以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
B.遊技の概要:
C.第1実施例:
C−1.管理データ生成システムの構成:
C−2.第1実施例の遊技情報中継装置:
C−3.第1実施例の大当り信号中継処理:
D.第2実施例:
D−1.第2実施例の遊技情報中継装置:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、遊技機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。
前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13〈CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図5参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。
下皿部6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。また、下皿部6の下面の左右には、第2スピーカ6cが設けられている。
下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、また、遊技領域11の下方部分には変動入賞装置18が設けられ、そして、中央装置26と変動入賞装置18との間には始動口(普通電動役物)17が設けられている。始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口である。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口(普通電動役物)スイッチ17s(図5参照)と、翼片部を作動させるための普通電動役物(始動口)ソレノイド17m(図5参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開口状態となり、一対の翼片部が直立すると、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
中央装置26のほぼ中央には、演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は、液晶画面を搭載しており、キャラクタ図柄や背景図柄などの種々の演出用図柄を変動停止表示することが可能となっている。演出表示装置27の画面上で表示される各種図柄については後述する。
中央装置26の左下には、図柄表示装置28が設けられている。詳細な構成については後述するが、図柄表示装置28では普通図柄や特別図柄などを変動停止表示することが可能となっている。
遊技領域11の左端には、普通図柄作動ゲート36が設けられており、このゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36sが設けられている。更に、普通図柄作動ゲート36と中央装置26との間には、ランプ風車24が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
中央装置26の下方に設けられた変動入賞装置18には、ほぼ中央に大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開口する大入賞口31dと、大入賞口31dを開閉するための大入賞口ソレノイド31m(図5参照)などから構成されている。大入賞口31dは、後述する所定の条件が成立すると複数回数連続して開口状態となり、この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球することとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態が開始される。尚、大入賞口31dの内部には、大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
図3は、本実施例の遊技機1に搭載された図柄表示装置28の構成を示す説明図である。本実施例の図柄表示装置28は本発明の図柄表示手段の一具体例を示すものであり、大きくは、普通図柄表示部29と、特別図柄表示部30とから構成されている。普通図柄表示部29は、左普通図柄表示部29aと右普通図柄表示部29bとから構成されており、特別図柄表示部30は、左特別図柄表示部30aと右特別図柄表示部30bとから構成されている。2つの普通図柄表示部29a,29bは、発光ダイオード(LED)を用いて構成されており、左普通図柄表示部29aは赤色の光を点灯し、右普通図柄表示部29bは緑色の光を点灯することが可能となっている。また、特別図柄表示部30には、いわゆる7セグメントLEDが用いられており、このうちの7セグメント部分が左特別図柄表示部30aを構成し、コンマ部分が右特別図柄表示部30bを構成している。この7セグメント部分およびコンマ部分は、赤色、橙色、緑色のいずれかの光を点灯可能となっている。また、図柄表示装置28には、普通図柄保留表示部29c、および特別図柄保留表示部30cも設けられている。これらは、それぞれ4つのLEDで構成されている。このような構成を有する図柄表示装置28の表示内容については後述する。
図4は、本実施例の遊技機1に搭載された演出表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように、演出表示装置27は、主に液晶表示画面を用いて構成されており、液晶画面上には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cと、その背景の背景図柄27dが表示されている。このうち、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは、図3に示した特別図柄30の表示に合わせて種々の態様で変動表示され、遊技を演出することが可能となっている。演出表示装置27で行われる演出の詳細な内容については後述する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例の遊技機1の制御回路の構成について説明する。図5は、本実施例の遊技機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように遊技機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、ランプや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、演出用図柄を用いた遊技の演出の制御を司る演出制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。また、図5中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。尚、図5では、主制御基板200に搭載されたCPU201やRAM202のみが図示されており、主制御基板200に搭載されているROMやPIO、サブ制御基板220などのその他の制御基板に搭載されているCPUや、RAM,ROMなどについては図示が省略されている。
