上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機に適用した実施例について説明する。
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は中枠3に取り付けられており、中枠3は本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は中枠3の前面側(遊技者側)に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には円形状の窓部4aが形成されている。この窓部4aにはガラス板等の透明板が嵌め込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種LEDやランプ4b〜4fが設けられている。前面枠4の下方には上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられている。尚、パチンコ機1の左側には球貸装置13(いわゆるCRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図3参照)に供給される。皿外縁部5aには、遊技球の貸し出しを要求するための球貸ボタン5b、球貸装置13からICカードや磁気カード等の記憶媒体を排出するための返却ボタン5cなどの各種ボタン類が設けられている。また、皿外縁部5aの前面側には、演出ボタン5dが設けられており、演出ボタン5dに対する遊技者の操作を受けて、その操作を遊技演出に反映させることが可能となっている。加えて、上皿部5の左端にはスピーカー5yが設けられている。
下皿部6には、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿6b内に貯留される。下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。上述した発射装置ユニット12から発射された遊技球は、外レール14と内レール15との間を通って遊技領域11に放出され、遊技領域11の上方から下方に向かって流下する。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、中央装置26のほぼ中央には演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は液晶表示器によって構成されており、その表示画面上では、演出情報として後述する識別図柄などを変動表示することが可能となっている。尚、本実施例の演出表示装置27は、本発明の「演出表示手段」に相当している。
中央装置26の左斜め下方には第1図柄表示装置28が設けられ、中央装置26の右斜め下方には第2図柄表示装置32が設けられている。このうち、第1図柄表示装置28には、普通図柄を変動表示するためのLED(普通図柄LED)や第1特別図柄を変動表示するための複数のLED(第1特図LED)が設けられており、第2図柄表示装置32には、第2特別図柄を変動表示するための複数のLED(第2特図LED)が設けられている。尚、以下では、第1特別図柄を「第1特図」と略記し、第2特別図柄を「第2特図」と略記することがあるものとする。また、本実施例の第1特図および第2特図は、本発明の「識別情報」に相当している。
遊技領域11の左端および右端には、普通図柄左作動ゲート36と普通図柄右作動ゲート37とが設けられており、これらのゲートの内部には、遊技球の通過を検知する作動ゲートスイッチ36s,37sがそれぞれ設けられている。また、左右の普通図柄作動ゲート36,37と中央装置26との間には、ランプ風車24,25が設けられている。更に、これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
また、中央装置26の下方には、始動口ユニット17が設けられている。始動口ユニット17は、2つの始動口が上下に組み合わせて構成されており、上側に設けられた第1始動口17aは、遊技球が入球する開口部の大きさが不変(一定)で遊技球が常時入球可能な入球口となっている。一方、下側に設けられた第2始動口17bは、左右に開閉可能な一対の翼片部17wや、翼片部17wを動作させる始動口ソレノイド17m(図3参照)などを備えており、翼片部17wの開閉によって遊技球の入球可能性が変化する入球口となっている。第1始動口17aあるいは第2始動口17bに入球した遊技球は、それぞれの内部に設けられた通路を通って遊技盤10の裏面側に導かれる。第1始動口17aの内部の通路には第1始動口スイッチ17sが設けられており、第1始動口17aに入球した遊技球を検知可能である。また、第2始動口17bの内部の通路には第2始動口スイッチ17tが設けられており、第2始動口17bに入球した遊技球を検知可能である。
始動口ユニット17の下方には、大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開放する大入賞口31dや、大入賞口31dを開閉させる開閉部材31e、開閉部材31eを動作させる大入賞口ソレノイド31m(図3参照)などから構成されている。後述する所定の条件が成立することにより、大入賞口ソレノイド31mが作動して開閉部材31eが開動作され、大入賞口31dが開放状態となる。この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球する遊技者にとって有利な大当り遊技(特定遊技)が開始される。また、大入賞口31dの内部には大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入球した遊技球を検知することが可能である。加えて、大入賞装置31の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下方にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図3は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、識別図柄やランプや効果音などを用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で演出表示装置27の制御を行う演出表示制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAMなど、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。尚、図3中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を送受信する方向を表している。
主制御基板200のCPU201は、第1始動口スイッチ17sや、第2始動口スイッチ17t、大入賞口スイッチ31s、作動ゲートスイッチ36s,37sなどから遊技球の検知信号を受信すると、何れのスイッチからの検知信号であるかに応じて定められる各種の動作を指令するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって送信する。また、主制御基板200には、第2始動口17bに設けられた一対の翼片部17wを開閉させるための始動口ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、第1図柄表示装置28、第2図柄表示装置32などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、これら始動口ソレノイド17m、大入賞口ソレノイド31m、第1図柄表示装置28、第2図柄表示装置32に向かって駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御も行う。
サブ制御基板220には、演出表示制御基板230、装飾駆動基板226、アンプ基板224、演出ボタン基板228などが接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、演出表示装置27の表示制御を行う演出表示制御基板230に対して制御内容を指定するコマンドを送信したり、スピーカー5yを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LEDやランプ4b〜4fを駆動する装飾駆動基板226に駆動信号を送信したりすることにより、遊技の演出を行う。また、サブ制御基板220のCPU221は、演出ボタン基板228を介して演出ボタン5dの操作信号を受信すると、その操作に対応する演出を行う。
演出表示制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、画像ROM234やVDP(図示せず)を備えている。演出表示制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、その受信したコマンドに対応する演出画像を演出表示装置27の表示画面に表示するための制御を行う。画像ROM234には、図柄変動演出や大当り遊技演出など種々の遊技演出に対応する演出画像のデータ(例えば、所定のキャラクタに対応する画像を表示するためのスプライトデータや動画データなど)が格納されている。
