図1に本願発明の飲料用容器の全体断面図を示し、図2及び図3に蓋開放部材の非作動時と作動時の断面図を示し、図5から図7に栓本体の異なる方向から見た図等を示し、図8及び図9に安全ロック部材と、蓋開放部材及び蓋ロック部材との係合状態等を示し、図10に蓋カバーを取り外した蓋基板の状態を示し、図11から図17に栓本体の各部品の斜視図等を示す。
本願発明の飲料用容器は、内部に飲料物を入れるものであればどのようなものでもよく、以下においては携帯用でワンプッシュ開放式のステンレスボトルを用いて説明する。なお、ヒンジ部側を後方側とし、ヒンジ部の反対側(飲み口側)を前方側とし、前後方向に直交する側を左右方向側とする。
ステンレスボトルSは、容器本体10と栓本体20を有する。容器本体10は、内ケース11、外ケース12及び底板13を有する。内ケース11は、上部に栓本体20が着脱される開口部14を有する容器状のステンレス製の部材であり、その上部内周には内ケース内周ネジ15を有する。なお、内ケース11の内周ネジ15の下端近傍には、内方に窪んだ絞り部16を有する。
前記外ケース12は、上下が開口した略筒状のステンレス製の部材であり、その上部は絞られ、その上端部は内ケース11の上端部と溶着される。また、前記底板13は、皿状のステンレス製の部材であり、その上端は外ケース12の下端と溶着される。
このように、内ケース11と外ケース12と、底板13は一体化され、間に内部空間17を形成する。そして、この内部空間17を真空引きすることにより保温性能の高い真空二重構造体を形成する。
前記栓本体20は、大きく分けて中栓21、中栓カバー26及び蓋部材30を有する。中栓21は、容器本体10の開口部14の内周面に螺合される樹脂部材で、図11に全体斜視図を示す。中栓21は、下から順に一体形成される柱状部22、フランジ部23及び飲み口24を有する。
柱状部22は、下方開口の円筒状の部分であり、その外周には内ケース11の内周ネジ15に螺合する雌ネジ22aを有し、その下端部には、内ケース11の絞り部16の上面に当接可能なリング状のシールパッキン22bが嵌合され、栓本体20が容器本体10に螺合されると、図1に示すように、シールパッキン22bが絞り部16の上面に当接し、容器本体10内を密閉する。
フランジ部23は、柱状部22の上端を覆い、且つ外方に突き出る略円形の部分であり、その略中央には上下に貫通する円形孔23aを有し、この円形孔23aを介して容器本体10内の飲料が流出する。
飲み口24は、フランジ部23の上面に上方に突き出る部分であり、前方側が高く、後方側に向かって斜めに傾斜する上端部を有し、その平面視形状は略半円状で、若干前方寄りに前記円形孔23aが位置する。また、飲み口24の斜め前方には、内側に窪んだ一対の係止部24a、24aを有する。さらに、フランジ部23と飲み口24との間には、内側に若干窪んだ環状の凹部24bを有し、この凹部24b内に中栓カバー26が圧入される。
前記中栓カバー26は、中栓21の上方をカバーする樹脂部材で、図12に全体斜視図を示す。中栓カバー26は、底の浅いキャップ状のもので、その上面には前記飲み口24の外形より若干大きく且つ同形の略半円状の開口孔27を有し、この開口孔27の内周面には内方に突き出た係止突起27aを有する。
また、中栓カバー26の後方側の上面中央部には、左右方向に伸び、内部に中空状のヒンジ孔28aを有するヒンジ部28を有する。そして、このヒンジ孔28a内には後記するヒンジ軸38が圧入される。
そして、この中栓カバー26と中栓21とは圧入により一体化される。その組付けは、中栓21の上方に中栓カバー26を置き、飲み口24の外周に開口孔27を上方から嵌入し、さらに下方へ押し込む。すると、開口孔27の内周の係止突起27aが飲み口24下端の凹部24bに嵌り込み、図7の下方に示す形態で無理ばめ状態で一体化され、中栓ユニットYを形成する。