図示されているように主制御基板200は、始動口スイッチ17sや、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36sなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板220や、演出制御基板230、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって、各種の動作を指令するコマンドを出力する。また、主制御基板200には、始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための普通電動役物ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、普通図柄や特別図柄の変動停止表示を行う図柄表示装置28などが中継端子板を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,31m、および図柄表示装置28に向かって信号を出力することにより、動作の制御も行っている。
また、主制御基板200で当否判定が行われて、当りの判定結果が得られた場合には、当否判定結果が当りとなったことを示す信号(大当り信号)が、主制御基板200から出力される。主制御基板200から出力された大当り信号は、中継端子板および盤用外部端子板を経由して、遊技ホールに設置されたいわゆるホールコンピュータに供給される。ホールコンピュータは、こうして遊技ホールに設置されている各遊技機からのデータを受け取って、いわゆるベースや稼働率などと呼ばれる管理データを生成している。大当り信号がホールコンピュータに供給される様子については、後ほど詳しく説明する。
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、前述した演出表示装置27を制御する演出制御基板230や、各種のスピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板226に、各種のコマンドや駆動信号を出力することにより、遊技の演出を行う。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から中継端子板を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、貸球の払出を行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御基板240が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
また、払出制御基板240で賞球の払い出しが行われると、払出制御基板240からは賞球数を示すセーフ信号が出力される。セーフ信号は、枠用外部端子板を経由して、遊技ホールに設置されたいわゆるホールコンピュータに供給され、各種の管理データの生成に使用される。
B.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例の遊技機1で行われる遊技の概要について簡単に説明しておく。
本実施例の遊技機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左側に設けられた普通図柄作動ゲート36を通過すると、図柄表示装置28において普通図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には左普通図柄表示部28aと、右普通図柄表示部28bとが設けられている。左普通図柄表示部28aは赤色の光を点灯可能に構成されており、右普通図柄表示部28bは緑色の光を点灯可能に構成されている。普通図柄の変動表示が開始されると、左右の普通図柄表示部28a,28bが点滅表示を行う。
図6は、普通図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。変動表示中の普通図柄は、図示されている4つの状態を取ることができる。先ず、図6(a)に示した状態は、左普通図柄表示部29aが点灯して、右普通図柄表示部29bが消灯している状態を表している。図6(b)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも点灯した状態を表している。図6(c)は、左普通図柄表示部29aが消灯し、右普通図柄表示部29bが点灯した状態を表しており、図6(d)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも消灯した状態を表している。普通図柄の変動表示中は、これら4つの表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、そして、所定時間が経過すると、4つの表示状態のいずれかの状態で停止表示される。このとき、所定の表示状態で停止表示されると、いわゆる普通図柄の当りとなって、始動口17が所定時間(例えば0.5秒間)だけ開口状態となる。本実施例では、図6(c)に示した表示状態、すなわち、左普通図柄表示部29aが消灯して右普通図柄表示部29bが点灯している状態が、普通図柄の当りに設定されている。
尚、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過した場合は、この遊技球の通過が保留数として蓄えられて、現在の普通図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。普通図柄の保留は最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている普通図柄の保留数は、普通図柄保留表示部29c(図3参照)に表示される。
