JP6123323B2 - 正極合材組成物 - Google Patents
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Description
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
また、本発明の正極合材組成物は、硫黄含有材料、イオン液体、及び、無機固体電解質を含む限り、その他の成分を含んでいてもよいが、正極合材組成物全体100質量%に対して、硫黄含有材料、イオン液体、及び、無機固体電解質の3成分の合計割合が80質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、90質量%以上であり、更に好ましくは、95質量%以上であり、特に好ましくは、97質量%以上であり、最も好ましくは、原料が実質的にこれら3種の成分のみからなることである。
硫黄原子を含有する化合物としては、硫化リチウム、金属硫化物、ジスルフィド、1,2−ジチオーレ、ジチオラン、1,5−ジチオカン、1,4−ジチインが挙げられる。
硫黄含有材料として好ましくは、硫黄の単体、硫化リチウム、金属硫化物であり、さらに好ましくは硫黄の単体、硫化リチウムである。最も好ましくは硫黄の単体である。
導電助剤としては、主に導電性カーボンが用いられる。導電性カーボンとしては、特に制限されるものではなく、例えばケッチェンブラックやアセチレンブラックなどの粒子状カーボンブラック、気相成長カーボンファイバーやカーボンナノチューブなどのファイバー状カーボン、グラファイトや黒鉛などの結晶性カーボン等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、気相成長カーボンファイバーが好ましく、より好ましくは気相成長カーボンファイバーである。
本発明の正極合材組成物は、導電助剤に対する硫黄の単体又は硫黄原子を含有する化合物の割合を高くすることができるものであり、これにより、電気容量やサイクル特性の高い正極を形成することができる。
なお、硫黄含有材料が含む硫黄の単体及び硫黄原子を含有する化合物の合計とは、硫黄含有材料が硫黄原子を含む成分として硫黄の単体のみを含む場合には、当該硫黄の単体の質量を表し、硫黄原子を含有する化合物のみを含む場合には、当該硫黄原子を含有する化合物の質量を表す。また、硫黄原子を含む成分として硫黄の単体と硫黄原子を含有する化合物とを含む場合には、硫黄の単体と硫黄原子を含有する化合物との合計質量を表す。
すなわち、硫黄含有材料が、硫黄原子と導電助剤とを含み、硫黄原子と導電助剤との質量比が(硫黄原子):(導電助剤)=55:45〜99:1であることは本発明の好適な実施形態の1つである。硫黄含有材料がこのようなものであると、本発明の正極合材組成物がより高い電気容量やサイクル特性を有するものとなる。より好ましくは、硫黄原子と導電助剤との質量比が(硫黄原子):(導電助剤)=60:40〜95:5であることである。
また、イオン液体を構成するアニオンとしては、ハロゲンアニオン、ポリハロゲン化物アニオン、イミドアニオン、アミドアニオン、メチドアニオン、ホスフェートアニオン、サルフェートアニオン、スルホネートアニオン、ホルメートアニオン、アセテートアニオン、トリフルオロアセテートアニオン、ボレートアニオン、チオシアネートアニオン、ラクテートアニオン等のアニオンが挙げられる。なお、これらアニオンには、アニオン部分がこれらのアニオンである限り、これらのアニオンにアルキル基等の他の基が結合した構造を有するものも含まれる。
硫化物系固体電解質としては、Li2S−P2S5、Li2S−SiS2、Li2S−GeS2、Li2S−B2S3、Li2S−Al2S3、Li2S−GeS2−P2S5、Li2S−GeS2−Al2S3、Li2S−SiS2−Al2S3、Li2S−SiS2−P2S5,Li2S−P2S5−Al2S3、Li2S−P2S5−P2S3等やこれらにハロゲン化リチウム、リン酸リチウム、ケイ酸リチウム、アルミン酸リチウム、α−アルミナ等を混合したものを用いることができる。これらは、ガラス状のものであってもよく、また、結晶性を有していてもよい。これらの中でも、Li2S−P2S5、Li2S−P2S5−P2S3、Li2S−SiS2やこれらにα−アルミナを混合したものが好ましい。
Li2S−P2S5、Li2S−SiS2、Li2S−GeS2、Li2S−B2S3、Li2S−Al2S3、Li2S−GeS2−P2S5、Li2S−GeS2−Al2S3、Li2S−SiS2−Al2S3、Li2S−SiS2−P2S5,Li2S−P2S5−Al2S3、Li2S−P2S5−P2S3は、いずれもLi2Sと他の硫黄化合物とを組み合わせたものであるが、Li2Sと他の硫黄化合物とのモル比は、50:50〜90:10であることが好ましい。より好ましくは、60:40〜80:20である。