中栓21と中栓カバー26とが圧入により一体化されると、容易に外すことができなくなり、この中栓ユニットYの上部には、後記蓋ユニットHが図6に示すように取付けられて全体として栓本体20を構成する。そして、中栓21の雌ネジ22aを容器本体10の内周ネジ15に螺合することになる。
前記蓋部材30は、蓋カバー31及び蓋基板35からなる樹脂部材である。蓋カバー31は、蓋部材30の上方を形成する部材であり、図13に全体斜視図を示す。蓋カバー31は、略円形の側壁部31a及び上壁部31bを有する下方開放のキャップ状のもので、上壁部31bは前方から後方に下がる形態で傾斜し、側壁部31aは前方から後方にかけて高さが減少している。
蓋カバー31の後方には、上壁部31bから側壁部31aにかけて縦断面略L字状のヒンジ切欠32を有し、蓋カバー31の前方には、上壁部31bから側壁部31aの一部にかけての後記蓋開放部材70を取り付けるための縦断面略L字状の取付開口33を有する。この取付開口33は、上壁部31bに形成される部分は平面視矩形状で、側壁部31aに形成される部分は円弧を下にした略半円状で、左右方向の長さはヒンジ切欠32とほぼ同じである。
また、上壁部31bに形成される取付開口33の側壁部には、蓋開放部材70が摺動するための内側、即ち、左右方向に若干突き出るとともに、前後方向に長く伸びる一対のレール突起33a、33aが対向して形成され、さらに両レール突起33a、33aの略中間には、内側、即ち、左右方向に突き出る一対の係止突起33b、33bが形成される。そして、これら係止突起33b、33bは、蓋開放部材70の前方側への移動を規制する。
また、上壁部31bに形成される取付開口33の後端面には、安全ロック作動時の安全ロック部材80が当接するための1個の係止リブ33cが前方側に突き出る形態で形成される。
また、蓋カバー31の下端部の内周面には、複数(例えば、3個)の係合片31cを有しており、蓋基板35との無理ばめ時に蓋基板35の底端部に係合する。
前記蓋基板35は、蓋部材30の下方を形成し、後記蓋ロック部材50及び梃子部材60を取付ける部材であり、図7及び図10に全体斜視図を示す。蓋基板35は、前記蓋カバー31を若干小さくしたのとほぼ同形で、側壁部35a及び上壁部35bを有する下方開放のキャップ状のもので、上壁部35bは前方から後方に下がる形態で傾斜し、側壁部35aは前方から後方にかけて高さが減少している。
蓋基板35の後方には、ヒンジ切欠36を有し、このヒンジ切欠36の両端にはそれぞれ軸受37、37を有する。そして、これら軸受37、37内には、ヒンジ軸38(図7参照)が嵌入される。
蓋基板35の左右斜め前方の側壁部35aには、蓋ロック部材50の係止爪54、54が嵌入可能な矩形状の爪嵌入孔40、40を有する。
また、上壁部35bの中央前方寄りには、下方に窪んだ円形の柱状凹部41を有する。この柱状凹部41は中栓ユニットYに蓋ユニットHが組み立てられた後には中栓ユニットYの円形孔23a近傍まで達する長さである。なお、柱状凹部41は、蓋基板35を下方から見た場合は柱状凸部42になる。図2及び図3に柱状凸部42の断面の状態を示し、図6に柱状凸部42に蓋基板パッキン45を被せた状態を示す。
また、上壁部35bの柱状凹部41の直前方には、蓋ロック部材50の上下貫通孔51が貫通するための前方から後方を見た正面視で若干横長の矩形状突起43を有し、さらに柱状凹部41を跨ぐ左右方向の線上には、後記梃子部材60を軸支するための梃子軸受44、44を有する。
蓋基板35の底面には、蓋基板パッキン45が取付けられる。蓋基板パッキン45は、下方に垂下した筒状部45aと、筒状部45aの上端から外方に略水平に広がる平板部45bを有する(図6参照)。筒状部45aは、底端部が閉鎖した筒状の部分で、内部に柱状凸部42が圧入する。平板部45bは、筒状部45aの上端から外方に広がる平面視略半円弧状で、且つ飲み口24の平面視形状より若干大きい部分である。