払出制御基板240は、いわゆる賞球や貸球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、主制御基板200から賞球の払出コマンドが送信されると、このコマンドを払出制御基板240が受信して、払出モータ109mに駆動信号を送信することによって賞球の払い出しを行う。また、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸ボタン5bや返却ボタン5cを操作すると、その操作信号は、中継端子板242を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240と通信しながら、貸球の払い出しを行う。さらに、払出制御基板240は、主制御基板200からの制御の下で、遊技球の発射を許可する信号(発射許可信号)を発射制御基板260に向かって送信しており、発射制御基板260は、この発射許可信号を受信して、発射装置ユニット12の駆動により遊技球を発射するための各種制御を行っている。
B.遊技の概要 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が球貸装置13にICカードや磁気カードを挿入して遊技球の貸し出しを受ける。そして、貸し出された遊技球を上皿部5の凹部に投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左右に設けられた何れかの普通図柄作動ゲート36,37を通過すると、第1図柄表示装置28にて普通図柄LEDの点滅を繰り返すことによって普通図柄の変動表示が行われる。そして、予め定められた変動時間の経過後に普通図柄LEDが点灯状態で停止した場合は、普通図柄の当りとなって、第2始動口17b(始動口ユニット17の下側の始動口)が所定の開放時間だけ開放状態となる。一方、普通図柄LEDが消灯状態で停止した場合は、普通図柄の外れとなって、第2始動口17bが開放することはない。尚、普通図柄が当りとなるか外れとなるかは、主制御基板200のCPU201が行う普通図柄の当り判定で決定される。また、普通図柄の変動表示中に遊技球が何れかの普通図柄作動ゲート36,37を通過した場合は、この遊技球の通過が普通図柄の保留(普図保留)としてRAM203の記憶領域に記憶され、現在の普通図柄の変動表示が終了した後に、その普図保留に基づいて新たに普通図柄の変動表示が行われる。普図保留は最大4つまで記憶可能となっている。
また、遊技領域11に発射した遊技球が第1始動口17aに入球すると、第1図柄表示装置28にて第1特図LEDを点滅させて第1特図の変動表示が行われ、第2始動口17bに入球すると、第2図柄表示装置32にて第2特図LEDを点滅させて第2特図の変動表示が行われる。そして、所定の変動時間が経過すると、大当り図柄または外れ図柄に対応する組合せのLEDを点灯させることで特別図柄(第1特図、第2特図)を停止表示する。その結果、特別図柄が大当り図柄で停止表示されると、大当り遊技が開始される。尚、特別図柄を大当り図柄および外れ図柄の何れで停止表示させるかは、主制御基板200のCPU201が行う特別図柄の大当り判定で決定される。また、第1始動口17aあるいは第2始動口17bへの遊技球の入球は、該入球に基づく特別図柄の変動表示が開始されるまで、第1特別図柄の保留(第1特図保留)あるいは第2特別図柄の保留(第2特図保留)としてRAM203の記憶領域に記憶される。第1特図保留および第2特図保留は、それぞれ最大4つまで記憶可能となっている。尚、本実施例の特別図柄が大当り図柄で停止表示されることは、本発明の「識別情報の変動表示結果が特定結果となる」に相当している。
さらに、特別図柄の変動表示と連動して、演出表示装置27では識別図柄などを用いた図柄変動演出が行われる。図4は、演出表示装置27で図柄変動演出が行われる様子を例示した説明図である。前述したように演出表示装置27は液晶表示器によって構成されており、その表示画面上には、演出情報として3つの識別図柄27a,27b,27cや、その背景に様々な背景画像27dを表示可能となっている。本実施例のパチンコ機1では、3つの識別図柄27a,27b,27cが「1」〜「9」の9つの数字を次々と切り換えることで変動表示を実行する。また、「1」〜「9」の数字のうち「3」,「5」,「7」の3つの数字については予めキャラクタが設定されている。キャラクタAは「7」に対応付けられ、キャラクタBは「5」に対応付けられ、キャラクタCは「3」に対応付けられており、対応する数字にキャラクタを付して識別図柄27a,27b,27cの変動表示が行われる。
そして、特別図柄の変動表示の開始タイミングと同期して変動表示を開始した3つの識別図柄27a,27b,27cは、特別図柄が外れ図柄で停止表示される場合には、同じ数字で揃わない組み合わせ(バラケ目)で停止表示されるのに対して、特別図柄が大当り図柄で停止表示される場合には、同じ数字で揃う組み合わせ(ゾロ目)で停止表示される。このため、3つの識別図柄のうち2つが停止表示されたときに同じ数字で揃っていると、最後に停止表示される識別図柄も同じ数字となって大当り遊技が開始されるのではないかと、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように2つの識別図柄が同じ図柄で停止表示された状態で最後の識別図柄を変動表示させながら行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれ、リーチ演出によって遊技興趣を高めることができる。また、詳しくは後述するが、本実施例のパチンコ機1には、識別図柄27a,27b,27cを用いて行われる「持越演出」と呼ばれる演出が設けられており、この持越演出では、特別図柄が変動表示を開始しても、3つの識別図柄27a,27b,27cの一部(例えば、中識別図柄27b)を変動表示させずに前回に停止表示した数字を継続して表示する持越表示を行うことが可能となっている。
大当り遊技は、大入賞口31dを開放して、所定の開放時間(例えば30秒)が経過するか、あるいは規定入球数(例えば9個)の遊技球が入球したら閉鎖するラウンド遊技を、複数回繰り返すように構成されている。大入賞口31dに遊技球が1個入球する毎に所定数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出されるので、大当り遊技では、大入賞口31dに多くの遊技球を入球させることで、遊技者は多量の賞球を獲得可能である。
また、本実施例のパチンコ機1では、特別図柄が大当り図柄で停止表示する確率(大当り確率)として、低確率と、低確率よりも高い高確率とが設けられている。大当り遊技が終了すると、特別図柄の変動回数が所定回数に達するまでは大当り確率が高確率に設定されるので、この間は大当り遊技が連続して発生する(いわゆる連チャン)可能性が高い。さらには、大当り遊技の終了後は、第2始動口17bの開放時間が通常よりも長く設定される開放延長機能や、特別図柄(第1特図および第2特図)の変動時間が通常よりも短く設定される変動短縮機能が作動し、これらの機能は、特別図柄の変動回数が所定回数に達するまで継続される。
C.第1実施例のパチンコ機1の制御内容 :
C−1.遊技制御処理 :
図5は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図5に示すように、遊技制御処理では、「賞球関連処理」、「普通図柄遊技処理」、「第2始動口閉鎖処理」、「特図保留関連処理」、「特別図柄遊技処理」、「大当り遊技処理」などの各処理が繰り返し実行されている。CPU201は、所定周期毎に発生するタイマ割り込みに基づき遊技制御処理を行うように構成されており、第1実施例では、4msec毎にタイマ割り込みが発生するものとなっている。つまり、図5に示す遊技制御処理は、CPU201における4msec毎のタイマ割り込み処理として実行される。そして、遊技制御処理中に、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて、主制御基板200から各種コマンドを送信する。こうすることにより、パチンコ機1全体の遊技が進行するとともに、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
主制御基板200のCPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。この処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチのうち、遊技球の入賞に関わるスイッチ(第1始動口スイッチ17sや、第2始動口スイッチ17t、大入賞口スイッチ31sなど)について、遊技球の入球を検知したか否かを判断する。そして、遊技球の入球を検知した場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを送信する。払出制御基板240は、主制御基板200から送信された賞球数指定コマンドを受信するとコマンドの内容を解釈し、その結果に従って、払出モータ109mに駆動信号を送信することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、賞球関連処理(S50)に続いて、普通図柄遊技処理を行うか否かを判断する(S100)。この判断は、第2始動口17bが開放状態であるか否かに基づいて行う。第2始動口17bが開放状態でなければ普通図柄遊技処理を行うものと判断し(S100:yes)、第2始動口17bが開放状態であれば普通図柄遊技処理は行わないものと判断する(S100:no)。そして、普通図柄遊技処理を行うと判断した場合は(S100:yes)、以下に説明する普通図柄遊技処理を行う(S150)。これに対して、普通図柄遊技処理を行わないと判断した場合は(S100:no)、普通図柄遊技処理(S150)は省略する。