次いで、開口状態となった始動口17に遊技球が入球すると、今度は、特別図柄の変動表示が開始される。特別図柄は、図3を用いて説明したように特別図柄表示部30によって表示される。尚、前述したように、本実施例の特別図柄表示部30は、7セグメントLEDからなる左特別図柄表示部30aと、コンマ部分の右特別図柄表示部30bから構成されており、これら左右の特別図柄表示部30a,30bは、赤色、橙色、緑色のいずれかで点灯可能となっている。
図7は、特別図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。特別図柄の変動表示中は、左特別図柄表示部30aでは、「A」、または「Y」のいずれかの図柄が表示され、右特別図柄表示部30bではコンマ「.」が表示される。また、左特別図柄表示部30aの「A」および「Y」、右特別図柄表示部30bのコンマ「.」は、赤色、橙色、緑色の3つの状態を取ることができる。本実施例の特別図柄表示部30では、これらの表示状態が組み合わされて、図7に示す12種類の状態を表示することが可能となっている。図中で7セグメントLEDあるいはコンマ部分に細かいハッチングが付されているのは、赤色の状態で点灯されていることを表している。また、少し粗いハッチングが付されているのは橙色の状態で点灯表示されていることを表しており、粗いハッチングが付されているのは緑色の状態で点灯表示されていることを表している。特別図柄の変動表示が開始されると、これら12種類の表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、所定時間が経過すると、いずれかの状態で停止表示される。
図7に示した12種類の表示態様の中で、赤色の「Y」と赤色の「コンマ」との組合せ(以下では、この組合せを「赤Y−赤点」と表すものとする)、および、橙色の「Y」と赤色の「コンマ」との組合せ(すなわち、「橙Y−赤点」)は、外れ図柄であり、残りの10種類の図柄の組合せが当り図柄となっている。図柄表示装置28で特別図柄が変動表示された後、停止表示された図柄が当り図柄であった場合には、いわゆる特別遊技状態が開始され、大入賞口31dが所定態様で開口する遊技状態(ラウンド)が、所定回数だけ繰り返されるようになっている。
尚、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動口17に入球した場合は、この遊技球の入球が特別図柄の保留数として蓄えられて、現在の特別図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。特別図柄の保留も最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている特別図柄の保留数は、特別図柄保留表示部30c(図3参照)に表示される。
また、本実施例の遊技機では、当り図柄として「通常当り図柄」および「確変当り図柄」に加えて「特定確変当り図柄」と、「特定時短当り図柄」とが設けられている。図7では、「通常当り図柄」を破線で囲って表しており、「確変当り図柄」を実線で囲って表している。また、「特定確変当り図柄」は一点鎖線で囲って表しており、「特定時短当り図柄」は二点鎖線で囲って表している。図柄表示装置28の特別図柄が、「通常当り図柄」あるいは「確変当り図柄」で停止表示された場合は、特別遊技状態が開始されて、大入賞口31dが所定の態様で開口するラウンドが15ラウンドまで繰り返される。前述したように、大入賞口31dが開口状態になると遊技球が入球し易くなるため、遊技者は15ラウンドを終了するまでの間に多数の賞球を獲得することが可能となる。このような遊技の状態が、「15ラウンド大当り」(あるいは、単に「大当り」)と呼ばれる状態である。更に、特別遊技状態の終了後も、しばらくの期間は、始動口17の開口時間が延長されて遊技球が始動口17に入球し易くなるとともに、普通図柄および特別図柄の変動時間が短縮された状態(いわゆる時短状態)となる。加えて、当り図柄が「確変当り図柄」であった場合は、再び当り図柄が停止表示される確率が高い値に設定される。尚、当り図柄で停止表示される確率が高くなっている遊技状態は、確率変動状態(若しくは、確変状態)と呼ばれる。このように「通常当り図柄」あるいは「確変当り図柄」が停止表示されると、遊技者はたいへん有利に遊技を進めることができるので、これらの当り図柄が停止表示されることを強く願いながら遊技を行うことが通常である。
一方、図柄表示装置28の特別図柄が「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」で停止表示された場合も特別遊技状態が開始される。そして、特別遊技状態の終了後は、「特定確変当り図柄」で停止していた場合は、前述した確変状態および時短状態が開始され、「特定時短当り図柄」で停止表示していた場合は、時短状態が開始される。もっとも、これら「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」で停止表示された場合の特別遊技状態は、2ラウンドで終了してしまう。加えて、1回のラウンドも大入賞口31dがごく僅かな時間、開口しただけで終わってしまう。このため、これら「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」が停止表示されて特別遊技が開始されても、ほとんど(あるいは全く)賞球が払い出されることなく、ごく短い時間で終了してしまうので、遊技者が、特別遊技が行われたことに気が付かないまま遊技が継続される。その結果、図柄表示装置28が「特定確変当り図柄」で停止表示された場合は、遊技者にとっては、通常の遊技状態から突然確変状態に切り換わったかのように感じられ、また、「特定時短当り図柄」で停止表示された場合は、通常の遊技状態から突然時短状態に切り換わったかのように感じられることになる。
尚、このように「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」が停止表示されて2ラウンドの特別遊技が行われても、遊技者は、いわゆる大当りが発生したとは認識しないことが実情であるが、大入賞口31dが連続して開放状態となる点で特別遊技の一態様と言うことができる。そこで、本明細書中では、「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」が停止表示されて開始される2ラウンドの特別遊技状態を、「2ラウンド大当り」と呼ぶものとする。
