを特徴とする請求項3記載の低温用比較校正装置。


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