普通図柄遊技処理(S150)では、主に次のような処理を行う。先ず、普通図柄の保留(普図保留)が存在するか否か(「0」であるか否か)を判定し、普図保留が存在する場合には普通図柄の当り判定を行う。ここで、普図保留は、遊技球が何れかの普通図柄作動ゲート36,37を通過することにより取得される普図当り判定乱数値を記憶するものであり、最大4つまで記憶可能となっている。そして、記憶されている普図当り判定乱数値を用いて行った普通図柄の当り判定の結果に基づき、普通図柄を当り図柄(普通図柄LEDを点灯状態)で停止表示させるか、外れ図柄(普通図柄LEDを消灯状態)で停止表示させるかを決定する。続いて、普通図柄の変動時間を設定した後、普通図柄の変動表示を開始し、その後、変動時間が経過すると、決定しておいた図柄で普通図柄を停止表示させる。このとき、普通図柄の当り図柄が停止表示された場合には、始動口ソレノイド17mを作動させて、第2始動口17bに設けられた翼片部17wを両側に回動させることにより、第2始動口17bを開放状態とする。
以上のようにして普通図柄遊技処理を終了したら、第2始動口17bが開放状態であるか否かを判断する(S190)。そして、開放状態である場合は(S190:yes)、第2始動口17bを開放状態から閉鎖状態にするための処理(第2始動口閉鎖処理)を行う(S200)。一方、第2始動口17bが開放状態でない場合は(S190:no)、第2始動口閉鎖処理を行う必要はないので省略する。
第2始動口閉鎖処理(S200)では、次の何れかの条件が満足された場合、すなわち、第2始動口17bの開放時間が経過したか、及び、第2始動口17bに規定数の遊技球が入球したかの何れかの条件が成立したか否かを判断し、何れかの条件が成立した場合に、開放状態の第2始動口17bを閉鎖状態にする処理を行う。尚、第2始動口17bの開放時間には、短時間(例えば0.5秒)と長時間(例えば5秒)とが設けられており、通常の開放時間は短時間に設定されているが、開放延長機能が作動している状態では、長時間に設定される。一方、第2始動口17bの開放時間が経過しておらず、第2始動口17bへの入球数も規定数に達していない場合は、第2始動口17bを開放状態としたまま、第2始動口閉鎖処理(S200)を終了する。
第2始動口閉鎖処理を終了すると、特図保留関連処理(S250)を開始する。この処理では、主に次のようなことを行う。先ず、第1始動口17aに遊技球が入球したか否かを判断し、第1始動口17aに遊技球が入球した場合は、第1特図の保留数(第1特図保留数)が上限数の4つに達しているか否かを判断する。第1特図保留数が4つに達していなければ、各種の判定乱数値(大当り判定乱数値、図柄決定乱数値、変動パターン決定乱数値など)を取得して、その取得した判定乱数値をRAM203の記憶領域に第1特図保留として記憶すると共に、第1特図保留数に「1」を加算する。続いて、第2始動口17bに遊技球が入球したか否かを判断し、第2始動口17bに遊技球が入球した場合は、第2特図の保留数(第2特図保留数)が上限数の4つに達しているか否かを判断する。第2特図保留数が4つに達していなければ、各種の判定乱数値(大当り判定乱数値、図柄決定乱数値、変動パターン決定乱数値など)を取得して、その取得した判定乱数値をRAM203の記憶領域に第2特図保留として記憶すると共に、第2特図保留数に「1」を加算する。こうして特図保留関連処理を終了したら、続いて、以下に説明する特別図柄遊技処理(S300)を開始する。
図6および図7は、特別図柄遊技処理を示したフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、特別図柄遊技処理を開始すると、大当り遊技中であるか否かを判断する(S302)。そして、大当り遊技中であった場合は(S302:yes)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。これに対して、大当り遊技中ではなかった場合は(S302:no)、第1特図および第2特図の何れかが変動表示中であるか否かを判断する(S304)。
第1特図および第2特図の何れも変動表示中ではない場合は(S304:no)、第1特図または第2特図が確定表示中であるか否かを判断する(S306)。すなわち、第1特図および第2特図の何れも、変動表示が終了してから所定の時間(確定表示時間)が経過するまでは、変動表示の終了に伴い停止表示された図柄を確定させるべく、特別図柄が停止表示された状態を維持する確定表示を行っているので、この確定表示中であるか否かを判断する。その結果、第1特図および第2特図が変動表示中でもなく、確定表示中でもない場合は(S306:no)、特別図柄の変動表示を開始するための処理(特図変動開始処理)を開始する(S310)。
図8および図9は、特図変動開始処理を示したフローチャートである。図示されるように、特図変動開始処理では、先ず、第2特図保留数が「0」であるか否かを判断する(S3100)。第2特図保留数が「0」ではない場合は(S3100:no)、記憶されている第2特図保留の中から最も古くに記憶された第2特図保留を読み出す(S3102)。このS3102の処理では、第2特図保留として記憶されている各種の判定乱数値(大当り判定乱数値、図柄決定乱数値、変動パターン決定乱数値など)を読み出す。
一方、第2特図保留数が「0」である場合は(S3100:yes)、次に、第1特図保留数が「0」であるか否かを判断する(S3104)。第1特図保留数が「0」ではない場合は(S3104:no)、記憶されている第1特図保留の中から最も古くに記憶された第1特図保留を読み出す(S3106)。このS3106の処理では、第1特図保留として記憶されている各種の判定乱数値(大当り判定乱数値、図柄決定乱数値、変動パターン決定乱数値など)を読み出す。これに対して、第1特図保留数が「0」である場合は(S3104:yes)、既に第2特図保留数も「0」と判断されていることから、第1特図保留および第2特図保留の何れも記憶されていないと判断されるので、第1特図あるいは第2特図の変動表示を開始する必要はない。そこで、図8および図9の特図変動開始処理を終了して、図6および図7に示した特別図柄遊技処理に復帰する。
尚、上述したように特図変動開始処理では、先ず初めに第2特図保留が記憶されているか否かを判断し(S3100)、第2特図保留が記憶されていない場合にだけ(S3100:yes)、第1特図保留が記憶されているか否かを判断している(S3104)。従って、第1特図保留と第2特図保留とが両方とも記憶されている場合には、常に第2特図保留が第1特図保留に優先して読み出される(第2特図保留を優先消化する)こととなり、第1特図保留が読み出されるのは、第2特図保留が記憶されていない場合に限られる。
以上のようにして、第1特図保留または第2特図保留を読み出したら(S3102またはS3106)、高確率フラグがONに設定されているか否かを判断する(S3108)。前述したように特別図柄(第1特図、第2特図)が大当り図柄で停止表示される確率(大当り確率)として、低確率と、低確率よりも高い高確率とが設けられており、高確率フラグとは、大当り確率を高確率とする際にONに設定されるフラグである。主制御基板200に搭載されたRAM203には、高確率フラグの記憶領域として所定アドレスが割り当てられている。そして、高確率フラグがONに設定されていない場合は(S3108:no)、低確率用の大当り判定テーブルを選択し(S3120)、高確率フラグがONに設定されている場合は(S3108:yes)、高確率用の大当り判定テーブルを選択する(S3122)。ここで、大当り判定テーブルとは、大当り判定乱数の値に対応付けて「大当り」または「外れ」の判定結果が設定されているテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
図10は、大当り判定テーブルの例を概念的に示した説明図である。図10(a)には低確率用の大当り判定テーブルが示されており、図10(b)には高確率用の大当り判定テーブルが示されている。図10(a)に示すように、低確率用の大当り判定テーブルには、「0」〜「599」の大当り判定乱数値のうち「13」,「14」の値に対して「大当り」の判定結果が設定されている。これに対して、図10(b)に示すように、高確率用の大当り判定テーブルには、「0」〜「599」の大当り判定乱数値のうち「13」〜「32」の値に対して「大当り」の判定結果が設定されている。
図10(a)と図10(b)とを比較すれば明らかなように、図10(b)に示す高確率用の大当り判定テーブルは、図10(a)に示す低確率用の大当り判定テーブルよりも多くの乱数値に「大当り」の判定結果が設定されている。換言すれば、高確率用の大当り判定テーブルには、低確率用の大当り判定テーブルよりも「大当りの判定結果が得られる乱数値(大当り値)」が多くの設定されている。従って、図10(b)の高確率用の大当り判定テーブルを用いて大当り判定を行った場合には、図10(a)の低確率用の大当り判定テーブルを用いて大当り判定を行った場合よりも、高い確率で「大当り」の判定結果が得られることになる。