このように、図柄表示装置28で変動表示された特別図柄が何れの図柄で停止表示されるかは、遊技状態を大きく左右するものとなっている。もっとも、図7に示される12種類の特別図柄が、「通常当り図柄」、「確変当り図柄」、「特定確変当り図柄」、「特定時短当り図柄」、あるいは「外れ図柄」の何れに該当するかの判別は、必ずしも容易ではない。そこで、上述した特別図柄の変動停止表示に合わせて、演出表示装置27においてもキャラクタ図柄27a、27b、27cを変動停止表示させる演出を行う。
図8は、演出表示装置27で行われる演出の一態様を例示した説明図である。図4を用いて前述したように、演出表示装置27を構成する液晶表示画面には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが表示されている。前述した図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置27においても、これら3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。本実施例では、キャラクタ図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。
図8(a)には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左キャラクタ図柄27aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右キャラクタ図柄27cが停止表示され、最後に中キャラクタ図柄27bが停止表示される。
これら演出表示装置27で停止表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cの組合せは、前述した図柄表示装置28で停止表示される特別図柄の組合せと連動するように構成されている。たとえば、図柄表示装置28の特別図柄が「通常当り図柄」で停止する場合は、演出表示装置27の3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが、偶数を表す同じ図柄で停止表示され、「確変当り図柄」で停止する場合は、奇数を表す同じ図柄で停止表示される。一方、図柄表示装置28の特別図柄が「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」で停止する場合は、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない所定の組合せで停止表示され、「外れ図柄」で停止する場合は、3つの図柄が同じ図柄で揃わない任意の組合せで停止表示される。
このように、図柄表示装置28で表示される特別図柄と、演出表示装置27で表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応しており、それぞれの表示図柄が確定するタイミングも同じに設定されている。しかも、図2に示すように、図柄表示装置28よりも演出表示装置27の方が目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置27の画面を見ながら遊技を行うことが通常である。従って、演出表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左キャラクタ図柄27aと、続いて停止表示される右キャラクタ図柄27cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中キャラクタ図柄27bも同じ図柄で停止して、15ラウンドの大当り状態が開始されるのではないかと、遊技者は図柄の変動を注視することになる。このように、2つのキャラクタ図柄を同じ図柄で停止した状態で、最後の図柄を変動表示させる演出は、リーチ演出と呼ばれており、リーチ演出を行うことで遊技者の興趣を高めることが可能となっている。
また、本実施例の遊技機1では、演出表示装置27において、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが同じ図柄で揃わなかった場合(いわゆる「ばらけ目」)でも単なる「外れ」とは限らず、図柄表示装置28において「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」で停止表示されている場合がある。もっとも、図柄表示装置28の特別図柄は何れの図柄もよく似た図柄に設定されているので、「外れ図柄」と「特定確変当り図柄」や「特定時短当り図柄」とを判別することは難しく、また、演出表示装置27に停止表示されるキャラクタ図柄も、3つの図柄が揃わない「ばらけ目」となる点では全く同じであって判別は難しい。しかも、「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」の停止表示の後に行われる2ラウンドの特別遊技状態は、特に賞球も得られないまま極めて短い時間で終了することから、特別遊技が行われたことに遊技者が気付かないことが多い。
結局、「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」が停止表示されて、「2ラウンド大当り」が発生すると、遊技者にとっては、遊技中に、突然(すなわち当り図柄で停止せず、従って特別遊技も行われないまま)、何らかの特典が付与されて遊技状態が有利に変化したように感じられることになる。たとえば、「特定確変当り図柄」が停止表示された場合には、遊技者にとっては、図柄の変動が「ばらけ目」で停止し、特別遊技も行われていないにも拘わらず、遊技状態が確変状態に突然切り換わったように感じられる。また、「特定時短当り図柄」が停止表示された場合には、遊技者にとっては、図柄の変動が「ばらけ目」で停止し、特別遊技も行われていないにも拘わらず、遊技状態が時短状態に突然切り換わったように感じられることになる。こうした形態で遊技者に特典を付与することは、従来の遊技機では行われていなかったことであり、このことが遊技者にとっては斬新に感じられて、遊技に対する興趣を大きく高めることが可能となっている。
また、前述したように遊技ホールでは、いわゆる大当りを発生させて遊技客を満足させながら、ホール全体として適正な利益が確保できるようにするため、遊技ホールに設置されている各遊技機から稼働状態に関するデータ(例えば、大当りの発生有無、遊技客が発射した遊技球数、賞球として払い出した遊技球数など)を収集して、管理データを生成し、この管理データに基づいて、各遊技機の調整を行っている。