酸化物系固体電解質としては、Li1+xAlxGe2−x(PO4)3(X=0〜2の数)、Li1+xAlxTi2−x(PO4)3(X=0〜2の数)、(LiLa)MO3(M=Ti、Nb)、Li5La3Ta2O12、Li7La3Zr2O12、Li3PO4−xNx(X=0〜4の数)等を用いることができる。
上記のものの中でも、無機固体電解質は硫化物系固体電解質であることが好ましい。
バインダーとしては、フッ化ビニリデン系ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー、スチレン−ブタジエン系ポリマー、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
他の添加剤やバインダーを含む場合、他の添加剤やバインダーの配合割合は、正極合剤組成物全体100質量%に対して、他の添加剤やバインダーの合計割合が10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、5質量%以下であり、更に好ましくは、3質量%以下である。
このように、本発明の正極合材組成物が、イオン液体と混合された硫黄含有材料と、無機固体電解質とを含むものであることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
硫黄含有材料又は硫黄含有材料とイオン液体との混合によって得られた混合物と無機固体電解質とを混合する方法としては、メカニカルミリングによる方法等を用いることができる。メカニカルミリングによる方法を用いることにより、高温を必要とせずにこれらを充分に混合することができる。
メカニカルミリングによる方法を用いる場合、原料を粉砕し、50μm以下、好ましくは30μm以下、更に好ましくは10μm以下にまで小粒径化するとともに、反応前に均一に混合することが好ましい。これにより、反応時間を短縮し、また、得られる正極合材組成物の特性の振れを小さくすることができる。
また、硫黄含有材料が上記導電助剤を含む場合や、硫黄原子の単体と硫黄原子含有化合物を含む場合のように、2種以上の固体の成分を含むものである場合、これら固体の成分を混合する場合にもメカニカルミリング等を用いることができる。
メカニカルミリングによる方法を用いる場合、回転数300rpm以上で3時間以上混合粉砕することが好ましい。
溶媒としては、イオン液体を溶解することができるものであれば特に制限されず、水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒等を用いることができる。
また、本発明の正極合材組成物から得られる正極を用いて構成されるリチウム二次電池もまた、本発明の1つである。
無機固体電解質としては特に制限されず、上述した硫化物系固体電解質や酸化物系固体電解質等を用いることができるが、硫化物系固体電解質が好ましい。
上記負極活物質としては、負極活物質として一般に用いられるものを用いることができ、特に制限されるものではなく、重合体、有機物、ピッチ等を焼成して得られたカーボンや天然黒鉛、リチウム金属及び、Al、Si、Ge、Sn、Pb、In、Zn及びTiから選ばれる少なくとも1種、或いは各元素を含むリチウム合金、或いは各元素を含む酸化物、チタン酸リチウム等のリチウムを可逆的に吸蔵、放出可能な材料等を用いることができる。
上記負極合剤組成物に用いる導電助剤としては、上述した本発明の正極合材組成物における導電助剤と同様のものを用いることができる。
上記負極合剤組成物に用いる無機固体電解質としては、上述した硫化物系固体電解質や酸化物系固体電解質等を用いることができるが、硫化物系固体電解質が好ましい。
上記負極合剤組成物に用いるバインダーとしては、上述した正極合材組成物が含むことができるバインダーと同様のものを用いることができる。
本発明の正極合材組成物は、後述する実施例と同様の方法により電気容量(初期電気容量)を測定した場合に、電気容量が800mAh/g以上であることが好ましい。より好ましくは、900mAh/g以上である。特に好ましくは、1000mAh/g以上である。
また本発明の正極合材組成物は、後述する実施例と同様の方法により電気容量を測定した場合に、20サイクル後の電気容量が初期電気容量の85%以上であることが好ましい。より好ましくは、90%以上であり、更に好ましくは、95%以上であり、特に好ましくは98%以上である。