続いて、図8の特図変動開始処理では、S3120またはS3122の処理で選択した大当り判定テーブルを参照して、第1特図保留または第2特図保留として読み出した大当り判定乱数の値が「大当り」に対応する値(大当り値)であるか否か、すなわち、大当り判定の結果が大当りであるか否かを判断する(S3124)。その結果、大当り判定の結果が大当りである場合は(S3124:yes)、複数種類の大当り図柄の中から停止表示させる大当り図柄を決定する処理を行う(S3126)。この処理は、第1特図保留または第2特図保留として読み出した図柄決定乱数値を用いて大当り図柄決定テーブル(図示せず)を参照しながら行う。大当り図柄決定テーブルとは、図柄決定乱数値と大当り図柄との対応関係が設定されたテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。そして、読み出した図柄決定乱数値に対応付けられた大当り図柄を、停止表示させる図柄(停止図柄)として決定し、主制御基板200のRAM203に記憶する(S3128)。
これに対して、大当り判定の結果が大当りではない(外れである)場合は(S3124:no)、1種類のみの外れ図柄を停止図柄として主制御基板200のRAM203に記憶する(S3130)。
以上のようにして大当り判定の結果に応じて停止図柄を記憶すると、特別図柄(第1特図、第2特図)の変動表示の態様(変動パターン)を決定する処理(変動パターン決定処理)を開始する(S3132)。ここで、特別図柄の変動表示の態様は、実際には第1特図LEDまたは第2特図LEDの点滅を繰り返すことであり、特別図柄の変動パターンとは、特別図柄を変動表示させる時間(変動時間)に対応するものである。尚、前述したように特別図柄の変動表示と、演出表示装置27での識別図柄27a,27b,27cの変動表示(図柄変動演出)とは連動していることから、特別図柄の変動パターンが決定されると、その変動パターンに対応する演出時間の図柄変動演出が実行されることになる。
変動パターン決定処理は、第1特図保留または第2特図保留として読み出した変動パターン決定乱数値を用いて変動パターン決定テーブルを参照しながら行う。この変動パターンテーブルには、変動短縮機能が作動していない場合に参照するテーブル(非変動短縮用の変動パターン決定テーブル)と、変動短縮機能が作動している場合に参照するテーブル(変動短縮用の変動パターンテーブル)とが設けられており、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
図11は、非変動短縮用の変動パターンテーブルを例示した説明図である。図示されるように変動パターン決定テーブルには、大当り判定結果が「大当り」の場合と「外れ」の場合とに分けて、「0」〜「99」の変動パターン決定乱数値と、複数の変動パターンとの対応関係が設定されている。尚、図11には、各変動パターンに対応する変動時間が示されており、変動パターン毎に変動時間が異なっている。大当り判定結果が「大当り」の場合には、前述したリーチ演出を行うのが一般的であり、リーチ演出の実行時間の確保を容易とするために、大当り判定結果が「大当り」に対しては、「外れ」に比べて変動時間の長い変動パターンが多く設定されている。もちろん、大当り判定結果が「外れ」の場合にも、リーチ演出を行うことがあることから、リーチ演出を実行可能な長さの変動パターンが設定されている。また、図示は省略するが、変動短縮用の変動パターンテーブルには、非変動短縮用の変動パターンテーブルに比べて変動時間の短い変動パターンが多く設定されている。
S3132の処理では、変動短縮機能の作動の有無や大当り判定結果に応じて、変動パターン決定乱数値に対応付けられている変動パターンを、変動表示を開始する特別図柄の変動パターンに決定する。
こうして変動パターン決定処理(S3132)を終了すると、第2特図保留に基づいて行われた大当り判定であるか否かを判断する(図9のS3134)。第2特図保留に基づいて行われた大当り判定であった場合は(S3134:yes)、第2図柄表示装置32で第2特図の変動表示を開始して(S3136)、第2特図保留数から「1」を減算する(S3138)。一方、第1特図保留に基づいて行われた大当り判定であった場合は(S3134:no)、第1図柄表示装置28で第1特図の変動表示を開始して(S3140)、第1特図保留数から「1」を減算する(S3142)。
こうして第2特図保留数または第1特図保留数から「1」を減算したら(S3138またはS3142)、変動表示を開始した特別図柄(第1特図または第2特図)の変動パターンの種類を指定する変動パターン指定コマンドや、特別図柄の停止図柄を指定する停止図柄指定コマンドを、変動開始時コマンドとしてサブ制御基板220に向けて送信する(S3144)。
尚、サブ制御基板220に搭載されたCPU221は、上述の変動開始時コマンドを受信すると、変動パターン指定コマンドに基づいて、演出表示装置27で実行する図柄変動演出(識別図柄27a,27b,27cの変動表示を開始してから停止表示するまでの演出パターン)を選択し、識別図柄27a,27b,27cの変動表示を開始する。また、停止図柄指定コマンドに基づいて、演出表示装置27で停止表示させる識別図柄27a,27b,27cの組み合わせを選択する。
主制御基板200のCPU201は、変動開始時コマンドをサブ制御基板220に向けて送信すると(S3144)、図8および図9に示した特図変動開始処理を終了して、図6および図7の特別図柄遊技処理に復帰する。また、特別図柄遊技処理では、特図変動開始処理(S310)から復帰すると、そのまま処理を終了して、図5に示す遊技制御処理に復帰する。
以上では、図6および図7の特別図柄遊技処理の実行に際して大当り遊技中ではなく(S302:no)、第1特図および第2特図の何れも変動表示していない(S304:no)と判断された場合の処理について説明した。これに対して、大当り遊技中ではないが(S302:no)、第1特図または第2特図が変動表示中であると判断された場合は(S304:yes)、既に特別図柄(第1特図または第2特図)の変動パターンと停止図柄とが決定されて、第1特図または第2特図の変動表示が開始されている場合に該当する。そこで、特別図柄の変動時間が経過したか否かを判断する(S312)。第1特図または第2特図の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、第1特図または第2特図の変動表示を開始すると同時に所定のタイマ(変動時間計測タイマ)に変動時間を設定することにより、変動時間が経過したか否かを判断することができる。その結果、未だ変動時間が経過していない場合は(S312:no)、そのまま図6および図7の特別図柄遊技処理を終了して、図5に示す遊技制御処理に復帰する。
これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は(S312:yes)、変動表示中の第1特図または第2特図を、予め決定しておいた停止図柄(図8のS3128,S3130)で停止表示させ(S314)、特別図柄を停止表示させたことを示すコマンド(図柄停止コマンド)をサブ制御基板220に向かって送信する(S316)。そして、停止表示させた特別図柄を停止状態のまま維持する時間(確定表示時間)を設定した後(S318)、設定した確定表示時間が経過したか否かを判断する(S320)。確定表示時間が経過していない場合は(S320:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図5に示す遊技制御処理に復帰する。
こうして第1特図あるいは第2特図が停止表示された状態で、図5の遊技制御処理に復帰した後、再びS300の特別図柄遊技処理(図6および図7)が開始されると、第1特図および第2特図が変動表示中ではないと判断され(S304:no)、続いて、特別図柄の確定表示中であるか否かの判断では、確定表示中と判断されるので(S306:yes)、再び確定表示時間が経過したか否かを判断する(S320)。このような判断を繰り返しているうちに確定表示時間が経過したと判断された場合は(S320:yes)、停止表示された特別図柄(第1特図あるいは第2特図)が「大当り図柄」であるか否かを判断する(図7のS322)。その結果、停止表示された特別図柄が「大当り図柄」であった場合は(S322:yes)、大当りフラグをONに設定する(S326)。大当りフラグとは、大当り遊技中であることを示すフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定のアドレスが大当りフラグの記憶領域として確保されている。主制御基板200のCPU201は、大当りフラグの設定状態に応じて、大当り遊技の実行中であるか否かを判断する。
また、大当り遊技を開始するにあたって、高確率フラグ、開放延長フラグ、変動短縮フグなどの各種フラグがONに設定されていれば、ONのフラグをOFFに設定する(S328)。ここで、高確率フラグは、大当り確率が高確率に設定されていることを示すフラグであり、開放延長フラグは、開放延長機能(第2始動口17bの開放時間を通常よりも長く設定する機能)が作動中であることを示すフラグであり、変動短縮フラグは、変動短縮機能(特別図柄の変動時間を通常よりも短く設定する機能)が作動中であることを示すフラグである。これらのフラグは、大当り遊技を終了する際に改めて設定される。
こうして大当り遊技を開始するためのフラグ設定処理を終了すると(S326、S328)、大当り遊技を開始することを示すコマンド(大当り遊技開始コマンド)をサブ制御基板220に向けて送信する(S330)。サブ制御基板220のCPU221は、大当り遊技開始コマンドを受信すると、大当り遊技に対応した演出を実行する。また、主制御基板200のCPU201は、大当り遊技開始コマンドを送信したら(S330)、図6および図7に示した特別図柄遊技処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。