そして、蓋基板35の底面に蓋基板パッキン45が取付けられた蓋ユニットHが閉鎖されると、筒状部45aは、中栓ユニットYの円形孔23aに当接して円形孔23aを閉鎖し、平板部45bは、飲み口24の上端部に当接して飲み口24を閉鎖する。そのため、例え飲み残しが飲み口24の内側に残ったとしても残った飲料が外部に漏れ出ることはない。
蓋基板35は、中栓ユニットYのヒンジ部28に取付けられる。その取付けは、まずヒンジ部28のヒンジ孔28aの両端に図示しないコイルバネを挿入したものを用意し、そのヒンジ部28を蓋基板35の2つの軸受37、37間に置き、一方の軸受37の外方からヒンジ軸38を圧入する。
ヒンジ軸38はヒンジ孔28aの中央部領域で圧入され、2つの軸受37、37は単にヒンジ軸38を嵌入するだけである。そして、図示しないコイルバネの一端はヒンジ部28内に固定され、他端は蓋基板35の上面に固定されており、蓋基板35はヒンジ軸38に対して回動自在にされるとともに、常に蓋基板35を開放する方向に力が付与される。図6に示すように蓋基板35(或いは蓋ユニットH)は約180度回動する。
中栓ユニットYに取付けられた蓋基板35の上壁部35bには、蓋ロック部材50及び梃子部材60が取付けられる。
前記蓋ロック部材50は、蓋ユニットHを飲み口24の斜め前方に形成される一対の係止部24a、24aに係止するための樹脂部材であり、図16に全体斜視図を示す。蓋ロック部材50は、左右方向に細長い平面視略台形状の部材で、中央部に矩形状の上下貫通孔51を有する。
蓋ロック部材50の中央部には、矩形状平板52が垂下し、この矩形状平板52の前方側上方には前方に向かって突き出るバネ受け52aを有するとともに、この矩形状平板52の後方側には後方に向かって突き出る同じ形状の一対の被押圧突起52b、52bを有する。そして、この被押圧突起52b、52bには梃子部材60の押圧部61b、61bが当接する。
蓋ロック部材50の上下貫通孔51の一側面の後方側には、上方に立設する柱状のストッパ53を有する。このストッパ53は、安全ロック作動時に蓋ロック部材50の移動を規制するものであり、蓋カバー31の係止リブ33cと前後方向で同一線上になるように設けられる。
蓋ロック部材50の左右端には、一対の略レ字状の係止爪54、54が垂下しており、蓋ロック部材50が取付けられるとこの係止爪54、54は、蓋基板35の側壁部35aに形成される矩形状の爪嵌入孔40、40内に嵌入する。そして、蓋ユニットHの閉鎖時、係止爪54、54は後方に移動して飲み口24の斜め前方に形成される一対の係止部24a、24aに係止する。
蓋ロック部材50の取り付けは以下のように行われる。まず、蓋ロック部材50を蓋基板35の上方に置き、矩形状の上下貫通孔51内に蓋基板35の矩形状突起43を図10に示すように嵌入し、蓋ロック部材50の矩形状平板52を蓋基板35の柱状凹部41内に入り込ませる。次いで、蓋ロック部材50のバネ受け52aと、蓋基板35の矩形状突起43との間にスプリング55(図7参照)を介在させる。すると、蓋ロック部材50は、常に後方へ押され、係止爪54、54が飲み口24の係止部24a、24aに係止し、蓋ユニットHを閉鎖状態にする。
前記梃子部材60は、蓋開放部材70の押圧力を梃子の原理を利用して蓋ロック部材50をロック解除方向である前方向に押すための樹脂部材であり、図15に全体斜視図を示す。梃子部材60は、左右方向に細長い棒状の部材で、中央部に下方に垂下する矩形平板61を有する。
矩形平板61の前方側、即ち、蓋ロック部材50に対向する側の面の中央には、前方側に突き出た縦長の補強リブ61aが設けられ、補強リブ61aがない左右の面が押圧部61b、61bになる(図15(C)参照)。この押圧部61b、61bは、蓋ロック部材50の被押圧突起52b、52bと対向し、梃子部材60が回動すると、被押圧突起52b、52bを前方側に押し、蓋ロック部材50を前方側に移動する。