もっとも、上述したように「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」が停止表示された場合に行われる「2ラウンド大当り」は、大当りではありながら、賞球はほとんど(あるいは全く)払い出されることなく終了する。従って、「2ラウンド大当り」を一般的な「15ラウンド大当り」と同じように収集したのでは、管理データのデータ精度が低下してしまい、遊技ホールを適切に運営することが困難となるおそれがある。もちろん、「2ラウンド大当り」などの賞球を伴わない大当りと、「15ラウンド大当り」などの賞球を伴う大当りとを、それぞれ別々のデータとして収集し、管理データを生成することも可能であるが、これでは、管理データを生成するために既に遊技ホールに導入されているシステム全体の修正が必要となってしまう。こうした点に鑑みて、「2ラウンド大当り」などの賞球を伴わない大当りを発生させる遊技機が設置された場合でも、管理データのデータ精度が低下することを回避するために、本実施例では、次のようにして管理データを生成している。
C.第1実施例 :
C−1.管理データ生成システムの構成 :
図9は、本実施例の管理データ生成システムの構成を示す説明図である。図示されているように、管理データ生成システムは、遊技ホールに設置された複数の遊技機1と、ホールコンピュータ1Cとが接続されて構成されている。また、各遊技機1とホールコンピュータ1Cとの間には遊技情報中継装置100が設けられており、各遊技機の稼働状態を示す遊技情報(大当りの発生有無や、遊技球の発射球数、払い出された賞球数など)は、遊技情報中継装置100を介してホールコンピュータ1Cに供給されるようになっている。
本実施例の遊技機1では、図5を用いて前述したように、特別図柄の当否判定結果が当りの場合には、主制御基板200から大当り信号が出力され、この大当り信号が中継端子板を介して、大当りの発生有無を示す信号として遊技情報中継装置100に供給される。また、遊技球が賞球として払い出された場合には、払い出された遊技球数(賞球数)を示すセーフ信号が払出制御基板240から出力され、図示しない中継端子板を介して、遊技情報中継装置100に供給される。更に、遊技客が遊技球を発射すると、何れかの入賞口に入賞するか、若しくは遊技盤面の下方に設けられたアウト口48に入球するが、これら入賞口あるいはアウト口48に入った遊技球は、遊技機1の下方の遊技台で一箇所に集められて、遊技球数が計数される。こうして計数された遊技球数は、遊技客が発射した遊技球数(発射球数)を表しており、遊技台に搭載された図示しない計数器からは、発射球数を示すアウト信号が遊技情報中継装置100に供給される。
尚、本実施例では遊技機1の下方の遊技台で発射球数を計数するものとしているが、遊技機1に搭載された発射装置ユニット12で、遊技球の発射球数を計数しておき、この計数値をアウト信号として出力することとしても良い。このとき、ファール球の発生が検出された場合には、計数値をファール球数だけ減算しておけば、正しいアウト信号を出力することができる。あるいは、各入賞口に入賞した遊技球数と、アウト口48に入球した遊技球数とを加算して、得られた遊技球数をアウト信号として出力することも可能である。
遊技ホールの各遊技機1に設けられた遊技情報中継装置100は、以上のようにして各種の遊技情報(例えば、大当り信号、セーフ信号、アウト信号など)を受け取ると、これらをホールコンピュータ1Cに出力する。ホールコンピュータ1Cでは、こうして収集した遊技情報に基づいて、「ベース」や「稼働率」と呼ばれる各種の管理データが算出されるようになっている。尚、本実施例のホールコンピュータ1Cは、遊技機1からの遊技情報を受け取って管理データを生成していることから、本願発明の「データ生成装置」の一態様を構成するものとなっている。
また、「2ラウンド大当り」の様に賞球を伴わない大当り態様を備えた遊技機1が設置されている場合でも、正しい管理データを生成することが可能となるように、本実施例の管理データ生成システムでは、次のような構成の遊技情報中継装置100が採用されている。
C−2.第1実施例の遊技情報中継装置 :
図10は、第1実施例の管理データ生成システムで採用されている遊技情報中継装置100の構成を示した説明図である。図示されているように、第1実施例の遊技情報中継装置100には、制御回路102と、タイマー104とが搭載されている。本実施例の制御回路102は、所定のプログラムを組み込むことで種々の処理を実行可能な、いわゆるマイクロプロセッサによって構成されている。尚、後述するように、制御回路102が実行する処理は比較的簡単な処理であることから、LSIを用いて論理回路を構成することで、ハードウェア的に制御回路102を実現することも可能である。
図10に示されるように、遊技情報中継装置100に搭載された制御回路102は、遊技機1からの大当り信号を受け取ると、大当り信号をホールコンピュータ1Cに転送する処理を行う。ここで、「2ラウンド大当り」が発生した場合でも管理データのデータ精度が低下することを回避するために、単純に大当り信号を中継するのではなく、次のような処理を行っている。尚、図9を用いて前述したように、遊技情報中継装置100には、大当り信号だけでなく、賞球として払い出された遊技球数を示すセーフ信号や、発射された遊技球数を示すアウト信号なども供給される。しかし、第1実施例の遊技情報中継装置100では、セーフ信号やアウト信号などについては、信号を受け取ってそのままホールコンピュータ1Cに転送しているだけであり、図示が煩雑となることを避けるために、表示が省略されている。
図11は、第1実施例の遊技情報中継装置100に搭載された制御回路102が、大当り信号を中継する処理の流れを示すフローチャートである。また、図12は、第1実施例の遊技情報中継装置100に搭載された制御回路102が大当り信号を中継する様子を示すタイムチャートである。以下、図12のタイムチャートを参照しながら、図11のフローチャートに従って説明する。
遊技情報中継装置100の制御回路102は、図示した大当り信号中継処理を開始すると、先ず初めに、遊技機1からの大当り信号を受け取ったか否かを判断する(S100)。遊技機1の主制御基板200において特別図柄の当否判定結果が当りになり(すなわち、特別図柄が「通常当り図柄」、「確変当り図柄」、「特定確変当り図柄」、あるいは「特定時短当り図柄」の何れかで停止表示されると)、その後、この「当り」による大当り遊技が開始されると、図12の最上段に示されているように、大当り信号がOFF状態からON状態に変化する。尚、図5を用いて前述したように、この大当り信号は、主制御基板200から中継端子板を介して、遊技情報中継装置100に供給される信号である。また、大当り信号は、大当りの継続中はON状態に保たれており、大当りが終了するとOFF状態に切り換わるようになっている。