以上では、図6および図7の特別図柄遊技処理にて停止表示された特別図柄(第1特図あるいは第2特図)が大当り図柄であった場合(S322:yes)の処理について説明した。これに対して、停止表示された特別図柄が大当り図柄でなかった場合、すなわち外れ図柄であった場合は(S322:no)、以下のような処理を行う。
先ず、高確率フラグがONに設定されているか否かを判断する(S334)。高確率フラグは、大当り確率が高確率に設定されていることを示すフラグであり、前述したように大当り遊技が終了すると、特別図柄の変動回数が所定回数に達するまでは大当り確率が高確率に設定される。高確率フラグがONに設定されている場合は(S334:yes)、高確率カウンタから「1」を減算して(S336)、高確率カウンタが「0」になったか否かを判断する(S338)。高確率カウンタは、大当り確率の高確率設定を終了するまでの残り変動回数が設定されるカウンタであり、特別図柄の変動表示が終了する毎に「1」を減算する。その結果、高確率カウンタが「0」になった場合は(S338:yes)、大当り確率の高確率設定を終了するべく、高確率フラグをOFFに設定する(S340)。
一方、S334の判断において、高確率フラグがONに設定されていない場合には(S334:no)、S336〜S340の処理を省略し、また、S338の判断において、高確率カウンタが「0」になっていない場合には(S338:no)、大当り確率の高確率設定が継続されるので、S340の処理を省略する。
続いて、変動短縮フラグがONに設定されているか否かを判断する(S342)。変動短縮フラグは、変動短縮機能が作動中であることを示すフラグであり、前述したように大当り遊技の終了後は、変動短縮機能および開放延長機能が作動し、特別図柄の変動回数が所定回数に達するまで継続される。変動短縮フラグがONに設定されている場合は(S342:yes)、変動短縮カウンタから「1」を減算して(S344)、変動短縮カウンタが「0」になったか否かを判断する(S346)。変動短縮カウンタは、変動短縮機能を停止(終了)するまでの残り変動回数が設定されるカウンタであり、特別図柄の変動表示が終了する毎に「1」を減算する。その結果、変動短縮カウンタが「0」になった場合は(S346:yes)、変動短縮機能および開放延長機能を停止するべく、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをOFFに設定する(S348)。
これに対して、S342の判断において、変動短縮フラグがONに設定されていない場合には(S342:no)、S344〜S348の処理を省略し、また、S346の判断において、変動短縮カウンタが「0」になっていない場合には(S346:no)、変動短縮機能および開放延長機能が継続されるので、S348の処理を省略する。
こうして高確率フラグ、変動短縮フラグ、開放延長フラグの設定に関する処理を行ったら、サブ制御基板220に向かって遊技状態指定コマンドを送信する(S350)。ここで、遊技状態指定コマンドとは、高確率フラグや変動短縮フラグや開放延長フラグなどの設定に応じて定まる遊技状態をサブ制御基板220に指定するためのコマンドである。サブ制御基板220のCPU221は、遊技状態指定コマンドを受信すると、遊技状態に応じた演出モードに切り換える。また、主制御基板200のCPU201は、遊技状態指定コマンドを送信すると、特別図柄遊技処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。尚、サブ制御基板220のCPU221は、本発明の「演出モード切換手段」に相当している。
図5に示す遊技制御処理では、特別図柄遊技処理から復帰すると、大当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S380)。前述したように大当りフラグは、大当り遊技中であることを表すフラグである。そこで、主制御基板200のCPU201は、大当りフラグがONに設定されている場合は(S380:yes)、以下の大当り遊技処理を開始する(S400)。一方、大当りフラグがONに設定されていない場合は(S380:no)、大当り遊技処理(S400)を省略して、遊技制御処理の先頭に戻る。
大当り遊技処理では主に次のような処理を行う。先ず、大当り遊技が開始されない限りは閉鎖されている大入賞口31dを開放してラウンド遊技を開始する。そして、大入賞口31dを開放させた後、所定の開放時間が経過するか、あるいは大入賞口31dに規定入球数の遊技球が入球すると、大入賞口31dを閉鎖して1回のラウンド遊技を終了する。続いて、ラウンド遊技の回数(ラウンド数)が所定回数に達したか否かを判断し、所定回数のラウンド遊技が終了していなければ、大入賞口31dの閉鎖時間(ラウンド遊技とラウンド遊技との間で大入賞口31dを閉鎖しておく時間)が経過したことを条件に、再び大入賞口31dを開放して新たなラウンド遊技を開始する。こうしてラウンド遊技を繰り返すうちに、所定回数のラウンド遊技が終了した場合は、大当り遊技を終了させるべく、大当りフラグをOFFに設定し、大当り遊技の終了を示すコマンド(大当り遊技終了コマンド)をサブ制御基板220に向けて送信する。
また、大当り遊技を終了すると、高確率フラグ、変動短縮フラグ、開放延長フラグの設定に関する処理を行う。先ず、大当り確率を高確率とするために高確率フラグをONに設定する。第1実施例のパチンコ機1では、大当り遊技が終了すると、特別図柄の変動回数が最大で(大当りが発生しなければ)100回に達するまで大当り確率が高確率に設定される。そこで、高確率フラグをONに設定したら、高確率カウンタに「100」を設定する。続いて、変動短縮機能および開放延長機能を作動させるために変動短縮フラグおよび開放延長フラグをONに設定する。第1実施例のパチンコ機1では、大当り遊技の終了後に特別図柄の変動回数が最大で(大当りが発生しなければ)200回に達するまで変動短縮機能および開放延長機能が継続される。そこで、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをONに設定したら、変動短縮カウンタに「200」を設定する。
こうして各種フラグを設定したら、遊技状態指定コマンドをサブ制御基板220に向かって送信して、大当り遊技処理(S400)を終了する。また、大当り遊技処理を終了すると、図5の遊技制御処理の先頭に戻って、前述した賞球関連処理(S50)以降の一連の処理を繰り返す。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、パチンコ機1での遊技を進行させる。また、前述したように主制御基板200のCPU201は、図5に示した遊技制御処理を実行する中で、遊技の演出に関する種々のコマンドをサブ制御基板220に向かって送信する。そして、サブ制御基板220のCPU221は、受信したコマンドに基づいて具体的な演出の内容を決定することで、演出表示装置27、スピーカー5y、各種LEDやランプ類4b〜4fを用いた様々な演出の制御を行っている。以下では、サブ制御基板220のCPU221が特別図柄の変動表示に連動して演出表示装置27にて実行する図柄変動演出の制御のために行う処理(図柄変動演出処理)について説明する。
C−2.図柄変動演出処理 :
図12は、サブ制御基板220に搭載されたCPU221が行う第1実施例の図柄変動演出処理を示すフローチャートである。図柄変動演出処理では、先ず、主制御基板200から変動開始時コマンド(変動パターン指定コマンドおよび停止図柄指定コマンド)を受信したか否かを判断し(S500)、変動開始時コマンドを受信した場合は(S500:yes)、受信した変動パターン指定コマンドで指定された特別図柄の変動パターンが所定の特定変動パターンであるか否かを判断する(S502)。複数の変動パターンには、特定変動パターンが含まれている。第1実施例の特定変動パターンは、リーチ演出を実行可能な長さの変動時間が対応付けられた変動パターンとなっており、例えば、図11に示した非変動短縮用の変動パターンテーブルでは、HP03,HP04,HP21,HP22が特定変動パターンに設定されている。
そして、特定変動パターンではない場合は(S502:no)、変動パターン指定コマンドで指定された変動パターンに応じた図柄変動演出を選択する(S504)。前述したように変動パターンは特別図柄の変動時間に対応するものであり、複数用意された図柄変動演出(演出パターン)の演出時間は、何れかの変動パターンの変動時間と一致している。S504では、複数の図柄変動演出の中から、変動パターンに対応する演出時間の図柄変動演出を選択する。尚、複数の図柄変動演出には、前述したリーチ演出が含まれている。
こうして図柄変動演出を選択すると、その選択した図柄変動演出を開始する(S506)。この処理は、図柄変動演出を指定する図柄変動演出指定コマンドを演出表示制御基板230に向けて送信することで行われ、コマンドを受信した演出表示制御基板230のCPU231は、コマンドに指定された図柄変動演出に対応する画像データを画像ROM234から読み出して演出表示装置27に出力することで、図柄変動演出を実行する。これにより、特別図柄の変動表示の開始に連動して、3つの識別図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。
これに対して、S502の判断において、特定変動パターンである場合は(S502:yes)、以下に説明する持越演出実行処理を行う(S520)。また、S500の判断において、変動開始時コマンドを受信していない場合は(S500:no)、上述したS502〜S506の処理や、S520の処理を省略する。