梃子部材60の中央と左端及び右端との間には、前方側、即ち、蓋ロック部材50に対向する側に突き出た一対の矩形状の被押圧リブ62、62が設けられる。この被押圧リブ62、62の前方側の面が被押圧部62a、62aであり、この被押圧部62a、62aが蓋開放部材70の押圧リブ77、77に対向し、この押圧リブ77、77により後方側に押される。
また、梃子部材60の両端には、それぞれ軸貫通孔63、63を有し、これら軸貫通孔63、63には、梃子部材60の左右長より長い長さの梃子軸64が貫通される。
梃子部材60の取付けは以下のように行われる。まず、梃子部材60を蓋基板35の2つの梃子軸受44、44の間に置き、矩形平板61を蓋基板35の柱状凹部41内に垂下し、押圧部61b、61bを蓋ロック部材50の被押圧突起52b、52bに対向させる。
次いで、一方の梃子軸受44より梃子軸64(図7参照)を、一方の梃子軸受44、一方の軸貫通孔63、他方の軸貫通孔63、他方の梃子軸受44の順に圧入する。すると、梃子軸64は両梃子軸受44、44で固定され、梃子部材60は軸貫通孔63、63を介して梃子軸64まわりに回動自在にされる。
ところで、梃子部材60は、図15(C)に示すように、梃子軸64の中心から矩形平板61の押圧部61b、61bの中心までの長さt2は、梃子軸64の中心から被押圧リブ62、62の被押圧部62a、62aの中心までの長さt1より大きくされており、被押圧部62a、62aに伝わる蓋開放部材70の力を大きくして押圧部61b、61bに伝えることができる。そのため、小さな力で蓋ロック部材50をより確実に押すことができる。
上記したように、中栓ユニットYに蓋基板35を取付け、さらに蓋基板35に蓋基板パッキン45、蓋ロック部材50及び梃子部材60を取付けた後、蓋カバー31を取付けることになるが、その前に蓋カバー31の取付開口33に安全ロック部材80を取付けた蓋開放部材70が取付けられる。
蓋開放部材70は、略矩形状の上壁部71と略半円弧状の側壁部72を有する縦断面略レ字状の部材で、図14に全体斜視図を示す。蓋開放部材70の上壁部71は蓋カバー31の上壁部31bに形成される取付開口33に対応し、側壁部72は蓋カバー31の側壁部31aに形成される取付開口33に対応して取付けられる。
蓋開放部材70の上壁部71の左右側面には、蓋カバー31のレール突起33a、33aが挿入するレール溝73、73を有するとともに、それぞれのレール溝73、73の後方寄りには、蓋カバー31の係止突起33b、33bが嵌入する左右方向に貫通する横長貫通孔74、74を有する。
蓋開放部材70の上壁部71の後方寄りには、左右方向に長い矩形状の凹部75を有するとともに、この凹部75の中央には凹部75より小さく且つ略同形で上下に貫通する横長開口75aを有し、さらにこの横長開口75aの中央には左右方向に伸びる細長い橋状部材76を有する。
なお、橋状部材76の上面の離れた2箇所には下方に窪んだ切欠76a、76aを有し、一方の切欠76aは安全ロック部材80の非作動時の位置に対応し、他方の切欠76aは安全ロック部材80の作動時の位置に対応するとともに、安全ロック部材80が左右に移動する際にクリック音を発する。
また、蓋開放部材70の上壁部71の底面であって、橋状部材76の両端部には、一対の押圧リブ77、77が下方に向かって垂下している。この押圧リブ77、77は、梃子部材60の被押圧リブ62、62に対向し、蓋開放部材70が後方に押されると、被押圧リブ62、62を押し梃子部材60を回動させる。
蓋開放部材70の凹部75には、安全ロック部材80が取付けられる。安全ロック部材80は、蓋開放部材70及び蓋ロック部材50の移動を規制するためのもので、図17に全体斜視図を示す。