硫黄30部と気相成長カーボンファイバー(VGCF)10部とを秤量し、粉砕用ジルコニアボールと共に遊星ボールミル用ステンレスポット内に充填・密封し、遊星ボールミル粉砕機を用いて、回転数380rpmで、6時間混合粉砕し、混合物Aを得た。
ヨウ化1−ブチルピリジニウム(化合物1)とヨウ素(I2)を1:1のモル比でアセトンに溶解させることにより、イオン液体である三ヨウ化1−ブチルピリジニウム(化合物2)のアセトン溶液を調製した。化合物1、2は、それぞれ下記式(1)、式(2)で表される化合物である。
混合物Aに対してイオン液体である三ヨウ化1−ブチルピリジニウムが5%となるように、混合物Aに調製例2で調製した溶液を加え、その後、エバポレーターを用いて溶媒を留去することにより、混合物Bを得た。
混合物Aに対してイオン液体である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが0.5%となるように、混合物Aに1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのアセトン溶液を加え、その後、エバポレーターを用いて溶媒を留去することにより、混合物Cを得た。
調製例3で調製した混合物B40部と、Li2S−P2S5(Li2SとP2S5とのモル比:Li2S/P2S5=75/25)電解質60部とをグローブボックス中で秤量し、粉砕用ジルコニアボールと共に遊星ボールミル用ステンレスポット内に充填・密封し、グローブボックスから取り出した後、遊星ボールミル粉砕機を用いて、回転数380rpmで、6時間混合粉砕し、正極合材を得た。調製した正極合材を用いて以下の電池構成、評価条件により電池評価を行うと、初期放電容量が1000mAh/gを超えることが確認された。また、20サイクル後も、放電容量は1000mAh/gを超えており、放電容量維持率はほぼ100%であった。
[電池構成]
正極:上記正極合剤、電解質:Li2S−P2S5(Li2SとP2S5とのモル比:Li2S/P2S5=75/25)、負極:Li4.4Si
[電池評価条件]
打ち切り電圧:1.0〜2.6V、電流密度:0.1mAh/cm2
調製例4で調製した混合物C40部と、Li2S−P2S5(Li2SとP2S5とのモル比:Li2S/P2S5=75/25)電解質60部とをグローブボックス中で秤量し、粉砕用ジルコニアボールと共に遊星ボールミル用ステンレスポット内に充填・密封し、グローブボックスから取り出した後、遊星ボールミル粉砕機を用いて、回転数380rpmで、6時間混合粉砕することにより得られた正極合材を用いたことの他は、実施例1と同様にして電池を構成し、電池評価を行ったところ、初期放電容量が1000mAh/gを超えることが確認された。
調製例1で調製した混合物A40部と、Li2S−P2S5(Li2SとP2S5とのモル比:Li2S/P2S5=75/25)電解質(60部)とをグローブボックス中で秤量し、粉砕用ジルコニアボールと共に遊星ボールミル用ステンレスポット内に充填・密封し、グローブボックスから取り出した後、遊星ボールミル粉砕機を用いて、回転数380rpmで、6時間混合粉砕することにより得られた正極合材を用いた他は、実施例1と同様にして電池を構成し、電池評価を行うと、初期放電容量は700mAh/g程度であった。
また、20サイクル後の放電容量は、550mAh/g程度であり、放電容量維持率は80%程度であった。
このようなイオン液体による効果は、本発明の正極合材組成物については、同様であるため、本発明の技術的範囲全般において、また、本明細書において開示した種々の形態において本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができる。
Claims (2)
- 電池の正極を形成する組成物であって、
該組成物は、硫黄含有材料とイオン液体と無機固体電解質とを含み、
前記無機固体電解質は、硫化物系固体電解質であり、
前記イオン液体が、三ヨウ化1−ブチルピリジニウム、および、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの少なくとも一方であり、
前記硫黄含有材料は、硫黄の単体または硫化リチウムであることを特徴とする正極合材組成物。 - 請求項1に記載の正極合材組成物を製造する正極合材組成物の製造方法であって、
前記硫黄含有材料を前記イオン液体と混合した後、前記無機固体電解質と混合することを特徴とする正極合材組成物の製造方法。
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