図13および図14は、第1実施例の持越演出実行処理を示すフローチャートである。持越演出実行処理では、先ず、S500で受信した停止図柄指定コマンドに基づいて大当り判定結果が大当りであるか否かを判断する(S522)。そして、大当り判定結果が大当りである場合は(S522:yes)、大当り用の持越図柄選択テーブルを用いて持越図柄を選択する(S524)。一方、大当り判定結果が外れである場合は(S522:no)、外れ用の持越図柄選択テーブルを用いて持越図柄を選択する(S526)。第1実施例の持越演出では、特別図柄が変動表示を開始しても、3つの識別図柄27a,27b,27cのうち中識別図柄27bを変動表示させずに停止図柄を継続して表示する持越表示を行うようになっており、継続して表示する図柄(持越図柄)の選択は、持越図柄選択テーブルを参照しながら行う。この持越図柄選択テーブルには、大当り判定結果が大当りのときに参照する大当り用のテーブルと、大当り判定結果が外れのときに参照する外れ用のテーブルとが設けられており、サブ制御基板220のROM222に予め記憶されている。
図15は、持越図柄選択テーブルを例示した説明図である。図15(a)には大当り用の持越図柄選択テーブルが示されており、図15(b)には外れ用の持越図柄選択テーブルが示されている。図示されるように持越図柄選択テーブルには、持越図柄選択乱数値に対して「3」,「5」,「7」の3つの数字の何れかが設定されている。持越図柄選択乱数値とは、サブ制御基板220のCPU221が特定変動パターンであると判断した際に取得する乱数の値である。図15(a)の大当り用の持越図柄選択テーブルには、「0」〜「99」の持越図柄選択乱数値のうち、「0」〜「59」の値に対して「7」が設定され、「60」〜「89」の値に対して「5」が設定され、「90」〜「99」の値に対して「3」が設定されている。一方、図15(b)の外れ用の持越図柄選択テーブルには、「0」〜「9」の値に対して「7」が設定され、「10」〜「39」の値に対して「5」が設定され、「40」〜「99」の値に対して「3」が設定されている。
S524およびS526の処理では、大当り判定結果に応じた持越図柄選択テーブルを参照し、取得した持越図柄選択乱数値に対応付けられた数字(「3」,「5」,「7」の何れか)を持越図柄として選択する。図15(a)と図15(b)とを比較すれば明らかなように、「7」は、大当り判定結果が大当りのときに選択され易く、外れのときに選択され難いので、大当り信頼度(図柄変動演出の結果が大当り表示(ゾロ目)に至る可能性)の高い持越図柄である。これに対して、「3」は、大当り判定結果が大当りのときに選択され難く、外れのときに選択され易いので大当り信頼度の低い持越図柄である。そして、「5」は、「3」に比べて大当り判定結果が大当りのときに選択され易いものの、「7」に比べて外れのときにも選択され易いので、大当り信頼度が中程度の持越図柄である。
こうして持越図柄を選択すると、その選択した持越図柄が中識別図柄27bに停止表示されているか否かを判断する(S528)。持越図柄が中識別図柄27bに停止表示されていない場合は(S528:no)、持越表示を行わない設定として(S530)、複数の図柄変動演出の中から、特別図柄の変動パターンに応じた図柄変動演出を選択する(S532)。そして、持越表示を行うことなく、選択した図柄変動演出を開始する(S534)。その結果、特別図柄の変動表示の開始に連動して、3つの識別図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。また、図柄変動演出を開始したら、図13および図14の持越演出実行処理を終了して、図12の図柄変動演出処理に復帰する。
これに対して、持越図柄が中識別図柄27bに停止表示されていた場合は(S528:yes)、持越表示を行う設定として(S538)、大当り判定結果が大当りであるか否かを判断する(S540)。そして、大当り判定結果が外れである場合は(S540:no)、演出成功抽選を実行する(S542)。第1実施例の持越表示が行われる図柄変動演出には、成功パターンと失敗パターンとが設けられており、S542の処理では、成功パターンとするか否かを決めるための演出成功抽選を行う。続いて、その演出成功抽選に当選したか否かを判断する(S544)。演出成功抽選では所定の確率(例えば20%)で当選するようになっており、当選した場合は(S544:yes)、成功パターンに設定し(S546)、当選しなかった場合は(S544:no)、失敗パターンに設定する(S548)。
一方、S540の判断において、大当り判定結果が大当りである場合は(S540:yes)、演出成功抽選を行うことなく、成功パターンに設定する(S546)。すなわち、大当り判定結果が大当りであれば、必ず成功パターンに設定される。尚、大当り判定結果が大当りである場合にも演出成功抽選を行うこととして、当選確率を100%としてもよい。
こうして成功パターンまたは失敗パターンに設定すると、S524またはS526で選択した持越図柄が「7」であるか否かを判断し(図14のS550)、「7」である場合は(S550:yes)、複数の図柄変動演出の中から、キャラクタAが登場する図柄変動演出を選択する(S552)。第1実施例の複数の図柄変動演出には、キャラクタA〜Cのそれぞれに対応する図柄変動演出が含まれている。また、キャラクタが対応付けられた図柄変動演出には成功パターンと失敗パターンとが設けられていることから、キャラクタが対応付けられた図柄変動演出の選択に際しては、成功パターンおよび失敗パターンの何れに設定されているか(図13のS546,S548)を考慮する。
一方、持越図柄が「7」ではない場合は(S550:no)、続いて、持越図柄が「5」であるか否かを判断し(S554)、「5」である場合は(S554:yes)、複数の図柄変動演出の中から、キャラクタBが登場する図柄変動演出を選択する(S556)。また、持越図柄が「5」ではない場合は(S554:no)、持越図柄が「3」であると判断されるので、キャラクタCが登場する図柄変動演出を選択する(S558)。
こうして持越図柄に応じて図柄変動演出を選択したら、サブ制御基板220のCPU221は、中識別図柄27bを変動表示させずに持越表示を行って、選択した図柄変動演出を開始する(S560)。そして、図13および図14の持越演出実行処理を終了すると、図12の図柄変動演出処理に復帰する。
図12の図柄変動演出処理では、続いて、主制御基板200から図柄停止コマンドを受信したか否かを判断する(S508)。そして、図柄停止コマンドを受信した場合は(S508:yes)は、識別図柄27a,27b,27cを停止表示させて図柄変動演出を終了する(S510)。尚、このとき停止表示させる識別図柄27a,27b,27cの組み合わせは、停止図柄指定コマンドに基づいて選択されており、特別図柄が大当り図柄であれば、同じ図柄で揃った組み合わせ(ゾロ目)であり、特別図柄が外れ図柄であれば、同じ図柄で揃わない組み合わせ(バラケ目)である。
一方、図柄停止コマンドを受信していない場合は(S508:no)、S510の処理を省略して、図柄変動演出処理の先頭に戻り、変動開始時コマンドを受信したか否かを判断する(S500)。
図16は、サブ制御基板220のCPU221が持越演出実行処理を実行することにより、持越表示が行われる様子を例示した説明図である。先ず、図16(a)には、前回の図柄変動演出で3つの識別図柄27a,27b,27cが停止表示された状態が示されている。図示した例では、左識別図柄27aに「1」が停止表示され、中識別図柄27bに「7」が停止表示され、右識別図柄27cに「2」が停止表示されている。そして、新たに変動表示を開始する特別図柄の変動パターンが特定変動パターンである場合には、大当り判定結果に応じて持越図柄が選択される。ここでは、持越図柄として「7」が選択されたものとする。
中識別図柄27bには、選択された持越図柄の「7」が停止表示されていることから、持越表示を行うことが可能であり、特別図柄が変動表示を開始すると、図16(b)に示すように、中識別図柄27bを変動表示させずに「7」の持越表示を行いながら、左識別図柄27aおよび右識別図柄27cを変動表示させることで図柄変動演出を開始する。
第1実施例の持越表示が行われる図柄変動演出では、特別図柄の変動開始から所定時間(例えば、5秒)が経過すると、持越図柄に対応付けられたキャラクタが登場して、持越表示していた中識別図柄27bの変動表示を開始する。図16(c)に示した例では、持越図柄の「7」に対応するキャラクタAが登場する。また、持越図柄が「5」であれば、キャラクタBが登場し、持越図柄が「3」であればキャラクタCが登場する。尚、キャラクタが登場した後も中識別図柄27bで持越表示を継続するようにしてもよい。
こうして持越図柄から対応するキャラクタが登場すると、キャラクタに応じた図柄変動演出が展開する。図16の例では、キャラクタAが宝を探して旅をする場面が展開した後、図16(d)に示すように、キャラクタAが宝箱を発見するようになっている。この宝箱には、青色、黄色、赤色の3種類があり、キャラクタAが発見する宝箱は赤色が多くなっている。また、キャラクタBやキャラクタCは、キャラクタAとは異なる場所を旅する場面が展開し、キャラクタBが発見する宝箱は黄色が多く、キャラクタCが発見する宝箱は青色が多くなっている。尚、キャラクタBおよびキャラクタCについては、キャラクタAとは全く異なる展開を設定してもよく、例えば、ミニゲームを行ったり、対戦者と格闘したりするようにしてもよい。