図11のS100では、大当り信号の立ち上がりを検出することで、大当り信号を受け取ったか否かを判断する。そして、未だ、大当り信号を受け取っていない場合は(S100:no)、大当り信号を受け取るまでそのまま待機する。
一方、大当り信号を受け取ったと判断された場合は(S100:yes)、遊技情報中継装置100に設けられたタイマー104をセットする(S102)。図12の中段には、遊技機1からの大当り信号の立ち上がりを受けて、タイマー104がセットされた様子が示されている。タイマー104のセット時間は、「2ラウンド大当り」などの賞球を伴わない大当りの継続時間に対してある程度の余裕を加味した時間に設定される。本実施例の遊技機1では、賞球を伴わない大当りは「2ラウンド大当り」だけであることから、約40秒に設定されている。もちろん、タイマーに設定する所定時間は、賞球を伴わない大当りの継続時間に合せて、適切な時間を設定すればよい。尚、本実施例のタイマー104は、大当り信号を受け取ると所定時間がセットされて計時を開始することから、本願発明の「計時開始手段」の一態様を構成するものである。
こうしてタイマーをセットしたら(図11のS102)、今度は、設定された所定時間が経過したか否かを判断する(S104)。所定時間が経過すると、図12に示したように、タイマー104の出力がON状態からOFF状態に切り換わるので、かかる出力の立ち下がりを検出することで所定時間が経過したか否かを判断することができる。そして、未だ所定時間が経過していないと判断された場合は(S104:no)、タイマー104の出力がOFF状態となって所定時間の経過が確認されるまで、そのまま待機する。
一方、所定時間の経過が確認されたら(S104:yes)、遊技機1からの大当り信号が依然として出力されているか否か、換言すれば大当り信号がON状態か否かを判断する(S106)。上述したように、タイマー104に設定される時間は、賞球を伴わない大当り(本実施例では「2ラウンド大当り」)の継続時間よりも長い時間に設定されている。従って、受け取った大当り信号が、仮に「2ラウンド大当り」によるものであれば、タイマー104に設定した所定時間が経過した時点では、既に大当り信号はOFF状態に切り換わっている筈である。逆に、大当り信号が「15ラウンド大当り」などの賞球を伴う大当りであれば、所定時間の経過時点でも大当り信号がON状態に保たれている筈である。図12中には、「2ラウンド大当り」による大当り信号が破線で示されており、「15ラウンド大当り」による大当り信号が実線で示されている。
図12に示されているように、タイマー104に設定された所定時間が経過した時点(すなわち、タイマー出力がON状態からOFF状態に切り換わった時点)では、「2ラウンド大当り」による大当り信号はOFF状態に切り換わっているが、「15ラウンド大当り」による大当り信号はON状態のまま保たれている。そこで、タイマー104に設定した所定時間が経過した時点で大当り信号が出力中か否かを判断し(S106)、出力中であれば(S106:yes)、遊技ホールのホールコンピュータ1Cに向かって大当り信号を出力した後(S108)、図11に示した大当り信号中継処理を終了する。図12の最下段には、こうしてホールコンピュータ1Cに大当り信号が出力される様子が実線で示されている。また、こうしてホールコンピュータ1Cに出力される大当り信号は、遊技機1の上方に設けられた呼出ランプにも供給される。呼出ランプとは、スタート回数、確変回数、大当り回数等を遊技者に報知するとともに、遊技者がホール店員を呼び出すために使用されるものである。この信号を受けた場合は、呼出ランプの大当り回数は加算される。
尚、制御回路102は、タイマー104にセットされた所定時間の経過後に、大当り信号が出力中か否か(大当り状態が継続しているか否か)を判断しており、大当り状態が継続中であれば大当り信号をホールコンピュータ1Cに出力している。従って、本実施例の制御回路102は、本願発明の「大当り状態継続有無判断手段」および「遊技情報出力手段」の一態様を構成している。
逆に、大当り信号が出力中でなかった場合は(S106:no)、ホールコンピュータ1Cに向かって大当り信号を出力することなく、大当り信号中継処理を終了する。すなわち、賞球を伴わない大当り(本実施例では、2ラウンド大当り)が発生した場合には、遊技機1からは大当り信号が出力されるものの、この大当り信号は呼出ランプには供給されないので、呼出ランプの大当り回数は加算されることはない。仮に、2ラウンド大当りの発生時にも呼出ランプの大当り回数が加算されたのでは、賞球が無いのに呼出ランプの大当り回数が加算されることになって遊技客に不信感を与えるおそれが生じ、更には、2ラウンド大当りが発生したこと(すなわち、「特定確変当り」あるいは「特定時短当り」が発生したこと)が遊技客に悟られてしまう。前述したように、「特定確変当り」あるいは「特定時短当り」は、大当りが発生したことを悟られないようにすることで、遊技状態が突然、確変状態あるいは時短状態に切り換ったような印象を与えることを意図した特別な演出であることから、呼出ランプの大当り回数が加算されて、2ラウンド大当りが発生したことが遊技者に気付かれてしまったのでは、特別な演出を行う効果は消滅してしまう。これに対して、上述した大当り信号中継処理では、2ラウンド大当りの発生時に呼出ランプの大当り回数が加算されることを確実に回避することができるので、「特定確変当り」あるいは「特定時短当り」といった特別な演出による効果を十分に発揮させ、遊技客の興味を強く遊技に引き付けておくことが可能となっている。
このように、第1実施例の遊技情報中継装置100では、遊技機1から出力される大当り信号は、「2ラウンド大当り」による信号であるか、「15ラウンド大当り」による信号であるかに拘わらず、全て遊技情報中継装置100に供給される。しかし、「2ラウンド大当り」のように継続時間が短い大当り信号については、遊技情報中継装置100でブロックされてしまい、「15ラウンド大当り」などのように継続時間が長い大当り信号だけが、ホールコンピュータ1Cに供給されるようになっている。このため、ホールコンピュータ1Cでは、賞球を伴う一般的な大当り(本実施例では15ラウンド大当り)についてだけの発生有無を示すデータを収集することができるので、2ラウンド大当りによる影響を受けることなく正確な管理データを生成することが可能となっている。