安全ロック部材80は、蓋開放部材70の凹部75に挿入可能な横長で矩形状の樹脂部材であり、その上面には略半分の長さにわたり上方に半円弧状に盛り上がった蒲鉾状の掴み部81を有し、その下面には、下方に垂下する4本の脚82a、82b、82b、82bを有し、さらに4本の脚82a、82b、82b、82bの略中央には、若干の高さの突起83が垂下している。
前記4本の脚82a、82b、82b、82bは同じ長さであるが、形状は1本の脚82aと3本の脚82b、82b、82bは異なり、3本の脚82b、82b、82bの形状は同じである。詳細には、脚82aは平板でその内側には補強リブ82aaを有する横断面L字状のもので、脚82b、82b、82bは平板でその下端の外側には係止片82bbを有する縦断面レ字状のものである。
そして、安全ロック部材80の作動時には、脚82aの外側の面(補強リブ82aaと反対側の面)が蓋カバー31の係止リブ33cとの当接面82abになり、脚82aに前後方向で対向する脚82bの内側の面(補強リブ82aaに対向する面)が蓋ロック部材50のストッパ53との当接面82bcになる(図9参照)。
安全ロック部材80の取付けは以下のように行われる。蓋開放部材70の凹部75の横長開口75aの上に橋状部材76を跨ぐように安全ロック部材80を置く。その場合、安全ロック部材80の左右方向の2本の脚82a、82bが後方側になり、左右方向の他の2本の脚82b、82bが前方側になるようにして、安全ロック部材80を下方に押し込む。すると、橋状部材76を挟んで後方側に2本の脚82a、82bが入り込み、前方側に2本の脚82b、82bが入り込む。
なお、入り込む際、3本の脚82b、82b、82bは横長開口75aの中央に向かって変形しながら入り込み、入り込むと元の状態に復帰するとともに、それぞれの先端の係止片82bbが横長開口75aの側壁部に係合する。そのため、一端安全ロック部材80を組付けると取り外しができなくなるが、蓋開放部材70の凹部75内を左右に移動可能となる。
この例の場合、正面視で安全ロック部材80が右側にあれば安全ロック非作動時で左側にあれば安全ロック作動時になる。そして、切替時には、安全ロック部材80の突起83が橋状部材76の一方の切欠76aから他方の切欠76aにクリック音を発して移動することになり、その切替を確実に行うことができる。また、安全ロック部材80は、蓋開放部材70と直交する方向であり、一方の部材の操作時に他方の部材が移動することはない。
安全ロック部材80を取付けた蓋開放部材70を、蓋カバー31に取付ける取付けは以下のように行われる。蓋カバー31の取付開口33の前方側に蓋開放部材70を置き、蓋カバー31の一対のレール突起33a、33aに蓋開放部材70の一対のレール溝73、73を合わせて蓋開放部材70を後方側に押し込む。
すると蓋開放部材70はレール突起33a、33aに沿って後方側に移動し、レール突起33a、33aに設けられる係止突起33b、33bに当接する。かまわず蓋開放部材70を押すと係止突起33b、33bは蓋開放部材70の横長貫通孔74、74内に入り込む。係止突起33b、33bが一旦横長貫通孔74、74内に入り込むと、蓋開放部材70を引き抜こうとしても係止突起33b、33bが横長貫通孔74、74の前方端に引っかかり引き抜くことができなくなる。所謂無理ばめ状態になる。
その結果、蓋開放部材70は横長貫通孔74、74の前後方向の長さだけ移動可能となり、最も前方側に位置する図7の状態では蓋開放部材70の側壁部72と蓋カバー31の側壁部31aとは周方向で面一になり、外観が良好になる。このように蓋カバーユニットWが形成される。
次いで、上記したように、中栓ユニットYに蓋基板35を取付け、さらに蓋基板35に蓋基板パッキン45、蓋ロック部材50及び梃子部材60を取付けてなる蓋基板ユニットRに、この蓋カバーユニットWを取付けることになり、その取付けは以下のように行われる。