こうしたキャラクタに対応する図柄変動演出には、成功パターンと失敗パターンとが設けられている。例えば、成功パターンの場合には、図16(e)に示すように、宝箱を開けると宝が入っており、大当り信頼度(図柄変動演出の結果が大当り表示(ゾロ目)に至る可能性)を示唆する表示(予告表示)が出現する。出現する予告表示は宝箱の色によって異なり、青色であれば「チャンス」が出現し、黄色であれば「チャンス」よりも大当り信頼度が高い「大チャンス」が出現し、赤色であれば「大チャンス」よりも更に大当り信頼度が高い「激熱」が出現する。これに対して、失敗パターンの場合には、宝箱を開けると空であり、「残念」の表示が出現する。
その後、成功パターンである場合にはリーチ演出に発展し、特別図柄が停止表示すると、識別図柄27a,27b,27cを停止表示させて図柄変動演出を終了する。このとき特別図柄が大当り図柄であれば、図柄変動演出の結果は大当り表示(ゾロ目)となって、大当り遊技が開始される。尚、大当り表示を構成する図柄(数字)には、持越図柄と一致してもよいし、一致しなくてもよい。
第1実施例のパチンコ機1では、図柄変動演出の結果が大当り表示に至る可能性(大当り信頼度)の高さを、持越図柄の種類によって事前に報知するようになっている。図17にまとめたように、持越図柄の「7」は、大当り信頼度が高いことを報知し、持越図柄の「5」は、大当り信頼度が中程度であることを報知し、持越図柄の「3」は、大当り信頼度が低いことを報知している。このように図柄変動演出の開始時に、持越表示される中識別図柄27bの態様(持越図柄)によって大当り信頼度を報知する新たな演出を実現でき、単に中識別図柄27bで持越表示が行われるか否かを意識させるだけでなく、持越図柄の種類(「3」,「5」,「7」の何れであるか)に注目させて、遊技興趣の向上を図ることができる。また、前回の図柄変動演出の結果として中識別図柄27bに大当り信頼度の高い「7」が停止表示されていると、新たな図柄変動演出で「7」の持越表示が行われるのではないかと大当りへの期待が高められるので、遊技興趣を盛り上げることができる。
また、第1実施例のパチンコ機1では、持越図柄の種類によって、登場するキャラクタA〜Cが異なり、キャラクタA〜Cに応じて図柄変動演出の展開(例えば、出現し易い予告表示の種類)が変化する。つまり、持越図柄の種類が図柄変動演出の展開を事前に報知するので、持越図柄の種類に注目させて遊技興趣を高めることができる。尚、持越図柄の種類(キャラクタA〜C)に応じて行われる図柄変動演出は、前述のように予告表示を出現させるものに限られない。例えば、持越図柄の種類に応じてリーチ演出を異ならせてもよい。例えば、持越図柄が「3」であれば、通常のリーチ演出(ノーマルリーチ演出)よりも大当り信頼度が高いスーパーリーチ演出に発展し、持越図柄が「5」であれば、スーパーリーチ演出よりも大当り信頼度が高いスペシャルリーチ演出に発展し、持越図柄が「7」であれば、スペシャルリーチ演出よりも更に大当り信頼度が高いプレミアムリーチ演出に発展するようにしてもよい。
また、第1実施例のパチンコ機1では、持越表示を行う場合でも、特別図柄の変動表示の開始から所定時間が経過すると、持越表示していた中識別図柄27bの変動表示を開始するようになっている。これにより、持越表示される中識別図柄27bの態様(持越図柄)によって大当り信頼度を報知しつつも、その持越図柄によって「特別図柄が大当り図柄で停止表示される場合の図柄変動演出の結果(識別図柄27a,27b,27cの組み合わせ)」等が推測されないため、持越表示された中識別図柄27bの態様と、新たに変動表示した識別図柄27a,27b,27cの図柄変動演出の結果との双方に注目させて遊技興趣を高めることができる。
D.第2実施例のパチンコ機1の制御内容 :
前述した第1実施例では、新たに変動表示を開始する特別図柄の変動パターンが特定変動パターンであると大当り判定結果に応じて持越図柄を選択し、その持越図柄が前回の図柄変動演出の結果として中識別図柄27bに停止表示されている場合に限り、持越表示を行うようになっていた。これに対して、第2実施例では、持越表示を行う図柄変動演出の1つ前に行われる図柄変動演出の結果として中識別図柄27bに持越図柄を停止表示させるようになっている。尚、第2実施例の説明に際しては、第1実施例と共通する部分については同じ符号を用いることとして説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
D−1.遊技制御処理 :
第2実施例の主制御基板200のCPU201は、遊技制御処理(図5参照)において特図保留関連処理(S250)を終了すると、事前判定処理を開始する(S270)。この事前判定処理では主に次のような処理を行う。先ず、第1特図保留または第2特図保留として記憶した判定乱数値(大当り判定乱数値、図柄決定乱数値、変動パターン決定乱数値)について事前判定を行う。事前判定の具体的な内容は、第1特図保留または第2特図保留に基づいて特別図柄の変動表示を開始する際に行う処理(特別図柄の大当り判定や、停止図柄の決定や、変動パターンの決定)と基本的には同じであり、こうした事前判定は「保留先読み」と呼ばれることがある。そして、事前判定を行うと、事前判定結果を示すコマンド(事前判定結果伝達コマンド)をサブ制御基板220に向けて送信する。サブ制御基板220のCPU221は、受信した事前判定結果伝達コマンドに基づいて、特別図柄の保留が発生したことや、その保留についての事前判定結果を把握することができる。
D−2.図柄変動演出処理 :
図18は、第2実施例のサブ制御基板220のCPU221が実行する図柄変動演出処理を示すフローチャートである。第2実施例の図柄変動演出処理を開始すると、先ず、主制御基板200から変動開始時コマンド(変動パターン指定コマンドおよび停止図柄指定コマンド)を受信したか否かを判断し(S600)、変動開始時コマンドを受信した場合は(S600:yes)、受信した変動パターン指定コマンドに基づいて特定変動パターンであるか否かを判断する(S602)。特定変動パターンではない場合は(S602:no)、続いて、特定保留が記憶されているか否かを判断する(S604)。ここで、特定保留とは、特別図柄の変動パターンの事前判定結果が特定変動パターンとなっている保留であり、主制御基板200から受信した事前判定結果伝達コマンドに基づいて特定保留の有無を判断することができる。
そして、特定保留が記憶されていない場合は(S604:no)、複数の図柄変動演出の中から、特別図柄の変動パターンに応じた図柄変動演出を選択して(S608)、選択した図柄変動演出を開始する(S610)。一方、特定保留が記憶されている場合(S604:yes)、特定保留の1つ前に記憶されている保留(直前保留)に基づいて開始される図柄変動演出であるか否かを判断し(S606)、直前保留に基づく図柄変動演出ではない場合は(S606:no)、特別図柄の変動パターンに応じた図柄変動演出を選択して(S608)、選択した図柄変動演出を開始する(S610)。
これに対して、直前保留に基づく図柄変動演出である場合は(S606:yes)、以下の持越演出事前処理を開始する(S620)。
図19は、第2実施例の持越演出事前処理を示すフローチャートである。持越演出事前処理では、先ず、持越表示を行うか否を決定するための抽選(持越表示実行抽選)を行う(S622)。第2実施例では、特定保留に基づく図柄変動演出であっても必ずしも持越表示を行うわけではなく、持越表示実行抽選に所定の確率(例えば40%)で当選した場合に持越表示を行うようになっている。そこで、持越表示実行抽選に当選したか否かを判断し(S624)、当選しなかった場合は(S624:no)、特別図柄の変動パターンに応じて図柄変動演出を選択して(S626)、選択した図柄変動演出を開始する(S628)。そして、図19の持越演出事前処理を終了すると、図18の図柄変動演出処理に復帰する。
一方、持越表示実行抽選に当選した場合は(S624:yes)、持越表示を行うことを示す持越表示実行フラグをONに設定し(S630)、特定保留についての事前判定結果が大当りであるか否かを判断する(S632)。そして、特定保留の事前判定結果が大当りである場合は(S632:yes)、大当り用の持越図柄選択テーブル(図15(a)参照)を用いて持越図柄を選択し(S634)、特定保留の事前判定結果が外れである場合は(S632:no)、外れ用の持越図柄選択テーブル(図15(b)参照)を用いて持越図柄を選択する(S636)。
こうして持越図柄を選択したら、選択した持越図柄が中識別図柄27bに停止表示される結果となる図柄変動演出を特別図柄の変動パターンに応じて選択し(S638)、選択した図柄変動演出を開始する(S628)。そして、図19の持越演出事前処理を終了すると、図18の図柄変動演出処理に復帰する。
以上では、図18の図柄変動演出処理のS600の判断において、変動開始時コマンドを受信し(S600:yes)、且つ、S602の判断において、特定変動パターンではない(S602:no)場合に行われる処理について説明した。これに対して、S602の判断において、特定変動パターンである場合は(S602)、以下の持越演出実行処理を開始する(S650)。また、S600の判断において、変動開始時コマンドを受信していない場合は(S600:no)、S602〜S610の処理や、S620の処理や、S650の処理を省略する。