D.第2実施例 :
以上に説明した第1実施例の管理データ生成システムによれば、「2ラウンド大当り」を除いて、一般的な大当り(本実施例では、「15ラウンド大当り」)だけの大当り信号を検出することで、データ精度を低下させることなく管理データを生成することが可能である。もっとも、「2ラウンド大当り」中に、賞球が全く払い出されないわけではないので、若干ではあるがデータ精度が低下する可能性がある。すなわち、「2ラウンド大当り」中は僅かな時間とはいえ大入賞口31dが開口状態となるので、開口した大入賞口31dに遊技球が入賞して、賞球が払い出される場合がある。また、「2ラウンド大当り」は短時間で終了するが、その短い時間内に遊技球が入賞口に入賞して、賞球が払い出されることも皆無ではない。加えて、「2ラウンド大当り」となっている短い期間にも、幾ばくかの遊技球が発射されることが通常である。もちろん、これらは決して大きな値とはならないので、たとえ、これらによる影響を無視してもデータ精度の低下はごく僅かであるが、これらを考慮した状態で管理データを生成することができれば、データ精度をより一層向上させることが可能となる。以下では、このようなことを可能とする第2実施例の管理データ生成システムについて説明する。
第2実施例の管理データ生成システムは、前述した第1実施例の管理データ生成システムと同様に、複数の遊技機1が、ホールコンピュータ1Cに接続された構成となっている。もっとも、第2実施例では、各遊技機1とホールコンピュータ1Cとの間に設けられた遊技情報中継装置150が、以下に示すように、第1実施例の遊技情報中継装置100とは異なった構成を有するものとなっている。
D−1.第2実施例の遊技情報中継装置 :
図13は、第2実施例の遊技情報中継装置150の構成を示した説明図である。図示されているように、第2実施例の遊技情報中継装置150にも、前述した第1実施例の遊技情報中継装置100と同様に、制御回路152と、タイマー154とが設けられている。また、第2実施例の遊技情報中継装置150には、これに加えて、セーフ信号が表す賞球数を記憶するためのセーフ球数記憶部156と、アウト信号が表す発射球数を記憶しておくためのアウト球数記憶部158とが設けられている。尚、これらセーフ球数記憶部156およびアウト球数記憶部158は、制御回路152からデータを読み書き可能に設けられたRAMによって構成されている。
図13に示されるように、第2実施例の制御回路152は、大当り信号と、セーフ信号、アウト信号を受け取って、これらの信号をホールコンピュータ1Cに転送する処理を行う。また、大当りの発生回数や、セーフ信号、アウト信号などの遊技情報から「2ラウンド大当り」による影響を排除して、管理データのデータ精度を向上させるために、以下に説明するような大当り信号中継処理を行っている。
図14は、第2実施例の遊技情報中継装置150に搭載された制御回路152が、大当り信号などの各種信号を中継する処理の流れを示すフローチャートである。また、図15は、第2実施例の遊技情報中継装置150に搭載された制御回路152が大当り信号や、セーフ信号、アウト信号を中継する様子を示すタイムチャートである。以下、図15のタイムチャートを参照しながら、図14のフローチャートに従って説明する。
第2実施例の大当り信号中継処理においても、前述した第1実施例と同様に、処理を開始すると先ず初めに、遊技機1からの大当り信号を受け取ったか否かを判断する(S150)。すなわち、前述した第1実施例の大当り信号中継処理と同様に、遊技機1の主制御基板200において特別図柄の当否判定結果が当りになると、遊技情報中継装置150に向かって大当り信号が出力される。図15の最上段には、遊技機1からの大当り信号が出力されたことに伴って、大当り信号がOFF状態からON状態に変化する様子が示されている。第2実施例の大当り信号中継処理のS150においても、前述した第1実施例と同様に、大当り信号の立ち上がりを検出することによって大当り信号を受け取ったか否かを判断する。
そして、未だ、大当り信号を受け取っていない場合は(S150:no)、大当り信号を受け取るまでそのまま待機し、大当り信号を受け取ったと判断したら(S150:yes)、遊技情報中継装置150に設けられたタイマー154をセットする(S152)。図15の中段(上から3段目)には、遊技機1からの大当り信号の立ち上がりを受けて、タイマー154がセットされた様子が概念的に表されている。尚、第2実施例の遊技情報中継装置150においても、タイマー154に設定される時間は、賞球を伴わない大当り(本実施例では「2ラウンド大当り」)の継続時間よりも長い時間に設定されている。
タイマーをセットしたら、セーフ球数記憶部156およびアウト球数記憶部158に記憶されているセーフ球数およびアウト球数を初期化して、これらに値0を設定する(図14のS154)。その後、遊技機1あるいは遊技台から出力されるセーフ信号およびアウト信号に基づいて、セーフ球数(賞球として払い出された遊技球数)およびアウト球数(発射された遊技球数)の計数を行い、セーフ球数およびアウト球数の計数値を、それぞれセーフ球数記憶部156およびアウト球数記憶部158に記憶する(S156)。尚、本実施例のセーフ信号は、所定球数毎(例えば10球毎)に、パルスが1つ出力されるような信号となっている。同様に、アウト信号も、所定球数毎(例えば10球毎)に1パルスずつ出力されるような信号となっている。このことと対応して、セーフ球数およびアウト球数の計数は、実際にはそれぞれセーフ信号、アウト信号として出力されるパルスの数が計数されるようになっている。もちろん、パルス数を計数するのではなく、1パルス毎に実際の遊技球の個数を積算していくことも可能である。
こうして、セーフ信号あるいはアウト信号からパルスを受け取ったら、これをセーフ球数あるいはアウト球数として計数し、次いで、タイマー154に設定した所定時間が経過したか否かを判断する(S158)。図15の中段に示したように、所定時間が経過するとタイマー104の出力がON状態からOFF状態に切り換わるので、かかる出力の立ち下がりを検出することで所定時間が経過したか否かを判断する。そして、未だ所定時間が経過していないと判断されれば(S158:no)、S156に戻ってセーフ球数およびアウト球数の計数を行い、再び所定時間が経過したか否かを判断する(S158)。