即ち、蓋基板ユニットRの上に蓋カバーユニットWを置き、蓋基板ユニットRの上から蓋カバーユニットWを押し込む。すると、蓋カバー31の下端に内側に向いて形成される3個の係合片31cが蓋基板35の底端部に係合し、両ユニットR、Wは無理ばめ状態で一体化され、蓋ユニットHが形成される。その結果、蓋ユニットHと中栓ユニットYとからなる栓本体20が形成されるとともに、蓋ユニットHは中栓ユニットYの上方でヒンジ部28を介して回動自在にされる。
そして、蓋ユニットHの閉蓋時で、安全ロック部材80が非作動状態の位置にある図8(B)の状態時では、脚82aの外側の面である当接面82abは蓋カバー31の係止リブ33cと対向していないとともに、脚82bの内側の面である当接面82bcも蓋ロック部材50のストッパ53と対向していないため、蓋開放部材70の後方側への移動が可能になる。
このような状態で、蓋開放部材70を指で後方側へ押すと、蓋開放部材70は後方側に移動するとともに、蓋開放部材70の底面に設けられる押圧リブ77、77が、梃子部材60の被押圧リブ62、62を後方側に押し梃子部材60を図2で時計方向に回動する。
すると、梃子部材60の押圧部61b、61bは、蓋ロック部材50の被押圧突起52b、52bを前方側に押し、蓋ロック部材50を前方側に押すとともに、蓋ロック部材50の係止爪54、54と飲み口24の係止部24a、24aとの係合を解除する。その結果、蓋ユニットHはヒンジバネの作用により開放する。
そして、蓋ユニットHの閉蓋時で、安全ロック部材80が作動状態の位置にある図8(A)の状態時では、脚82aの外側の面である当接面82abは蓋カバー31の係止リブ33cと対向するため、蓋開放部材70の後方側への移動が規制される。なお、この場合、脚82aは係止リブ33cにより前方側に押されるが、補強リブ82aaで補強されているため前方側に折れ曲がることはない。
また同時に、前後方向の脚82aと脚82bとの間に蓋ロック部材50のストッパ53が入り込み、脚82bの内側の面である当接面82bcがストッパ53と対向するため、蓋ロック部材50の前方側への移動も規制される。なお、この場合、脚82bはストッパ53により前方側に押されるが、脚82bが横長開口75aの側面に当接するため前方側に折れ曲がることはない。
その結果、安全ロック部材80の作動状態で、蓋開放部材70に対して後方側への予期しない力が加わったとしても蓋開放部材70が後方側に移動することはなく、さらに栓本体20に対して前方側への予期しない力が加わったとしても蓋ロック部材50が前方側に移動しロックが解除して蓋ユニットHが開放する弊害を確実に防止することができる。
また、安全ロック部材80の作動状態で、蓋開放部材70と蓋ロック部材50とが同時に移動を規制されるため、蓋ロック部材50を閉止するためのスプリング55のばね力を必要最小限に小さくできるため、蓋開放部材70の操作をより小さい力で行うことができ、ワンプッシュでの操作性を良好にすることができる。
また、蓋開放部材70と蓋ロック部材50との移動方向を逆にする、即ち、蓋開放部材70を後方側へ移動させるのに対し、蓋ロック部材50を前方側へ移動させることにより、飲み口24の係止部24a、24aを左右に設けることができるようになり、従来の飲み口24の前方につけるものに比べて飲み口24の高さを低くすることができる。その結果、栓本体20全体の高さを低くすることができるとともに、全体をコンパクトにすることができる。さらに飲み口24の中央部に凹凸がなくなり、手入れが容易になる。
本願発明は、上記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能であることは勿論であり、例えば、上記蓋ユニットは、開閉可能な部分であればどのような部材を含んでいてもよく、また、上記蓋開放部材及び蓋ロック部材の動作及び形状も上記した以外のものであってもよい。