図20は、第2実施例の持越演出実行処理を示すフローチャートである。第2実施例の持越演出実行処理では、先ず、持越表示実行フラグがONに設定されているか否かを判断する(S652)。前述したように持越表示実行フラグは、持越表示を行うことを示すフラグであり、持越表示実行フラグがONに設定されていない場合は(S652:no)、特別図柄の変動パターンに応じた図柄変動演出を選択し(S654)、持越表示を行うことなく、選択した図柄変動演出を開始する(S656)。そして、図20の持越演出実行処理を終了すると、図18の図柄変動演出処理に復帰する。
一方、持越表示実行フラグがONに設定されている場合は(S652:yes)、大当り判定結果が大当りであるか否かを判断する(S660)。そして、大当り判定結果が外れである場合は(S660:no)、持越表示が行われる図柄変動演出を成功パターンとするか否かを決めるために演出成功抽選を行う(S662)。続いて、演出成功抽選に当選したか否かを判断して(S664)、当選した場合は(S664:yes)、成功パターンに設定し(S666)、当選しなかった場合は(S664:no)、失敗パターンに設定する(S668)。また、大当り判定の結果が大当りである場合は(S660:yes)、演出成功抽選を行うことなく、成功パターンに設定する(S666)。
こうして成功パターンまたは失敗パターンに設定すると、持越演出事前処理(図19)の中で選択した持越図柄が「7」であるか否かを判断し(S670)、「7」である場合は(S670:yes)、複数の図柄変動演出の中から、キャラクタAが登場する図柄変動演出を選択する(S672)。一方、持越図柄が「7」ではない場合は(S670:no)、続いて、持越図柄が「5」であるか否かを判断し(S674)、「5」である場合は(S674:yes)、複数の図柄変動演出の中から、キャラクタBが登場する図柄変動演出を選択する(S676)。また、持越図柄が「5」ではない場合は(S674:no)、持越図柄が「3」であると判断されるので、キャラクタCが登場する図柄変動演出を選択する(S678)。
こうして持越図柄に応じて図柄変動演出を選択したら、中識別図柄27bを変動表示させずに持越表示を行って、選択した図柄変動演出を開始する(S680)。そして、持越表示実行フラグをOFFに設定すると(S682)、図20の持越演出実行処理を終了して、図18の図柄変動演出処理に復帰する。
図18の図柄変動演出処理では、続いて、主制御基板200から図柄停止コマンドを受信したか否かを判断する(S612)。そして、図柄停止コマンドを受信した場合は(S612:yes)は、識別図柄27a,27b,27cを停止表示させて図柄変動演出を終了する(S614)。一方、図柄停止コマンドを受信していない場合は(S612:no)、S614の処理を省略して、図柄変動演出処理の先頭に戻り、変動開始時コマンドを受信したか否かを判断する(S600)。
以上に説明したように第2実施例のパチンコ機1では、特別図柄の保留について事前判定を行い、特定保留に基づく図柄変動演出を開始する際に持越表示を行うとともに、特定保留の1つ前に記憶されている保留に基づいて、持越図柄が停止表示される結果となる図柄変動演出を行うようになっている。これにより、持越表示を実行する図柄変動演出の1つ前に行われる図柄変動演出の結果として持越図柄を作為的に停止表示させることができるので、大当り信頼度を報知する持越表示を確実に実行することが可能となる。また、1つ前の図柄変動演出の結果として所望の持越図柄を停止表示させておくことによって、持越表示を行う図柄変動演出の展開(例えば、出現させる予告表示)を任意に制御することが可能となる。
E.変形例 :
以上、第1実施例および第2実施例のパチンコ機1について説明したが、実施態様はこれに限られるわけではなく、次のような変形例の態様で実施することも可能である。
E−1.第1変形例 :
前述した実施例では、3つの識別図柄27a,27b,27cのうち、中識別図柄27bについて持越表示を行うようになっていたが、中識別図柄27bに限られない。また、複数の識別図柄について持越表示を行うようにしてもよい。第1変形例では、左識別図柄27aおよび右識別図柄27cについて持越表示が可能となっており、持越図柄の数字の組み合わせ(合計)によって、大当り信頼度を報知するとともに、持越表示を行う図柄変動演出の展開を異ならせている。
図21は、第1変形例における持越図柄の種類と大当り信頼度との関係をまとめた説明図である。図示されるように、左識別図柄27aおよび右識別図柄27cの持越図柄の組み合わせが「7,7」または「7,5」である場合は、大当り信頼度が高いことを報知し、「7,3」または「5,5」である場合は、大当り信頼度が中程度であることを報知し、「5,3」または「3,3」である場合は、大当り信頼度が低いことを報知している。
このようにすれば、持越表示の発生時に、左識別図柄27aおよび右識別図柄27cの持越図柄の組み合わせ(持越図柄の数字の合計)に注目させて遊技興趣を高めることができる。また、左識別図柄27aおよび右識別図柄27cの持越図柄を多彩にすることにより、組み合わせのバリエーションを容易に増やすことができ、遊技興趣を一層高めることが可能となる。
また、図21には、持越図柄の種類と図柄変動演出の登場キャラクタとリーチ演出との関係がまとめて示されている。持越図柄の組み合わせが「7,7」の場合はキャラクタAが2人登場し、「7,5」の場合はキャラクタAおよびキャラクタBが登場し、これらのキャラクタの登場によってプレミアムリーチに発展する。また、持越図柄の組み合わせが「7,3」の場合はキャラクタAおよびキャラクタCが登場し、「5,5」の場合はキャラクタBが2人登場し、これらのキャラクタの登場によってスペシャルリーチに発展する。また、持越図柄の組み合わせが「5,3」の場合はキャラクタBおよびキャラクタCが登場し、「3,3」の場合はキャラクタCが2人登場し、これらのキャラクタの登場によってスーパーリーチに発展する。
このように第1変形例では、持越図柄の組み合わせが図柄変動演出の展開(リーチ演出)を事前に報知にし、持越図柄の数字の合計が大きいほど大当り信頼度の高いリーチ演出に発展することから、持越図柄の組み合わせに注目させて遊技興趣を高めることができる。
E−2.第2変形例 :
前述した実施例では、持越図柄の種類と大当り信頼度と図柄変動演出の登場キャラクタとの対応関係が固定されていたが、これらの対応関係を演出モードによって切り換えてもよい。第2変形例では、演出モードとして、大当り確率が低確率のときに設定される通常モードと、大当り確率が高確率のときに設定される高確率モードとが設けられている。
図22は、第2変形例における持越図柄の種類と大当り信頼度と図柄変動演出の演出主体との関係をまとめた説明図である。図22(a)には通常モードの場合が示されており、図22(b)には高確率モードの場合が示されている。先ず、通常モードにおいては、持越図柄の「7」は、大当り信頼度が高いことを報知し、持越図柄の「5」は、大当り信頼度が中程度であることを報知し、持越図柄の「3」は、大当り信頼度が低いことを報知している。また、通常モードの持越図柄には、演出主体として魚が対応付けられている。持越図柄が「7」の場合は、マグロを演出主体とする図柄変動演出が行われ、予告表示として「激熱」が出現し易い。また、持越図柄が「5」の場合は、タイを演出主体とする図柄変動演出が行われ、予告表示として「大チャンス」が出現し易い。また、持越図柄が「3」の場合は、アジを演出主体とする図柄変動演出が行われ、予告表示として「チャンス」が出現し易い。
一方、高確率モードにおいては、持越図柄の「9」は、大当り信頼度が低いことを報知し、持越図柄の「7」および「5」は、大当り信頼度が中程度であることを報知し、持越図柄の「3」および「1」は、大当り信頼度が高いことを報知している。また、高確率モードの持越図柄には、演出主体として動物が対応付けられている。持越図柄が「9」の場合は、シマウマを演出主体とする図柄変動演出が行われ、予告表示として「チャンス」が出現し易い。また、持越図柄が「7」の場合はキリンを演出主体とする図柄変動演出が行われ、持越図柄が「5」の場合はゾウを演出主体とする図柄変動演出が行われ、これらの演出主体では予告表示として「大チャンス」が出現し易い。また、持越図柄が「3」の場合はトラを演出主体とする図柄変動演出が行われ、持越図柄が「1」の場合はライオンを演出主体とする図柄変動演出が行われ、これらの演出主体では予告表示として「激熱」が出現し易い。
このように第2変形例では、演出モードが通常モードおよび高確率モードの何れであるかによって、持越図柄の種類と大当り信頼度との対応関係や、持越図柄の種類と図柄変動演出の演出主体との対応関係が変化する。こうすれば、持越表示される中識別図柄27bの態様が遊技の進行とともに変化し、遊技者に飽きを生じさせることを防止できる。特に、高確率モードに切り換わることによって、通常モードよりも持越図柄の種類が増えることから、持越表示が行われることを期待させて遊技興趣の向上を図ることができる。
以上、本発明について実施例および変形例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、前述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口(第1始動口17a、第2始動口17b、大入賞口31d等)への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAMに記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、前述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。