こうした操作を繰り返すうちに、タイマー104の出力がOFF状態となって所定時間が経過したと判断されたら(S158:yes)、遊技機1からの大当り信号が依然として出力されているか否かを判断する(S160)。前述したように、タイマー154に設定される所定時間は、賞球を伴わない大当り(本実施例では「2ラウンド大当り」)の継続時間よりも長い時間に設定されているので、仮に、大当り信号が、「2ラウンド大当り」によるものであれば、タイマー154に設定した所定時間が経過した時点では、既に大当り信号はOFF状態に切り換わっている筈である。逆に、大当り信号が「15ラウンド大当り」などの賞球を伴う大当りであれば、所定時間の経過時点でも大当り信号がON状態に保たれている筈である。S160では、タイマー154に設定した所定時間が経過した時点で、大当り信号が出力されているか否かを判断することにより、大当り信号が「2ラウンド大当り」によるものか、「15ラウンド大当り」によるものかを判断している。
そして、大当り信号が出力中であった場合には(S160:yes)、その大当り信号は「15ラウンド大当り」によるものであると判断されるので、ホールコンピュータ1Cに向けて大当り信号を出力する(S162)。図15の下から3段目には、タイマー154に設定した所定時間の経過時点で大当り信号が出力中であったため、ホールコンピュータ1Cに向かって大当り信号を出力している様子が概念的に示されている。また、第2実施例においても、こうしてホールコンピュータ1Cに出力される大当り信号は、遊技機1の上方に設けられた呼出ランプにも供給され、この信号を受けて呼出ランプが点灯するようになっている。
次いで、セーフ球数記憶部156およびアウト球数記憶部158に記憶されているセーフ球数およびアウト球数を、ホールコンピュータ1Cに向けて出力する(S164)。図15の下から2段目には、記憶しておいたアウト球数を出力する様子が示されており、図15の最下段には、記憶しておいたセーフ球数を出力する様子が示されている。前述したように、本実施例のアウト信号は、所定球数毎に1パルスずつ出力される信号となっており、アウト球数記憶部158では、パルス数が計数されて記憶されている。そこで、記憶しておいたアウト球数をホールコンピュータ1Cに出力するに際しては、記憶しておいたパルス数だけパルスを出力することによって、アウト球数を出力する。図15に示した例では、タイマー154にセットされた所定時間の間に、遊技機1からはアウト信号として3つのパルスが出力されていることから(図15の上から2段目を参照)、所定時間の経過後も大当り信号が出力されている場合には、記憶しておいた3つのパルスを出力する。図15の下から2段目には、記憶されていた3つのパルスが出力される様子が破線で表されている。
また、セーフ球数についても同様に、セーフ球数はパルス数として記憶されているから、所定時間の経過後も大当り信号が出力されている場合には、記憶しておいた数のパルスをセーフ信号として出力する。図15に示した例では、タイマー154にセットされた所定時間の間、遊技機1からはセーフ信号として2つパルスが出力されているから(図15の上から3段目を参照)、所定時間の経過後も大当り信号が出力されている場合には、セーフ信号として2つのパルスを出力する。図15の最下段には、記憶されていた2つのパルスが出力される様子が破線で表されている。尚、タイマーにセットされた所定時間の経過後も大当り状態が継続している場合に、大当り信号と、セーフ球数、アウト球数をホールコンピュータ1Cに出力する処理は、制御回路152によって実行されている。従って、第2実施例の遊技情報中継装置150に搭載された制御回路152は、本発明の「遊技情報出力手段」の一態様を構成している。
こうして、計数しておいたセーフ球数およびアウト球数をホールコンピュータ1Cに出力したら(S164)、図14に示した第2実施例の大当り信号中継処理を終了する。こうして出力されたセーフ球数およびアウト球数は、ホールコンピュータ側で15ラウンド大当り時の計数値として扱う。つまり、このセーフ球数およびアウト球数と、所定時間経過後から15ラウンド大当たり終了後まで、随時送信されるセーフ球数とアウト球数とをそれぞれ合計して、さらに合計された全アウト球数から全セーフ球数を引くことで、15ラウンド大当り1回の差玉を求めることができる。
一方、タイマー154に設定した所定時間の経過時点で、大当り信号が出力中でなかった場合は(S160:no)、その大当り信号は「2ラウンド大当り」によるものと判断される。そこで、この場合は、大当り信号をホールコンピュータ1Cに出力する処理(S162)はスキップして、計数したセーフ球数およびアウト球数をホールコンピュータ1Cに向かって出力する処理(S164)を行った後、図14に示した大当り信号中継処理を終了する。こうして出力されたセーフ球数およびアウト球数は、ホールコンピュータ側で通常遊技中における計数値として扱う。なお、2ラウンド当り時における計数値として扱ってもよい。
こうして、大当り信号中継処理を終了した後は、遊技情報中継装置150は、セーフ信号およびアウト信号を受け取ってもこうした処理は行わず、単に受け取った信号を、そのままホールコンピュータ1Cに転送する処理を行う。図15には、記憶しておいたセーフ信号およびアウト信号を出力した後は、遊技機1から受け取ったセーフ信号およびアウト信号を、そのままホールコンピュータ1Cに出力している様子が概念的に示されている。
以上に説明したように、第2実施例の遊技情報中継装置150では、遊技機1からの大当り信号を受け取ると、タイマー154を所定時間にセットするとともに、所定時間が経過するまでにセーフ信号あるいはアウト信号を受け取った場合には、これを計数しておく。そして、所定時間の経過時点で大当り信号が依然として出力されていた場合には、大当り信号をホールコンピュータ1Cに出力するとともに、計数しておいたセーフ球数およびアウト球数もホールコンピュータ1Cに出力する。また、逆に、所定時間の経過時点で、大当り信号が出力されていない場合は、ホールコンピュータ1Cに向かって大当り信号を出力することはなく、計数しておいたセーフ球数およびアウト球数をホールコンピュータ1Cに出力する。このため、ホールコンピュータ1Cでは、「2ラウンド大当り」を除いた大当りの発生有無に関するデータを収集することが可能となるので、管理データのデータ精度をより一層向上させることが可能となる。なお、上記した実施例においては、遊技機とは別に遊技情報中継装置を設けたが、遊技機と遊技情報中継装置とを一体に構成してもよい。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。